Zini, E., et al.
"Longitudinal evaluation of serum pancreatic enzymes and ultrasonographic findings in diabetic cats without clinically relevant pancreatitis at diagnosis."
 
Journal of veterinary internal medicine 29.2 (2015): 589-596.

PubMedリンク PMID:25818213
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タイトル:診断時に臨床上関連する膵炎のない糖尿病の猫における血清膵酵素と超音波所見の縦断的評価

==アブストラクト===
背景:糖尿病の猫は潜在性の膵炎を持ち得るが、このことを確かめるための前向き研究は欠如している。膵炎のある糖尿病の猫のの代謝のコントロールは難しい。

仮説:糖尿病の猫における潜在性の膵炎は、糖尿病の診断時もしくは追跡期間中に発症し、膵炎の寛解を妨げている可能性がある。

動物
: 新たに糖尿病と診断され、来院時には膵炎の臨床徴候のない猫30頭。

方法
:前向き研究。来院時、2ヶ月後、6ヶ月後に、血清の特異的fPL(Spec fPL)とDGGR-リパーゼを測定し、膵臓の超音波検査を行った。血清マーカーが上昇した場合、もしくは2つ以上の超音波検査の以上が検出された場合に、膵炎を疑った。猫はインスリングラルギンにより治療され、糖尿病の寛解は、インスリン中止後4週間以上の正常血糖として定義した。ノンパラメトリック統計検定を分析に用いた。

結果
:診断時の潜在的な膵炎は、Spec fPL、DGGR-リパーゼ、超音波検査にてそれぞれ33%、50%、31%で疑われ、診断基準を合わせると60%であった。追跡期間中、膵炎の疑いはさらに17-30%の猫で発症した。1頭のみが膵炎と合致する一過性の臨床徴候を示した。30頭中17頭(57%)で寛解が達成された。Spec fPL、DGGR-リパーゼ、超音波検査の異常の頻度は、寛解を達成した猫と、達成しなかった猫とで差がなかった。寛解を達成した猫のでは2ヶ月でのSpec fPLが有意に低かった(p<0.001)。

結論と臨床的重要性
:臨床検査および超音波検査の測定によれば、糖尿病の猫の多くは臨床徴候はないものの、膵炎を有してる可能性がある。高値のSpecfPLを有する猫では、糖尿病の寛解の機会が減ずる可能性はある。しかし、この議題については、大規模な糖尿病の猫のコホートについてのさらなる研究を必要とする。