ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

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カテゴリ: 予後

Kathrani, Aarti, Fernando Sánchez‐Vizcaíno, and Edward J. Hall.
"Association of chronic enteropathy activity index, blood urea concentration, and risk of death in dogs with protein‐losing enteropathy." 
Journal of veterinary internal medicine (2019).

PubMedリンク PMID:30784115
本文:無料公開あり(全文

タイトル:タンパク漏出性腸症の犬における慢性腸症活動指数、血中尿素濃度、および死亡リスクとの関連

==アブストラクト===
背景:炎症性腸疾患のヒトでは、栄養失調が早期の死亡リスクの増加と関連している。

仮説/目的:慢性腸症またはリンパ管拡張症によって起こるタンパク漏出性腸症(PLE)の組織学的診断時における栄養失調の病歴、臨床所見、検査マーカーが、死亡リスクの増加と関連しているかどうかを調べること。

動物:PLEと診断された家庭飼育犬71頭。

方法
紹介病院での腸生検の病理組織学をもとに慢性腸症またはリンパ管拡張症と診断されたPLEの症例の医療記録を回顧的に検索した。それぞれの症例で、診断検査時の様々な項目を記録し、紹介獣医師への電話連絡で追跡調査を得た。

結果
:多変量Coxモデルにより、イヌ慢性腸症活動指数(CCEAI)と血中尿素濃度が死亡と有意に関連していることが示された(p<0.01)。CCEAIが1単位増加する毎に、死亡の危険性が22.9%増加した(信頼区間 6.9-41.2%)。追跡期間647日で、CCEAIが≦8の犬および尿素が≦7mmol/Lの犬は、 CCEAIが>8の犬および尿素が>7mmol/Lの犬よりも、生存期間の平均がそれぞれ256日(p=0.001、信頼区間106.7-405.4日)、279日(p=0.009、信頼区間 70.0-488.7日)長かった。

結論と臨床的重要性
:診断時のCCEAIと血中尿素濃度の上昇は、慢性腸症またはリンパ管拡張症に起因するPLEの犬の死亡を予測する可能性がある。
 

Sato, Toru, et al.
"Assesment of severity and changes in C-reactive protein concentration and various biomarkers in dogs with pancreatitis." 
Journal of Veterinary Medical Science 79.1 (2017): 35-40.

PubMedリンク PMID:27666150
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:膵炎のある犬におけるC反応性蛋白濃度と様々なバイオマーカの重症度の評価とその変化

==アブストラクト===
犬の膵炎は比較的よくある病態であり、その死亡率はいまだに高ままである。しかし、根拠に基づいた膵炎の予後因子は限られている。さらに、急性膵炎のヒトの患者では重要な予後因子であるC反応性蛋白(CRP)濃度の変化と、膵炎の犬の予後との関連は、広く研究されていない。そのため、最初の検査時点での犬の急性膵炎の予後因子について調べ、入院中の連続的なCRPの測定の有用性について評価した。65頭の犬が組み入れ基準を満たし、そのうち22頭が入院して治療された。研究1では、血小板数の減少、
最初の検査時点での特異的犬膵リパーゼ(Spec cPL)濃度の顕著な上昇(1000μg/l以上)、尿素窒素(BUN)および/またはクレアチニン(Cre)の上昇、の3つの因子が、多変量解析によって生存群と非生存群の有意な差であることが明らかにされた。さらに研究2では、3日目と4日目のCRP濃度が2つの群の間で有意な差があった。血小板数の減少、最初の検査時点でのSpec CPL濃度の顕著な上昇、BUNおよび/またはCreの上昇の評価、そして連続したCRP濃度の測定は、犬の膵炎の予後を予測するのに役立つ可能性がある。

Horta, Rodrigo S., et al.
"Assessment of canine mast cell tumor mortality risk based on clinical, histologic, immunohistochemical, and molecular features." 
Veterinary pathology 55.2 (2018): 212-223.

PubMedリンク PMID:29338615
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:臨床的、組織学的、免疫組織化学的、および分子学的な特徴に基づいた犬の肥満細胞腫の死亡率リスクの評価 

==アブストラクト===
肥満細胞腫は頻度の高い犬の皮膚腫瘍であり、臨床症状と生物学的挙動が不均一であり、再発や転移について様々な可能性がある。臨床的な転機の正確な予測は困難である。この研究の目的は、臨床的、組織学的、免疫組織化学的および分子学的な特徴のここの評価を基にした死亡リスクによって犬の肥満細胞腫を分類するシステムを開発することである。

研究には、皮膚または皮下の肥満細胞腫と組織学的に診断された149頭の犬のを含めた。単変量解析により、肥満細胞腫に転移および関連した死亡は、臨床ステージ(p<0.0001, rp=-0.610)、腫瘍再発歴
(p<0.0001, rp=-0.550)、Patnaik 分類(p<0.0001, rp=-0.380)、Kiupel分類(p<0.0001, rp=-0.500)、腫瘍細胞の組織への浸潤(p<0.0001, rp=-0.452)、有糸分裂数(p<0.0001, rp=-0.325)、Ki-67標識化指数(p<0.0001, rp=-0.414)、KITr パターン(p<0.02, rp=-0.207)、c-KIT変異状態(p<0.0001, rp=-0.356)と有意に関連した。Cox比例ハザードモデルによる多変量解析では、2つの特徴のみが全体生存に対する独立した予後因子であった;修正WHO臨床ステージングシステム(ハザード比[95%信頼区間];1.824[1.210-4.481];p=0.01)、および腫瘍再発歴(ハザード比[95%信頼区間];9.250[2.158-23.268];p<0.001)。

これらの結果から、
修正WHOステージングシステムを提案し、リスク分析の方法、および皮膚肥満細胞腫の犬で提案された臨床的および検査的な評価へのアプローチ、についてを勧める。
 

Rudinsky, Adam J., et al.
"Factors associated with survival in dogs with chronic kidney disease." 
Journal of veterinary internal medicine (2018).

PubMedリンク PMID:30325060
本文:無料公開あり(全文

タイトル:慢性腎臓病のある犬の生存に関連する因子

==アブストラクト===
背景:犬において慢性腎臓病は罹患率と死亡率に関係する。血漿線維芽細胞増殖因子-23(FGF-23)濃度は、CKDのあるヒトと猫で、CKDの進行と生存に対する独立した予測因子である。

目的:CKDのある犬において生存時間と、FGF-23、副甲状腺ホルモン(PTH)、ビタミンD代謝物、およびその他の臨床項目との関連を調べること。

動物:高窒素血症のあるCKDの犬27頭。

方法:犬を前向きに研究に募集し、死亡もしくは研究が終了するまで追跡した。国際獣医腎臓病グループのステージにより、ステージ2(n=9)、ステージ3(n=12)、ステージ4(n=6) に分けられた。生存期間は研究組み入れ時からの期間で計算した。単変量Cox回帰を用いて、ボディコンディションスコア(BCS)、マッスルコンディションスコア、ヘマトクリット、クレアチニン、CKDステージ、血清リン、尿蛋白/クレアチニン非(UPC)、カルシウム・リン産物(CaPP)、PTH、25hydroxyvitaminD、1,25-dihydroxyvitaminD、およびFGF-23濃度を含めた生存と関連する項目について評価した。

結果:有意なハザード比(ハザード比;95%信頼区間;P値)は以下の通りであった;BCS 4/9未満(1.579;1.003-2.282;p=0.05)、筋萎縮(2.334;1.352-4.030;p=0.01)、クレアチニンの上昇(1.383;1.16-1.64;p=0.05)、高リン血症(3.20;1.357-7.548;p=0.005)、UPCの上昇(3.191;1.310-7.773;p=0.01)、CaPPの上昇(4.092;1.771-9.454;p=0.003)、FGF-23の上昇(2.609;1.090-6.240;p=0.05)。それぞれのIRIS CKDステージにおける生存期間は、有意な差があった(p=0.01)。

結論と臨床的重要性
:FGF-23を含めた多くの項目が、CKDの犬の生存期間に関連した。CKDのある犬においてFGF-23は予後因子になり得る。


==本文から===
利益相反の開示:著者の利益相反なし


==訳者コメント===
単変量解析でいくつかの予後因子を特定していますが、多変量解析をなぜしていないのでしょうか?(統計的なことはよくわからないのですが)

 

Van den Bossche, Lindsay, et al.
"Genome‐wide based model predicting recovery from portosystemic shunting after liver shunt attenuation in dogs." 
Journal of veterinary internal medicine(2018).

PubMedリンク PMID:29770973
本文:無料公開あり(全文) 

タイトル:犬の肝臓シャント結紮後の門脈体循環シャントからの回復を予測するためのゲノム規模に基づいたモデル 

==アブストラクト===
背景:先天性門脈体循環シャント(CPSS)の犬において、外科的なCPSSの結紮後の回復を予測することは困難である。

目的
:我々の目的は、門脈体循環シャントの手術後の回復の予測因子として、血漿アルブミン濃度と肝臓遺伝子産物のmRNA発現レベルによるモデルを構築することである。 

動物
:CPSSの外科的結紮を目的に紹介された家庭飼育の犬73頭。

方法:予測モデルは、CPSSの結紮後に回復した犬と回復しなかった犬による2つの症例対照研究を用いて構築した。1つ目の研究では、犬特異的な遺伝子発現マイクロアレイ解析を用いて、術中に採材した肝臓組織におけるmRNAの発現を、回復した23頭と回復しなかった23頭との間で比較した。2つ目の研究では、術前の血漿アルブミン濃度と、マイクロアレイ選択遺伝子の発現を、31頭の回復した犬と31頭の回復しなかった犬で術中に際剤された肝臓サンプルにおけるRT-qPCRにより確認した。2つめの研究には1つ目の研究からの35頭が含まれている。


結果
:1つ目の研究では、回復した犬と回復しなかった犬において43の遺伝子が異なって発現していた。術前の血漿アルブミン濃度の平均は、回復しなかった犬(19g/L) と比較して、回復した犬(23g/L)で高かった(p=0.004)。2つ目の研究において最も適合する予測モデルには、術前の血漿アルブミン濃度と術中のDHDH、ERLEC1、およびLYSMD2遺伝子の発現レベルが含まれた。

結論と臨床的重要性
:術前の血漿アルブミン濃度と術中の3つの遺伝子の肝臓mRNA発現を用いて、前臨床モデルを構築した。3つの遺伝子は、シャント結紮後の門脈体循環シャントからの回復を予測するゲノムから公平に選択したものである。臨床適応にはさらなる改良が不可欠である。
 

Dias, Claúdia, and L. Miguel Carreira.
"Serum ionised calcium as a prognostic risk factor in the clinical course of pancreatitis in cats."
 
Journal of feline medicine and surgery 17.12 (2015): 984-990.

PubMedリンク PMID:25537945
本文:googlescholar経由で入手可能(全文) 

タイトル:猫の膵炎の臨床過程における予後因子としての血清イオン化カルシウム

==アブストラクト===
目的:この研究の目的は、膵炎の進展における性別、年齢、品種が影響する可能性について評価し、 血清イオン化カルシウムの低値を疾患の臨床過程と決定する予後のリスク因子とみなせるかどうかを調べることである。

方法:膵炎のある24頭の猫を用い、疾患の進行により2つのグループに分けた;(1)非致死的で回復した(2)致死的で死亡した。それぞれの患者に対して2つの異なる時点(T1;診断日、T2;回復もしくは死亡日)でイオン化カルシウムと猫膵酵素(fPL)の定量を行った。統計的な分析を行い、p値<0.05を有意とみなした。

結果:T1の時点で、58.3%の患者が低カルシウム血症を有し、33.3%が正常カルシウム値、8.3%が高カルシウム血症であった。イオン化カルシウムの平均値は、回復群よりも死亡群で高かった。T2の時点で、75.0%の患者が正常カルシウム値で、25.0%が低カルシウムであった。T2の時点でのイオン化カルシウムの平均値は、死亡群で0.88±0.23mmol/lであり、一方回復群では1.10±0.11mmol/lであった。 病気の発症に対する性別もしくは年齢の傾向はなかったが、しかし品種の影響はみられた(短毛の家庭猫は膵炎を発症しやすかった)。

結論と関連
:この結果は低カルシウム血症は垂涎の患者で一般的であり、イオン化カルシウムは≦1mmol/lを負の予後と相関するとして、この疾患の臨床過程に対する予後の危険因子として使用できる可能性がある。
 

Kuzi, Sharon, et al.
"Prognostic markers in feline hepatic lipidosis: a retrospective study of 71 cats." 
The Veterinary record181.19 (2017): 512-512.

PubMedリンク PMID:28978714
本文: 無料公開なし

タイトル
:猫の肝リピドーシスの予後マーカー;71頭の猫の回顧的研究

==アブストラクト===
猫の肝リピドーシスは一般的であり、長期の食欲不振と異化作用の増強の結果として命を脅かす可能性のある疾患である。この回顧的研究では、肝臓の細胞診もしくは組織診断をもとに肝リピドーシスと診断された猫を組み入れ(2004-2015年)、死亡に関連する臨床的および検査的なパラメーターを同定することを目的にした。

研究には71頭の猫(47頭の雌、24頭の雄)と、肝リピドーシスのない85頭の対照猫が組み入れられた。ほとんどの肝リピドーシスの猫(90%)は雑種であり、中性化(70頭、99%)、雌(47頭、66%))、屋内生活(56頭、79%)、ドライフードの食事(44頭、62%)であり、年齢の中央値は7.5歳(範囲1.5-16.0)であった。一般的な原発性の病態として、消化器疾患、膵炎およびび胆管肝炎(31頭、44%)と、スレレスのかかるイベント(14頭、20%)が含まれた。肝リピドーシスは20頭(28%)で特発性であった。全体の死亡率は38%(27/71頭)であった。高齢、ならびに来院時の鈍麻、虚弱、唾液過多、低タンパク血症、低アルブミン血症、血清クレアチニンキナーゼ活性の上昇、低コレステロール血症、および肝不全が、死亡率と有意に関連した(p≦0.033)。原発疾患は死亡率と関連していなかった。入院中の低アルブミン血症の悪化、高アンモニア血症、高ビリルビン血症、電解質異常、および体腔液の貯留もしくは低血圧は、死亡率と有意に関連していた(p≦0.045)。入院中のβヒドロキシ酪酸の減少は生存と有意に関連しており(p=0.01)、異化状態の改善を反映しているようだ。同定された危険因子は治療の標的となり得る。
 

Schott, Courtney R., et al.
"Histologic Grade Does Not Predict Outcome in Dogs with Appendicular Osteosarcoma Receiving the Standard of Care." 
Veterinary pathology (2017): 0300985817747329.

PubMedリンク PMID:29284372 
本文:無料公開なし

タイトル
:標準的な治療をうけた四肢の骨肉腫の犬において、組織学的グレードは予後を予測しない

==アブストラクト===
犬の四肢の骨肉腫は攻撃的な骨の主要であり、短い生存期間をもたらす。犬の骨肉腫に関する組織学的なグレーディングシステムはいくつか公表されているが、広く受け入れられたシステムはない。骨格内の位置と、受けた治療が、生存期間と相関しているが、これらの因子は、公表されたグレードシステムの予後の価値が決定された場合、常には考慮されてはいなかった。われわれの目的は、治療目的で標準的な治療をうけた四肢の骨肉腫の犬の集団において、公表されている2つの組織学的グレードシステムを比較することである。

3人の評価者が、2つの組織学的グレードシステムを用いて85の腫瘍をグレード分けした。カプランマイヤー生存関数と単変量Cox比例ハザードモデルを用いて、組織学的グレートおよび個々の組織学的特徴と転帰(生存期間と無病期間)との関連を評価した。

いずれの評価者によって割り当てられた組織学的グレードは、転帰と相関しなかった。1人の評価者によって評価された無作為に選択された3つの400倍顕微鏡視野あたりの有糸分裂像の増加は、生存期間と無病期間の療法と相関した;これは、いずれの評価による転帰と有意に相関する個々の組織学的特徴で唯一のものであった。

これらの所見は、断脚と補助化学療法をうけた四肢の骨肉腫の犬におけるルーチンの組織学的グレードによる予後指標に疑問を投げかけ、犬の四肢骨肉腫の予後の予測におけるより優れたツールの必要性を強調する。 


==補足==
四肢の骨肉腫のその他の予後因子についてはこちらも(“動物医療ジェネラリストのぼっちジャーナルクラブ”さんから参照)

 

Fontaine, S. J., et al.
"Evaluation of the modified Glasgow Prognostic Score to predict outcome in dogs with newly diagnosed lymphoma." 
Veterinary and Comparative Oncology(2017).

PubMedリンク
本文:無料公開なし

タイトル
:新たにリンパ腫が診断された犬 における転帰を予測するための修正グラスゴー予後スコアの評価

==アブストラクト===
修正グラスゴー予後スコアは、治療前のCRPとアルブミンの血清濃度から数値(0〜2)を割り当てて患者の転帰を予測する。77頭の未治療のリンパ腫の犬でCRPとアルブミンを評価し、修正グラスゴー予後スコアと臨床病理学的パラメーターとの関連と、それが治療を受けた犬での無増悪期間と全体の生存期間を予測するかどうかを決定した。

修正グラスゴー予後スコアは、来院時の臨床ステージ、サブステージb、体重減少、胃腸障害、 活動性低下と有意に関連していた。単変量解析において、修正グラスゴー予後スコアは生存期間と無増悪期間と有意に相関し、修正グラスゴー予後スコアが0と1の組み合わせに比べて、スコアが2では生存期間が短かった。低アルブミン血症は生存期間と無増悪期間を有意に短くしたが、CRPの上昇は影響を持たなかった。臨床ステージだけが、単変量解析と多変量解析の両方で生存期間と無増悪期間に有意に関連した。

犬のリンパ腫に対する修正グラスゴー予後スコアは予後指標としての可能性はあるが、さらなる研究が必要とされる。


==本文から===
利益相反・企業関与:不明(記載なし)

修正グラスゴー予後スコア(0〜2)
スコア2:CRPの上昇と低アルブミン血症の両方
スコア1 :CRPの上昇はあるがアルブミンは正常
スコア0:CRPは正常でアルブミンは正常or低値

 

Skor, O., et al.
"Pretreatment leukocyte ratios and concentrations as predictors of outcome in dogs with cutaneous mast cell tumours."
 
Veterinary and comparative oncology (2016).

PubMedリンク
本文:無料公開なし

タイトル
:皮膚肥満細胞腫の犬における転帰の予測因子としての治療前の白血球比と濃度

==アブストラクト===
いくつかのヒトのがんでは白血球比と転帰とが関連している。肥満細胞腫についてはそれらの予後的意義について知られていない。この研究の目的は犬の肥満細胞腫における治療前の白血球濃度と比について予後的意義について評価することである。

92頭の肥満細胞腫の犬の医療記録を回顧的に再調査した。腫瘍の診断は腫瘍の生検もしくはFNAによって行われた。事前の治療が行われていない犬だけが組み入れられた。好酸球、リンパ球、単球、好中球の濃度はADVIA2120TM(
Siemens Healthcare, Vienna, Austria)によって得られた。得られた白血球濃度から、好中球-好酸球比、リンパ球-単球比、好中球-リンパ球比
 が計算された。相対好酸球濃度、
好中球-好酸球比(p<0.001)、好中球-リンパ球比(p=0.001)、リンパ球-単球比(p<0.001)は、単変量解析に置いて転帰に対する有意な予後因子であった。相対好酸球濃度(p=0.008)と好中球-好酸球比(p=0.001)は多変量解析でも生存における独立した予後因子だった。

白血球濃度と比、特に相対好酸球濃度と
好中球-好酸球比は肥満細胞腫の予後指標を提供する可能性がある。 


==本文から===
利益相反:著者の利益相反はなし


==訳者コメント=== 
・方法と結果がとてもわかりにくいアブストラクトではあるのに、わざわざアブストラクト中に製品名と企業名が入っている時点で、本当に企業関与はないの?と思ってしまいます。 

Dervisis, N. G., et al.
"Clinical prognostic factors in canine histiocytic sarcoma." 
Veterinary and comparative oncology 15.4 (2017): 1171-1180.

PubMedリンク
本文:googlescholarからresearchgateで入手可能(PDF

タイトル
: 犬の組織球性肉腫の臨床的予後因子

==アブストラクト===
犬の組織球性肉腫は様々な臨床経過と致死的な転帰を伴う攻撃性の高い腫瘍である。 この研究の目的は免疫組織科学的に組織球性肉腫と確定した犬の患者の大規模集団を評価し、臨床的な予後因子を特定することである。

ミシガン州大学に提出され組織球性肉腫と暫定的に診断された生検検体を、組織学的および免疫組織化学的に確定し、医療記録を集め、関連のある動物診療所へ質問をした。

 "組織球性”の単語を含む診断の病理組織検体は1391あり、そのうち335は悪性の疑いがあり、180は組織球性肉腫と一致して十分な診療情報の記録があった。もっとも多い犬種はバーニーズマウンテンドッグ(n=53)であり、ラブラドールレトリバー(n=26)、ゴールデンレトリバー(n=17)であった。この研究の犬の中央生存期間は170日であり、サブグループ解析では単変量と多変量の両方のの方法で、緩和治療、播種性組織球性肉腫、コルチコステロイドの併用、が生存に対する統計的に有意な負の因子として特定された。

 
==訳者コメント===
緩和治療が負の予後因子となっていて、?というう感じですが、本文を読むと緩和治療vs根治治療での比較となっているので理解できます。それでも緩和治療の概念はそういう対立構造ではないはずですし(根治治療を行う上でも緩和治療は含まれるはずですし)、このアブストラクトが誤解を招いてしまうように思えます。 

McBrearty, Alix R., et al.
"Clinical factors associated with death before discharge and overall survival time in dogs with generalized megaesophagus." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 238.12 (2011): 1622-1628.

PubMedリンク
本文:
google scholarからresearchgateで入手可能(PDF

タイトル
:全般化した巨大食道症の犬における退院前の死亡と全体の生存期間に関連する臨床的因子

==アブストラクト===
目的
: 全般化した巨大食道症の犬の6つの臨床的特徴と転帰の関連を調査すること。

デザイン
:回顧的コホート研究

動物
:全般化した食道の拡張がX線検査で示されている家庭犬71頭

手順
:医療記録からシグナルメント、臨床徴候の発症時の年齢、体重、栄養不良の証拠、食道炎の治療または予防のための薬の投与、に関するデータを再調査した。誤嚥性肺炎の所見と相対的な食道径の算出のためにレントゲンを再調査した。医療記録と飼い主と紹介もとの獣医師への接触から転帰の詳細について収集した。6つの要因と退院前死亡、全体の生存期間との関連について評価した。

結果
:生存期間の中央値は90日だった。19頭(26.7%)が退院前に死亡した。レントゲンでの誤嚥性肺炎の証拠は退院前の死亡と正の相関を示し、全体の生存期間と負の相関を示した。臨床徴候の発症年齢が13ヶ月齢以上であることが、全体の生存期間と負の相関を示した。食道拡張の程度もしくは食道炎の治療/予防のための薬剤の使用は、退院前の死亡もしくは全体の生存期間との関連はみられなかった。

結論と臨床的関連
:この研究では、レントゲンでの誤嚥性肺炎の証拠と臨床徴候の発症年齢だけが生存期間と有意に関連する要因でああり、これは巨大食道症の犬の予後を助言する際に考慮する必要がある。

 

Campos, Miguel, et al. "Clinical, pathologic, and immunohistochemical prognostic factors in dogs with thyroid carcinoma." Journal of veterinary internal medicine 28.6 (2014): 1805-1813.

PubMedリンク

本文:無料公開(PDF

==アブストラクト===
背景
:犬の甲状腺腫瘍の予後マーカーは限られている。

動物
:甲状腺腫瘍の犬70頭

方法
:回顧的研究。追跡情報とホルマリン固定パラフィン包埋の腫瘍検体が手に入った犬の甲状腺腫瘍を組み入れた。チログロブリン、カルシトニン、Ki-67、Eカドヘリンについて免疫組織化学を行った。腫瘍変数(直径、体積、局在、シンチグラフィーの取り込み、甲状腺機能、免疫組織化学)と、局所浸潤性及び転移病変との相関を、全ての腫瘍サンプルについて行った。 甲状腺切除によって治療された犬44頭については生存分析を行った。

結果
:50頭(71%)の犬は分化型濾胞細胞甲状腺癌(dFTC)であり、20頭(29%)は髄様甲状腺癌(MTC)であった。 診断時の、腫瘍の直径(p=0.007 ; p=0.038)、腫瘍の体積(p=0.020)、腫瘍の固着(p=0.002)、異所性(p=0.002)、濾胞細胞由来(p=0.044)、Ki-67(p=0.038)、 以上が局所浸潤と正の相関があった。腫瘍の直径(p=0.002)、腫瘍の体積(p=0.023)、両側性(p=0.012)が 遠隔転移の存在と正の相関があった。44頭の犬(分化型濾胞細胞甲状腺癌28頭、髄様甲状腺癌16頭;ステージⅠ-Ⅲ)が甲状腺切除術を行った分化型濾胞細胞甲状腺癌と髄様甲状腺癌で転帰を比較した。肉眼的な血管浸潤(p=0.007)と組織学的な血管浸潤(p=0.046)は、無病生存に対して独立した負の予後因子だった。発症までの期間、組織学的な血管浸潤、Ki-67は、転移までの期間と負の相関があり、発症までの期間は再発までの期間と負の相関があったが、独立した予測因子は見出されなかった。E-カドヘリンの発現は結果と相関していなかった。

結論と臨床的重要性
:飼い主と臨床医に関連のある情報を提供する予後因子が同定された。

Hayes, G., et al. "The Feline Acute Patient Physiologic and Laboratory Evaluation (Feline APPLE) Score: a severity of illness stratification system for hospitalized cats." Journal of veterinary internal medicine 25.1 (2011): 26-38.

PubMedリンク

本文:無料公開(PDF

==アブストラクト===
背景
:疾患の重症度を客観的な階層化スコアは犬と馬では利用可能であるが、猫ではない。有効な疾患重症度のスコアは臨床研究の結果のリスク調整した分析を容易にし、トリアージや治療プロトコールを適応することもできる。

目的
: 入院した猫においての、正確で使いやすく階層化された疾患重症度スコアを開発し、有効性を確認すること。

動物
: 教育病院の集中治療室(ICU)に入院した一連の猫600頭

方法
:32ヶ月間に入院した猫をこの観察的コホート研究に組み入れた。入院後24時間の介入、身体所見、生化学の項目をデータとして収集した。患者の退院時の死亡転帰を記録した。450頭の猫をロジスティック回帰モデルの構築に用い、150頭の猫はその妥当性の確認に用いるように、ランダムに割り振られた。

結果
:患者の死亡率は25.8%だった。5項目と8項目のスコアを開発した。8項目のスコアには精神スコア、体温、平均動脈圧(MAP)、乳酸値、PCV、尿素、塩素、体腔液体貯留スコアを含めた。ROC下面積(AUROC)は構築のための集団で0.91(95%信頼区間 0.87-0.94)であり、妥当性を評価するための集団で0.88( 95%信頼区間 0.84-0.96)であった。5項目のスコアには精神スコア、体温、MAP、乳酸値、PCVを含めた。ROC下面積(AUROC)は構築のための集団で0.83(95%信頼区間 0.79-0.86)であり、妥当性を評価するための集団で0.76( 95%信頼区間 0.72-0.84)であった。

結論と臨床的重要性
:2つのスコアは、入院中の猫対して正確で使いやすい疾患重症度の測定を割り当てることができることを示した。 スコアは最初に入院して24時間のデータによって計算され、診断からは独立している。5項目のスコアよりも8項目のスコアの方が、有意に高く転帰を予測する。

Hayes, G., et al. "The acute patient physiologic and laboratory evaluation (APPLE) score: a severity of illness stratification system for hospitalized dogs." Journal of veterinary internal medicine 24.5 (2010): 1034-1047.

PubMedリンク

本文:無料公開( PDF

==アブストラクト=== 
背景
:ヒトの救命医療では、客観的なリスクの層化モデルがルーチンに用いられている。適応は、臨床研究、性能評価、トリアージや治療管理ののためのプロトコール開発などに登録された患者における、疾患重症度の定量的および客観的な描写を含んでいる。

目的
:入院した犬において、死亡率による疾患重症度を階層化するための、正確で有効で使いやすいモデルを開発すること。 

動物
:獣医教育病院の集中治療室(ICU)に入院した犬、連続した810頭。

方法:前向きの調査コホート研究。入院後24時間以内の、管理、身体所見、生化学のデータの55項目を収集した。データは、ロジスティック回帰分析を構築するために用いる記録(598頭)と モデルを検証するための記録(212頭)に、ランダムに分けられた。

結果
:患者の死亡率hは18.4%だった。良好な性能を維持しながら、高い性能のモデルと利用しやすいモデルを供給するために、10項目と5項目のモデルを開発した。 10項目のモデルにはクレアチニン、白血球数、アルブミン、SPO2、総ビリルビン、精神スコア、呼吸数、年齢、乳酸値、体腔の液体貯留の存在、を含めた。ROC下面積(AUROC)は構築のためのデータにおいて0.93、検証のためのデータにおいて0.91であった。5項目のモデルには、血糖値、アルブミン、精神スコア、血小板数、乳酸値を含めた。ROC下面積(AUROC)は構築のためのデータにおいて0.87、検証のためのデータにおいて0.85であった。

結論と臨床的重要性
:2つのモデルは、ICUに入院した犬において正確で使いやすい疾患の重症度の指標を割り当てることを明らかにした。これらのモデルは初期の診断からは独立して使用され、独立して有効である。 

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