Peterson, M. E., et al.
"Evaluation of Serum Symmetric Dimethylarginine Concentration as a Marker for Masked Chronic Kidney Disease in Cats With Hyperthyroidism." 
Journal of veterinary internal medicine 32.1 (2018): 295-304.

PubMedリンク PMID:29377360
本文:無料公開あり(全文) 

タイトル:甲状腺機能亢進症の猫におけるマスクされた慢性腎臓病のマーカーとしての血清対称性ジメチルアルギニン濃度の評価

==アブストラクト===
背景:甲状腺機能亢進症は、糸球体濾過率を高め、体の筋肉量を減少させ、これらは両方とも血清クレアチニン濃度を低くするため、 慢性腎臓病( CKD)の診断を複雑にする(マスクする)可能性がある。現在のところ、甲状腺機能亢進症の治療後に明らかとなる高窒素血症性のCKDを併発している甲状腺機能亢進症の猫を確実に予測できる臨床検査はない。

目的:無治療の甲状腺機能亢進症の猫におけるマスクされた高窒素決勝の潜在的なマーカーとして、対称性ジメチルアルギニン(SDMA)について調べること。

動物:262頭の甲状腺機能亢進症の猫と、206頭の年齢を調整した臨床的に正常な猫。

方法:前向き研究。クレアチニン、尿素窒素、SDMA、T4、およびTSHの濃度を、放射性ヨウ素(131 l)で治療する前と治療後1,3,6ヶ月で測定し、放射性ヨウ素治療猫を治療後の持続的なクレアチニン濃度>2.1mg/dlを基に高窒素血症と非高窒素血症に分けた。各グループはノンパラメトリック検定により比較し、受信者操作特性(ROC)解析とロジスティック回帰によって診断精度を決定した。

結果:治療前に高窒素血症のある猫はいなかったが、42頭(16%)の猫が放射性ヨウ素の治療後4-8ヶ月の再検査(中央値6ヶ月)で高窒素血症となった ;それらの猫のうち14頭は治療前にSDMA濃度が高かった。無治療の甲状腺機能亢進症の猫における前高窒素血症性(マスクされた)CKDの診断検査として、SDMAは感度が33.3%、特異度が97.7%であった。

結論と臨床的重要性:
甲状腺機能亢進症の猫における血清SDMA濃度の高値は、治療後の高窒素血症の発症の予測に役立つ。この検査は高い診断検査特異度(偽陽性の結果がほとんどない)だが、比較的低い感度(多くの甲状腺機能亢進症の猫で高窒素決勝を予測することができない)。 


==本文から===
利益相反の開示:M.PetersonはIDEXXラボラトリーズから謝礼金を受けている。