Heilmann, Romy M., et al.
"Association of fecal calprotectin concentrations with disease severity, response to treatment, and other biomarkers in dogs with chronic inflammatory enteropathies."
 
Journal of veterinary internal medicine (2018).

PubMedリンク PMID:29460444
本文:無料公開あり(全文) 

タイトル
:慢性炎症性腸疾患の犬における糞便カルプロテクチン濃度と、疾患の重症度、治療への反応、および他のバイオマーカーとの関連

==アブストラクト===
背景
:カルプロテクチンは炎症マーカーであるが、慢性炎症性腸疾患(CIE)のある犬における臨床的な有用性はわかっていない。

目的
: 生検で確定した慢性炎症性腸疾患の犬における糞便カルプロテクチンの評価

動物:127頭の犬

方法: 前向き症例対照研究。犬に犬慢性腸疾患臨床活動指標(CCECAI)スコアを割り当て、組織病変の重症度を評価した。糞便カルプロテクチン、糞便S100A12、および血清CRPを測定した。食事反応性もしくは抗菌薬反応性の症例(FRE/AREn=13)は、ステロイド/免疫抑制剤反応性もしくは難治性の症例(SRE/IRE n=20)の症例と区別した。SRE/IREの犬の臨床的な治療への反応は、完全寛解(CR)、部分寛解(PR)、無反応(NR)に分けられた。

結果:糞便カルプロテクチンは、CCECAI(p=0.27, P=0.0065)、糞便S100A12(p=0.90, P<0.0001)、およびいくつかの炎症基準と累積炎症スコアに相関したが、血清CRP(p=0.16, P=0.12)とは相関しなかった。糞便カルプロテクチン濃度は、FRE/AREの犬(中央値 1.4μg/g)よりもSRE/IREの犬(中央値 2.0μg/g)の方が高く、SRE/IRE群の中ではCRの犬(中央値 1.6μg/g)よりもPR/NRの犬(中央値 37.0μg/g)の方が糞便カルプロテクチンが高かった。しかし、どちらの差も統計学的有意には達しなかった(いずれもP=0.10)。糞便カルプロテクチンの値を≧15.2μg/gで二つのグループを分けると、感度80%(95%信頼区間 28-100%)、特異度75%(95%信頼区間 43-95%)であった。

結論と臨床的重要性
:糞便カルプロテクチンは慢性炎症性腸疾患の犬における疾患重症度の有用な代理マーカーとなり得るが、治療への反応予測においての有用性を評価するためには大規模な縦断研究が必要である。