Bleakley, Seth, et al.
"Median sternotomy versus intercostal thoracotomy for lung lobectomy: A comparison of short‐term outcome in 134 dogs."
 
Veterinary Surgery 47.1 (2018): 104-113.

PubMedリンク PMID:29125632
本文:googlescholar経由で入手可能(全文) 

タイトル:肺葉切除のための胸骨正中切開 vs 肋間開胸術;134頭の犬における短期予後の比較

==アブストラクト===
目的:胸骨正中切開もしくは肋間開胸により肺葉切除を行った犬の間での短期的な転帰を比較すること。

研究デザイン:回顧的症例対照研究

方法:単一の施設で胸骨正中切開もしくは肋間開胸により胚葉切除を行った犬の医療記録を再調査し、人口統計、術中所見、および術後の治療と転帰について調べた。胸水貯留、肺炎、異物の移動、肺膿瘍、自然気胸、または胚葉捻転のある犬は除外した。短期の予後因子を、入院から死亡、安楽死もしくは退院までの時間と比較した。 

結果:134頭の犬が組み入れ基準に合致した。41頭(31%)が胸骨正中切開を行い、93頭(69%)が肋間開胸を行った。胸腔チューブからの液体産出(p=0.0061)、肺胞動脈圧勾配(p=0.0001)、介入が必要な合併症(p=0.0245)は、肋間開胸のグループに比べて胸骨正中切開のグループでより一般的であった。疼痛管理とその他の短期の予後因子は、手技による違いはなかった。胸骨正中切開のグループのうつの5頭と、肋間切開のグループの4頭で、術後期間に安楽死が行われた(p=0.0925)。

結論
:いずれのアプローチも可能な外科手術では、術後の鎮痛、酸素化、および合併症に点で、胸骨正中切開よりも肋間開胸のほうが望ましいかもしれない。しかし、そのほかの短期的な予後の測定に違いはないため、胸骨正中切開も肋間開胸も犬によってはよく許容されると述べることができる。
 

==訳者コメント===
研究デザインが症例対照研究となっていますが、胸骨正中切開群と肋間開胸群にわけてその予後をみているので、この研究デザインは回顧的なコホート研究だと思います。