Shih, Julia L., et al.
"Chronic hepatitis in Labrador Retrievers: clinical presentation and prognostic factors." 
Journal of veterinary internal medicine 21.1 (2007): 33-39.

PubMedリンク PMID:17338147
本文:無料公開あり(全文) 

タイトル:ラブラドールレトリバーの慢性肝炎;臨床像と予後因子

==アブストラクト===
背景:ラブラドールレトリバーにおける慢性肝炎の発生率の増加が報告されている。

仮説:ラブラドールレトリバーでは品種関連の肝障害が発生している。

動物:24頭の家庭飼育のラブラドールレトリバー

方法:病理組織学的に慢性肝炎と確定された犬の医療記録を回顧的に再調査した。 臨床徴候と生化学検査に基づいた臨床スコアを、各犬で生成した。肝生検の標本は疾患活動性、線維化、および銅蓄積についてスコア付けされた。

結果:中央年齢は9.3歳(範囲 3.9-14.0歳)であった。臨床徴候には、食欲低下、嘔吐、活動性低下、体重減少が含まれた。全ての犬は、一つ以上の肝胆道系酵素の血清活性の上昇を示していた。高ビリルビン血症と低アルブミン血症は、それぞれ45%、21%の犬でみられた。臨床スコアの中央値は2.9(範囲 0-8)であった。病理組織学的な活動性と線維化のスコアの中央値は、それぞれ3.5(範囲 1-6)、3.0(範囲 0-4)であった。ローダニン陽性銅染色は、17の生検検体のうち15でみられ、スコアの中央値は2.0(範囲 0-3)であった。中央生存期間は374日(範囲 1-2645日)であった。プロトロンビン時間の延長(p=0.013)と血小板減少症(p=0.041)は、2ヶ月未満の生存と関連していた。食欲低下の存在(p=0.049)、低グロブリン血症(p=0.045)、もしくは部分トロンボプラスチン時間の延長(p=0.033)は、全体の生存期間の短縮と関連していた。臨床スコアは、生存期間(p=0.030)と病理組織学的ステージ(p=0.049)と相関していた。

結論と臨床的重要性
: この研究におけるラブラドールレトリバーの進行性の肝障害は、慢性炎症、線維化、および銅の蓄積によって特徴付けられた。生存期間と相関する臨床スコアリングシステムは、予後予測のための非侵襲的方法として有用である可能性がある。