ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

小動物臨床の獣医師が、臨床に役立ちそうな論文情報をちょっとづつアップします。ねころんでいても論文検索ができればいいなと。

カテゴリ: 救急

Blutinger, Alex Louis, et al.
"Prospective evaluation of plasma lactate parameters for prognosticating dogs with shock." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2021).


PubMedリンク PMID:
33709568
本文:無料公開なし

タイトル:ショックのある犬を予測するための血漿乳酸値の前向き評価

==アブストラクト===
目的:入院時の静脈血漿乳酸濃度、連続的に計算された乳酸変数、または急性患者生理学・検査評価(APPLE)スコアが、ショックの臨床徴候を示して救急かに来院した犬の生存と非生存を区別するかどうかを判断すること。

デザイン:24ヵ月にわたる前向き症例シリーズ。

施設:大都市の私立教育病院。

動物:初期の末梢静脈血漿乳酸濃度が2.5mmol/Lを超え、ショックと一致する臨床的および血行力学的パラメータを示してICUに入院した犬71頭。

介入:なし。

方法と主な結果
:心拍数、収縮期血圧、体温、初期静脈血漿乳酸値、APPLE(FAST)スコアを入院時に記録した。乳酸濃度は、事前に設定した時点で連続的に測定され、乳酸time(乳酸が>2.5mmol/Lの時間)、乳酸クリアランス([初期乳酸ー後期乳酸/初期乳酸×100)乳酸エリア(乳酸濃度vs時間曲線下の面積)を含む計算乳酸変数を使用した。主要アウトカムは生存退院とした。全体の生存は61%であった。入院時の血漿乳酸は、グループ間で差がなかった(p=0.28)。乳酸timeは非生存群よりも生存群で短かった(p=0.003)。時間あたりの乳酸クリアランスは、1、4、10、16時間で、非生存群よりも生存群で大きかった(p<0.05)。最終的な血漿乳酸クリアランスはグループ間で異なった(p<0.005)。1-4時間、4-10時間、10-16時間、16-24時間の乳酸エリアは、生存群よりも非生存群のほうが大きかった(p<0.005)。全体の乳酸エリアはグループ間で差はなかった(p=0.51)。入院時のAPPLE(FAST)スコアは、グループ間で差はなかった(p=0.16)。

結論
:APPLE(FAST)スコアも入院時の血漿乳酸濃度も、入院中の生存と非生存を区別できなかったが、乳酸クリアランスはショックのある犬の生存を予測することができた。

Summers, April M., et al.
"Retrospective evaluation of the use of hydrocortisone for treatment of suspected critical illness–related corticosteroid insufficiency (CIRCI) in dogs with septic shock (2010–2017): 47 cases." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2021).


PubMedリンク PMID:33599090
本文:無料公開なし

タイトル:敗血症性ショックのある犬における重症疾患関連コルチコステロイド不全の治療としてのヒドロコルチゾンの使用に関する回顧的評価

==アブストラクト===
目的:重症疾患関連コルチコステロイド不全(CIRCI)の疑いのためにヒドロコルチゾンで治療された敗血症性ショックの患者の特徴を、CRICIの疑いがない敗血症性ショックの患者と比較して評価すること。

デザイン:2010年2月から2017年10月の間の回顧的研究。

施設:大学の教育病院ICU。

動物:敗血症性ショックの犬47頭のデータを収集した。21頭はCIRCIのためにヒドロコルチゾンで治療された(ヒドロコルチゾン治療群)。26頭はヒドロコルチゾンの投与を受けていないかった(非ヒドロコルチゾン治療群)。

方法と主な結果:ヒドロコルチゾン治療群は非ヒドロコルチゾン治療群に比べて、ベースラインでのAPPLE fullスコアが高く、予測死亡率が高かった(0.87 vs 0.44;p=0.039)。ヒドロコルチゾン治療群の犬は、非ヒドロコルチゾン治療群の犬よりも多くの昇圧剤と強心薬が用いられた(2.5 vs 1.5;p<0.001)。すべての患者が昇圧剤投与に最初は反応し、低血圧が解消するまでの平均時間は、ヒドロコルチゾン治療群の犬で90分、非ヒドロコルチゾン治療群の犬で60分であった(p=0.640)。しかし、ヒドロコルチゾン治療群の犬は、ヒドロコルチゾン治療群の犬は、非ヒドロコルチゾン治療群の犬よりも、昇圧剤開始後から持続的な低血圧の解消(収縮期血圧>90mmHgまたは平均血圧>65mmHgが最低4時間)にいたるまでの時間が、有意に長かった。(8.5 vs 4.5 時間;p=0.001)。ヒドロコルチゾン治療群の犬の3頭(14.3%)と非ヒドロコルチゾン治療群の犬の9頭(34.6%)が生存退院し、この差は統計的に有意ではなかった。

結論
:ヒドロコルチゾン治療群の犬は非ヒドロコルチゾン治療群の犬よりも、ベースラインでの死亡リスクが高かった。敗血症性ショックをヒドロコルチゾンありおよびヒドロコルチゾンなしで治療した場合の生存に有意さはなかった、CIRCIを疑う犬におけるヒドロコルチゾンの使用については更なる研究による評価が必要である。

Summers, April M., et al.
"Clinical features and outcome of septic shock in dogs: 37 Cases (2008‐2015)."
 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2020).


PubMedリンク PMID:
33382202
本文:無料公開なし

タイトル:犬の敗血症性ショックの臨床的特徴と転帰:37症例(2008-2015)

==アブストラクト===
目的:敗血症性ショックの犬の患者の特徴を記述し、疾患重症度のマーカーを調べ、転帰に影響を与える治療についてを評価すること。

デザイン:回顧的研究。

施設:単一施設、大学の獣医教育ICU。

動物:敗血症性ショックの犬37頭。

介入:なし。

方法と主な結果:臓器機能障害の平均数は3.24±1.0であり、心血管系(100%)、呼吸器(73%)、血液学(68%)、腎臓(49%)、肝臓(32%)の機能障害が含まれた。消化管は敗血症の原因として最も多かった。蘇生前の血圧の平均は50±8mmHgであった。昇圧剤療法の前に、すべての犬が静脈輸液をうけ、その投与量の平均は12.1±11.0ml/kg/hであった。すべての犬に抗菌薬が投与され、診断から投与までの時間の平均は4.3±5.7時間であった。ドパミンまたはノルエピネフリンの静脈投与がそれぞれ51.3%、37.8%で行われ、低血圧の平均時間は2.6±3.0時間であった。死亡率は81.1%であった。生存した犬は栄養チューブを設置していることが多く(p=0.007)、消化管の敗血症であることが多く(p=0.012)、呼吸器の機能障害を起こしていることが少なかった(P<0.001)。APPLE-FULLスコア(P=0.014)と抗菌薬療法までの時間(P=0.047)は、死亡の予測因子として特定された。敗血症性ショックのヒトの転帰を改善する可能性のある7つの介入から成る治療バンドルを評価した。生存犬は4.1±1.3の介入を受けており、一方で非生存犬は2.4±1.4の介入を受けていた(P=0.003)。

結論
:犬の敗血症性ショックはきびしい予後をもたらす。早期の抗菌薬療法と治療バンドルの活用により、敗血症性ショックの犬の生存率が上昇する可能性がある。敗血症への介入が生存に与える影響を調べるためにはさらなる研究が必要である。

Bray, Kathryn Y., et al.
"Continuous rate infusion of midazolam as emergent treatment for seizures in dogs." 
Journal of Veterinary Internal Medicine.


PubMedリンク PMID:33325618
本文:無料公開あり(全文

タイトル:犬の発作の救急治療としてのミダゾラムの持続注入

==アブストラクト===
背景:持続注入(CRI)によって投与されたミダゾラムは、群発発作またはてんかん重積の犬に有効となる可能性がある。

目的:群発発作またはてんかん重積の犬におけるミダゾラムCRIの使用と安全性を記述すること。

動物:群発発作またはてんかん重積で獣医教育病院に来院した家庭医飼育犬106頭。

方法:群発発作またはてんかん重積をミダゾラムCRIで治療した犬の医療記録の回顧的レビュー。

結果:群発発作が72頭、てんかん重積が27頭であった。発作のコントロールは、ミダゾラムのCRI投与をうけた犬106頭中82頭(77.4%)で達成された。発作のコントロールに関連した投与量の中央値は0.3mg/kg/hr(範囲 0.1-2.5)であった。CRIの投与時間の中央値は25時間(範囲 2-96)であった。発作のコントロールは、特発性てんかんの犬40頭中34頭(85%)、構造性てんかんの犬43頭中32頭(74%)、原因不明のてんかんの犬16頭中12頭(75%)で達成された。発作のコントロールは、群発発作の犬の81%、てんかん重積の犬の67%でラッセいされた(p=0.18)。特発性/原因不明のてんかんの犬は、構造性てんかんの犬よりも生存する確率が高かった(87% vs 63% P=0.009)。有害事象は24頭(22.6%)で報告され、すべての症例で軽度であった。

結論と臨床的意義
:ミダゾラムCRIは明らかに安全であり、群発発作またはてんかん重積の犬において有効な治療になり得る。

White, Russell S., Angela J. Sartor, and Philip J. Bergman.
"Evaluation of a staged technique of immediate decompressive and delayed surgical treatment for gastric dilatation-volvulus in dogs."
(2020): 72-79.

PubMedリンク PMID:33314975
本文:無料公開なし

タイトル:犬の胃拡張捻転症候群の即時的な減圧と遅延した外科治療の段階的手技の評価

==アブストラクト===
目的:犬の胃拡張捻転症候群(GDV)の即時的な減圧と遅延した外科治療の段階的手技を評価すること。

動物:2012年から2016年の間にGDVと診断された家庭飼育犬41頭。

方法:医療記録を収集し、シグナルメント、診断検査結果、胃内洗浄所見、手術所見、短期生存の状態について調べた。すべての犬で、口胃挿管と胃洗浄による胃の減圧が同じ麻酔で行われた。この段階がうまく行った場合に、続いて矯正手術(開腹と胃固定)が、2回目の麻酔で遅れて実施された。

結果:減圧と安定化の麻酔と同時に矯正手術を行った犬6頭では、そのうち2頭で胃の壊死があった。35頭の犬では2回目の麻酔で矯正手術が行われており、来院から手術までの平均時間は22.3時間(範囲 5.25-69.75)であり、そのうち2頭で胃の壊死があった。遅延手術の患者の死亡率は9%(3/35頭)であった。来院から手術までの時間は、術者による胃の状態の主観的評価と死亡率に関連しなかった。術中に確認された胃の壊死は、非生存と関連した。単回の血漿乳酸濃度と連続的な乳酸濃度の変化の割合は、術中の胃の状態と死亡率に関連した。

結論と臨床的意義
:遅延手術の患者で観察された死亡率は、報告されている他のGDV治療方法のものと同等であった。結果により、遅延した矯正手術は特定の犬では可能であるが、注意深い症例選択が重要となり、信頼のできる術前の患者選択基準は特定されていない。犬のGDVの治療における段階的手術と即時手術の潜在的なリスクと利益を調べるためには、さらなる調査が必要である。

Le Gal, A., E. K. Thomas, and K. R. Humm.
"Xenotransfusion of canine blood to cats: a review of 49 cases and their outcome." 
Journal of Small Animal Practice 61.3 (2020): 156-162.


PubMedリンク PMID:
31867733
本文:無料公開なし

タイトル
犬から猫への異種輸血;49症例のレビューと転帰

==アブストラクト===
目的:異種輸血のプロトコルの使用、猫のレシピエントの異種輸血の転帰、および異種輸血に関する飼い主の記憶についてを記述すること。

方法:2016年1月から2018年7月の間に2つの病院で異種輸血をうけた猫を組み入れた。異種輸血プロトコルの順守、貧血の原因、血液型、PCV、輸血量、輸血反応、輸血後12時間でのPCV、生存退院について記録した。生存した猫の飼い主に、異種輸血が行われたことを覚えているかどうかを質問した。

結果:49頭の猫で異種輸血プロトコルが行われた。貧血の原因で最も多かったのは、手術による失血(n=17)、免疫介在性溶血性貧血(n=14)、および腫瘍(n=14)であった。輸血の前のPCVの中央値は10%であった。6頭(12%)が発熱性非溶血性輸血反応を示した。輸血後12時間でのPCVの中央値は24%であった。10頭(20%)の猫が輸血後24時間以内に死亡または安楽死された。遅発性の溶血性輸血反応が25/39頭(64%)でみられ、15頭では輸血後中央値1.9日で黄疸としてみられ、19頭で輸血後中央値2日で溶血性結成としてみられた。退院後1週間で生存していた18頭中、15頭(83%)は輸血後中央値173日生存していた。すべての飼い主が異種輸血を行ったことについて覚えていた。

臨床的意義
:犬の濃厚赤血球を猫へ輸血する異種輸血は可能であるが、輸血後1-6日での溶血を予測しておくべきである。

Sharp, Claire R., et al.
"The pattern of mortality in dogs with gastric dilatation and volvulus." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care 30.2 (2020): 232-238.


PubMedリンク PMID:32077192
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル:胃拡張捻転症候群の犬の死亡パターン

==アブストラクト===
導入:この研究の主な目的は、胃拡張捻転症候群(GDV)の犬の院内死亡率、術前の死亡に焦点をあてて、そのパターンを調べることである。

方法:大学の教育病院の10年間の医療記録を回顧的にレビューした。シグナルメント、来院時の身体検査所見、血中乳酸濃度、および転帰についての情報を収集した。

結果:合計で498頭の犬が組み入れられた。全体で319頭(64.1%)の犬が生存退院し、179頭(35.9%)が死亡した。死亡した犬のうち、149頭(全体の31.3%)が安楽死であり、30頭(6%)が死亡であった。安楽死された犬のうち、多く(n=116)が来院時点、手術前の時点での実施だった(すなわち治療の意図なし)。手術前に安楽死をされた犬を除くと、83.5%の犬が生存退院した。安楽死された犬のグループの年齢の中央値は、生存退院した犬のグループよりも高かった。

結論
:この研究では術前の安楽死、つまり治療の意図のない死亡が胃拡張捻転症候群の犬の多くを占めていた。治療の意図のない死亡の割合が高いことを考えると、治療の改善に焦点をあてた努力よりも、治療の予防に焦点をあてた努力のほうが、最終的には全体的な病気の死亡率を改善する可能性がある。

Iannucci, Claudia, et al.
"A prospective randomized open‐label trial on the comparative effects of 6% hydroxyethyl starch 130/0.4 versus polyionic isotonic crystalloids on coagulation parameters in dogs with spontaneous hemoperitoneum." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2020).

PubMedリンク PMID:33108052
本文:無料公開なし

タイトル:自然発生腹腔内出血の犬の凝固パラメータに対する6%ヒドロキシエチルスターチ130/0.4と多イオン等張晶質液

==アブストラクト===
目的
6%ヒドロキシエチルスターチ130/0.4(HES)と多イオン等張晶質液(以下、晶質液)が、自然発生性の腹腔内出血のある犬における標準的な凝固検査とローテーショナルトロンボエラストメトリー(ROTEM)に与える影響を評価すること。

デザイン:前向きランダム化非盲検臨床試験。

施設:大学の教育病院。

動物:自然発生性腹腔内出血のある家庭飼育犬42頭。

介入
自然発生性腹腔内出血および血液量減少性ショックと診断された犬を以下のいずれかにランダムに割り付けた;HES(10ml/kg, n=22)または晶質液(30ml/kg, n=20)の血行動態の安定化のために20分かけて静脈内投与。

方法と主な結果:治療前(T0)と治療後(T1)に以下のパラメータを測定した;HCT、血小板数、プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、フィブリノゲン濃度、およびROTEM活性の外因性活性化(EXTEM)/内因性活性化(INTEM)/血小板阻害外因性活性化。データは絶対値およびT0からT1への変化割合として解析された。T0ではいずれの項目も各グループ間で有意な差は無く、T1でもHCT、血小板数、PT、APTT、フィブリノゲン濃度にも差はなかった。T1において晶質液グループに比べて、HESグループではEXTEMにおける血餅形成時間が有意に延長し(p=0.037)、最大血餅硬度が有意に減少した(p=0.0038)。EXTEM凝固時間(p=0.012)とINTEM血餅形成時間(p=0.031)は、晶質液よりもHESの方が大きかった。融解指数は両グループともにすべてのROTEM活性で100%のままであった。

結論
:自然発生性腹腔内出血の犬において、3倍量の晶質液と比較してHESの投与はROTEMパラメータの障害と関連していたが、線溶系の亢進の所見は検出されなかった。

Schaefer, Jonathan D., et al.
"Evaluation of the rectal‐interdigital temperature gradient as a diagnostic marker of shock in dogs." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care.


PubMedリンク PMID:32965089
本文:無料公開なし

タイトル:犬のショックの診断マーカーとしての直腸-指間の温度勾配の評価

==アブストラクト===
目的:救急に来院し、ショックの臨床徴候がある犬とない犬との間で、直腸-指間温度勾配の差を評価し、その勾配がショックの診断マーカーとして利用できるかどうかを調べること。

デザイン:2014-2015年に行われた前向き単一施設観察研究。

施設:大学の獣医教育病院。

動物:ショックと臨床診断された犬20頭と、ショックと臨床診断されていない犬(対照)60頭。

方法と主な結果
:救急治療室に来院して、介入を行う前に、直腸温、指間温、環境温度、循環の全身マーカー(毛細血管再充満時間[CRT]、心拍数、呼吸数、ドップラー血圧測定、静脈血漿乳酸濃度)と静脈血液ガス分析を記録した。犬は最初に担当医がショック状態にあることを判断し、事後の組み入れ基準を適応した。以下の6つの基準のうち、3つ以上で異常がある場合をショックと定義した;心拍数 >120回/分、呼吸数 >40回/分、CRT >2秒、直腸温 <37.8℃、静脈血漿乳酸濃度 >2.5mmol/L、ドップラー血圧 <90mmHg。循環ショックのある動物では直腸-指間温度勾配が有意に増加した。直腸-指間温度勾配の増加は、CRTの延長(ρ=0.353、p=0.0013)、頻脈ρ=0.3485、p=0.0015)、ドップラー血圧の低下ρ=-0.6162、p=0.0003)、ショック指数ρ=0.6168、p=0.0003)などの個々の循環パラメータとも相関した。ROC解析では、直腸-指間の温度勾配のカットオフ値11.6℉(-11.3℃)は、ショックの診断に特異度90%であった(AUC=0.7604)。

結論:この研究において、直腸-指間の温度勾配はショックの診断と関連し、そのため循環ショックの診断マーカーとして役立つ可能性がある。診断およびミニタリングのツールとしての温度勾配と末梢環流異常の使用を検証するためには、大規模なサンプルでのさらなる研究が必要となる。

Jagodich, Tiffany A., et al.
"High‐flow nasal cannula oxygen therapy in acute hypoxemic respiratory failure in 22 dogs requiring oxygen support escalation." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2020).

PubMedリンク PMID:32583614
本文:無料公開なし

タイトル:酸素サポートの増大を必要とする犬22頭の急性低酸素性呼吸不全における高流量鼻腔カニューレ酸素療法

==アブストラクト=== 
目的:高流量鼻腔カニューレ酸素療法が急性の低酸素性呼吸不全の犬の心肺系の変数と転帰に与える影響を調べること。

デザイン:前向き連続臨床試験。

施設:大学の獣医教育病院。

動物:従来の酸素サポートに反応しなかった家庭飼育犬22頭。

介入
: 従来の酸素供給でSpo2>96%およびPao2>75mmHgへの増加、または呼吸数/呼吸努力の改善に失敗した場合に、高流量鼻腔カニューレ療法を開始した。

方法と主な結果
高流量鼻腔カニューレを開始する前(従来の酸素サポート中[T0])、高流量鼻腔カニューレ投与開始から30分、60分、および7±1時間で、生理学的変数、血液ガス分析、および呼吸困難/沈静/許容スコアを調べた。T0と比較して、高流量鼻腔カニューレの使用は、1時間後(p=0.022)と7時間後(p=0.012)で呼吸数を減少させ、全ての時点で呼吸困難スコアを減少させ(p<0.01)、すべての時点でSpo2を増加させた(p<0.01)。T0と比較して動脈血/静脈血Pco2に差はなかったが、PsCo2は流量と相関した。呼吸評価において、60%の犬が30分以内に高流量鼻腔カニューレの使用に反応し、最終的に45%が高流量鼻腔カニューレの使用に反応して生存した。臨床的なエアリーク症候群はみられなかった。

結論
: 高流量鼻腔カニューレの使用は従来の酸素療法と比べて、換気を損なうことなく酸素化を改善させ、呼吸の働きを改善させた。高流量鼻腔カニューレの使用は、芳醇的な酸素補給と人工呼吸の間をうめるための有益な酸素サポート療法である。

Stewart, Samuel D., et al.
"Prospective observational study of dogs with splenic mass rupture suggests potentially lower risk of malignancy and more favorable perioperative outcomes."
 
Veterinary and Comparative Oncology (2020).

PubMedリンク PMID:32458544
本文:無料公開

タイトル
:脾臓腫瘤破裂の犬の前向き観察研究によって、悪性度が低い可能性とより良好な周術期転帰が示唆された

==アブストラクト=== 
 脾臓腫瘍の破裂によって起こる腹腔内出血は、良性または悪性のいずれかの起源の可能性がある。犬の腹腔内出血に関する過去の研究の多くは回顧的であり、腹腔内出血などの複雑な徴候における転帰の多様性を正しく評価できていない可能性など、よく認識されたバイアスと関連している。この研究は、脾臓腫瘤破裂による腹腔内出血の犬の周術期の合併症と死亡率について前向きに定義しようとした。

 脾臓腫瘤の破裂による腹腔内出血の犬40頭が組み入れ基準を満たした。予想通り、その集団は主に高齢の大型犬で構成されていた。 すべての犬で術前のステージングとと脾臓摘出が行われた。脾臓腫瘤と術中に見つかった転移である可能性の病変について病理組織学的分析が行われた。脾臓摘出以外の周術期ケアは、現在の従来からのケア方法(輸血、抗不整脈薬)によって専門診療で行われた。15頭の犬(37.5%)が良性の脾臓腫瘍であり外科治療単独で治癒し、62.5%は悪性疾患(血管肉腫が最も多い)であった。手術の転帰は大多数の犬で非常に良好であった。実際に、38頭(95%)は生存し、中央入院時間として39.5時間で退院した。長期入院を予測する独立した因子には、輸血の実施と不整脈の発症が含まれた。

 小さいながらもこの集団は、脾臓腫瘍の破裂による腹腔内出血の犬の特徴的で楽観的な見通しを示している。この前向き研究のこれらの良好な転帰は、この困難ながんの緊急事態の際の飼い主へのより良い情報を提供するために、より大規模な前向き研究を実施すべきかを問うのに十分である。 

Lester, Carrie, et al.
"Retrospective evaluation of acute liver failure in dogs (1995–2012): 49 cases."
 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care 26.4 (2016): 559-567.

PubMedリンク PMID:27147282
本文:無料公開あり(全文

タイトル:犬の急性肝不全の回顧的評価(1995-2012);49症例

==アブストラクト=== 
目的:急性肝不全の犬の臨床所見と転帰についての特徴を調べること。

デザイン:1995年1月から2012年12月の間の回顧的症例シリーズ。

施設:大学の教育病院。

動物:急性肝不全と診断された犬49頭。急性肝不全は血清高ビリルビン血症と凝固異常(PTが基準範囲の上限の1.5倍以上)を伴い、肝性脳症の徴候を伴うまたは伴わない急性発症の臨床徴候と定義した。

方法:医療記録を回顧的に解析し、臨床所見、病歴、身体検査所見、臨床病理学的情報、画像診断所見、肝臓の病理組織、治療、および転帰について調べた。

主な結果
:臨床徴候には食欲低下(28/49、57%)、嘔吐(25/49、51%)、神経学的異常(17/49、35%)、および多飲多尿(10/49、20%)がみられた。肝性脳症に一致する神経学的障害が、入院中のある時点で28/49頭(57%)の犬でみられた。高ビリルビン血症と血清肝酵素活性の上昇以外に、来院時に多くみられた臨床病理学的異常には、血小板減少症(25/49、51%)、低アルブミン血症(23/49、46%)、白血球減少症(17/49、34%)、貧血(14/49、29%)、低カリウム血症(13/49、27%)、低血糖(10/49、20%)があった。急性肝不全の原因には、腫瘍(13/49、27%)、レプトスピラ 症の疑い(4/49、8%)、 虚血(1/49、2%)であった。残りの原因は特発性であっtが、15頭は肝毒性の可能性のあるものに暴露されていた。肝臓の病理組織検査を行なった犬の35/49頭(71%)で一般的な病変は、壊死(19/39、48%)、脂肪肝(16/39、41%)、空胞性変化(7/49、14%)、炎症(4/49、8%)であった。合併症には腹水(20/49、41%)、出血傾向(14/49、29&)、膵炎(12/49、24%)、急性尿細管壊死(11/49、8%)がみられた。7頭(14%)の犬が生存退院した。生存犬はALT活性が高く、入院中に正常なアルブミン濃度が維持され、臨床的な出血または腹水を発症しない傾向にあった。
 

==本文から==
死亡した犬42頭中35頭は安楽死。
 

Hoehne, Sabrina N., Kate Hopper, and Steven E. Epstein.
"Retrospective evaluation of the severity of and prognosis associated with potassium abnormalities in dogs and cats presenting to an emergency room (January 2014–August 2015): 2441 cases." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care29.6 (2019): 653-661.

PubMedリンク PMID:31482659
本文:無料公開なし

タイトル:救急治療室に来院した犬と猫におけるカリウム異常の重症度とそれに関連した予後についての回顧的評価(2014年1月-2015年8月);2441症例

==アブストラクト=== 
目的:獣医救急治療部に来院した犬と猫におけるカリウム異常に関連した重症度、併存する臨床徴候、および疾患過程を明らかにし、関連した死亡率を決定すること。

デザイン:20ヶ月間の回顧的記述研究。

施設:大学の教育病院。

動物:来院した犬1916頭と猫525頭。

介入:なし。

方法と主な結果
:入院から24時間以内にカリウム濃度の測定が行われた患者の医療記録を特定した。低カリウム血症と高カリウム血症はそれぞれ、カリウム濃度<3.5mmol/L[3.5mEq/L]、>5mmol/L[5mEq/L]と定義した。中程度から重度のカリウム異常(<3mmol/L or ≧6mmol/L)に対して、カリウム異常に関連する疾患過程と病態生理学的リスク因子を再調査した。正常カリウム、軽度、および中程度〜重度の異常カリウム血症に関連する死亡率を評価した。異常なカリウム濃度の全体的な有病率は、犬で27%、猫で40%であった。中程度〜重度の低カリウム血症は犬の3%、猫の8%で存在し、中程度〜重度の高カリウム血症は、犬の2%、猫の7%で存在した。中程度〜重度の低カリウム血症は、胃腸疾患(犬の48%、猫の44%)との関連が最も多く、一方で中程度〜重度の高カリウム血症は尿路疾患(犬の60%、猫の97%)との関連が最も多かった。低カリウム血症の犬と、高カリウム血症の犬と猫は、正常カリウムの犬と猫に比べて有意に死亡率が高かった(p<0.0001)。軽度の低カリウム血症と軽度の高カリウム血症の犬は、正常カリウムの犬よりも死亡率が高かったが、これは猫ではみられなかった。

結論
:異常カリウム血症はこの集団で一般的であり、死亡率の増加と関連した。中程度から重度のカリウム異常は、この集団では少なく、胃腸疾患と尿路疾患のある動物で最も頻繁に起こった。
 

Hammer, Meike, et al.
"Predictors of comorbidities and mortality in cats with pelvic fractures." 
Veterinary Surgery (2019).

PubMedリンク PMID:31876001
本文:無料公開なし

タイトル:骨盤骨折のある猫における併存疾患と死亡の予測因子

==アブストラクト=== 
目的:骨盤骨折のある猫の併存疾患と死亡に対するリスク因子について評価して特徴を調べること。

研究デザイン:回顧的症例研究。

動物:猫(n=280)。

方法:医療記録を再調査し、2003年1月から2016年12月の間に骨盤骨折と診断された猫を検索した。収集したデータには、シグナルメント、損傷のメカニズム、臨床所見、画像診断結果、解剖学的部位に基づいた同時損傷の種類と数、治療の種類、および生存についての情報を含めた。骨盤骨折は部位と重症度によって分類された。記述的統計を行い、ロジスティック回帰モデル構築して、リスク因子と転帰との関連について調べた。

結果:症例は280頭の猫、そのうち体重負荷軸に関与しない損傷が(9%)、軸の片側性(43%)、および両側性(48%) であった。仙骨骨折が12%の猫でみつかった。外科治療と死亡割合、骨盤骨折の重症度とともに上昇した(p<0.001)。同時に負傷した身体部位の平均数は、2.4±1.2であり、死亡率と関連した(p<0.01)。20頭の猫が退院前に死亡した。神経学的損傷のある猫ではより死亡しやすかった(p=0.02)。

結論:骨盤骨折のある猫で、少なくとも一つの身体部位、特に腹部と胸部、における併存損傷がみられた。骨折の重症度の増加、神経学的損傷、および併存損傷の数の増加と、死亡率は関連した。

臨床的意義
:骨盤骨折のある猫では併存損傷はよくあることで、併存疾患は死亡率と関連している可能性がある。

 

Charalambous, Marios, et al.
"Comparison of intranasal versus intravenous midazolam for management of status epilepticus in dogs: A multi‐center randomized parallel group clinical study."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2019).

PubMedリンク PMID:31580527
本文:無料公開あり(全文

タイトル:犬のてんかん重積の管理のためのミダゾラムの鼻腔内投与 vs 静脈内投与の比較;多施設ランダム化並行群間臨床試験

==アブストラクト===
 背景:てんかん重積を含む脳疾患のある患者における迅速薬剤投与のための鼻腔内経路が調査されている。てんかん重積は緊急事態であり、特に他の薬剤経路が失敗した際に、鼻腔内経路はしばしばそれらに代わる貴重な代替手段となる。

目的:犬のてんかん重積を管理するための同用量のミダゾラム(0.2mg/kg)の鼻腔内投与 vs 静脈内投与を比較すること。

動物:特発性てんかん、構造性てんかん、または期限不明のてんかんがああり、てんかん重積を示した家庭飼育の犬(n=44) 。

方法:ランダム化並行群間臨床試験。患者はランダムにミダゾラム鼻腔内投与群(n=21)またはミダゾラム静脈内投与群(n=23) に割り付けられた。治療に成功(5分以内の発作停止とそれが10分以上続くことと定義)した症例数、発作停止時間、おゆおび有害事象を記録した。フィッシャーの正確検定とウィルコクスン順位和検定を用いて比較を行い、統計的な有意性をα<0.05と設定した。

結果: 鼻腔内投与群と静脈内投与群のそれぞれ76%と61%で、てんかん重積の停止に成功した(p=0.34)。てんかん重積時間の中央値は、鼻腔内投与で33秒、静脈投与で64秒であった(p=0.63)。静脈留置カテーテルの設置までの時間を考慮すると、鼻腔内投与(100秒)は静脈内投与(270秒)よりも優れていた。鎮静と運動失調は、鼻腔内投与の88%、静脈内投与の79%でそれぞれみられた。

結論と臨床的意義
:両経路ともにてんかん重積の管理に迅速、安全で有効である。しかし、静脈投与カテーテルの設置に必要な時間を考慮した場合に、鼻腔内投与が優位性を示した。
 
 てんかん重積のミダゾラム鼻腔内投与 PMID31580527

Gommeren, Kris, et al.
"Inflammatory cytokine and C‐reactive protein concentrations in dogs with systemic inflammatory response syndrome."
 
Journal of veterinary emergency and critical care 28.1 (2018): 9-19.

PubMedリンク PMID:29236338
本文:無料公開なし

タイトル:全身性炎症反応症候群の犬における炎症性サイトカインとC反応性蛋白濃度

==アブストラクト===
目的:救急科に全身性炎症反応症候群(SIRS) で来院した犬におけるC反応性蛋白(CRP)、インターロイキン6(IL-6)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)の動態を評価すること。我々は、入院中に血清CRP濃度が増加して変動し、血漿IL-6とTNF-αは相関し、基礎疾患に応じて程度が変化し、生存を予測するだろう、という仮説をたてた。

デザイン:前向き、観察、臨床研究。

施設:大学の救急科。

動物:SIRSの犬69頭、体重は5kg以上、血液の採取に耐えられる犬。

介入:来院時(T0)、6時間後(T6)、12時間後(T12)24時間後(T24)、および72時間後(T72)と、退院から最低1ヶ月でのフォローアップの来院(T1m)で、血清および血漿を収集した。基礎疾患は、感染性、腫瘍性、外傷性、胃拡張-捻転症候群(GDV)、その他の胃腸疾患、腎臓性、およびその他の疾患に分類した。

方法と主な結果:血書CRPは犬特異的免疫免疫比濁法を用いて測定した。生物学的に活性のある血漿IL-6とTNF-αの濃度はバイオアッセイを用いて評価した。44頭の犬が生存し、8頭が死亡、17頭が安楽死された。19頭がフォローアップで来院した。T0での血清CRP濃度は、73.1%(49/67)で参照範囲を超えており、入院中を通して参照範囲内(0-141.9mmol/L)だったのは6%(4/67)だけだった。血清CRP濃度は、T0(882.9 ± 1082.9nmol/L)および入院中の全ての時点で、T1mと比較して有意に高く(p<0.0001)、最も高い濃度はT24(906.7 ± 859.0 nmol/L)で観測された。T1mでの血清CRP濃度は、95%(18/19)の犬で参照範囲内であった。血清CRPと血漿IL-6の対数濃度は有意に相関していた(p<0.001, r=0.479)。測定したサイトカインのなかで、疾患のカテゴリーや転帰と相関したものはなかった。

結論
:血清CRP濃度はSIRSの犬で増加し、治療と入院期間に減少する。血清CRP、血漿IL-6、血漿TBF-α濃度は、SIRSの犬の予後を予測出来ない。 

Smith, Stephanie A., et al.
"Arterial thromboembolism in cats: acute crisis in 127 cases (1992–2001) and long‐term management with low‐dose aspirin in 24 cases."
 
Journal of veterinary internal medicine 17.1 (2003): 73-83.

PubMedリンク PMID:12564730
本文:無料公開あり(全文) 

タイトル
:猫の動脈血栓塞栓症;127症例(1992-2001年)における急性危機と24症例の低用量アスピリンによる長期管理

==アブストラクト===
動脈血栓塞栓症の猫127頭の記録を再調査した。 アビシニアン、バーマン、ラグドール、および雄猫が多くみられた。頻呼吸(91%)、低体温(66%)、肢の運動能の欠如(66%)が多くみられた。診断検査を行った90頭の猫のうち、基礎疾患として甲状腺機能亢進症(12)、心筋症(拡張型[8]、分類不能[33]、肥大型閉塞型[5]、肥大型[19])、腫瘍(6)、ほか(4)、なし(3)があった。一般的な異常には左心房拡大(93%)、うっ血性心不全(44%)、および不整脈(44%)があった。うっ血性心不全のない猫では、89%が頻脈だった。一般的な生化学的な異常には、高血糖、高窒素決勝、および筋肉酵素濃度の異常な高値があった。急性の肢の動脈血栓塞栓症の治療をうけた猫87頭中、39頭(45%)が生存して退院した。生存群と非生存群との間で、年齢、呼吸数、生化学的分析値、うっ血性心不全の併発、に有意な差はなかった。直腸温をもとにしたロジスティック回帰モデルにより、体温37.2℃で生存可能性50%と予測した。退院した猫の中央生存期間は117日であった。11頭で動脈血栓塞栓症の再発があり、5頭で肢の問題を生じた。うっ血性心不全のある猫(中央生存期間 77日)は、うっ血性心不全のない猫(中央生存値 223日)に比べて、有意に生存期間が短かった(p=0.016)。高用量アスピリン(≧40mg/cat q72hr)の投与をうけた猫と、低用量アスピリン(5mg/cat q72hr)の投与をうけた猫で、生存や再発率に有意な差はなかった。低用量の方が有害事象は頻度が低くて軽度であった。
 

Guillaumin, Julien, et al.
"Thrombolysis with tissue plasminogen activator (TPA) in feline acute aortic thromboembolism: a retrospective study of 16 cases."
 
Journal of feline medicine and surgery 21.4 (2019): 340-346.

PubMedリンク PMID:29807505
本文:googlescholarからresearchgateで入手可能(全文

タイトル:猫の急性大動脈血栓塞栓症における組織プラスミノゲン活性化因子(TPA)による血栓溶解;16症例の回顧的研究

==アブストラクト===
目的
:血栓溶解療法はヒトの急性虚血性イベントに対する最適な治療であるが、猫の大動脈血栓塞栓症に対して投与されることはまれだ。 この研究では、組織プラスミノゲン活性化因子(TPA)で治療した急性猫大動脈血栓塞栓症の臨床情報と転帰について選出して報告する。現在の標準的なケアで治療された参照群を比較として分析した。

方法:これは2つの学術病院における猫大動脈血栓塞栓症の回顧的研究である。2肢以上罹患したTPA治療猫(n=16)と、2肢以上罹患した標準ケア治療群(n=38)を比較した。運動能と脈質い基づいた肢のスコアを各群で算出した。

結果
:来院時の肢スコアと鬱血性心不全は、両群で類似していた。猫大動脈血栓塞栓症から来院までの時間は、TPA群で短く、中央値は3時間(範囲 0-6時間)であり、標準ケア群では6時間(範囲 0-48時間)であった(p=0.0004)。TPAの最も一般的な投与計画は1時間かけて1mg/kgであった。その他の治療は標準ケア群のものと類似しており、鎮痛、血栓予防、およびフロセミドが含まれた。TPA治療群で記された合併症には、再灌流傷害(5/10)と急性腎傷害(AKI 3/10)が含まれた。退院割合は、TPA群44%と標準ケア群29%であった(p=0.351)。TPA群と標準ケア群んも間で、短期生存率(56.2% vs 39.5%、p=0.369)、臨床的改善(56.2% vs 31%、p=0.122)、再灌流傷害の割合(50% vs 50%、p=1.00)、またはAKI(30% vs 27%、p=1.00)において差はなかった。

結論と臨床的意義:急性猫大動脈血栓塞栓症に対してTPAで治療した猫と標準ケアで治療した猫で、生存および合併症の割合は同等だった。
 

Jack, Malcolm W., et al.
"Feasibility of open‐chest cardiopulmonary resuscitation through a transdiaphragmatic approach in dogs." 
Veterinary Surgery (2019).

PubMedリンク PMID:31120588
本文:無料公開なし

タイトル
:犬における経横隔膜アプローチによる開胸心肺蘇生法の実行可能性 

==アブストラクト===
目的
:犬の死体モデルにおける古典的な側方開胸術の代替法としての開胸心肺蘇生のための経横隔膜アプローチの実行可能性について記述すること。

研究デザイン
:ランダム化非劣勢生体外研究。

動物
:体重17.4-30.2kgに犬14頭。

方法
:それぞれの死体で心臓への側方開胸アプローチと経横隔膜アプローチを行った。研究の開始前に、手技の順序と特定の術者への割付をランダムに行った。以下の内容を含むデータを記録した;切開から心臓圧迫までの時間、縫合開始から胸腔閉鎖までの時間、縫合開始から皮膚縫合終了までの時間、肺・心臓・肝臓・神経血管系の外傷、静脈孔と横隔膜切開の間の距離、側方切開の肋間のスペース、適切な閉鎖。

結果
:切開から心臓圧迫開始までの時間の平均において、経横隔膜アプローチ( 85 ± 35 秒)は肋間アプローチ(84 ± 28 秒)に比べて劣っていなかった。胸腔の閉鎖は、経横隔膜アプローチのあと(531 ± 276 秒)は、肋間アプローチのあと(817秒 ± 294秒)に比べて早かった(p=0.03)。閉鎖の総時間は両手技で差は無かった(p=0.11)。それぞれのアプローチで合併症の割合に差はなかった。

結論
:経横隔膜アプローチは、側方開胸アピローチに比べて手技の時間を延長させたり、合併症の発生を増やすことはなかった。

臨床的意義
:この研究は、開胸心肺蘇生に対する経横隔膜アプローチの生体での有効性と安全性を決定するために、さらなる調査を支持する根拠となる。
 

Trotman, Tara K., Kenneth J. Drobatz, and Rebecka S. Hess.
"Retrospective evaluation of hyperosmolar hyperglycemia in 66 dogs (1993–2008)."
 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care 23.5 (2013): 557-564.

PubMedリンク PMID:24102960
本文:無料公開なし

タイトル:高浸透圧性高血糖の回顧的評価、犬66頭(1993-2008年)

==アブストラクト===
目的
:高浸透圧性高血糖状態の犬の大きな集団の臨床的な特徴を調べ、高浸透圧性高血糖状態の2つのサブグループ(高浸透圧性ケトン尿性糖尿病の犬と高浸透圧性非ケトン尿性糖尿病の犬)が臨床的に異なるかどうかを調べること。

デザイン:回顧的研究。1993年1月から2008年7月の間に検査をうけた1250頭の糖尿病の犬の記録を再調査し、高浸透圧性高血糖の犬を同定した。ケトン尿の有無にかかわらず、算出血清浸透圧≧325mOsm/kgを組み入れに必要とした。

施設:大学の教育病院。

動物
:高浸透圧性高血糖状態の犬66頭(高浸透圧性ケトン尿性糖尿病が34頭、高浸透圧性非ケトン尿性糖尿病が25頭、未分類の高浸透圧性高血糖が7頭)。

介入:なし。

 方法と主な結果
:高浸透圧性高血糖状態は糖尿病の犬の5%で診断された。高浸透圧性ケトン尿および高浸透圧性非ケトン尿の犬は、病歴、身体検査、臨床病理検査、および転帰のほとんどで互いに類似していた。高浸透圧性高血糖状態の犬の62%が生存退院した。高浸透圧性高血糖状態の犬の不良な転帰には、精神状態の異常(p=0.03)、低い静脈血pH(p=0.045)が関連した。高浸透圧性ケトン尿の犬は、高浸透圧性非ケトン尿の犬に比べて、急性膵炎(p=0.046)、高体温(p=0.006)、白血球数の高値(p=0.01)、および臨床徴候の期間の短さ(p=0.02)であることが有意に多かった。高浸透圧性非ケトン尿の犬は、高浸透圧性ケトン尿の犬に比べて、有意にBUNとクレアチニン濃度が高く(p=0.0002、P=0.008)、および算出浸透圧が高かった(p=0.001)。

結論
:高浸透圧性高血糖は、異常な意識状態と低い静脈血pHと関連して不良な転帰となるまれな病態である。高浸透圧性高血糖状態の犬では、サブグループとして高浸透圧性ケトン尿の犬は高浸透圧性非ケトン尿の犬に比べて、有意に急性膵炎が多く、臨床徴候の期間が短く、体温が高く、白血球数が高く、 一方、高浸透圧性非ケトン尿の犬は高浸透圧性ケトン尿の犬に比べて、高窒素血症であることが多く、浸透圧が高かった。
 

Beatty, J. A., et al.
"Spontaneous hepatic rupture in six cats with systemic amyloidosis." 
Journal of small animal practice 43.8 (2002): 355-363.

PubMedリンク PMID:12201445
本文:無料公開なし

タイトル
:全身性アミロイドーシスのある猫6頭における自然発症の肝臓破裂

 ==アブストラクト===
 肝臓アミロイドの蓄積に続発する自然発症の肝臓破裂が、2年間に6頭の猫で診断された。猫の肝臓アミロイドーシスの過去の報告では、繁殖キャッテリーからの症例の集団について記述している。 ほとんどの罹患猫はシャム猫またはその近縁種であり、この疾患は一般的に家族性と考えられている。対照的に、ここで提示する症例は散発的で、家族内の血縁や他の猫は臨床的に罹患していない。そこにはこの病態で過去に報告されていない品種であるデボンレックスと、短毛の家猫が含まれた。これらの症例のうちの3例での臨床徴候は、紹介前に、鈍的外傷、免疫介在性溶血性貧血、または凝固障害の結果と誤解されていた。肝臓の超音波検査と細針吸引検査の項目における新たな上昇を含む生前診断の特徴が報告された。これらの症例により、この疾患の過程が個体間でどのように変わり得るか、および根底の病態が劇的であるにも関わらず、肝臓アミロイドーシスが診断の困難さを示す可能性があり、品種や環境に関係なく、持続的な臨床徴候のある若い成猫においては疑うべきであること示している。

Tumielewicz, Katrina L., et al.
"Review of oncological emergencies in small animal patients."
 
Veterinary medicine and science (2019).

PubMedリンク PMID:30900396
本文:無料公開あり(全文

タイトル:小動物患者における腫瘍学的緊急事態のレビュー

==アブストラクト===
腫瘍学的緊急事態は悪性腫瘍の経過中にいつでも起こり得るもので、結果を最大限良いものにするために速やかに認識する必要がある。緊急事態は、化学療法誘発性、腫瘍随伴症候群、または腫瘍に直接関係したものとして特徴付けられる。これらの緊急事態の速やかな認識と治療は、末期疾患の状況においても、生存を延長させ、生活の質を改善させる。このレビューの目的は、これらの緊急事態のうちいくつかの病態生理学、臨床徴候、および治療について読者を教育し、最近の獣医学文献をレビューすることで一次および三次施設の獣医師が、これらの重篤な病態を診断して治療する方法を知るための教育に役立てることである。 

Edwards, Thomas H., et al.
"Outcome of positive‐pressure ventilation in dogs and cats with congestive heart failure: 16 cases (1992–2012)." 
Journal of veterinary emergency and critical care 24.5 (2014): 586-593.

PubMedリンク PMID:
本文:無料公開なし

タイトル:うっ血性心不全の犬と猫における陽圧換気の転帰

==アブストラクト===
目的:うっ血性心不全(CHF)の治療に陽圧換気(PPV)を行った犬と猫の、適応、換気期間、基礎となる心疾患、転帰について記述すること。

デザイン:2サイト回顧的研究(1992-2012年)。

施設;2つの大学小動物教育病院。

動物:うっ血性心不全の治療に陽圧換気を行った猫6頭と犬10頭。

介入:なし。

方法と主な結果:医療記録を調査し、うっ血性心不全に続発する肺水腫の治療して陽圧換気を必要とした患者を同定した。16頭の動物はこの基準を満たした。患者のシグナルメント、陽圧換気の期間、基礎となる心疾患、動脈血または静脈血ガスの項目、陽圧換気の前、最中、後の薬物療法、麻酔薬、合併症、および転帰について記録した。全体の生存退院は62.5%(10/16)であった。陽圧換気の期間の平均(±SD)は30.8±21.3時間であり、うっ血性心不全の発症から陽圧換気の開始までの平均時間は5.9±6.4時間であった。換気開始時の高窒素血症、無尿または乏尿の発症、およびペントバルビタールの麻酔への使用は、生存と負の関連(それぞれp=0.011、p=0.036、p=0.036)を示した。2005年以降に治療をうけ、ペントバルビタールが投与されていない患者の生存退院率は77%(10/13)であった。年齢、性別、体重、品種、心疾患の性質、フロセミドの投与量、換気時間の長さ、昇圧薬の使用、初回のうっ血性心不全、血漿乳酸濃度、に起因する生存退院への有意な影響はなかった。

結論
:うっ血性心不全の治療として陽圧換気を必要とした犬と猫では、退院に対して良い予後であり、必要とされる陽圧換気は比較的短期間であった。高窒素血漿、無尿または乏尿、ペントバルビタールの使用は負の転帰と関連した。


==訳者コメント===
比較的良い成績のようですが、なにをもって陽圧換気を必要(または適応)と判断したのかという点が重要だと思います。
本当に陽圧換気が必要だったのか?陽圧換気を行わなくても改善したのではないか?比較的状態の安定した患者が含まれているのではないか?もっと状態の悪い患者は不適応になっているのではないか?などを検討しないと、この治療がいいのか悪いのか判断が難しいですね。

 

Hopper, Kate, et al.
"Indications, management, and outcome of long-term positive-pressure ventilation in dogs and cats: 148 cases (1990–2001)."
 
Journal of the American Veterinary Medical Association 230.1 (2007): 64-75.

PubMedリンク PMID:17199495
本文:無料公開なし

タイトル:犬と猫における長期陽圧換気の適応、管理、および転帰;148症例(1990-2001)

==アブストラクト===
目的
:犬と猫における 24時間以上の陽圧換気(PPV)の転機を調べ、陽圧換気からの離脱の成功と生存退院と関連する因子を特定すること。

デザイン
:回顧的症例シリーズ。

動物
:24時間以上の陽圧換気をうけた犬124頭と猫24頭。

方法
:医療記録を再調査し、シグナルメント、主な診断、陽圧換気を開始した理由、陽圧換気前後の酸素化と換気の測定、人工呼吸器設定、合併症、陽圧換気の期間、および転帰について調べた。動物は陽圧換気を行った理由により3つのグループに分類された。

結果
:グループ1の患者は不十分な酸素化を理由に陽圧換気をうけ(犬67頭、猫6頭)、グループ2は不十分な換気(犬46頭、猫16頭)、グループ3は不十分な酸素化と換気(犬11頭、猫2頭)であった。グループ1のうち陽圧換気から離脱したのは36%(26/73)、生存退院したのは22%(16/73)であった。グループ2のうち陽圧換気から離脱したのは50%(31/62)、生存退院したのは39%(24/62)であった。グループ3のうち陽圧換気から離脱したのは3/13、生存退院したのは1/13であった。離脱の成功と生存退院のしやすさは、グループ2の動物で有意に高く、猫の離脱の成功のしやすさは、犬に比べて有意に低かった。陽圧換気の期間の中央値は48時間(範囲24-356時間)であり、転帰には関連しなかった。

結論と臨床的関連
:この結果は、犬と猫における長期の陽圧換気で実用的であり成功していることを示している。
 

==訳者コメント===
それなりの成績を出しているように見えますが、この集団の中には本当は陽圧換気をしなくてもよくなった患者が含まれていたり、あるいは明らかに状態が悪い患者が含まれていなかったりするわけなので、額面通りには受け取れないと考えます。どういった基準で陽圧換気の治療を必要と考え、奏功する可能性があるのか、といった点をよく考えなければいけないだろうと感じました。
 

Thoen, Meredith E., and Marie E. Kerl.
"Characterization of acute kidney injury in hospitalized dogs and evaluation of a veterinary acute kidney injury staging system." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care 21.6 (2011): 648-657.

PubMedリンク PMID:22316258
本文:無料公開なし

タイトル:入院中の犬における急性腎障害の特徴づけと獣医急性腎障害ステージングシステムの評価

==アブストラクト===
目的: 重症疾患で入院している犬の集団に対して、ヒト医療で使用されている急性腎障害(AKI)を特徴付ける基準を回顧的に適応し、血漿クレアチニン濃度の微妙な増加に基づく潜在的なAKIの犬を同定すること。

デザイン:回顧的研究。

施設:獣医大学教育病院。

動物:集中治療室に入院した家庭飼育犬164頭。

介入:なし。

方法と主な結果:研究の組み入れ基準を満たした犬64頭の医療記録を再調査し、年齢、クレアチニン測定結果、退院の状態、在院期間、全身麻酔の実施、診断数、計算された生存予測指数スコア(SPI2)について調べた。獣医AKIステージングシステムを回顧的に適応し、クレアチニン濃度のベースラインからの上昇をもとに犬を以下に分類した;
ステージ0(S0 <150%)
ステージ1(S1 150-199% または ≧26.5μmol/L[≧0.3mg/dl])
ステージ2(S2 200-299%)
ステージ3(S3 ≧300%)
評価した犬のうち、140/164頭が獣医AKIステージ0、19/164頭がステージ1、3/164頭がステージ2、2/164頭がステージ3に分類された。死亡率はS0の犬(22/140 15.7%)と比べて、S1-3の犬(13/24 54.2%)で高かった(p<0.0001)。在院期間、全身麻酔、診断数は生存と関連しなかった。ロジスティック回帰モデルでは、ステージと年齢はともに死亡率と有意に関連した(p=0.0002、p=0.030)。SPI2スコアの平均はS0(0.52)とS1(0.59)の犬で差はなかった(p=0.23)。S1の犬の4/19(21%)で、血漿クレアチニン濃度のピークが検査参照範囲の上限を超えた。

結論
:獣医AKIステージ1-3の基準に合致する犬は生存して退院することが少なかった。血漿クレアチニン濃度のわずかな上昇は、たとえ絶対的な値が参照範囲内であっても、臨床的な関連がある可能性がある。
 

Le Boedec, Kevin, et al.
"Relationship between paradoxical breathing and pleural diseases in dyspneic dogs and cats: 389 cases (2001–2009)."
 
Journal of the American Veterinary Medical Association 240.9 (2012): 1095-1099.

PubMedリンク PMID:22515630
本文:無料公開なし

タイトル:呼吸困難の犬と猫における奇異呼吸と胸膜疾患の関連性;389症例(2001-2009年)

==アブストラクト===
目的
:呼吸困難の犬と猫における奇異呼吸と自然発生性の胸膜疾患との関連性の強さを決定すること。

デザイン
:横断研究。

動物
:2001年1月から2009年10月の間にAlfortとToulouse(フランス)の国立獣医学校で検査され呼吸困難の診断が記録されている犬(n=195)と猫(194) 。

方法
:犬と猫は、奇異呼吸の有無によって2つのグループに分けられた。種ごとに層別分析が行われた。罹患した動物のシグナルメントと奇異呼吸の発生を記録した。呼吸困難の犬と猫における奇異呼吸と胸膜疾患の間の関連を分析した。

結果
:多変量解析において、奇異呼吸と胸膜疾患の間には強い関連が強調された(犬;OR=12.6 95%信頼区間=4.6-31.2、猫;OR=14.1 95%信頼区間=6.0-33.5)。呼吸困難の犬と猫における奇異呼吸の有病率は、それぞれ27%と64%であった。奇異呼吸がある、および胸膜疾患がない、呼吸困難の動物における胸膜疾患の発生は、 それぞれ犬で49%と9%、猫で66%と13%であった。胸膜疾患の予測に対する奇異呼吸の感度と特異度は、呼吸困難の犬で0.67と0.83、呼吸困難の猫で0.90と0.58であった。奇異呼吸の陽性的中率と陰性的中率は、呼吸困難の犬で0.49と0.91、呼吸困難の猫で0.66と0.87であった。奇異呼吸のある患者における年齢、性別、猫の品種、および犬の形態型は、他の呼吸困難の動物のものと有意な差はなかった。

結論と臨床的意義
:呼吸困難の犬と猫において、奇異呼吸はは胸膜疾患と強く関連した。この臨床徴候の存在は、小動物臨床医に適切な救急処置を実施させ、診断戦略の助けとなるように導くはずである。
 

Morgan, R. K., Y. Cortes, and L. Murphy.
"Pathophysiology and aetiology of hypoglycaemic crises." 
Journal of Small Animal Practice (2018).

PubMedリンク PMID:30102417
本文:無料公開あり(全文) 

タイトル
:低血糖症危機の病態生理と病因

==アブストラクト===
低血糖症は一般的であり、多種多様な病態の要素から生じる生命を脅かす合併症である。頻繁に起こるにもかかわらず、獣医学における低血糖症危機の病因、特徴、および転帰に関する情報は限られている。このレビューでは、低血糖症の病態生理、体の対抗制御的調節、根底にある病因、診断、および治療についての現在の理解についてを要約する。疾患メカニズムについて考察し、予後因子、有病率、診断、および治療に関して獣医学の文献で公開されている根拠を、インスリノーマ、血糖降下毒素および薬物を含んだ低血糖に関連した病態に対して調べた。 

Goggs, Robert, Sage De Rosa, and Daniel J. Fletcher.
"electrolyte Disturbances are associated with non-survival in Dogs—a Multivariable analysis."
 
Frontiers in veterinary science 4 (2017): 135.

PubMedリンク PMID:
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:犬において電解質障害は非生存と関連する;多変量解析

==アブストラクト===
電解質障害は、特定の状態にある犬と猫の小集団で、それぞれが死亡率と関連するが、電解質障害と転帰との関連と相互作用については大きな集団では評価されていない。 ナトリウム、クロール、カリウム、およびカルシウム濃度は、それぞれが独立しかつ比例して、犬の自然原因の死亡とすべての原因の死亡と関連するだろうという仮説を立てた。

33,117件の電解質分析結果を含む電子データベースを構築し、ナトリウム、カリウム、補正されたクロール、およびイオン化カルシウム濃度と、非生存および安楽死を除く死亡との関連について、多変量モデルを用いて回顧的に評価した。11,219件の記録を含む第2のデータベースを利用して、第1のデータベースから構築されたモデルを検証した。評価された4つの電解質はすべて、患者の死亡率と非線形U字の関連性があり、基準範囲のまわりの集まった濃度で死亡率が最も低く、異常濃度となるにしたがい、非生存(AUROC 0.624)もしくは死亡(AUROC 0.678)のリスクの上昇と比例して関連した。多変量モデルは、電解質障害は互いが独立して、自然原因による非生存と死亡に関連していることを示唆した。

この研究では、
電解質濃度の測定は、救急室もしくは集中治療室における犬の評価のための重要な構成要素であることを示唆している。疾患の重症度を算定するための前向きな方法により、さらなる研究がこれらの関連を確定することに焦点を当てるべきだ。
 
==本文から===
 fvets-04-00135-g001fvets-04-00135-g002
fvets-04-00135-g003
fvets-04-00135-g004

Troìa, Roberta, et al.
"Fractional excretion of electrolytes in volume‐responsive and intrinsic acute kidney injury in dogs: Diagnostic and prognostic implications." 
Journal of veterinary internal medicine (2018).

PubMedリンク PMID:29770972
本文:無料公開あり(全文


タイトル:容量反応性および内因性の急性腎障害の犬における電解質の分画排泄率。

==アブストラクト=== 
背景:急性腎障害(AKI)の特徴づけと予後予測のための電解質の分画排泄の価値は、犬ではほとんど報告されていない。

目的: AKIの犬における電解質の分画排泄の診断および予後の役割について評価すること。

動物:標準治療をうけたAKIの犬135頭(2014年2月ー2016年12月)。

方法
:前向き研究。電解質の排泄分画を含む、臨床的および検査の変数を入院時に測定した。AKI-IRISガイドラインにしたがって犬をグレード付けし、AKIの特徴(容量反応性AKI、内因性AKI)および転帰(生存群/非生存群)によってグループ分けした。グループ間の比較と回帰分析を行い、内因性AKIと死亡率のハザード比を評価した。p<0.05を有意差ありとした。

結果
:52/135頭(39%)が容量反応性AKI、69/135頭(51%)が内因性AKI、14/135頭(10%)が未分類であった。内因性AKIの犬は、電解質分画排泄率が有意に高かった、たとえば、ナトリウム分画排泄率は2.39%(範囲 0.04-75.81)であり、容量反応性の0.24%(範囲 0.01-2.21)よりも高かった(p<0.001)。全体での症例の死亡率は、41%(55/135)であった。非生存軍で電解質の分画排泄率が増加が検出された、たとえばナトリウム分画排泄率は1.60(範囲 0.03-75.81)であり、生存軍の0.60(範囲 0.01-50.45)よりも高かった(p=0.004)。死亡に対するいくつかのリスク因子が同定され、AKI-IRISグレード(ハザード比=1.39、p=0.002)、電解質排泄率たとえばナトリウム分画排泄率(ハザード比=1.03、p<0.001)、尿量(ハザード比=5.06、p<0.001)が含まれた。

結論と臨床的重要性
:電解質の分画排泄率は、容量反応性AKIと内因性AKIの早期の鑑別に良好に行われ、転帰と関連し、臨床現場でAKIを治療する際の有用なツールとなり得る。
 

Segev, Gilad, et al.
"Effects of fenoldopam on kidney function parameters and its therapeutic efficacy in the management of acute kidney injury in dogs with heatstroke." 
Journal of veterinary internal medicine (2018).

PubMedリンク PMID:29575360
本文:無料公開あり(全文

タイトル:熱中症の犬の急性腎障害の医療におけるフェノルドパムが腎機能パラメータへ与える影響とその治療効果

==アブストラクト===
背景:急性腎障害(AKI)は犬で一般的であるが、その治療の有効性の情報は欠如している。 

目的:AKIの治療におけるフェノルドパムの有効性を評価すること。

動物:自然発生性の熱中症の犬40頭。

方法:犬を前向きに登録し、治療群(フェノルドパム 0.1μg/kg/min持続点滴)とプラセボ群(生理食塩水)に割り当てた。閉鎖式システムを用いた尿産生を測定した。尿のクリアランスを来院後4時間、12時間、24時間で行い、尿産生、糸球体濾過率、ナトリウム排泄分画に対するフェノルドパムの効果を算出した。

結果
:来院時、過去に開発されたスコアリングシステムに基づいた熱中症の重症度は、この研究のグループ間で類似していたが、生存群よりも非生存群の方が有意に悪かった。フェノルドパムの投与は低血圧と関連しなかった。IRISガイドラインに基づいて 顕性のAKIが22/40頭(55%)で診断された。全体で14/50頭(35%)が死亡し、死亡率はフェノルドパム群(6/20頭, 30%)とプラセボ群(8/20頭, 40%)の間に有意な差はなかった(p=0.507)。AKIの犬の割合は、フェノルドパム群(9/20頭, 45%)とプラセボ群(13/20頭, 65%)とで差はなかった(p=0.204)尿産生、糸球体濾過量、ナトリウム排泄分画においてフェノルドパム群とプラセボ群の間で差はなかった。

結論と臨床的重要性
:フェノルドパム 0.1μg/kg/minの持続点滴は、重症熱中症に関連したAKIの犬の腎機能パラメータに対して臨床的に関連のある効果はなかった。
 

Gower, Sara B., Chick W. Weisse, and Dorothy C. Brown.
"Major abdominal evisceration injuries in dogs and cats: 12 cases (1998–2008)."
 
Journal of the American Veterinary Medical Association 234.12 (2009): 1566-1572.

PubMedリンク PMID:19527132
本文:googlescholar経由で入手可能(全文) 

タイトル:犬と猫の深刻な腹部内臓脱出損傷:12症例(1998-2008)

==アブストラクト===
目的: 深刻な腹部内臓脱出を外科的に治療した犬と猫の、臨床的特徴、治療、合併症、転帰を記述すること。

デザイン:回顧的症例シリーズ。

動物:犬8頭、猫4頭。

方法:1998年1月から2008年3月までの医療記録を再調査し、深刻な腹部内臓脱出に対する外科治療を実施した動物を同定した。内臓脱出の原因、シグナルメント、生物学的変数、血液学的変数に関する情報を収集した。治療の詳細、入院期間、および転帰を記録した。線形回帰分析を行い、入院日数に対するシグナルメント、生物学的変数、および血液学的変数の関係性を評価した。

結果:深刻な腹部内臓脱出は、4頭で外傷による二次的なものであり、8頭で術後の裂開による二次的なものであった。すべての動物で腸の脱出があり、土、葉、ごみなどによる大量の汚染があった。2頭は脾臓が脱出しており、1頭は結腸の穿孔があり糞便が腹腔内に漏出していた。すべての動物で試験開腹が行われた。実施された手術手技には、損傷した腸管の切除、体壁の修復、横隔膜ヘルニアの修復、腎摘出、脾臓摘出、および結腸の修復が含まれた。すべての動物は生存して退院した。入院の中央期間は4日(範囲1-7日)であった。入院期間を増加させる因子として、外傷に続発した内臓脱出、来院時の乳酸の高値、、および小さ体格が含まれた。

結論と臨床的関連
;犬と猫では深刻な内臓脱出の見た目が劇的であっても、迅速かつ積極的な内科的および外科的介入が良好な転帰をもたらすことができる。 


==訳者コメント===
この研究の母集団はあくまで、”手術を行った”内臓脱出の患者です。うらを返せば、手術を行わなかった・行えなかった患者(手術前に死亡したり、予後不良と判断されたり)は含まれていないということです。この研究での生存率はそういった選ばれた患者のそれであることは意識しておく必要がありそうです。

 

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