ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

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カテゴリ: 肝胆膵

Putterman, Allison B., et al.
"Influence of normograde versus retrograde catheterization of bile ducts in dogs treated for gallbladder mucocele."
 
Veterinary Surgery (2021).


PubMedリンク PMID:33797102
本文:無料公開なし

タイトル:胆嚢粘液嚢腫の治療をうけた犬における順行性または逆行性のカテーテル挿入の影響

==アブストラクト===
目的:胆嚢粘液嚢腫を開腹下の胆嚢摘出で治療された犬における胆嚢管と総胆管への順行性または逆行性のカテーテル挿入の影響を調べること。

研究デザイン:回顧的研究。

動物:胆嚢粘液嚢腫の犬117頭。

方法:医療記録をレビューし、シグナルメント、病歴、臨床検査所見、画像診断所見、カテーテル法、合併症、転帰を含む手術所見について調べた。長期のフォローアップデータを電話もしくは電子メールで取得した。カテーテル法と臨床項目と転帰の関連を評価した。

結果
:逆行性のカテーテル挿入を行った犬は、持続的な消化器徴候(p=0.0003)を含むいずれの術後合併症(P-0.0004)がより多かった。生存退院と長期生存は、グループ間で差はなかった(p=0.23、0.49)。総ビリルビン値は逆行性カテーテル後の39.1%と順行性カテーテル後の70.3%で減少し(P=0.03)、逆行性カテーテル後の38.0%と順行性カテーテル後の14.9%で増加した(p=0.004)。手術時の外科専門医の存在は、いずれの周術期および術後の合併症を減少させた(p=0.003、0.05)。

結論:逆行性カテーテル法は順行性カテーテル法よりもより多くの術後合併症と関連したが、生存期間は同等だった。合併症を減らすためには胆道系手術の経験のある専門医が行うべきである。

臨床的意義
:胆嚢管と総胆管への順行性および逆行性のカテーテル法は、胆嚢粘液嚢腫の治療における死亡率の低い選択肢であるが、この研究の結果は逆行性よりも順行性を推奨するいくつかの根拠を示した。

Lisciandro, Gregory R., Jennifer M. Gambino, and Stephanie C. Lisciandro.
"Thirteen dogs and a cat with ultrasonographically detected gallbladder wall edema associated with cardiac disease." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).


PubMedリンク PMID:33826214
本文:無料公開あり(全文

タイトル:心疾患に関連した超音波検査で検出された胆嚢壁の浮腫のある犬13と猫1頭

==アブストラクト===
背景:超音波検査で検出された胆嚢壁の浮腫は犬のアナフィラキシーのマーカーである。心疾患は同様な徴候で胆嚢壁の浮腫の原因となる可能性があり、解釈エラーを防ぐために鑑別診断に含めるべきである。

仮説/目的:心疾患に関連した胆嚢壁浮腫を記述すること。

動物:家庭飼育動物14頭。

方法:トリアージの時点で、AFASTとTFASTによるトリアージと追跡をおこなっった前向き症例シリーズ。胆嚢壁浮腫と心疾患のある動物が組み入れられた。放射線専門医が画像をレビューし、心疾患、胆嚢壁浮腫を診断し、尾側後大静脈と肝静脈の特徴を調べた。

結果:犬13頭と猫1頭で心疾患に関連した胆嚢壁浮腫があった。胆嚢の所見には、3-5mmの壁の肥厚、軽度から中程度の胆泥(n=3)、軽度から中程度の内宮の拡張(n=6)がみられた。尾側後大静脈と肝静脈は5/6頭で拡張していた。犬の心臓の診断には、心膜液(11)、拡張型心筋症(1)、右側心筋不全(1)が含まれた。心膜液の重症度の割合は、軽度(1)、中程度(6)、重度(4)であった。11頭中7頭で心膜穿刺を行った。13頭9頭で腹水があり、4頭の腹水スコアは1(2)、2(2)、3(1)、4(0)であった。肺超音波所見は以下の通りであった;ドライな肺(6)、Bライン(4)、結節(1)。猫では中程度の心膜液がみられ、腹水スコアは1、心室中隔欠損に関連した重度の右側心室拡大がみられた。来院主訴には、虚弱(9)、急性の虚脱(5)、消化器徴候(3)、呼吸困難(2)、心肺蘇生の必要(1)があった。

結論と臨床的重症性
:この小さな症例集団においては、超音波検査で検出された胆嚢壁浮腫は、心膜液と関連していた。

Piegols, Hunter J., et al.
"Association between biliary tree manipulation and outcome in dogs undergoing cholecystectomy for gallbladder mucocele: A multi‐institutional retrospective study."
Veterinary Surgery (2020).


PubMedリンク PMID:
33226153
本文:無料公開なし

タイトル:胆嚢粘液嚢腫のために胆嚢摘出をおこなった犬における胆道系の操作と転帰との関連;多施設回顧的研究

==アブストラクト===
目的:総胆管へのカテーテル挿入が胆嚢粘液嚢腫で胆嚢摘出を行った犬における転帰と関連しているかどうかを調べ、この関連がカテーテル挿入の方法によって変わるかどうかを調べること。

研究デザイン:多施設回顧的コホート研究。

動物:胆嚢粘液嚢腫で胆嚢摘出術をうけた犬252頭。

方法:獣医教育病院の電子医療記録を調べて犬を特定した。ベースラインの犬の特性、手術所見、順行性vs逆行性の総胆管カテーテル挿入、術中の結果、および術後の結果、合併症について記録した。カテーテル挿入を行った犬と行わなかった犬とで、各項目を比較した。

結果:カテーテル挿入を行った犬じゃASAスコアが高く(p=0.04)、総ビリルビン値が高く(p=0.01)、手術時点で総胆管が拡張していることが多かった(p<0.01)。術中の重篤/軽度な合併症の発生は、2つのグループ間で類似していた。手術時間は、カテーテル挿入群の方が長かった(p=0.01)。全体の術後合併症の発生は、グループ間で類似していたが、術後膵炎は総胆管カテーテル法の実施と関連していた(p=0.01)。この関連は、ベースラインでのグループ間の差についての多変量モデルにおいても独立した関連があった(p=0.04)。術後膵炎の起こしやすさは、順行性カテーテルと逆行性カテーテル群で差はなかった(p=57)。

結論:総胆管のカテーテル挿入は術後膵炎の発症と関連していた。これはカテーテルの挿入方法には影響されなかった。

臨床的意義
:犬の開腹下胆嚢摘出時の総胆管のカテーテル挿入の必要性は、その手技が術後の膵炎を誘発する可能性があるため、特に胆管閉塞の所見のない犬では注意して検討すべきである。

von Stade, L. E., et al.
"Prevalence of portal vein thrombosis detected by computed tomography angiography in dogs." 
Journal of Small Animal Practice (2021).


PubMedリンク PMID:33687080
本文:無料公開なし

タイトル:犬のCT血管造影で検出された門脈血栓症の有病率

==アブストラクト===
目的:腹部CT血管造影を行った犬での全体の門脈血栓症の有病率と、異なる疾患カテゴリをもとにした門脈血栓症の有病率を調べること。門脈血栓症の有無による犬の転帰の差を調べること。門脈血栓症の同定のための超音波検査とCT検査を比較すること。

方法:腹部CT血管造影を行った家庭飼育動物223頭について、門脈血栓症の所見のレビューを行った。医療記録をもとに、犬は以下のカテゴリに分類した;(1)肝疾患、(2)非肝臓性の腫瘍、(3)膵炎、(4)感染性疾患、(5)免疫介在性疾患、(6)その他、(7)複合疾患。異なるカテゴリで、門脈血栓症の有病率を比較した。門脈血栓症がある犬とない犬とで転帰についてを比較した。超音波検査レポートをレビューし、超音波検査での血栓の検出についてを調べた。

結果:28頭(13%)の犬で門脈血栓症がみつかった。疾患カテゴリ間では、膵炎カテゴリで門脈血栓症の割合が最も高かった(8/19;42%)。転帰は、門脈血栓症がある犬とない犬とで類似していた。門脈血栓症がある犬で超音波検査を行った21頭中、血栓は4/21頭(19%)で超音波で検出された。

臨床的意義
:この研究では、門脈血栓症の有病率は、肝疾患、非肝臓性腫瘍、および他の腹腔内疾患または全身性疾患と比べて、膵炎のある犬で高かった。膵炎のある犬では門脈系を注意深く評価すべきだろう。超音波検査と比較して、CT血管造影は犬の門脈血栓症を検出するために選択する画像検査である。

Viljoen, A. D., et al.
"Clinical characteristics and histology of cholecystectomised dogs with nongravity‐dependent biliary sludge: 16 cases (2014‐2019)." 
Journal of Small Animal Practice (2021).


PubMedリンク PMID:33629392
本文:無料公開なし

タイトル:重力非依存性の胆泥のあり胆嚢摘出を行った犬の臨床的特徴と組織学;16症例(2014-2019)

==アブストラクト===
目的
:古典的な明らかな胆道徴候がなく、重力非依存性の胆泥のために胆嚢摘出をうけた犬における利用可能な組織学、生化学、および臨床的な経過についてを報告すること。

方法
:重力非依存性の胆泥にために胆嚢摘出を行った家庭飼育犬の症例シリーズ。重力非依存性の胆泥が胆嚢容積の半分未満を満たす犬6頭で、胆嚢の駆出率が測定された。組織学、生化学、臨床徴候、術後の臨床経過が示された。

結果
:この回顧的症例シリーズには16頭の犬が組み入れられた。胆嚢粘液嚢腫の組織学的基準を満たす犬はおらず、原発性の肝炎または胆管炎の組織学的所見を示す犬もいなかった。生化学では11頭が正常だった。高コレステロール血症を示す犬はいなかった。12頭で胆嚢炎(リンパ球形質細胞性 11、好中球性 1)があり、9頭で胆嚢粘膜の過形成がみられた。13頭の犬は腸炎(リンパ球形質細胞性 12、好中球性 1)を患っており、9頭の犬で反応性肝炎(リンパ球形質細胞性 8、好中球性 1)を患っていた。重力非依存性の胆泥が胆嚢容積の半分以下であった犬ではすべて、準最適な胆嚢機能を有していた。朝の食欲低下と運動不耐を含む臨床徴候は、胆嚢摘出術後に86%(12/14)で解消し、臨床的な改善は全体の犬の81%(13/16)でみられた。

床的意義:十二指腸の炎症は、重力非依存性の胆泥のある犬の胆嚢の運動障害に影響を与える可能性がある。さらに、日ごとに朝の食欲低下と運動不耐は、重力非依存性胆泥の犬における症候性胆嚢疾患を示している可能性があり、胆嚢粘液嚢腫に関連した明らかな全身性の臨床徴候よりも先行している可能性がある。

Friesen, S. L., et al.
"Clinical findings for dogs undergoing elective and nonelective cholecystectomies for gall bladder mucoceles." 
Journal of Small Animal Practice (2021).

PubMedリンク PMID:33587301
本文:無料公開なし

タイトル:胆嚢粘液嚢腫に対して待機的胆嚢摘出術と緊急的胆嚢摘出術を行った犬の臨床所見

==アブストラクト===
目的:この研究の目的は、胆嚢粘液嚢腫の犬における待機手術または緊急手術として行った胆嚢摘出術の合併症と死亡率について記述することである。二番目の目的は、異なる総胆管カテーテル法の合併症と死亡率についてを報告することである。

方法:多施設回顧的症例シリーズを行い、2004年から2018年の間に胆嚢摘出術を行った犬を特定した。犬は、胆嚢破裂、胆管拡張、臨床徴候、または高ビリルビン血症、の有無に基づいて待機手術と緊急手術に分類された。それぞれの胆嚢摘出は以下の3つのグループに分類された;十二指腸切開と逆行性カテーテル法、順行性カテーテル法、カテーテルなし。合併症は重症度の増加に基づいて4つのグレードに分けられ、それぞれの死亡率を評価した。

結果:死亡率は、待機手術として胆嚢摘出術を行った犬31頭中2頭(6%)であり、緊急手術として胆嚢摘出術を行った犬90頭中21頭(23%)であった。合併症の割合は、待機的胆嚢摘出術で52%、緊急的胆嚢摘出術で50%であった。待機的手術における合併症の多くはグレード1(軽度)であった。術後の高ビリルビン血症は、十二指腸切開/逆行性総胆管カテーテルを行った犬の35%、順行性総胆管カテーテルを行った犬の4%、総胆管カテーテルを行わなかった犬の7%でみられた。

臨床的意義
:本研究において胆嚢粘液嚢腫がある犬の待機的胆嚢摘出術では、死亡率は低く、軽度の合併症が比較的高い頻度で起こった。

DeMarle, Karah Burns, et al.
"Approach to the Diagnosis of Hepatocutaneous Syndrome in Dogs: A Retrospective Study and Literature Review." 
Journal of the American Animal Hospital Association 57.1 (2021): 15-25.


PubMedリンク PMID:33260213
本文:無料公開なし

タイトル:犬の肝皮症候群の診断アプローチ;回顧的研究と文献レビュー

==アブストラクト===
表在性壊死性皮膚炎はまれであり、膵臓神経内分泌腫瘍および肝皮症候群と関連した犬のまれでしばしば致死的な疾患である。表在性壊死性皮膚炎のこれら2つの原因を鑑別するために診断にはさまざまな組み合わせが用いられてきたが、肝皮症候群を診断するために最もタイムリーで非侵襲的な方法を可能にする組み合わせに関するデータはない。

2004-2018年の医療記録を回顧的にレビューし、
表在性壊死性皮膚炎/肝皮症候群の犬(n=24)と表在性壊死性皮膚炎/神経内分泌腫瘍の犬(n=1)を調べた。これらのデータを文献上の表在性壊死性皮膚炎/肝皮症候群の犬(n=105)と表在性壊死性皮膚炎/膵臓神経内分泌腫瘍の犬(n=13)と比べた。表在性壊死性皮膚炎と最も一致した所見は、肉球または粘膜皮膚移行部の皮膚病変(143/143;100%)と顕著な血漿低アミノ酸血症(58/58;100%)であった。超音波検査では、蜂の巣状の肝臓が、表在性壊死性皮膚炎/肝皮症候群の犬の62/63頭(98%)でみられたが、表在性壊死性皮膚炎/膵臓神経内分泌腫瘍の犬ではみられなかった。回顧的研究における表在性壊死性皮膚炎の犬23頭中6頭で、糖尿病に関連する所見であるケラチノサイトアポトーシスがみられた。

この研究により、特徴的な皮膚病変をもつ犬において、アミノ酸プロファイルが表在性壊死性皮膚炎の非侵襲的診断を可能にすることを示唆された。腹部超音波検査は、
表在性壊死性皮膚炎/肝皮症候群と表在性壊死性皮膚炎/神経内分泌腫瘍の鑑別において役に立つ可能性がある。

Wilson, Kassandra, et al.
"Dogs with biliary rupture based on ultrasound findings may have normal total serum bilirubin values." 
Veterinary Radiology & Ultrasound (2020).


PubMedリンク PMID:
33340195
本文:無料公開なし

タイトル:超音波検査所見をもとにした胆道破裂の犬では血清総ビリルビン値が正常である可能性がある

==アブストラクト===
犬で高ビリルビン血症がないことは、胆道破裂の疑いが少なくなることにつながる可能性がある。この疑いと治療の遅れは、死亡率の増加を招く可能性がある。この回顧的な観察研究の目的は、超音波検査で診断された胆道破裂疑いの犬の集団における超音波所見と血清ビリルビン所見について記述することである。

2007年から2019年にかけて単一施設の記録を検索し、胆道破裂の疑いと記載されている超音波検査報告の症例を探した。それぞれの症例の臨床所見を記録した。胆道破裂が確定した犬の40%(12/30頭)で、血清ビリルビン値は正常な基準範囲内であった。胆道の破裂ありと破裂なしとで、血清ビリルビン値に統計的な差はみられなかった。白血球増加症と好中球増加症は、
胆道の破裂ありと破裂なしとで統計的に有意であった。ヒトの文献で見られる“白い胆汁”に類似した粘液性物質が、胆道破裂のある犬6頭で腹水中からみつかっており、そのうち3頭では色素を欠いていた。

この研究結果から、胆道破裂のある犬でも正常ビリルビン血症である可能性があり、それゆえにこれを鑑別診断から除外する理由として用いるべきではないことが示された。

Jaffey, Jared A., et al.
"Effect of clinical signs, endocrinopathies, timing of surgery, hyperlipidemia, and hyperbilirubinemia on outcome in dogs with gallbladder mucocele."
 
The Veterinary Journal 251 (2019): 105350.


PubMedリンク PMID:31492387
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル
:胆嚢粘液嚢腫がある犬の転帰に対して臨床徴候、手術のタイミング、高脂血症、高ビリルビン血症が与える影響

==アブストラクト===
胆嚢粘液嚢腫は犬の一般的な肝外胆道症候群であり、死亡率は7-45%である。この研究の目的は、臨床決断を改善するために利用できる可能性のある生存と関連する項目を特定することである。

この回顧的研究には41の紹介病院で肉眼的におよび組織学的に胆嚢粘液嚢腫と診断された犬1194頭が組み入れられた。腹部臨床徴候を示す胆嚢粘液嚢腫の犬は、無症候性の犬よりも、単変量解析で死亡のオッズが高かった(オッズ比 4.2;95%信頼区間 2.14-8.23 ;p<0.001)。多変量解析では、飼い主の黄疸の認識
(オッズ比 2.12;95%信頼区間 1.19-3.77 ;p=0.026)、副腎皮質機能亢進症の併発(オッズ比 1.94;95%信頼区間 1.08-3.47 ;p<0.026)、ポメラニアン(オッズ比 2.46;95%信頼区間 1.10-5.50 ;p=0.029)が死亡のオッズの増加と関連し、嘔吐(オッズ比 0.48;95%信頼区間 0.30-0.72 ;p=0.001)は死亡のオッズの減少と関連した。多変量モデルにおける連続変数では、血清/血漿ビリルビン濃度(オッズ比 1.03;95%信頼区間 1.01-1.04 ;p<0.001)と年齢(オッズ比 1.17;95%信頼区間 1.08-1.26 ;p<0.001)が死亡のオッズの増加と関連した。血清/血漿ビリルビン濃度は感度0.61(95%信頼区間 0.54-0.69)、特異度0.63(95%信頼区間 0.59-0.66)で、死亡を予測するためのバイオマーカとして良いものではなかった

この研究により、血清/血漿ビリルビン濃度、年齢、臨床徴候、副腎皮質機能亢進症の併存、およびポメラニアンであることを含めた胆嚢粘液嚢腫の犬のいくつかの予後因子が同定された。この研究では甲状腺機能低下症または糖尿病の存在は予後に影響をあたえなかった。

Leyva, Fernando J., et al.
"Histopathologic characteristics of biopsies from dogs undergoing surgery with concurrent gross splenic and hepatic masses: 125 cases (2012–2016)." 
BMC research notes 11.1 (2018): 122.


PubMedリンク PMID:29433531
本文:無料公開あり(全文

タイトル:脾臓と肝臓の肉眼的な腫瘤の併発を手術したい犬の病理組織学的な特徴;125症例(2012-2016)

==アブストラクト===
目的:脾臓摘出と肝臓腫瘤の生検/切除を行った犬における脾臓と肝臓の腫瘤の併発についての病理組織学的な特徴を調べること。脾臓の腫瘤と肝臓の腫瘤がみつかった家庭飼育犬125頭について調べた。シグナルメント(年齢、性別、品種)、体重、病理組織学的検査の結果を全ての犬で記録した。

結果
:この研究の27%(34/125頭)の犬で、肝臓と脾臓のどちらにも悪性所見がなかった。60/125頭(48.0%)の犬では脾臓と肝臓が悪性腫瘍であり、そのうち56頭(93.3%)では脾臓と肝臓は同じ悪性腫瘍であった。シグナルメントは、脾臓の病理に関する他の報告と同様であった。この臨床集団では、肝臓と脾臓に肉眼的な腫瘤が術中にみつかった犬の27%では、どちらの部位でも良性であり予後が良好であった。

Reece, Jonjo, et al.
"Hemorrhage and complications associated with percutaneous ultrasound guided liver biopsy in dogs."
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).


PubMedリンク PMID:33125175
本文:無料公開あり(全文

タイトル:犬の経皮的超音波ガイド下肝生検に関連した出血と合併症

==アブストラクト===
背景:肝生検はしばしば肝胆道系疾患のある犬で診断を得るために必要となる。生検後の出血について懸念される。

目的:犬の経皮的超音波ガイド下肝生検後の出血の程度と合併症の発生率について記述し、出血と合併症のリスク因子について調べること。

方法:医療記録を回顧的にレビューした。ヒトのガイドラインをもとに、主要な出血を絶対値として6%以上のPCVの減少と定義した。合併症は介入を必要とする臨床的に関連のある生理学的な障害、または死亡と個別に定義した。PCVの絶対的減少、および合併症の発生の間の関連性と、当初のPCV、凝固項目、肝臓由来酵素の血清活性、血清ビリルビン濃度、生検の数、生検針のサイズ、放射線科医の経験、組織学的診断、および超音波検査変数についてを比較した。

結果:経皮的超音波ガイド下肝生検の前の血液凝固項目の異常は、ほとんどが軽度であった。成犬後のPCVの低下は87/102頭(85.3%)でみられた。PCVの絶対値の低下の平均は、-7.2%±4.5%であった。主要な出血は43/102頭(42.4%)でみられ、合併症は2/102頭(1.9%)でみられた。PCVの絶対値の低下は、成犬前のPCVと正の相関がみられた(r=0.47、p=0.004)。PCVの絶対値の低下または合併症は、いずれの検査変数とも相関がなかった。

結論と臨床的意義:正常から軽度の凝固異常のあるこの研究の犬の集団において、経皮的超音波ガイド下肝生検は、臨床的には現れない主要な出血を高い割合(42.5%)で起こすが、合併症はわずか(1.9%)である。

Pavlick, Michelle, Cynthia RL Webster, and Dominique G. Penninck.
"Bleeding risk and complications associated with percutaneous ultrasound-guided liver biopsy in cats." 
Journal of feline medicine and surgery 21.6 (2019): 529-536.


PubMedリンク PMID:30099964
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル:猫の経皮的超音波ガイド下肝生検に関連した出血のリスクと合併症

==アブストラクト===
目的:肝生検は肝疾患の診断に必須であるが、成犬後の出血が懸念される。この研究の目的は、猫の経皮的超音波ガイド下肝生検後の出血の程度と合併症の発生率について記述することである。

方法
経皮的超音波ガイド下肝生検を行った猫30頭の医療記録を回顧的にレビューした。ヒトのガイドラインに基づき、PCVの絶対値の変化が6%未満を軽度の出血、6%以上を重度の出血として分類した。合併症は介入を必要とする生理学的な障害または死亡と定義した。PCVの絶対値の変化および合併症の発生と、シグナルメント、初期のPCV、凝固パラメータ、血清肝酵素およびビリルビン、生検の数、組織学的診断、超音波所見、放射線科医の経験、同時に行った手技、ビタミンKの投与、との関連についてを、フィッシャーの直接確率検定、ANOVA、およびピアソンの相関係数をもちいて評価した。P値<0.05を有意とみなした。

結果:すべての猫で生検後にPCVが低下した。PCV絶対値の変化の平均は-6.9%±4.1であった。軽度の出血は13/30頭(43.3%)、重度の出血は17/30頭(56.7%)でみられ、非死的な出血性合併症は5/30(16.7%)でみられた。合併症のある猫では生検前のPCVが低かった(p<0.003)。重度の出血は肝リピドーシスと診断した猫でより起こりやすかった(p=0.03)。PCV絶対値の変化または合併症と、シグナルメント、凝固パラメータ、血清パラメータ、生検の数、超音波所見、放射線科医の経験、同時に行った手技、ビタミンK投与との間に相関はなかった。

結論と関連性
:猫における経皮的超音波ガイド下肝生検は比較的安全な手技ではあるが、多くの猫で非臨床的なPCV絶対値の減少がみられる。従来の凝固検査は合併症の発生、または重度なPCVの減少を予測せず、経皮的超音波ガイド下肝生検を行う猫では出血リスクについてより感度の高い指標が必要である。

Clarke, E., et al.
"Clinical utility of liver biopsies in dogs undergoing splenectomy." 
Journal of Small Animal Practice.

PubMedリンク PMID:
33035380
本文:無料公開なし

タイトル:脾臓摘出術を行った犬における肝生検の臨床的有用性

==アブストラクト===
目的:脾臓腫瘤のある犬の脾臓摘出時に行った肝生検で検出された腫瘍の有病率を調べること。

方法
:脾臓摘出後に肝生検を行った脾臓腫瘤のある犬の医療記録の回顧的研究。

結果:脾臓摘出を行った犬のうち50/113頭(44.2%)で悪性の脾臓腫瘍が検出された。腫瘍性の肝疾患が、肝臓が肉眼的に正常であった犬のうち1/40頭(2.5%)で検出され、肝臓が肉眼的に異常であった犬のうち20/69(28.9%)で検出された。肝臓が肉眼的に異常であった犬では、生検で肝臓の腫瘍が診断される機会が16倍(95%信頼区間 2.5-170)高かった。腹腔内出血も、脾臓摘出時の生検で肝臓腫瘍の可能性の増加と関連した。

臨床的意義
:肉眼的に正常な肝臓から得られた肝生検は診断検査として得るものは少なかったが、手術時に肝臓の見た目に異常がある場合には脾臓摘出に続き肝生検が推奨される。

Aupperle‐Lellbach, Heike, et al.
"Histopathological findings and canine pancreatic lipase immunoreactivity in normal dogs and dogs with inflammatory and neoplastic diseases of the pancreas." 
Journal of veterinary internal medicine (2020).


PubMedリンク PMID:32379386
本文:無料公開あり(全文

タイトル:正常な犬と膵臓の炎症性疾患および腫瘍性疾患のある犬における病理組織学的所見と犬膵リパーゼ免疫活性

==アブストラクト===
背景:犬の膵臓疾患の診断は、多様な臨床徴候があり、それが臨床病理と組織病理の所見と常に一致するわけではないために、いまだに困難である。

目的:犬の炎症性および腫瘍性の膵臓疾患の特徴を調べ、それらの所見と臨床所見およびイヌ膵リパーゼ免疫活性(cPLI)の結果とを関連づけること。

動物:ルーチンの診断犬に提出された犬72頭の組織標本と対応する血液サンプル。

方法:組織学的に4つのグループを定義した;(1)正常な膵臓(n=40)、(2)軽度な膵炎(n=8)、(3)中程度から重度の膵炎(急性 n=11、慢性 n=1)、(4)膵臓腫瘍(n=12)。院内cPLI ELISA(正常 <180μg/L、膵炎 >310μg/L)を行った。

結果:正常な膵臓の犬では、血清cPLIの結果の92.5%が基準範囲内であり、軽度な膵炎、中程度/重度の急性膵炎、膵臓腫瘍のある犬よりも有意に低かった。中程度/重度の急性膵炎のある犬では、cPLIの感度は90.9%(95%信頼区間 58.7-99.8%)であった。膵臓腫瘍のある犬(グループ4)の多く(9/12)で膵臓の炎症もあり、10頭でcPLIが上昇していた。

結論と臨床的意義
:cPLIの高値は重篤な急性膵炎を示唆するが、根底に膵臓腫瘍がある可能性も考慮しておくべきである。この研究は、膵臓疾患の診断評価における病理組織学の関連性を確認している

Del Busto, Isaac, et al.
"Incidence of postoperative complications and outcome of 48 dogs undergoing surgical management of insulinoma."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).


PubMedリンク PMID:32212400
本文:無料公開あり(全文

タイトル:インスリノーマの外科治療を行なった犬48頭の術後合併症の発生率と転帰

==アブストラクト===
背景:インスリノーマに対して外科治療を行なった犬の転帰に関する情報は、少数の犬の報告に基づいている。

目的:インスリノーマの治療として手術を行なった犬の転帰と、その集団における術後糖尿病の発生率を報告し、糖尿病の発生は予測し得るかを調べること。

動物:ヨーロッパの3つの紹介病院で、インスリノーマと病理組織学的に診断された犬48頭。

方法:回顧的観察研究。病院の電子記録から犬を同定した。コックス回帰を用いて、術後の生存と再発に関連する因子を調べ、ロジスティック回帰を用いて糖尿病の発症に関連する因子を調べた。

結果:中央生存期間は372日(範囲 1-1680日)であり、ステージ1の犬が最も生存期間が長かった。ステージ1の犬の中央生存期間は652日(範囲 2-1680日)であり、ステージ2または3の犬の中央生存期間は320日(範囲 1-1260日)であった(p=0.045)。術後の高血糖は33%(16/48)の犬でみられ、そのうち9頭(全体の19%)は持続的な糖尿病に進展した。糖尿病の発症を予測する因子は特定されなかった。

結論と臨床的意義
:疾患ステージと術後高血糖は、再発のオッズの増加と生存期間の短縮と関連し、これらは予後について議論する際に使用できる。この研究では、術後の糖尿病は過去の報告よりもより多く発生したが、有益な予測因子となるものは特定されなかった。

Prümmer, Julia K., et al.
"Hyperlipasemia in critically ill dogs with and without acute pancreatitis: Prevalence, underlying diseases, predictors, and outcome." 
Journal of Veterinary Internal Medicine.


PubMedリンク PMID:32945588
本文:無料公開あり(全文

タイトル:急性膵炎がある/ない重症疾患の犬における高リパーゼ血症;有病率、基礎疾患、予後因子、転帰

==アブストラクト===
背景:急性膵炎のない重症患者のヒトにおける高リパーゼ血症は頻繁であり、合併症の発生と死亡率の上昇に関連している。

目的:重症疾患の犬の入院時の高リパーゼ血症の有病率と入院中の高リパーゼ血症の発生を評価し、高リパーゼ血症に関連した因子を探索し、転帰との関連を評価すること。

動物
:救急に来院しICUに入院して 1,2-o-dilauryl-rac-glycero-3-glutaric acid-(6'-methylresorufin) ester (DGGR)リパーゼ活性を入院後24時間以内に測定した、重症疾患がある家庭飼育犬(n=1360)。

方法:臨床記録と検査記録をもとにした回顧的横断研究。

結果:DGGRリパーゼ活性の参照範囲の上限の>3倍の増加が216/1360頭(16%)の犬で入院時にみられ、そのうち70/216頭(32%)が急性膵炎と診断された。高リパーゼ血症に関連した他の主な病態は腎疾患、内分泌疾患、免疫介在性疾患、および上気道閉塞があった。入院時の高リパーゼ血症の予測因子には、それまでのグルココルチコイド投与、嘔吐、および腹部痛、年齢の上昇、血漿ビリルビン濃度の上昇、血漿クレアチニン濃度の上昇、ヘマトクリットの低下、があった。繰り返し測定を行なった犬のうち、78/345頭(23%)で入院中に重度のリパーゼ上昇があり、そのうち13/78頭(17%)が急性膵炎と診断された。入院中の高リパーゼ血症に関連した他の主要な病態には、腎疾患と免疫介在性疾患があった。入院中の高リパーゼ血症の発症を予測する因子には、血液透析、血症ビリルビン濃度の上昇、血症クレアチニン濃度の上昇、ヘマトクリット値の低下があった。入院時と入院中の両方の高リパーゼ血症は、入院期間の長期化と死亡率の上昇と関連していた。

結論と臨床的意義
:重度のDGGR高リパーゼ血症は重症疾患の犬で頻繁にみられ、様々な非膵臓疾患と関連し、負の転帰と関連した。


==訳者補足===
ここで用いられているDGGRリパーゼ活性は、フジドライケムのvリパーゼの測定法と同じもののようです。

Hattersley, R., et al.
"Impact of intra‐operative hypotension on mortality rates and post‐operative complications in dogs undergoing cholecystectomy."
 
Journal of Small Animal Practice.


PubMedリンク PMID:32845022
本文:無料公開なし

タイトル:胆嚢切除を行った犬において術中の低血圧が死亡率および術後合併症に与える影響

==アブストラクト===
目的
:胆嚢切除を行った犬の集団における死亡率を報告し、術中の低血圧が死亡率に与える影響を調べること。

方法
:イギリスの5つの紹介病院で胆嚢切除を行った犬の医療記録を再調査した。徴候、術前の血液検査の結果、低血圧の頻度と時間を含む術中データ、および術後合併症の発生率と合併症などのデータを収集した。

結果
:119頭の犬のデータを組み入れた。16頭(13%)の犬が退院前に死亡し、術後28日までの総死亡は19頭(17%)であった。全身麻酔下で10分以上続く低血圧は65頭(54.6%)で起こり、平均±標準偏差の時間は36.1±30.0 分であった。術中の低血圧または低血圧の回数はは、院内死亡または28日死亡率と関連していないようであった。米国麻酔学会(ASA)グレード(手術適応度)は、単変量解析で院内死亡率と28日死亡率の両方と有意に相関し、術後の低タンパク血症、イレウス、および膵炎も同様であった。しかし、多変量解析では、イレウスと膵炎だけが死亡率に有意な影響を与えていることがわかった。

臨床的意義
:ASAグレードが高い犬は死亡リスクが高いが、術中の低血圧は死亡リスクではないようだ。

Pinard, Christopher J., Samuel E. Hocker, and Kristen M. Weishaar.
"Clinical outcome in 23 dogs with exocrine pancreatic carcinoma." 
Veterinary and Comparative Oncology.


PubMedリンク PMID:32803885
本文:無料公開なし

タイトル
:外分泌膵臓癌の犬23頭の臨床転帰

==アブストラクト===
犬の外分泌膵臓癌はよくわかっておらず、この疾患に関する獣医文献もとても少ない。犬の外分泌膵臓腺癌の23症例について、回顧的方法で再調査を行い、疾患に関連した臨床徴候、挙動、および生存の情報を得た。来院時の臨床徴候は非特異的であり、食欲低下、元気消失、嘔吐、および腹部痛がふくまれた。全体の中央生存期間は1日であり、その多くは診断後短期で安楽死されていた。転移病変は診断時に症例の78%でみられ、疾患の攻撃的な性質を示していた。リンパ節転移、腫瘍の大きさ、および腫瘍の位置はいずれも全生存に影響を与えなかった。糖尿病の既往があった患者は1頭だけで、これはヒトや猫における疾患の方向とは対照的であった。この回顧的研究は、疾患の治療を最適化するための早期検出方法の必要性を再認識するものであった。しかし、外分泌膵臓癌の犬における手術または放射線治療と補助化学療法の有益性についてはまだ解明されていない。


==訳者コメント===
海外の報告では予後不良と考えられる疾患では、早期の安楽死の実施が非常に多く、自然予後や治療の検討に役に立たないことが多いです。この報告も同じようです。

Wilkinson, Ashley R., et al.
"Bile duct obstruction associated with pancreatitis in 46 dogs." 
Journal of Veterinary Internal Medicine.


PubMedリンク PMID:32852140
本文:無料公開あり(全文

タイトル:膵炎に関連した胆管閉塞;犬46頭

==アブストラクト===
背景:膵炎は犬の肝外胆管閉塞(EHBDO)のよくある原因である。膵炎関連胆管閉塞(PABDO)がある犬の臨床経過について述べられた情報は限られている。

目的:犬における膵炎関連胆管閉塞の臨床経過を記述し、疾患重症度のマーカーと推定されるものが生存を予測するかどうかを調べること。

方法:膵炎関連胆管閉塞のある家庭飼育犬46頭。

方法:膵炎関連胆管閉塞と診断された犬の医療記録を回顧的に再調査した。臨床徴候と生化学変化を含むデータを、臨床経過を通じて6回収集した。転帰は生存(退院)か死亡のいずれかと定義した。

結果:膵炎関連胆管閉塞のある犬42頭中33頭(79%)が生存した。生存した33頭中、31頭(94%)が内科治療単独を受けていた。臨床徴候の発症から血清ビリルビン濃度の上昇が最初に記録されるまでの期間は、ビリルビンの上昇がピークになるまでの期間、およびビリルビンが減少し始めるまでの期間はそれぞれ中央値で、7日、8日、15日であった。臨床徴候の発症から転帰までの日数の中央値は13日であった。発熱、嘔吐、および食欲低下の臨床徴候は、臨床徴候発症からビリルビンのピークまでに頻度が減少した。膵炎関連胆管閉塞が超音波検査によって診断された時点での胆管拡張の中央値と、ピークのビリルビンの中央値は、生存群(7.6mm、11.7mg/dl)と非生存群(6mm、10.6mg/dl)で差はなかった(p=0.12、p=0.8)。

結論
:膵炎関連胆管閉塞の犬はしばしば臨床経過が長くなり、肝外胆管閉塞の進行の生化学的な所見があるにもかかわらず臨床的には改善することがある。

Strickland, Rhiannon, et al.
"Incidence and risk factors for neurological signs after attenuation of a single congenital portosystemic shunt in 50 cats." 
Veterinary Surgery (2020).

PubMedリンク PMID:32691934
本文:無料公開あり(全文

タイトル:単一の先天性門脈体循環シャント結紮後の神経徴候の発生率とリスク因子;猫50頭

==アブストラクト===
目的:単一の先天性門脈体循環シャントの治療を行った猫における結紮後神経徴候の発生率、転帰、リスク因子について調べること。

研究デザイン:回顧的コホート研究。

動物:単一の先天性門脈体循環シャントのある猫(n=50)。

方法:2003年から2017年の間に単一の先天性門脈体循環シャントを外科的結紮により治療した猫の医療記録を再調査し、シグナルメント、手術手技、術前管理、および術後の臨床転帰について調べた。結紮後神経徴候と発作の発生に関するリスク因子を調べるために二項ロジスティック回帰を行った。

結果:50頭の猫の先天性門脈体循環シャントの内訳は肝外シャント40頭、肝内シャント10頭であった。結紮後神経徴候は31頭(62%)の猫で記録され、10頭がグレード1、9頭がグレード2、12頭がグレード3であった。結紮後神経徴候には、11頭のけいれん発作も含まれた。結紮後神経徴候のある31頭中5頭は生存退院できなかった。結紮後神経徴候または発作と、先天性門脈体循環シャントのタイプ(肝内または肝外)、結紮の程度、年齢、周術期のレベチラセタムの使用、手術直前の肝性脳症との間には関連が検出されなかった。中央値で術後24時間の浸透圧は、結紮後神経徴候のある猫で低かった(p<0.49、オッズ比 0.855、信頼区間0.732-0.999)。

結論:先天性門脈体循環シャントの治療を行った猫で、結紮後神経徴候は一般的な合併症である。術前のレベチラセタムは結紮後神経徴候または発作の発生を予防できなかった。検出された結紮後発作の唯一のリスク因子は、術後24時間で結紮後神経徴候のある猫で術後浸透圧が低いことであった。

臨床的意義
:けいれん発作も含めた結紮後神経徴候は、先天性門脈体循環シャントの外科的結紮を行った猫で頻繁に起こる。術前のレベチラセタムは、結紮後神経徴候の発生を防がなかった。

Mullins, Ronan A., et al.
"Prognostic factors for short‐term survival of dogs that experience postattenuation seizures after surgical correction of single congenital extrahepatic portosystemic shunts: 93 cases (2005‐2018)."
 
Veterinary Surgery (2020).

PubMedリンク PMID:
本文:無料公開なし

タイトル:単一の先天性肝外門脈体循環シャントの外科的整復後の結紮後発作を経験した犬の短期生存に関する予後因子;93症例(2005-2018年)

==アブストラクト=== 
目的
: 単一の先天性肝外門脈体循環シャントの外科的整復後7日いないにのけいれん発作を起こした犬の短期予後に関する予後因子を同定すること。

研究デザイン:多施設間回顧的研究。

サンプル集団:家庭飼育犬93頭。

方法:14の獣医療施設の医療記録を再調査し、2005年1月1日から2018年2月28日までの間に単一の先天性門脈体循環シャントの外科的結紮を行い、手術後7日以内に結紮後発作を起こした犬を特定した。ロジスティック回帰分析を行い、1ヶ月生存に関連する因子を同定した。調査した因子は以下の通り、参加施設、シグナルメント、シャントの形態、並存/既往疾患、術前の神経徴候の存在、術前の発作の存在、術前の内科治療の側面、シャント結紮の砲塔と程度を含む手術詳細、結紮後発作のタイプ(焦点発作or全般発作±焦点発作)、結紮後発作の治療の一部としての薬の投与、および結紮後発作治療中の合併症の発生。

結果:30頭(32.3%)の犬が30日生存した。76頭(81.7%)が全般性の結紮後発作を起こした。短期生存と正の関連を示した因子には、術前の発作の病歴(p=0.004)と焦点発作単独の発生(p=0.0003)があった。死亡した犬のほとんどは、制御不能または再発性の発作のために人道的に安楽死された。

結論:術前の発作の病歴があることと、焦点性の結紮後発作だけの発生が、結紮後発作を起こした犬の短期生存を有意に改善した。

臨床的意義
:この研究の結果は、先天性肝外門脈体循環シャントの外科的整復後の結紮後発作の治療を求める飼い主のためのカウンセリングに役立つ情報を提供する。
 

Husnik, Roman, et al.
"Ultrasonographic assessment of the effect of metoclopramide, erythromycin, and exenatide on solid‐phase gastric emptying in healthy cats."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).

PubMedリンク PMID:32515089
本文:無料公開あり(全文

タイトル
健康な猫の固形相胃内容派出におけるメトクロプラミド、エリスロマイシン、エキセナチドの効果に関する超音波による評価

==アブストラクト=== 
背景:猫の消化管運動修飾薬の効果について利用できる情報は限られている。薬物の使用と投与量に関する推奨のほとんどは、臨床経験の集約的なものに基づいている。

目的:胃内容排出と胃の運動性におけるメトクロプラミド、エリスロマイシン、エキセナチドの効果を、プラセボとの比較で評価すること。メトクロプラミドとエリスロマイシンは胃運動促進効果があり、エキセナチドは胃内容排出時間を延長させ、内腔収縮の運動指数を減少させるだろうという仮説をたてた。

動物:健康な短毛家庭猫8頭。

方法:各猫には4つ分画の超音価評価を行なった。前向きランダム化二重盲検4方法クロスオーバーデザインで、最低5日のウォッシュアウト期間を設けた後に、プラセボ、メトクロプラミド、エリスロマイシン、エキセナチドの投与をうけた。超音波による胃内容排出時間と運動指数をプラセボと比較した。

結果:プラセボと比較して、胃内容排出の割合はメトクロプラミドおよびエリスロマイシンの投与後に有意に速くなった。プラセボとの比較で、エリスロマイシンの投与後には胃内容排出の全ての分画で有意な差がみられ、メトクロプラミドでは1つの分画で差がみられた。胃内容排出曲線の前半における胃内容排出率は、エキセナチド投与後に有意に遅くなった。運動指数の曲線下面積は、プラセボに比べてメトクロプラミドとエリスロマイシンの投与後に有意に大きくなった。

結論と臨床的意義
:メトクロプラミドとエリスロマイシンは胃内容排出時間を短縮させ、 内腔収縮の運動指数を増加させ、それにより健康な猫の胃運動促進効果があり、一方、エキセナチドは胃内容排出の初期遅延を引き起こす。
 

Lee, Cherrie, Aarti Kathrani, and Jill Maddison.
"Retrospective study of the diagnostic utility of Spec fPL in the assessment of 274 sick cats."
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).

PubMedリンク PMID:32452547
本文:無料公開あり(全文

タイトル:病気の猫274頭の評価におけるSpec fPLの診断有用性についての回顧的研究

==アブストラクト=== 
背景:血清ネコ膵リパーゼ免疫活性(fPL)は膵炎の疑いがある病気の猫の評価として一般に使われているが、診断の有用性については議論されている。

目的:猫の膵炎の診断におけるSpec fPL検査と選択的な血清生化学検査の診断有用性を評価すること。

動物:2013年4月から2017nenn5 月の間に大学の教育病院に来院し、Spec fPLを測定した家庭医飼育猫274頭。

方法:Spec fPL濃度に関わらず、臨床徴候(すべての猫)、超音波検査所見(すべての猫)、利用可能な場合に膵臓の病理学的または細胞学的評価(9頭)をもとに猫を1-4のグループに分類した。グループは(a)確実な膵炎(n=9)、(b)おそらく膵炎(n=49)、(c)膵炎の可能性(n=139)、(d)膵炎ではない可能性(n=77)、とした。Spec fPLと選択的された生化学検査の結果をグループ間で比較した。

結果:血清fPL濃度>5.3μg/Lを陽性と分類し、<3.5μg/Lを陰性と分類した。偽陽性の結果(膵炎でなさそうな猫77頭中、8頭でfPL陽性、10%)は、偽陽性の結果(確実な膵炎またはおそらく膵炎の猫58頭中、14頭でfPL陰性、24%)よりも割合が低かった。選択された生化学検査で診断に役立つものはなかった。

結論と診療的意義:Spec fPL陽性結果は、膵炎の診断の可能性の高さを示しているが、この検査で診断を除外することはできない。
 

利益相反:なし
==訳者コメント===
  • 一見それなりの結果にみえますが、グループ(c)の膵炎の可能性のある猫についての検証が十分にされていません。 本文中のグラフをみても(c)の猫のfPLはばらつきがとても大きいです。
  • 臨床ではグループ(a)や(b)の、「ほぼ膵炎だろう」という猫の診断で困るのではなく、グループ(c)のように「膵炎の可能性はあるんだけど、どうだろうか」という患者さんで、診断の確率を動かせるかが重要だと思いますが、この研究では結局それがわかりません。
  • とはいえ膵炎はゴールドスタンダードが設定ずらい疾患だと思いまますので(この研究でも組織/細胞診で評価しているのは9頭のみですし)、こうしたあいまいな結果になるのは仕方がないのかもしれません。

Menard, Maud, et al.
"Use of serum biomarkers in staging of canine hepatic fibrosis."
 
Journal of Veterinary Diagnostic Investigation 31.5 (2019): 665-673.

PubMedリンク PMID:31347473
本文:無料公開なし

タイトル
:犬の肝線維症のステージングにおける血清バイオマーカの使用

==アブストラクト=== 
肝線維症の正確なスタージングは、犬の慢性肝炎の治療と予後にとって重要である。肝線維症スコアはヒトの医療で用いられており、間接的にステージングとモニターを行うことで、肝生検の必要性を減少させる。私たちは中程度から重度の肝線維症のスクリーニングのためのイヌ肝線維症スコアを開発した。

この研究には96頭の犬を組み入れた。組織検査のための肝生検と生化学検査をすべての犬で行なった。犬はランダムに訓練セットに58頭、評価セットに38頭に分けられた。ALT、ALP、総ビリルビン、カリウム、GGTを含んだ
肝線維症スコアが、訓練セットで開発された。モデルの性能は、内部検証セットを用いて確認され、その性能は訓練セットにおけるものと同様であった。研究集団における全体の感度と特異度はそれぞれ80%と70%であり、曲線下面積は0.80(0.71-0.90)だった。

この肝線維症スコアは、この研究で試薬として用いられたKonelab 30i(Thermo Scientific)で生化学パネルが実施された場合に、犬の肝線維症の間接的な診断のために用いることができる。スコアが、様々な設備や方法による他の検査方法で測定された生化学検査の結果を用いることが十分に堅牢かどうかを決定するためには、外的評価が必要となる。 


企業関与:Echosens社の関与あり。 

Sepesy, Lisa M., et al.
"Vacuolar hepatopathy in dogs: 336 cases (1993–2005)." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 229.2 (2006): 246-252.

PubMedリンク PMID:16842046
本文:無料公開なし

タイトル:犬の空胞性肝障害:336症例(1993-2005)

==アブストラクト=== 
目的:犬における空胞性肝障害に関連した疾患を特定し、形態的な肝臓の異常と臨床病理学的な異常、および ステロイド産生ホルモン過剰の関与について調べること。

デザイン
:回顧的症例シリーズ。

動物:組織学的に中程度から重度の空胞性肝障害と確定した犬336頭。

方法:シグナルメント、診断検査の結果、確定診断、およびグルココルチコイドへの暴露(つまり、外因性グルココルチコイドの投与、またはステロイド産生性ホルモンの内因性濃度の高値)についての情報を、医療記録から収集した。基礎疾患、グルココルチコイド暴露、病変の房状帯状の分布、および組織学的重症度、によって犬を分類した。

結果
:12の疾患グループ(腫瘍性、後天性肝胆道系、神経系、免疫介在性、消化管、腎臓、感染性、心疾患、糖尿病、門脈体循環血管異常、副腎機能不全、その他の疾患)が特定された。186頭(55%)の犬でグルココルチコイドの暴露があり、150頭(45%)では無かった。 肝臓の空胞の房状帯状分布と臨床病理学的項目は、グルココルチコイドの暴露のある犬と無い犬の間で差はなかった。しかし、ステロイド産生ホルモン暴露に関連して、重度の空胞性肝障害の可能性が3倍増加した。ALP活性が高い犬226頭中、102頭(45%)はグルココルチコイド暴露の証拠がなかった。

結論と臨床的意義
:この結果は、腫瘍性および先天性または後天性の肝胆道系疾患は空胞性肝障害の犬で一般的であることを示唆しており、 空胞性肝障害、高ALP活性、および疾患誘発性の心理的ストレスが関連している可能性についての示唆を指示する。空胞性肝障害の組織学的確定は、グルココルチコイド療法および副腎皮質機能亢進症が除外されれば、原発性疾患の診断的検査のために開始されるべきだ。
 

Hall-Fonte, Deborah L., et al.
"Hepatocutaneous syndrome in Shih Tzus: 31 cases (1996–2014)." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 248.7 (2016): 802-813.

PubMedリンク PMID:27003022
本文:無料公開なし

タイトル:シーズーの肝皮膚症候群;31症例(1996-2014)

==アブストラクト=== 
目的:肝皮膚症候群に一致する進行性の表在性壊死性皮膚炎と変性性空胞性肝障害のあるシーズーにおける所見の特徴を調べること。

デザイン;回顧的症例シリーズ。

動物:シーズー31頭。

方法:医療記録を再調査し、シグナルメント、病歴、治療、転帰、および臨床病理検査、腹部超音波検査、および肝臓と皮膚標本の組織学的検査の結果についての情報を収集した。家系解析を行った。

結果:雄16頭、雌15頭だった。診断時の年齢の中央値は8歳齢(範囲 5-14歳齢)であった。一般的な臨床徴候として、元気消失、食欲低下、体重減少、跛行がみられた。 25頭で肝皮膚症候群に一致する皮膚病変があり、のこりの6頭は最初は肝臓の異常だけだったが、6頭中3頭でその後に皮膚病変が出現した。一般的な臨床病理学的異常には、小赤血球症(15/24頭 63%)と血清ALP活性の上昇(24/24頭 100%)がみられた。肝臓の超音波検査所見として、無数の低エコー結節を伴う高エコー性または混合エコー性の実質がみられた。組織学的な肝臓の病変は、最小限の線維性から非線維性、非炎症性、増殖性結節に関連した変性性空胞性(グリコーゲンおよび脂質)肝障害によって構成されていた。家系解析では、18頭12頭に共通の祖先が確認された。中央生存期間は3ヶ月(範囲 1-36ヶ月)であった。

結論と臨床的意義
:この結果は、肝皮膚症候群はシーズーで遺伝性の構成要素はある可能性を示唆しているが、シーズーでは罹患した血縁がなくても特定される可能性がある。シーズー臨床的、臨床病理学的、超音波検査、および組織学的な異常は、肝皮膚症候群の他の犬種で以前に報告されたものと同様であった。
 

Isobe, Kaori, Hiroyuki Nakayama, and Koji Uetsuka.
"Relation between lipogranuloma formation and fibrosis, and the origin of brown pigments in lipogranuloma of the canine liver." 
Comparative hepatology 7.1 (2008): 5.

PubMedリンク PMID:18471325
本文:無料公開あり(全文

タイトル:犬の肝臓の脂肪肉芽腫における脂肪肉芽腫形成と線維症、および褐色色素の起源の関係性

==アブストラクト=== 
背景
:過去の報告で私たちは、細胞質に脂肪空砲と褐色色素を含む小円形細胞によって構成される病変して定義される犬の肝臓脂肪肉芽腫が、クッパー細胞および/またはマクロファージの集合体であること、および病変内の細胞質の褐色色素はヘモジデリンとセロイドであることを確認した。しかし、病変の病因については不明なままである。クッパー細胞(常在マクロファージ)は、TGF-βを含むサイトカインを産生することから、肝臓線維化において重要な役割を果たしている。この研究では、52の犬肝臓標本(年齢;新生児-14歳齢、雄25頭/雌27頭)を調べ、脂肪肉芽腫の形成と線維症との関連と、同様に褐色色素肉芽腫についても調べた。

結果
:脂肪肉芽腫は52の肝臓標本中23(44.2%)で病理組織学的に検出された。肝臓において脂肪肉芽腫の密度と、Ⅰ/Ⅲ型コラーゲンの分布に有意な相関はみられなかった。脂肪肉芽腫の色素沈着は、肝細胞と類洞細胞の両方で有意な相関を示し、脂肪肉芽腫の色素沈着(ヘモジデリンおよびセロイド)が肝細胞とクッパー細胞に由来している可能性があることを示している。

結論
:脂肪肉芽腫は肝線維症の要因ではないが、肝臓内の鉄と脂肪の蓄積に潜在的な指標となる可能性がある。 

Isobe, Kaori, et al.
"Histopathological characteristics of hepatic lipogranulomas with portosystemic shunt in dogs."
 
Journal of Veterinary Medical Science 70.2 (2008): 133-138.

PubMedリンク PMID:18319572
本文:無料公開あり(全文

タイトル
犬の門脈体循環シャントを伴う肝臓脂肪肉芽腫の病理組織学的特徴

==アブストラクト=== 
門脈体循環シャント(PSS)のある犬の肝臓では、細胞質性褐色色素と脂肪空胞から成る限局性病変が、肝臓実質でしばしば観察される。脂肪肉芽腫と呼ばれ、病理組織学的な特徴はほとんど研究されていない。この研究では、144頭の犬(年齢;3ヶ月齢-16歳齢、PSS65頭と非PSS79頭)の肝生検のサンプルを検査し、脂肪肉芽腫病理組織学的特徴、発生率、 密度について調べた。脂肪肉芽腫はPSSの犬の55.4%で病理組織学的に検出された。病変は細胞質脂肪空胞と褐色色素の量によって3つのタイプに分類された。色素はベルリンブルー、PAS、ズダンブラックBに陽性で、ホール法で陰性だった。大部分の細胞は免疫組織化学的ににマクロファージスカベンジャー受容体クラスAに陽性であり、肝細胞抗体とアルブミンに陽性の細胞はなかった。細胞質色素は電子顕微鏡で電子密度の高い微粒子として確認された。脂肪肉芽腫の発生率は、1歳以下の犬を除外した際に、非PSSグループよりもPSSグループで有意に高かった。脂肪肉芽腫の肝臓での密度は、PSSグループで有意に高かった。結論として、脂肪肉芽腫は犬のPSSで、特に1歳以上の犬で、肝生検で頻繁に観察される。病変はカッパー細胞および/またはマクロファージで構成され、細胞質性褐色色素はセロイドおよびヘモジデリンであった。PSSにおける脂肪肉芽腫の病因について明らかにする必要がある。

Sobczak-Filipiak, M., et al.
"Lipogranulomas and pigment granulomas in livers of dogs with portosystemic shunt." 
Polish journal of veterinary sciences 21.2 (2018): 265-272.

PubMedリンク PMID:30450864
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル
:門脈体循環シャントのある犬の肝臓における脂肪肉芽腫と色素肉芽腫

==アブストラクト=== 
脂肪肉芽腫はヒトと犬を含むその他様々な動物の肝臓の病理組織学的検査で見つかる病変であり、特に門脈体循環シャントがある場合に多い。 それらはマクロファージと炎症細胞によって構成され、鉄塩を含むこともある(色素肉芽腫)。この研究の目的は、先天性肝外門脈体循環シャントがある犬における脂肪肉芽腫の細胞構成と肉芽腫の数を調べることと、それの発生に関連する因子を特定することである。門脈体循環シャントのある犬の保管された44の肝臓サンプルを、HE、パール法、および(ランダムに選出した症例で)CD56、CD20、CD3に対する免疫組織化学を用いて染色した。すべての犬で開腹手術中に肝臓の大きさの減少がみられ、肝臓を迂回する血管の直径も測定された(24頭で)。脂肪肉芽腫は52.3%のサンプルで確認され、鉄塩はそのうちの47.8%でみられ、脂肪肉芽腫の中のの細胞のうち72%がマクロファージだった。脂肪肉芽腫の中にはT細胞とB細胞のリンパ細胞の両方がみられた。肝臓サンプル中の脂肪肉芽腫の存在は、肝細胞の脂肪変性と関連があり、動物の年齢および肝臓の異常な迂回血管の直径と相関していた。それらの形成は、重度の虚血と栄養素供給の不足により起こるようだ。

Bahr, Katherine L., et al.
"Accuracy of US-guided FNA of focal liver lesions in dogs: 140 cases (2005–2008)."
 
Journal of the American Animal Hospital Association 49.3 (2013): 190-196.

PubMedリンク PMID:23535753
本文:無料公開なし

タイトル
:犬の限局性肝臓病変の超音波ガイドFNAの精度(2005-2008年)

==アブストラクト=== 
2005年3月から2008年10月の間に腹部超音波検査をうけた犬の医療記録を再調査し、細胞診と組織診断の両方のサンプルを採取した限局性肝臓病変について検出した。サンプルは主要な疾患プロセスの有無のいずれかによって分類され、それには悪性腫瘍、炎症、過形成/良性腫瘍、空胞性変化、髄外造血、肝硬変、壊死、を含め、顕微鏡学的異常は含めたなかった。選択バイアスの評価は、組織学的結果が得られなかったために比較解析から除外した症例と比較して、組織診断のある症例の細胞学的診断の相対分布のレビューによって行われた。

細胞診は空胞性変化(57.9%)に対して最も感度が高く、次いで腫瘍(52.0%)であった。細胞診は腫瘍(86.7%)に対する陽性的中率が最も高く、次いで空胞性変化(51.6%)であった。細胞診は炎症、壊死、および過形成に対して感度と陽性的中率がが低かった。犬の限局性肝臓疾患のおける疾患の特徴を特定するための細胞診の能力は、疾患過程によって様々である。

臨床医は、細胞診で腫瘍の診断が得られた場合には、高い確証をもつことができる。しかし、細胞診は腫瘍の可能性を除外するための信頼性は低い。細胞診は炎症に対して感度と陽性的中率が低く、空胞性変性の診断に対しても限定的な診断能力である。

Warren‐Smith, C. M. R., et al.
"Lack of associations between ultrasonographic appearance of parenchymal lesions of the canine liver and histological diagnosis." 
Journal of Small Animal Practice 53.3 (2012): 168-173.

PubMedリンク PMID:22931398
本文:無料公開なし

タイトル:犬の肝臓病変の超音波検査所見と組織学的診断の間の関連の欠如

==アブストラクト=== 
目的
:肝臓実質疾患の暫定診断を可能にする可能性のある超音波検査の特徴があるかどうかを評価すること。

方法
:腹部超音波検査と生検または剖検で異常な肝臓であった犬371頭の記録を再調査した。

結果
:組織学的診断には、肝炎(n=77)、結節性過形成(n=47)、空胞変性(n=45)、線維症(n=32)、原発性肝癌(n=30)、リンパ腫(n=28)、転移性腫瘍(n=27)、壊死(n=21)、脂肪肝(n=17)、血管肉腫(n=13)、円形細胞腫瘍(n=9)、肝細胞腺腫(n=8)、変性性変化(n=6)、ステロイド性肝障害(n=7)、髄外造血(n=4)がみられた。最も多い超音波検査の特徴は、多巣性の病変(血管肉腫の肝臓の63%、肝細胞腺腫の43%)、びまん性病変(ステロイド性肝障害の71%、線維症の44%、空胞性肝障害の40%)、高エコー病変(ステロイド性肝障害の71%、脂肪肝の41%、線維症の38%)、混合性病変(血管肉腫の62%)、肝腫大(ステロイド性肝障害の43%)、腹水(血管肉腫の62%)がみられた。標的病変は、67%の症例で悪性病変と関連した。すべての診断で非常に多様な超音波検査所見だみられ、超音波検査所見と診断の間には統計的な関連がみられなかった。

臨床的意義
:組織学的検査は犬の肝疾患の診断にとって依然として不可欠である。


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