ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

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カテゴリ: 腎泌尿器

Kennedy, Alexandra J., and Joanna D. White.
"Feline ureteral obstruction: a case-control study of risk factors (2016–2019)." 
Journal of Feline Medicine and Surgery (2021): 1098612X211017461.


PubMedリンク PMID:
34076537
本文:無料公開なし

タイトル:猫の尿管閉塞;リスク因子についての症例対照研究(2016-2019)

==アブストラクト===
目的:猫の尿管閉塞は急性腎障害の原因となり、典型的には外科介入が必要となる。予防戦略のためには、修正可能な潜在的なリスク因子についての情報が必要である。

方法:猫の尿管閉塞に関連するリスク因子を評価するために症例対照研究を行った。症例は、以下のいずれかの猫として定義された;(1)腎盂造影によって確定された尿管閉塞(尿管結石13/18、不明5/18)または(2)腹部超音波検査による両側の尿管閉塞(尿管結石6/10、血餅3/10、膿腎症1/10)と腎盂拡張≧5mmを伴うクレアチニン濃度の上昇>140μmol/l。対照群は、病歴、身体診察、腹部超音波検査において尿管閉塞の所見のない猫と定義した。年齢、性別、品種(短毛/長毛)、食事(主にドライフード、主にウェットフード、または混合)、生活環境(屋内または混合)、および血漿総カルシウム、について尿管閉塞との関連を多変量ロジスティック回帰を用いて評価した。受信者動作特性(ROC)曲線を作成し、最終的なモデルの予測能力を評価した。

結果:合計で168頭(症例28頭、対照140頭)が組み入れられた。年齢、性別、品種、生活環境、および総カルシウムについてはいずれも尿管閉塞と有意な関連はなかったが、食事は関連があった。主にウェットフードを食べている猫に比べて、主にドライフードを食べている猫では、尿管閉塞を15.9倍起こしやすかった(95%信頼区間 2.9-295;p=0.009)。混合食を食べている猫と、主にウェットフードを食べている猫の間には、食事と尿管閉塞の関連についての差はなかった(p=0.25)。ROC下面積は72%であった。

結論
:食事組成の変更は、尿管閉塞のリスクを減らすためのシンプルで経済的な方法である。

Fowler, Brittany L., et al.
"Effect of telmisartan, angiotensin‐converting enzyme inhibition, or both, on proteinuria and blood pressure in dogs."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).


PubMedリンク PMID:33769609
本文:無料公開あり(全文

タイトル:犬のタンパク尿と血圧にテルミサルタン、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、またはその両方が与える影響

==アブストラクト===
背景
:犬の全身性高血圧症とタンパク尿の管理における、アンギオテンシン受容体拮抗薬であるテルミサルタンの使用は、臨床現場で広く報告されていない。

目的;タンパク漏出性腎症(PLN)のある犬において、アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACEi)単独、テルミサルタン単独、またはACEiとテルミサルタンの併用が、全身性高血圧とタンパク尿に与える影響を調べること。

動物:PLNの治療を行った家庭飼育犬42頭。

方法:2012年から2018年の間の獣医教育病院で、ベナゼプリルまたはエナラプリル単独、テルミサルタン単独、またはその両方のでPLNを治療した犬の医療記録に関する回顧的観察研究。非侵襲的血圧と尿タンパク/クレアチニン比(UPC)を時間とともに両群間で比較した。多変量混合効果線形回帰モデルとそれに続く事後解析を使用して、治療群間の周辺平均と差をを推定した。

結果
:ACEi単独と比較して、ACEiとテルミサルタンの併用治療は収縮期血圧を13mmHg(95%信頼区間 4-22mmHg)と有意に低下させた(p=0.007)。ACEi単独と比較して、ACEiとテルミサルタンの併用治療ではUPCが2.5(95%信頼区間 0.6-4.4)と有意に減少した(p=0.01)。テルミサルタン単独と比較して、ACEiとテルミサルタンの併用治療ではUPCが3.8(95%信頼区間 0.8-6.8)と有意に低かった。

結論と臨床的意義
:テルミサルタンは犬の全身性高血圧症とタンパク尿の治療として使用できる。

Kopecny, Lucy, et al.
"Urolithiasis in dogs: Evaluation of trends in urolith composition and risk factors (2006‐2018)." 
Journal of veterinary internal medicine (2021).


PubMedリンク PMID:33960543
本文:無料公開あり(全文)

タイトル:犬の尿路結石症;尿路結石の組成と危険因子の傾向の評価

==アブストラクト===
背景:尿路結石症は犬によくみられ、しばしば再発を起こす問題である。

目的:犬の尿路結石の組成の傾向を評価し、危険因子として年齢、品種、性別、中性化の状態、尿路結石の位置、結石の細菌培養などを評価すること。

サンプル母集団:合計で10,444個の尿路結石と、それが得られた犬。

方法:US DavisのGerald V. Ling尿石分析所の検査データベースを検索し、2006年1月から2018年12月のあいだに提出されたすべての犬の尿路結石を調べた。ミネラルタイプ、年齢、品種、性別、中性化の状態、結石の位置、および結石の培養についてを記録した。傾向を評価し、リスク因子を調べるために項目を比較した。

結果:シュウ酸カルシウムとストラバイトを含有結石が提出された結石の大部分を占め、それぞれ47.0%と43.6%であった。シュウ酸カルシウムを含む結石は、2006年の49.6%から2018年の41.8%へ有意な減少を示したが(p=0.006)、ストラバイトを含む結石の割合に変化はなかった。シスチンを含む結石は、2006年から2018年のすべての提出された結石の2.7%を占め、時間と共に有意な非線形増加が観察された(2006年の1.4%から2018年の8.7%に増加;p<0.001)。すべてのシスチン含有結石のうち、70.3%は未去勢の雄犬から得られたものであった。尿路結石に対する年齢、品種、性別の好発傾向は、過去に同定されたものと類似していた。

結論と臨床的意義
:シュウ酸カルシウムとストラバイトを含む尿路結石は、犬の尿路結石の大部分を占め続けているものの、評価した期間内では、シュウ酸カルシウム結石の割合は減少し、シスチン結石の割合は増加した。

Tefft, Karen M., et al.
"Effect of a struvite dissolution diet in cats with naturally occurring struvite urolithiasis." 
Journal of Feline Medicine and Surgery (2020): 1098612X20942382.


PubMedリンク PMID:32705911
本文:無料公開あり(全文

タイトル:自然発生性のストラバイト尿石症の猫におけるストラバイト溶解食の効果

==アブストラクト===
目的:猫のストラバイト膀胱結石の溶解における低ストラバイト過飽和食の効果を調べることである。

方法:これは前向き非盲検2施設研究である。レントゲンで尿石があり、尿検査が行われている12頭の家庭飼育猫が組み入れられた。最大56日間、試験食だけを猫に与えた。猫は、レントゲンで溶解がみられるまで、または試験期間が終わるまで、2週間ごとにレントゲンを撮った。試験期間の終了時にレントゲンで尿石がみられる猫は、結石の摘出と分析のために膀胱切開をうけた。

結果:12頭中9頭が研究を完了した。8頭ではレントゲンで溶解がみられ、そのうち7頭は最初の1ヶ月で完全な溶解を得た。1頭は、56日目に部分的な溶解を得ており、飼い主が膀胱切開を拒否し、治療の70日目に完全な溶解を得た。2頭はレントゲンで部分的な溶解を得て、摘出によりシュウ酸カルシウム結石のコアが確認された。

結論と臨床的関連
:試験食はストラバイトが疑われる膀胱結石を溶解することに成功した。この食事は成猫の維持食に適合しているため、猫のストラバイト尿路結石症の長期予防に適しているかもしれない。



企業関与:ブルーバッファロー社

Reineke, Erica L., et al.
"Multicenter evaluation of decompressive cystocentesis in the treatment of cats with urethral obstruction." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 258.5 (2021): 483-492.


PubMedリンク PMID:33620246
本文:無料公開なし

タイトル:尿道閉塞のある猫の治療における膀胱穿刺による減圧に関する多施設評価

==アブストラクト===
目的:膀胱穿刺による減圧が、尿道閉塞の猫における尿道カテーテルの設置を安全に促すかどうかを調べること。

動物:尿道閉塞のある雄猫88頭。

方法:尿道カテーテル設置前に膀胱穿刺による減圧を行うグループ(減圧グループ;n=44)と尿道カテーテルの設置のみ(カテーテルグループ;n=44)に、猫をランダムに割り付けた。減圧およびカテーテル設置、またはカテーテル設置の前、カテーテル設置の直後、およびカテーテル設置の4時間後に、超音波検査を行い腹水をモニターした。各時点での合計の腹水スコアの範囲は0(腹水なし)から16(顕著な腹水)とした。尿道カテーテルの入れやすさ(スコア 0[通過しやすい]から4[通過できない])、尿道カテーテル設置の時間、および有害事象を記録した。

結果
:尿道カテーテル設置の時間は、減圧グループで(120秒)カテーテルグループ(132秒)で有意な差はなかった。尿道カテーテルの入れやすさスコアの中央値は減圧グループ(スコア1;範囲0-4)とカテーテルグループ(スコア1;範囲0-3)で有意な差はなかった。カテーテル設置前からカテーテル設置直後のの腹水スコアの変化の中央値は0であり、減圧グループ(範囲-4 - 8)とカテーテルグループ(範囲-5 - 12)で有意な差はなかった。カテーテル設置直後から4時間後の腹水スコアの変化の中央値は、減圧グループ(スコア-1;範囲 -7 - 5)とカテーテルグループ(スコア-1;範囲 -9 - 5)で有意な差はなかった。

結論と臨床的意義
:カテーテル設置前の膀胱穿刺による減圧は、尿道閉塞の猫のにおけるカテーテル設置の時間や入れやすさを改善しなかった。

Schwarz, Tobias, et al. "Four‐dimensional CT excretory urography is an accurate technique for diagnosis of canine ureteral ectopia." Veterinary Radiology & Ultrasound (2020).

PubMedリンク PMID:33350535
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:犬の異所性尿管の診断において4次元CTの排泄性尿路造影は正確な手法である

==アブストラクト===
CT排泄造影は、犬の異所性尿管の検査でよく用いられる。最新の技術により、検出器のコリメーションを超える距離で次回分解CTイメージング(4次元CT排泄性尿路造影)が可能となる。この前向き観察診断性能研究の目的は、下部尿路聴講のある犬におけるCT排泄性尿路造影と4DCT排泄性尿路造影の診断性能を評価し、骨盤の角度を評価し、異所性尿管の診断のための尿管膀胱接合部の角度を決定することである。

合計で36頭の犬(正常な尿管42、壁内異所性尿管27、壁外異所性尿管3)が、ランダムな骨盤の位置でCT排泄性尿路造影および4DCT排泄性尿路造影を行った。ランダム化されたCT排泄性尿路造影と4DCT排泄性尿路造影は、2人の観察者によって尿管乳頭の位置と壁についての分類シェーマによって分類された。尿管の位置と診断に対する観察者間の一致、感度、および特異度を算出した。

CT排泄性尿路造影は、左側尿管に対する中程度の観察者間の一致を示し、右尿管に対して完全な一致を示し、一方で4DCT排泄性尿路造影では両側の尿管でほぼ完全な観察者間の一致を示した。
確定診断と比較した時に、CT排泄性尿路造影は、感度73%、特異度90.2%であったが、4DCT排泄性尿路造影は感度97%、特異度94.6%であった。鈍角の尿管膀胱接合部の角度は、正常な尿管よりも壁内の異所性尿管でよく観察され、それは異所性尿管の診断の信頼性の向上と有意に関連した。尿管開口部の位置を決定するための骨盤の角度のためのくさびの使用は、診断精度を上昇させなかった。

4DCT排泄性尿路造影は、犬の尿失禁の原因としての異所性尿管を調べるために正確で信頼性の高い診断手法であり、通常のCT排泄性尿路造影よりもわずかに優れている。

Young, C. S., et al.
"Radiographic diagnoses in 80 cats before and 73 cats after unobstructing the urethra."
 
Journal of Small Animal Practice (2021).


PubMedリンク PMID:33604908
本文:無料公開なし

タイトル:尿道閉塞解除前の猫80頭と解除後の猫73頭におけるレントゲン診断

==アブストラクト===
目的
:この研究の目的は、猫の尿道閉塞の原因を調べ、閉塞解除前後でレントゲンを撮影した猫の間のでレントゲン診断の頻度に差があるかどうかを調べること。

方法
:自然発生の尿道閉塞のある猫についての回顧的横断研究を行った。初発の尿道閉塞で来院し、初期評価でレントゲン検査を行った猫のみを組み入れた。診断の頻度(全体または各疾患タイプ)について、尿道閉塞解除前後のレントゲン間で比較した。

結果:80頭(52%)の猫で尿道閉塞解除前のレントゲンが得られ、73頭(48%)で閉塞解除後のレントゲンが得られた。閉塞解除前にレントゲンを撮った猫では、解除後にレントゲンを撮った猫よりも、レントゲンで診断される割合が高かった(61% vs 45%)。この差の大きさは、尿道栓の検出が閉塞解除後よりも解除前の方が多いことによる(5.5% vs 45%)。

臨床的意義
:尿道閉塞解除前に撮られたレントゲンでは、閉塞解除後に撮られたレントゲンよりも、尿道閉塞の原因の検出に関して診断的なアドバンテージをもたらす。尿道栓が最も多く診断された。

Lourenço, Bianca N., et al.
"Efficacy of telmisartan for the treatment of persistent renal proteinuria in dogs: A double‐masked, randomized clinical trial." 
Journal of Veterinary Internal Medicine 34.6 (2020): 2478-2496.


PubMedリンク PMID:
33165969
本文:無料公開あり(全文

タイトル:犬の持続的な腎臓性タンパク尿の治療としてのテルミサルタンの効果;二重盲検ランダム化臨床試験

==アブストラクト===
背景:犬のタンパク尿の治療としてのアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬とテルミサルタンの有効性に関する情報は限られている。

目的:慢性腎臓病があり持続的な腎臓性タンパク尿のある犬で、エナラプリルと比較したときのテルミサルタンの抗タンパク尿効果を評価すること。

動物:慢性腎臓病で尿タンパク-クレアチニン比(UPC)が>0.5(高窒素血症がある場合)または≧1.0(高窒素血症がない場合)がある家庭飼育犬39頭。

方法
:この前向きランダム化二重盲検臨床試験では、犬は高窒素血症の有無と全身性高血圧の有無にしたがってブロックランダム化され、テルミサルタン(1.0 mg/kg PO q24h)またはエナラプリル(0.5 mg/kg PO q12h)の投与に分けられて120日間追跡された。30、60、90日で来院し、そのときにUPC>0.5の場合には、30日目と60日目には治験薬を増量し、90日目にはもう一方の治験薬を追加した。各時点で、ベースラインと比較したUPCの変化の割合を調べた。データは中央値(範囲)で示した。

結果:39頭(テルミサルタン治療 20頭、エナラプリル治療19頭)の犬が組み入れられた。30日には、UPCの変化の割合はエナラプリル治療の犬(-35%[-74〜87])よりもテルミサルタン治療の犬(-65%[-95〜104])の方が大きかった(p=0.002)。前の来院時にタンパク尿が持続していた犬の中で、60日後(p=0.02)も90日後(p=0.02)もエナラプリルよりもテルミサルタンの方が優れていた。併用療法が許可された120日後では、両群の間でUPCの変化割合に差は観察されなかった。4/13頭(31%)の犬で併用療法に関連した高窒素血症が起こった。

結論と臨床的意義
:テルミサルタンは、腎性のタンパク尿の犬に対する第一選択治療として適している可能性がある。


企業関与
:ベーリンガーインゲルハイムベトメディカ社


==訳者コメント===
本文をみると
・エナラプリル群とテルミサルタン群でベースラインのUPCに大きな差がある(2.29 vs 4.65)
・にも関わらず結果を減少の“割合”で示している
・60日後、90日後にUPC<0.5を達成している犬の割合に大差がない
・そもそも脱落がとても多い
と、気になる点が非常に多く、論文上で述べられているようなテルミサルタンの優位性については、本文を読むとあまり感じませんでした。

また、そもそもこの研究のアウトカムは代用アウトカムであり、真のアウトカム(腎機能の悪化を改善するか?生命予後が改善するか?など)は検討できていないため、本当に臨床上有用なのかどうかはこの結果をもって言うことはできないと思います。

Monaghan, Kelly N., Mary Anna Labato, and Mark G. Papich.
"Ampicillin pharmacokinetics in azotemic and healthy dogs." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).


PubMedリンク PMID:33474795
本文:無料公開あり(全文)

タイトル:高窒素血症の犬と健康な犬におけるアンピシリンの薬物動態

==アブストラクト===
背景:犬のアンピシリンの薬物動態に、腎疾患のような因子が与える影響についてはほとんどわかっていない。

目的:健康な犬と高窒素血症のある犬で単回の静脈投与後のアンピシリンの薬物動態を調べること。

動物:急性腎障害で来院した犬9頭と健康な犬10頭。

方法
:前向き研究。アンピシリン22.2mg/kg(平均投与量)を単回静脈投与した。間隔をあけて(投与前、投与後1,2,4,12,24時間)血液サンプルを採取し、高圧液体クロマトグラフィを使用して分析したあと、血漿薬物濃度の薬物動態分析を行った。

結果
:健康な犬よりも高窒素血症の犬の方が、ピークのアンピシリン濃度(μg/ml;平均(変動係数) 21.3(50.26)vs 97.07(36.1);p<0.001)、半減期(時間; 0.97(115.3)vs5.86(56.55);p<0.001)、およびAUC(h×μg/ml;731.04(83.75)vs 33.57(53.68);P<0.001)が高かった。高窒素血症の犬は、健康な犬と比べてクリアランス(ml/kg h;30.06(84.19)vs655.03(53.67);p<0.001)と分布容積(ml/kg;253.95(30.14)vs 916.93(135.24);p<0.001)が有意に低かった。

結論と臨床的意義
:高窒素血症の犬における薬物濃度の増加とクリアランスの低下は、腎機能が低下した犬において、アンピシリン投与の調整を指示する必要がある抗菌薬関連の合併症への寄与という点で、臨床的に重要になり得る。

Williams, Ashlyn G., Ann E. Hohenhaus, and Kenneth E. Lamb.
"Incidence and treatment of feline renal lymphoma: 27 cases." 
Journal of Feline Medicine and Surgery (2021): 1098612X20984363.


PubMedリンク PMID:33464143
本文:無料公開なし

タイトル
猫の腎臓リンパ腫の発生率と治療;27症例

==アブストラクト===
目的:リンパ腫は最も多い猫の造血器系悪性腫瘍である。猫のリンパ腫症例の大集団の一部としての腎臓リンパ腫の発生率は報告されていない。過去の研究で腎臓リンパ腫は、単一のものと、多中心性の一部の両方で報告されている。腎臓リンパ腫に関する臨床徴候、診断評価、治療、および転帰は、1987年のMooneyらの報告以来、報告されていない。この回顧的研究の目的は、腎臓リンパ腫の発生率、臨床徴候、治療、および生存について記述することである。

方法:2008年1月から2017年10月までの間にリンパ腫と診断された猫のデータベースを用いて、腎臓リンパ腫の猫を選択してさらに解析をした。症例は、Mooneyら(1987)とGaborら(1998)にしたがって回顧的にステージングした。年齢、臨床徴候、臨床病理学的データ、画像診断所見、リンパ腫の診断方法、治療プロトコル、および生存期間に関する情報を収集した。投与された治療、腎臓リンパ腫vs多中心型リンパ腫、中枢神経系への浸潤、高窒素血症の存在、貧血、診断時にIRISステージを比較分析した。

結果:リンパ腫の猫740頭の集団のうち、27頭の猫が腎臓リンパ腫であり(発生率 3.6%)、そのうち14頭は多中心型リンパ腫であった。Mooneyらの報告と比較して、このデータではステージⅣおよびⅤの症例はほとんどいなかったが、すべての猫が完全なステージングを行っているわけではなかった。中央生存期間(範囲)は、コルチコステロイド単独治療をうけた猫で50日(20-1027日)であり、L-CHOP(Lアスパラギナーゼ、ビンクリスチン、サイクロフォスファマイド、ドキソルビシン、プレドニゾロン)の治療をうけた猫では203日(44-2364日)であった。

結論と臨床的意義
:臨床ステージも他の因子も、生存期間を予測しなかった。適切な化学療法プロトコルを決定するためには、前向き研究が必要である。

Stilwell, C., et al.
"Detrusor urethral dyssynergy in dogs: 35 cases (2017‐2019)." 
Journal of Small Animal Practice.

PubMedリンク PMID:
33345305
本文:無料公開なし

タイトル:犬の排尿筋・尿道協調不全;35症例(2017-2019)

==アブストラクト===
目的
排尿筋・尿道協調不全と診断された犬の臨床徴候、診断、治療、および転帰についてを調べること。

方法
:多施設(イギリスの3つの紹介病院)、回顧的、観察研究。データベースを検索(2007-2019)し、排尿筋・尿道協調不全がある犬を同定した。排尿に影響を与える構造異常または検出可能な神経障害のある犬は除外された。臨床徴候、診断手順、治療、および転帰について評価した。

結果
:犬35頭が含まれた。中年齢、大型犬、中性化された雄犬が最も頻繁にみられた。雌犬は4頭含まれた。15犬種が含まれ、ラブラドールレトリバー(8/35 22.9%)、ゴールデンレトリバー(5/35 14.3%)、および雑種犬(5/35 14.3%)が多かった。臨床徴候の期間の中央値は152日(範囲 0-1095日)であった。全ての犬が排尿障害で来院し、17/35頭(48.6%)で尿の流れの変化があり、17/35頭(48.6%)で有通性排尿困難がみられた。追跡情報は34頭で利用可能であった(中央値136日、範囲 4-2188)。反応は良好(20/34;58.8%)、部分的(7/34;20.5%)、不良(7/34;20.5%)に分けられた。反応までの期間は21/34頭(良好15、部分的6)で判明しており、中央値は11日(範囲 1-155)であった。4頭は外科的介入(去勢手術 4、膀胱瘻チューブ 2)をうけた。3頭の犬が部分的な反応(n=1)または反応不良(n=2)を理由に安楽死された。治療に良好を示した犬20頭中11頭で内科治療が中止され、そのうち2頭で再発した。

臨床的意義
排尿筋・尿道協調不全は犬の、特にメスで、まれな排尿障害である。内科治療±外科治療の結果は多くの犬で良好な予後をもたらすが、多くは長期の内科治療を必要とする。

Tang, Pak‐Kan, et al.
"Risk factors associated with disturbances of calcium homeostasis after initiation of a phosphate‐restricted diet in cats with chronic kidney disease." 
Journal of Veterinary Internal Medicine.


PubMedリンク PMID:33368694
本文:無料公開あり(全文

タイトル:慢性腎臓病の猫におけるリン制限食の開始後のカルシウム恒常性の乱れに関連するリスク因子

==アブストラクト===
背景:食事中のリン制限は慢性腎臓病(CKD)の猫の生存を改善する。しかし、リン制限食を与えることはカルシウムの恒常性を乱す可能性があり、高カルシウム血症になる猫もいる。

目的:猫でリン制限食に移行したあとの血漿総カルシウム濃度の上昇に関連したリスク因子を同定し、CKDミネラル骨代謝における役割を明らかにすること。

動物
:IRISステージ2-3の高値素血症性 CKDがあり、甲状腺機能が正常な高齢(≧9歳齢)の家庭飼育猫71頭。

方法:回顧的横断コホート研究。食事を変更したあとの最初の200日間の血漿総カルシウム濃度を、線形回帰を用いて評価した。二値ロジスティック回帰を行い、カルシウム濃度上昇のリスク因子を同定した。CKDミネラル骨代謝に関連した臨床病理学的項目の経時的変化を、線形混合モデルと一般化線形モデル分析を用いて調査した。

結果
:ベースラインの血漿カリウム濃度の低さ(オッズ比=1.19/0.1mmol減少;P=0.003)とリン濃度の低さ(オッズ比=1.15/0.1mmol減少;P=0.01)は、血漿総カルシウム濃度の増加に対する独立したリスク因子であった。血漿クレアチニン濃度(β=0.069±0.029mg/dl;p=0.02)、SDMA濃度(β=0.649±0.29mg/dl;p=0.03)、リン濃度(β=0.129±0.062mg/dl;p=0.04)、In[FGF23]濃度(β=0.103±0.035mg/dl;p=0.04)は、経時的に血漿総カルシウム濃度の増加した猫において変化率を有意に上昇させた。

結論と臨床的意義
:CKDの猫でリン制限食へ変更する時点での血漿カリウムまたはリン濃度の低さ、またはその両方は、血漿総カルシウム濃度が上昇するリスクの増加と関連していた。血漿総カルシウム濃度の増加はCKDの進行と関連していた。


企業関与:
Royal Canin SAS、Boehringer Ingelheim

Emanuel, Max, et al.
"Retrospective study of proliferative urethritis in dogs: Clinical presentation and outcome using various treatment modalities in 11 dogs." 
Journal of Veterinary Internal Medicine.


PubMedリンク PMID:33316119
本文:無料公開あり(全文

タイトル:犬の増殖性尿道炎の回顧的研究;11頭の犬における臨床徴候と様々な治療法の転帰

==アブストラクト===
背景:増殖性尿道炎は雌犬でみられるまれな炎症性および浸潤性の尿道疾患である。尿道閉塞を示すのが典型的である。

目的:増殖性尿道炎の犬の臨床的特徴を調べ、様々な治療法の転帰を調べること。

動物:家庭飼育犬11頭。

方法:2011年から2020年の間に病理組織学的に増殖性尿道炎を診断された犬の医療記録を回顧的に評価し、臨床病理、画像、および病死組織についての情報を調べた。様々な治療法の転帰を記録して比較した。長期の尿道の開存性(>6ヶ月)を治療の成功とみなした。

結果:犬はすべてメスで、尿道閉塞で来院した。8頭(73%)は尿路感染症の病歴があった。11頭中10頭が生存退院し、長期データが利用できた。10頭中7頭(70%)は解除処置(バルーン拡張、ステント、または両方)で治療し、6/7頭(86%)は長期の尿道の開存性(>6ヶ月)を達成した。10頭中7頭で最初の処置後に尿道閉塞の再発が起こり、これには解除処置を行わなかった犬3/3頭(100%)(中央期間 101日)と解除処置を行った犬4/7頭(57%)(中央期間687日)が含まれた。解除処置後の開存性の期間は、バルーン拡張単独(452日)よりもステント(843日)を用いて治療したほうが長かった。

結論と臨床的意義
:増殖性尿道炎は再発性の疾患であり、しばしば尿路感染症に関連する。バルーン拡張またはステントによる病変の解除後に長期の開存という最も良い転帰が得られた。さらなる前向き研究を行い、免疫抑制治療の効果を調べるべきである。

Perondi, F., et al.
"Oesophagostomy tube complications in azotaemic dogs: 139 cases (2015 to 2019)." 
Journal of Small Animal Practice (2020).


PubMedリンク PMID:33260259
本文:無料公開なし

タイトル
高窒素血症の犬における食道瘻チューブの合併症;139例(2015-2019)

==アブストラクト===
目的:高窒素血症の犬における食道瘻チューブ関連合併症の割合、および食道瘻チューブの期間と治療アプローチ(内科的 vs 血液透析)が合併症の割合に与える影響を、回顧的に評価すること。

方法
:医療記録を回顧的にレビューし、食道瘻チューブの設置を行った高窒素血症の犬を同定した。食道瘻チューブの期間(短期 vs 長期)、食道瘻チューブ交換の時期、治療アプローチ(内科的 vs 血液透析)食道瘻チューブ関連の軽度な合併症(位置異常、縫合関連、閉塞、炎症、粘液化膿性滲出液、膿瘍)と重大な合併症(出血、位置異常、閉塞、脱落、チューブの嘔吐、瘻孔からの食物のもれ)についての情報を抽出した。単変量および多変量ロジスティック回帰分析を行い、食道チューブ関連合併症のリスク因子を同定した。

結果:チューブ関連合併症は139頭中74頭(53%)で報告された。軽度な合併症は74頭中64頭(89%)、重大な合併症が74頭中8頭(11%)であった。高窒素血症の犬では、食道瘻チューブの留置時間(オッズ比 1.03;95%信頼区間 1.01-1.05)と血液透析の使用(オッズ比 40.12;95%信頼区間 9.18-175.20)が、食道瘻チューブ関連合併症のリスク因子であった。

臨床的意義
:食道瘻チューブ関連合併症の多くは軽度なものであり、測定が用意で、入院、チューブの抜去、安楽死などを必要としない。高窒素血症の犬では、血液透析の使用は、おそらくは首の包帯があるために、食道チューブ関連合併症のリスクの高さと強く関連していた。

Brans, Marleen, et al.
"Plasma symmetric dimethylarginine and creatinine concentrations and glomerular filtration rate in cats with normal and decreased renal function." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).


PubMedリンク PMID:33274800
本文:無料公開あり(全文

タイトル:腎機能が正常および低下した猫における血漿対称性ジメチルアルギニンとクレアチニン濃度と糸球体濾過率

==アブストラクト===
背景:糸球体濾過率(GFR)は腎機能評価のゴールドスタンダードではあるが、実用的ではない。血清クレアチニンは早期の慢性腎臓病の同定において感度が限られており、一方で対称性ジメチルアルギニン(SDMA)はより正確なバイオマーカとして商品化されている。猫におけるSDMAと血清クレアチニンの比較を行った研究は少ない。

目的:高窒素血症がある、またはない猫におけるSDMAの診断性能のさらなる調査をすること。

動物:家庭飼育猫17頭。CKDノ猫17頭、糖尿病の猫15頭、健康な猫17頭。

方法:血清クレアチニン、GFR、SDMA分析の記録のある猫の血液の予備サンプルを用いた回顧的研究。相関係数、感度、特異度、および受信者操作特性曲線を用いてSDMAと血清クレアチニンの診断性能を評価した。

結果
:健康な猫と糖尿病の猫と比べて、CKDの猫では血漿SDMA(26.7 ± 9.9 μg/dl)と血清クレアチニン(2.8 ± 0.8 mg/dl)の値が有意に高かった(p<0.001)。血漿SDMA(τB=-0.57;P<0.001)と血清クレアチニン(τB=-0.56;P<0.001)はGFRと有意な相関を示した。血清SDMA(τB=-0.52;P<0.001)は血清クレアチニンと有意な相関を示した。血漿SDMAと血清クレアチニンは、腎機能の低下に対して類似した感度(76-94%と71-88%)をしめした。特異度はSDMA(75-76%)よりもクレアチニン(94-96%)のほうが高かった。

結論と臨床的意義
:高窒素血症がある猫とない猫を含むこの研究では、SDMAはGRFの減少を同定する信頼できるマーカーである。しかしながら血清クレアチニンを超える優位性は確認されなかった。

Plater, B. L., and V. J. Lipscomb.
"Treatment and outcomes of ureter injuries due to ovariohysterectomy complications in cats and dogs." 
Journal of Small Animal Practice 61.3 (2020): 170-176.


PubMedリンク PMID:31960426
本文:無料公開なし

タイトル:犬と猫の卵巣子宮摘出術の合併症による尿管損傷の治療と転帰

==アブストラクト===
目的:犬と猫の卵巣子宮摘出術の結果による片側および両側の尿管損傷の徴候、治療、転帰について記述すること。

方法:卵巣子宮摘出術の合併症の結果として尿管損傷のある犬と猫についての回顧的症例シリーズ。患者のシグナルメント、病歴、来院時の臨床徴候、臨床病理、画像、診断、治療、および転帰についてを医療記録と飼い主への電話連絡から得た。

結果:雌猫14頭と雌犬5頭が組み入れられた。11頭(58%)は卵巣子宮摘出術の直度から臨床徴候を示し、6頭は臨床徴候の発症の中央値が3日(範囲1-16日)であり、2頭(10%)は術中に合併症がわかりただちに紹介された。両側損傷の動物7頭中5頭が無尿で来院した。3頭が根治的手術なしに死亡または安楽死された。外科的修復として、尿管膀胱新吻合術(猫8、犬1)、尿管腎臓摘出術(猫4、犬2)、皮下尿管バイパス(SUB)設置術(猫3)、尿管ステント(猫1)が行われた。手術をうけた16頭中、7頭(44%)が退院し、1回以上の追加手術を必要とする重大な合併症を経験した。全体の転帰は13頭(68%)で優良、1頭(5%)で良好、1頭(5%)で普通、4頭(22%)で不良であった。

臨床的意義
:尿管損傷の重要な指標は、卵巣子宮摘出術後に動物が正常に回復しないか、短期に悪化するかである。両側の尿管損傷をおった動物は無尿になりやすい。外科治療後には優良な転帰の可能性がある。

Dunaevich, Asia, et al.
"Acute on chronic kidney disease in dogs: Etiology, clinical and clinicopathologic findings, prognostic markers, and survival." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).

PubMedリンク PMID:33044036
本文:無料公開あり(全文

タイトル:犬の慢性腎臓病の急性増悪;病因、臨床所見、臨床病理学的所見、予後因子および生存

==アブストラクト===
背景:慢性腎臓病(CKD)とCKDの急性増悪(ACKD)は犬でよくある。

目的:ACKDの犬の病因、臨床所見、検査所見、短期および長期の予後の特徴について調べること。

動物:ACKDの犬100頭。

方法:最も多い臨床徴候には食欲低下(84%)、嘔吐(55%)、および下痢(37%)があった。推測される病因には、炎症性の原因(30%)、腎盂腎炎(15%)、虚血性の原因(7%)、その他(3%)、原因不明(45%)が含まれた。入院期間の中央値は5日(範囲 2-29)であり、非生存犬(4日;範囲2-20)と比較して、生存犬(6日;範囲2-29)のほうが有意に長かった(p<0.001)。死亡率は35%であった。来院時のIRISの急性腎障害(AKI)グレードは短期間の入院と関連したが(p=0.009)、推定される病因とは関連しなかった(p=0.46)。多変量解析では、来院時の呼吸数(p=0.01)、CK活性(p=0.005)、および血清クレアチニン濃度(p=0.04)が短期間の入院と関連した。退院した犬の生存期間の中央値は105日(95%信頼区間 25-184)であり、35頭が6ヶ月間、8頭が12ヶ月間生存した。推定される病因(p=0.16)と退院時の血清クレアチニン濃度(p=0.59)は長期生存を予測しなかった。

結論と臨床的意義
:ACKDの犬の短期的転帰はAKIの犬と同等であるが、長期予後は要注意であった。来院時のIRISのAKIグレードは短期的な転帰の予後指標である。

Kulendra, N. J., et al.
"Survival and complications in cats treated with subcutaneous ureteral bypass." 
Journal of Small Animal Practice.


PubMedリンク PMID:32926426
本文:無料公開あり(全文)

タイトル:皮下尿管バイパスで治療した猫の生存と合併症

==アブストラクト===
目的
:皮下尿管バイパス(SUB)の設置を行なった猫の転帰に関連する因子と合併症について報告すること。

方法
:この回顧的研究では、SUB設置後の合併症、尿路感染の存在、および生存期間を記録した。生存期間に影響を当たる因子はカプランメイヤー食洗とログランクテストを用いて評価した。

結果
:95頭の猫に130のSUBが設置された。10頭が生存退院できなかった。退院後に40頭(42%)が死亡、または安楽死され、それらの猫の中央生存期間は530日(範囲 7-1915日)であった。軽度の合併症が18頭(19%)でみられ、重篤な合併症が46頭(48%)でみられ、その多くは退院後に起こった。27頭が術後の尿路感染症と診断された。長期生存と来院時のクレアチニンの間に有意な関連がみられた。来院時クレアチニン濃度≧440μmol/L(IRIS 急性腎障害ステージ4-5)の猫の中央生存期間は530日(95%信頼区間 273-787)に対し、来院時クレアチニン濃度<440μmol/L(IRIS 急性腎障害ステージ1-3)の猫の中央生存期間は949日(95%信頼区間 655-1243)であった。

臨床的意義
:この猫の集団では、SUB設置はおよそ10%の入院中死亡率と、高い合併症の割合と関連していた。ほとんどの合併症が管理可能なものであり、全体の生存期間は2年を超えた。

Cordella, Alessia, et al.
"The ultrasonographic medullary “rim sign” versus medullary “band sign” in cats and their association with renal disease."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine.


PubMedリンク PMID:32888347
本文:無料公開あり(全文

タイトル:猫の超音波検査の腎臓髄質の“リムサイン”と“バンドサイン”およびそれらと腎疾患との関連

==アブストラクト===
背景:髄質のリムサインは腎臓髄質の高エコーのラインを指し、腎疾患のある/ない犬と猫の両方で超音波検査で報告されている。

目的:猫の髄質リムサインの様々な側面を記述し、腎臓病との関連について評価すること。

動物:超音波検査を行った猫で、腎臓病がある/ない髄質リムサインの猫(研究群)と腎臓病がある/ない髄質リムサインのない猫(対照群)。

方法
:回顧的症例対照研究。腎臓病がある/ない髄質リムサインの猫(リムサイン群)と腎臓病がある/ない髄質リムサインのない猫(対照群)。超音波画像を盲検化して、記録された髄質リムサインの厚さと辺縁に焦点をあててレビューした。

結果:髄質リムサインのある猫84頭が組み入れられ、60頭が対照群として登録された。髄質リムサインは2つの異なる側面があった;明瞭な辺縁をもつ高エコー性の薄いライン(髄質リムサイン-ライン)が50/84頭(59%)でみられ、辺縁が不鮮明な高エコー性の厚いバンド(髄質リムサイン-バンド)が34/84頭でみられた。髄質リムサイン-ラインがある猫50頭中20頭(40%)と、髄質リムライン-バンドのがある猫34頭中25頭(74%)で、腎疾患があった。髄質リムサイン-ラインの頻度は腎疾患のない猫で高く、一方、髄質リムライン-バンドの存在は腎疾患のある猫でより高かった(p=0.003)。

結論と臨床的意義
:厚くて高いエコー性の辺縁不明瞭なバンド(髄質バンドサインという用語を提案)は、腎疾患と関連していることが多く、一方、薄い高エコー性の辺縁明瞭なライン(真の髄質リムサイン)は腎疾患がある猫、ない猫の両方でみられる可能性がある。


==本文から===
図を引用:Aが線(ライン)状のタイプ、Bがバンド状のタイプ
jvim15878-fig-0001-m

Milligan, M. L., et al.
"Outcome of SUB placement for the treatment of benign ureteral obstruction in dogs: nine dogs and 12 renal units (2013 to 2017)." 
Journal of Small Animal Practice (2020).


PubMedリンク PMID:32352170
本文:無料公開なし

タイトル:犬の良性尿管閉塞の治療としてのSUB設置の転帰;9頭の犬、12の腎臓単位(2013-2017年)

==アブストラクト===
目的:皮下尿管バイパス(SUB)で治療した良性の尿管閉塞のある犬の集団について記述し、術中、周術期、および短期/長期の転帰を報告すること。

方法:SUBを行った犬の医療記録を再調査した。

結果:犬9頭(12の腎臓単位)が組み入れられた。閉塞の原因として、尿管結石(n=9)、管腔外からの圧迫(n=2)、および狭窄(n=1)があった。12の尿管のうち11で過去にステントが設置されており、狭窄の再発(n=4)、びまん性の尿管炎(n=4)、またはステントの移動(n=3)のためにSUBが必要となった。設置はすべての腎臓単位でうまくいき、周術期または手術関連の死亡はなかった。入院期間の中央値は3日であった。クレアチニン値の中央値は、術前が186μmol/L、術後が106μmol/Lであった。短期的に高窒素血症が悪化した犬はいなかった。最も多かった長期的な合併症は、6つのデバイスでみられた石灰化であり、そのうち4つは交換を必要とした。術後に感染した犬(n=5)のすべてで、術前に1回以上の尿路感染の病歴があった。9頭中の1頭で、術後の慢性の尿路感染があり、バイパスを設置する前から慢性の感染があった。中央生存期間は774日をこえており、発表時には9頭中5頭が生存していた。

臨床的意義
:SUBの設置は犬の良性尿管閉塞に対する有効な短期治療のオプションであったが、デバイスの石灰化が高い割合で起こった。

Yan, Gong‐Yi, et al.
"Relationship between ultrasonographically determined renal dimensions and International Renal Interest Society stages in cats with chronic kidney disease." 
Journal of Veterinary Internal Medicine 34.4 (2020): 1464-1475.

PubMedリンク PMID:3258
本文:無料公開あり(全文

タイトル:慢性腎臓病の猫における超音波検査で測定した腎臓の大きさとIRISステージとの関連

==アブストラクト===
背景:慢性腎臓病の猫における腎臓の大きさと腎機能の相関については不明である。

仮説/目的:超音波検査を行った猫における腎臓の大きさとCKDの重症度と関連を調べること。

動物:健康な猫19頭とCKDのある猫30頭。

方法:2012年から2016年の間に得られた超音波検査画像を再調査した。CKDの重症度はIRIS CKD分類システムを用いて決定した。腎臓の長さ、皮質の厚さ、髄質の厚さ、および皮質髄質比を測定し、これらの腎臓の大きさと血清クレアチニン濃度の感ん系を調べ、対称群と疾患群の間での大きさの違いを調べた。CKDを鑑別するための腎臓の大きさの感度と特異度も評価した。

結果:疾患グループはさらにステージⅠ-Ⅱ(15頭)とステージⅢ-Ⅳ(15頭)のグルーブに細分類された。皮質の厚さはどちらのグループでも有意に減少し、重症度と負の相関があった。他の腎臓の大きさと比較して、腎臓の厚さは血清クレアチニン濃度の逆数と強い線形相関をもち、優れた診断性能であった(Youden指標;左腎 90%、カットオフ値4.7mmで感度90.0%、特異度94.7%  右腎 83.3%、カットオフ値4.5mmで感度83.3%、特異度94.7%)。

結論と臨床的意義
:腎皮質の厚みの減少が、腎機能を喪失した観察された。超音波検査で腎臓皮質の厚みを測定することは、猫のCKDの進行を評価する有益な方法になり得る。

Crawford, A. H., and T. J. A. Cardy.
"Is there a link between bacteriuria and a reversible encephalopathy in dogs and cats?."
 
Journal of Small Animal Practice (2020).

PubMedリンク PMID:32743843
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:犬と猫における細菌尿と可逆性脳症には関連があるか?

==アブストラクト=== 
ヒトでは、特に高齢患者で細菌尿が異常な神経学的状態と関連する。この報告では、獣医療における細菌尿と異常な神経学的状態の関連を示唆する11症例(犬7頭、猫4頭)についてレビューした。これらの動物はびまん性の前脳徴候±脳幹徴候を示したが、原発性の脳疾患はMRIと脳脊髄液検査によって除外された。各症例で尿の細菌培養が要請であり、神経学的障害は抗菌薬±輸液療法とレベチラセタムの開始により改善または消失した。細菌尿と可逆性脳症との関連を明確に確認または否定するためにはさらなる研究が必要ではあるが、前脳神経解剖学的局在の急性発症で来院した獣医患者では、たとえ下部尿路炎症の臨床徴候がなくても、尿の細菌培養を考慮すべきである。

Prieto, Jennifer M., et al.
"Biologic variation of symmetric dimethylarginine and creatinine in clinically healthy cats." 
Veterinary Clinical Pathology.2020.

PubMedリンク PMID:32716076
本文:無料公開なし

タイトル:臨床的に健康な猫における対称性ジメチルアルギニンとクレアチニンの生物学的変動

==アブストラクト=== 
背景:個体内および個体間の生化学的検体の生物学的変動は、特定の変化が個人にとって臨床的に関連するかどうかを解釈するときに、母集団ベースの参照範囲が適切かどうかを決定する。

目的:臨床的に健康な猫における対称性ジメチルアルギニン(SDMA)の生物学的変動を評価をすることを目的とした。

方法:前向き観察研究を行い、健康で家庭飼育されている猫10頭のサンプルについての生物学的解析を週に1回、6週間行った。血清サンプルを凍結し、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)と酵素免疫測定法(EMIT)を用いてSDMAの単一のバッジを分析し、修正Jaffe法でクレアチニンを分析した。制限付き最尤推定を用いてそれぞれの猫内、猫間、および分析的な変動を表す変動係数(CVs)を決定した。これらの変動係数は、個々の指標と参照変更値を決定するために用いられた。

結果:SDMAは、参照変動値と母集団ベースの参照範囲の両方で評価することができる個々の中程度の指標であった。対照的に、クレアチニンは参照変動値を最も良く評価する個々の高い指標であった。LC-MSまたは臨床的に用いられたEMITのいずれかで評価された血清SDMA濃度も、同様の結果であった。

結論
:臨床医は生化学検体の変化を解釈するベストな方法を選択する際に、生物学的変動を考慮すべきである。具体的には、健康なそれぞれの猫の血清クレアチニンとSDMAのベースラインを確立し、その後の測定に参照変動値を適応することで、意味のある生物学的変化の認識を改善することができる。

Cole, Laura Pearl, et al. 
"Hypertension, retinopathy, and acute kidney injury in dogs: A prospective study." 
Journal of Veterinary Internal Medicine.

PubMedリンク PMID:32677736
本文:無料公開あり(全文

タイトル
犬の高血圧症、網膜症、急性腎障害;前向き研究

==アブストラクト=== 
背景:全身性高血圧症は、犬の急性腎障害の潜在的な合併症である。

目的:急性腎障害のある犬における全身性高血圧症と高血圧性網膜症の有病率を示し、全身性高血圧症と急性腎障害の重症度との関連を調べ、全身性高血圧症に関連する可能性のある因子を評価すること。

動物:急性腎障害の犬52頭。

方法:三次紹介病院に来院し、国際腎臓病研究グループ(IRIS)ガイドラインによる急性腎障害の診断を満たす犬の前向き観察研究。収縮期血圧の測定、尿蛋白/Cre比(UPCR)、尿量、高血圧性網膜症の存在、体液過剰の存在、生存退院、および入院期間が評価された。全身性高血圧症の有病率を計算し、全身性高血圧症と記録された因子の関係をノンパラメトリック解析で調べた。

結果:入院時または入院期間中のに全身性高血圧(≧160mmHg)の有病率は75%(39/52)であり、そのうち56%(22/39)では重度(≧180mmHg)であった。16%(7/43)の犬で高血圧性網膜症の所見があり、77%(24/31)の犬でUPCRが>0.5であった。42%(22/52)の犬で、入院時または入院中に体液過剰がみられた。全身性高血圧症とIRIS急性腎障害グレード、乏尿/無尿、生存退院、入院期間、または蛋白尿との間に関連はなかった。来院時に体液過剰がある犬では、体液過剰のない犬に比べて、入院時に高血圧になる可能性が高かった(p=0.02)。生存退院的なかった犬は、体液過剰がある可能性が高かった(p=0.007)。

結論と臨床的意義
:全身性高血圧症は急性腎不全の犬でよくみられた。全身性高血圧症は体液過剰と関連している可能性があり、体液過剰は非生存と関連している。したがって、急性腎障害のある犬では全身性高血圧症と体液過剰のモニタリングが求められる。

Rogers‐Smith, E., et al.
"Twelve previously healthy non‐geriatric dogs present for acute kidney injury after general anaesthesia for non‐emergency surgical procedures in the UK."
 
Journal of Small Animal Practice (2020).

PubMedリンク PMID:32196674
本文:無料公開なし

タイトル:イギリスのおける非緊急の外科処置のための全身麻酔後に急性腎障害で来院した健康な非高齢犬12例

==アブストラクト=== 
目的:緊急ではない外科処置で健康で高齢ではない犬が処置後の急性腎障害を起こす割合を増加させる疑いのある共通の因子の特徴を調べること。

方法:緊急性のない外科処置のために全身麻酔後に急性腎障害を示した犬12頭の医療記録を回顧的に解析した。

結果:4つの異なる獣医センター(3つの学際的な紹介病院を含む)に非高齢犬12頭が術後の急性腎障害として、中央値として4日で再来院した。この症例シリーズのすべての犬は体重が20kg以上で、年齢の中央値は17ヶ月であった。品種、手術のタイプ、麻酔時間、周術期の薬剤の選択、NSAIDsの投与、は明らかな関連はなかった。

臨床的意義
:ヒト医療ではよく定義されているものの、動物において全身麻酔と急性腎障害との間の関連についてはほとんど情報がない。この症例シリーズでは、明確な因果関係はみつからなかった。より明瞭な発生率を得るために、同様の症例をもつ臨床医は著者に連絡をとることが求められる。
 

Chen, Hilla, et al.
"Acute on chronic kidney disease in cats: Etiology, clinical and clinicopathologic findings, prognostic markers, and outcome." 
Journal of Veterinary Internal Medicine(2020).

PubMedリンク PMID:32445217
本文:無料公開あり(全文

タイトル:猫の慢性腎臓病の急性増悪;病因、臨床所見、臨床病理所見、予後因子、および転帰

==アブストラクト=== 
背景:慢性腎臓病(CKD)とCKDの急性代償不全(ACKD)は、猫で一般的である。

目的:猫のACKD病因、臨床所見、臨床病理所見、短期および長期予後についての特徴を調べること。

動物:ACKDの猫100頭。

方法:ACKDの猫の医療記録を検索した回顧的研究。

結果:一般的な臨床徴候には、食欲低下(85%)、元気消失(60%)、体重減少(39%)、嘔吐(27%)があった。疑わしい病因は、尿管閉塞(11%)、腎虚血(9%)、腎盂腎炎(8%)、その他(6%)、不明(66%)であった。入院期間は、非生存群に比べて生存群で長かった(中央値 7日、範囲 2-26日 vs 中央値3日、範囲 2-20日、p<0.001)。退院までの生存率は58%であった。脾生存群では、年齢、血清クレアチニン、尿素、リン濃度が高く、静脈血pHが低かった。しかし、多変量解析では血清リン濃度だけが、短期転帰と関連した(p=0.02、95%信頼区間 1.03-1.39)。生存群の退院後の中央生存期間は66日であった。来院時および退院時の血清クレアチニン濃度は、長期生存と関連した(ともにp<0.002)。

結論
:ACKDの短期予後は急性腎障害と同等であり、長期予後にも注意が必要である。
 

Luca, Geneviève C., et al.
"A retrospective study of anesthesia for subcutaneous ureteral bypass placement in cats: 27 cases."
 
Journal of Veterinary Medical Science (2017): 16-0382.

PubMedリンク PMID:28428483
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:猫の皮下尿管バイパスの設置のための麻酔についての回顧的研究

==アブストラクト=== 
この回顧的臨床症例シリーズの目的は、尿管閉塞のために皮下尿管バイパス(SUB)の設置を行なった猫における麻酔管理について記述し、周術期の合併症について報告すること。2012年から2015年に獣医教育病院でSUBの設置を行なった尿管閉塞のある家庭飼育猫の医療記録を再調査した。27頭が同定された。麻酔と手術の時間(平均±標準偏差)はそれぞれ、215±42分、148±36分であった。最も多い術中合併症は低体温であった。低血圧、低炭酸ガス血症、高血圧、および徐脈も頻繁に観察された。術中に低血圧を経験した猫22頭中、17頭が循環作動薬と昇圧剤の投与を受けた。ベースラインの値と比較して、SUB設置後にはクレアチニン(p=0.008)と全固形物(p=0.007)が有意に減少した。術後の合併症として、疼痛、食欲低下、悪心、高血圧、および尿路関連問題がみられた。術後期間に死亡は起こらなかった。SUB設置のための麻酔の成功した管理には、厳密な麻酔モニターと合併症への即時治療が含まれる。周術期の合併症は一般的であるようだった。この研究では、この手技に関連したリスク因子は同定できなかった。

Dirrig, H., et al.
"Diagnostic imaging observations in cats treated with the subcutaneous ureteral bypass system."
 
Journal of Small Animal Practice 61.1 (2020): 24-31.

PubMedリンク PMID:31592537
本文:無料公開なし

タイトル:皮下尿管バイパスシステムで治療した猫の診断的画像観察

==アブストラクト=== 
目的:皮下尿管バイパスで尿管閉塞を治療した猫における、術前・術後の超音波所見と透視所見を記述すること。

方法:尿管閉塞に対して 最初のバージョンのバイパスシステムを外科的に設置し、1回以上のフォローアップの超音波検査または透視検査を行なった猫の画像所見を回顧的に再調査した。

結果
:81頭の猫が含まれた(片側性47頭、両側性34頭)。術前の腎盂径の中央値は9mm(範囲 3-28mm)であり、術後最初の超音波検査での腎盂径の中央値は3mm(範囲 2-23mm)であった。術後の画像検査の回数の中央値は2回(範囲1-8回)であり、術後の追跡期間の中央値は205日(範囲 1-1378日)であった。バイパスシステムの異常は術後に43頭(53%)で同定された、腎臓カテーテルまたは膀胱カテーテルの原因不明または折れ曲りによる閉塞、腎臓カテーテルまたは膀胱カテーテルの漏出、閉塞を伴わないカテーテルの折れ曲り、および腎臓カテーテルのピッグテールの緩み、が含まれた。多くの異常は再手術を要したが、そのほかは保存的に管理された。閉塞した尿管の54%がバイパス手術後に開通したが、多くはわずかに拡張したままか、慢性炎症に対応する不規則な辺縁を有していた。

臨床的意義
:バイパスの異常は、主にチューブの閉塞であり、尿管閉塞の治療を行なった猫で頻繁に起こる。尿音波検査と透視検査は術後検査として有用であり、尿管の再開通の確認と疑われる異常の確認に役立つ。
 

Chik, Colin, et al.
"Therapeutic use of tetrasodium ethylenediaminetetraacetic acid solution for treatment of subcutaneous ureteral bypass device mineralization in cats."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine 33.5 (2019): 2124-2132.

PubMedリンク PMID:31386229
本文:無料公開あり(全文

タイトル:猫の皮下尿管バイパスデバイスの石灰化の治療のためのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウムの治療的使用

==アブストラクト=== 
背景:皮下尿管バイパス(SUB)デバイスの設置は、猫の尿管閉塞の減圧のための治療としてますます一般的になっている。石灰化によるデバイスの閉塞は少数の症例で起こるが、 最も一般的な合併症である。

目的
:SUBを設置した猫の石灰化閉塞の治療のための2%エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(tEDTA)溶液を評価すること。

動物:家庭飼育猫6頭(閉塞したデバイス8個)。

方法:症例シリーズ。それぞれの猫で、超音波検査、SUBの灌流、およびデバイスの閉塞の他の原因がないこと、の組み合わせをもとにデバイスの閉塞を確認した。それぞれのSUBは、排液され、滅菌生食を用いて灌流し、1-2mlの2%tEDTA溶液を注入した。超音波検査による洗浄中とその後の流れの視覚的な正常化をもって成功と定義した。tEDTA点滴注入の量と頻度、デバイスの開通性の達成までの時間、生化学と超音波所見のフォローアップ、およびその後の再閉塞の発生、について記録した。

結果:石灰化の消失が8頭すべてで記録された。再閉塞は2頭でみられた、追加のtEDTAの注入で消失したが、1頭は最終的に最初のtEDTAの注入から356日でデバイスの交換が必要となった。1頭では、1.25mlのtEDTA注入後に腎盂の拡張が持続したため、単回の注入は早期に中止した。合併症は観察されなかった。

結論と臨床的意義
:tEDTAの注入は、猫のSUBデバイスの石灰化の治療オプションとして安全に考慮することができる。この溶液は注入が容易で、よく許容され、使用された猫の大部分でSUBデバイスの交換の必要性を回避した。
 

Balsa, Ingrid M., et al.
"Factors associated with postobstructive diuresis following decompressive surgery with placement of ureteral stents or subcutaneous ureteral bypass systems for treatment of ureteral obstruction in cats: 37 cases (2010–2014)."
 
Journal of the American Veterinary Medical Association 254.8 (2019): 944-952.

PubMedリンク PMID:30938617
本文:無料公開なし

タイトル:猫の尿管閉塞の治療としての尿管ステントまたは皮下尿管バイパスシステムの設置による減圧手術後の閉塞後利尿に関連する因子;37症例(2010-2014)

==アブストラクト=== 
目的:猫の尿管閉塞の治療として尿管ステントまたは皮下尿管バイパスシステムの設置手術後の閉塞後利尿について記述し、閉塞後利尿の持続期間と最大重症度に関連する因子を特定すること。

デザイン:回顧的症例シリーズ。

動物:2010年8月から2014年12月の間に尿管閉塞の治療をうけた家庭飼育猫37頭。

方法:医療記録を再調査し、シグナルメント、病歴、身体検査の結果、臨床検査の結果、治療、尿量、および転帰についての情報を抽出した。データを評価して、閉塞後利尿の期間と最大重症度の単独または組み合わせで関連する因子を特定した。 

結果:術前の血清クレアチニン、カリウム、リン、およびBUNの血清中濃度は、閉塞後利用の重症度および期間と正の相関を示した。術前から術後にかけてのクレアチニン、カリウム、およびBUNの絶対値としての変化は、閉塞後利尿の期間と正の相関を示した。術前に無尿だった猫は、他の猫よりも閉塞後利尿の期間が長かったが、片側性vs両側性の閉塞では閉塞後利尿の期間と最大重症度に差はなかった。37頭中34頭(92%)が生存退院し、それは尿管閉塞が片側性か両側性かとは関連しなかった。生存退院した猫34頭中17頭(50%)で高窒素血症が解消した。

結論と臨床的意義
:この研究の結果は、閉塞後利尿の期間と最大重症度に対して複数の因子が単独または組み合わせで関連していることを示しており、もとの高窒素血症の程度に関係なく体液と電解質の障害に対して集中的な管理が関連することを示しており、生存退院する猫の割合は高い。
 

Fages, Julien, et al.
"Ultrasound evaluation of the renal pelvis in cats with ureteral obstruction treated with a subcutaneous ureteral bypass: a retrospective study of 27 cases (2010–2015)." 
Journal of feline medicine and surgery 20.10 (2018): 875-883.

PubMedリンク PMID:28980849
本文:無料公開なし

タイトル:皮下尿管バイパスで治療した尿管閉塞の猫における腎盂の超音波評価;27症例の回顧的研究

==アブストラクト=== 
目的:この研究の目的は、猫の皮下尿管バイパス(SUB)デバイスを用いた尿管閉塞の有効な減圧後の超音波所見を記述し、術前と術後の腎盂サイズを測定しすることである。

方法:この回顧的研究では、片側(n=21)または両側(n=6)の尿管閉塞の猫27頭の、術前、SUB設置後短期(3ヶ月まで)、および長期(3ヶ月後以降)の追跡における腎盂測定を評価した。それぞれの猫でいくつかの定性的な超音波パラメータを記録した。各期間で、最後の超音波検査を定量的な基準として用い、腎盂の平均サイズを記録した。追跡期間中の合併症は、閉塞性と非閉塞性に分けた。

結果:統計学的に有意な定性的な超音波パラメータはなかった。後腹膜内と腹腔内の腹水の存在がまれにみられた(短期4/25、長期1/14)。腎臓周囲の脂肪組織の高エコー原性は、長期的に減少した。統計的に有意な腎盂幅の減少は、術前(11.7mm;範囲0.9-4.1mm)と比べて、 短期(2.4mm;範囲 0-7.0mm)および長期(1.7mm;範囲 0-3.5mm)の追跡でみられた。SUB設置後3ヶ月で、閉塞性の合併症がない猫は腎盂幅が≦3.5mmであった。

結論と関連
;腎盂拡張は、尿管閉塞がSUB設置によって治療された場合、少なくとも部分的に可逆的である。超音波検査のモニタリングは、閉塞性の合併症を検出するための有用な方法である。
 

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