ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

小動物臨床の獣医師が、臨床に役立ちそうな論文情報をちょっとづつアップします。ねころんでいても論文検索ができればいいなと。

カテゴリ: 腫瘍

Latifi, Max, et al.
"Outcome and postoperative complications in 73 dogs with thyroid carcinoma with gross vascular invasion managed with thyroidectomy." 
Veterinary and Comparative Oncology (2021).


PubMedリンク PMID:33993605
本文:無料公開なし

タイトル
:甲状腺切除術で治療した肉眼的な血管浸潤を伴う甲状腺癌の犬73頭における転帰と術後合併症

==アブストラクト===
犬の甲状腺癌に対する甲状腺切除術は非常に良好な転帰が報告されているが、肉眼的な血管浸潤のある甲状腺癌の転帰はほとんど述べられていない。この研究では、肉眼的な血管浸潤がある甲状腺癌の甲状腺切除術を行った犬における臨床的な転帰と合併症について記述することである。

2010年1月から2019年12月までの間に、10の動物病院で甲状腺切除を行った犬の医療記録をレビューした。シグナルメント、診断データ、行われた主要な治療と補助治療、および転帰についてをまとめた。生存についてはカプランマイヤー分析により算出した。多項ロジスティック回帰を使用して、疾患特異生存率に関連する項目を特定した。犬73頭が組み入れられ、そのうち58頭で片側甲状腺切除、15頭で両側甲状腺切除が行われた。術中の合併症が5頭(6.8%、重篤なもの3頭・軽度なもの2頭)でみられ、術後合併症が12頭(16.4%、死亡に至る重篤なもの2頭・軽度なもの10頭)でみられた。局所再発は7頭(9.6%)で起こり、手術から再発までの期間の中央値は238日(範囲 15-730日)であった。遠隔転移の疑い/確定は9頭(12.3%)でみられ、手術から転移までの期間の中央値は375日(範囲 50-890日)であった。27頭(37%)が補助治療(化学療法21頭、放射線治療6頭)をうけた。39頭が死亡または安楽死され、そのうち10頭が疾患関連、10頭が原因不明、19頭が無関係の原因であり、9頭は追跡不能であった。全体生存期間の中央値は621日で、
疾患特異生存は中央値に達しなかった。1年疾患特異生存率は82.5%であった。疾患特異生存に関連する項目は、この研究内では特定されなかった。

肉眼的な血管浸潤のある甲状腺癌の犬の局所治療として手術は考慮される可能性がある。

Rout, Emily D., et al.
"Clinical outcome and prognostic factors in dogs with B‐cell chronic lymphocytic leukemia: A retrospective study."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).


PubMedリンク PMID:
33998726
本文:無料公開あり(全文

タイトル:B細胞性慢性リンパ球性白血病の犬の臨床転帰と予後因子;回顧的研究

==アブストラクト===
背景:犬のB細胞性慢性リンパ球性白血病(BCLL)は遅発性の疾患であると考えられているが、過去の研究では生存期間に大きな幅が示されている。

目的:BCLLは、ヒトの慢性リンパ球性白血病と同様に、不均一な臨床経過をたどると仮定した。BCLLの犬の徴候と転帰について評価し、臨床とフローサイトメトリーの要因が予後と関連するかどうかを評価した。

動物:フローサイトメトリーによってBCLLと診断された犬121頭。以下の3つの犬種グループに代表された;小型犬(n=55)はBCLLのリスクが高く、ボクサー(n=33)は変異していない免疫グロブリン遺伝子の使用が多く、および他の犬種(n=33)。

方法:すべての犬の中央生存期間(MST)は300日(範囲 1〜1644日)であった。ボクサーは非ボクサーよりも生存期間が有意に短かく(178日 vs 423日:p<0.0001)、小型犬と非ボクサー犬種との間に生存の有意な差はみられなかった。犬種に関係なく、Ki67が高い犬(Ki67を発現しているB細胞が>40%)では、Ki67<40%の犬よりも有意に生存期間が短かった(中央生存期間 173日 vs 達せず、P-0.03)。リンパ球数が多い(>60,000/μl)または臨床徴候があると、生存期間が有意に短かった。

結論と臨床的意義
:B細胞性慢性リンパ球性白血病はさまざまな臨床経過をとり、ボクサー犬とKi67が高い犬では、より挙動の悪い疾患である。

Zuercher, Melonie, Federico Vilaplana Grosso, and Amandine Lejeune.
"Comparison of the clinical, ultrasound, and CT findings in 13 dogs with gastric neoplasia." 
Veterinary Radiology & Ultrasound (2021).


PubMedリンク PMID:33987919
本文:無料公開なし

タイトル:胃の腫瘍のある犬の臨床、超音波、およびCTの所見の比較

==アブストラクト===
犬の胃の腫瘍の診断は困難であり、しばしば超音波検査または内視鏡検査で腫瘤が特定されたうえでの生検によって得られる。ヒトの医療では、CTや内視鏡といった機器が
胃の腫瘍の診断とステージングにおけるケアの標準となっている。獣医療ではガスによる人為的拡張を用いた犬の胃の腫瘍のCT所見を述べた研究がひとつあるが、胃の腫瘍の診断とステージングにおいて超音波検査とCT検査の有用性を直接比較した研究はない。

この回顧的な記述研究では、13頭の犬の超音波画像とCT画像を評価した。診断された胃の腫瘍には、平滑筋腫(n=4)、腺癌(n=3)、平滑筋肉腫(n=3)、消化管間質腫瘍(GIST、n=2)、およびリンパ腫(n=1)が含まれた。CTでは胃の腫瘍の92%を同定することに成功し、超音波検査では69%のみであった。外科、内視鏡、および剖検での所見をもとにすると、超音波検査に比べて、CT検査のほうがリンパ節腫大の位置をより多く同定し、胃の腫瘍の位置をより正確に同定した。異なる腫瘍タイプ間で、超音波検査とCT検査の多くの特徴が重複した。リンパ腫は、CT 検査では他の胃の腫瘍に比べてCT値の平均が低く、超音波検査では胃壁の層が完全に失われていない唯一の腫瘍であった。予想通り、胃腺癌では領域リンパ節の腫大と胃壁の肥厚がみられた。

犬の胃腫瘍の特徴を調べステージングを行い、外科適応を選択するための支援としての補助診断検査としてCTの所見は役にたった。

Itoh, Teruo, et al.
"Long-Term Treatment Results for Ovarian Tumors with Malignant Effusion in Seven Dogs." 
Journal of the American Animal Hospital Association 57.3 (2021): 106-113.


PubMedリンク PMID:33770181
本文:無料公開なし

タイトル
:犬7頭における悪性滲出液を伴う卵巣腫瘍の長期的な治療結果

==アブストラクト===
手術とプラチナベースの化学療法は、ヒトの進行性卵巣癌の治療に非常に有効であるが、犬ではその効果はあまりわかっていない。悪性の腹水を伴う悪性卵巣腫瘍の犬7頭の長期的な治療転帰を評価した。

すべての犬で卵巣子宮摘出術が行われた。4頭が卵巣腺癌で腹膜に肉眼的な播種があり(2頭は胸水を伴う)、3頭は顆粒膜細胞腫で肉眼的な播種はなかった(1頭は胸水あり)。すべての犬で卵巣子宮摘出術後に滲出液が消失した。6頭(卵巣腺癌3頭、顆粒膜細胞腫3頭)が、術後にカルボプラチンの静脈内投与をうけた。顆粒膜細胞腫の犬の2頭では術後の再発や転移はなく、1頭で術後1811日目に再発した。卵巣腺癌の犬のすべてで、術後171-584日で滲出液が再発し、それらはシスプラチンまたはカルボプラチンの体腔内投与により消失し、その後、無病期間が155-368日えられた。全体生存期間は、卵巣腺癌(617-841日)よりも顆粒膜細胞腫(822-1840日)の犬のほうが長かった。

これらの結果は、悪性の滲出液を伴う卵巣腫瘍の犬で、卵巣刺繍摘出術とプラチナベースの化学療法を行った後に比較的長い生存が可能性であり、卵巣腺癌よりも顆粒膜細胞腫のほうがより良い予後であることを示している。

Sharma, Surabhi, et al.
"Survival time of juvenile dogs with oral squamous cell carcinoma treated with surgery alone: A Veterinary Society of Surgical Oncology retrospective study."
 
Veterinary Surgery (2021).

PubMedリンク PMID:33772819
本文:無料公開なし

タイトル:手術だけで治療した口腔扁平上皮癌の若齢犬の生存期間;獣医腫瘍外科学会の回顧的研究

==アブストラクト===
目的:口腔扁平上皮癌(OSCC)の外科治療をうけた若齢犬のシグナルメント、ステージ分類、外科治療、および生存期間について報告すること。

研究デザイン:回顧的研究。

動物:手術で治療された口腔扁平上皮癌の2歳未満の犬25頭。

方法:症例は獣医腫瘍外科学会から集められた。性別、品種、年齢、体重、臨床徴候、腫瘍の位置、術前診断とステージ分類、病理組織学的診断とマージン評価、無病期間、死亡の日と原因についてのデータを収集した。最低で3ヶ月以上の追跡期間を組み入れ基準とした。

結果:18頭は12ヶ月齢未満であり、7頭が24ヶ月齢未満であった。さまざまな犬種がみられ、体重の平均は22.3±14.4kgであった。手術前に転移の所見があった犬はいなかった。すべての犬で部分的な上顎切除または下顎切除が行われた。組織学的なマージンは24頭で完全であり、1頭で不完全であった。腫瘍の転移または腫瘍の再発を示した犬はいなかった。追跡期間の中央値は1556日(92-4234)であった。拡張型心筋症で死亡した1頭をのぞき、ほかのすべての犬が追跡期間の最後で生存していた。無病期間は中央値に達しなかった。

結論
:若齢犬における口腔内扁平上皮癌の広範囲外科切除後の予後は非常に良好である。

Evans, Brolin J., et al.
"Factors influencing complications following mastectomy procedures in dogs with mammary gland tumors: 140 cases (2009–2015)." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 258.3 (2021): 295-302.

PubMedリンク PMID:33496617
本文:無料公開なし

タイトル:乳腺腫瘍がある犬における乳腺切除後の合併症に影響する因子;140症例(2009-2015)

==アブストラクト===
目的
:さまざまなタイプの乳腺切除の術式における合併症の割合を調べ、合併症のリスクを上昇させる因子を特定し、そうした合併症の結果を判断すること。

動物
:乳腺腫瘍を治療するために154回の乳腺切除術をうけた雌犬140頭。

方法
:2009年7月から2015年3月の間のPenn Vetシェルター犬乳腺腫瘍プログラムにおける犬の医療記録をレビューした。シグナルメント、腫瘍の特徴(腫瘍の数やサイズ、良性または悪性、両側か片側)、乳性切除のタイプ、麻酔時間、卵巣子宮摘出術または卵巣摘出術の同時実施、外科医の資格、手術後の抗菌薬の投与、術後ドレーンの設置、および合併症(漿液種、膿瘍、離開、感染)に関するデータを収集した。入院を必要とする合併症を記録した。フィッシャーの直接確率検定を使用して、関心のある変数と合併症の関連を評価した。多変量解析をもちいて、合併症のリスクの増加と独立して関連する因子を特定した。

結果
:すべての手技の乳腺切除術後の合併症の割合は16.9%(26/154)であり、そのうち9件(34.6%)が入院を必要とした。体重が重いこと、両側の乳腺切除の実施、および術後の抗菌薬投与は、合併症のオッズの有意な増加と関連した。術後抗菌薬投与は合併症のオッズと関連したが、乳腺切除の術式によってさまざまであった。連続した乳腺の切除を行い、術後に抗菌薬の投与を受けなかった犬では、合併症のオッズが最も高かった。同時に卵巣子宮切除または卵巣切除を行った犬では、合併症のオッズが有意に減少した。

結論と臨床的意義
:過去に避妊手術済みの大型犬でもっとも広範囲の乳腺切除術の手技を行うと、術後の合併症を起こす可能性が高くなった。


==本文から補足===
154件の手術のうち、66件で術後抗菌薬投与が行われ、88件では行われなかった。合併症として術後感染/膿瘍を起こした14件中、13件で術後抗菌薬の投与が行われていた。

Del Alcazar, Chelsea M., et al.
"Outcome, prognostic factors, and histological characterization of canine gastrointestinal sarcomas." 
Veterinary and comparative oncology (2021).

PubMedリンク PMID:
 33774909
本文:無料公開なし

タイトル:
犬の消化管肉腫の転帰、予後因子、組織学的特徴

==アブストラクト===
犬の消化管肉腫は、平滑筋肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)およびほかの稀な肉腫を含む腫瘍のグループであり、すべての消化管腫瘍のおよそ10-30%を占める。この研究の目的は、転帰を予測する予後因子を同定するために、組織学的特徴と臨床的な挙動の特徴を調べることである。

外科的に治療した消化管肉腫の犬について単一施設のデータベースを検索し、組織学的解析のできる組織が残っている47症例と、臨床的な転帰の解析が可能な42症例が得られた。腫瘍を有糸分裂数、壊死、出血、炎症について前向きに評価し、同様に、平滑筋アクチン、c-KIT、DOG-1に対する免疫組織化学染色によって分類を行なった。免疫組織化学的な分析により、32の腫瘍がGIST、14が平滑筋肉腫、1つが特定不能の肉腫と同定された。GISTと平滑筋肉腫の両方で、全体の中央生存期間(MST)は1024日(範囲31-1456)であり、腫瘍のタイプによる統計的な差はなかった(p=0.92)。この研究でのGISTの全体の転移割合は32.1%(n=9)であり、平滑筋肉腫の15.3%(n=2)と比べて有意な差はなかった(p=0.45)。多変量解析で、GISTの患者における有糸分裂数が9以下のと、すべての腫瘍タイプで完全な外科切除の達成は、中央生存期間の改善と相関した。GISTの患者では、c-KIT染色の強度も生存と正の相関を示し、弱い染色の症例では中央生存期間が250日であり、中程度から強い染色の症例では1418日であった(p=0.005)。

Masyr, Alison R., et al.
"Retrospective evaluation of thrombocytopenia and tumor stage as prognostic indicators in dogs with splenic hemangiosarcoma." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 258.6 (2021): 630-637.


PubMedリンク PMID:33683962
本文:無料公開なし

タイトル:脾臓血管肉腫の犬における予後指標としての血小板減少症と腫瘍ステージの回顧的評価

==アブストラクト===
目的:脾臓血管肉腫の犬において、罹患動物の無進行期間(PFI)と全体生存期間(OST)の予測に役立つ可能性のある身体検査所見と周術期のCBC所見を同定すること。

動物:2004年9月から2016年10月の間に脾臓摘出術と化学療法によって治療された脾臓血管肉腫をもつ家庭飼育犬70頭。

方法:ミネソタ大学獣医療センターの医療記録データベースを回顧的に検索し、脾臓摘出術と治療目的の化学療法で治療された脾臓血管肉腫のある犬を同定した。犬のシグナルメント、体表面積、脾臓摘出術前6日以内と手術後2日以内に行ったCBC、腹腔内出血または輸血の投与はあったかどうか、腫瘍ステージ、などの情報を収集した。ヘマトクリット値、白血球数、血小板数を分類変数(参照範囲上限より上、範囲内、下、の3つに分類)として扱った。変数とPFIまたはOSTとの関連を、Cox回帰分析で調べ、PFIまたはOSTの短縮に対するハザード比(HR)を報告した。母集団ピアソン相関係数(ρ)により、対象となる変数の潜在的な関連性を特定した。

結果:ステージ3の脾臓血管肉腫は、PFI(HR 6.6)およびOST(HR 4.5)の対する負の予後指標として同定された。周術期の血小板減少症も同様に、PFI(HR 2.2)とOST(HR 2.0)の短縮と関連していた。ヘマトクリット値は血小板数と相関し(ρ=0.58)、貧血とPFIの短縮との間に明らかな関連はしめさなかったが、除外することもできなかった。

結論と臨床的関連性
:血小板減少症の予後的価値は、因果と機序的な関連を理解するための更なる実証を必要とし、血小板減少症の存在の脾臓血管肉腫の犬に対する治療の選択のガイドとして価値を最終的に証明するかもしれない。

Fournier, Quentin, et al.
"Chemotherapy‐induced diarrhoea in dogs and its management with smectite: Results of a monocentric open‐label randomized clinical trial." 
Veterinary and Comparative Oncology 19.1 (2021): 25-33.


PubMedリンク PMID:
32562450
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル
:犬における化学療法誘発性下痢とスメクタイトによるその治療;単一施設非盲検ランダム化臨床試験の結果

==アブストラクト===
化学療法誘発性下痢は犬で頻繁にみられる化学療法有害事象である。しかし、その管理についてのコンセンサスは今のところまだない。スメクタイト天然の医療用粘土であり、ヒトでは急性下痢の治療で幅広く用いられている。この研究の目的は、犬の化学療法誘発性下痢の治療におけるスメクタイトの有用性を評価し、化学療法誘発性下痢に関する疫学データを収集することである。

下痢の各エピソードに対して、犬は以下の2つの治療グループにランダムに分けられた;スメクタイト群では、化学療法誘発性下痢の始まり時からスメクタイト0.5g/kg/日を2回に分けて経口投与し、対照群では最初の治療薬はなしとした。両群で、化学療法誘発性下痢が進行または48時間以内に改善しない場合に、レスキューのメトロニダゾールの処方を行った。2017年7月から2019年3月までに、60頭の犬が登録され、426回の化学療法の投与が行われた。

化学療法誘発性下痢の発生率は110/426回(25.8%;95%信頼区間21.7-30.2%)であり、投与された化学療法剤によって有意な差があった(P<0.001)。メトロニダゾールの投与は、スメクタイト群の5/54イベント(9.3%;3.1-20.3%)で行われ、対照群の40/56イベント(71.4%:57.5-82.3%)で行われた(p<0.001)。下痢が治るまでの時間は、対照群(中央値 53時間;四分位範囲 31.5-113.5)よりもスメクタイト群(19.5時間;13.5-32)で短かった(p<0.001)。

この研究の結果は、犬の化学療法誘発性下痢の第一選択治療としてのスメクタイトの投与を支持するものである。

Benjamin, Sarah E., et al.
"Response‐based modification of CHOP chemotherapy for canine B‐cell lymphoma."
 
Veterinary and Comparative Oncology (2021).


PubMedリンク PMID:33729654
本文:無料公開なし

タイトル
:犬のB細胞性リンパ腫に対するCHOP化学療法の反応ベース修正

==アブストラクト===
最初の反応率が高いにも関わらず、B細胞性リンパ腫の犬ではCHOPベースの化学療法に対してあまり強く反応せず、生存期間が短くなる。

リンパ節性B細胞性リンパ腫の犬104頭を、最初の化学療法のサイクル中の個々の薬剤への反応に基づいて修正した反応ベースCHOP(response-based CHOP;RBCHOP)プロトコルで治療した。ビンクリスチンとサイクロフォスファマイドの治療後に、3週間で完全寛解(CR)と部分寛解(PR)を達成した犬では、ビンクリスチン、サイクロフォスファマイド、ドキソルビシンを順次投与するRBCHOP1プロトコル(n=72)をうけた。3週間で検出される反応が得られず、その後のドキソルビシンの治療後ににCRまたPRを達成した犬は、ドキソルビシンが4回連続で投与され、その後にビンクリスチンとサイクロフォスファマイドが投与されるRBCHOP2プロトコル(n=14)をうけた。3週間で反応が得られず、ドキソルビシンを投与して5週間でも反応が得られなかった犬は、レスキュープロトコルに移行した(RBCHOP3、n=18)。無進行生存期間(PFS)と全体生存の中央値(OST)の中央値は、RBCHOP1(PFS 210日、OST 354日)とRBCHOP(PFS 220日、OST 456日)で類似していたが、RBCHOP3(PFS 34日、OST 80.5日)では有意に短かった(p<0.001)。患者集団でシグナルメントや血液学的項目に差はなかったが、RBCHOP2とRBCHOP3の犬では診断時にリンパ球増多症がより多かった(P=0.02、0.04)。

最初の治療サイクルの反応をもとに修正したプロトコルでは、過去に報告されたCHOPプロトコルの亜型と類似した毒性と転帰の結果となり、最初の治療サイクルでの反応がない犬の予後は依然として不良である。

Ryan, D., et al.
"Clinical findings, neurological manifestations and survival of dogs with insulinoma: 116 cases (2009‐2020)." 
Journal of Small Animal Practice (2021).


PubMedリンク PMID:33724496
本文:無料公開なし

タイトル:インスリノーマのある犬の臨床所見、神経学的徴候、および生存;116症例(2009-2020)

==アブストラクト===
目的:インスリノーマと診断された犬の臨床所見と転帰をレビューし、全生存を予測する因子を評価すること。さらに、この集団における神経学的徴候と、それらと生存との関連についてを記述すること。

方法:犬のインスリノーマの症例の回顧的多施設研究(2009-2020年)。シグナルメント、臨床病歴、神経学的検査、診断所見、治療、および転帰について、医療記録から収集した。単変量および多変量解析を行い、全体生存を比較した。

結果
:116症例が組み入れられた。来院前の臨床徴候の中央期間は1.5ヶ月であった。最も多い臨床徴候は虚弱(59.5%)、てんかん発作(33.6%)、および意識または行動の変化(27.6%)であった。3頭の犬で発作性ジスキネジアがみられた。32頭の犬で神経学的検査での異常があり、最も多かったのは鈍麻(28.1%)、引っ込反射の低下(21.9%)、威嚇反応の欠如(18.8%)であった。手術を行った犬の全体の生存期間は20ヶ月であり、内科的に治療した犬の8ヶ月よりも有意に長かった(調整ハザード比 0.33、95%信頼区間 0.18-0.59)。転移の存在は、予後と関連する唯一のその他の変数であった(調整ハザード比 1.72、95%信頼区間1.02-2.91)。

臨床的意義
:犬のインスリノーマの臨床徴候はあいまいで非特異的っである。虚弱、てんかん発作、意識または行動の変化が最も多く報告された。意識状態の鈍麻と前脳の神経局在化が主な神経学的徴候であった。手術を行った犬は、内科治療を行った犬と比べて生存期間が長く、転移のある犬では治療法に関わらず生存期間が短かった。神経学的検査での異常は予後とは相関しなかった。

Chocteau, Florian, et al.
"One‐year conditional survival of dogs and cats with invasive mammary carcinomas: A concept inspired from human breast cancer." 
Veterinary and comparative oncology 19.1 (2021): 140-151.


PubMedリンク PMID:
32954630
本文:無料公開あり(全文

タイトル:浸潤乳腺癌の犬と猫にの1年条件付き生存;ヒトの乳がんから触発された概念

==アブストラクト===
犬と猫の乳腺癌の予後因子、つまり診断後の患者の生存を予測する変数についてを説明する研究は多くある。しかし、がんによる早期死亡を回避した患者における生存推定はどのように展開させれば良いだろうか?ヒトの腫瘍学では、条件付き生存、つまりがん患者がすでにY年生存している場合にさらにX年生存する確率を使用して、長期的な視点でがんの転帰を分析する。

このコホートでは、ステージ1〜3の乳腺癌を外科的に切除し、最低2年のフォローアップを行った犬344頭と猫342頭が含まれ、1年条件付き生存、すなわち1年間生存した患者がその後の年に生存またはがんで死亡する確率を計算した。1年条件付き生存確率は、浸潤性乳腺癌の診断時に犬で59%、猫で48%であり、1年生存した犬は80%、猫で52%であり、これらから1年生存した犬は比較的に腫瘍関連しから免れており、一方で猫の乳腺腺癌は長期間、生命を脅かすがんであることが示唆された。生存する犬と猫に関連する最も重要なパラメータの中で、リンパ節のステージとリンパ管内への浸潤、それと同様に犬における年齢、腫瘍ステージ、およびマージンの状態があった。対照的に、腫瘍の大きさと組織学的グレードは、生存した犬と猫における条件付き生存の確率を有意に変化させなかった。

条件付き生存は、腫瘍生存者の転帰の確率を推定するために臨床獣医師にとって非常に興味深いツールとみなすことができるかもしれない。

Yamazaki, Hiroki, et al.
"Assessment of biomarkers influencing treatment success on small intestinal lymphoma in dogs."
 
Veterinary and Comparative Oncology (2020).


PubMedリンク PMID:32920923
本文:無料公開なし

タイトル:犬の小細胞性消化器型リンパ腫の治療の成功に影響を与えるバイオマーカの評価

==アブストラクト===
この研究の目的は、犬の限局性小細胞性消化器型リンパ腫における信頼できる治療バイオマーカを、臨床的特徴と病理組織学的特徴をもとに決定することである。

小細胞性消化器型リンパ腫の犬84頭を回顧的に調査し、手術をうけた犬36頭と化学療法をうけた犬48頭を含めた。手術を受けた犬は以下の2つのサブグループに分類された;全生存期間が120日未満の犬18頭(グループ1)と120日以上の犬18頭(グループ2)。同様に、化学療法を受けた犬も以下の2つのサブグループに分類した;全生存期間が98日未満の犬24頭(グループ3)と98日以上の犬24頭(グループ4)。臨床的、血液学的、病理組織学的、および免疫組織化学的な分析によって、4つのサブグループを比較評価した。

手術と化学療法のグループで生存期間に有意な差はなかった。手術をうけた犬では、Ki-67陽性の細胞の割合が、グループ2に比べてグループ1で有意に多く、グループ3と4の間には有意な差はなかった。化学療法をうけた犬では、O6メチルグアニンDNAメチルトランスフェラーぜ(MGMT)の割合が、グループ4よりもグループ3で有意に多く、グループ1と2の間には有意な差はなかった。さらに、Ki-67の発現は手術よりも化学療法で有意に増加する可能性と、MGMTの発現は化学療法よりも手術で有意に増加する可能性が示され、Ki67とMGMTはそれぞれに独立していた。

Ki67とMGMTの指標は、犬の限局性小細胞性消化器型リンパ腫の理想的な最初の治療を決定するための治療バイオマーカであることが示唆された。

Karbe, Georga T., et al.
"Evaluation of scar revision after inadequate primary excision of cutaneous mast cell tumors in 85 dogs (2000–2013)." 
Veterinary Surgery (2021).

PubMedリンク PMID:
33666268
本文:無料公開なし

タイトル:皮膚肥満細胞腫の不十分な一次切除後の瘢痕形成術に関する評価;85頭の犬(2000-2013)

==アブストラクト===
目的:肥満細胞腫の不完全切除に続き瘢痕形成術が行われたある犬における局所再発と疾患進行に関連する因子と、残存腫瘍の頻度について調べること。

研究デザイン:回顧的研究。

動物:犬85頭。

方法:2000年1月から2013年4月の間の医療記録をレビューした。切除された瘢痕のうち23(27%)で肥満細胞腫の残存がみつかった。肥満細胞腫の残存のある瘢痕の7つ(8%)では、マージンが不完全または狭かった。68頭(69腫瘍)で追跡情報が得られ、中央期間は403日(範囲 4-2939)であった。局所再発は3頭で、212日、555日、993日でみられた。病気の進行は10頭(14.5%)で局所転移、または全身転移として起こり、中央期間は207日(範囲 64-1583)であった。マージンの状態と、切除された瘢痕における肥満細胞腫の存在は、局所再発または疾患進行と関連がなかった。リンパ節転移(p=0.004)、局所再発(p=0.013)、および疾患進行(p=0.001)は、グレードⅢの腫瘍で有意に見れれやすかった。

結論:切除された瘢痕の27%に肥満細胞腫の残存があったが、外科的形成後の最初はあまりなかった。

臨床的意義
:臨床医は、局所再発および疾患進行の可能性を推定し、瘢痕切除後の肥満細胞腫の補助治療の必要性を判断するために、腫瘍のグレードを考慮する必要がある。

Duckett, Margaret E., et al.
"Fasting reduces the incidence of vincristine‐associated adverse events in dogs." 
Veterinary and Comparative Oncology (2020).


PubMedリンク PMID:33448618
本文:無料公開なし

タイトル:絶食は犬のビンクリスチン関連の有害事象の発生を減らす

==アブストラクト===
絶食は、一部にはインスリン様成長因子(IGF-1)の減少により、化学療法関連の有害事象を減らすことが示されており、マウスとヒトでは化学療法中の正常細胞への保護効果を導く可能性が示されている。この研究の目的は、ビンクリスチンの投与をうけた犬において、絶食が体質、骨髄有害事象、消化管有害事象、血清グルコースレベル、血清インスリンレベルに与える影響を調べることである。

この研究は、腫瘍のある犬における前向きクロスオーバー臨床試験である。犬は、1回目または2回目のビンクリスチン投与時に投与前24-28時間の絶食と投与後6時間の絶食とし、もう一方の投与では通常通りに食事を与えた。絶食をした場合の犬では、吐き気、食欲低下、元気消失、および血清インスリンの有意な低下がみられたが、その他の消化器徴候、好中球数、血清グルコース、IFF-1では有意な差はなかった。

腫瘍のある犬において、ビンクリスチン投与前の絶食は、体調や消化器の有害事象を和らげるための安全で有効な方法である。

Reck, A., and M. Kessler.
"Melanocytic tumours of the nasal planum in cats: 10 cases (2004–2019)." 
Journal of Small Animal Practice (2020).

PubMedリンク PMID:33244779
本文:無料公開なし

タイトル
猫の鼻平面のメラノサイト腫瘍;10症例(2004-2019)

==アブストラクト===
目的:猫の鼻平面のメラノサイト腫瘍のシグナルメント、生物学的挙動、および治療と転帰についての特徴をよく調べること。

方法
:鼻平面のメラノサイト腫瘍を病理組織学的に確定診断した猫についての回顧的研究。

結果:鼻平面のメラノサイト腫瘍のある猫10頭が同定された。鼻平面の色素は素因のようだった。7頭は病理組織学的に悪性黒色腫と診断され、3頭は良性の黒色種と診断された。1頭は高分化型のメラノサイト腫瘍と診断されたにも関わらず、リンパ節転移を起こした。4頭では、色素性の腫瘤がは最初は長j期間安定していたが、悪性形質転換を示唆するように突然に急速な進行を示した。治療は、低分割放射線治療(n=6)と外科的切除(n=1)が含まれた。3頭の猫はそれ以上の治療を行わなかった。放射線治療をうけた猫では、完全寛解(n=3)と部分寛解(n=3)が観察されたが、すべての症例で短期間の間に進行または最初がみられた。ほとんどの猫は腫瘍の進行のために安楽死された(中央生存期間 256日)。

臨床的意義
:この症例シリーズは、鼻平面のメラノサイト腫瘍のある猫の臨床徴候と臨床的な転帰についての考察を提供する。

Williams, Ashlyn G., Ann E. Hohenhaus, and Kenneth E. Lamb.
"Incidence and treatment of feline renal lymphoma: 27 cases." 
Journal of Feline Medicine and Surgery (2021): 1098612X20984363.


PubMedリンク PMID:33464143
本文:無料公開なし

タイトル
猫の腎臓リンパ腫の発生率と治療;27症例

==アブストラクト===
目的:リンパ腫は最も多い猫の造血器系悪性腫瘍である。猫のリンパ腫症例の大集団の一部としての腎臓リンパ腫の発生率は報告されていない。過去の研究で腎臓リンパ腫は、単一のものと、多中心性の一部の両方で報告されている。腎臓リンパ腫に関する臨床徴候、診断評価、治療、および転帰は、1987年のMooneyらの報告以来、報告されていない。この回顧的研究の目的は、腎臓リンパ腫の発生率、臨床徴候、治療、および生存について記述することである。

方法:2008年1月から2017年10月までの間にリンパ腫と診断された猫のデータベースを用いて、腎臓リンパ腫の猫を選択してさらに解析をした。症例は、Mooneyら(1987)とGaborら(1998)にしたがって回顧的にステージングした。年齢、臨床徴候、臨床病理学的データ、画像診断所見、リンパ腫の診断方法、治療プロトコル、および生存期間に関する情報を収集した。投与された治療、腎臓リンパ腫vs多中心型リンパ腫、中枢神経系への浸潤、高窒素血症の存在、貧血、診断時にIRISステージを比較分析した。

結果:リンパ腫の猫740頭の集団のうち、27頭の猫が腎臓リンパ腫であり(発生率 3.6%)、そのうち14頭は多中心型リンパ腫であった。Mooneyらの報告と比較して、このデータではステージⅣおよびⅤの症例はほとんどいなかったが、すべての猫が完全なステージングを行っているわけではなかった。中央生存期間(範囲)は、コルチコステロイド単独治療をうけた猫で50日(20-1027日)であり、L-CHOP(Lアスパラギナーゼ、ビンクリスチン、サイクロフォスファマイド、ドキソルビシン、プレドニゾロン)の治療をうけた猫では203日(44-2364日)であった。

結論と臨床的意義
:臨床ステージも他の因子も、生存期間を予測しなかった。適切な化学療法プロトコルを決定するためには、前向き研究が必要である。

Mendez, Susan Esther, Sarah E. Sykes Crumplar, and Amy C. Durham.
"Primary Hemangiosarcoma of the Falciform Fat in Seven Dogs (2007–2015)."
 
Journal of the American Animal Hospital Association 56.2 (2020): 120-126.


PubMedリンク PMID:31961215
本文:無料公開なし

タイトル
:鎌状間膜の脂肪の原発性血管肉腫の犬7例

==アブストラクト===
犬の血管肉腫は、血管内皮または骨髄前駆細胞由来も悪性腫瘍であり、脾臓、心臓、肝臓などに発生し、アグレッシブな生物学的挙動をとるのが一般的である。鎌状間膜/脂肪から発生する犬の血管肉腫はまれな解剖学的部位であり、獣医学文献では2つの報告があるのみである。

この研究では、鎌状間膜の原発性血管肉腫の犬7頭における臨床徴候、治療、および転帰についてを記述する。組織学的グレードと有糸分裂スコアは転帰と有意に関連しなかった。剖検時に診断された1頭をのぞいて、すべての犬で原発巣は外科的に切除された。生前に診断された犬の全体生存期間の中央値は339日であり、1年生存率は50%であった。4頭は補助的化学療法をうけ、化学療法を受けなかった犬に比べて中央生存期間が有意に長かった(394日 vs 83日;p=0.018)。

鎌状間膜の血管肉腫の犬では、よくある内臓部位の血管肉腫の犬に比べて、1年生存率が高い可能性がある。

Martin, Tiffany Wormhoudt, et al.
"Outcome and prognosis for canine appendicular osteosarcoma treated with stereotactic body radiation therapy in 123 dogs." 
Veterinary and comparative oncology.2021.


PubMedリンク
 PMID:33403752
本文:無料公開なし

タイトル:定位放射線治療で治療された四肢の骨肉腫の犬の転帰と予後;123頭

==アブストラクト===
 犬の四肢の骨肉腫は一般に断脚によって治療されるが、肢温存のオプションが望まれるあるいは必要となる患者もいる。私たちは定位放射線治療で治療された123頭、130部位についての評価を行った。98頭中82頭(84%)で、中央値3週間で跛行の最大の改善がみられ、中央値で6ヶ月間持続した。断脚および剖検によって得られた入手可能なサンプル病理組織学的評価では、局所的な病気の制御ができていた肢の50%で、>80%の腫瘍の壊死が明らかとなった。評価可能な患者のうち、治療後に41%で骨折がおこり、21%は断脚が必要になった。腫瘍のサンプリングなし(n=50)と比べて、FNA(n=52)と針コア生検(n=28)は骨折のリスクを増加させなかった。中央生存期間は233日であり、最初のイベントまでの期間は143日であった。肉眼的な腫瘍体積と計画されたターゲット体積は、生存と有意に逆相関し、腫瘍の位置は生存と有意に関連していた。サルベージの断脚を行った犬は、行わなかった犬に比べて中央生存期間が有意に長かった(346日 vs 202日;p=0.04)。15頭の犬における治療時の転移の存在は、生存期間に有意な影響を与えなかった(200日 vs 237日;P=0.58)。皮膚の副作用は線量と有意に相関し、急性のグレード3の影響のあった犬の33%の犬が、その結果として晩発生のグレード3の影響をうけた。定位放射線治療は多くの患者で跛行を改善する一方、早期骨折のリスクが低い患者を
治療開始前に特定するためにはさらなる調査が必要である。

Villedieu, Erika J., et al.
"Prevalence of pulmonary nodules suggestive of metastasis at presentation in dogs with cutaneous or subcutaneous soft tissue sarcoma." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 258.2 (2021): 179-185.


PubMedリンク PMID:33405989
本文:無料公開なし

タイトル:皮膚または皮下の軟部組織肉腫の犬における転移を示唆する肺結節の来院時の有病率

==アブストラクト===
目的:皮膚または皮下の軟部組織肉腫があり、過去に関連した胸部画像診断のない犬において初回来院時に、転移を示唆する肺結節の有病率を調べること。

動物:皮膚または皮下の軟部組織肉腫のある家庭飼育犬146頭。

方法:医療記録を回顧的に検索し、2014年11月から2018年3月までの間に紹介検査で来院した際に初回の胸部画像診断を行った軟部組織肉腫の犬を同定した。患者の特徴と腫瘍の特徴に関するデータを収集した。結果と評価し、任意の項目(軟部組織肉腫のグレード、期間、病歴など)に基づいて犬を分類した。

結果
:初回の胸部画像診断はCT(131/146[89.7%])またはレントゲン(15/146[10.3%])で行われた。胸部画像診断にいて転移を疑う肺結節の有無は9頭で不確かであったが、残りの137頭では確かであり、16頭(11.7%)で結節があった(軟部組織肉腫グレード1;5/77頭[6%]、グレード2;2/36[6%]、グレード3;9/24[38%])。初回検査時にこれらの肺結節が存在するかオッズは、グレード1,2に比べてグレード2の犬で高く(オッズ比10.8)、軟部組織肉腫の期間が3ヶ月以下よりも3ヶ月以上の犬で高かった(オッズ比10.8、3.14)。

結論
:この結果により、グレード1または2の皮膚または皮下の軟部組織肉腫の犬、特に腫瘍の存在が3ヶ月以下の場合に、肺のステージングは得るもの少ない診断手技であることを示唆している。

Del Magno, Sara, et al.
"Evaluation of the neoplastic infiltration of the skin overlying canine subcutaneous soft tissue sarcomas: an explorative study." 
Veterinary and Comparative Oncology.


PubMedリンク PMID:33423367
本文:無料公開なし

タイトル
:犬の皮下軟部組織肉腫を覆う皮膚の腫瘍性浸潤の評価;探索的研究

==アブストラクト===
犬の皮下軟部組織肉腫を覆う皮膚の腫瘍性浸潤に関する研究は欠如している。腫瘍の浸潤がない症例では、その部位の皮膚を残せる可能性があり、それは手術をシンプルなものにできるかもしれない。この研究の目的は、皮下軟部組織肉腫を覆う皮膚に腫瘍細胞の浸潤があるかどうかを調べることである。

外科的に治療された皮下軟部組織肉腫の犬を前向きに組み入れた。切除後、切断面の自然な外科的平面に沿って皮膚を切離して、組織学的に評価した。皮下軟部組織肉腫のある犬29頭(グレード1;22頭、グレード2;6頭、グレード3;1頭)が組み込まれた。軟部組織肉腫を覆う皮膚は、14/29頭(48.3%)で腫瘍の浸潤がなかった。グレードの高い皮下軟部組織肉腫では、高い割合で腫瘍の浸潤が観察された(グレード2と3;100%、P=0.006)にもかかわらず、グレード1の軟部組織肉腫でも8/22頭(36%)で皮膚浸潤を示した。この浸潤は腫瘍に接する皮膚の真皮を巻き込んでいた(多発性11、びまん性4)。グレード1の皮下軟部組織肉腫では皮膚への腫瘍浸潤は少なく、局所制御のためには広範囲の切除が最も安全な治療である皮下軟部組織肉腫は依然としてあるものの、この研究によってアグレッシブさの少ない皮膚切除の可能性についてが示され、しかし皮下軟部組織肉腫に直接接する皮膚のみが腫瘍浸潤していることが示されており、局所の治癒目的となる。

特に低グレードの皮下軟部組織肉腫において、この皮膚だけを切除することで完全な局所制御が保証される可能性を確認するために、さらなる研究が必要となる。

Grozdanic, Sinisa D., et al.
"Presumed cancer‐associated retinopathy (CAR) mimicking Sudden Acquired Retinal Degeneration Syndrome (SARDS) in canines." 
Veterinary Ophthalmology (2020).


PubMedリンク PMID:33369040
本文:無料公開あり(全文

タイトル:犬における突発性後天性網膜変性症に似たがん関連網膜症の疑い

==アブストラクト===
目的:犬の突発性後天性網膜変性症(SARDS)に似たがん関連網膜症の疑いに関する機能的および構造的な特徴を記述し、治療結果についてを記述すること。

動物:アメリカの8つの州とカナダで、12人の眼科医にSARDSまたは免疫介在性網膜炎と診断された17頭を対象とした。死亡した7頭からの9つの眼を、マイクロアレイ、組織学、または免疫組織化学によって分析した。

方法:犬は、完全な全身検査に加えて、網膜写真、光干渉断層計(OCT)、有色光瞳孔反射検査(cPLR)、網膜電図(ERG)を含む完全な眼科検査をうけた。網膜組織の組織学的および分子学的な変化を評価するために、組織学、マイクロアレイ、免疫組織化学による分析をがん関連網膜症の網膜で行った。

結果:以前に確立されたSARDSの診断基準(平坦なERG + 赤色陰性/青色陽性のPLR)を満たした患者はいなかった。すべての患者で腫瘍が診断された;髄膜腫(24%)、肉腫(18%)、下垂体腫瘍(12%)、扁平上皮癌(12%)、ほか(34%)。診断からの中央生存期間は6ヶ月(範囲1-36)であった。最も多い全身性の異常には、タンパク尿(78%)、肝酵素の上昇(47%)、代謝性変化(PU/PD、多食)(24%)。免疫抑制療法は、治療をけた患者の44%で失明からの改善をもたらし、治療をうけた患者の61%で視覚の回復および/または維持がみられた。視覚維持期間の中央値は5ヶ月(範囲1-35)であった。

結論
:観察された変化は、免疫介在性網膜炎-がん関連網膜症の眼における免疫介在性の障害を強く示唆していた。比較的高い割合のがん関連網膜症の患者が、免疫抑制療法によく反応した。

Skinner, Owen T., Carlos H. de M. Souza, and Dae Young Kim.
"Metastasis to ipsilateral medial retropharyngeal and deep cervical lymph nodes in 22 dogs with thyroid carcinoma." 
Veterinary Surgery (2020).


PubMedリンク PMID:33284496
本文:無料公開なし

タイトル:甲状腺癌の犬22頭における同側の内側咽頭後リンパ節および深頸リンパ節への転移

==アブストラクト===
目的:甲状腺癌を外科的に治療した犬における内側咽頭後リンパ節と深頸リンパ節への転移の割合を調べること。

研究デザイン:回顧的研究。

動物:家庭飼育犬22頭。

方法:ミズーリ大学とフロリダ大学で2015年7月から2019年10月までの医療記録をレビューした。甲状腺切除と選択的な内側咽頭後リンパ節切除±深頸リンパ節切除を同時に行った犬が組み入れられた。腫瘍の部位、術前ステージング、および病理組織学的所見について記録した。

結果:22頭の犬で、合計で26の甲状腺癌が含まれた。原発腫瘍は19頭で片側性であり、2頭が両側性、1頭が両側性と正中の異所性であった。すべての犬で同側の内側咽頭後リンパ節切除を行い、両側性の腫瘍では両側のリンパ節切除を行った。片側性腫瘍の犬のうち、3頭で対側の内側咽頭後リンパ節の切除が行われた。4つの深頸リンパ節と、1つの浅頚リンパ節が切除された。22頭中10頭(45%)の犬の14のリンパ節で転移がみられた。4つの切除された深頸リンパ節と、対側の内側咽頭後リンパ節の1つで、転移が確認された。沈着のサイズは転移性リンパ節14のうち13で分類された。肉眼的転移が7つのリンパ節で検出され、顕微鏡的転移が1つのリンパ節で検出、5つのリンパ節では孤立した腫瘍細胞が検出された。

結論:甲状腺癌の犬のこの集団のリンパ節サンプルでは、領域転移は一般的であった。

結論
:この結果は、領域リンパ節転移の割合を検証し、リンパ節転移が予後に与える影響を調べるために、より大きな集団でのさらなる調査を正当化するための根拠となる。

Lancellotti, Brittany A., et al.
"Age-and breed-matched retrospective cohort study of malignancies and benign skin masses in 660 dogs with allergic dermatitis treated long-term with versus without oclacitinib."
 
Journal of the American Veterinary Medical Association 257.5 (2020): 507-516.


PubMedリンク PMID:3
2808904
本文:無料公開なし

タイトル:アレルギー性皮膚炎がありオクラシチニブの長期治療を行った犬と行っていない犬660頭における悪性腫瘍と良性皮膚腫瘤に関する年齢および品種調整した後ろ向きコホート研究

==アブストラクト===
目的
アレルギー性皮膚炎がありオクラシチニブの長期治療を行った犬と行っていない犬において、悪性腫瘍と良性皮膚腫瘤の累積発生率、死亡または安楽死の平均年齢を比較すること。

動物:家庭飼育犬660頭。

方法:医療記録を検索し、アレルギー性皮膚炎を6ヶ月以上オクラシチニブで治療(曝露群 n=339)およびオクラシチニブ導入前に他の利用可能な治療(非曝露群 n=321)を行い、24ヶ月以上の追跡情報が利用可能な犬を同定した。非曝露群の犬は、曝露群の犬321頭と年齢および品種を一致させた。残りの18頭の曝露群の犬も統計解析に含めた。両群間で、悪性腫瘍の累積発生と他の項目の結果を比較し、オクラシチニブの維持投与日量が、悪性腫瘍とその他の皮膚腫瘤の累積発生に与える影響を、曝露群内で評価した。

結果
:悪性腫瘍または全体の皮膚腫瘤の累積発生、および死亡または安楽死の平均年齢において曝露群(16.5%[56/339]、56.6%[192/339]、11.2歳齢[n=80])と非曝露群(12.8%[41/321]、58.3%[187/321]、11.8歳齢[n=71])の間に意味のある差は検出されなかった。暴露群の犬におけるオクラシチニブの維持投与日量と、悪性腫瘍または良性の皮膚腫瘤のオッズとの間に関連はみられなかった。

結論
:結果により、オクラシチニブによる長期治療は犬の悪性腫瘍のリスクを増加させないことがしめされた。しかし、獣医師は引き続きオクラシチニブに関するFDA承認のラベル警告および注意事項を遵守し、オクラシチニブの有無にかかわらず治療されたアレルギー性皮膚炎の犬における腫瘍を定期的にスクリーニングすべきである。


利益相反
:著者の中にゾエティス社からの利益享受している人が複数あり


==訳者コメント===
有意差がないとしても、オクラシチニブのほうが悪性腫瘍の発生はやや多いようにみえます。
またそもそも非オクラシチニブ群でもシクロスポリンをはじめとして様々は薬が使われており、こちらの群でも通常よりも悪性腫瘍の発生が多い可能も考えられます。

Cleveland, Matthew J., and Sue Casale.
"Incidence of malignancy and outcomes for dogs undergoing splenectomy for incidentally detected nonruptured splenic nodules or masses: 105 cases (2009–2013)." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 248.11 (2016): 1267-1273.


PubMedリンク PMID:
27172343
本文:無料公開なし

タイトル:偶発的に検出された破裂のない脾臓結節まはた腫瘤に対して脾臓摘出術を行った犬における悪性腫瘍の有病率と転帰

==アブストラクト===
目的
偶発的に検出された破裂のない脾臓結節まはた腫瘤に対して脾臓摘出術を行った犬における悪性腫瘍の頻度と生存率を調べること。

デザイン:回顧的症例シリーズ。

動物:家庭医飼育犬105頭。

方法:2009年から2013年の間に獣医教育病院で脾臓摘出をうけた犬の医療記録を調べ、腹腔内出血を伴わない偶発的に検出された破裂のない脾臓結節/腫瘤のある患者を同定した。組織学的な確定診断のある犬だけを組み入れた。シグナルメント、術前の診断検査、周術期の輸血、脾臓腫瘍の直径、組織学的所見、補助治療、おようび生存期間に関する情報を収集して分析した。

結果;105頭中74頭(70.5%)が良性の脾臓病変であり、31頭(29.5%)が悪性腫瘍でああり、そのうち血管肉腫(18/31[51%])が最も多かった。死亡のハザードは、術前のPCVの高さとともに減少し、悪性腫瘍の組織学的診断は死亡のハザードの増加と関連した。平均余命は良性病変の犬で436日、悪性病変の犬で110日であった。良性病変の74頭中41頭と、悪性病変の31頭中3頭が、この研究終了時に生存していた。血管肉腫の余命の中央値は132日であり、その18頭中7頭だけが化学療法をうけた。

結論と臨床的意義
:腹腔内出血と関連していない偶発的にみつかった破裂していない脾臓の結節/腫瘤は、良性であることが多かった。この結果にから、偶発的にみつかった良性または悪性の脾臓病変の余命は、過去に報告された他の研究集団のものよりも良いことが示唆された。

Cavalcanti, Jacqueline VJ, et al.
"Outcome in dogs undergoing adrenalectomy for small adrenal gland tumours without vascular invasion." 
Veterinary and Comparative Oncology (2020).


PubMedリンク PMID:32141158
本文:無料公開なし

タイトル
:血管浸潤のない小さな副腎腫瘍の副腎摘出術を行なった犬の転帰

==アブストラクト===
犬の副腎摘出術の転帰について報告した獣医学研究はあるが、これらの研究は副腎腫瘍のサイズが幅広く、血管浸潤があるものもないものも含んでいるのが典型的である。この研究の目的は、副腎摘出を行い血管浸潤のない小さな副腎腫瘍が組織的に確認された犬の集団における転帰を報告することである。

この回顧的研究は2010年から2017年の間にフロリダ大学とカルフォルニア-デイビス大学のデータベースのデータを用いて行われた。CTによる評価で
いかなる部位でも血管浸潤の所見がなく最大径3cm以下の副腎腫瘍の切除を行なった犬を組み入れた。51頭の犬が組み入れ基準をみたした。副腎摘出術を行なった犬の短期生存率は92.2%であり、1年疾患特異的生存率は83.3%であった。51頭中28頭(54.9%)の犬が悪性腫瘍と診断された。軽度な合併症が術中と術後に多く観察された。重篤な合併症は6頭で観察され、急死、呼吸停止、急性腎障害、出血、低血圧、誤嚥性肺炎が含まれた。急死と出血は死亡を招く最も多い合併症であった。

副腎摘出術は高い周術期死亡率が過去に報告されているため、その実施は物議を醸すことがあるが、この研究の結果は血管浸潤のない小さな腫瘍に対する副腎摘出術は、低リスクで実施できることを示している。

Sheppard‐Olivares, Sabina, et al.
"Toceranib phosphate in the treatment of canine thyroid carcinoma: 42 cases (2009‐2018)." 
Veterinary and Comparative Oncology (2020).


PubMedリンク PMID:32012432
本文:無料公開なし

タイトル
:犬の甲状腺癌に治療におけるリン酸トセラニブ;42症例(2009-2018)

==アブストラクト===
甲状腺癌は犬で最もよくみられる内分泌悪性腫瘍である。甲状腺切除と放射線治療により局所病変の制御を行うが、常に実行可能とは限らず、有効な内科治療の特定が必要である。リン酸トセラニブは甲状腺癌のある犬に臨床的利益を与えるという報告があるが、治療歴のない甲状腺腫瘍におけるその役割は十分に述べられてはいない。この研究の目的は、未治療な病態またはすでに治療されている状態の両方における犬の甲状腺癌の治療としてトセラニブの使用についてを記述することである。

医療記録を検索し、甲状腺癌と診断してトセラニブで治療した犬42頭
(26頭が未治療の状態、16頭が以前の治療あり)が同定された。未治療の犬の23頭(88.4%)と以前の治療ありの犬12頭(75%)が臨床的利益を得た。無進行期間(PFI)の中央値[95%信頼区間]は、未治療の犬で206日[106-740]、以前の治療ありの犬で1015日[92-1015]であった。全体生存期間(OS)の中央値は、未治療の犬で563日[246-916]、以前の治療がある犬で1082日[289-1894]であった。全体で、過去の治療状態の違いによるPFIに差はなかった(p>0.20)。しかし、診断時に無症候性であった場合に、以前の治療ありの犬に比べて未治療犬では生存予後が不良であった(推定ハザード比 17.2[1.8-163])。

この研究では、未治療および治療介入済みの両方の場合におけるトセラニブで治療された甲状腺癌の犬のPFI、全生存期間、臨床的有用性についての特徴を述べている。

Badanes, Zachary, Filipe Espinheira Gomes, and Eric C. Ledbetter.
"Choroidal melanocytic tumors in dogs: A retrospective study." 
Veterinary Ophthalmology.


PubMedリンク PMID:33085213
本文:無料公開なし

タイトル:犬の脈絡叢メラノサイト腫瘍;回顧的研究

==アブストラクト===
目的:獣医教育病院における脈絡膜メラノサイト腫瘍と診断された犬の臨床的特陵を記述すること。

動物:脈絡膜メラノサイト腫瘍のある犬13頭(14腫瘍)の回顧的症例シリーズ。

方法
コーネル大学眼科で2008年から2020年の間に脈絡膜メラノサイト腫瘍と臨床診断された犬の医療記録をレビューした。脈絡膜メラノサイト腫瘍は、網膜の下にある境界明瞭な隆起した色素性の脈絡膜病変と臨床的に定義された。利用可能な場合には、病理組織学的結果を参照した。シグナルメントと臨床的特徴を記録した。シグナルメントと、眼底検査での位置、病理組織学的所見、治療、および転帰を含む臨床的特徴を記録した。

結果
:脈絡膜メラノサイト腫瘍が犬13頭、14眼で同定された。犬の平均年齢(±標準偏差)は8.6歳齢(±3.5)であった。7つの異なる犬種があり、ラブラドール/ラブラドール系雑種がもっとも多かった。14のメラノサイト腫瘍のうち、10が偶発的に診断された。4頭は視覚喪失と眼の不快感を訴え、摘出後の病理組織検査で診断された。偶発的にみつかった脈絡膜メラノサイト腫瘍の犬1頭で肺転移が疑われた。眼底検査による位置は8個のメラノサイト腫瘍で利用でき、6個(75%)がタペタム領域に位置していた。病理組織学的心眼は3眼でメラノサイトーマ、1眼で悪性メラノーマであり、50%で視神経乳頭の浸潤がみられた。摘出後の局所再発はみられなかった。

結論
:犬の脈絡膜メラノサイト腫瘍はまれである。転移はまれであり、1頭で疑われたのみであったが、眼内の腫瘍の増殖は網膜剥離、緑内障を起こし、摘出が必要となる可能がある。

Purzycka, Katarzyna, et al.
"Clinicopathological characteristics and prognostic factors for canine multicentric non‐indolent T‐cell lymphoma: 107 cases."
 
Veterinary and Comparative Oncology (2020).


PubMedリンク PMID:32163214
本文:無料公開なし

タイトル
:犬の多中心型非インドレントT細胞性リンパ腫の臨床病理学的特徴と予後因子;107症例

==アブストラクト===
犬のリンパ腫は、最も多い造血系悪性腫瘍であり、不均一な疾患グループを含み、T細胞性の免疫表現系内でさえ臨床所見と治療への反応が異なる。この回顧的研究の目的は、ロムスチンベース(70%)および非ロムスチンベース(30%)の治療をうけた多中心型非インドレントT細胞性リンパ腫の犬107頭の転帰と予後因子を調べることである。

ラブラドール、ボクサー、雑種犬、およびボルドー・マスティフが大部分をしめた。86%がサブステージbであり、77%で縦隔浸潤があり、15%で骨髄浸潤が疑われ、12%で他の節外性病変がみられた。導入療法への全体の反応率は80%であり、導入プロトコルにプロカルバジンを含めた犬(p=0.042)、好中球数が870/μlを下回った犬(p=0.006)、有糸分裂率が5高倍率視野あたり10以下の犬(p=0.013)は、反応率が高かった。初回寛解後の無進行生存期間(PFS)の中央値は105日であり、フローサイトメトリーにおけるCD3発現の欠如(p<0.0001)、事前のステロイド治療(p=0.012)は、PFSの短縮と有意に関連した。全生存期間の中央値は136日であり、CD79aの供発現(p=0.002)、フローサイトメトリーにおけるCD3発現の欠如、貧血の存在(p=0.007)、単球減少症(p=0.002)は、全生存期間の短縮を予測した。

犬の多中心型非インドレントT細胞性リンパ腫のは、新たな予後因子の可能性をもつ攻撃性の高いがんである。

Wood, Christopher J., et al.
"Biological behaviour and clinical outcome in 42 cats with sarcoids (cutaneous fibropapillomas)." 
Veterinary and Comparative Oncology (2020).


PubMedリンク PMID:32304135
本文:無料公開なし

タイトル
サルコイド(皮膚線維乳頭腫)のある猫42頭の生物学的挙動と臨床転帰

==アブストラクト===
猫のサルコイド(または皮膚線維乳頭腫)はまれな皮膚腫瘍である。これらの臨床的挙動に関する挙動は報告されていない。この回顧的多施設間研究の目的は、猫のサルコイドの臨床的特徴と生物学的挙動について記述し、外科的切除後の腫瘍学的転帰にを調べることである。

検査所のデータベースと6つの寄稿施設の医療記録を検索し、組織学的にサルコイドと確定された猫を同定した。42頭の猫がこの研究に組み入れられた。サルコイドの多くは顔、特に口唇や鼻平面などの吻側部位に発生した。完全切除が18頭、不完全切除が21頭で行われた。全体の局所再発率は40.5%であった。不完全切除のサルコイドの猫(局所再発率66.7%、無病期間250日)に比べて、組織学的な完全切除の猫では局所再発率が有意に低く
(11%)、無病期間が有意に長かった(達せず)。組織学的に完全切除の猫では局所再発が1年で0%、2年で7%であったの対し、不完全切除の猫ではそれぞれの時点でともに67%であった。局所再発後に根治目的での再手術を行った猫のうち5頭(83.3%)ではそれ以上の局所再発はなかった。腫瘍関連で続発する原因により死亡した猫はすべて、最初の手術で不完全切除であり、局所再発を理由に安楽死された。

猫のサルコイドでは、組織学的な完全切除、腫瘍の局所制御、および治癒の可能性のために、広範囲の外科切除が推奨される。組織学的な不完全切除、または局所再発のある猫には、再手術が推奨される。

Latifi, Max, et al.
"Clinical outcomes in dogs with localized splenic histiocytic sarcoma treated with splenectomy with or without adjuvant chemotherapy." 
Journal of Veterinary Internal Medicine.


PubMedリンク PMID:32986268
本文:無料公開あり(全文

タイトル:補助化学療法を伴う、または伴わない脾臓摘出によって治療された限局性脾臓組織球性肉腫の犬の臨床的転帰

==アブストラクト===
背景:犬の限局性脾臓組織球性肉腫はよく理解されていない疾患であり、播種性組織球性肉腫または血球貪食性組織球性肉腫よりも長く生存する可能性がある。限局性脾臓組織球性肉腫の臨床挙動を理解することは、推奨される治療法を改善することができる。

目的:限局性脾臓血管肉腫の犬の臨床的特徴と転帰を調べること。

動物:脾臓摘出をおこない組織学的に脾臓血管肉腫と確認された家庭飼育犬14頭。

方法:多施設間回顧的症例シリーズ;脾臓血管肉腫の犬の医療記録を再調査した。犬のシグナルメント、臨床病理データ、主要な・補助的な治療、および転帰についてを収集した。生存データはカプランマイヤー分析を用いて計算した。年齢、体重、血小板数などの犬の変数を記述統計により報告した。コックス比例ハザード回帰法を用いて、可能性のあるリスク因子(体重、年齢、アルブミン値、ヘマトクリット、血小板数)が無進行期間と関連しているかどうかを調べた。

結果:この研究の犬の中央生存期間は427日であった。12頭の犬が補助的なロムスチンベースの化学療法をうけた。5頭(35.7%)は転移病変の発症が疑われた、または確定された。11頭が疾患により死亡し、1頭は関連のない原因で死亡し、2頭は追跡の最終時点で生存していた。

結論と臨床的意義:
犬の組織球性肉腫は、脾臓に限局した形態で現れる可能性がある。手術±化学療法で治療された限局性脾臓組織球性肉腫の犬は、1年異常の生存を経験する可能性がある。

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