ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

小動物臨床の獣医師が、臨床に役立ちそうな論文情報をちょっとづつアップします。ねころんでいても論文検索ができればいいなと。

カテゴリ: 鑑別診断

König, Alla, et al.
"Retrospective analysis of pleural effusion in cats." 
Journal of feline medicine and surgery (2018): 1098612X18816489.

PubMedリンク PMID:30554552
本文:無料公開なし

タイトル:猫の胸水の回顧的解析

==アブストラクト=== 
目的
:胸水は、小動物診療で猫の患者によくみられる原因である。この研究の目的は、滲出液の原因と、臨床所見および検査所見との間の可能性のある相関を特定することだ。

方法
:病院が特定された胸水が診断された猫306頭の回顧的研究を行い、猫を以下の6つの主なグループに分類した;心疾患、猫伝染性腹膜炎(FIP)、腫瘍、膿胸、乳糜胸、その他。臨床、検査、レントゲンの項目を各グループ間で比較した。

結果
:心疾患が最も多い原因(35.3%)であり、ついで腫瘍(30.7%)、膿胸(8.8%)、FIP(8.5%)、乳糜胸(4.6%)、その他の様々な原因(3.7%)であった。26頭の猫(8.5%)で 、胸水の原因となり得る基礎疾患が2つ以上みつかった。FIPの猫は、心疾患の猫(p<0.001)および腫瘍の猫(p<0.001)に比べて有意に若かった。心疾患の猫は、FIPの猫(p=0.022)に比べて有意に体温が低かった。心疾患の猫は、膿胸の猫(p<0.001)とFIPの猫(p=0.04)に比べて血清ALT活性が有意に高く、他のすべてのグループと比較して滲出液中のタンパク濃度が有意に低く(FIP・膿胸・腫瘍 p<0.001、乳糜胸 p=0.04)、滲出液中の有核細胞数が有意に低かった(膿胸・腫瘍 p<0.001、乳糜胸 p=0.02、FIP p=0.04)。膿胸の猫の滲出液中のグルコース濃度は、心疾患、腫瘍、および乳糜胸の猫よりも有意に低かった(p<0.001)。10日以上の追跡を行なった猫249頭中、55.8%がのその期間中に死亡するか安楽死された。

結論と関連
:心疾患と腫瘍は猫の胸水の最も一般的な原因であった。年齢、肝酵素、滲出液中の細胞数、タンパク濃度、グルコース濃度は、根底にある病因の調査に役立つ可能性がある。
 

Weiss, Douglas J.
"A retrospective study of the incidence and the classification of bone marrow disorders in the dog at a veterinary teaching hospital (1996–2004)."
 
Journal of veterinary internal medicine 20.4 (2006): 955-961.

PubMedリンク PMID:16955822
本文:無料公開あり(全文

タイトル:獣医教育病院の犬における骨髄障害の発生率と分類についての回顧的研究(2996-2004年)

==アブストラクト===
背景:獣医教育病院の臨床病理部門における犬の骨髄障害の有病率と分類を評価するために、8年間の回顧的研究を行なった。

動物:獣医教育病院で骨髄障害の評価をうけた犬。

仮説:複数年の回顧的研究により犬の骨髄障害のスペクトラムと有病率のよりよい理解が達成できるだろう。

方法:717頭の犬の骨髄吸引塗抹、コア生検標本、および症例記録を再調査した。

結果
:骨髄標本は最初に原発性骨髄障害の有無に基づいて分類された。非異形成および非悪性の病理学的変化は、14のサブカテゴリーに分類された。頻繁に観察された病理学的障害には、非再生性免疫介在性貧血、赤芽球、骨髄壊死、骨髄線維症、および血球貪食症候群があった。骨髄異形成症(n=61)は、骨髄異形成症候群(n=27)、先天性骨髄異形成症(n=1)、二次性骨髄異形成症(n=33)にサブカテゴリー分類された。腫瘍性疾患の126頭の症例が、急性白血病(n=46)、慢性白血病(n=7)、リンパ腫ステージ5(n=28)、多発性骨髄腫(n=25)、悪性組織球症(n=11)、転移性肥満細胞腫(n=3)、肉腫(n=5)、および癌腫(n=1)に分類された。

結論と臨床的重要性:この研究は、北米の紹介病院における犬の骨髄障害の有病率とスペクトラムの一般的な指標を提供する。
 

Messinger, J. S., W. R. Windham, and C. R. Ward.
"Ionized hypercalcemia in dogs: a retrospective study of 109 cases (1998–2003)." 
Journal of veterinary internal medicine 23.3 (2009): 514-519.

PubMedリンク PMID:19658207
本文:無料公開あり(全文

タイトル:犬のイオン化カルシウムの高カルシウム血症;109症例の回顧的研究(1998-2003年)

==アブストラクト===
背景:犬の血清高カルシウム血症は、様々な疾患との関連が報告されている。血清イオン化カルシウム濃度は総血清カルシウムまたは補正血清カルシウム濃度よりも、より正確な測定である。高カルシウム血症の重症度は、高カルシウム血症の最も高い鑑別診断を示唆するために治療されてきた。

仮説
:イオン化カルシウムの高カルシウム血症を引き起こす疾患は、総血清カルシウムまたは補正血清カルシウム濃度の上昇を引き起こすものとは異なっているかもしれない。特定の疾患におけるイオン化カルシウムの高カルシウム血症の重症度は、イオン化カルシウムの高カルシウム血症の最も可能性の高い鑑別診断を決定するのに使えない可能性がある。

動物:1998-2003年の間に評価されてイオン化カルシウムの高カルシウム血症の原因が明確な家庭飼育犬109頭。

方法:回顧的、医療記録の再調査。

結果:腫瘍、特にリンパ腫、ついで腎不全、上皮小体機能亢進症、および副腎皮質機能低下症が、イオン化カルシウムの高カルシウム血症で最も一般的な原因だった。リンパ腫および肛門嚢腺癌の犬は、腎不全、副腎皮質機能低下症、および他の腫瘍の犬よりも、イオン化カルシウム濃度が有意に高かった。イオン化カルシウムの高カルシウム血症の重症度は、特定の病態を予測しなかった。

結論と臨床的意義
:血清イオン化カルシウムの高カルシウム血症は、腫瘍、特にリンパ腫と最も一般的に関連していた。リンパ腫と肛門嚢腺癌の犬では、他の疾患の犬よりもイオン化カルシウム濃度が高かったが、イオン化カルシウム濃度の重症度により原因を予測するこはできなかった。この研究では、総血清カルシウムまたは補正血清カルシウム濃度は犬のカルシウム状態を正確に反映しなかった。
 

==本文から===
原因疾患の内訳の表を引用
 イオン化カルシウム・高カルシウム.004

Black, V. L., F. J. S. Whitworth, and S. Adamantos.
"Pyrexia in juvenile dogs: a review of 140 referred cases." 
Journal of Small Animal Practice (2018).

PubMedリンク PMID:30284718
本文:無料公開なし

タイトル:若齢犬の発熱;紹介症例140例。 

==アブストラクト===
目的:イギリスの紹介センターに発熱があり来院した若齢犬における所見、過去の治療の影響、および診断について述べること。

方法:紹介での入院中に再現性のある発熱(≧39.2℃)をプロブレムリストに含む1〜18ヶ月齢の犬の臨床記録を回顧的に再調査した。シグナルメント、病歴(過去の治療を含む)、臨床検査所見、および診断について記録した。診断は、非感染性炎症、感染性、先天性、腫瘍性、およびその他に分類した。過去の治療が最終診断に達する能力に与える影響について分析した。

結果:合計で140症例が同定された。115例で診断がついた。非感染性炎症疾患は91例(79%)、感染性疾患は19例(17%)、先天性障害は4例(3%) 、腫瘍性疾患は1頭(1%)で同定された。最も多くみられた犬種はボーダーコリー(17/140;12%)、ビーグル(16/140;11%)、ラブラドールレトリバー(11/140;8%)、スプリンガースパニエル(9/140;6%)、コッカースパニエル(8/140;6%)であった。来院前に、ほとんどの犬が抗菌薬(83/140;59%)、非ステロイド性抗炎症薬(84/160;60%)、またはステロイド(9/140;6%)のいずれか、または組み合わせでの投与を受けていた。抗菌薬も非ステロイド性抗炎症薬もいずれも、診断の達成には影響しなかった。ステロイド反応性髄膜-動脈炎は、非感染性炎症性疾患の集団のうちの55/91例(60%)を占めていた。先天性障害と診断された犬4例はすべてボーダーコリーだった。

臨床的意義
:非感染性炎症性疾患、特にステロイド反応性髄膜-動脈炎、免疫介在性多発性関節炎、および骨幹端骨症は、発熱のある若齢犬のこの集団では一般的に診断された。 


==訳者コメント===
二次病院でのデータという点には注意が必要ですね。一次病院ではもっと感染症の割合は高いかもしれません。
 

Woolcock, A. D., et al.
"Thrombocytosis in 715 Dogs (2011–2015)." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2017).

PubMedリンク
本文:無料公開(PDF

タイトル:血小板増多症の犬715頭

==アブストラクト===
背景
:血小板増多症は犬において血液学的異常であり、腫瘍、代謝、炎症などの様々な状態と関連する。

目的
:犬の血小板増多症を重症度に基づいて分類し、重症度と基礎疾患の過程に関連があるかどうかを評価すること。 

動物
:血小板増多症の犬715頭と、血小板数正常の犬1,430頭

方法
:回顧的研究。2011-2015年の間で、血小板数が増加した犬(>500×10 3/μL;血小板増多症群)と正常な犬(300-500×10 3/μL;対照群)の医療記録を再調査した。犬は血小板の 増加の重症度と診断によって特徴付けられた。診断カテゴリーには腫瘍、内分泌疾患、炎症性疾患、その他が含まれた。

結果
715頭の犬から 、全部で1,254の血小板増多を伴うCBCが研究に含まれた。この集団の血小板数の中央値は582×10 3/μL(500-1,810×10 3/μL)であった。 血小板増多と診断との間に相関はみられなかった。二次的な血小板増多症の原因には腫瘍(55.7%)、内分泌疾患(12.0%)、炎症性疾患(46.6%)が含まれた。免疫介在性疾患は一般的(22.2%)であり、頻繁なグルココルチコイドの投与に関連しており、血小板数の中央値が他の炎症性疾患と比べて優位に高かった(636×10 3/μL[500-1,262×10 3/μL]vs. 565×10 3/μL[500-1,810×10 3/μL], P<0.001)。犬の血小板増多症における診断は、対照群と比べて有意に異なっていた。

結論と臨床的重要性:犬の血小板増多症は癌腫と免疫介在性疾患とよく関連する。
 

==本文から===
(商業目的でなければ自由に使って良いと書いてあるので、図表を引用します。This is an open access article under the terms of the Creative Commons Attribution-NonCommercial License, which permits use, distribution and reproduction in any medium, provided the original work is properly cited and is not used for commercial purposes.)

21

 

Adamama-Moraitou, K. K., et al.
"Evaluation of dogs with macroscopic haematuria: a retrospective study of 162 cases (2003–2010)." 
New Zealand Veterinary Journal 65.4 (2017): 204-208.

PubMedリンク
本文:無料公開なし

タイトル
:肉眼的な血尿を伴う犬の評価;162症例の回顧的研究(2003-2010)

==アブストラクト===
目的
:2003-2010年に小動物診療所に肉眼的血尿で来院した犬の臨床的な特徴を回顧的に描出し、犬のシグナルメントと来院時の血尿の期間が特定の病因と関連するかどうかを調査すること。

方法
:2003年1月-2010年12月の間に、ギリシャのテッサロキニの大学が基盤となっている小動物診療所に、肉眼的血尿で来院した162頭の犬の医療記録を評価した。組み入れ基準は尿沈渣の変色と、顕微鏡で検査をした際の異常な赤血球数とした。シグナルメント、血尿の重症度、頻度、期間、そして診断をデータとして収集した。

結果
:2007年1月から2010年12月の間に、8,893頭の犬が診療所に来院し、99頭(1.1%)が血尿で来院していた。血尿の記録のある162頭の犬のうち、80頭(49.4%)は年齢が5.1-10歳であり、急性(96/162;59.3%)、持続的(99/162;61.1%)、軽度/中程度(150/162;92.6%)の血尿で来院した。診断の記録がある147頭の犬のうち、最も多い診断は尿路感染(UTI, 42/147;28.6%)であり、尿結石(38/147;25.9%)、前立腺疾患(25/147;17.0%)、尿路腫瘍(12/147;28.6%)であった 。尿路感染の有病率は雄(20/91;22%)よりも雌(22/56;39%)で高く、尿路結石の犬の全てが軽度/中程度の血尿で来院していた。前立腺疾患は大型犬(11/46;24%)と超大型犬(3/9;33%)および10歳以上の犬(8/30;27%)で有病率が高かった。

結論と臨床的関連
:小動物診療所から得られたこの回顧的研究では、尿路感染、尿路結石、前立腺疾患、尿路腫瘍が、犬の血尿の原因として多かった。性別、年齢、犬種サイズ、血尿の特徴を考慮することは、鑑別診断リストを作る際の有用な指標となることがわかった。
 

Meler, Erika, Marilyn Dunn, and Manon Lecuyer.
"A retrospective study of canine persistent nasal disease: 80 cases (1998–2003)."
 
The Canadian Veterinary Journal 49.1 (2008): 71.

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本文:無料公開(PDF

==アブストラクト===
 犬の持続的な鼻汁は、小動物臨床ではよくある問題である。 しかし病因診断は確立するのが難しい。この回顧的研究の目的は我々の病院の患者集団における病因を決定するために症例の割合を決定することである。
 80頭の犬の医療記録が研究の組み入れ基準に合致した。非特異的鼻炎が症例の23.7%でみられた。他の診断は、腫瘍(15.0%)、真菌感染(鼻アスペルギルス症)(8.7%)、口蓋裂(8.7%)、歯周疾患(4.0%)、寄生虫(1.3%)、異物(1.3%)、原発性細菌疾患(1.3%)であった。症例の36.3%は確定診断に至らなかった。腫瘍性疾患もしくは真菌性疾患の犬では、重篤なX線検査の病変または鼻鏡検査での病変を呈した。
 体系的なアプローチにもかかわらず、多くの症例が診断に至らなかった。 高度な画像診断の利用は、犬の鼻疾患の病因診断を得るための我々の能力を高めるだろう。

Plickert, H. D., A. Tichy, and R. A. Hirt.
"Characteristics of canine nasal discharge related to intranasal diseases: a retrospective study of 105 cases." 
Journal of Small Animal Practice 55.3 (2014): 145-152.

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本文:無料公開なし

==アブストラクト===
目的
:犬の異なる種類の鼻腔内疾患によって生じる鼻汁の特徴を比較すること

方法
:鼻腔内疾患によって鼻汁のある犬105頭の医療記録を、特に鼻汁の成分、重症度、期間、部位に注目して回顧的に再調査した。 診断所見をもとに症例を異なる疾患グループに分類し、鼻汁の特徴をグループ間で比較した。

結果
:症例は、非特異的鼻炎(n=42)、鼻腫瘍(n=23)、異物(n=21)、鼻腔真菌症(n=7)、その他の異常(n=13)に分類された。異物と真菌症の犬は有意に若かった。粘液性成分の鼻汁は非特異的鼻炎と鼻腫瘍でより頻繁にみられたが、出血性成分は鼻汁が14日以上続く場合に腫瘍で最も多くみられた。単純もしくは混合性出血の鼻汁は腫瘍、異物、真菌症で有意に頻繁にみられた。膿性成分は鼻汁の期間が長い場合に関連があり、非特異的鼻炎と異物で最も多くみられた。異物の症例は早く来院する傾向があり、くしゃみがより頻繁にみられた。鼻のストライダーは鼻腫瘍の犬で有意に頻繁にみられた。

臨床的重要性
:鼻汁の組成と関連する臨床徴候は診断アプローチの計画に加わるかもしれないが、診断の確定には診断手技の組み合わせが依然必要である。 

Neel, Jennifer A., Laura Snyder, and Carol B. Grindem.
"Thrombocytosis: a retrospective study of 165 dogs." 
Veterinary clinical pathology 41.2 (2012): 216-222.

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本文:無料公開なし

==アブストラクト===
背景
:血小板増多症は、炎症、腫瘍、鉄欠乏症、脾臓摘出、薬物投与など、様々な状態に関連している。

目的
:この研究の目的は犬の血小板増多症に関連した状態や疾患の特徴を明らかにすること。

方法
:この回顧的研究には血小板増多症(血小板数>600×10³ /μL)で、1年間の医療記録が完全である犬を含め、犬種、性別、年齢、CBC、ALP、GGT、グルココルチコイドもしくはビンクリスチンの投与、初期診断などを評価した。

結果
:血小板増多症は5342頭中240頭(4.6%)の犬でみられ、165頭(3.1%)が組み入れ基準に一致した。血小板増多症は全ての犬で二次性のものであり、基礎となる疾患もしくは状態はは、腫瘍(n=56, 33.9%)、炎症(n=55, 33.3%)、その他の障害(n=26, 15.8%)、腫瘍と二次的疾患(n=13, 7.9%)、内分泌疾患(n=8, 4.8%)、重複疾患(n=7, 4.2%)であった。腫瘍の犬では、上皮性悪性腫瘍(24)、円形細胞腫瘍(20)であり、特にリンパ腫と肥満細胞腫が最も多かった。炎症性疾患には免疫介在性疾患(11)、神経疾患(8)、感染性疾患(6)、アレルギー性疾患(5)、整形学的疾患(4)、消化器疾患(4)、その他の状態(17)が含まれていた。165頭中75頭(44.2%)の犬が、グルココルチコイド(55)もしくはビンクリスチン(18)の投与を受けていた。24頭の犬で著しい(血小板数850-969×10³ /μL)もしくは極度の(血小板数≧970×10³ /μL)の血小板増多症を示しており、そのうち12頭(50%)は腫瘍の犬だった。血栓塞栓症は13(7.9%)の犬で生じた。

結論
:犬の血小板増多症は腫瘍もしくは炎症性疾患から二次的に起こるのが最も一般的であり、グルココルチコイドとビンクリスチンの投与と関連していることが多い。血栓塞栓症の合併症は少数の患者でみられた。著しいもしくは極度の血小板増多症は、他の疾患よりも腫瘍でより起こりやすかった。

Volkmann, M., et al. "Chronic Diarrhea in Dogs–Retrospective Study in 136 Cases." Journal of Veterinary Internal Medicine 31.4 (2017): 1043-1055.

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本文:無料公開(PDF

キーワード:慢性下痢、慢性腸症、炎症性腸症、食事反応性腸症、抗菌薬反応性腸症

==アブストラクト===
背景
:慢性下痢は犬でよくみられるが、原発性もしくは二次性の原因についての頻度や割合などの情報は不足している。

目的
:慢性下痢の犬の原因と転帰を予測する因子を調べること。

動物
:3週間以上続く慢性下痢を持つ家庭犬136頭

方法
:医療記録(Small Animal Clinic, Freie Universität Berlin, Germany, 09/2009-07/2011)を回顧的に再調査した。臨床的な寛解(完全[消化器症状がない]または部分的[消化器症状の改善と期間の短縮を伴う回数の減少])を得た犬と、回復しなかった犬との間で、最終診断の定量化と、疾患重症度や臨床病理学的異常などの臨床的側面の比較を実施。

結果
:90%の犬が原発性腸症と診断された。炎症性(71%;そのうち食事反応性が66%、特発性が23%、抗菌薬反応性が11%)、感染性(13%)、腫瘍性(4%)、器質的疾患1頭、全身性の血管炎1頭であった。二次性の原因が10%の犬で診断された。 膵外分泌(6%)、内分泌(2%)、肝臓1頭、腎臓1頭、心臓1頭であった。87%の犬が臨床的に寛解し、13%の犬が死亡もしくは治療への反応がなかった。回復のない犬は特発性の炎症性腸症と腫瘍性疾患で多く、疾患重症度スコアの増加(p=0.005)、貧血(Ht<40%、p<0.001)、重度の低アルブミン血症(血清アルブミン<2.0g/dl、p=0.008)重度の低コバラミン血症(血清コバラミン濃度<200ng/ml、p=0.006) と有意な相関があった。

結論と臨床的重要性
:炎症性腸症、特に食事反応性腸症は犬の慢性下痢の最も多い原因であった。慢性下痢の犬の予測マーカーとしてヘマトクリット、血清アルブミン、血清コバラミン濃度が有用であることが支持された。

==本文から==
・利益相反宣言:利益相反なし
・おそらく二次診療施設でのデータ

 

Norsworthy, Gary D., et al. "Diagnosis of chronic small bowel disease in cats: 100 cases (2008–2012)." Journal of the American Veterinary Medical Association 243.10 (2013): 1455-1461.

PubMedリンク

本文:無料公開なし 

==アブストラクト===
目的:慢性嘔吐、慢性下痢、体重減少などの臨床徴候を単独もしくは複数もち、超音波検査で小腸の肥厚が確認された猫について、どういった疾患が診断されたかどうかを調べること。

デザイン:回顧的症例シリーズ

動物:100頭の家庭猫

手順:2008-2012年の間に、慢性嘔吐、慢性下痢、体重減少などの臨床徴候を単独もしくは複数もち、超音波検査で小腸の肥厚が確認され、開腹手術で複数部位の小腸の生検を行った猫の医療記録を調査した。生検検体は組織学的、免疫組織化学的に評価し、曖昧な場合にはPCR法も用いた。

結果:100頭99頭で慢性の小腸疾患が診断された。最も多かった診断は慢性腸炎と消化器型リンパ腫であった。

結論/臨床的関連:今回の結果から、慢性的な小腸疾患の臨床徴候を持つ猫では詳細な診断的検査が行うべきでだと 考えられる。それは何故ならば、臨床的に重要で、診断可能であり、治療可能である疾患であることが多いからである。小腸疾患に関連した臨床徴候、特に体重減少や慢性/再発性の嘔吐、は猫にとってよくある徴候である。飼い主からの説明が一般的であるかに関わらず、これらの徴候を正常な状態ととらえたり、無視したりすべきではなく、これらの徴候を持つ猫には適切な診断的検査を行うべきである。

==訳者コメント===
 ・慢性の小腸疾患の症状を持つ猫で、鑑別診断や検査前確率を考える際に参考になるデータだと思います。
・この研究では診断のゴールデンスタンダードが開腹による生検(内視鏡ではなさそう)であることが、若干のバイアスになっていそうな気がします。 

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