Selmic, Laura E., et al.
"Osteosarcoma following tibial plateau leveling osteotomy in dogs: 29 cases (1997–2011)." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 244.9 (2014): 1053-1059.

PubMedリンク PMID:24739115
本文:googlescholarからresearchgateで入手可能(全文) 

タイトル:犬の脛骨高平部水平化骨切り術の後の骨肉腫:29症例(1997-2011年)

==アブストラクト===
目的
: 脛骨高平部水平化骨切り術(TPLO)を行ったのちに脛骨の近位面に骨肉腫が発生した犬における、シグナルメント、TPLOのプレートのタイプ、臨床ステージの情報、治療、および腫瘍学的な転帰について調べ、TPLOと骨肉腫の診断との間の期間算出すること。

デザイン
:多施設回顧的症例シリーズ

動物
:29頭の犬

方法
:参加した8つの施設からの医療記録を、過去にTPLOを実施した部位に発生した骨肉腫(細胞学的もしくは組織学的に評価して確定)の犬について検索した。シグナルメント、TPLOの詳細、ステージング検査、治療データ、および転帰の情報を記録した。記述的統計量を計算し、無病期間と生存期間をカプランメイヤー分析によって評価した。

結果
:29頭の犬は組み入れ基準を満たした。骨肉腫診断時の年齢の平均は9.2歳で、体重の平均は45.1kgであった。多くの犬で脛骨の近位面の腫脹(17/21)と、患肢の跛行(28/29)がみられた。TPLOから骨肉腫の診断までの平均期間は5.3年であった。ひとつのタイプの鋳造ステンレススチールTPLOプレートが最も多くの犬(18)で使用されており、残りの犬は鍛造ステンレススチール(n=4)もしくはタイプが記録されていなかった(7)。29頭中23頭で骨肉腫に対する治療を行った。患肢の断脚を行い1回以上の化学療法をうけた犬10頭の中央生存期間は313日であった。

結論と臨床的関連:この結果は、TPLOを行いその後の手術を行った肢の跛行と腫脹の病歴の犬では骨肉腫を鑑別診断に含めるべきであるということを支持している。断脚と化学療法のあとの腫瘍学的な転帰は、過去に報告されている四肢の骨肉腫の犬と類似している。


==訳者コメント===
この結果から、「TPLOを行うと骨肉腫が起こりやすくなる」ということは言えません。そもそも脛骨近位は骨肉腫の後発部位でもあるため、TPLOとの関連を評価するためにはコホート研究(TPLOを行った犬と行っていない犬の集団で、骨肉腫の発生に差があるかどうかを調べる)が必要と思います。

とはいえ、外科的な手術歴があると跛行があってもそのせいにされてしまうかもしれませんが、そういった状況で骨肉腫もちゃんと鑑別診断には含めるべきというは大切だと思います。