Martinez‐Anton, L., et al.
"Investigation of the Role of Campylobacter Infection in Suspected Acute Polyradiculoneuritis in Dogs." 
Journal of veterinary internal medicine 32.1 (2018): 352-360.

PubMedリンク PMID:29356096
本文:無料公開あり(全文

タイトル:急性多発性神経根炎の疑いのある犬 におけるカンピロバクター感染の役割の調査

==アブストラクト===
背景:犬の急性多発性神経根炎は免疫介在性の末梢神経障害であり、ヒトのギラン・バレー症候群と多くの類似点を共有し、ギラン・バレー症候群は今では細菌性病原体であるカンピロバクター属(Campylobacter spp。)が主要な誘因と考えられている。犬における急性多発性神経根炎とカンピロバクター属との関連に関する情報はほとんどない。
 
仮説/目的
:カンピロバクター属の感染と急性多発性神経根炎との関連を推定すること。 さらに潜在的な危険因子との関連性、特に生の鶏肉の摂取を調査した。

動物:急性多発性神経根炎の疑いに罹患した家庭飼育犬27頭と、健康な家庭飼育犬またはスタッフの飼育する犬47頭。

方法: 発生密度に基づいたサンプリングによる症例対照研究。糞便サンプルは個々の登録した動物から収集し、カンピロバクター属の検出のために、直接培養、DNA抽出、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行なった。単位複製配列のシーケンス解析を用いて種の同定を行った症例もいた。両グループで、データは医療器記録と飼い主へのアンケートによって得た。

結果:臨床徴候の発現から7日以内に糞便のサンンプルを収集した症例において、急性多発性神経根炎の症例は対照犬に比べてカンピロバクター属に陽性である可能性が9.4倍高かった(p<0.0001)。 さらに急性多発性神経根炎の罹患犬と生の鶏肉の摂取(急性多発性神経根炎の犬の96%;対照犬の26%)の間には有意な関係が検出された。最も多いカンピロバクター属はカンピロバクターウプサリエンシス(Campylobacter upsaliensis)であった。

結論と臨床的重要性
:犬において生の鳥肉の摂取は急性多発性神経根炎の危険因子であり、潜在的にカンピロバクター属の感染によって介在される。


==訳者コメント===
カンピロバクター感染が急性多発性神経根炎の誘因になっている可能性が指摘されていてとても興味深い報告ですが、対照犬でも生の鳥肉を摂取している割合が高いことに驚きです。
少なくとも自分の診療している患者さんで、生の鳥肉を食べている犬はとても少ないと思うので、背景となる母集団の特徴がずいぶん違うなと感じました。