ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

小動物臨床の獣医師が、臨床に役立ちそうな論文情報をちょっとづつアップします。ねころんでいても論文検索ができればいいなと。

カテゴリ: 犬種

Kiviranta, Anna‐Mariam, et al.
"Persistent fontanelles in Chihuahuas. Part I. Distribution and clinical relevance." 
Journal of veterinary internal medicine (2021)

PubMedリンク PMID:34028887
本文:無料公開あり(全文

タイトル:チワワの泉門開存;パート1 分布と臨床的関連

==アブストラクト===
背景:チワワ犬種は頭蓋骨背側に大泉門の開存が頻繁にみられることで知られている。一般的には、この頭蓋骨欠損は臨床的な関係がない所見と考えられている。しかし、その有病率や、ほかの泉門開存と併発するかどうかについて研究されたものはない。チワワはキアリ様奇形と脊髄空洞症の素因があるが、キアリ様奇形や脊髄空洞症による臨床徴候のある犬で、泉門開存がより多いのかどうかは不明である。

仮説/目的:頭蓋骨縫合にける泉門開存の数と位置について記述し、キアリ様奇形と脊髄空洞症に関連した臨床徴候がある犬とない犬において、泉門開存の発生を比較すること。泉門開存は外側および尾側の頭蓋表面で多く発生し、頭蓋縫合の数の多さに影響を与え、キアリ様奇形と脊髄空洞症に関連した臨床徴候のある犬ではより大きいだろうという仮説を立てた。

動物
キアリ様奇形と脊髄空洞症の臨床徴候があるまたはない家庭飼育のチワワ50頭。

結果
:評価した50頭中、46頭(92%)で1つまたは複数の泉門開存がみられた。泉門開存の数の平均±標準偏差は2.8±3.0(範囲 0-13)であった。合計で138個の泉門開存118の頭蓋骨縫合を占め、57(48%)が背側、44(37%)が尾側、17(14%)が側方に位置していた。キアリ様奇形と脊髄空洞症に関連する臨床徴候のある犬では、泉門開存をもった頭蓋骨縫合が有意に多く(p≦0.001)、泉門開存の合計面積が有意に大きかった(p=0.003)。

結論と臨床的意義
:泉門開存はこの集団のチワワでとても一般的であり、頭蓋表面の背側、側方、および尾側にみられるようだ。キアリ様奇形と脊髄空洞症に関連した臨床徴候のあるチワワでは、泉門開存の数が多く、範囲が大きい。

Krainer, Dorothee, and Gilles Dupré.
"Influence of computed tomographic dimensions of the nasopharynx on middle ear effusion and inflammation in pugs and French bulldogs with brachycephalic airway syndrome." 
Veterinary Surgery (2021).


PubMedリンク PMID:33595152
本文:無料公開なし

タイトル:パグとフレンチ・ブルドッグにおけるCTの
鼻咽頭の大きさが中耳滲出液に与える影響

==アブストラクト===
目的:パグとフレンチ・ブルドッグにおける中耳の異常の有病率を比較し、鼻咽頭の大きさが中耳滲出液に与える影響を調べること。

研究デザイン:回顧的研究。

動物:短頭種気道症候群があり、耳疾患の病歴のなり、パグ30頭とフレンチ・ブルドッグ30 頭

方法:CT検査をレビューし、中耳滲出液、粘膜の造影増強効果、骨炎の所見、鼓室壁の肥厚について調べた。軟口蓋の厚みと、耳管開口部レベルでの鼻咽頭の横断面積を測定し、個々の頭蓋骨指数によって標準化したうえで、品種間の統計的比較を行った。中耳の異常と鼻咽頭の大きさの統計的依存性は、スピアマンの順位相関検定を用いて評価した。

結果:中耳滲出液はフレンチ・ブルドッグ17/30頭(56.7%)とパグ5/30頭(16.7%)でみられた。鼓室包の造影増強効果はフレンチ・ブルドッグの耳25/60(41.6%)、パグの耳3/60(5.0%)でみられた。フレンチ・ブルドッグに比べて、パグでは気道の横断面(Δ=0.31cm2、p<0.001)と軟口蓋の厚さ(Δ=0.44cm、p<0.0001)が小さかった。軟口蓋の厚さと鼻咽頭の大きさは、鼓室包滲出液の存在(r=0.324、r=0.198)または造影増強の存在(r=0.270、0.199)と弱い相関を示した。

結論:中耳の滲出液と炎症は、パグよりもフレンチ・ブルドッグでより一般的であり、そえれは鼻咽頭の大きさとは関連していないようだった。

臨床的意義
:短頭種気道症候群のあるフレンチ・ブルドッグは、中耳の滲出液と炎症の素因があるようだ。

Basili, M., et al.
"Low plasma taurine levels in English cocker spaniels diagnosed with dilated cardiomyopathy."
 
Journal of Small Animal Practice (2021).


PubMedリンク PMID:33594697
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル:拡張型心筋症と診断されたイングリッシュ・コッカー・スパニエルんも血漿タウリンレベルは低い

==アブストラクト===
目的:この研究の目的は、拡張型心筋症のイングリッシュ・コッカー・スパニエルにおけるタウリンレベルを調べ、この疾患の生存期間と自然経過を評価することである。

方法:2008年から2018年の間にイギリスの学術紹介病院の心臓科で、タウリン欠乏のある/ない、拡張型心筋症の表現型を示すイングリッシュ・コッカー・スパニエルについての回顧的な比較を行った。

結果:拡張型心筋症のイングリッシュ・コッカー・スパニエル16頭で血漿タウリン濃度がわかり、13/16頭ではうっ血性心不全があり、3頭ではなかった。タウリン濃度は、13/16頭で低く(<50μmol/L)、3頭で正常であった。欠乏した犬では、従来の心臓薬に加えてタウリンの補給が行われた。8頭は研究終了時に生存しており、8頭は死亡した。この研究に含めた犬全体の中央生存期間は2800日であった。タウリン欠乏のイングリッシュ・コッカー・スパニエルではタウリン補給と従来の心臓治療ののちに左室収縮機能が改善し、心室内腔が減少したが、タウリン欠乏のないイングリッシュ・コッカー・スパニエルで心臓治療のみを行った場合でも同様な結果が得られた。

臨床的意義
:検査所の基準範囲をもとにすると、拡張型心筋症のイングリッシュ・コッカー・スパニエルではタウリン濃度が低く、イングリッシュ・コッカー・スパニエルにおける拡張型心筋症とタウリン欠乏は関連している可能性がある。

Rout, Emily D., et al.
"Polyclonal B‐cell lymphocytosis in English bulldogs." 
Journal of Veterinary Internal Medicine.


PubMedリンク PMID:33058280
本文:無料公開あり(全文

タイトル:イングリッシュ・ブルドッグのポリクローナルB細胞性リンパ球増加症

==アブストラクト===
背景:イングリッシュ・ブルドッグは小細胞性B細胞の増加を不均衡に発症し、それはB細胞性慢性リンパ球性白血病(BCLL)と考えられていた。しかし、それらの患者のクローナリティ検査は腫瘍性疾患を支持しなかった。

仮説:イングリッシュ・ブルドッグは非腫瘍性のB細胞増殖症候群を起こす。

動物:フローサイトメトリーによって確認された血中の小型のCD21+B細胞性リンパ球増加症のあるイングリッシュ・ブルドッグ84頭。

方法
:回顧的研究。B細胞のクローナリティ、臨床徴候、フローサイトメトリーの特徴、免疫グロブリンガンモパチーパターンによってこの症候群を特徴付けた。2010年から2019年の間に免疫表現型検査のためにコロラド州立大学臨床免疫学研究所に提出されたイングリッシュ・ブルドッグの血液サンプル195のうち、CD21+リンパ球増加症がある症例84頭を同定した。フローサイトメトリーの特徴は、正常なB細胞およびB細胞性慢性リンパ球性白血病の症例と比較した。を複数の免疫グロブリンプライマーによる抗原受容体再構成(PARR)のPCRを行い、B細胞のクローン性を評価評価した。ガンモパチーのある症例のサブセットでは、タンパク質電気泳動、免疫固定、および免疫グロブリンサブクラスELISA定量化によって評価した。

結果:症例の70%(58/83)で、ポリクローナルまたは制限付きポリクローナルな免疫グロブリン遺伝子再構成がみられ、非悪性のB細胞の増殖が示唆された。この研究の全ての犬の年齢の中央値は6,8歳であり、74が雄であった。リンパ球数の中央値(範囲)は22,400/μl(2,000 - 384,400)であり、B細胞のクラスⅡMHCとCD25の発現は低かった。脾腫または脾臓腫瘤が57%(26/46)で検出され、リンパ節腫脹が11%(7/61)で検出された。71%(52/73)で高グロブリン血症がり、77%(23/30)でグロブリンの特徴としてIgA ± IgMのポリクローナルまたは制限付きポリクローナルガンモパチーのパターンをとった。

結論と臨床的意義
:イングリッシュ・ブルドッグにおけるポリクローナルB細胞性リンパ球増加症は、クラスⅡMHCとCD25の発現が低いB細胞、脾腫、および増加したIgA ± IgMによって構成される高グロブリン血症の特徴をもつ。われわれは、これらの症候群は遺伝的な根拠があるものと仮説を立てている。

Rossanese, Matteo, et al.
"Long‐term survival after treatment of idiopathic lung lobe torsion in 80 cases." 
Veterinary Surgery 49.4 (2020): 659-667.


PubMedリンク PMID:32179778
本文:無料公開なし

タイトル:特発性肺葉捻転の治療後の長期生存;80症例

==アブストラクト===
目的:肺葉捻転の治療を行なった犬の転帰について報告し、生存に関する予後因子を調べること。

研究デザイン:獣医教育病院における回顧的多施設研究。

動物:肺葉捻転の犬80頭。

方法:医療記録を再調査し、臨床所見と病理組織所見を調べた。長期転帰は飼い主へのアンケートで評価した。肺葉捻転は病因をもとに特発性と続発性に分類した。

結果
:最も多かった犬種はパグ(47.5%)とサイトハウンド(16.2%)であった。肺葉捻転の原因は77%で一次性、21%で二次性、2%で不明と考えられた。術後の合併症は14%の犬で記録された。全体で、95%の犬が生存退院し、追跡期間の中央値は1095日(範囲 7-3809)であった。一次性の肺葉捻転(中央生存値に達せず)は、二次性の肺葉捻転(中央生存期間 921日;範囲 7-2073)と比較して長期生存と関連した(p=0.001)。

結論
:肺葉捻転のための肺葉切除後の全体の長期生存非常に良好であった。一次性の肺葉捻転は、二次性の肺葉捻転と比較してより長期の生存と関連した。肺葉捻転で肺葉切除を行なった犬の臨床転帰に関する飼い主の長期的な評価は非常によかった。

Milne, Elspeth, et al.
"Cytological and microbiological characteristics of middle ear effusions in brachycephalic dogs." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).

PubMedリンク PMID:32407559
本文:無料公開あり(全文

タイトル:短頭種犬における中耳滲出液の細胞学的および微生物学的特徴

==アブストラクト===
背景:中耳の滲出液は、ヒトの子供における中耳の滲出液と同様に、短頭種犬でもよくみられる。両種では頭蓋と耳管の形態と細菌感染の関連が疑われる。

仮説/目的:犬の中耳算出的の細胞学的および細菌学的な特徴を調べ、組織学的特徴を提供し、さらにヒトの疾患のモデルとしての犬を評価すること。

動物:生存している16頭の犬、中耳滲出液のある死亡症例3頭、対照の死亡症例2頭。

方法:CT、MRI、ビデオ耳鏡検査、鼓膜切開術を用いた前向き臨床調査;30の滲出液の細胞学的評価、28の滲出液の細菌学的評価、および10の中耳切片の免疫組織学的評価(Tリンパ球に対するCD3、Bリンパ球に対するPax5、マクロファージに対するMAC387)を行った。

結果
:生存犬の6/16頭(38%)で滲出液は神経学的障害に関連しており、9/16頭(56%)でアトピー性皮膚炎と外耳炎の併発がみられた。滲出液の培養が陽性か陰性かにかかわらず、細胞診では好中球とマクロファージが細胞診で多くみられた(中央値 60%[範囲2-95.5]、27%[2-96.5])。組織切片では、罹患した犬では粘膜が厚かったが、粘膜下腺の拡張は罹患した犬と罹患していない犬の両方でみられた。浸出的の22/28(79%)で細菌増殖はなかった。他の6(21%)からは細菌が検出され、Staphylococcus pseudintermedius(4/6 67%)が多かった。

結論と臨床的意義
:犬とヒトの中耳滲出液の臨床的、形態学的、および細胞学的所見は同様の病原性を示唆している。犬の中耳滲出液は、滲出液を伴うヒトの中耳炎の有効なモデルとなり得る。これらの比較は種をこえて理解と治療を改善しうる。

Iwashita, Hiroko, et al.
"Breed prevalence of canine ulcerative keratitis according to depth of corneal involvement." 
Veterinary Ophthalmology (2020).

PubMedリンク PMID:32716142
本文:無料公開なし

タイトル:犬の潰瘍性角膜炎の角膜病変の深さに応じた犬種有病率

==アブストラクト=== 
目的:角膜病変の深さに応じた犬の潰瘍性角膜炎の犬種有病率を調べること。

方法:2008年から2017年の間にトライアングル動物眼科クリニックで潰瘍性角膜炎と診断された犬をこの研究に含めた。20眼以上罹患した犬種だけを選出した。潰瘍性角膜炎の病変は、表在性(Grade1)、間質性(Grade2)、デスメ膜瘤と穿孔(Grade3)に分類し、短頭種と非短頭種の犬種で比較した。

結果
:2008年から2017年の間にトライアングル動物眼科クリニックで8877頭の犬が評価され、1018頭の1109眼が潰瘍性角膜炎と診断された。雄326眼、中性化雄253眼、雌211眼、中性化雌316眼、性別不明3眼であり、年齢は0.1-19.2歳齢(平均±標準偏差 8.33±4.24)であった。Grade1に359眼(非短頭種187、短頭種172)、Grade2に373眼(非短頭種60、短頭種313)、Grade3に377眼(非短頭種47、短頭種330)が分類された。すべてのGradeの潰瘍性角膜炎で、短頭種と非短頭種の間で有意な差が観測された。短頭種犬はGrade2と3の潰瘍性角膜炎により頻繁に罹患し、Grade1は少なかった(p<0.01)。フレンチブルドッグはGrade1の潰瘍性角膜炎に罹患しやすかった。

結論
:短頭種犬種は潰瘍性角膜炎でより深い角膜病変になりやすい。この研究は、表在性の潰瘍性角膜炎では短頭種犬種の有病率が低く、非短頭種犬種の有病率が高いという新たなデータを示している。
 

Smith, M. A. J., et al.
"Effect of breed as a risk factor for humeral condylar fracture in skeletally immature dogs."
 
Journal of Small Animal Practice (2020).

PubMedリンク PMID:32323333
本文:無料公開なし

タイトル:骨格が未成熟な犬における上腕骨顆骨折のリスク因子としての品種の影響

==アブストラクト=== 
目的
:イギリスにの骨格が未成熟な犬における上腕骨顆骨折に関連するリスク因子としての品種の影響を調べること。

方法
:2015年から2018年の間に3つの専門医紹介病院へ上腕骨顆骨折で来院した12ヶ月齢以下の犬についての回顧的研究を行なった。品種、年齢、性別、中性化の状態、罹患した肢、骨折の形態、骨折に原因についての情報を医療記録から収集した。品種集団の割合は、イギリスのケンネルクラブによって記録されたものと比較した。

結果
:115頭118骨折のうち、フレンチ・ブルドッグ(41%)とイングリッシュ・スプリンガー・スパニエル(15%)が多かった。上腕骨顆骨折は、雑種犬と比較して フレンチ・ブルドッグ(オッズ比 5.86)とイングリッシュ・スプリンガー・スパニエル(オッズ比 5.66)でより多く診断された。外側顆骨折が症例の70%でみられ、内側顆骨折が9%、Y/T骨折が21%でみられた。骨折時んも年齢の中央値は4ヶ月齢(範囲 2-10ヶ月齢)。

臨床的意義
骨格が未成熟な犬において フレンチ・ブルドッグとイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルは、上腕骨顆骨折のリスクが潜在的に高まっていることが確認された。
 

Purzycka, K., et al.
"Histiocytic sarcoma in miniature schnauzers: 30 cases." 
Journal of Small Animal Practice (2020).

PubMedリンク PMID:32323304
本文:無料公開あり(全文

タイトル:ミニチュア・シュナウザーの組織球性肉腫;30症例

==アブストラクト=== 
目的:組織球性肉腫と診断したミニチュア・シュナウザーの診療所見と転帰についてまとめること。

方法:2008年から2019年の間にイギリスの紹介病院で組織球性肉腫と診断されたミニチュア・シュナウザーの医療記録を回顧的に再調査した。シグナルメント、来院時の診療徴候、 画像診断結果、臨床病理学的所見、病理組織学的所見、治療のタイプ、および転帰について記録した。無病期間と全体生存期間を算出した。

結果:30頭の犬が組み入れられた。胸部の画像診断を行なった29頭中24頭で、肺および/または縦隔への浸潤がみらえた。診断から3日以内に安楽死を行なっていない犬における全体生存期間の中央値は117日(範囲 10-790)であった。3頭で手術を行われた。13頭がロムスチン単独で治療され、6頭中5頭で画像上の部分寛解が得られ、13頭中11頭で臨床的な改善がみられた。

臨床的意義
:肺腫瘤のあるミニチュア・シュナウザーでは組織球性肉腫を鑑別診断として考えるべきでる。治療への反応はよくみられたが、疾患の進行性の性質により、一般的に生存期間は短かった。
 

Koterbay, A. M., et al.
"Risk and characteristics of gastric carcinoma in the chow chow dog." 
The Canadian Veterinary Journal= La Revue Veterinaire Canadienne 61.4 (2020): 396-400.

PubMedリンク PMID:32255825
本文:無料公開なし

タイトル
:チャウチャウ犬における胃腺癌のリスクと特徴

==アブストラクト=== 
胃腺癌は犬で多く報告はされていない。ただし、ベルジアン・タービュレンなどの特定の犬種ではリスクが高くなる。獣医医療データベースのレビューにより、チャウチャウにおける胃腺癌のリスクの増加が確認された。106頭のチャウチャウで、確定診断の平均して3週間前に、徴候が始まっていた。もっとも多い臨床徴候は、嘔吐、食欲低下、下痢、およびメレナであった。罹患した犬のほとんどで、診断から2週間以内に、治療されずに安楽死された。積極的な治療(手術と化学療法)をうけた2頭は、かなり長い期間(12ヶ月と36ヶ月)生存した。組織学的に、これらのチャウチャウのヒトの家族性胃癌(印鑑細胞と粘液変異体に富むびまん性タイプの腺癌)と同様の組織タイプで成っていた。 チャウチャウにおけるびまん性の胃腺癌の病態を理解することで、ヒトにおけるこの侵攻性がんの生物学的知見が得られる可能性がある。

Xenoulis, Panagiotis G., et al.
"Investigation of hypertriglyceridemia in healthy Miniature Schnauzers." 
Journal of veterinary internal medicine 21.6 (2007): 1224-1230.

PubMedリンク PMID:18196730
本文:無料公開あり(全文

タイトル:健康なミニチュア・シュナウザーにおける高トリグリセリド血症の調査

==アブストラクト=== 
背景:特発性高トリグリセリド血症はミニチュア・シュナウザーで報告されている。しかし、ミニチュア・シュナウザーの大きな集団におけるこの疾患の有病率を調査した研究はない。

仮説:高トリグリセリド血症は健康なミニチュア・シュナウザーで一般的である。

動物:健康なミニチュア・シュナウザー192頭と健康な他犬種の犬38頭(対照犬)。

方法:血清トリグリセリドとコレステロール濃度を測定し、ミニチュア・シュナウザーと対照犬のグループで統計的に比較をした。年齢に基づいて犬を分類し、血清トリグリセリド濃度の中央値を年齢のグループ毎に比較した。

結果:ミニチュア・シュナウザー192頭中63頭(32.8%)で血清トリグリセリド濃度が参照範囲を超えていた。対照的に、対照犬では38頭中2頭(5.3%)で血清トリグリセリド濃度が参照範囲を超えていた。ミニチュア・シュナウザーにおける血清トリグリセリド濃度の中央値は73.5mg/dlであり、これは対照グループ(中央値 55mg/dl)と比べて有意い高かった(p=0.0005)。血清コレステロール濃度は、ミニチュア・シュナウザー100頭中9頭(9.0%)と対照犬2頭(5.3%)で参照範囲を超えていた。ミニチュア・シュナウザーにおける血清トリグリセリド濃度の中央値は年齢とともに有意に上昇し(p<0.0001)、血清トリグリセリド濃度と年齢の間には有意な正の相関があった(スピアマン r=0.47;p<0.0001)。ミニチュア・シュナウザーの雄と雌の間には血清トリグリセリド濃度の差はなかった。

結論
:健康なミニチュア・シュナウザーは、健康な他の犬種に比べて、高トリグリセリド血症の有病率が高い。高トリグリセリド血症の有病率と重症度は年齢とともに上昇した。
 

Xenoulis, P. G., et al.
"Serum triglyceride concentrations in Miniature Schnauzers with and without a history of probable pancreatitis." 
Journal of veterinary internal medicine 25.1 (2011): 20-25.

PubMedリンク PMID:21143300
本文:無料公開あり(全文

タイトル:膵炎の疑いの病歴がある/ないミニチュア・シュナウザーにおける血清トリグリセリド濃度

==アブストラクト=== 
背景:犬における高トリグリセリド血症と膵炎の関係は、 いまだに不明なままだ。ミニチュア・シュナウザーにおける膵炎の原因として高トリグリセリド血症の潜在的な役割が疑われている。

仮説/目的:最近の膵炎の病歴がある/ないミニチュア・シュナウザーの間で、血清トリグリセリド濃度を比較すること。

動物:膵炎の病歴があるミニチュア・シュナウザー17頭(グループ1)と、膵炎の病歴のない年齢調整されたミニチュア・シュナウザー34頭(グループ2) を前向きに登録した。

方法:前向き症例-対照研究。膵炎のあるミニチュア・シュナウザー17頭のそれぞれから2つのサンプルを採取した(1つは膵炎の最中、もう1つは臨床的および生化学的に膵炎が治癒した後) 。血清トリグリセリドとコレステロール濃度を、グループ1
(膵炎治癒後)とグループ2で比較した。

結果:グループ1のミニチュア・シュナウザーは、グループ2と比較して、膵炎治癒後に高トリグリセリド血症(>108mg/dl)がある可能性が有意に高かった (71% vs 23%;オッズ比5.03;95%信頼区間1.4-17.8;p=0.163)。血清トリグリセリド濃度は、膵炎治癒後のグループ1の犬が、グループ2の犬に比べて有意に高かった(中央値 605.0mg/dl vs 73.5mg/dl;p=0.002)。

結論と臨床的意義
:膵炎の病歴のあるミニチュア・シュナウザーは、高トリグリセリド血症である可能性が対照犬より5倍高かった。この犬種では一部の犬では、高トリグリセリド血症が膵炎の発症に関連している可能性がある。ミニチュア・シュナウザーや他の犬種で、高トリグリセリド血症が膵炎の発症にはたす役割をさらに明確にするためには、さらなる研究が必要だ。
 

Xenoulis, Panagiotis G., et al.
"Serum liver enzyme activities in healthy Miniature Schnauzers with and without hypertriglyceridemia." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 232.1 (2008): 63-67.

PubMedリンク PMID:18167110
本文:無料公開なし

タイトル:高トリグリセリド血症を伴う/伴わないミニチュア・シュナウザーの血清肝酵素活性

==アブストラクト=== 
目的:健康なミニチュア・シュナウザーにおける高トリグリセリド血症が血清肝酵素活性の高値と関連しているかどうかを調べること。

デザイン:横断的研究。

動物
:血清トリグリセリド濃度が参照範囲内のミニチュア・シュナウザー65頭(グループ1)、 血清トリグリセリド濃度がわずかに上昇しているミニチュア・シュナウザー20頭(グループ2)、血清トリグリセリド濃度が中程度から重度に上昇しているミニチュア・シュナウザー20頭(グループ3)。

方法:それぞれの犬の病歴に関するアンケートを完成させ、血清アルカリフォスファターゼ(ALP)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、およびGグルタミントランスフェラーゼ(GGT)活性を測定した。

結果
:血清ALP活性の中央値は、グループ1、2よりもグループ3で有意に高かったが、グループ1と2では有意な差はなかった。血清ALT活性の中央値はグループ1よりもグループ3で有意に高かったが、他のグループ間で有意な差はなかった。グループ1と比べて、グループ2と3の犬では血清ALP活性が高い可能性が有意に高かった(オッズ比 それぞれ26.3、192.6)。グループ3の犬は、グループ1と比べて、血清ALT活性(オッズ比 8.0)、血清AST活性(オッズ比 3.7)、血清GGT活性(オッズ比 11.3)が高い可能性が有意に高かった。グループ3の犬は、グループ1の犬と比べて、2つ以上の血清肝酵素活性が高い可能性が有意に高かった(オッズ比 31.0)。

結論と臨床的意義
:この結果から、ミニチュア・シュナウザーにおける中程度から重度の高トリグリセリド血症は血清肝酵素活性の高値と関連することが示唆された。 

Nestor, Derek D., et al.
"Serum alkaline phosphatase activity in Scottish Terriers versus dogs of other breeds." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 228.2 (2006): 222-224.

PubMedリンク PMID:16426191
本文:無料公開なし

タイトル:スコティッシュ・テリアと他の犬種における血清アルカリフォスファターゼ活性

==アブストラクト=== 
目的:他の犬種と比較して、スコティッシュ・テリアでは血清アルカリフォスファターゼ(ALP)活性が高く、それに関連した疾患の有病率が高いかどうかを調べること。

デザイン:回顧的症例対照研究・

動物:スコティッシュ・テリア85頭と年齢調整したスコティッシュ・テリア以外の対照犬340頭。

方法:医療記録を再調査し、評価した年、年齢、性別、品種、血清ALP活性、最終診断を記録した。

結果
:スコティッシュ・テリアは対照犬と比べて血清ALP活性の平均が有意に高かった(1520 U/L vs 306 U/L)。犬種にかかわらず、高血清ALP活性に一般に関連する疾患のある犬では、それらがない犬に比べて血清ALP活性が有意に高かった(1304 U/L vs 427 /L)。スコティッシュ・テリアは対照犬に比べて、高血清ALP活性に一般に関連する疾患を2.4倍高く有していたが、高血清ALP活性に関連する疾患をもつスコティッシュ・テリアは同様の疾患をもつ対照犬よりも血清ALP活性の平均が有意に高かく(2073 U/L vs 909 U/L)、同様の疾患のないスコティッシュ・テリアも疾患のない対照犬よりも血清ALP活性が有意に高かった(1349 U/L vs 228 U/L)。

結論と臨床的意義
:この結果は、スコティッシュ・テリアは他の犬種と比べて血清ALP活性が高いことを示唆している。スコティッシュ・テリアは 高血清ALP活性に関連する疾患の有病率が高いが、これ単独で、この犬種における血清ALP活性の平均値の高さを説明することはできない。

 

Cantatore, M., et al.
"Medium term endoscopic assessment of the surgical outcome following laryngeal saccule resection in brachycephalic dogs." 
Veterinary Record 170.20 (2012): 518-518.

PubMedリンク PMID:22472536
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル
:短頭種犬における喉頭小嚢切除後の外科的結果についての中期の内視鏡的評価

==アブストラクト===
喉頭小嚢反転は、短頭種気道閉塞症候群(BAOS)の重要な構成要素として広く報告されている。著者らは、口蓋および鼻孔の手術を受けたあとに顕著に改善する患者では、急性の組織学的変化によって罹患した小嚢は、自然に正常に戻る可能性があるという仮説を立てた。さらに、線維性の小嚢がある、および/またはBAOSの手術後に臨床的な改善のない患者では反転の自然な治癒は不可能であり、逆に乱気流と進行中の炎症の持続は、切除後の異常な組織増殖につながる可能性があるという仮説も立てた。

これらの仮説を実証するために、片側の喉頭小嚢切除を行い、再度の喉頭鏡検査の所見によって反対側の小嚢の切除の必要性を評価することにした。10頭の犬が組み入れられた。残った小嚢で自然に反転が治癒したものはなかった。1頭の犬で、喉頭小嚢切除後に新たに小嚢が発生したような軟部組織の増生が内視鏡でみられた

本研究の結果は、
一時的な異常(口蓋、鼻孔)の矯正後であっても喉頭小嚢反転の自然治癒はまれであることを示唆している。小嚢の切除は声門裂腹側の閉塞を緩和することができるが、二次的治癒によって閉塞が再発する場合がある。
 

Hayakawa, Sayuri, et al.
"A novel form of macrothrombocytopenia in Akita dogs."
 
Veterinary clinical pathology 45.1 (2016): 103-105.

PubMedリンク PMID:26927710
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル:秋田犬における巨大血小板性血小板減少症の新規形態

==アブストラクト=== 
臨床的な出血傾向のない持続的な巨大血小板性血小板減少症の共通の病歴をもつ、関連のない秋田犬3頭からの血液サンプルを、オーバーン大学獣医学部診療病理検査所に評価を目的に送られた。血小板数が少ないため、1頭の秋田犬は免疫介在性血小板破壊を疑いプレドニゾロンによって治療されており、1頭はダニ媒介性の感染症を疑い1ヶ月間ドキシサイクリンで治療されたが、2頭とも血小板数は低いままであった。3頭すべてで異常出血がなく、2頭では治療への反応がなかったことから、先天性の巨大血小板性血小板減少症が疑われた。興味深いことに、3頭すべての血小板は一貫して細長い形態をしていた。他の細胞系では形態的な異常は観察されなかった。秋田犬には遺伝的な巨大血小板性血小板減少症の可能性があるという逸話的な報告はあるが、それらの報告を検証する科学的な研究は行われていない。この原稿は、臨床的徴候のない持続的な血小板減少をもとにした秋田犬における先天性巨大血小板性血小板減少症の可能性について説明し、独特の血小板形態を特徴付けた最初の症例報告である。

Fukushima, Kenjiro, et al.
"Efficacy of leflunomide for treatment of refractory inflammatory colorectal polyps in 15 Miniature Dachshunds."
 
Journal of Veterinary Medical Science 78.2 (2016): 265-269.

PubMedリンク PMID:26460312
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:ミニチュアダックスフント15頭における難治性炎症性結腸直腸ポリープの治療としてのレフルノミドの効果

==アブストラクト=== 
炎症性結腸直腸ポリープは、ミニチュアダックスフントで一般的であり、血便、しぶり、粘液性糞便を示す。プレドニゾロンとシクロスポリンによる治療で
炎症性結腸直腸ポリープの犬の80%が反応すると報告されてはいるが、残り20%には効果的な治療が必要となる。レフルノミドは様々な免疫介在性疾患において有効性が報告されている免疫抑制剤である。

この研究では、プレドニゾロンとシクロスポリンの治療に難治性の
炎症性結腸直腸ポリープの犬15頭において、レフルノミドの有効性と有害事象について回顧的に評価した。治療効果は内視鏡、臨床症状、および直腸診によって評価した。有害事象は、追跡期間中の臨床症状と血液検査で評価した。

レフルノミドの反応率は93.3%であった。レフルノミドの投与量の中央値は3mg/kg(範囲 1.7-4.0mg/kg)であり、反応期間の中央値は35日(範囲 20-119日)であった。有害事象には元気消失(3頭)、食欲低下(1頭)、呼吸器症状(1頭)、白血球減少症(2頭)、血小板減少症(1頭)、貧血(1頭)、および肝酵素の上昇(8頭)が含まれた。多くの有害事象は症状の治療とレフルノミドの休薬または減量によって改善した。

結論として、プレドニゾロンとシクロスポリンによる治療に難治性の炎症性結腸直腸ポリープの犬において、レフルノミドによる治療は効果的である。様々な有害事象が観察されたため、レフルノミド治療のフォローアップには密なモニタリングを必要をする。

Ohmi, Aki, et al.
"A retrospective study of inflammatory colorectal polyps in miniature dachshunds." 
Journal of Veterinary Medical Science (2011): 1108300623-1108300623.

PubMedリンク PMID:21897060
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:ミニチュアダックスフントの炎症性結腸直腸ポリープの回顧的研究

==アブストラクト=== 
結腸直腸ポリープのある犬の医療記録を回顧的に再調査し、ミニチュアダックスフントにおける炎症性結腸直腸ポリープの臨床所見について評価した。33頭に結腸直腸ポリープがあり、ミニチュアダックスフントは16頭(48%)で好発であり、そのうち12頭(75%)は炎症性ポリープであった。直腸から下行結腸の間に存在する多発性のポリープが、炎症性ポリープのあるミニチュアダックスフントにおいて最も多い所見であった。炎症性結腸直腸のあるミニチュアダックスフント25頭中20頭(80%)が、プレドニゾロンとシクロスポリンを用いた免疫抑制療法に反応した。この研究の結果は、ミニチュアダックスフントには炎症性結腸直腸多発性ポリープの発症の素因があり、免疫抑制療法が治療の選択肢になるかもしれないことを示している。
 

Dorn, Marianne, and Ian J. Seath.
"Neuter status as a risk factor for canine intervertebral disc herniation (IVDH) in dachshunds: a retrospective cohort study."
 
Canine genetics and epidemiology5.1 (2018): 11.

PubMedリンク PMID:30459956
本文:無料公開あり(全文

タイトル:ダックスフントにおける椎間板ヘルニアのリスク因子としての中性化状態;後ろ向きコホート研究

==アブストラクト=== 
背景:椎間板ヘルニア(IVDH)は、椎間板変性に続発する椎間板の変位を伴い、ダックスフントでは非常に一般的である。 臨床徴候には、不全麻痺・麻痺を伴うまたは伴わない痛みが含まれた。死亡率は高く、一部の症例では治療後にも永続的な機能障害が残る。この研究の目的は2つある。ひとつは、中性化(つまり性線除去)がダックスフントにおける椎間板ヘルニアのリスクの増加に関連しているかどうかを調べることであり、ふたつめは中性化の年齢がこの犬種で椎間板ヘルニアのリスクを変化させるかどうかを調べることである。情報は、飼い主調査”Dachslife 2015"から1964頭のダックスフントで収集した。調査時点で3歳以上、10歳未満のダックスフント(1073頭)について、 早期中性化(12ヶ月未満)と後期中性化(12ヶ月以上)、および未中性化についてそれぞれの性別で、椎間板ヘルニアの発生率を比較した。

結果:中性化した雌は、中性化していない雌と比較して椎間板ヘルニアのリスクが有意に高かった(リスク比 1.81、95%信頼区間1.28-2.54)。雄では、中性化していないと比べて、中性化における椎間板ヘルニアの発生率は上昇したが、この差は統計学的に有意ではなかった(リスク比1.38、95%信頼区間0.96-1.99)。それぞれの性別で、この研究は早期中性化(12ヶ月齢未満)のダックスフントは、後期中性化(12ヶ月齢以降)のダックスフントと比較して、椎間板ヘルニアのリスクが有意に増加することを示した。早期中性化の雄では、リスク比は1.54(95%信頼区間 1.07-2.22)であった。早期中性化の雌では、リスク比は2.12(95%信頼区間1.44-3.11)であった。

結論
:この回顧的研究の結果によって、性腺除去は、特にそれが12ヶ月未満に行われた場合に、 この犬種において椎間板ヘルニアのリスクを上昇させることが示唆された。中性化に関する決定は、長所と短所の範囲を考慮して、個別に行う必要がある。ダックスフントにおける椎間板ヘルニアの高い発生率、有病率、死亡率を考慮すれば、中性化による椎間板ヘルニアのリスクの増加は、中性化を行うかどうか、およびいつ行うかどうかの決定において考慮される重要な要素だ。
 

Gelatt, Kirk N., and Edward O. MacKay.
"Prevalence of the breed‐related glaucomas in pure‐bred dogs in North America." 
Veterinary ophthalmology 7.2 (2004): 97-111.

PubMedリンク PMID:14982589
本文:無料公開なし

タイトル:北アメリカの純血種における品種関連緑内障の有病率

==アブストラクト=== 
目的:獣医療データベースに参加している北アメリカの獣医療教育病因に来院した純血種における品種関連緑内障の有病率を調べること。

方法:この回顧的研究では、すべての犬種の初回診断時の年齢、品種、および性別のデータについて、1964-2002年の間の5-10年間隔で原発性緑内障と臨床的に診断された獣医療データベースから収集した。緑内障に対してのそれぞれの品種の有病率(罹患した全ての犬と比較して)、38年に渡る変化、および性差について調べた。

結果
:原発性品種関連緑内障の有病率は、徐々に増えてきており、0.29%(1964-1973年)から、0.46%(1974-1983年)、0.76%(1984-1993年)、 0.89%(1994-2002年)となった。4つの異なる期間(1964-2002年)で緑内障の有病率が最も高い10品種で常に特徴的だったのが、アメリカンコッカースパニエル、バセットハウンド、ワイヤーフォックステリア、およびボストンテリアであった。最後の観察期間(1994-2002年)の間では、異なる22の品種が緑内障の有病率1%を超えていた。1994-2002年の間に緑内障の有病率が高かった品種には、アメリカンコッカースパニエル(5.52%)、バセットハウンド(5.44%)、チャウチャウ(4.70%)、シャーペイ(4.40%)、ボストンテリア(2.88%)、ワイヤーフォックステリア(2.28%)、ノルウェジアンエルクハウンド(1.98%)、シベリアンハスキー(1.88%)、ケアンテリア(1.82%)、およびミニチュアプードル(1.68%)が含まれた。雌での緑内障の好発傾向は、アメリカンコッカースパニエル、バセットハウンド、ケアンテリア、チャウチャウ、イングリッシュコッカースパニエル、サモエド、およびもしかしたらシベリアンハスキー、でみられ、雄犬での好発傾向はオーストラリアンキャトルドッグ、およびセントバーナードでみられた。純血犬種において年齢は緑内障の初回来院に影響を与えた。品種の大多数で、4-10歳齢の間に緑内障の初回診断で来院した。

結論
:純血犬種における品種関連緑内障は北アメリカの獣医療教育病院に頻繁に来院する。犬における品種関連緑内障の有病率はヒトと類似しているようであり、品種によっては人よりも多い。多くの品種で緑内障の高い有病率は遺伝的な基礎を示唆している。

Park, Shin Ae, et al.
"Clinical manifestations of cataracts in small breed dogs." 
Veterinary ophthalmology 12.4 (2009): 205-210.

PubMedリンク PMID:19604334
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:小型犬種における白内障の臨床症状

==アブストラクト=== 
目的
:白内障で来院した小型犬種における有病率、病因、および同時にみられた眼科所見について調べること。

動物
2002年7月から2007年12月の間にソウル大学獣医療教育病院に561頭の小型犬(942眼)が白内障で来院した。

方法
:白内障のある小型犬の医療記録を再調査した。来院の理由、白内障の期間、両側性、品種、性別、年齢、視覚、病因、白内障進行のステージ、併発する眼科所見、眼圧、眼の超音波検査所見、および暗所網膜電図について調べた。

結果
:最も多く来院した犬種はミニチュア/トイプードル(n=122、20%)、ヨークシャーテリア(n=110、19.6%)およびシーズー(n=95、16.9%)であった。ミニチュア/トイプードルは白内障形成のオッズが有意に高かった。集団全体で、雌の白内障患者の割合は、雄の患者に比べて有意に高かった(p<0.05)。ミニチュア/トイプードルは白内障の雌の数が有意に高かった(p<0.01)。白内障形成の平均年齢は8.3±3.9歳齢であった。ミニチュア/トイプードルとヨークシャーテリアにおける発症時の平均年齢は有意に高く、一方でミニチュアシュナウザーでは有意に低かった(p<0.0001)。水晶体誘発性ぶどう膜炎に関連する臨床徴候は、白内障の進行とともに増加する傾向があった(p<0.05)。ステージによるmixed rod cone responseに対するb波振幅に有意な差はなかった(p=0.137)。

結論:白内障の小型犬種では、犬種ごとに発症年齢と性別の分布に特徴があった。 

Adkins, Elizabeth A., and Diane VH Hendrix.
"Outcomes of dogs presented for cataract evaluation: a retrospective study."
 
Journal of the American Animal Hospital Association 41.4 (2005): 235-240.

PubMedリンク PMID:15995160
本文:無料公開なし

タイトル
白内障の評価で来院した犬の転帰;回顧的研究

==アブストラクト=== 
2001年1月から2002年12月にかけてテネシー大学に白内障の評価で来院した244頭の犬を評価した。54の犬種が罹患した。白内障に対するオッズ比は、雑種犬と比較して6つの純血種(コッカースパニエル、ミニチュアシュナウザー、トイプードル、ボストンテリア、ミニチュアプードル、およびビションフリーゼ)で有意に高かった。159頭の犬は白内障手術を行わなかった。手術を行わない最も多い理由は、網膜変性(n=66)であった。

Gelatt, Kirk N., and Edward O. MacKay.
"Prevalence of primary breed‐related cataracts in the dog in North America."
 
Veterinary Ophthalmology 8.2 (2005): 101-111.

PubMedリンク PMID:15762923
本文:無料公開なし

タイトル
北アメリカにおける主要な品種関連白内障の有病率

==アブストラクト=== 
この研究の目的は、1964年から2003年の間に北アメリカの獣医療教育病院に来院した犬における白内障の有病率を調べることである。
1964年から2003年の間に北アメリカの獣医療教育病院に白内障で来院したすべての犬についての回顧的研究を行い、白内障の有病率を調べた。10年毎に、品種、性別および白内障での来院時の年齢について比較した。

白内障で来院した犬の有病率は、年代毎で様々で、0.95%(1964-1973年)、1.88%(1974-1983年)、2.42%(1994-2003年)、3.5%(1984-1993年)の範囲だった。40年間に渡って白内障で来院した犬の総数は39,229頭であった。1964から2003年にかけてこの患者集団における白内障の有病率はおよそ255%増加した。59品種の犬が、雑種/混血種の犬でみられた1.61%のベースラインの有病率を超えていた。白内障の有病率が最も高かった犬種は以下の通り;スムースフォックステリア(11.70%)、ハバニーズ(11.57%)、ビションフリーゼ(11.45%)、ボストンテリア(11.11% )、ミニチュアプードル(10.79%)、シルキーテリア(10.29%)、およびトイプードル(10.21%)。40年全体で白内障の犬の頭数が最も多かった犬種は以下の通り;ボストンテリア(11.11%)、ミニチュアプードル(10.79%)、アメリカンコッカースパニエル(8.77%)、スタンダードプードル(7.00%)、およびミニチュアシュナウザー(4.89%)であった。白内障の犬の性別比は、一部の毛品種に影響を与えているようだった。白内障診断での来院時の年齢は、いくつかの犬種の間でさまざまだった。雑種/混血種のベースラインの集団において、白内障形成は年齢に関連しているようであり、4-7歳齢以降の犬で白内障形成はより頻繁にみられた。

この集団においては、白内障は最も有病率の高い眼疾患のひとつであり、およそ60の品種の犬が、
雑種/混血種のベースラインのを超える白内障の有病率であった。白内障の有病率は多くの純血種で年齢による影響もうけ、7-15歳以上の雑種/混血種の犬の集団においては16.80%が罹患していた。犬における全体および年齢関連の白内容の有病率は、人もそれと非常に類似しているようだ。

Allen, Heidi S., et al.
"Associations of diet and breed with recurrence of calcium oxalate cystic calculi in dogs."
 
Journal of the American Veterinary Medical Association 246.10 (2015): 1098-1103.

PubMedリンク PMID:25932935
本文:無料公開なし

タイトル:犬のシュウ酸カルシウム膀胱結石の再発と食事および犬種の関連

==アブストラクト===
目的:2つの療法食のうちの1つを食べている様々な品種の犬におけるシュウ酸カルシウム膀胱結石の再発の長期的リスクを評価すること。

デザイン:回顧的コホート研究。

動物:シュウ酸カルシウム膀胱結石の病歴のある犬135頭。 

方法:4つの紹介病院の医療記録を検索し、シュウ酸カルシウム膀胱結石を摘出した犬を同定した。飼い主に連絡をとり、医療記録を評価して、術後の食事、下部尿路疾患の再発徴候、および膀胱結石の再発の情報について得た。犬種(高リスク犬種、低リスク犬種、ミニシュアシュナウザー) およぶ膀胱結石摘出後の食事(食事A、食事B、およびその他の食事[食事C]、食事AとBはシュウ酸カルシウムの再発を予防するために構成された療法食)に基づいて犬を分類した。

結果:犬種のグループは、結石の再発(腹部レントゲンまたは超音波検査で確認)に有意な予測因子であり、ミニチュアシュナウザーは他の犬種よりも再発リスクが3倍であった。食事Aの犬は食事Cの犬よりも再発の発生が少なかったが、これは多変量解析で有意な差ではなかった。

結論と臨床的意義
:この結果はミニチュアシュナウザーは、他の犬種よりもシュウ酸カルシウム膀胱結石の再発のリスクが高いことを示している。さらに、食事は再発を減らす役割を担っている可能性について示唆しているが、 これらを検証するためにはさらなる前向き研究が必要である。
 

Lowrie, M., et al.
"Characterization of Paroxysmal Gluten‐Sensitive Dyskinesia in Border Terriers Using Serological Markers."
 
Journal of veterinary internal medicine 32.2 (2018): 775-781.

PubMedリンク PMID:
本文:無料公開あり(全文) 

タイトル:血清学的マーカーを用いたボーダーテリアにおける発作性グルテン感受性ジスキネジアの特徴の調査

==アブストラクト===
背景:ボーダーテリアにおける発作性グルテン感受性ジスキネジアは、トランスグルタミナーゼ(TG)2とグリアジンに対する直接的な免疫反応の結果として起こる。最近の根拠によると、 
発作性グルテン感受性ジスキネジアはこの犬種におけるグルテン感受性の可能性のある兆候の範囲のうちのほんの一面であることが示唆されている。

仮説/目的
:ボーダーテリアにおけるグルテン感受性は、多様な臨床スペクトラムをもつ不均一な疾患過程であり、診断マーカーとしてTG2とグリアジンの自己抗体を用いて発作性グルテン感受性ジズキネジアの表現型を特徴付ける。

動物:様々な障害のある家庭飼育のボーダーテリア128頭。

方法
:前向き研究。発作性のエピソードと正常な発作間欠期検査のあるボーダーテリアを、代表的なエピソードのビデオを用いて表現型を決定し、3つのグループに分類した;特発性てんかん、発作性ジスキネジア、またはその他。それぞれの犬の飼い主にアンケートに答えてもらい、臨床徴候に関する情報を得た。健康なボーダーテリアを対照グループとした。TG2およびAGAに対する血清抗体を全ての犬で測定した。

結果
: 128頭のボーダーテリアが登録された;発作性ジスキネジアのある犬45頭、特発性てんかんのある犬28頭、その他の病態のある犬35頭、対照犬20頭。3つの表現型の重複が特定された;発作性ジスキネジア、胃腸疾患を示唆する徴候、および皮膚病。発作性ジスキネジアの犬のAGA-IgG濃度は、特発性てんかん(p=0.012)、対照(p<0.0001)およびその他(p<0.0001)と比較して上昇していた。血清学的マーカーは、発作性グルテン感受性ジスキネジアに対して高い特異度をもつが、感度は欠如していた。

結論
:発作性グルテン感受性ジスキネジアは、一過性のジスキネジアのエピソード、胃腸疾患を示唆する徴候、および皮膚過敏症から構成されるグルテン不耐性の症候群の一部のようだ。

 

Black, V., et al.
"Phenotypic characterisation of canine epileptoid cramping syndrome in the Border terrier."
 
Journal of Small Animal Practice 55.2 (2014): 102-107.

PubMedリンク PMID:24372194
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:ボーダーテリアの犬てんかん性けいれん症候群( canine epileptoid cramping syndrome )の表現型の特徴

==アブストラクト===
目的
:犬てんかん性 けいれん症候群(注) canine epileptoid cramping syndrome )に罹患している疑いがあるボーダーテリアの表現型の特徴について調べ、寄与している可能性のある因子を特定すること。

方法:犬てんかん性けいれん症候群の疑いのあるボーダーテリアの飼い主に、オンラインアンケートへの回答を依頼した。この回答の結果を収集して解析した。

結果
:29頭のボーダーテリアが含まれた。ほとんどの罹患犬で、3歳齢(範囲 0.2-7.0歳齢)よりも前に最初の症状は発現があった。 多くの症状発現が2-30分(範囲 0.5-150分)した。症状発現中に最も頻繁に観察されたのは、歩行困難(27/29)、軽度の震え(21/29)、およびジストニア(22/29)であった。症状発現は四肢(25/29)および頭頚部(21/29)で最も頻繁にみられた。症状発現中に腹鳴が11/29でみられた。嘔吐と下痢が14/29で起こり、このうち50%は犬てんかん性けいれん症候群の症状発現の直前か直後であった(7/14)。ほとんどの飼い主(26/29)が犬の食事を変更し、およそ50%(14/26)がその後の症状発現の頻度の減少を報告している。

臨床的意義
:この研究では、犬てんかん性けいれん症候群( canine epileptoid cramping syndrome)の表現型が、ヒトで報告された発作性ジスキネジアである発作性運動誘発性舞踏アテトーシス( paroxysmal dystonic choreoathetosis)と類似していることを示している。この障害は、胃腸徴候と関連している犬もいるようであり、少なくとも一部では食事の調整に反応するようだ。


==訳者補足===
注) 
 canine epileptoid cramping syndrome の訳が、犬てんかん性けいれん症候群でいいのかわかりませんでした。
 
ボーダーテリア(wikipediaから画像引用 
https://ja.wikipedia.org/wiki/ボーダー・テリア
Border-terrier-bitch

youtubeで”
canine epileptoid cramping syndrome border terriers”で探すと動画がいろいろみれますね。

Sarran, D., A. Caron, and J. P. Billet.
"Vocal fold granulomas in six brachycephalic dogs: clinical, macroscopical and histological features." 
Journal of Small Animal Practice (2018).

PubMedリンク PMID:29869330
本文:無料公開なし

タイトル:6頭の短頭種犬の声帯の肉芽腫;臨床的、肉眼的、組織学的な特徴

==アブストラクト===
 声帯の肉芽腫は短頭種犬でみられることが稀だが、ヒトでは接触性肉芽腫としてしばしば報告されている。6頭のフレンチブルドッグをこの回顧的研究に含めた。内視鏡喉頭検査をすべての犬で麻酔下で行なった。声帯の病変は片側のみで、外方の、およそ3mm幅の潰瘍性の粘膜結節であり、声帯から発生していた。病理組織学的検査では主に喉頭上皮の慢性の炎症性変化が明らかとなり、それはヒトで述べられている喉頭肉芽腫に一致していたが、病変の部位は違った(犬では声帯、ヒトでは声帯突起)。ヒトでは、喉頭粘膜への慢性の物理的または化学的な損傷(慢性の咳または咳払い、声の酷使、胃食道逆流)によって肉芽腫は起こる。短頭種では、慢性の吸気努力と空気の乱流、および胃食道逆流が慢性の喉頭の炎症を起こすことが疑われている。
 

Gruenheid, Michaela, et al.
"Risk of anesthesia-related complications in brachycephalic dogs." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 253.3 (2018): 301-306.

PubMedリンク PMID:30020004
本文: 無料公開なし

タイトル:短頭種犬における麻酔関連の合併症

==アブストラクト===
目的
:短頭種犬は非短頭種と比べて麻酔関連の合併症のリスクが高いかどうかを調べ、それらの合併症に対する他の因子を同定すること。

デザイン:回顧的コホート研究。

動物
:2012年にルーチンな外科手術もしくは画像診断のための全身麻酔を行なったに家庭飼育の短頭種犬223頭と、手術手技とその他の特徴をマッチさせた家庭飼育の非短頭種犬223頭。

方法:犬のシグナルメント、臨床徴候、麻酔項目、手術特徴、および麻酔中および麻酔後(退院までの間)の合併症に関するデータを医療記録から収集した。合併症のリスクを、他の要因を調整した上で短頭種と非短頭種で比較した。

結果
:周麻酔期(麻酔中および麻酔後)の合併症は、すべての446頭の犬のうち49.1%(n=219)で記録され(短頭種の49.8%[111/223]、非短頭種の48.4%[108/223])、麻酔後の合併症は8.7%(39/446、短頭種の13.9%[31/223]、非短頭種の3.6%[8/223])であった。周麻酔期の合併症の発生率の高さに関連する因子には、短頭種、麻酔時間が長いことが含まれ、周術期の合併症のリスクの減少には体重と整形外科または放射線手技(軟部組織手術に比較して)が関連した。麻酔後の合併症の発生率の高さに関連する因子には、短頭種、米国麻酔学会(ASA)状態の上昇、麻酔導入でのケタミンとベンゾジアゼピンの使用(プロポフォール±リドカインにに比較して)、および侵襲性の手技が含まれた。

結論と臨床的関連
他の要因を調整したうえで、ルーチンの手術または画像診断を行う短頭種犬では周麻酔期および麻酔後期における合併症が、非短頭種犬と比較して高かった。周麻酔期の短頭種犬では注意深いモニタリングが推奨される。
 
 

Bexfield, N. H., et al.
"Breed, age and gender distribution of dogs with chronic hepatitis in the United Kingdom." 
The Veterinary Journal 193.1 (2012): 124-128.

PubMedリンク PMID:22225827
本文:無料公開あり(全文) 

タイトル
:イギリスにおける慢性肝炎の犬の品種、年齢、性別の分布

==アブストラクト===
 犬の慢性肝炎の診断に対して、標準化された組織学的な基準は利用できるようになった。慢性肝炎は犬で一般的であるが、イギリスにおける品種、年齢、性別を報告した研究はない。この研究の目的は、イギリスでどの犬種に慢性肝炎の発症リスクがあるかを決定し、それらの犬種における年齢と性別の分布を報告することである。

6つの獣医病理組織学検査所のデータベースを、照準化した基準に従い病理組織学的に慢性肝炎と診断された症例を検索した。犬の品種、年齢、性別を記録し、対照集団と比較して慢性肝炎の発症のオッズ比と95%信頼区間を算出した。合計で551頭の慢性肝炎の犬が同定され、61犬種から成っていた。19犬種は5頭以上の症例がみられた。慢性肝炎の発症リスクが高い犬種には、アメリアカンコッカースパニエル、ケアンテリア、ダルメシアン、ドーベルマンピンシャー、イングリッシュコッカースパニエル、イングリッシュスプリンガースパニエル、グレートデン、ラブラドールレトリバー、およびサモエドが含まれた。慢性肝炎の犬種すべての診断時の年齢の中央値は、8歳(範囲:7ヶ月-16歳)であった。慢性肝炎のダルメシアン、ドーベルマンピンシャー、イングリッシュスプリンガースパニエルは、慢性肝炎のケアンテリア、イングリッシュコッカースパニエル、ラブラドールレトリバーに比べて、有意に若かった。一緒に検査された全ての症例で、雌が多くみられた。

結論として、イギリスにおいていくつかの犬種で慢性肝炎のリスクが高く、そのうちいくつかはこれまで報告されていないものだった。 

Smedley, R., T. Mullaney, and W. Rumbeiha.
"Copper-associated hepatitis in Labrador Retrievers." 
Veterinary pathology 46.3 (2009): 484-490.

PubMedリンク PMID:19176511
本文:googlescholar経由で入手可能(全文) 

タイトル:ラブラドールレトリバーの銅関連性肝炎

==アブストラクト===
肝臓銅レベルの上昇したラブラドールレトリバーが報告されているが、この犬種の原発性銅関連性肝炎が発生するかどうかは不明である。

この研究の目的は、 ミシガン州立大学の健康診断と診断センターの集団の症例を再調査することにより、銅関連性肝炎がラブラドールレトリバーにおいて同定されるかどうかを調べることである。

4歳から11歳の16頭のラブラドールレトリバー(雄3、雌12、性別不定1)で、豊富に細胞質内に銅とヘモジデリンを含むマクロファージを特徴として、多巣性かつ合体性の小葉性肝炎がみられた。その他の病変として、多巣性の小葉中心性およびランダムの色素性肉芽腫、肝細胞壊死、肝内胆汁うっ滞、小葉中心または橋線維症、および時折、偽小葉形成がみられた。ローダニン染色の切片において、銅は小葉中心と中間帯の肝細胞、およびマクロファージに集中しており、これは銅関連性肝炎と一致する。12頭の犬で、定量的な肝臓銅レベルが入手可能であり、2頭を除くすべてでそのレベルは2000ppm肝臓重量を超えていた。1頭では肝臓銅レベルは1990ppm乾燥重量であり、また肝硬変に進行した1頭では1490pp乾燥重量であった。


これらの所見は、ラブラドールレトリバーにおいて原発性の銅関連性肝炎が起こり可能性を示唆している。

Shih, Julia L., et al.
"Chronic hepatitis in Labrador Retrievers: clinical presentation and prognostic factors." 
Journal of veterinary internal medicine 21.1 (2007): 33-39.

PubMedリンク PMID:17338147
本文:無料公開あり(全文) 

タイトル:ラブラドールレトリバーの慢性肝炎;臨床像と予後因子

==アブストラクト===
背景:ラブラドールレトリバーにおける慢性肝炎の発生率の増加が報告されている。

仮説:ラブラドールレトリバーでは品種関連の肝障害が発生している。

動物:24頭の家庭飼育のラブラドールレトリバー

方法:病理組織学的に慢性肝炎と確定された犬の医療記録を回顧的に再調査した。 臨床徴候と生化学検査に基づいた臨床スコアを、各犬で生成した。肝生検の標本は疾患活動性、線維化、および銅蓄積についてスコア付けされた。

結果:中央年齢は9.3歳(範囲 3.9-14.0歳)であった。臨床徴候には、食欲低下、嘔吐、活動性低下、体重減少が含まれた。全ての犬は、一つ以上の肝胆道系酵素の血清活性の上昇を示していた。高ビリルビン血症と低アルブミン血症は、それぞれ45%、21%の犬でみられた。臨床スコアの中央値は2.9(範囲 0-8)であった。病理組織学的な活動性と線維化のスコアの中央値は、それぞれ3.5(範囲 1-6)、3.0(範囲 0-4)であった。ローダニン陽性銅染色は、17の生検検体のうち15でみられ、スコアの中央値は2.0(範囲 0-3)であった。中央生存期間は374日(範囲 1-2645日)であった。プロトロンビン時間の延長(p=0.013)と血小板減少症(p=0.041)は、2ヶ月未満の生存と関連していた。食欲低下の存在(p=0.049)、低グロブリン血症(p=0.045)、もしくは部分トロンボプラスチン時間の延長(p=0.033)は、全体の生存期間の短縮と関連していた。臨床スコアは、生存期間(p=0.030)と病理組織学的ステージ(p=0.049)と相関していた。

結論と臨床的重要性
: この研究におけるラブラドールレトリバーの進行性の肝障害は、慢性炎症、線維化、および銅の蓄積によって特徴付けられた。生存期間と相関する臨床スコアリングシステムは、予後予測のための非侵襲的方法として有用である可能性がある。

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