Heikkilä, Helka M., et al.
"The effect of intra-articular botulinum toxin A on substance P, prostaglandin E 2, and tumor necrosis factor alpha in the canine osteoarthritic joint."
 
BMC veterinary research 13.1 (2017): 74.

PubMedリンク PMID:28327134
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タイトル:ボツリヌストキシンAの関節内注射が、犬の骨関節炎の関節のサブスタンスP、プロスタグランジンE2、腫瘍壊死因子α へ与える影響。

==アブストラクト===
背景:近年、ボツリヌストキシンAの関節内注射が、骨関節炎のある犬の関節の痛みを軽減することが示された。同様の結果が関節炎のヒトの患者でも報告されている。しかしながら、関節内ボツリヌストキシンAの抗侵害受容作用のメカニズムは現在わかっていない。 この研究の目的は、関節炎のある犬における、滑液と血清のサブスタンスP、プロスタグランジンE2(PGE2)、および腫瘍壊死因子α(TNF-α)に対する関節内ボツリヌストキシンAの効果を調べることで、そのメカニズムを改名することである。さらに、滑液のサブスタンスPとPGE2を関節炎のある関節と、関節炎のない関節とで比較し、サブスタンスP、PGE2、関節炎の痛み、および犬のシグナルメントの間の関係を調べることも目的とした。自然発生性の慢性の骨関節炎のある犬35頭と、関節炎のない対照犬13頭を、研究に組み入れた。関節炎の犬は関節内ボツリヌストキシンA(n=19)もしくはプラセボ(n=16)のいずれかをうけた。治療前(ベースライン)、治療後2週間、8週間で、血清および滑液のサンプルが採取され、関節炎の痛みが評価された。骨関節炎の痛みは、力台、ヘルシンキ慢性疼痛指数、および関節の触診によって評価された。滑液サンプルは安楽死された対照犬から採取された。サブスタンスPとPGE2濃度のベースラインからの変化を、関節内ボツリヌストキシンA群と対照群とで比較した。滑液のサブスタンスPとPGE2濃度を、関節炎のある関節とない関節(対照関節)とで比較した。サブスタンスP、PGE2、関節炎の痛み、および犬のシグナルメントの間の関係を評価した。

結果:関節内ボツリヌストキシンAの後のサブスタンスPもしくはPGE2は、ベースラインから有意に変化していなかった。滑液のPGE2は、対照関節と比較して、関節炎のある関節で有意に高かった。滑液のPGE2は関節炎の痛みと相関した。サブスタンスP、PGE2、および犬のシグナルメントの間に関連はみられなかった。すべてのサンプルで、TNF-αの濃度はアッセイの検出限界以下であった。

結論
:このけっかは、関節における関節内ボツリヌストキシンAの抗侵害受容効果はサブスタンスPまたはPGE2の阻害とは関係していない可能性があることを示している。滑液のサブスタンス`ではなく、PGE2は、犬の慢性の骨関節炎と痛みの指標となり得る。