Gower, Sara B., Chick W. Weisse, and Dorothy C. Brown.
"Major abdominal evisceration injuries in dogs and cats: 12 cases (1998–2008)."
 
Journal of the American Veterinary Medical Association 234.12 (2009): 1566-1572.

PubMedリンク PMID:19527132
本文:googlescholar経由で入手可能(全文) 

タイトル:犬と猫の深刻な腹部内臓脱出損傷:12症例(1998-2008)

==アブストラクト===
目的: 深刻な腹部内臓脱出を外科的に治療した犬と猫の、臨床的特徴、治療、合併症、転帰を記述すること。

デザイン:回顧的症例シリーズ。

動物:犬8頭、猫4頭。

方法:1998年1月から2008年3月までの医療記録を再調査し、深刻な腹部内臓脱出に対する外科治療を実施した動物を同定した。内臓脱出の原因、シグナルメント、生物学的変数、血液学的変数に関する情報を収集した。治療の詳細、入院期間、および転帰を記録した。線形回帰分析を行い、入院日数に対するシグナルメント、生物学的変数、および血液学的変数の関係性を評価した。

結果:深刻な腹部内臓脱出は、4頭で外傷による二次的なものであり、8頭で術後の裂開による二次的なものであった。すべての動物で腸の脱出があり、土、葉、ごみなどによる大量の汚染があった。2頭は脾臓が脱出しており、1頭は結腸の穿孔があり糞便が腹腔内に漏出していた。すべての動物で試験開腹が行われた。実施された手術手技には、損傷した腸管の切除、体壁の修復、横隔膜ヘルニアの修復、腎摘出、脾臓摘出、および結腸の修復が含まれた。すべての動物は生存して退院した。入院の中央期間は4日(範囲1-7日)であった。入院期間を増加させる因子として、外傷に続発した内臓脱出、来院時の乳酸の高値、、および小さ体格が含まれた。

結論と臨床的関連
;犬と猫では深刻な内臓脱出の見た目が劇的であっても、迅速かつ積極的な内科的および外科的介入が良好な転帰をもたらすことができる。 


==訳者コメント===
この研究の母集団はあくまで、”手術を行った”内臓脱出の患者です。うらを返せば、手術を行わなかった・行えなかった患者(手術前に死亡したり、予後不良と判断されたり)は含まれていないということです。この研究での生存率はそういった選ばれた患者のそれであることは意識しておく必要がありそうです。