ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

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カテゴリ: 血液

Hunt, Adam, and Maria C. Jugan.
"Anemia, iron deficiency, and cobalamin deficiency in cats with chronic gastrointestinal disease." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).


PubMedリンク PMID:
33226151
本文:無料公開あり(全文

タイトル:慢性胃腸疾患のある猫の貧血、鉄欠乏症、コバラミン欠乏症

==アブストラクト===
背景:鉄欠乏症とコバラミン欠乏症は、慢性胃腸疾患の続発症として起こり、慢性腸症の猫における貧血度合併症の増加をもたらす。

目的:慢性胃腸疾患のある猫における鉄欠乏症を評価し、低コバラミン血症、貧血、および疾患重症度との関連について調べること。

動物:原発性胃腸疾患のある家庭飼育猫20頭。

方法:前向き横断研究。合併症を除外したうえで、慢性胃腸疾患の評価の時点で猫を登録した。網状赤血球指数を含むCBC、鉄代謝(血清鉄、フェリチン濃度、総鉄結合能[TIBC])、血清のメチルマロン酸、コバラミン、葉酸濃度、膵リパーゼ、トリプシン様免疫反応、および疾患重症度について評価した。

結果
:貧血(ヘマトクリット<30%)が4/20頭、鉄欠乏症が7/20頭、コバラミン欠乏症が8/20で診断された。ヘマトクリット値(rs=-0.45;p<0.05)とボディコンディションスコア(rs=-0.60;p<0.01)は、メチルマロン酸濃度と負の相関を示した。TIBCの中央値は、正常なメチルマロン酸濃度の猫よりも、メチルマロン酸濃度が上昇した猫で低かった(218μg/ml 範囲 120-466 vs 288μg/ml 範囲 195-369;p=0.02)。ヘマトクリット値(rs=0.51;p=0.02)、網状赤血球MCV(rs=0.52;p=0.02)、網状赤血球ヘモグロビン含有量(rs=0.71;p<0.01)、およびトランスフェリン飽和度(rs=0.79;p<0.0001)は、血清鉄濃度と正の相関を示した。

結論と臨床的意義
:機能的な鉄欠乏症は、慢性胃腸疾患の猫でよくみられる。低コバラミン血漿、鉄パラメータ、および血液学的パラメータの関連については、猫の慢性胃腸疾患の合併症に与える鉄欠乏症の影響についてのさらなる研究が必要である。

LaQuaglia, Kathryn A., James B. Robertson, and Katharine F. Lunn.
"Neutropenia in dogs receiving vincristine for treatment of presumptive immune‐mediated thrombocytopenia." 
Journal of Veterinary Internal Medicine.


PubMedリンク PMID:33421218
本文:無料公開あり(全文

タイトル:免疫介在性血小板減少症の疑いの治療としてビンクリスチンの投与をうけた犬における好中球減少症

==アブストラクト===
背景:好中球減少症は、多剤併用化学療法プロトコルで使用されたビンクリスチンの有害事象である。

目的:免疫介在性血小板減少症(ITP)の治療としてビンクリスチンの投与をうけた犬における好中球減少症の発生率、好中球減少症の潜在的なリスク因子の同定、および好中球減少症が予後に与える影響、を調べること。

動物:ITPと推定診断された家庭医飼育犬127頭。

方法:この回顧的なコホート研究では、15年間に渡って医療記録をレビューし、ITPの推定診断をうけてビンクリスチンによって治療された犬を同定した。ロジスティック回帰を用いて、ビンクリスチンの投与を受けた犬における好中球減少症の発症のリスク因子を同定した。血小板数が≧40,000/μlになるまでの時間、生存、および入院期間を、好中球減少症のある犬とない犬との間で比較した。

結果
:ITP疑いの犬127頭でビンクリスチンが投与され、19頭が好中球減少症となった。シクロスポリンの投与は好中球減少症の発症と有意に関連した(オッズ比 12.97、95%信頼区間 4.17-40.35、p<0.001)。血小板数が≧40,000/μlになるまでの時間の中央値は、好中球減少症の犬(4日 範囲1-14)と好中球減少症のない犬(3日 範囲0-48)とで差はなかった。生存退院の割合は両群ともに95%であったが、入院期間の中央値は好中球減少症のない犬(4日 範囲2-15)に比べて、好中球減少症の犬(6日 範囲3-22)のほうが有意に長かった。

結論と臨床的意義
:ビンクリスチンを投与した犬において、シクロスポリンの投与はは好中球減少症の発症と関連し、それはビンクリスチンの代謝への影響と関連している可能性がある。ITPの治療のためにビンクリスチンを投与をする犬では、とくにシクロスポリンを併用投与する場合には、好中球数をモニターすべきである。

Woods, G. A., et al.
"Complications associated with bone marrow sampling in dogs and cats." 
Journal of Small Animal Practice (2020).


PubMedリンク PMID:33274762
本文:無料公開なし

タイトル:犬と猫の骨髄サンプリングに関連する合併症

==アブストラクト===
目的:犬と猫における骨髄サンプリングの合併症の発生率とそれに関連する患者因子と手技因子をしらべること。

方法
:回顧的コホート研究であり、記録を評価して2012年から2019年の間に骨髄のサンプリングを行った犬と猫を同定した。シグナルメント、特定の臨床病理学的所見の存在、骨髄サンプリングを行った部位、試行回数、サンプリングの診断の質、鎮痛プロトコル、および処置後合併症を含むデータを記録した。

結果:合計で131頭の犬と29頭の猫がこの研究に組み入れられた。合併症は160頭中22頭(14%)の症例で記録された。骨髄サンプリングの痛みが最も一般的な合併症であり、あざのある症例22頭中20頭(91%)でみられた。局所麻酔ブロックは160頭中98頭(61%)の患者で使用された。

臨床的意義
:痛みを除けば、骨髄サンプリングに関連する合併症はまれであり、患者要因または手技要因との間に検出される明確な関連はなかった。血小板減少症や好中球減少症がある患者でも、出血や感染などの合併症はまれであった。施術時の鎮痛は合併症を減らすために強く推奨される。

Humm, K. R., and D. L. Chan.
"Prospective evaluation of the utility of cross‐matching prior to first transfusion in cats: 101 cases." 
Journal of Small Animal Practice 61.5 (2020): 285-291.

PubMedリンク PMID:32133646

本文:無料公開なし

タイトル:猫の初回輸血前の交差適合試験(クロスマッチ)の有用性についての前向き評価

==アブストラクト===
目的:(1)2つのクロスマッチの手法を用いて、輸血を受けたことがない猫の輸血レシピエントにおけるクロスマッチの不適合の頻度について評価すること。(2)クロスマッチ不適合が輸血後のPCVの変化に与える影響を測定すること。(3)猫における急性輸血反応と輸血エラーの頻度を調べること。(4)クロスマッチ不適合が輸血反応の起こりやすさに与える影響を調べること。

方法:獣医教育病院で初回のAB適合輸血をうけた猫を、この観察研究に前向きに登録した。スライド凝集法と商用テストの両方をもちいて、主および副クロスマッチを評価した。レシピエントの体重あたりで投与された赤血球の量と比較した輸血後12時間のPCVの増加を測定し、輸血反応を記録した。

結果:合計で101頭の猫が組み入れられた。クロスマッチ不適合は、スライド凝集法ではよくみられたが(主不適合27%、副不適合10%)、商用テストでは多くなかった(主・副ともに4%)。いずれかの方法によるクロスマッチ不適合は、PCVの変化における輸血の有用性の低さと関連していなかった。輸血反応は20頭でおこり、発熱性非溶血性輸血反応(n=9)と溶血性輸血反応(n=7)がもっとも多かった。商用テストは溶血性輸血反応の予測に最も高い特異度を示したようだった。

臨床的意義
:輸血反応は比較的よるあることだったが、死亡率の増加とは関連しなかった。クロスマッチ適合血液の使用は12時間後のPCVのより高い増加を導くことはなかった。商用テストは溶血性輸血反応を予測する可能性がある。

Morris, Jennifer L., Christopher P. Bloch, and Tamera L. Brabson.
"The effect of time on packed cell volume following packed red blood cell transfusion in anemic dogs." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2020).

PubMedリンク PMID:33118669
本文:無料公開なし

タイトル:貧血の犬における濃厚赤血球輸血後のPCVに与える時間の影響

==アブストラクト===
目的:貧血の犬の濃厚赤血球を投与したあとのいくつかの時点でのPCVを比較し、これらの測定に貧血の原因や再生状態が有意な影響を与えるかどうかを評価すること。

デザイン:2016年11月から2017年10月の間の前向き観察研究。

施設:小動物救急/専門病院。

動物:貧血のある家庭飼育犬46頭であり、貧血の治療として合計で50の濃厚赤血球輸血が行われた。

介入:血液を採取し、濃厚赤血球輸血前(T0)、輸血直後(T1)、30分後(T2)、1時間後(T3)、2時間後(T4)および4時間後(T5)のPCVを得た。貧血の原因は、出血、溶血、および無効造血に分類された。犬は貧血に対する再生状態と、予想される継続的な失血または破壊の有無に関して分類された。

方法と主な結果:T0のPCVの平均は15%であった。濃厚赤血球輸血の投与後のPCVの平均は、T1で28%であり、T2、T3、T4、T5ではいずれも27%であった。輸血後の時間と共にPCVが有意な変化をすることはく(P=0.184)、時間の相互組み合わせに有意な差はなかった(ペアのT検定、すべてでp>0.05)。再生状態と持続的な失血/溶血の有無によって犬を分類した場合にも、結果は一貫していた。

結論
:ざまざまな貧血の原因をもつ犬における濃厚赤血球輸血直度から4時間後までのPCVには有意な変化はみられなかった。これらの結果は、濃厚赤血球輸血直後に得られたPCVは、輸血2時間後に得られたPCVとちょうど同じくらいの信頼性がある可能性を示唆している。これは赤血球の喪失または破壊が続くと予測させる犬についても当てはまる。

Rout, Emily D., et al.
"Polyclonal B‐cell lymphocytosis in English bulldogs." 
Journal of Veterinary Internal Medicine.


PubMedリンク PMID:33058280
本文:無料公開あり(全文

タイトル:イングリッシュ・ブルドッグのポリクローナルB細胞性リンパ球増加症

==アブストラクト===
背景:イングリッシュ・ブルドッグは小細胞性B細胞の増加を不均衡に発症し、それはB細胞性慢性リンパ球性白血病(BCLL)と考えられていた。しかし、それらの患者のクローナリティ検査は腫瘍性疾患を支持しなかった。

仮説:イングリッシュ・ブルドッグは非腫瘍性のB細胞増殖症候群を起こす。

動物:フローサイトメトリーによって確認された血中の小型のCD21+B細胞性リンパ球増加症のあるイングリッシュ・ブルドッグ84頭。

方法
:回顧的研究。B細胞のクローナリティ、臨床徴候、フローサイトメトリーの特徴、免疫グロブリンガンモパチーパターンによってこの症候群を特徴付けた。2010年から2019年の間に免疫表現型検査のためにコロラド州立大学臨床免疫学研究所に提出されたイングリッシュ・ブルドッグの血液サンプル195のうち、CD21+リンパ球増加症がある症例84頭を同定した。フローサイトメトリーの特徴は、正常なB細胞およびB細胞性慢性リンパ球性白血病の症例と比較した。を複数の免疫グロブリンプライマーによる抗原受容体再構成(PARR)のPCRを行い、B細胞のクローン性を評価評価した。ガンモパチーのある症例のサブセットでは、タンパク質電気泳動、免疫固定、および免疫グロブリンサブクラスELISA定量化によって評価した。

結果:症例の70%(58/83)で、ポリクローナルまたは制限付きポリクローナルな免疫グロブリン遺伝子再構成がみられ、非悪性のB細胞の増殖が示唆された。この研究の全ての犬の年齢の中央値は6,8歳であり、74が雄であった。リンパ球数の中央値(範囲)は22,400/μl(2,000 - 384,400)であり、B細胞のクラスⅡMHCとCD25の発現は低かった。脾腫または脾臓腫瘤が57%(26/46)で検出され、リンパ節腫脹が11%(7/61)で検出された。71%(52/73)で高グロブリン血症がり、77%(23/30)でグロブリンの特徴としてIgA ± IgMのポリクローナルまたは制限付きポリクローナルガンモパチーのパターンをとった。

結論と臨床的意義
:イングリッシュ・ブルドッグにおけるポリクローナルB細胞性リンパ球増加症は、クラスⅡMHCとCD25の発現が低いB細胞、脾腫、および増加したIgA ± IgMによって構成される高グロブリン血症の特徴をもつ。われわれは、これらの症候群は遺伝的な根拠があるものと仮説を立てている。

Schaefer, Deanna MW, Theresa E. Rizzi, and Angela B. Royal.
"Hemophagocytosis and Histoplasma‐like fungal infection in 32 cats." 
Veterinary clinical pathology 48.2 (2019): 250-254.

PubMedリンク PMID:31175684
本文:無料公開なし

タイトル
:血球貪食とヒストプラズマ様真菌感染症の猫32頭

==アブストラクト=== 
ヒストプラズマ症はアメリカの猫における最も一般的な全身性真菌感染症のひとつである。一般的には呼吸器もしくは播種性の疾患を引き起こし、1つ以上の血球減少症としばしば関連する。ここでは、ヒストプラズマ様真菌感染症と、それに関連した1つ以上の部位(
一般には脾臓、骨髄、肝臓、および/またはリンパ節 )における血球貪食の併発のある猫32頭について記述する。血球貪食の程度は、多くの症例で中程度から顕著なのが特徴であり、すべての症例で成熟赤血球の貪食が優位であった。少数の症例では、赤血球前駆体、血小板、および/または好中球を貪食したマクロファージもみられた。完全血球計算の結果は25頭の猫で得られ、血球減少症は一般的であり(20/25)、貧血単独(10)、貧血と血小板減少症(5)、好中球減少単独(2)、汎血球減少(2)
、貧血と好中球減少(1)が含まれた。骨髄サンプルは症例の少数でのみ得られ、血球減少症の原因のさらなる評価はできなかった。血球貪食は、腫瘍性疾患のある猫およびカリシウイルス感染のある猫で過去に報告されており、 出血や溶血などのほかの状態でも同様に起こりやすい。この報告の結果により、猫の細胞診サンプルで血球貪食があった場合には、全身性の真菌疾患を考慮すべき追加の鑑別であることを示唆している。
 

Kruse, B. D., et al.
"Prognostic factors in cats with feline panleukopenia."
 
Journal of veterinary internal medicine 24.6 (2010): 1271-1276.

PubMedリンク PMID:21039863
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:ネコ汎血球減少症のある猫における予後因子

==アブストラクト=== 
背景
:ネコ汎血球減少症は伝染性が高く、しばしば致死的な疾患である。

目的
:この研究の目的は、汎血球減少症の猫の生存に関する予後因子を特定することである。

動物
:1990年から2007年の間に、ドイツのミュンヘンのLMU大学臨床小動物医療診療所で、猫244頭が汎血球減少症と診断された。 診断は電子顕微鏡、糞便または血液のPCR、糞便の抗原ELISA、剖検時の病理組織学的病変、またはこれらの方法のいくつかの組み合わせによってなされた。

方法
:それぞれの猫の医療記録を回顧的に評価した。

結果
:生存率は51.1%であった。転機と生活環境、年齢、ワクチン接種(非接種vs1回以上の接種)、臨床徴候の重症度との間には有意な相関はなかった。 しかし、ワクチン接種の猫では、子猫として12週齢以降にワクチンをうけた猫はいなかった。生存群と比べて、非生存群で白血球数と血小板数が有意に低かった。白血球数<1000/μlの患者に対する死亡の相対リスクは、白血球数1000-2500/μlの患者と比べて1.77倍高く(p=0.038)、白血球数>2500/μlの患者と比べて1.85倍高かった(p=0.001)。致死的な転帰の起こりやすさは、血清アルブミン濃度<30g/L、または血清カリウム濃度<4mmol/Lの時により高かった。

結論と臨床的意義
:12週齢以降の子猫のワクチン接種を含まないワクチンワクチネーション戦略については、汎血球減少症の予防に十分ではない可能性がある。白血球減少症、血小板減少症、低アルブミン血症、および低カリウム血症は、汎血球減少症の猫における負の予後因子である。 

Hayakawa, Sayuri, et al.
"A novel form of macrothrombocytopenia in Akita dogs."
 
Veterinary clinical pathology 45.1 (2016): 103-105.

PubMedリンク PMID:26927710
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル:秋田犬における巨大血小板性血小板減少症の新規形態

==アブストラクト=== 
臨床的な出血傾向のない持続的な巨大血小板性血小板減少症の共通の病歴をもつ、関連のない秋田犬3頭からの血液サンプルを、オーバーン大学獣医学部診療病理検査所に評価を目的に送られた。血小板数が少ないため、1頭の秋田犬は免疫介在性血小板破壊を疑いプレドニゾロンによって治療されており、1頭はダニ媒介性の感染症を疑い1ヶ月間ドキシサイクリンで治療されたが、2頭とも血小板数は低いままであった。3頭すべてで異常出血がなく、2頭では治療への反応がなかったことから、先天性の巨大血小板性血小板減少症が疑われた。興味深いことに、3頭すべての血小板は一貫して細長い形態をしていた。他の細胞系では形態的な異常は観察されなかった。秋田犬には遺伝的な巨大血小板性血小板減少症の可能性があるという逸話的な報告はあるが、それらの報告を検証する科学的な研究は行われていない。この原稿は、臨床的徴候のない持続的な血小板減少をもとにした秋田犬における先天性巨大血小板性血小板減少症の可能性について説明し、独特の血小板形態を特徴付けた最初の症例報告である。

Smith, Stephanie A., et al.
"Arterial thromboembolism in cats: acute crisis in 127 cases (1992–2001) and long‐term management with low‐dose aspirin in 24 cases."
 
Journal of veterinary internal medicine 17.1 (2003): 73-83.

PubMedリンク PMID:12564730
本文:無料公開あり(全文) 

タイトル
:猫の動脈血栓塞栓症;127症例(1992-2001年)における急性危機と24症例の低用量アスピリンによる長期管理

==アブストラクト===
動脈血栓塞栓症の猫127頭の記録を再調査した。 アビシニアン、バーマン、ラグドール、および雄猫が多くみられた。頻呼吸(91%)、低体温(66%)、肢の運動能の欠如(66%)が多くみられた。診断検査を行った90頭の猫のうち、基礎疾患として甲状腺機能亢進症(12)、心筋症(拡張型[8]、分類不能[33]、肥大型閉塞型[5]、肥大型[19])、腫瘍(6)、ほか(4)、なし(3)があった。一般的な異常には左心房拡大(93%)、うっ血性心不全(44%)、および不整脈(44%)があった。うっ血性心不全のない猫では、89%が頻脈だった。一般的な生化学的な異常には、高血糖、高窒素決勝、および筋肉酵素濃度の異常な高値があった。急性の肢の動脈血栓塞栓症の治療をうけた猫87頭中、39頭(45%)が生存して退院した。生存群と非生存群との間で、年齢、呼吸数、生化学的分析値、うっ血性心不全の併発、に有意な差はなかった。直腸温をもとにしたロジスティック回帰モデルにより、体温37.2℃で生存可能性50%と予測した。退院した猫の中央生存期間は117日であった。11頭で動脈血栓塞栓症の再発があり、5頭で肢の問題を生じた。うっ血性心不全のある猫(中央生存期間 77日)は、うっ血性心不全のない猫(中央生存値 223日)に比べて、有意に生存期間が短かった(p=0.016)。高用量アスピリン(≧40mg/cat q72hr)の投与をうけた猫と、低用量アスピリン(5mg/cat q72hr)の投与をうけた猫で、生存や再発率に有意な差はなかった。低用量の方が有害事象は頻度が低くて軽度であった。
 

Weiss, Douglas J.
"Recognition and classification of dysmyelopoiesis in the dog: a review." 
Journal of veterinary internal medicine 19.2 (2005): 147-154.

PubMedリンク PMID:15822557
本文:無料公開あり(全文

タイトル: 犬の骨髄異形成症の認識と分類のレビュー

==アブストラクト===
骨髄異形成症は血液中の血球減少症の存在と骨髄中の1つまたは複数の細胞系における異型細胞の存在によって特徴付けられる血液学的障害と定義される。骨髄異形成症の原因には、造血幹細胞における後天的な変異(すなわち、骨髄異形成症候群[MDS]) 、造血の先天的な欠損症、および様々な疾患過程、薬物療法、もしくは毒物への暴露に関連した骨髄異形成状態、がある。MDSの2つの主要なサブタイプ(すなわち、難治性の血球減少を伴うMDS、過剰な骨髄芽細胞を伴うMDS)は、臨床所見、治療への反応、生存期間が異なるものとして述べられている。二次性の骨髄異形成症び原因として最も頻繁に起こるものには、免疫介在性血液疾患、リンパ系悪性腫瘍、および化学療法剤への暴露、がある。骨髄異形成症の様々な原因の鑑別は、適切な治療プランの確立と予後の決定に不可欠である。
 

Weiss, Douglas J.
"A retrospective study of the incidence and the classification of bone marrow disorders in the dog at a veterinary teaching hospital (1996–2004)."
 
Journal of veterinary internal medicine 20.4 (2006): 955-961.

PubMedリンク PMID:16955822
本文:無料公開あり(全文

タイトル:獣医教育病院の犬における骨髄障害の発生率と分類についての回顧的研究(2996-2004年)

==アブストラクト===
背景:獣医教育病院の臨床病理部門における犬の骨髄障害の有病率と分類を評価するために、8年間の回顧的研究を行なった。

動物:獣医教育病院で骨髄障害の評価をうけた犬。

仮説:複数年の回顧的研究により犬の骨髄障害のスペクトラムと有病率のよりよい理解が達成できるだろう。

方法:717頭の犬の骨髄吸引塗抹、コア生検標本、および症例記録を再調査した。

結果
:骨髄標本は最初に原発性骨髄障害の有無に基づいて分類された。非異形成および非悪性の病理学的変化は、14のサブカテゴリーに分類された。頻繁に観察された病理学的障害には、非再生性免疫介在性貧血、赤芽球、骨髄壊死、骨髄線維症、および血球貪食症候群があった。骨髄異形成症(n=61)は、骨髄異形成症候群(n=27)、先天性骨髄異形成症(n=1)、二次性骨髄異形成症(n=33)にサブカテゴリー分類された。腫瘍性疾患の126頭の症例が、急性白血病(n=46)、慢性白血病(n=7)、リンパ腫ステージ5(n=28)、多発性骨髄腫(n=25)、悪性組織球症(n=11)、転移性肥満細胞腫(n=3)、肉腫(n=5)、および癌腫(n=1)に分類された。

結論と臨床的重要性:この研究は、北米の紹介病院における犬の骨髄障害の有病率とスペクトラムの一般的な指標を提供する。
 

Hisasue, Masaharu, et al.
"Hematologic abnormalities and outcome of 16 cats with myelodysplastic syndromes."
 
Journal of veterinary internal medicine 15.5 (2001): 471-477.

PubMedリンク PMID:11596735
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:骨髄異形成症候群の猫16頭の血液学的異常と転帰

==アブストラクト===
骨髄異形成症候群(MDS)の血液学的異常と予後について調べた。非再生性貧血、血小板減少症、および好中球減少症が、MDSの猫16頭中それぞれ15頭、13頭、4頭でみられた。MDSの形態学的異常の特徴には、巨赤芽球性正赤芽球(9頭)、好中球の低分節化(7頭)、正赤芽球の核異常(10頭)、好中球の核異常(13頭)、微小巨核球(10頭)がみられた。16頭の猫の疾患は、ヒトのフランス-アメリカ-イギリス(FAB)に基づいて分類難治性貧血(RA 8頭)、過剰な芽球を伴う難治性貧血(RAEB 5頭)、形質転換中の過剰な芽球と伴う難治性貧血(RAEB in T 1頭)、および慢性骨髄単球性白血病(CMMoL 2頭)に細分類された。臨床的な転帰のわかる猫のうちで、RAEB、RAEB in T、CMMolを含む芽球数が多い猫6頭のうち3頭が急性骨髄性白血病を発症したが、芽球数の少ない猫8頭中では1頭だけが急性骨髄性白血病を発症した。ヒトのMDSの予後についてのデュッセルドルフスコアリングシステムに基づくと、高スコア(3ポイント以上)を示す猫の生存期間は、低スコア(3ポイント未満)の猫よりも有意に短かった。FAB分類とデュッセルドルフスコアリングシステムは、猫のMDSの予後予測に有用であると考えられた。さらにこの研究におけるMDSの猫16頭中15頭は猫白血病ウイルスに感染していたことから、それが猫のMDSの病因において病因的役割をになっている可能性が示された。

Weiss, Douglas J.
"Evaluation of dysmyelopoiesis in cats: 34 cases (1996–2005)."
 
Journal of the American Veterinary Medical Association 228.6 (2006): 893-897.

PubMedリンク PMID:16536701
本文:無料公開なし

タイトル:猫の骨髄異形成の評価;34症例(1996-2005年)

==アブストラクト===
目的:一般的な分類シェーマを用いて診断された骨髄異形成をさらに分類し、 猫の骨髄異形成の様々な形態を鑑別するために使用できる臨床的特徴と検査結果について調べること。

デザイン:回顧的な症例シリーズ。34頭の猫から得られた骨髄スライドのサンプル集団。

方法:1996年から2005年の間に血液と骨髄の分析により診断された骨髄異形成の猫の医療記録を再調査した。研究の組み入れ基準は、骨髄中の1つもしくはそれ以上の造血細胞系でにおける10%以上の異型細胞の所見と血液における血球減少症の併発とした。この基準を満たす猫を、スライドの再評価に基づき骨髄異形成症候群または二次的な骨髄異形成のサブグループに分類した。

結果
:189の骨髄スライドを再評価し、1つ以上の細胞系における10%以上の異型細胞が34(14.9%)でみられた。猫は、過剰な芽細胞を伴う骨髄異形成症候群(n=13)、難治性の血球減少を伴う骨髄異形成症候群(n=8)、異型の骨髄異形成症候群(n=1)、虹的な骨髄異形成(n=12)にサブグループ分類された。骨髄異形成症候群の猫と免疫介在性貧血の猫における骨髄異形成および自己凝集の所見は、2つの病態の鑑別を複雑にした。

結果と臨床的意義:免疫介在性溶血性貧血の猫と骨髄異形成症候群の猫の鑑別は、重度な貧血と自己凝集が両方の病態で同時に起こる可能性があるため、困難であった。過剰な芽細胞を伴う骨髄異形成症候群と難治性の血球減少を伴う骨髄異形成症候群の鑑別は、臨床的な転帰を予測するうえで役にたった。
 

Evans, Liam A., et al.
"A prospective evaluation of rivaroxaban on haemostatic parameters in apparently healthy dogs." 
Veterinary medicine and science (2019).

PubMedリンク PMID:30848104
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:明らかに健康な犬における止血パラメータに対するリバーロキサバンの前向き評価 

==アブストラクト===
この研究の目的は、明らかに健康な犬に対してリバーロキサバン を1mg/kg、1日1回、1週間、経口投与したときの、 リバーロキサバン が止血パラメータ(プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)、カオリン活性化トロンボエラストグラフィー(TEG)により評価)に及ぼす影響を調べることである。

11頭の犬が、ベースラインとしてCBC 、フィブリノゲン、血小板数、血清化学分析、PT、aPTT、およびTEGについて調べた。それぞれの犬はリバーロキサバン約1.0mg/kgを経口で1日1回、1週間投与され、
CBC 、フィブリノゲン、血小板数、血清化学分析、PT、aPTT、およびTEGを再評価した。1頭の犬は治療前の血液検査で巨大血小板減少症がみられたため、除外された。登録された残りの10頭が研究を完了した。1日あたりのリバーロキサバンの投与量の中央値は1.02mg/kg(範囲 0.94-1.17)であり、心拍数、PCV、全固形分、血小板数、フィブリノゲンを有意に増加させ、MCHとMCHCを有意に減少させた。PT、aPTT、TEGの各パラメータに有意な変化はなかった。1頭で4日目に嘔吐があったが、そのほかは臨床的または血液検査の再検査でも副作用はみられず、リバーロキサバン はよく許容されているようだった。

この研究の結果は、リバーロキサバン 1mg/kg1日1回の投与は、安全でありよく許容されるが、PT、aPTT、またはTEGのパラメータを有意に延長させるようか結果にはならないことを示唆している。
 

Tomiyasu, H., et al.
"Clinical and clinicopathological characteristics of acute lymphoblastic leukaemia in six cats." 
Journal of Small Animal Practice (2018).

PubMedリンク PMID:30168590
本文:無料公開なし

タイトル:6頭の猫の急性リンパ芽球性白血病の臨床的および臨床病理学的な特徴

==アブストラクト=== 
目的
:同様な犬の病態における最近の診断基準に従って診断した猫の急性芽球性白血病の患者の臨床的特徴を調べること。

方法
:急性リンパ芽球性白血病と診断された6頭の猫の医療記録を回顧的に再調査し、臨床病理学的な特徴と転帰についてのデータを収集した。腫瘍細胞のリンパ系起源は、抗原受容体遺伝子再配列に対するポリメラーゼ連鎖反応、フローサイトメトリー、免疫組織化学により確定した。

結論
:元気消失や食欲低下などの非特異的な臨床徴候が一般的であり、貧血および血小板減少症もまた一般的に認められた。白血球増多症が4頭の猫でみられ、白血球減少症が2頭でみられた。末梢血中のリンパ芽球の数は症例によって異なっていた。リンパ芽球の起源は、4頭の猫でB細胞系列で、1頭でT細胞系列、もう1頭ではB細胞系マーカーのCD21とT細胞系マーカーのCD8の両方に陽性であった。殺細胞性の化学療法による治療が6頭中5頭で行われ、部分的な反応が2頭でみられた。生存期間の中央値は55日(範囲 1-115日)であった。

臨床的重要性
:末梢血中にリンパ芽球が観察された場合には、たとえその数が少なくても、急性リンパ芽球性白血病を考慮するべきである。急性リンパ芽球性白血病のある猫の予後は、犬と同様に不良であり、効果的な治療法を開発するためにはさらなる研究が必要である。
 

McClosky, Megan E., et al.
"Prevalence of naturally occurring non‐AB blood type incompatibilities in cats and influence of crossmatch on transfusion outcomes."
 
Journal of veterinary internal medicine (2018).

PubMedリンク PMID:30307648
本文:無料公開あり(全文

タイトル:猫の自然発生性の非AB血液型の不適合の発生率と輸血の結果に与えるクロスマッチの影響

==アブストラクト===
背景:猫赤血球抗原のMikの認識と、急性溶血性の輸血反応を起こす自然発生性の抗Mik抗体の存在は、猫の初回の赤血球輸血を行う前にクロスマッチを行うことを促してきたが、このガイドラインはいまだに標準的な慣例にはなっていない。

目的:チューブクロスマッチにより検出される自然発生性の非AB型同種抗体の有病率を調べ、クロスマッチを行なった猫と行わなかった猫とので輸血の結果を比較すること。

動物:クロスマッチ主試験を行ない、または行わずに赤血球輸血を行なった猫300頭。 

方法:回顧的研究。

結果
:クロスマッチ主試験により不適合とされた猫は、輸血未実施の猫で154頭中23頭(14.9%)であり、 過去に輸血を受けた猫では55頭中15頭(27%)であった(p=0.042)。血液型特異的な濃厚赤血球の投与が、クロスマッチを行なった猫167頭と、行わなかった猫82頭に、それぞれ投与された。初回輸血の治療期間中に投与された濃厚赤血球の投与量の中央値は5.3ml/kg(範囲 2.4-18ml/kg)であった。濃厚赤血球の投与量に合わせたPCVの変化の中央値は、+0.8%/ml/kgであり、交差適合性のある濃厚赤血球の投与はPCV増加割合の上昇とは関連しなかった。発熱性輸血反応は、クロスマッチを行って輸血を行なった猫(2.5%)に比べて、 クロスマッチを行わずに輸血を行なった猫(p=10.1%)でより頻繁に起こった(p=0.022)。濃厚赤血球輸血を受けた猫の76%が生存して退院した。退院時、輸血後30日、および60日の生存率の改善に、クロスマッチの有無は関連しなかった。

結論と臨床的重要性;自然発生性の非AB型不適合は十分に高く、赤血球輸血を行うすべての猫(初回輸血を含む)の前のクロスマッチの実施の推奨を正当化する。
 

Morassi, Alice, et al.
"Evaluation of the safety and tolerability of rivaroxaban in dogs with presumed primary immune‐mediated hemolytic anemia." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care 26.4 (2016): 488-494.

PubMedリンク PMID:27074368
本文:googlescholarからresearchgateで入手可能(全文) 

タイトル:原発性の免疫介在性溶血性貧血が疑われる犬におけるリバーロキサバンの安全性と容認性の評価

==アブストラクト===
目的:原発性免疫介在性溶血性貧血(pIMHA)が疑われる犬において、経口直接型第Ⅹa因子阻害薬であるリバーロキサバンの安全性と容認性を評価すること。

デザイン
:前向き、多施設、陽性対照、非盲検、臨床試験。2012年10月から2014年3月の間に家庭犬が登録された。

施設
:民間の紹介動物病院。 

動物
:pIMHAのある家庭犬24頭が、ランダムに2つの治療グループ(経口のリバーロキサバン投与、またはクロピドグレルと低用量アスピリンの投与)に分けられた。すべての犬はこの研究に登録されてから90日間モニターされた。

介入
:登録された犬には標準的な免疫抑制プロトコールと、リバーロキサバン、またはクロピドグレルと低用量アスピリンが行われた。

方法と主な結果
:出血の証拠、プロトロンビン時間もしくは活性化トロンボプラスチン時間の重篤な延長、またはクロピドグレル・低用量アスピリンの犬と比較したときにリバーロキサバンの犬に関連した輸血の必要性の増加、 といった薬物の副作用として特定されるものはなかった。血栓の発生、退院まで、1ヶ月後、および3ヶ月での生存率の面で、治療グループ間で有意な差はなかった。

結論
:この研究で、リバーロキサバン(投与量中央値 0.89mg/kg 経口投与 1日1回)は、PIMHAが疑われ、経口投与を許容し、標準的な免疫抑制治療プロトコールをうけた犬の小さな集団においては、安全でよく許容された。クロピドグレルと低用量アスピリンと比較して、リバーロキサバンの相対的な有用性に関しては、治療グループのサイズが小さく、薬物動態の影響を評価していないため、結論を出すことができない。
 

Ellis, J., et al.
"Prevalence and disease associations in feline thrombocytopenia: a retrospective study of 194 cases."
 
Journal of Small Animal Practice (2018).

PubMedリンク PMID:29355998
本文:無料公開なし

タイトル:猫の血小板減少症の有病率と関連疾患;194症例の回顧的研究

==アブストラクト===
目的:イギリスの紹介集団の猫における血小板減少症の有病率を評価し、血小板減少症に関連する疾患過程を特定し、猫白血病ウイルス(FeLV)または猫免疫不全ウイルス(FIV)の検査陽性の血小板減少症の猫の割合を評価すること。

材料と方法:イギリスの紹介病院の医療記録の回顧的な解析。猫は血小板減少症の機序と疾患過程(既知の場合)によって分類された。

結果:血小板減少症の有病率は5.9%であった。最も多い血小板減少症に関連した疾患過程は血液学的または感染性の疾患、および腫瘍であった;血小板減少症の猫の11%はFeLVの検査陽性であり、それは過去の報告よりも低かった。不明出血を呈する猫は、その他の血小板減少症の猫よりも優位に血小板数が低かった。原発性の免疫介在性血小板減少症は、この研究においては、犬のん場合よりも一般的に診断されることがなく、最も重篤な血小板減少と関連していなかった。

臨床的意義
:猫における血小板減少症は過去の報告よりも一般的であり、重篤な血小板減少症は自然発生的な出血と関連している可能性がある。猫における重篤な血小板減少症は、 犬の場合よりも免疫介在性であることは少ないようである。血小板減少症はレトロウイルスの感染と関連していないようである。
 

Davis, L. L., K. R. Hume, and T. Stokol.
"A retrospective review of acute myeloid leukaemia in 35 dogs diagnosed by a combination of morphologic findings, flow cytometric immunophenotyping and cytochemical staining results (2007‐2015)." 
Veterinary and comparative oncology 16.2 (2018): 268-275.

PubMedリンク PMID:29239119
本文:無料公開なし

タイトル
:形態学的所見、フローサイトメトリー免疫表現型検査、および細胞化学染色の結果により診断した急性骨髄性白血病の犬35頭の回顧的再調査(2007年-2015年)

==アブストラクト===
急性骨髄性白血病(AML)は、犬においてまれで、急速に進行する腫瘍である。この回顧的研究の目的は、急性白血病の犬の同時期の集団における臨床徴候、血液学的所見、画像診断の結果、治療、およに生存期間についてを特徴付けることである。

診断は、
形態学的所見、フローサイトメトリー免疫表現型検査、および細胞化学染色により、骨髄系の芽球が骨髄もしくは血液中で20%を超えていることにより診断を行った。2007年から2015年の間に急性骨髄性白血病と診断した犬35頭の医療記録を含めた。多くの犬が、食欲低下(65%)、元気消失(57%)、末梢リンパ節の腫大(74%)、頻呼吸(62%)があり来院した。一般的な血液学的所見は、定量可能な循環中の芽球(85%;芽球数の中央値 35700/μL;範囲300-276500/μL)、貧血(ヘマトクリット中央値 34%;範囲11-52%)、血小板減少症(中央値 57000/μL;範囲 9000-252000)であった。2系統血球減少症および汎血球減少症はそれぞれ44%の犬でみられた。追跡情報は34頭で入手できた。全体の中央生存期間は、診断から19日(範囲 1-121日)であった。臨床的な進行が、過去に報告されているほど急速でなかった犬もいた。様々な化学療法剤に対する血液学的な反応は3頭でみられ、生存期間は62日、103日、121日であった。プレドニゾロンまたは化学療法剤とプレドニゾロンの組み合わせによりちりょうされた犬では、対症療法だけをうけた犬と比較して生存期間が改善した(p<0.0001)。

これらの所見は、犬の急性骨髄性白血病はリンパ腫と重複した臨床徴候があることを示している。犬の急性骨髄性白血病の進行は以前として要注意である。急性骨髄生白血病の犬に対する最適な治療計画のためにさらなる研究が必要である。


 

Fernández, Ricardo, and Esther Chon.
"Comparison of two melphalan protocols and evaluation of outcome and prognostic factors in multiple myeloma in dogs."
 
Journal of veterinary internal medicine (2018).

PubMedリンク PMID:
本文:無料公開あり(全文

タイトル: 犬の多発性骨髄腫における2つのメルファランプロトコールの比較と、転帰と予後因子の評価。

==タイトル===
背景:犬の多発性骨髄腫(MM)は通常、メルファランで治療される。報告されているメルファランの毎日の投与スケジュールは、よく許容され、良好な予後と関連する。逸話的にはパルス投与計画が良好な反応をもたらすとされているが、犬の多発性骨髄腫に対するこの投与計画について、長期転帰と安全性のデータはほとんどない。

仮説/目的
(1)メルファランのパルス投与と毎日投与スケジュールの間で、転帰と有害事象の詳細を比較すること。
(2)メルファランで治療された多発性骨髄腫の犬における予後因子を報告すること。
われわれは、どちらのプロトコールも同様の転帰と許容性をもつだろうと仮説をたてた。

方法:回顧的コホート研究により、いずれかのプロトコールの治療をうけた犬の転帰と有害事象を評価した。

結果:どちらの計画もよく許容され、同様に効果的であり、全体の中央生存期間が930日であった。この研究集団においては、腎疾患と好中球-リンパ球比は負の予後因子であり、一方、高カルシウム血症と骨融解病変は予後因子ではなかった。

結論と臨床的重要性
:良い結果は、多発性骨髄腫の犬の治療に対するいずれの投与計画も使用できることを支持し、腎疾患と好中球-リンパ球比は負の予後因子であった。これらの結果を確認するために前向き対照ランダマイズ研究が必要とされる。
 

Makielski, Kelly M., et al.
"Development and implementation of a novel immune thrombocytopenia bleeding score for dogs." 
Journal of veterinary internal medicine 32.3 (2018): 1041-1050.

PubMedリンク PMID:29681130
本文:無料公開あり(全文

タイトル: 犬の新たな免疫血小板減少症の出血スコアの開発と導入

==アブストラクト===
背景:免疫血小板減少症(ITP)のある犬における臨床的な出血を定量化する方法が必要とされるのは、ITPの患者が様々な出血傾向を示し、それは血小板数との相関に一貫性がないからである。スコアリングシステムは、患者の比較を容易にし、臨床試験における出血の重症度に基づく階層化を可能とする。 

仮説/目的
:犬の出血評価ツールと、その持続的な実施を改善するためのトレーニングコースを開発して評価すること。

動物
:血小板数が<50,000/μlの家庭飼育犬61頭;34頭が原発性のITP、17頭が二次性のITP、10頭がITPではない。

方法
9つの解剖学的部位における出血のグレード0(無し)から2(重度)によって構成される新しい出血評価ツールであるDOGiBATを開発した。血小板減少症の患者のスコアリングを行う前に、臨床医および看護師はトレーニングコースと小テストを完了した。トレーニングコースは、事前のトレーニングの有無にかかわらず、無作為のボランティアの学生に小テストに答えてもらうことで評価した。ロジステジック回帰モデルにより、トレーニングと小テストの性能の間の関連を評価した。血小板減少症の犬におけるDOGiBATのスコアと血小板数および測定結果との相関を評価した。

結果:臨床医と看護師は常にDOGiBATを適用し、すべての小テストの症例について正確にスコアリングした。訓練をうけた学生の回答の正確性のオッズは、訓練されていない学生のものよりも高かった(p<0.001)。臨床症例では、DOGiBATスコアと血小板数は逆相関し(rs=-0.512, p<0.001)、DOGiBATは輸血の必要性(rs=0.512, p<0.001)および入院期間(rs= 0.35, p=0.006)と直接相関した。

結論と臨床的重要性
:DOGiBATおよび評価小テストは、出血の重症度を評価するために標準化されたシンプルなツールである。さらなる検証により、DOGiBATは、ITPの重症度を特徴付け、治療試験の反応をモニターするための臨床的に適切な測定基準を提供する可能性がある。


==本文から===
DOGiBAT:daily canine bleeding assesssment tool(日常の犬出血評価ツール)

スコア方法の詳細(Table1を引用、一部改変)
 DOGiBAT.001

Zoia, A., and M. Drigo.
"Association Between Pancreatitis and Immune-mediated Haemolytic Anaemia in Cats: A Cross-sectional Study."
 
Journal of comparative pathology 156.4 (2017): 384-388.

PubMedリンク PMID:28385336
本文:無料公開なし

タイトル:猫における膵炎と免疫介在性溶血性貧血との関連;横断的研究

==アブストラクト=== 
ほとんどの症例で、猫の膵炎と猫の免疫介在性溶血性貧血(IMHA)の根底にある原因は不明なままである。一部の猫がこの両方の疾患を同時に有していたという観察研究に続き、この横断的研究ではこの種において、この2つの疾患が統計学的に関連しているかどうかを調査することを目的とした。

2004年7月から2017年12月の間、英国のグラスゴーの、グラスゴー大学小動物病院に来院した全ての症例をこの研究のデータベースとして使用し、 フィッシャーの直接確率検定を用いて2つの疾患の関係について評価した。この研究に含まれた155の疾患を抱えた猫のうち、来院の時点で9頭が膵炎
(有病率5.8%)と診断され、11頭がIMHA(有病率7.1%)と診断された。このうち3頭の猫で、来院時に両方の疾患を有していた(有病率1.9%)。2つの疾患の間には有意な関連がみられた(オッズ比 8.63、正確95%信頼区間 1.15 - 49.31、p=0.0178)。

これらの2つの疾患の間の統計学的な関連について、2つの可能性のある生物学的な説明があり、一方の病態がもう一方の病態の原因を表しているか、あるいは根底にある免疫系の異常が猫の赤血球と膵外分泌を標的としているか、のいずれかがある。

 
==訳者コメント===
疾患猫の母集団の選出がどうなっているのか?大学病院で約4年間で155頭(年間40頭?)しか来ていないのか?その割りにIMHAの有病率高すぎないか?(14頭に1頭!?)、など疑問が多い印象です。本文にはもう少し明確に書いてあるのかもしれませんが。
また、3頭でみられた膵炎とIMHAの併発?から統計的な評価をしても、n数少なすぎて微妙な感じがします。 

Shin, Hyeok-Soo, Heung-Myong Woo, and Byung-Jae Kang.
"Optimisation of a double-centrifugation method for preparation of canine platelet-rich plasma." 
BMC veterinary research 13.1 (2017): 198.

PubMedリンク PMID:28651609
本文:無料公開あり(全文) 

タイトル:犬の多血小板血漿の生成のための二重遠心分離法の最適化

==アブストラクト===
背景:多血小板血漿(Platelet-rich plasma:PRP)は、その増殖因子により再生医療において期待されている。しかし、PRP調製物における血小板と回収と収率、および増殖因子の濃度には、かなりの変動がある。この研究の目的は、二重遠心管法を用いた犬の血液からのPRPの生成のための、相対的に最適な遠心力と回転時間を特定することである。

方法:12頭の健康なビーグルから、全血サンプルをクエン酸採血管に採取した。第一の遠心工程として、10の異なる運転条件を比較し、最適な血小板の回収が得られる条件を同定した。最適な条件が同定されたら、 その条件を用いて生成された血小板含有血漿を、血小板沈殿のための第二の遠心に供した。第二の遠心では、12の異なる運転条件を比較し、最大の沈殿回収と濃度を増加を生み出すための遠心力と回転時間を同定した。増殖因子のレベルは、ELISAを用いて推定し、最適化された塩化カルシウム活性化血小板分画における血小板由来成長因子-BB(PDGF-BB)濃度を測定した。

結果:1000G、5分間の条件での全血の第一の遠心と、それに次いで1500G、15分間の条件で行なった回収した血小板含有血漿の遠心によって、最も高い血小板の回収率と収率が得られた。このプロトコールは、全血から80%の血小板を回収し、血小板濃度を6倍に増加させ、活性化分画中のPDGF-BB濃度を最も高くした。

結論
:犬の血液からPRPを生成するための最適化された二重遠心管法を示した。この最適化された方法は特に高価な装置や高い技術能力を必要とせず、獣医療の臨床現場において容易に実施することができる。

Fournier, Q., et al.
"Impact of Pretreatment Neutrophil Count on Chemotherapy Administration and Toxicity in Dogs with Lymphoma Treated with CHOP Chemotherapy." 
Journal of veterinary internal medicine 32.1 (2018): 384-393.

PubMedリンク PMID:29025493
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:CHOP化学療法で治療したリンパ腫の犬において、治療前の好中球数が化学療法剤投与と毒性に与える影響 

==アブストラクト===
背景
:化学療法前の好中球の絶対数のカットオフ値は任意であり、施設や臨床医によって異なる。同様に、主観的なガイドラインが好中球減少の犬における予防的な抗菌薬の投与に対して用いられている。

目的
:CHOP化学療法で治療したリンパ腫の犬において、の好中球の絶対数の様々なカットオフ値が化学療法剤投与に 与える影響を評価し、化学療法前の好中球の絶対数とその後の毒性との間とに関連があるかどうかを調べること。第二の目的は、予防的抗菌薬の処方の示唆に対しての現在用いられている好中球絶対数のカットオフ値を評価することである。

動物
:リンパ腫と診断されCHOP化学療法で治療された犬(n=64)

方法
:615の好中球絶対数を6つのクラスに階層化した。3つの好中球絶対数のカットオフ値、1.5×103/μL、2.0×103/μL、2.5×103/μLを評価した。化学療法前の好中球絶対数のクラスと毒性との関連の有無を判定した。好中球絶対数<1.5×103/μLであるが、予防的抗菌薬の基準を上回る発熱性好中球減少症の犬を評価した。

結果
:来院の7%が好中球絶対数1.5×103/μLで化学療法が投与されなかった;来院の10%と16%が好中球数それぞれ2.0×103/μL、2.5×103/μLのカットオフ値で化学療法が投与されなかった。化学療法前の好中球絶対数の下位3クラスと毒性の間に関連はなかった。好中球絶対数0.75-1.5×103/μLの犬すべてが内科的介入なしに自然に回復した。

結論と臨床的重要性
:化学療法前の好中球絶対数1.5×103/μLで投与遅延の回数は最小であり、 化学療法前の好中球絶対数のクラス1.5-1.99×103/μLでは、毒性の増加と関連していなかった。予防的抗菌薬の処方が好中球絶対数0.75×103/μL付近のカットオフ値についてのさらなる調査が示される。


==訳者コメント===
アブストラクトだけみてもどういう研究でどういう結果だったのか、さっぱりわかりませんでした(自分の理解力の問題か?)
本文を読まないダメそうです。
 

Maglaras, Christina H., et al.
"Retrospective evaluation of the effect of red blood cell product age on occurrence of acute transfusion‐related complications in dogs: 210 cases (2010–2012)." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care 27.1 (2017): 108-120.

PubMedリンク
本文:無料公開なし

タイトル:いぬにおける急性輸血関連合併症の発症に及ぼす赤血球製剤の保存期間の影響に関する回顧的評価:210例(2010-2012)

==アブストラクト===
目的:赤血球製剤の保存期間が、犬における急性輸血関連合併症の発生と死亡率に影響と与えるかどうかを調べること。急性輸血関連合併症と死亡率は製剤の保存期間とともに上昇すると仮説を立てた。

デザイン:回顧的研究(2010-2012)

施設:大学の教育病院

動物:210頭の犬の臨床患者

介入:なし

測定と主な結果:赤血球を含む製剤の投与を受けた犬の医療記録を再調査した。患者のシグナルメント;輸血の理由;製剤のタイプ、投与量、保存期間、供給源;輸血前の適合性;投与の速度、経路、方法;複数回の輸血;基礎疾患;輸血関連合併症(例えば、発熱、溶血、消化器障害、心血管障害、神経障害、呼吸器合併症)の発生;様々な血液学的パラメーター;生存、について記録した。データは潜在的な危険因子と輸血関連合併症の発生との関連と、同様に輸血関連合併症と生存との関連について分析された。
210頭の患者に333回の輸血が行われ、84の輸血関連合併症が発生した。発熱が最も多く(41/333)、次いで溶血(21/333)が多かった。製剤の保存期間の追加日ごとに、溶血のオッズが有意に増加した(オッズ比 1.11;05%信頼区間1.06-1.16;p<0.0001)。輸血関連合併症は全体として考えた場合、製剤の投与量の多さ、投与イベント毎の投与時間の長さ、免疫介在性疾患と関連したが、製剤の供給源もしくは貧血のカテゴリーとは関連しなかった。投与速度は、発熱性輸血関連合併症の患者で有意に低かった(p<0.0001)。製剤の保存期間は死亡率の上昇と関連しなかった。

結論
:赤血球製剤の保存期間は輸血関連合併症として溶血のリスクの増加とは関連したが、発熱とは関連しなかった。生体内と整体外での溶血に保存期間が与える影響について、前向きの臨床研究が正当化される。


訳注)red blood cell product age 赤血球製剤年齢 は赤血球製剤保存期間と訳しました。 

Hann, L., et al.
"Effect of duration of packed red blood cell storage on morbidity and mortality in dogs after transfusion: 3,095 cases (2001–2010)."
 
Journal of veterinary internal medicine 28.6 (2014): 1830-1837.

PubMedリンク
本文:無料公開(PDF

タイトル:濃厚赤血球の保存期間が輸血後の罹患率と死亡率に及ぼす影響:3,095例(2001-2010年)

==アブストラクト===
背景:蓄積された根拠によれば、ヒトの患者において14日以上保存された濃厚赤血球の輸血は敗血症、多臓器不全、死亡の増加と関連していることが示唆されている。

目的:濃厚赤血球の保存期間が犬の輸血後の罹患率と死亡率に影響を与えるかどうかを調べること。

動物:ペンシルバニア大学マシュー・J・ライアン獣医病院に入院した犬。

方法: 2001-2010年の間に濃厚赤血球輸血(最低、5ml/kg)を受けた犬について、血液バンクの日誌から回顧的な症例再調査を行なった。貧血の主要な原因(例えば、出血、溶血、造血の無効)に従って犬を分類した。

結果:合計で3,095頭の犬が5,412単位の濃厚赤血球の投与を受けた。濃厚赤血球の保存期間が長いことが、凝固障害の新たな発生または悪化(p=0.001)と血栓塞栓症の発症(p=0.005)に関連していた。濃厚赤血球の保存期間と全ての犬全体の生存には関連は見られなかった。しかし、ロジスティック回帰モデルで、溶血のある犬(その内90%が免疫介在性溶血性貧血)では、濃厚赤血球の保存期間が長いことが生存に対する負の危険因子であった(95%信頼区間,0.64-0.97;p=0.024)。

結論と臨床的重要性
:濃厚赤血球の保存期間は、犬全体の集団においては死亡率に影響を及ぼす主な要因ではないようである。しかし、濃厚赤血球の保存期間が長いことは免疫介在性溶血性貧血の犬においては転帰に負の影響を与える可能性があり、前向き研究でさらに調査をする必要がある。 


==本文から===
輸血後合併症
・多臓器不全 83/3178(2.6%)
・血行動態不全 132/3129(4.2%)
・呼吸不全 205/3056(6.7%)
・神経障害 39/3222(1.2%)
・凝固障害 50/3211(1.5%)
・敗血症  16/3245(0.5%)
・DIC   44/3217(1.3%)
・Dダイマー上昇 45/3216(1.4%)
・血栓塞栓症 50/3211(1.5%)
 

Wilson, C. R., et al.
"Biochemical evaluation of storage lesion in canine packed erythrocytes." 
Journal of Small Animal Practice(2017).

PubMedリンク
本文:無料公開なし

タイトル:犬の濃厚赤血球の貯蔵障害の生化学的評価

==アブストラクト===
目的:生体外で保存された犬の濃厚赤血球に起こる生化学的変化(保存病変(storage lesion)として知られている)を記述すること。

材料と方法:クエン酸リン酸デキストロースアデニン中の非白血球誘導された 濃厚赤血球125ml単位10個を、市販の血液バンクで供血から24時間以内に確保した。サンプルは1,4,7,14,28,35,42日目に無菌的に採取し、ナトリウム、カリウム、クロール、乳酸、グルコース、pH、アンモニアの測定を行なった。全ての単位を42日目に培養を行なった。ノンパラメトリックデータについて、Dunnの多重比較試験によるフリードマン反復測定試験を使用した。パラメトリックデータには、Tukeyの多重比較検定による反復測定分散の分析をしようした。α(有意水準)は0.05に設定した。

結果:全ての検体は保存中に大きく変化した。1日目のアンモニアの平均(58.14g/dl)は、28日目(1266g/dl)、35日目(1668g/dl)、42日目(1860g/dl)よりも有意に低かった(p<0.05)。観察中の全ての期間で乳酸濃度の中央値の有意な上昇がみられ、1日目(4.385mmol/L)は、14日目(19.82mmol/L)、21日目(22.81mmol/L)、35(20.31mmol/L)、42日目(20.81mmol/L)よりも有意に低かった。pHの中央値は7日目以降に有意に低下した。全ての細菌培養は陰性であった。

臨床的重要性
保存中の犬の濃厚赤血球には、多くの生化学的変化が起こるが、それらの臨床的重要性を決定するためにはさらなる研究が必要である。


訳注)
storage lesionは保存病変と訳しましたが、これでいいのかわかりません。


==訳者コメント===
保存した濃厚赤血球には大きな変化が起こるようですが、生化学的にはアブスト内にもある通りこれが臨床的にどのような意義を持つのかは別問題として考える必要があります。
 

Woolcock, A. D., et al.
"Thrombocytosis in 715 Dogs (2011–2015)." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2017).

PubMedリンク
本文:無料公開(PDF

タイトル:血小板増多症の犬715頭

==アブストラクト===
背景
:血小板増多症は犬において血液学的異常であり、腫瘍、代謝、炎症などの様々な状態と関連する。

目的
:犬の血小板増多症を重症度に基づいて分類し、重症度と基礎疾患の過程に関連があるかどうかを評価すること。 

動物
:血小板増多症の犬715頭と、血小板数正常の犬1,430頭

方法
:回顧的研究。2011-2015年の間で、血小板数が増加した犬(>500×10 3/μL;血小板増多症群)と正常な犬(300-500×10 3/μL;対照群)の医療記録を再調査した。犬は血小板の 増加の重症度と診断によって特徴付けられた。診断カテゴリーには腫瘍、内分泌疾患、炎症性疾患、その他が含まれた。

結果
715頭の犬から 、全部で1,254の血小板増多を伴うCBCが研究に含まれた。この集団の血小板数の中央値は582×10 3/μL(500-1,810×10 3/μL)であった。 血小板増多と診断との間に相関はみられなかった。二次的な血小板増多症の原因には腫瘍(55.7%)、内分泌疾患(12.0%)、炎症性疾患(46.6%)が含まれた。免疫介在性疾患は一般的(22.2%)であり、頻繁なグルココルチコイドの投与に関連しており、血小板数の中央値が他の炎症性疾患と比べて優位に高かった(636×10 3/μL[500-1,262×10 3/μL]vs. 565×10 3/μL[500-1,810×10 3/μL], P<0.001)。犬の血小板増多症における診断は、対照群と比べて有意に異なっていた。

結論と臨床的重要性:犬の血小板増多症は癌腫と免疫介在性疾患とよく関連する。
 

==本文から===
(商業目的でなければ自由に使って良いと書いてあるので、図表を引用します。This is an open access article under the terms of the Creative Commons Attribution-NonCommercial License, which permits use, distribution and reproduction in any medium, provided the original work is properly cited and is not used for commercial purposes.)

21

 

Cummings, F. O., and S. A. Rizzo.
"Treatment of presumptive primary immune‐mediated thrombocytopenia with mycophenolate mofetil versus cyclosporine in dogs." 
Journal of Small Animal Practice 58.2 (2017): 96-102.

PubMedリンク
本文:無料公開なし

==アブストラクト===
目的
:この研究の目的は、ミコフェノール酸モフェチルとコルチコステロイド対シクロスポリンとコルチコステロイドの治療を行なった一次性免疫介在性血小板減少症と推定される犬の、入院期間、生存期間、有害事象、治療費用を比較すること。

方法
: 一次性免疫介在性血小板減少症と推定される犬の症例医療記録の回顧的調査を行なった。収集されたデータにはシグナルメント、主訴、血液学的・血液化学的所見、ベクター媒介疾患の検査、胸腹部レントゲン、腹部エコー、薬剤投与、入院期間、30日および60日の生存、有害事象、治療費用、が含まれた。ミコフェノール酸モフェチルとコルチコステロイド、もしくはシクロスポリンとコルチコステロイドで治療された犬の間で変数を比較した。

結果
:全部で55頭の一次性免疫介在性血小板減少症の犬が同定された。18頭は治療中に複数の免疫抑制剤を使用していたため除外された。入院期間、30日の生存、60日の生存は両グループで有意差がなかった。ミコフェノール酸モフェチルとステロイドのグループの犬では、シクロスポリンとコルチコステロイドのグループの犬に比べて、有害事象の発生が少なかった。ミコフェノール酸モフェチルによる治療の方が、シクロスポリンよりも安価であった。

臨床的重要性
:これらの結果から、一次性免疫介在性血小板減少症と推定する犬の治療において、ミコフェノール酸モフェチルとコルチコステロイドの治療はシクロスポリンとコルチコステロイドの治療と同等に効果的であるということが示唆された。ミコフェノール酸モフェチルのグループでは有害事象が少なく、治療費用が安価だった。これらの予備的な所見を立証するために、より大きな前向き、二重被覆、アウトカムベースの他施設間研究が必要とされる。
 

Horgan, Jason Elliott, Brian Keith Roberts, and Thomas Schermerhorn.
"Splenectomy as an adjunctive treatment for dogs with immune‐mediated hemolytic anemia: ten cases (2003–2006)." 
Journal of veterinary emergency and critical care 19.3 (2009): 254-261.

PubMedリンク
本文:無料公開なし

==アブストラクト===
目的:脾臓摘出を行なった免疫介在性溶血性貧血(IMHA)の犬について、患者集団、疾患の重症度、転帰を記述すること。

デザイン:回顧的症例シリーズ

施設:救急診療所/二次病院

動物:IMHAと診断された犬10頭

介入:IMHAの標準的な内科治療に脾臓摘出を追加

測定:脾臓摘出を行なった10頭のIMHAの犬の医療記録を再調査した。身体所見、臨床検査所見、重症度、治療、転帰について集団の解析を行なった。30日後の生存、30日後の内科治療の割合、30日以内の再発を転帰とした。術前術後のPCVと輸血の必要性について記述し、個々の犬で比較した。

結果:10頭中9頭が30日後に生存していた。生存した9頭中4頭はいずれの免疫抑制剤も使用していなかった。30日以内に再発をした犬はいなかった。術後3日でのPCVは、術前よりも有意に上昇していた。輸血を必要数は、術前よりも術後で有意に少なかった。

結論
:脾臓摘出の利用はiMHAの犬の転帰の改善に関連する可能性がある。


==訳者補足===
・どういった症例(内科で安定してる患者なのか、内科治療に抵抗性なのか、など)に脾臓摘出を適応したのかは本文を確認する必要があります。 

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