ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

小動物臨床の獣医師が、臨床に役立ちそうな論文情報をちょっとづつアップします。ねころんでいても論文検索ができればいいなと。

カテゴリ: 消化器

Economu, Lavinia, et al.
"The effect of assisted enteral feeding on treatment outcome in dogs with inflammatory protein‐losing enteropathy." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).


PubMedリンク PMID:33931908
本文:無料公開あり(全文

タイトル:炎症性のタンパク漏出性腸症の犬における経腸栄養補助の効果

==アブストラクト===
背景:タンパク漏出性腸症(PLE)の犬における経腸栄養の補助が治療転帰に与える影響については不明である。

目的:経腸フィーディングチューブを設置した炎症性PLEの犬のほうが、フィーディングチューブを設置していない犬よりも良い転帰となるかどうかを調べること。

動物:炎症性PLEの犬57頭。

方法:イギリスの紹介病院で標準的な診断基準で炎症性PLEと診断された犬の回顧的研究。良い転帰を6ヶ月以上の生存またはPLEとは無関係の死亡と定義し、悪い転帰を6ヶ月以内のPLEに関連した死亡とした。さまざまな項目を評価し、ロジスティック回帰を用いて良い転帰と関連する因子を同定した。

結果
:6ヶ月で、35頭(61%)の犬が良い転帰で、22頭(39%)が悪い転帰であった。消化管生検から5日以内にフィーディングチューブを設置した犬21頭中、16頭(76%)が良い転帰で、5頭(24%)が悪い転帰であった。食事療法単独で治療した犬(p=0.002)と経腸フィーディングチューブを設置した犬(p=0.006)は、良い転帰と有意に関連した。治療によって層別化した場合、経腸栄養の補助は、免疫抑制治療を併用した犬における良い転帰と有意に関連した(p=0.006)が、食事療法単独で治療された犬における評価は不十分なデータしかなかった。

結論と臨床的意義
:炎症性PLEの犬における経腸栄養の補助は、特に免疫抑制治療を受けている犬で、治療転帰の改善を助ける可能性があり、これらの犬の治療計画では考慮すべきだろう。

Marsilio, S.
"Feline chronic enteropathy."
 
Journal of Small Animal Practice (2021).


PubMedリンク PMID:33821508
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:猫の慢性腸症

==アブストラクト===
猫の慢性腸症は一般的な病態であり、特に高齢の猫の集団において多く、ここ10年間で発生率が増加している。猫の慢性腸症は、食物反応性腸症、特発性炎症性腸疾患、消化器型リンパ腫などのさまざまな疾患を含む包括的な用語とみなされている。しかし、これらの疾患を区別するのは実際には難かしいことがよくある。
このレビューでは、慢性腸症の猫の臨床的アプローチ、最新の診断検査とそのピットフォール、および現在の治療的アプローチについてを説明する。病院の多くはいまだに不明ではあるが、この分野での研究努力の増加により、これらの猫の診断と治療の選択肢に新たな洞察がもたらされた。



慢性腸症.001

Congiusta, Michael, et al.
"Comparison of short-, intermediate-, and long-term results between dogs with tracheal collapse that underwent multimodal medical management alone and those that underwent tracheal endoluminal stent placement." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 258.3 (2021): 279-289.


PubMedリンク PMID:33496623
本文:無料公開なし

タイトル:気管虚脱の治療として集学的内科治療のみをうけた犬と、気管内ステント設置をうけた犬における短期、中期、および長期の転帰の比較

==アブストラクト===
目的:気管虚脱の治療として集学的内科治療のみをうけた犬と、気管内ステント設置をうけた犬について、短期、中期、および長期の転帰を比較すること。

動物:気管虚脱のある犬159頭、そのうち内科治療のみをうけた犬(内科治療群)84頭またはステント設置による外科治療をうけた犬(ステント群)75頭。

方法:2009年11月から2018年8月の間に紹介病院で内科治療のみ、またはステント設置をうけた気管虚脱の犬の医療記録をレビューした。シグナルメント、気管虚脱に関する情報、および転帰に関する情報を記録から抽出し、分析として短期、中期、長期の追跡期間で集約した。記述データと中央生存期間を、内科治療群とステント群で比較した。

結果:内科治療群の犬の臨床徴候は、一般に短期的に改善したが、時間の経過とともにそれはもとに戻り、悪化した。先天性異常としての気管虚脱の犬の割合は、ステント群が38/43(88%)であり、従来型の気管虚脱における割合37/107(35%)よりも有意に多かった。気管虚脱の診断からの中央生存期間は、内科治療群で3.7年、ステント群で5.2年であった。重症の犬における中央生存期間は、内科治療群で12日、ステント群で1338日であった。

結論と臨床的意義
:集学的な内科治療は、軽度から中程度の気管虚脱のある犬における臨床徴候を数ヶ月から数年単位で緩和したが、重度の疾患の犬にはステント設置を検討する必要がある。

Del Alcazar, Chelsea M., et al.
"Outcome, prognostic factors, and histological characterization of canine gastrointestinal sarcomas." 
Veterinary and comparative oncology (2021).

PubMedリンク PMID:
 33774909
本文:無料公開なし

タイトル:
犬の消化管肉腫の転帰、予後因子、組織学的特徴

==アブストラクト===
犬の消化管肉腫は、平滑筋肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)およびほかの稀な肉腫を含む腫瘍のグループであり、すべての消化管腫瘍のおよそ10-30%を占める。この研究の目的は、転帰を予測する予後因子を同定するために、組織学的特徴と臨床的な挙動の特徴を調べることである。

外科的に治療した消化管肉腫の犬について単一施設のデータベースを検索し、組織学的解析のできる組織が残っている47症例と、臨床的な転帰の解析が可能な42症例が得られた。腫瘍を有糸分裂数、壊死、出血、炎症について前向きに評価し、同様に、平滑筋アクチン、c-KIT、DOG-1に対する免疫組織化学染色によって分類を行なった。免疫組織化学的な分析により、32の腫瘍がGIST、14が平滑筋肉腫、1つが特定不能の肉腫と同定された。GISTと平滑筋肉腫の両方で、全体の中央生存期間(MST)は1024日(範囲31-1456)であり、腫瘍のタイプによる統計的な差はなかった(p=0.92)。この研究でのGISTの全体の転移割合は32.1%(n=9)であり、平滑筋肉腫の15.3%(n=2)と比べて有意な差はなかった(p=0.45)。多変量解析で、GISTの患者における有糸分裂数が9以下のと、すべての腫瘍タイプで完全な外科切除の達成は、中央生存期間の改善と相関した。GISTの患者では、c-KIT染色の強度も生存と正の相関を示し、弱い染色の症例では中央生存期間が250日であり、中程度から強い染色の症例では1418日であった(p=0.005)。

Jablonski Wennogle, S. A., J. Stockman, and C. B. Webb.
"Prospective evaluation of a change in dietary therapy in dogs with steroid‐resistant protein‐losing enteropathy."
 
Journal of Small Animal Practice (2021).


PubMedリンク PMID:33851420
本文:無料公開なし

タイトル:ステロイド抵抗性タンパク漏出性腸症の犬における食事療法の変化の前向き評価

==アブストラクト===
目的:ステロイド抵抗性タンパク漏出性腸症の犬における唯一の変化として食事の変更の臨床的効果を調べること。

方法:前向き研究。適合して組み入れられた犬は治療プランの唯一の変化として食事の変更をうけた。犬慢性腸症活動性指数と血清アルブミンを3ヶ月間モニターした。一部の研究参加者については、長期の追跡データも入手できた。

結果:研究期間中、15頭の犬が組み入れに適合した。12頭が組み入れられ、10頭が30日の研究に残り、9頭が3ヶ月の研究期間を完了した。食事の変更後、10頭中8頭が完全に寛解し、1頭が部分寛解、1頭が反応なしであった。完全寛解を達した犬8頭中7頭が、4年間の追跡期間中、寛解を維持した。完全寛解を達成した犬では、犬慢性腸症活動性指数スコアの中央値は、0日目と14-28日目でそれぞれ11.5と4であり、血清アルブミン濃度の中央値は15g/dlと26g/dlであった。

臨床的意義
:食事療法、グルココルチコイド、および免疫抑制剤の組み合わせによる過去の治療に反応が得られなかったタンパク漏出性腸症の犬では、食事の変更により寛解が得られる可能性がある。改善は14-30日以内にみられることが多い。食事アプローチの変更は、蛋白漏出性腸症の治療が困難な犬の一部において、さらなる免疫療法や抗炎症療法の代替となる可能性がある。

Mullen, Kaitlyn M., et al.
"Evaluation of intraoperative leak testing of small intestinal anastomoses performed by hand-sewn and stapled techniques in dogs: 131 cases (2008–2019)." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 258.9 (2021): 991-998.


PubMedリンク PMID:33856865
本文:無料公開なし

タイトル:犬の手縫い縫合とステープラーを用いて行った小腸吻合の術中リークテストの評価;131症例(2008-2019)

==アブストラクト===
目的:手術中の吻合部リークテストの結果(リークの陽性/陰性またはテスト未実施)と、小腸の手縫い吻合または機能的端々ステープラー吻合が行われた犬の、術後離開の割合を比較すること。

動物:144の小腸吻合(ステープラー94、手縫い50)が行われた131頭の家庭飼育犬。

方法:医療記録を検索し、2008年1月から2019年10月の間に小腸吻合(手縫いまたはステープラー)が行われた犬を同定した。データを収集し、シグナルメント、手術の適応、吻合部位、外科手技、術前の細菌性腹膜炎の存在、術中のリークテストの実施、術後の離開の発生、およびフォローアップ期間について調べた。

結果:術中のリークテストは144回の小腸吻合のうち62回(43.1%)行われ、ステープラー吻合26/94(27.7%)、手縫い吻合36/50(72.0%)で行われた。13/144(9.0%)の吻合で、術後に離開が起こり(中央値4日、範囲2-17日)、その後に細菌性腹膜炎が起こり、ステープラーの10/94(27.7%)と手縫いの3/50(6.0%)で起こった。術後離開の発生率は、ステープラーと手縫い、術中のリークテスト実施の有無、リークテストの陽性/陰性結果、による有意な差はなかった。手縫い縫合はステープラーに比べて、リークテストを行うことが有意に多かった。術前の細菌性腹膜炎、大網または漿膜による補強の実施、術前の血清アルブミン濃度、および外科適応疾患は、吻合方法間で有意な差はなかった。

結論と臨床的意義
:術中の吻合部リークテストの実施は、吻合方法に関わらず、術後の吻合部離開の発生率の減少と関連しなかった。

Fournier, Quentin, et al.
"Chemotherapy‐induced diarrhoea in dogs and its management with smectite: Results of a monocentric open‐label randomized clinical trial." 
Veterinary and Comparative Oncology 19.1 (2021): 25-33.


PubMedリンク PMID:
32562450
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル
:犬における化学療法誘発性下痢とスメクタイトによるその治療;単一施設非盲検ランダム化臨床試験の結果

==アブストラクト===
化学療法誘発性下痢は犬で頻繁にみられる化学療法有害事象である。しかし、その管理についてのコンセンサスは今のところまだない。スメクタイト天然の医療用粘土であり、ヒトでは急性下痢の治療で幅広く用いられている。この研究の目的は、犬の化学療法誘発性下痢の治療におけるスメクタイトの有用性を評価し、化学療法誘発性下痢に関する疫学データを収集することである。

下痢の各エピソードに対して、犬は以下の2つの治療グループにランダムに分けられた;スメクタイト群では、化学療法誘発性下痢の始まり時からスメクタイト0.5g/kg/日を2回に分けて経口投与し、対照群では最初の治療薬はなしとした。両群で、化学療法誘発性下痢が進行または48時間以内に改善しない場合に、レスキューのメトロニダゾールの処方を行った。2017年7月から2019年3月までに、60頭の犬が登録され、426回の化学療法の投与が行われた。

化学療法誘発性下痢の発生率は110/426回(25.8%;95%信頼区間21.7-30.2%)であり、投与された化学療法剤によって有意な差があった(P<0.001)。メトロニダゾールの投与は、スメクタイト群の5/54イベント(9.3%;3.1-20.3%)で行われ、対照群の40/56イベント(71.4%:57.5-82.3%)で行われた(p<0.001)。下痢が治るまでの時間は、対照群(中央値 53時間;四分位範囲 31.5-113.5)よりもスメクタイト群(19.5時間;13.5-32)で短かった(p<0.001)。

この研究の結果は、犬の化学療法誘発性下痢の第一選択治療としてのスメクタイトの投与を支持するものである。

Allen‐Deal, A., and D. Lewis.
"Prevalence of Clostridium perfringens alpha toxin and enterotoxin in the faeces of dogs with acute haemorrhagic diarrhoea syndrome." 
Journal of Small Animal Practice (2021).


PubMedリンク PMID:33723885
本文:無料公開なし

タイトル:急性出血性下痢症候群の犬の糞便中のウェルシュ菌のα毒素とエンテロトキシンの保有率

==アブストラクト===
目的:急性出血性下痢症候群の犬におけるウェルシュ菌α毒素をコードする遺伝子と、ウェルシュ菌エンテロトキシンをコードする遺伝子の保有率を調べること。

方法:以下の3つのグループの犬の糞便中のウェルシュ菌α毒素とウェルシュ菌エンテロトキシンの保有率を調べた後ろ向き研究;急性出血性下痢症候群の犬(n=16)、別の原因による出血性下痢の犬(n=17)、出血性下痢のない犬(n=10)。急性出血性下痢症候群の犬におけるウェルシュ菌α毒素および/またはウェルシュ菌エンテロトキシンと、急性患者生理学検査評価(APPLE)スコア、急性出血性下痢指数スコア、および入院期間の長さについての相関を評価した。

結果:ウェルシュ菌アルファ毒素の保有率は、他の原因の出血性下痢の犬(58.82%)および出血性下痢のない犬(60%)と比べて、急性出血性下痢症候群の犬(43.7%)で高くはなかった。ウェルシュ菌エンテロトキシンの保有率は、別の原因の出血性下痢の犬(11.76%)と比べて、急性出血性下痢症候群の犬(18.7%)で有意に高くはなかった。ウェルシュ菌エンテロトキシンの保有率は、急性出血性下痢症候群の犬と出血性下痢のない犬(20%)で類似していた。ウェルシュ菌α毒素の存在は、急性出血性下痢症候群の犬におけるAPPLEスコア、急性出血性下痢症候群指数スコア、または入院期間の長さを増加と相関することはなかった。

臨床的意義
:この研究は、他の原因の出血性下痢の犬または出血性下痢のないに比べて、急性出血性下痢症候群の犬でウェルシュ菌α毒素またはウェルシュ菌エンテロトキシンの保有率が増加するということを示さなかった。

Stiller, Jenny, et al.
"Diagnostic evaluation of urea nitrogen/creatinine ratio in dogs with gastrointestinal bleeding." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).


PubMedリンク PMID:33728701
本文:無料公開あり(全文

タイトル:消化管出血のある犬における尿素窒素/クレアチニン比の診断的評価

==アブストラクト===
背景:尿素窒素/クレアチン比(UCR)は、ヒトの上部消化管出血のマーカーである。

目的:犬における不顕性の消化管出血の予測と、上部消化管出血と下部消化管出血の鑑別のためのUCRの有用性を評価すること。

動物:消化管出血のある犬89頭と臨床的に健康な犬65頭。犬は顕性の消化管出血がある65頭と不顕性の消化管出血がある24頭に分類され、病変部位(上部37頭、下部13頭、両方8頭)によっても分類された。

方法:74頭が回顧的に組み入れられ、15頭は前向きに組み入れられた。血清尿素窒素とクレアチニン濃度、UCR、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値、平均赤血球容積、平均赤血球ヘモグロビン濃度、をグループ間で比較した。変数が不顕性消化管出血がと健康な犬、および上部消化管と下部消化管の消化管出血を区別できるかどうかを評価するための、ロジスティック回帰モデルはを適応した。

結果:UCRは、対照犬(p=0.02)および不顕性消化管出血の犬(p=0.05)と比較して、顕性消化管出血の犬で有意に高かった。UCRは、不顕性消化管出血の犬と健康な犬、または上部消化管出血と下部消化管出血の犬とで、有意に関連しなかった(それぞれp>0.05)。ヘモグロビン濃度とヘマトクリット値が高い犬は、健康であることよりも、不顕性消化管出血があるオッズは有意に低かった(p<0.0001)。

結論と臨床的重要性
:UCRは、不顕性消化管出血の臨床的に有用なマーカーではなく、上部と下部の消化管出血の識別能力は低いようである。顕性の消化管出血のない犬におけるUCRの上昇は、特にヘマトクリット値が参照範囲の中〜高い範囲にある場合には、胃腸保護薬の迅速な処方は正当化されないようである。

Yamazaki, Hiroki, et al.
"Assessment of biomarkers influencing treatment success on small intestinal lymphoma in dogs."
 
Veterinary and Comparative Oncology (2020).


PubMedリンク PMID:32920923
本文:無料公開なし

タイトル:犬の小細胞性消化器型リンパ腫の治療の成功に影響を与えるバイオマーカの評価

==アブストラクト===
この研究の目的は、犬の限局性小細胞性消化器型リンパ腫における信頼できる治療バイオマーカを、臨床的特徴と病理組織学的特徴をもとに決定することである。

小細胞性消化器型リンパ腫の犬84頭を回顧的に調査し、手術をうけた犬36頭と化学療法をうけた犬48頭を含めた。手術を受けた犬は以下の2つのサブグループに分類された;全生存期間が120日未満の犬18頭(グループ1)と120日以上の犬18頭(グループ2)。同様に、化学療法を受けた犬も以下の2つのサブグループに分類した;全生存期間が98日未満の犬24頭(グループ3)と98日以上の犬24頭(グループ4)。臨床的、血液学的、病理組織学的、および免疫組織化学的な分析によって、4つのサブグループを比較評価した。

手術と化学療法のグループで生存期間に有意な差はなかった。手術をうけた犬では、Ki-67陽性の細胞の割合が、グループ2に比べてグループ1で有意に多く、グループ3と4の間には有意な差はなかった。化学療法をうけた犬では、O6メチルグアニンDNAメチルトランスフェラーぜ(MGMT)の割合が、グループ4よりもグループ3で有意に多く、グループ1と2の間には有意な差はなかった。さらに、Ki-67の発現は手術よりも化学療法で有意に増加する可能性と、MGMTの発現は化学療法よりも手術で有意に増加する可能性が示され、Ki67とMGMTはそれぞれに独立していた。

Ki67とMGMTの指標は、犬の限局性小細胞性消化器型リンパ腫の理想的な最初の治療を決定するための治療バイオマーカであることが示唆された。

Cochran, L., et al.
"Clinical characteristics and long‐term outcome of E. coli‐associated granulomatous ileocolitis in dogs: five cases (2010‐2014)." 
Journal of Small Animal Practice (2021).


PubMedリンク PMID:3366-270
本文:無料公開なし

タイトル:犬の大腸菌関連肉芽腫性回結腸炎臨床的特徴と長期転帰;5症例(2010-2014)

==アブストラクト===
:犬の大腸菌関連肉芽腫性回結腸炎の臨床的特徴と長期転帰について記述すること。

方法:回腸と結腸でPAS陽性で粘膜浸潤性大腸菌がある犬の医療記録の回顧的レビュー。最初の細菌コロニー形成は、すべての犬で蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を使用して評価され、結腸および/または回腸の培養が行われた場合にはそれにより裏付けされた。

結果:PAS陽性肉芽腫性回結腸炎のボクサー4頭とフレンチ・ブルドッグ1頭が評価された。すべての犬で経験的治療に抵抗性の慢性下痢があった。回結腸内視鏡により、粘膜の出血と潰瘍が回腸(3/4)と結腸(5/5)でみられた。回腸および結腸の粘膜内に大腸菌のクラスターが視認された。フルオロキノロンへ完全(4/5)または部分的(1/5)な臨床的反応が、すべての犬で30日以内にみられた。完全寛解は4頭中3頭で維持された(無病期間の中央値 40ヶ月;範囲16-60)。2頭ではフルオロキノロンの投薬中に再発がみられた。再バイオプシーによって、多剤耐性の粘膜浸潤性の大腸菌が回腸(1/2)および結腸(2/2)で検出された。両方の犬で、標的化された抗菌薬療法が長期的な部分寛解(78ヵ月)と関連した。

臨床的意義
:回腸と結腸における大腸菌関連肉芽腫性炎症の併発は、積極的に診断と治療を行った犬における肉芽腫性大腸炎の古典的な標準的ケアに対する反応の欠如または臨床的に不良な転帰に影響を与えることはなかった。臨床的転帰は抗菌薬の耐性によって影響をうけ、反応は感受性試験によって示された抗菌薬両方に依存していた。

Wennogle, Sara A., Christine S. Olver, and Sarah B. Shropshire.
"Coagulation status, fibrinolysis, and platelet dynamics in dogs with chronic inflammatory enteropathy."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).

PubMedリンク PMID:33665845
本文:無料公開あり(全文

タイトル:慢性炎症性腸疾患の犬における凝固状態、線溶、および血小板動態

==アブストラクト===
背景:慢性炎症性腸疾患の犬における凝固状態はよくわかっていない。慢性炎症性腸疾患の犬における線溶活性と血小板動態はこれまで評価されていない。

目的:アルブミン濃度が正常な慢性炎症性腸疾患の犬と、蛋白漏出性腸症(PLE)がある慢性炎症性腸疾患の犬の凝固と線溶を、健康な対照群と比較して評価すること。トロンボエラストグラフィーの項目をグループ間の差と、臨床病理データとの相関として評価すること。慢性炎症性腸疾患の犬における血小板動態を報告すること。

動物:慢性炎症性腸疾患のある家庭飼育犬25頭(PLEなし 16、PLEあり 9);健康な対照群のビーグル14頭。

方法:すべての犬で組織因子+組織プラスミノーゲン活性化因子トロンボエラストグラフィーを行った。慢性炎症性腸疾患のある犬25頭中9頭で全血インピーダンス血小板凝集測定を行った。トロンボエラストグラフィーの項目と凝固データを、すべての慢性炎症性腸疾患vs健康対照、PLEのない慢性炎症性腸疾患vs健康対象、PLEのある慢性炎症性腸疾患vs健康対象、で比較をした。臨床病理学的データと凝固データは慢性炎症性腸疾患の犬で利用可能であり、トロンボエラストグラフィーの項目との相関を評価した。

結果
:慢性炎症性腸疾患の犬は健康な犬に比べて、最大振幅が高く(p<0.001)、血餅溶解時間が長く(p<0.001)、30分後の溶解率が低く(p<0.001)、60分後の溶解率が低く(p<0.001)、凝固亢進と線溶抑制が示唆された。分割すると、PLEのない慢性炎症性腸疾患の犬とPLEのある慢性炎症性腸疾患の犬では健康な犬に比べて、最大振幅が高く、血餅溶解時間が長く、30分後および60分後の溶解率が低かった。血清アルブミンおよび25[OH]D濃度と、血漿アンチトロンビンおよびフィブリノゲン濃度は、最大振幅と中程度に相関した。

結論と臨床的意義
:アルブミンが正常および低アルブミン血漿の慢性炎症性腸疾患の犬は健康な犬に比べて、トロンボエラストグラフィーをもとにすると凝固亢進状態にあると考えられた。線溶抑制の表現系を示す慢性炎症性腸疾患の犬もいた。

Dupont, Nana, et al.
"A retrospective study of 237 dogs hospitalized with suspected acute hemorrhagic diarrhea syndrome: Disease severity, treatment, and outcome." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).


PubMedリンク PMID:33638574
本文:無料公開あり(全文

タイトル:急性出血性下痢症候群の疑いで入院した犬237頭の回顧的研究;疾患の重症度、治療、および転帰

==アブストラクト===
背景:急性出血性下痢症候群(AHDS)の犬の治療や転帰について調べた研究はほとんどなく、敗血症の兆候を伴う犬に関するデータは不足している。

目的:急性出血性下痢症候群の疑いの犬の転帰を、疾患重症度、抗菌薬治療などに基づいて報告し、臨床基準に対する輸液蘇生の効果を評価すること。

動物:急性出血性下痢症候群で入院した犬237頭。

方法:医療記録をもとにした回顧的研究。疾患の重症度を、AHDS指数、全身性炎症反応症候群(SIRS)基準、および血清CRPを使用して、3つのグループ(抗菌薬なし、1剤、2剤)に従って評価した。

結果
:62%は抗菌薬を投与されず、31%が1剤の抗菌薬(主にアミノペニシリン)を投与され、7%は2剤の抗菌薬を投与された。入院時のAHDS指数の中央値は13(四分位範囲 11-15)であり、すべてのグループで入院初日以降に有意に減少した。2以上のSIRS基準をもつ犬は、、抗菌薬投与なしのグループ(7%)と比べて、抗菌薬投与グループ(15%、36%)の方が多かった。CRPは入院時のAHDS指数と正の相関を示した。治療群全体で、水和治療は臨床的なSIRS基準の数を顕著に現象させた。生存退院は96%で、2剤以上の抗菌薬投与を受けた犬で低かった(77%;p<0.05)。

結論
:結論と臨床的意義:急性出血性下痢症候群の疑いで入院した犬の多くは、来院時に全身性疾患の徴候があるにも関わらず、対症治療のみで急速に回復する。しばしば用いられるSIRS基準は、特に循環血液量減少がある場合には、抗菌薬治療を必要とする急性出血性下痢症候群の犬を特定するための代理としては不十分であるかもしれない。臨床意思決定および予後予測におけるCRPの役割については、更なる調査を必要とする。

Gaier, Ann, et al.
"A prospective, randomized, masked, placebo‐controlled crossover study for the effect of 10 mg omeprazole capsules on gastric pH in healthy dogs."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).


PubMedリンク PMID:33586200
本文:無料公開あり(全文

タイトル:健康な犬におけるオメプラゾール10mgカプセルが胃内pHに与える影響についての前向きランダム化盲検プラセボ対照クロスオーバー研究

==アブストラクト===
背景:腸溶性オメプラゾールカプセルは、犬の胃酸抑制としてよく用いられている。しかし、犬の臨床的使用としてのこの製剤の有効性については検証されていない。

仮説/目的:犬の胃のpHを上昇させるためにFDAで承認をうけているオメプラゾールカプセル10mgの傾向投与の有効性を評価すること。カプセル化されたオメプラゾールはプラセボと比較して胃pHを有意に上昇させ、ヒトから推定された食道炎と十二指腸潰瘍のための目標pHに到達すると仮定した。

動物:健康な研究犬6頭。

方法:ランダム化盲検双方向クロスオーバー試験。犬にはオメプラゾール0.5-1.0mg/kgまたはプラセボ(空のゼラチンカプセル)を、1日2回、5日間経口投与した。胃内pHは治療の2日目から5日目まで記録した。平均pHと胃内pHが≧3または≧4となる時間の割合の平均を、それぞれの治療群間および治療群内で比較した。

結果
:オメプラゾールで治療された犬は、プラセボで治療された犬に比べて、pH≧3となる時間割合の平均±標準偏差(91.1%±11.0 vs 19.7±15.5)およびpH≧4(86.9%±13.7 vs 28.7±20.7)、pHの平均±標準偏差(5.4±0.8 vs 2.4±1.0)が有意に高かった(すべてp<0.001)。

結論と臨床的意義
:この研究で評価された10mg腸溶性オメプラゾールカプセルの経口投与は、健康な犬の胃酸抑制に効果的であった。

Miles, Samantha, et al.
"Influence of repeat abdominal radiographs on the resolution of mechanical obstruction and gastrointestinal foreign material in dogs and cats." 
Veterinary Radiology & Ultrasound (2021).


PubMedリンク PMID:
33511654
本文:無料公開なし

タイトル:犬と猫の物理的閉塞と消化管異物の解消に与える繰り返しの腹部レントゲンの影響

==アブストラクト===
小動物では物理的閉塞は急性嘔吐の一般的な原因であり、レントゲン検査は最初の診断ツールである。さまざまな状況により、手術が即時的な治療の選択肢にならないこともある。この回顧的横断研究では、内科治療による物理的閉塞または消化管異物のレントンゲン上の解消についての発生率をしらべた。

組み入れ基準として、嘔吐の臨床徴候、レントゲンでの物理的閉塞の診断、物理的閉塞の疑い、最初のレントゲンまたは36時間以内に再び行った2回目のレントゲンでの消化管異物の疑いまたは確定、を含めた。レントゲン上の解消は拡張の部位に依存しており、胃では18/48(37.5%)が解消し、小腸で6/35(17.1%)、胃と小腸の閉塞の併発で4/35(11.4%)であった。胃の拡張は、小腸または胃と小腸の拡張よりも消失しやすかった(p=0.0119)。49頭が解消せずに手術を行い、2頭が気腹となり、7頭が腸の切除を必要とし、そのうち3頭はひも状異物で3頭は腸の腫瘤/構造物であった。

結論として、小腸の拡張がありレントゲンで物理的なイレウスと診断された動物の17.1%のみが繰り返しのレントゲンで解消がみられ、小腸と胃の両方の拡張があった動物の11.4%のみが解消した。胃の拡張だけの場合、小腸の拡張または小腸と胃の両方の拡張よりも、解消することが多かった。これは物理的閉塞を内科的治療を勧める際の臨床家にとってのガイドとして役立つだろう。

Dixon, Amy, et al.
"Hypercoagulability in dogs with chronic enteropathy and association with serum albumin concentration." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).


PubMedリンク PMID:33527508
本文:無料公開あり(全文

タイトル:慢性腸症の犬における血液凝固亢進と血清アルブミン濃度との関連

==アブストラクト===
背景:蛋白漏出性腸症(PLE)のある犬は血液凝固亢進状態になるリスクがあるが、正常な血清アルブミン濃度の慢性腸症の犬における凝固亢進の有病率は不明である。

仮説:慢性腸症の犬は、血清アルブミン濃度に関わらず、トロンボエラストグラフィー(TEG)で評価した場合に凝固亢進状態の素因がある。

方法
:2107-2019年の間に、慢性の消化器があり徴候炎症性の慢性腸症が疑われる犬を組み入れた。38頭が評価された。それぞれの犬で、CBC、生化学パネル、腹部画像検査を行った。犬炎症性腸疾患活動性指数(CIBDAI)を算出した。トロンボエラストグラフィーを来院時に行い、反応時間(R)、運動時間(K)、α角度、最大振幅(MA)、全血餅強度(G)を記録した。G値が基準値よりも≧25%増加していたら凝固亢進とみなした。

結果
:慢性腸症の犬の38頭中17頭(44.7%;95%信頼区間 28.6-61.7)が血液凝固亢進であった。G値に正常な血清アルブミン濃度(≧28g/dl)の犬19頭(9.05kdyn/cm2;7.26-10.84)と、低アルブミン血症の犬19頭(11.3kdyn/cm2;9.04-13.6)の間で、差はなかった(p=0.11)。G値は、ヘマトクリット値、血清アルブミン濃度、および臨床徴候の期間と負の相関をもち、年齢と正の相関をもった。

結論と臨床的意義
:慢性腸症で正常な血清アルブミン濃度の犬も、トロンボエラストグラフィーで測定すると凝固亢進している可能性がある。

Mabry, Kasey, Tracy Hill, and Mary Katherine Tolbert.
"Prevalence of gastrointestinal lesions in dogs chronically treated with nonsteroidal anti‐inflammatory drugs." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).

PubMedリンク PMID:
33534961
本文:無料公開あり(全文

タイトル:非ステロイド性抗炎症剤で慢性的に治療された犬における胃腸病変の有病率

==アブストラクト===
背景:非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)は、胃十二指腸潰瘍と穿孔に関連するもっとも一般的な医薬品である。犬における慢性的なNSAIDsの使用に関連した胃腸傷害の有病率は不明である。

目的/仮説:NSAIDsによる慢性治療をうけている犬の胃腸粘膜びらんの有病率をしらべること。NSAIDsの投与をうけたいる犬では、対照集団よりも、胃腸粘膜びらんがより多く、胃腸通過時間がより長いだろうという仮説をたてた。

動物:NSAIDsの投与を30日以上うけている中型から大型の家庭飼育犬14頭と、慢性の胃腸疾患のためにビデオカプセル内視鏡検査をうけた対照犬11頭。

方法:臨床的に関連する併存疾患が存在しないと判断されて犬を前向きに募集し、ビデオカプセル内視鏡検査を行った。胃腸通過時間と粘膜病変の有無を記録した。

結果:NSAIDsの投与をうけた犬12頭と、回顧的に評価された対照犬11頭が含まれた。NSAIDs投与の内訳は、カルプロフェン(9頭)、メロキシカム(2頭)、フィロコキシブ(1頭)であり、中央値は6ヶ月であった。NSAIDsで治療された犬10頭(83.3%;95%信頼区間 51.6 - 97.9%)で胃腸のびらんがみられた。3剤すべてで少なくとも1頭でびらんがみられた。対照犬11頭中3頭で胃のびらんがみられた。NSAIDsの投与をうけた犬ではより多くびらんが検出された(p=0.004)。

結論と臨床的意義
:無症候性の胃腸びらんは、慢性の胃腸疾患のある対照犬よりも、NSAIDsで慢性的に治療された犬でより一般的であり、これは特に胃腸潰瘍の素因となる合併症を抱えている犬では、NSAIDsは注意して使用しすることを示唆している。

Hunt, Adam, and Maria C. Jugan.
"Anemia, iron deficiency, and cobalamin deficiency in cats with chronic gastrointestinal disease." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).


PubMedリンク PMID:
33226151
本文:無料公開あり(全文

タイトル:慢性胃腸疾患のある猫の貧血、鉄欠乏症、コバラミン欠乏症

==アブストラクト===
背景:鉄欠乏症とコバラミン欠乏症は、慢性胃腸疾患の続発症として起こり、慢性腸症の猫における貧血度合併症の増加をもたらす。

目的:慢性胃腸疾患のある猫における鉄欠乏症を評価し、低コバラミン血症、貧血、および疾患重症度との関連について調べること。

動物:原発性胃腸疾患のある家庭飼育猫20頭。

方法:前向き横断研究。合併症を除外したうえで、慢性胃腸疾患の評価の時点で猫を登録した。網状赤血球指数を含むCBC、鉄代謝(血清鉄、フェリチン濃度、総鉄結合能[TIBC])、血清のメチルマロン酸、コバラミン、葉酸濃度、膵リパーゼ、トリプシン様免疫反応、および疾患重症度について評価した。

結果
:貧血(ヘマトクリット<30%)が4/20頭、鉄欠乏症が7/20頭、コバラミン欠乏症が8/20で診断された。ヘマトクリット値(rs=-0.45;p<0.05)とボディコンディションスコア(rs=-0.60;p<0.01)は、メチルマロン酸濃度と負の相関を示した。TIBCの中央値は、正常なメチルマロン酸濃度の猫よりも、メチルマロン酸濃度が上昇した猫で低かった(218μg/ml 範囲 120-466 vs 288μg/ml 範囲 195-369;p=0.02)。ヘマトクリット値(rs=0.51;p=0.02)、網状赤血球MCV(rs=0.52;p=0.02)、網状赤血球ヘモグロビン含有量(rs=0.71;p<0.01)、およびトランスフェリン飽和度(rs=0.79;p<0.0001)は、血清鉄濃度と正の相関を示した。

結論と臨床的意義
:機能的な鉄欠乏症は、慢性胃腸疾患の猫でよくみられる。低コバラミン血漿、鉄パラメータ、および血液学的パラメータの関連については、猫の慢性胃腸疾患の合併症に与える鉄欠乏症の影響についてのさらなる研究が必要である。

Turner, R. B. S., et al.
"Assessment of the clinical usefulness of ultrasound‐guided cytological specimens obtained from gastrointestinal lesions in dogs and cats."
 
Journal of Small Animal Practice.


PubMedリンク PMID:33403667
本文:無料公開なし

タイトル:犬の胃腸病変から得られた超音波ガイド細胞診標本の臨床的有用性の評価

==アブストラクト===
目的
:細胞学的バイオプシーは、腹部超音波検査で病変部位が特定されている場合に不可欠な追加検査であるが、超音波ガイド細針細胞学的バイオプシーにより得られた胃腸病変を臨床的に有益なサンプルにすることに影響を与える因子について公表されたものはほとんどない。この回顧的記述的研究の目的は、超音波ガイド経皮的細針細胞学的バイオプシーにより胃腸病変から得られた細胞診サンプルの臨床的有用性に影響を与える可能性のある因子を評価することである。

方法:2.5年間の間に犬25頭、猫19頭からえら得た胃腸の細胞学的サンプルをレビューし、細胞診レポートにしたがって臨床的に有用、または臨床的に役に立たないかを決定した。この解析に用いた超音波検査に基づく項目として、病変の部位、病変の厚み、胃腸の層構造の欠如、および提出されたスライドの数、をふくめた。

結果:提出された44の細胞学的サンプルのうち30が臨床的に有用とみなされた。臨床的に有用となったサンプルに関連した因子として、単変量モデルにより、提出されたスライド数と病変の厚みが含まれた。しかし、2つの項目は相互に関連しているようであり、2つの変数の間には弱い相関関係が存在する。組織学的バイオプシーのが得られた場合、臨床的に有用なサンプルは12症例中3頭で部分的に一致し、12症例中8頭で完全に一致した。

臨床的意義
:胃腸腫瘤の超音波ガイド細針細胞学的バイオプシーは、特に多くにスライドが提出され、厚みのある病変からのサンプルで場合に、症例の2/3で臨床的に有用なサンプルを提供した。

Cerquetella, M., et al.
"Proposal for rational antibacterial use in the diagnosis and treatment of dogs with chronic diarrhoea."
 
Journal of Small Animal Practice 61.4 (2020): 211-215.


PubMedリンク PMID:32065388
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:慢性下痢のある犬の診断と治療における合理的な抗菌薬使用の提案

==アブストラクト===
慢性下痢は犬の臨床でよくある主訴であり、診断過程は多くの場合で、胃腸管内視鏡/粘膜生検の前に、多くの診断検査や段階的な経験治療が適応されるという特徴をもつ。それらには食事介入(新規タンパク食、低分子タンパク食)、駆虫薬、およびいまだに多くの症例で抗菌薬、が含まれる。抗菌薬の無差別な使用は、個々の患者にとって(抗菌耐性、長期的な腸内細菌叢の乱れ、消化器徴候の悪化の可能性)と一般人にとっての両方で、有害な結果をもたらすリスクをもつ。この理由により、この総論では、消化管生検による病理組織学的評価の後、または内視鏡検査が不可能な場合で、食事療法/プレプロバイオティクスまたは抗炎症薬による治療的試験がうまくいかなかった場合にのみ、
抗菌薬の使用を推奨する。抗菌薬は、適切な食事試験のあとに、抗菌薬の使用を正当化する真の一次感染の徴候(全身性炎症反応症候群または侵襲性のある細菌の付着の根拠)のある慢性下痢の犬の患者のために温存しておくべきである。

Chow, Betty, et al.
"Comprehensive comparison of upper and lower endoscopic small intestinal biopsy in cats with chronic enteropathy."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).


PubMedリンク PMID:33345405
本文:無料公開あり(全文

タイトル:慢性腸症の猫における上部および下部の小腸生検の包括的な比較

==アブストラクト===
背景:免疫組織化学とクローナリティ検査を病理組織検査に組み合わせることで、猫の炎症性腸疾患(IBD)と消化管小細胞性リンパ腫の識別能を改善できる可能性がある。

仮説/目的:IBDとリンパ腫の鑑別のための病理組織検査、免疫組織化学、クローナリティ検査の有用性を評価し、上部小腸と下部小腸から得られた内視鏡生検サンプルの診断結果の一致を評価すること。

動物:IBDまたはリンパ腫のある猫57頭。

方法:全ての症例を病理組織学のみをもとに、IBD確定、リンパ腫の可能性、おそらくリンパ腫、リンパ腫確定、のいずれかに分類した。免疫組織化学とクローナリティ検査の結果を統合した。

結果
:病理組織学単独では、24/57頭(42.1%)がIBD確定、15/57頭(26.3%)がリンパ腫の可能性/おそらくリンンパ腫、18/57頭(31.6%)がリンパ腫確定、と診断された。免疫組織化学とクローナリティ検査を統合すると、IBD確定の11/24頭(45.8%)とリンパ腫の可能性/おそらくリンンパ腫の15/15頭(100%)が、リンパ腫に再分類された。最終診断はIBDが13/57頭(22.8%)、リンパ腫が44/57頭(77.2%)であった。上部小腸と下部小腸のサンプルの一致性は、病理組織学単独(κ=0.66)と免疫組織化学とクローナリティ検査の統合(κ=0.70)でいずれも中程度であった。しかし、1/44頭(2.3%)だけが下部小腸のみをもとにリンパ腫と診断された。

結論と臨床的意義
:免疫組織化学とクローナリティ検査を統合することで、リンパ腫と診断する症例の数が増えたが、患者の転帰への影響は不明である。上部小腸と下部小腸のサンプル間の一致性は中程度であった。下部小腸のサンプルによって診断が変わることはまれであった。

Elmenhorst, K., et al.
"Retrospective study of complications associated with surgically‐placed gastrostomy tubes in 43 dogs with septic peritonitis."
 
Journal of Small Animal Practice 61.2 (2020): 116-120.


PubMedリンク PMID:
31763703
本文:無料公開なし

タイトル:細菌性腹膜炎の犬43頭における外科的に設置した胃瘻チューブに関連した合併症の回顧的研究

==アブストラクト===
目的:細菌性腹膜炎のある犬において外科的に設置された胃瘻チューブの安全性を調べること。

方法;細菌性腹膜炎があり試験開腹と外科手技の一部として胃瘻チューブ(PezzerまたはFoley)の設置を行なった犬43頭の回顧的解析を行なった。術後の回復時間、入院期間、合併症の割合、および全生存期間を記録した。

結果:最も多い細菌性腹膜炎の原因は、腸切開または腸切除部位の離開であった。15頭がFoley胃瘻チューブを設置し、28頭がPezzer胃瘻チューブを設置した。手術から経管栄養を開始するまでの時間の中央値は16時間(範囲 3-28)であった。胃瘻チューブに関連した重大な合併症はなく、軽度の合併症が11頭(26%)でみられた。退院まで生存した患者の入院期間の中央値は5日(範囲 3-29)であり、全体で22頭(51%)が生存退院した。

臨床的意義
:胃瘻チューブは、細菌性腹膜炎の犬に対して安全な経管栄養の方法を提供し、それらの患者での関連した合併症の割合は少ない。

White, Russell S., Angela J. Sartor, and Philip J. Bergman.
"Evaluation of a staged technique of immediate decompressive and delayed surgical treatment for gastric dilatation-volvulus in dogs."
(2020): 72-79.

PubMedリンク PMID:33314975
本文:無料公開なし

タイトル:犬の胃拡張捻転症候群の即時的な減圧と遅延した外科治療の段階的手技の評価

==アブストラクト===
目的:犬の胃拡張捻転症候群(GDV)の即時的な減圧と遅延した外科治療の段階的手技を評価すること。

動物:2012年から2016年の間にGDVと診断された家庭飼育犬41頭。

方法:医療記録を収集し、シグナルメント、診断検査結果、胃内洗浄所見、手術所見、短期生存の状態について調べた。すべての犬で、口胃挿管と胃洗浄による胃の減圧が同じ麻酔で行われた。この段階がうまく行った場合に、続いて矯正手術(開腹と胃固定)が、2回目の麻酔で遅れて実施された。

結果:減圧と安定化の麻酔と同時に矯正手術を行った犬6頭では、そのうち2頭で胃の壊死があった。35頭の犬では2回目の麻酔で矯正手術が行われており、来院から手術までの平均時間は22.3時間(範囲 5.25-69.75)であり、そのうち2頭で胃の壊死があった。遅延手術の患者の死亡率は9%(3/35頭)であった。来院から手術までの時間は、術者による胃の状態の主観的評価と死亡率に関連しなかった。術中に確認された胃の壊死は、非生存と関連した。単回の血漿乳酸濃度と連続的な乳酸濃度の変化の割合は、術中の胃の状態と死亡率に関連した。

結論と臨床的意義
:遅延手術の患者で観察された死亡率は、報告されている他のGDV治療方法のものと同等であった。結果により、遅延した矯正手術は特定の犬では可能であるが、注意深い症例選択が重要となり、信頼のできる術前の患者選択基準は特定されていない。犬のGDVの治療における段階的手術と即時手術の潜在的なリスクと利益を調べるためには、さらなる調査が必要である。

Kathrani, A., et al.
"The use of hydrolysed diets for vomiting and/or diarrhoea in cats in primary veterinary practice." 
Journal of Small Animal Practice (2020).


PubMedリンク PMID:32895973
本文:32895973

タイトル
一次獣医診療における猫の嘔吐および/または下痢に対する加水分解食の利用

==アブストラクト===
目的:病因不明の慢性嘔吐および/または下痢に対して、併用薬剤のある/ない状態で加水分解食が処方された猫の反応について記述すること。

方法:2016年からのVetCompassのデータベースにおけるイギリス獣医ケアをうけている512,213頭の匿名記録から、加水分解食に関連する用語を使用して検索した。加水分解食を与えられていた猫5569頭中5000頭(90%)の記録をランダムにレビューし、胃腸の適応症、以前のおよび併用の薬剤、および加水分解食介入後の反応について調べた。反応不良は、6ヶ月以上の追跡において、食事開始後の来院時における嘔吐/下痢に対する抗菌薬またはグルココルチコイドの使用、または消化器徴候による死亡、と定義した。

結果:慢性嘔吐/下痢に対して加水分解食を処方された977頭中、697頭(71%)は最初のの処方で抗菌薬またはグルココルチコイドの併用がなく、280頭(29%)は最初の処方でそれらの薬の併用があった。前者のグループの34%と後者のグループの61%が、反応不良であった。6歳以上の猫と、嘔吐/下痢に対して食事介入の前および併用で抗菌薬および/またはグルココルチコイドが処方されていた猫では、反応不良となるオッズが高かった。

臨床的意義
:私たちの観察におけるばらつきは、臨床徴候の重症度または一次診療獣医師の処方行動を反映している可能性はあるものの、私たちの研究は慢性嘔吐/下痢の診断調査で原因が明らかでない猫では、反応不良の症例に対して抗菌薬やグルココルチコイドの治療に頼る前に、単独両方として最初に加水分解食を試みることにはメリットがあることを示唆している。

Vangrinsven, Emilie, et al.
"Diagnosis and treatment of gastro‐oesophageal junction abnormalities in dogs with brachycephalic syndrome."
 
Journal of Small Animal Practice (2020).


PubMedリンク PMID:33263199 
本文:無料公開なし

タイトル:短頭種気道症候群の犬における胃食道結合部異常の診断と治療

==アブストラクト===
目的:短頭種気道症候群の外科治療を行った犬における術前および術後の制酸剤治療の利用に有益性があるかどうかを調べること。動的な胃食道結合部異常の検出としての内視鏡検査中の閉塞操作の利用について評価すること。

方法:36頭の家庭飼育の短頭種犬が、ランダム化試験に前向きに組み入れられた。制酸薬治療はランダムに18頭の犬に割り付けられて術前・術後に処方され、他の18頭は消化管の内科治療を受けなかった。来院時、手術時、および再診時に、消化器の臨床徴候と胃食道結合部異常を特定のスコアを用いて評価した。胃食道結合部異常は、通常の状態で内視鏡で評価し、気管内チューブによる閉塞の状態でも同様に評価した。この操作は無関係の対象犬でも行った。

結果:手術を行った短頭種気道症候群の犬において制酸剤の治療は消化器臨床徴候と病変の改善に有益な効果があることが示唆された。治療群では83%の犬で術後の消化器臨床スコアが1以下であり、無治療群では44%が1以下であった。治療群の胃食道結合部異常スコア(閉塞操作中)は39%で1以下であり、無治療群では16.7%であった。対照群における内視鏡検査中の閉塞操作により、健康な犬における胃食道結合部の運動は無視できるものであることが明らかとなった。

臨床的意義:手術を行った短頭種症候群の犬で術前および術後の制酸剤による治療を追加することは、より早く、より良い改善につながるかもしれない。閉塞操作は胃食道結合部異常の検出を改善するための興味深い手法である。

Werner, Melanie, et al.
"Diagnostic value of fecal cultures in dogs with chronic diarrhea." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).


PubMedリンク PMID:33277779
本文:無料公開あり(全文)

タイトル:慢性下痢のある犬における糞便培養の診断的価値

==アブストラクト===
背景:糞便の培養プロファイルを用いた培養をもとにした糞便最近叢の評価は、慢性下痢の犬で頻繁に行われるが、このアプローチ法の診断的価値は決定していない。

目的:慢性下痢のある犬と健康な犬とのあいだで糞便培養プロファイルの結果とPCRベースの腸内毒素症指数を比較すること。3つの獣医診断検査所(L1、L2、L3)間での細菌および真菌培養の検査所間での変動性を評価すること。培養結果の解釈(正常生物叢vs腸内毒素症)を腸内毒素症指数のを比較すること。

動物:慢性下痢のある犬18頭と健康な対照犬18頭。

方法:この前向き症例対照研究では、糞便サンプルを3つの民間検査所に糞便培養のために提出した。微生物叢をPCR活性で評価した。抗菌薬の投与を受けている犬は除外した。

結果
:腸内毒素症指数は、健康な犬(平均 -3.0;SD 2.8;信頼区間 -4.3 - -1.6)に比べて、慢性下痢の犬(平均 0.9;SD 3.8;信頼区間 -1.0 - 2.8)のほうが有意に上昇した(p=0.0002)が、すべての検査所からの培養では有意な差は検出されなかった(p=0.66、0.18、0.66)。溶血性大腸菌は培養のおいて唯一の病原性微生物であったが、慢性下痢の犬と健康な犬との間で有意差はなかった。腸内毒素症の診断において、培養は腸内毒素症指数との一致を示さなかった(L1 κ=-0.21、信頼区間-0.44 - -0.02;L2 κ=-0.33、信頼区間-0.58 - -0.08;L3 κ=-0.25、信頼区間-0.39 - -0.11)。さらに、3つの検査所間のばらつきは大きかった(L1/L2 κ=0.15、信頼区間-0.05 - -0.35;L1/L3 κ=-0.08、信頼区間-0.01 - -0.16;κ=-0.06、信頼区間-0.33 - -0.20)。

結論と臨床的意義
:糞便培養は病気の犬と健康な犬との鑑別ができず、高いレベルでの検査所間のばらつきが明らかとなった。

Woolhead, Vanessa L., Jacqueline C. Whittemore, and Sarah A. Stewart.
"Multicenter retrospective evaluation of ileocecocolic perforations associated with diagnostic lower gastrointestinal endoscopy in dogs and cats." 
Journal of Veterinary Internal Medicine 34.2 (2020): 684-690.

PubMedリンク PMID:32067277
本文:無料公開あり(全文

タイトル
犬と猫の診断的下部消化管内視鏡に関連した回腸盲腸結腸の穿孔についての多施設回顧的評価

==アブストラクト===
背景:消化器徴候のある犬猫で回腸内視鏡検査がますます行われているが、医原性の回腸盲腸結腸穿孔についてはこれまで記述されていない。

仮説/目的
:犬と猫の内視鏡による回腸盲腸結腸穿孔の特徴を調べること。

動物:犬13頭、猫2頭。

方法:回顧的症例シリーズ。シグナルメント、内視鏡機器、結腸の準備、内視鏡検査者の経験値、回腸挿入手技、診断方法、穿孔の位置、病理組織、治療、および転帰に関するデータを収集してレビューした。

結果:2012年から2019年の間に回腸6、盲腸5、結腸4の穿孔が確認された。犬の体重は2.4-26kg(中央値 10.3kg)、猫の体重は4.6-5.1kg(中央値 4.9kg)であった。嘔吐(n=4)、大腸性下痢(5)、混合性下痢(4)、小腸性下痢(1)で来院した犬に内視鏡検査が行われた。猫は大腸性下痢で来院した。内視鏡検査者は、指導を受けたインターン(1)、指導をうけた内科レジデント(9[1年目2、2年目6、3年目1])、内科認定医(5)であった。5頭で診断が遅れ、内視鏡検査後1-5日(中央値 3日)で、食食低下(4)、元気消失(4)、腹痛(3)、吐き気(2)、失神(1)で来院した。すべての動物で外科的修復を行った。いずれの動物でも穿孔部位において病理組織学的に病変は同定されなかった。2頭で2回目の手術を必要とし、1頭は12時間後に死亡した。生存退院は93%であり、78%が8ヵ月以上生存した。

結論と臨床的意義
:内視鏡による医原性の回腸盲腸結腸穿孔は基礎疾患を示すものではなく、良好な予後と関連する。診断の遅れが起こり得る。それゆえ、内視鏡検査後に臨床的な悪化があった動物では鑑別診断として穿孔を考慮すべきである。

Nagata, Noriyuki, et al.
"Clinical characteristics of dogs with food‐responsive protein‐losing enteropathy."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine 34.2 (2020): 659-668.


PubMedリンク PMID:32060974
本文:無料公開あり(全文

タイトル:食事反応性タンパク漏出性腸症の犬の臨床的徴候

==アブストラクト===
背景:タンパク漏出性腸症(PLE)の犬において、食事反応性PLEの臨床的な特徴はあいまいなままである。

目的:超低脂肪食の治療に反応した食事反応性PLEの犬の臨床的特徴を調べること。

動物:標準的な診断基準によりPLEと診断された犬33頭。

方法
:医療記録の回顧的レビュー。食事反応性PLEと免疫抑制反応性PLEまたは非反応性PLEの犬で、臨床所見を比較した。受信者動作特性曲線のAUCを用いて、食事反応性PLEと免疫抑制反応性/非反応性PLEのグループを区別するための因子を評価した。食事反応性PLEと免疫抑制反応性/非反応性PLEのグループで生存期間を比較した。

結果
:23頭が超低脂肪食による治療に反応し、食事反応性PLEと診断された。イヌ慢性腸症臨床活動性指数(CCECAI)は、免疫抑制反応性/非反応性PLEよりも食事反応性PLEのグループのほうが低かった(p<0.001)。食事反応性PLEグループを鑑別するためのCCECAIのAUCは0.935(95%信頼区間 0.845-1.000)であり、適切なカットオフ値は8(感度 0.826;特異度0.889)であった。生存期間は、免疫抑制反応性/非反応性PLEグループ(中央値 432日;p<0.001)よりも、食事反応性PLEグループ(中央値に達せず)の方が有意に長かった。

結論と臨床的意義
:超低脂肪食の治療に反応し、食事反応性PLEと診断された犬は、良好な予後が期待される。臨床スコア、特にCCECAIは、食事反応性PLEと免疫抑制反応性/非反応性PLEを鑑別するのに有用となりえる。

Sharp, Claire R., et al.
"The pattern of mortality in dogs with gastric dilatation and volvulus." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care 30.2 (2020): 232-238.


PubMedリンク PMID:32077192
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル:胃拡張捻転症候群の犬の死亡パターン

==アブストラクト===
導入:この研究の主な目的は、胃拡張捻転症候群(GDV)の犬の院内死亡率、術前の死亡に焦点をあてて、そのパターンを調べることである。

方法:大学の教育病院の10年間の医療記録を回顧的にレビューした。シグナルメント、来院時の身体検査所見、血中乳酸濃度、および転帰についての情報を収集した。

結果:合計で498頭の犬が組み入れられた。全体で319頭(64.1%)の犬が生存退院し、179頭(35.9%)が死亡した。死亡した犬のうち、149頭(全体の31.3%)が安楽死であり、30頭(6%)が死亡であった。安楽死された犬のうち、多く(n=116)が来院時点、手術前の時点での実施だった(すなわち治療の意図なし)。手術前に安楽死をされた犬を除くと、83.5%の犬が生存退院した。安楽死された犬のグループの年齢の中央値は、生存退院した犬のグループよりも高かった。

結論
:この研究では術前の安楽死、つまり治療の意図のない死亡が胃拡張捻転症候群の犬の多くを占めていた。治療の意図のない死亡の割合が高いことを考えると、治療の改善に焦点をあてた努力よりも、治療の予防に焦点をあてた努力のほうが、最終的には全体的な病気の死亡率を改善する可能性がある。

Venn, Emilee C., et al.
"Evaluation of an outpatient protocol in the treatment of canine parvoviral enteritis." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care 27.1 (2017): 52-65.


PubMedリンク PMID:
27918639
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル:イヌパルボウイルス性腸炎の治療における外来患者プロトコルの評価

==アブストラクト===
目的:パルボウイルス性腸炎のイヌの治療期間または生存に対しての影響について、2つの治療プロトコル(標準的な入院治療 vs 修正外来患者)を比較すること。

デザイン:前向きランダム化試験。

施設:大学の教育病院。

動物;パルボウイルスに自然感染した家庭飼育犬を入院患者治療プロトコル(n=20)外来患者治療プロトコル(n-20)にランダムに分けた。

介入
:両方のグループ共に、来院時に静脈輸液による蘇生と低血糖の補正をうけた。安定化ののちに、標準入院患者介入として静脈輸液の投与、セフォキシチンの投与(22mg/kg iv 8時間毎)、マロピタントの投与(1mg/kg iv 24時間毎)を行なった。標準外来患者介入(入院下で実施)としては、皮下輸液(30ml/kg 6時間毎)、マロピタントの投与(1mg/kg iv 24時間毎)、セフォベシン投与(8mg/kg sc 1回)を行なった。毎日の電解質と糖の評価を行い、必要に応じて糖とカリウムの投与が静脈投与(入院患者)または経口投与(外来患者)された。両グループで鎮痛と悪心に対するレスキュー基準が用いられた。すべての犬には自発的な食欲がもどるまで、市販の犬の回復食がシリンジで投与(1ml/kg po 6時間毎)された。

測定と主な結果:プロトコルの成功は生存退院と定義され、入院患者の90%(18/20)と外来患者の80%(16/20)で成功した(p=0.66)。入院患者の入院期間(4.6±2日)と外来患者の入院期間(3.8±1.8日)に差はみられなかった(p=0.20)。外来患者では電解質障害が頻繁にみられ、犬の50%で糖の補給が必要となり、60%でカリウムの補給が必要となった。

結論
:外来患者プロトコルは、パルボウイルス性腸炎の犬の標準的な入院治療が受けられない犬にとっての合理的な代替手段となるかもしれない。外来患者の設定でパルボウイルス性腸炎の患者の治療を最適化するには、依然として勤勉な支持療法とモニタリングが必要である。

Lynch, Alex M., et al.
"The influence of feeding and gastroprotectant medications on the Factor Xa inhibitory activity of orally administered rivaroxaban in normal dogs."
 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2020).


PubMedリンク PMID:33107158
本文:無料公開なし

タイトル:正常な犬においてリバロキサバンの経口投与による第Xa因子阻害活性に対する摂食と胃保護薬の影響

==アブストラクト===
目的:リバロキサバンは犬における新たな抗凝固薬の選択肢であるが、報告されている経口投与の生体利用率は60%と低い。この研究の目的は、健康な犬において食事と胃保護薬がリバロキサバンの生物活性(抗Xa因子活性)に与える影響を調べることである。

デザイン:前向き実験研究。

施設:大学の研究所。

動物:目的飼育の健康な中性化雄のビーグル5頭。

介入
:犬にリバロキサバン1.8mg/kg(範囲 1.6-1.8)を1日1回、2日間連続で投与し、(1)食事なし、(2)食事あり、(3)リバロキサバン投与30分前にスクラルファート、(4)リバロキサバン投与と同時にオメプラゾール、を一緒に行った。事前に設置した頚静脈カテーテルから、リバロキサバン投与直前と投与後の6時点(2,4,8,24,36,48時間後)で採血を行った。リバロキサバンで較正した抗Xa活性アッセイを用いて抗凝固効果をモニターした。

方法と主な結果
:リバロキサバンの投与は抗Xa活性アッセイを有意に増加させ(p=0.02)、各試験群で投与後2-4時間で活性のピークがみられた。他のすべての治療群と比較して、食事なしでは36時間後の抗Xa活性アッセイの有意な増加と関連し、スクラルファート投与群と比べて48時間後の抗Xa活性アッセイは食事によって高くなった。食事や胃保護薬の投与に関して、抗Xa活性アッセイの有意な変化は他ではみられなかった。

結論と臨床的意義
:食事なしの投与では、投与後36時間後の抗Xa活性アッセイで明らかな高値を示したが、治療群間の臨床的に関連する差は、どの時点の組み合わせの解析でも同定されなかった。結果に基づくと、リバロキサバンで治療される犬では、食事習慣や胃保護薬の投与に関して特別に変更する必要はない。

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