ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

小動物臨床の獣医師が、臨床に役立ちそうな論文情報をちょっとづつアップします。ねころんでいても論文検索ができればいいなと。

カテゴリ: 副作用

Duckett, Margaret E., et al.
"Fasting reduces the incidence of vincristine‐associated adverse events in dogs." 
Veterinary and Comparative Oncology (2020).


PubMedリンク PMID:33448618
本文:無料公開なし

タイトル:絶食は犬のビンクリスチン関連の有害事象の発生を減らす

==アブストラクト===
絶食は、一部にはインスリン様成長因子(IGF-1)の減少により、化学療法関連の有害事象を減らすことが示されており、マウスとヒトでは化学療法中の正常細胞への保護効果を導く可能性が示されている。この研究の目的は、ビンクリスチンの投与をうけた犬において、絶食が体質、骨髄有害事象、消化管有害事象、血清グルコースレベル、血清インスリンレベルに与える影響を調べることである。

この研究は、腫瘍のある犬における前向きクロスオーバー臨床試験である。犬は、1回目または2回目のビンクリスチン投与時に投与前24-28時間の絶食と投与後6時間の絶食とし、もう一方の投与では通常通りに食事を与えた。絶食をした場合の犬では、吐き気、食欲低下、元気消失、および血清インスリンの有意な低下がみられたが、その他の消化器徴候、好中球数、血清グルコース、IFF-1では有意な差はなかった。

腫瘍のある犬において、ビンクリスチン投与前の絶食は、体調や消化器の有害事象を和らげるための安全で有効な方法である。

Mabry, Kasey, Tracy Hill, and Mary Katherine Tolbert.
"Prevalence of gastrointestinal lesions in dogs chronically treated with nonsteroidal anti‐inflammatory drugs." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).

PubMedリンク PMID:
33534961
本文:無料公開あり(全文

タイトル:非ステロイド性抗炎症剤で慢性的に治療された犬における胃腸病変の有病率

==アブストラクト===
背景:非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)は、胃十二指腸潰瘍と穿孔に関連するもっとも一般的な医薬品である。犬における慢性的なNSAIDsの使用に関連した胃腸傷害の有病率は不明である。

目的/仮説:NSAIDsによる慢性治療をうけている犬の胃腸粘膜びらんの有病率をしらべること。NSAIDsの投与をうけたいる犬では、対照集団よりも、胃腸粘膜びらんがより多く、胃腸通過時間がより長いだろうという仮説をたてた。

動物:NSAIDsの投与を30日以上うけている中型から大型の家庭飼育犬14頭と、慢性の胃腸疾患のためにビデオカプセル内視鏡検査をうけた対照犬11頭。

方法:臨床的に関連する併存疾患が存在しないと判断されて犬を前向きに募集し、ビデオカプセル内視鏡検査を行った。胃腸通過時間と粘膜病変の有無を記録した。

結果:NSAIDsの投与をうけた犬12頭と、回顧的に評価された対照犬11頭が含まれた。NSAIDs投与の内訳は、カルプロフェン(9頭)、メロキシカム(2頭)、フィロコキシブ(1頭)であり、中央値は6ヶ月であった。NSAIDsで治療された犬10頭(83.3%;95%信頼区間 51.6 - 97.9%)で胃腸のびらんがみられた。3剤すべてで少なくとも1頭でびらんがみられた。対照犬11頭中3頭で胃のびらんがみられた。NSAIDsの投与をうけた犬ではより多くびらんが検出された(p=0.004)。

結論と臨床的意義
:無症候性の胃腸びらんは、慢性の胃腸疾患のある対照犬よりも、NSAIDsで慢性的に治療された犬でより一般的であり、これは特に胃腸潰瘍の素因となる合併症を抱えている犬では、NSAIDsは注意して使用しすることを示唆している。

LaQuaglia, Kathryn A., James B. Robertson, and Katharine F. Lunn.
"Neutropenia in dogs receiving vincristine for treatment of presumptive immune‐mediated thrombocytopenia." 
Journal of Veterinary Internal Medicine.


PubMedリンク PMID:33421218
本文:無料公開あり(全文

タイトル:免疫介在性血小板減少症の疑いの治療としてビンクリスチンの投与をうけた犬における好中球減少症

==アブストラクト===
背景:好中球減少症は、多剤併用化学療法プロトコルで使用されたビンクリスチンの有害事象である。

目的:免疫介在性血小板減少症(ITP)の治療としてビンクリスチンの投与をうけた犬における好中球減少症の発生率、好中球減少症の潜在的なリスク因子の同定、および好中球減少症が予後に与える影響、を調べること。

動物:ITPと推定診断された家庭医飼育犬127頭。

方法:この回顧的なコホート研究では、15年間に渡って医療記録をレビューし、ITPの推定診断をうけてビンクリスチンによって治療された犬を同定した。ロジスティック回帰を用いて、ビンクリスチンの投与を受けた犬における好中球減少症の発症のリスク因子を同定した。血小板数が≧40,000/μlになるまでの時間、生存、および入院期間を、好中球減少症のある犬とない犬との間で比較した。

結果
:ITP疑いの犬127頭でビンクリスチンが投与され、19頭が好中球減少症となった。シクロスポリンの投与は好中球減少症の発症と有意に関連した(オッズ比 12.97、95%信頼区間 4.17-40.35、p<0.001)。血小板数が≧40,000/μlになるまでの時間の中央値は、好中球減少症の犬(4日 範囲1-14)と好中球減少症のない犬(3日 範囲0-48)とで差はなかった。生存退院の割合は両群ともに95%であったが、入院期間の中央値は好中球減少症のない犬(4日 範囲2-15)に比べて、好中球減少症の犬(6日 範囲3-22)のほうが有意に長かった。

結論と臨床的意義
:ビンクリスチンを投与した犬において、シクロスポリンの投与はは好中球減少症の発症と関連し、それはビンクリスチンの代謝への影響と関連している可能性がある。ITPの治療のためにビンクリスチンを投与をする犬では、とくにシクロスポリンを併用投与する場合には、好中球数をモニターすべきである。

Marsh, Oliver, et al.
"Prevalence and clinical characteristics of phenobarbitone-associated adverse effects in epileptic cats." 
Journal of Feline Medicine and Surgery (2020): 1098612X20924925.


PubMedリンク PMID:32484071
本文:無料公開なし

タイトル:てんかんの猫におけるフェノバルビタール関連有害事象の有病率と臨床的特徴

==アブストラクト===
目的:この研究の目的は、てんかんの猫におけるphenobarbitone(=フェノバルビタール)関連有害事象の有病率と臨床的特徴を調べることである。

方法:2007年から2017年の間の獣医紹介病院の医療記録を検索し、てんかんの診断、フェノバルビタールによる治療、および有害事象の発生に関する追跡情報が入手可能であるという組み入れ基準を満たす猫を探した。追跡情報は一次診療と紹介病院の医療記録と、猫の飼い主へのアンケートにより入手した。

結果:77頭の猫が組み入れ基準を満たした。58頭の猫は特発性てんかんであり、19頭は構造性てんかんであった。47%の猫で以下にあげる有害事象の1つ以上が報告された;沈静(89%)、運動失調(53%)、多食(22%)、多飲(6%)、多尿(6%)、食欲低下(6%)。ロジスティック回帰分析により、有害事象の発生と、フェノバルビタールの開始用量および2番目の抗てんかん薬の投与の間に有意な関連が明らかになった。フェノバルビタールの投与量の1mg/kg12時間ごとの増加で、有害事象の可能性が3.1倍増加した。2番目の抗てんかん薬を使用した際に、有害事象の可能性が3.2倍増加した。てんかんの病因と有害事象の発生の間にには関連はみられなかった。重度の好中球減少症と顆粒球低形成を特徴とする、特異的な有害事象が1頭の猫で診断された。これはフェノバルビタールの中止によって解消した。

結論と臨床的意義
:フェノバルビタール関連有害事象の発生率は47%であった。沈静と運動失調が最も多かった。これらはタイプAの有害事象であり、フェノバルビタールの既知の薬理学的特性から予測できる。多くの症例で有害事象は治療開始の最初の1ヵ月以内に起こり、一時的なものであった。特異的な(タイプB)有害事象、つまり既知の薬の特性からは予測されなかったもの、が1頭でみられた。フェノバルビタールの開始用量の増加と2番目の抗てんかん薬の追加は、有害事象の発生と有意に関連した。

Coffee, Calli, James K. Roush, and Mary L. Higginbotham.
"Carboplatin‐Induced Myelosuppression As Related To Body Weight In Dogs." 
Veterinary and Comparative Oncology (2020).

PubMedリンク PMID:32452107
本文:無料公開なし

タイトル
:犬の体重に関連したカルボプラチン誘発性骨髄抑制

==アブストラクト=== 
 小型犬は、ドキソルビシン、ミトキサントロン、メルファランの化学療法による骨髄抑制のリスクが高いことが知られている。この回顧的研究の目的は、15 kg以上の犬と比較して、15 kg未満および10 kg未満の犬の方がカルボプラチン化学療法による治療後に骨髄抑制の程度が大きいかどうかを判断することである。

 様々な悪性腫瘍のためにカルボプラチンで治療された111犬の犬を回顧的に分析した。体重10 kg未満の犬8頭(61%)、体重10 kgから15 kg未満の犬3頭(38%)、および体重15 kg以上の犬14頭(17%)が、グレード3または4の好中球減少症を経験した。体重10 kg未満の犬5頭(38%)、体重10 kg未満から15 kg未満の犬2頭(25%)、および体重15 kg以上の犬13頭(16%)が、グレード3または4の血小板減少症を経験した。10 kg未満の犬は、10 kg以上の犬よりも、カルボプラチン投与後にグレード3または4の好中球減少症を発症する可能性が有意に高かった(3.5 RR、95%CI、1.9-6.3、p <0.001)。15 kg未満の犬も、15 kg以上の犬よりもグレード3または4の好中球減少症を発症する可能性が有意に高かった(3 RR、95%CI、1.6〜5.6、p = 0.004)。10 kg未満の犬は、10 kg以上の犬よりもグレード3または4の血小板減少症を発症する可能性が有意に高かった(2.5 RR、95%CI、1.1〜5.6、p = 0.006)。入院は、10 kg以上の犬よりも10kg未満の犬で有意に高く(p = 0.014)、同様に15 kg以上の犬よりも15 kg未満の犬(p = 0.039)で有意に高かった。

 この研究は、15 kg未満、特に10 kg未満のイヌにおけるカルボプラチン誘発性骨髄抑制のリスクの増加を示しています。
 

Heather Graham, A., and Michael S. Leib.
"Effects of prednisone alone or prednisone with ultralow‐dose aspirin on the gastroduodenal mucosa of healthy dogs." 
Journal of veterinary internal medicine 23.3 (2009): 482-487.

PubMedリンク PMID:19422469
本文:無料公開あり(全文

タイトル:健康な犬の胃十二指腸粘膜に対してプレドニゾロン単独またはプレドニゾロンと超低用量アスピリン併用が与えるの影響

==アブストラクト=== 
背景:プレドニゾロンと超低用量アスピリンの同時投与は様々な疾患の治療に推奨されているが、犬でのこの組み合わせの安全性は研究されていない。

仮説:プレドニゾロンと超低用量アスピリンに関連した胃十二指腸病変は、プレドニゾロン単独によって起こるものと類似しているだろうが、組み合わせの治療によってプラセボよりもより重篤な病変になるだろう。

動物:健康な成犬18頭。

方法:ランダム化、盲検、プラセボ対照研究を3つの治療グループ(プラセボ、プレドニゾロン、プレドニゾロンとアスピリン)で27日間行なった。胃十二指腸内視鏡を治療前と治療後5日目、14日目、27日目に行ない、粘膜病変スコアを割りつけた。粘膜病変スコアはクラスカル・ワリス検定で比較した。臨床徴候はフリードマンのカイ二乗検定で比較した(p<0.05で有意)。

結果:グループ間で、またはグループ内のいずれの時点でも、胃十二指腸病変スコアに有意な差はなかった。ベースラインと比較して、プレドニゾロンとアスピリングループでは有意に多くの犬で下痢が発生した。どのグループ間でも臨床徴候における有意な差はみられなかった。

結論
:プレドニゾロンと超低用量アスピリンの併用は、プレドニゾロン単独またはプラセボと比較して、胃十二指腸病変重症度を増加させることはなかった。プレドニゾロンと超低用量アスピリンの同時投与は、一部の犬で軽度で自然治癒する下痢の頻度を増加させる。
 

Whittemore, Jacqueline C., et al.
"Clinical, clinicopathologic, and gastrointestinal changes from aspirin, prednisone, or combination treatment in healthy research dogs: A double‐blind randomized trial."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine 33.5 (2019): 1977-1987.

PubMedリンク PMID:31397009
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:健康な研究犬におけるアスピリン、プレドニゾロン、またはその組み合わせによる臨床的、臨床病理的、および消化管の変化;二重盲検ランダム化試験。

==アブストラクト=== 
背景:免疫介在性疾患のある犬ではしばしばグルココルチコイドがアスピリンとともに投与されるが、現在のプロトコールの潰瘍発生の影響は不明である。

仮説と目的:アスピリン、プレドニゾロン、およびその組み合わせの治療が投与されている間の胃腸の内視鏡所見を比較すること。

動物:健康な研究犬24頭。

方法:二重盲検、プラセボ対照ランダム化試験。犬はプラセボ、アスピリン(2mg/kg q24hr)、プレドニゾロン(2mg/kg q24hr) 、またはプレドニゾロンとアスピリンの組み合わせを、28日間経口投与された。臨床徴候は毎日記録し、ベースラインと28日目に臨床検査を行なった。第0日、14日、28日に行われた内視鏡検査で、胃腸の出血、びらん、および潰瘍について、2人の盲検化された調査者によって数えられ、内視鏡的粘膜病変スコアが計算された。必要に応じて、分散の混合モデル反復測定分析および一般化推定式比例オッズモデルを用いて結果を比較した。p<0.05を有意とみなした。

結果
:内視鏡的粘膜病変スコアは、時間毎の治療(F[6, 40]=4.4, p=0.002)、治療(F[3, 20]=7.1, p=0.002)、時間(F[2, 40]=18.9, p<0.001)によって有意に異なっていた。事後分析により、アスピリン投与(14日のみ)、プレドニゾロン投与群、およびプレドニゾロン/アスピリン投与グループで、スコアの上昇が明らかとなった。10頭の犬によって表される14の研究で、潰瘍が同定された。
プレドニゾロンおよびプレドニゾロン/アスピリンの投与をうけた犬では、内視鏡的粘膜病変スコア≧4をもつオッズは、プレドニゾロン投与(95%信頼区間 1.7-73.6)とプレドニゾロン/アスピリン投与
(95%信頼区間 3.5-288.0)のグループで、プラセボグループよりもそれぞれ11.1倍、31.5倍高かった。

結論と臨床的意義
:消化管出血および潰瘍は、アスピリン、プレドニゾロンまたはプレドニゾロン/クロピドグレルを投与された健康な犬で一般に起こり、併用治療を受けていた犬での病変スコアがより高かった。病変は重度であっても、臨床徴候は伴わない。
 

==本文から===
写真引用:プレドニゾロンを28日間投与された健康な犬の胃の点状、浸潤性のびらん

Whittemore, Jacqueline C., et al.
"Clinical, clinicopathologic, and gastrointestinal changes from administration of clopidogrel, prednisone, or combination in healthy dogs: A double‐blind randomized trial."
 
Journal of veterinary internal medicine (2019).

PubMedリンク PMID:31593364
本文:無料公開あり(全文

タイトル:健康な犬におけるクロピドグレル、プレドニゾロン、またはその組み合わせの投与による臨床的、臨床病理学的、および消化管の変化;二重盲検ランダム化試験。

==アブストラクト=== 
背景:免疫介在性疾患のある犬ではしばしばグルココルチコイドがクロピドグレルとともに投与されるが、現在のプロトコールの潰瘍発生の影響は不明である。

仮説と目的:クロピドグレル、プレドニゾロン、およびその組み合わせの治療が投与されている間の胃腸の内視鏡所見を比較すること。

動物:健康な研究犬24頭。

方法:二重盲検、プラセボ対照ランダム化試験。犬はプラセボ、クロピドグレル(2-3mg/kg 24hr)、プレドニゾロン(2mg/kg 24hr) 、またはプレドニゾロンとクロピドグレルの組み合わせを、28日間経口投与された。第0日、14日、28日に行われた内視鏡検査で、胃腸の出血、びらん、および潰瘍について、2人の盲検化された調査者によって数えられ、内視鏡的粘膜病変スコアが計算された。必要に応じて、混合モデル、分割プロット反復測定ANOVA、および一般化推定式比例オッズモデルを用いて結果を比較した。p<0.05を有意とみなした。

結果
:消化管出血の臨床徴候はみられなかった。内視鏡的粘膜病変スコアは、グループ(F[3, 20]=12.8, p<0.001)および時間(F[2, 40]=8.3, p<0.001)によって有意に異なっていた。事後分析により、プレドニゾロン投与群におけるスコア(p≦0.06 それぞれ)と14日目のスコア(p≦0.07 それぞれ)が有意に高かった。潰瘍は、プレドニゾロンを投与した犬の4頭とプレドニゾロン/クロピドグレルを投与した犬の3頭でみられた。内視鏡的粘膜病変スコア≧4をもつオッズは、プレドニゾロン投与(95%信頼区間 1.1-43.0;p=0.037)とプレドニゾロン/クロピドグレル投与(95%信頼区間 1.1-43.4;p=0.037)のグループで、プラセボグループよりも7倍高かった。

結論と臨床的意義
:消化管出血および潰瘍は、プレドニゾロンまたはプレドニゾロン/クロピドグレルを投与された健康な犬で一般に起こり、しかしクロピドグレル単独の治療では起こらない。多くの症例で病変は重度であったkが、臨床徴候は伴わない。
 

==本文から===
写真引用:プレドニゾロンを28日間投与された健康な犬の胃の点状、浸潤性のびらん
 JVIM-33-2618-g001

MacDonald, Kristin A., Mark D. Kittleson, and Philip H. Kass.
"Effect of spironolactone on diastolic function and left ventricular mass in Maine Coon cats with familial hypertrophic cardiomyopathy."
 
Journal of veterinary internal medicine 22.2 (2008): 335-341.

PubMedリンク PMID:18346145
本文:無料公開あり(全文

タイトル
: 家族性肥大型心筋症のあるメインクーンにおいて拡張機能と左心室質量にスピロノラクトンが与える影響

==アブストラクト===
背景:肥大型心筋症(HCM)の猫では心筋線維化が起こり、拡張不全が起こる一つの要因となる。スピロノラクトンは、いくつかのHCMのモデルと心疾患のあるヒトで、心筋線維化を減らす。

仮説:スピロノラクトンはHCMのあるメインクーンにおいて拡張能を改善し、左心室質量を減らすだろう。

方法
:家族性HCMのあるメインクーンを、同心円状の肥大(拡張末期壁厚≧6mm)およびパルス波組織ドップラー画像心臓エコーによって測定された早期側方僧帽弁輪運動速度(Em)あるいは総早期または後期僧帽弁輪運動速度(EAsum)の減少がある場合に、研究に含めた。EAsumによって猫をペアにし、ランダムにスピロノラクトン(2mg/kg、n=13)もしくはプラセボ(n=13)をPO、12時間毎、4ヶ月間投与のいずれかに割り付けた。Em-EAsum、収縮期速度、左心室質量、および左心房-大動脈径比をベースラインと、2ヶ月後、4ヶ月後で測定した。統計学的解析には分散の2方向反復測定分析とスチューデントt検定を含めた。

結果
:血漿アルドステロン濃度は、スピロノラクトン治療猫(235ng/ml、ベースライン;935ng/ml、2ヶ月後;1077ng/ml、4ヶ月後;2ヶ月と4ヶ月で p<0.001)で上昇した。早期またじゃ早期-後期総拡張期僧帽弁輪運動速度、もしくはアルドステロン濃度を除いた他のいかなる項目においても、治療効果は同定されなかった。スピロノラクトンの治療を行なった猫13頭中4頭で重度の顔面潰瘍性皮膚炎が発症し、薬剤の中止が必要となった。

結論
:スピロノラクトンは、4ヶ月間にわたり側方僧帽弁輪のEmまたはEAsumを改善させず、左心室質量を変化させなかった。スピロノラクトンで治療した猫の1/3で重度の潰瘍性顔面皮膚炎が発症した。
 

Charalambous, Marios, et al.
"Systematic review of antiepileptic drugs’ safety and effectiveness in feline epilepsy."
 
BMC veterinary research 14.1 (2018): 64.

PubMedリンク PMID:29499762
本文:無料公開あり(全文

タイトル:猫のてんかんにおける抗てんかん薬の安全性と有効性についてのシステマティックレビュー

==アブストラクト===
背景:猫のてんかんにおける抗てんかん薬の有効性と安全特性について理解することは、この重要な脳疾患を管理するうえで重要な検討事項だ。しかし、猫のてんかんの治療につての情報が不足しているため、猫における抗てんかん薬の有効性と忍容性にたいする現在のエビデンスを評価するために、システマティックレビューを構築した。犬のてんかんにおける以前のわれわれのシステマティックレビューの方法と材料を、今回の猫のシステマティックレビューにほとんど反映させた。PubMed、CAB Direct、およびGoogle scholarのデータベースを検索し、猫における抗てんかん薬の有効性および/または有害事象について報告した査読付きに研究を検出した。この研究では、エビデンスの質(つまり、研究デザイン、研究集団、診断基準、および全体のバイアスリスク)と、全体および各研究における測定されたアウトカム(つまり成功集団と罹患集団における有病率と95%信頼区間 )に関して評価した。

結果:抗てんかん薬の有効性と安全性の臨床的結果について記述された40の研究を含めた。2つの研究だけが“盲検化ランダム化比較試験”に分類された。研究の大多数で全体の高いバイアスリスクがあり、猫の集団が小さく、診断基準が不明瞭であり、治療期間もしくは追跡期間が短かった。個々の抗てんかん薬の有効性と安全性特性の評価では、フェノバルビタールが抗てんかん薬の現在の第一選択であり、レベチラセタムとイメピトインがそれに次ぐ可能性について示された。イメピトインの安全性特性だけが、強いエビデンス基準を支持した。イメピトインの有効性と同様に、残りの抗てんかん薬の有効性と安全特性は、弱いエビデンスl基準んを支持した。

結論
:このシステマティックレビューは、猫のてんかんに対する抗てんかん薬の有効性と安全性について発表されたデータのエビデンスに基づく評価を反映している。現在、フェノバルビタールは猫のてんかん患者の第一選択薬となっているようであり、レベチラセタムとイメピトインがそれに続く。個々の患者に抗てんかん薬を仕立てるたまえに、抗てんかん薬の有効性と忍容性の両方を臨床医は放火しておくことが不可欠だ。猫もてんかん治療におけるさらなる研究抗てんかん薬の有効性と安全性の明確なガイドラインをつくるために非常に重要だ。
 

Charalambous, Marios, et al.
"Antiepileptic drugs’ tolerability and safety–a systematic review and meta-analysis of adverse effects in dogs." 
BMC veterinary research 12.1 (2016): 79.

PubMedリンク PMID:27206489
本文:無料公開あり(全文

タイトル:抗てんかん薬の忍容性と安全性;犬における有害事象のシステマティックレビューとメタアナリシス

==アブストラクト===
背景:抗てんかん薬の安全性プロファイルは、規制機関、飼い主、処方する臨床医にとって重要な考慮事項だ。これらの有害事象に関する情報はいまだに制限がある。メタ分析アプローチを含むシステマティックレビューをデザインし、犬の患者における抗てんかん薬の安全性プロファイルに対する既存の根拠を評価した。PubMed、CAB Direct、Google ssholarの電子検索を、日付や言語の制限なしに行なった。会議録も同様に検索した。てんかん犬および健康な非てんかん犬における抗てんかん薬の有害事象について報告している査読付き完全版の研究を含めた。研究は、そのデザインに基づいて3つのグループに割付けられた。個々の研究は、エビデンスの質(研究デザイン、研究グループの規模、被験者登録の質、および全体のバイアスリスク)と報告された結果の尺度(それぞれの抗てんかん薬に特異的な有害事象の割合、各研究における罹患症例の有病率と95%信頼区間、および抗てんかん薬に対する有害事象の相対的オッズ比)に基づいて評価した。

結果:抗てんかん薬の有害効果の臨床的な結果を報告した90の研究(6つの会議録を含む)が同定された。盲検ランダム化対照臨床試験としてデザインされた研究はほとんどなかった。多くの研究が、少ない犬集団で、被験者の登録基準が不明瞭であり、治療期間が短かった。直接的な比較により、イメピトインとレベチラセタムは、フェノバルビタールよりも良い安全特性を示し得る一方で、フェノバルビタールは臭化カリウムよりも良い安全性を示し得ることが、示唆された。しかし、こうらの比較で統計的に有意な差を示したものはなかった。他の抗てんかん薬との比較は、多くの研究が検出力の計算やさらなる統計解析を可能にするのに十分なデータを欠いていたため、不可能であった。個々の抗てんかん薬の評価により、レベチラセタムは最も安全な抗てんかん薬のひとつであり、次いでイメピトイン、その次がフェノバルビタールと臭化カリウムであることが示されており、これらの所見はすべて高いエビデンスレベルにより支持されていた。その他の抗てんかん薬の安全と特性はさまざまであったが、確固な結論を導き出したり、他の抗てんかん薬と安全性を比較したりするには弱いエビデンスであった。

結論
:このシステマティックレビューによって、最も一般的に使われている抗てんかん薬の有害事象についての客観的な評価が提供された。すべての抗てんかん薬で有害事象はおおむね軽度なようであり、用量および/または血中濃度がモニターされるか、抗てんかん薬が中止された後に治った。フェノバルビタールは、イメピトインやレベチラセタムよりも安全性は低い可能性があったが、それを重大な有害事象を起こすハイリスクな抗てんかん薬に分類するには根拠は不十分であった。臨床医にとって単独もしくは補助的な抗てんかん薬両方を選択する前に、抗てんかん薬の安全性と有効性をそれぞれ評価することが重要だ。
 

Suiter, E. J., R. M. A. Packer, and H. A. Volk.
"Comparing the effects of first-line antiepileptic drugs on the gait of dogs with idiopathic epilepsy." 
Veterinary Record (2016): vetrec-2016.

PubMedリンク PMID:27302918 
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル
:特発性てんかんの犬の歩様に第一選択の抗てんかん薬が与える影響の比較

==アブストラクト===
特発性てんかんは犬の一般的にな慢性の神経学的疾患である。 抗てんかん薬療法についてのこれまでの研究で、抗てんかん薬の許容可能な副作用は、発作頻度の減少と同じくらい飼い主にとっては重要であることが示されている。犬とヒトの両方で抗てんかん薬は、副作用としての運動失調に関連している。この研究の目的は、現在利用可能な第一選択の抗てんかん薬療法であるフェノバルビタールまたはイメピトインで慢性的に治療された特発性てんかんの犬における運動失調のレベルと比較することである。

イメピトインで治療した犬6頭、フェノバルビタールで治療した犬8頭、および年齢調整を行なった健康な対照犬10頭を比較した。歩行中の50歩の歩様をそれぞれの犬で分析し、6つの確立された保養パラメータにより運動失調を定量化した。それぞれのグループ間で3つの項目に有意な差があった、それは側方での距離で(ⅰ)後肢の位置、(ⅱ)前肢の位置、(ⅲ)姿勢時間であり、これらはイメピトインの治療犬または対照犬よりもフェノバルビタール治療犬で変動が有意に大きかった。

これらの結果は、
イメピトインの治療犬または対照犬と比較して、フェノバルビタール治療犬で運動失調を多く経験することを示した。これらの結果により、獣医師と飼い主より情報に基づいた薬剤の選択をするために、抗てんかん薬の副作用を定量化するさらなる調査が必要である。
 

Wouda, R. M., S. E. Hocker, and M. L. Higginbotham.
"Safety evaluation of combination carboplatin and toceranib phosphate (Palladia) in tumour‐bearing dogs: A phase I dose finding study." 
Veterinary and comparative oncology 16.1 (2018): E52-E60.

PubMedリンク PMID:27146577
本文:無料公開なし

タイトル
:腫瘍のある犬におけるドキソルビシンとリン酸トセラニブの組み合わせの安全性の評価;第1相用量設定研究

==アブストラクト===
併用化学療法は、単剤療法と比較して悪性腫瘍における転帰の改善が期待される。重複する毒性を避け、作用機序が異なる薬剤を活用するように、注意は払う必要がある。

トセラニブの投与量を2.75mg/kgもしくはそれに近い用量 eod 投与とし、一方でドキソルビシンの投与量を増やしていった場合の、トセラニブとドキソルビシンの同時併用プロトコルの最大耐量を決定するために、第1相用量設定試験を行った。用量制限毒性は好中球減少症であることが分かり、組み合わせの最大耐量はドキソルビシン25mg/m2 21日毎とトセラニブ2.75mg/kg po EODに決定された。この組み合わせは過剰な消化器毒性も新たな有害事象もみられず、十分に許容された。抗腫瘍効果は多くの症例で観察された。

この組み合わせは、有効性と長期の有害事象の特性を調べるために第2相・3相試験の背景においてさらなる調査を正当化する。

Tjostheim, S. S., et al.
"Effects of toceranib phosphate on systolic blood pressure and proteinuria in dogs."
 
Journal of veterinary internal medicine 30.4 (2016): 951-957.

PubMedリンク PMID:27149912
本文:無料公開あり(全文

タイトル:犬の収縮期血圧と蛋白尿に対するリン酸トセラニブの影響

==アブストラクト===
背景:収縮期高血圧と蛋白尿は、人におけるチロシンキナーゼ阻害薬の有害作用として確立されている。

目的:この研究の目的は、がんのある犬においてリン酸トセラニブの治療に続発する蛋白尿の発生率と収縮期血圧の変化について調査することである。

動物:対象犬26頭とがんのある犬30頭について、研究の第一段階(ベースラインの特性)の評価を行なった。第二段階(リン酸トセラニブ治療の効果)として、48頭の家庭飼育犬が評価され、対象犬20頭とさまざまな腫瘍のある犬28頭が含まれた。

方法:前向きコホート研究。家庭飼育の健康な対象犬とがんのある犬を登録した。血圧と尿タンパク/クレアチニン比は、治療前とリン酸トセラニブ治療開始後2週間で測定した。

結果:収縮期血圧は、ベースライン(136mmHg±14)と比較して、もともと正常血圧でありリン酸トセラニブの治療を開始したあとの犬(152mmHg±19)で、有意に高かった(p=0.0013)。治療した犬の37%で、収縮期血圧が≧160mmHgとなった。治療した犬のベースラインでの全身性高血圧の有病率(37%)と蛋白尿の有病率(21%)は、年齢を合わせた健康な対象犬でのもの(15%[p=0.13]、0%[0.069])と比べて差はなかった。

結論と臨床的意義
:リン酸トセラニブの治療は、犬において収縮期血圧を上昇させる可能性がある。収縮期高血圧は、犬においてこの薬の潜在的な有害効果として考慮しておくべきである。収縮期高血圧と蛋白尿は、抗腫瘍治療を行う前の犬において臨床的に関連のある頻度で検出され、これらの項目についてモニタリングを行うことが正当化されることを示唆している。

 

Gowan, Richard A., et al.
"Retrospective case–control study of the effects of long-term dosing with meloxicam on renal function in aged cats with degenerative joint disease." 
Journal of Feline Medicine & Surgery 13.10 (2011): 752-761.

PubMedリンク PMID:21906984
本文:google scholar経由で入手可能(PDF

タイトル
:変形性関節症のある高齢猫における長期のメロキシカム投与が腎機能に与える影響の回顧的症例対象研究

==タイトル===
 猫専門診療の医療記録(2005-2009年)について、メロキシカムによって治療された変形性関節症(DJD)の猫を検索した。DJDは少なくとも以下のうち2つの存在により診断した:(ⅰ)運動性の変化(飼い主による観察)、(ⅱ)身体所見の異常、(ⅲ)特徴的なレントゲン検査の変化。主要な研究集団は、6ヶ月以上の様々な期間メロキシカムを投与された7歳以上の猫から構成され、完全な記録が利用できるものとした。これらの猫は検出されうる慢性腎臓病(CKD)が存在する(腎臓グループ)か、存在しない(非腎臓グループ)かどうかにしたがい、腎臓グループは猫のIRISカテゴリーにしたがって細分類された。血清生化学、尿検査(尿比重(USG)を含む)、体重とボディコンディションスコアを定期的にモニターした。腎臓グループと非腎臓グループにおけるCKDの進行は、メロキシカムの投与を受けていない
年齢とIRISを適合させた対照猫の2つのグループ(同じ診療所で同じ時期の猫)と比較した。この研究は2つの研究グループをもつ症例対照デザインとした。
 長期のメロキシカム治療をうけた38頭のDJDのある猫が組み入れ基準に適合した。それらのうち22頭は治療開始時に安定したCKD(ステージ1;8頭、ステージ2;13頭、ステージ3;1頭)であった。最初から尿タンパク-クレアチニン比の上昇した猫はいなかった。のこりの16頭は最初は正常な腎臓検査値を有し、十分に濃縮された尿であった。”腎臓”と”非腎臓”のメロキシカムグループの年齢の中央値は15.5歳と13.4歳であった。治療期間の中央値は腎臓グループで467日、非腎臓グループで327日であった。最低有効用量まで減量したのちの維持投与量の中央値は、両グループともに0.02mg/kg/day(範囲 0.015-0.033mg/kg/day)であった。メロキシカムの治療をうけた非腎臓グループでは、メロキシカムの治療を受けていない対照猫と比較して、連続的なクレアチン濃度またはUSGの測定においいて差はなかった。メロキシカムの治療をうけた腎臓グループのでは、年齢とIRISを適合させたメロキシカム治療のないCKDの猫と比較して、腎疾患の進行は少なかった。
 これらの結果は0.02mg/kgのメロキシカムによる長期の維持投与は、7歳以上の猫においても、仮にCKDがあったとしても
全体的な臨床状態が安定していれば安全である可能性があることを示唆している。メロキシカムの長期治療はCKDとDJDに罹患している猫の一部で腎疾患の進行を遅らせる可能性がある。これらの知見を検証するためには、前向き研究が必要である。


==本文から===
利益相反:Laura JohnstonとWibke StansenはBoehringer Ingelheimの従業員である。Richard Malikは猫でNSAIDを長期使用するためのコンセンサスガイドラインを作成するためにISF Mが招集した専門家パネルの一人である。Scott Brownは
Boehringer Ingelheim Vetmedica, Inc.のコンサルタントを務めている。


==訳者コメント===
はたしてこの研究は症例対象研究なのでしょうか?あんまりそうみえないのですが(勉強不足だからかもしれません。


 

Gowan, Richard A., et al.
"A retrospective analysis of the effects of meloxicam on the longevity of aged cats with and without overt chronic kidney disease." 
Journal of feline medicine and surgery 14.12 (2012): 876-881.

PubMedリンク PMID:22821331
本文:google scholar経由で全文入手可能(PDF) 

タイトル: 明らかな慢性腎臓病がある猫とない猫の寿命に対するメロキシカムの影響の回顧的分析

==アブストラクト===
 この研究では治療開始時の自然発生性慢性腎臓病がある場合とない場合とで、長期のメロキシカム治療が猫の生存に及ぼす影響を調べようとした。
 2つの猫専門診療所のデータベースから、7歳以上の猫で6ヶ月以上のメロキシカムの治療を継続した猫を検索した。再調査のための完全な医療記録が利用できる猫だけがこの研究に採用された。腎臓病グループの寿命の中央値はは18.6歳[95%信頼区間(CI) 17.5-19.2]であり、非腎臓病グループでは22歳[95%CI 18.5-23.8]であった。CKD診断後の生存期間の中央値は16082日
95%CI 1344-1919]であり、それは以前に公表されたCKDの生存期間に匹敵するものであった。両グループで最も多い死亡の原因は腫瘍であった。
 経口メロキシカムの長期治療は安定したCKD(IRISステージⅡおよびⅢであっても)のある猫の寿命を短縮することはないようである。それゆえ、慢性疼痛のある猫におきて生活の質と寿命の両方に取り組むためには、メロキシカムを治療計画の一部として考慮すべきである。


==本文から===
企業関与:Boehringer Ingelheimの資金提供あり
利益相反:Laura JhonstonとWibke Stansenは
Boehringer Ingelheimの従業員である


==訳者コメント===
しばしば思うのですが、Journal of feline medicine and surgeryのアブストラクトはどういった研究なのかわかりづらいものが多いですね。

この研究ではCKDでメロキシカムを使用した猫の生存期間を、過去の報告のCKDの寿命と比較しています(historical control dataとの比較)。これだとあまり正確に比較検討できません。




Gunew, Marcus N., Victor H. Menrath, and Rhett D. Marshall.
"Long-term safety, efficacy and palatability of oral meloxicam at 0.01–0.03 mg/kg for treatment of osteoarthritic pain in cats." 
Journal of Feline Medicine and Surgery 10.3 (2008): 235-241.

PubMedリンク PMID:18440263
本文:google scholar経由で入手可能(PDF) 

タイトル
:猫の変形性関節症の痛みの治療における経口メロキシカム0.01-0.03mg/kgの長期の安全性、有効性、嗜好性

==アブストラクト===
 変形性関節症は慢性で痛みのある病態であり、猫の大きな集団での罹患が新たに認識されている。非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)は犬と猫で有効性があるが、猫のこうした病態での長期管理におけるNSAIDsの使用のデータは限られた発表しかない。この前向き研究の目的は、猫に0.01-0.03mg/kg 毎日投与を行なった際の経口のメロキシカムの安全性と嗜好性と、変形性関節症の痛みの治療の有効性についてを評価することである。
 変形性関節症と診断された40頭の猫がこの試験を完了し、平均の治療期間は5.8ヶ月であった。2/46頭(4%)でみられた胃腸障害が唯一の有害事象であった。この研究の猫では腎機能に有害な作用は検出されなかった。飼い主による主観的な治療効果の評価では34/40頭(85%)で良いまたは大変良いであった。
 この研究の結果により経口のメロキシカムは、変形性関節症の猫に食事と一緒に0.01-0.03mg/kgで投与したときに安全で嗜好性の高い長期的な治療であることが示された。


==本文から=== 
 企業関与:
Boehringer Ingelheim Vetmedica Australiaからの資金提供あり


==訳者コメント===
本文が読めるからまあいいのですが、アブストラクトで研究デザインや方法をもう少しちゃんと書いて欲しいです。

 

Paterson, S.
"Brainstem auditory evoked responses in 37 dogs with otitis media before and after topical therapy."
 
Journal of Small Animal Practice (2017).

PubMedリンク PMID:28718886
本文:無料公開あり?(PDF
※ PubMedでのfreeの表示はないがWiley Onlineではfreeになっている

タイトル:中耳炎の犬37頭における局所治療前後での脳幹聴覚誘発反応 

==アブストラクト===
目的
:この研究の目的は、マルボフロキサシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、チカルシリンの水溶液の耳内投与(オフライセンス使用)が聴覚の変化と関連していたかを脳幹聴覚誘発反応による測定によって決定することである。

方法: 中耳炎と診断した犬(n=37)に脳幹聴覚誘発反応試験を行い、ついで耳の疾患の治療を行なった。まず外耳道と中耳を滅菌生理食塩水で洗浄し、そのあとに0.15%クロルヘキシジンを含むEDTAトリスで洗浄した。そしてEDTAトリスの水溶液に混じた水溶性の抗菌薬の組み合わせを中耳に注入した。それぞれの犬にフォローアップの検査を行い、感染性生物もしくは炎症浸潤がなくなるまで治療を続けた。感染がなくなり治療を中止した後に、脳幹聴覚誘発反応試験を繰り返した。

結果:マルボフロキサシンまたはゲンタマイシンの水溶液で治療した犬の脳幹聴覚誘発反応は変化なしか改善したが、チカルシリンまたはトブラマイシンで治療した犬では障害をうけた。

臨床的重要性
: 中耳炎の症例で、局所抗菌薬のオフライセンス使用が必要と考えられる場合、マルボフロキサシンおよびゲンタマイシンの水溶液は、チカルシリンまたはトブラマイシンの水溶液よりも聴覚毒性が低いようである。


==本文から==
利益相反:著者はVetruusの獣医学顧問であり、過去2年間に
Dechra Animal HealthとElancoからコンサルタント料を受け取っている。

 

Olmsted, Gina A., et al.
"Tolerability of toceranib phosphate (Palladia) when used in conjunction with other therapies in 35 cats with feline oral squamous cell carcinoma: 2009–2013." 
Journal of feline medicine and surgery 19.6 (2017): 568-575.

PubMedリンク PMID:26951557
本文:無料公開なし

タイトル: 口腔内扁平上皮癌のある猫35頭における他の治療法と併用した場合のリン酸トセラニブ(パラディア)の許容性;2009-2013

==アブストラクト===
目的:扁平上皮癌が猫においてもっとも一般的な口腔内腫瘍であり、典型的には現在の治療の選択肢では予後不良である。この研究の目的は口腔内扁平上皮癌の猫において、リン酸トセラニブ(パラディア;ファイザー)を他の治療法と組み合わせたときの毒性について評価することである。 

方法:この研究では35頭の猫を回顧的に評価し、トセラニブを他の治療法と併用した時の毒性について調べた。投与されたトセラニブの中央値は2.74mg/kg(範囲 1.9-4.17mg/kg)、週に3回であった。猫はまた、外科的切除、放射線治療、化学療法および/または非ステロイド性抗炎症薬を含む追加の治療を受けた。

結果:6頭の猫で毒性がみられ、5頭でグレード1-2の胃腸毒性であり、1頭はグレード4の代謝毒性であった。1頭でトセラニブと中止し、2頭で減量した。いずれの猫も毒性による治療の遅れや入院を必要としなかった。トセラニブの治療期間の中央値は77日(範囲 7-741日)であった。

結論と関連性
:この研究でトセラニブは多くの猫に許容され、5頭の猫で低グレードの胃腸毒性、1頭で代謝毒性があったことが明らかにされた。良好な毒性の概要を考慮し、トセラニブの安全性と有効性をさらに評価するための今後の研究を考慮する必要がある。 

Setyo, L., et al.
"Furosemide for prevention of cyclophosphamide‐associated sterile haemorrhagic cystitis in dogs receiving metronomic low‐dose oral cyclophosphamide." 
Veterinary and Comparative Oncology (2017).

PubMedリンク
本文:無料公開なし

タイトル
:メトロノーム低用量経口シクロフォスファミドを投与した犬におけるシクロフォスファミド関連無菌性出血性膀胱炎の予防のためのフロセミド

==アブストラクト===
 出血性膀胱炎はシクロフォスファミドの治療のリスクとして知られている。最大耐用用量のシクロフォスファミドが投与される際に、フロセミドによる利尿は犬で有効である。この回顧的研究の目的は経口のフロセミド投与が無菌性出血性膀胱炎の発生を減らすかどうかを決定することである。第二の目的は、無菌性出血性膀胱炎を起こす素因を特定することである。

メトロノームシクロフォスファミドにより治療された115頭の犬を回顧的に分析した。 集団は無作為化されてはいない。25頭(21.7%)の犬が無菌性出血性膀胱炎を起こした。フロセミドの投与は無菌性出血性膀胱炎の発生しやすさを有意に減らした(p=0.010、フロセミドの使用なしでシクロフォスファミドの投与を受けた犬の30.3%に無菌性出血性膀胱炎が診断されたのに対し、フロセミドを投与していた犬では10.2%で診断された)。年齢、性別、品種、体重、シクロフォスファミドの治療回数、ピロキシカムの使用、以前もしくは既存の疾患は無菌性出血性膀胱炎の発症に関連していなかった。

この研究はフロセミドは無菌性出血性膀胱炎の予防に効果的であることを示し、その使用はメトロノームシクロフォスファミド療法を実施する際に考慮すべきかもしれない。 


==本文から===
利益相反・企業関与:不明(記述なし) 

フロセミド投与量:0.5-1.0mg/kg sid
 

Eichstadt, L. R., G. E. Moore, and M. O. Childress.
"Risk factors for treatment‐related adverse events in cancer‐bearing dogs receiving piroxicam."
 
Veterinary and comparative oncology 15.4 (2017): 1346-1353.

PubMedリンク
本文:無料公開なし

タイトル
:ピロキシカムの投与を受けた腫瘍を持つ犬における治療関連の有害事象の危険因子

==アブストラクト===
ピロキシカムは犬の腫瘍に抗腫瘍効果を持っているが、副作用によって使用が制限される可能性もある。この研究の目的は腫瘍を持つ犬のピロキシカムの治療に伴う有害事象の予測因子を回顧t的に特定することである。

2005年から2015年にパデュー獣医教育病院に来院した犬の医療記録を再調査し、137頭の犬が研究の組みれ基準に適合した。これらの犬でのピロキシカムの毒性は既存のシステムによってグレード分けした。多変量ロジスティック回帰が有害事象に影響する因子の程度を見積もるために用いられた。年齢(オッズ比 1.250, p=0.009, 95%信頼区間1,127-6.056)が胃腸の有害事象を有意に増加させた。

この研究の結果は、腫瘍を持つ犬へのピロキシカムの使用についての臨床決定に置いて害と利益を算出するのに役立つ可能性がある。 

Goic, Joana B., et al.
"A retrospective evaluation of contrast‐induced kidney injury in dogs (2006–2012)." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care 26.5 (2016): 713-719.

PubMedリンク
本文:無料公開なし

==アブストラクト===
目的
:造影剤腎症(CIN)の根拠について犬の集団を評価すること。

デザイン
:2006年から2012年の間の症例を回顧的に再調査した。

動物
: ヨード系造影剤を静脈内投与された家庭犬1,217頭について、造影剤腎症の根拠について再調査した。 組み入れには造影剤投与前1週間以内および投与後1週間以内い血清クレアチニンの測定していることを必要とした。86頭の犬で92回の造影剤投与が区組み入れ条件を満たした。

介入
:なし

測定と主な結果
:造影剤腎症は、ヨード系造影剤の静脈内投与後1週間以内のクレアチニンのベースラインから44.2μmol/L(0.5mg/dl)以上 の上昇と定義した。造影剤投与したうちの7.6%(7/92)が造影剤腎症の定義を満たした。造影剤投与後のクレアチニン値はクレアチニン濃度の変化と同様に、非造影剤腎症群に比べて造影剤腎症群で有意に高かった(投与後のクレアチニンの中央値:70.7μmol/L(0.8mg/dL)vs 150μmol/L(1.7mg/dL)、クレアチニン濃度の変化の中央値:0μmol/L vs  53μmol/L(0.6mg/dL))。患者のシグナルメント、最初のクレアチニン、造影剤の合計投与回数、腎毒性のある薬剤の投与、昇圧剤の治療はグループ間で有意差がなかった。

結論
:これらの症例における造影剤投与と腎障害の一時的な関連は、犬における造影剤腎症の可能性について強調している。この研究は回顧的なものであるため、造影剤の投与と腎障害との因果関係については決定できない。犬の造影剤腎症をさらに評価するためには前向き研究が必要になる。 

Slovak, Jennifer E., and Nicolas F. Villarino.
"Safety of oral and intravenous mycophenolate mofetil in healthy cats." 
Journal of Feline Medicine and Surgery(2017): 1098612X17693521.

PubMedリンク
本文:無料公開なし

==アブストラクト===
目的
:この研究の目的は、健康な猫におけるミコフェノール酸モフェチル(MMF)の静脈内(IV)投与および経口投与の安全性と臨床的な効果を評価すること。

方法
:体重3.5kg以上で健康な成猫24頭に、 MMFのIV投与(2時間かけて投与)もしくはMMFの経口投与のいずれかを行なった。投与量は以下の通り;
5m/gk, IV, 単回投与(n=2)
10mg/kg, IV, 12時間毎, 1日投与(n=1)
2
0mg/kg, IV, 12時間毎, 1日投与(n=6)
10mg/kg, IV, 12時間毎, 3日間投与(n=5)
分析を目的として、それぞれの猫で最後の投与後から最大12時間間隔で採血を行なった。
MMFの経口投与は以下の通り;
10mg/kg, 12時間毎, 7日間投与(n=3)
15mg/kg, 12時間毎, 7日間投与(n=3) 
15mg/kg, 8時間毎, 7日間投与(n=4)

結果
:MMFの副作用は最小限であった。IV投与中および投与後のいずれの猫においても、食欲不振と嘔吐は認めなかった。IV投与の14頭中4頭で、IV投与後12-48時間で下痢を認めた。 経口投与の10頭中1頭で食欲不振を認め、嘔吐は認めなかった。経口投与の10頭中5頭で調査中の2ー7日の間に下痢を認めた。

結論と関連性
:MMFの10mg/kg,IV,12時間毎,3日間の投与、および≦15mg/kg,経口,12時間毎,7日間までの投与は、猫に許容された。用量依存性の消化器副作用の発生があるようだ。MMFは猫における代替的な免疫抑制剤として利用できる可能性がある。


==訳者コメント===
・副作用として下痢は頻繁に見られるようです。
・中長期の投与に伴う有害事象に関しては、この文献からは分からないことを考慮しておく必要があります。 

Harper, Aaron, and Laura Blackwood.
"Toxicity and response in cats with neoplasia treated with toceranib phosphate." 
Journal of feline medicine and surgery 19.6 (2017): 619-623.

PubMedリンク
本文:無料公開なし

==アブストラクト===
目的
:リン酸トセラニブはチロシンキナーゼ阻害薬であり、犬の切除不適応なPatnailグレードⅡ/Ⅲの再発性皮膚肥満細胞腫の治療に認可されている。猫においてはこの薬剤の許容薬用量や毒性、腫瘍の反応性などの情報がない。この研究の目的は進行した腫瘍を持ちトセラニブで治療した猫の集団を回顧的に解析し、毒性と反応性を調べることである。

方法
:小動物教育病院の医療記録を再調査した。組織学的もしくは細胞学的に腫瘍疾患と確定され、治療として2週間以上のトセラニブの投与を受けている猫で、ベースラインの検査の後に少なくとも1回はモニタリングのための血液検査(血球計算、血液化学)を受けている猫を組み入れた。毒性はVeterinary Comparative Oncology Groupの有害事象共通用語基準(VCOG-CTCAE)に則って、グレード評価し、反応性は固形がんの治療効果判定の基準(RECIST)に則って評価した。

結果
:14頭の猫が組み入れ基準を満たし、その多く(13/14)が過去に治療(手術、放射線治療、化学療法)を受けていた。最も多かった腫瘍のタイプは肥満細胞腫と悪性上皮性腫瘍であった。毒性は10/14頭でみられ、10頭で軽度の骨髄抑制もしくは消化器への影響がみられた。2頭では重度な肝毒性がみられた。1頭が心不全で死亡したが、治療と関連しているかどうかは不明であった。反応性に関しては、1頭が完全寛解を得て、2頭は部分寛解を得て、5頭は維持病変であった。全体の生物学的反応率は57.1%であった。肥満細胞腫の治療をした猫では全てで完全寛解もしくは部分寛解となった。全体での反応期間の中央値は90日(14-570日)であった。扁平上皮癌で反応が得られた猫はいなかった。

結論と関連性
:猫はリン酸トセラニブの投与を一般によく許容し、多くのケース(10/14)で毒性は軽度な骨髄抑制か消化器障害に限定されていた。しかしながら肝毒性には注意が必要である。この小集団での治療の反応性は、犬での報告に類似していた。


==訳者コメント===
・治療の反応については肥満細胞腫とその他の腫瘍とで分けて考える必要があると思います。

 

Merrick, C. H., et al. "Retrospective evaluation of toceranib phosphate (Palladia®) toxicity in cats." Veterinary and comparative oncology (2016).

PubMedリンク
本文:無料公開なし

==アブストラクト===
この研究の目的は、腫瘍を持つ猫におけるリン酸トセラニブ(パラディア)の毒性の概要を示すことである。7つの施設の医療記録を再調査した。医療記録が不十分であったり、並行して他の化学療法やNSAIDsの投与を受けている猫は除外した。55頭の猫が組み入れ基準を満たした。上皮生悪性腫瘍が55%であった。トセラニブの投与量の中央値は2.7mg/kgであり、月曜、水曜、金曜の投与スケジュールが最も一般的であった。血小板減少症(16.3%)と好中球減少症(9.1%)が最も多い血液学的な毒性であった。 高窒素血症(14.5%)とALTの上昇(7.2%)が最も多い血液化学的な変化であった。消化器毒性は21.8%の猫にみられ、それは犬で報告されているものよりも低い割合であった。この研究の結果から、猫のトセラニブの治療はよく許容されるものであり、毒性は頻繁では無いということが示された。腫瘍を持つ猫におけるトセラニブの治療について、より構造化された投与スケジュールと治療効果を明らかにするためのさらなる研究が望まれる。

==本文から===
・利益相反:不明

==訳者補足===
・企業の関与の有無について明らかでは無いです。
 

↑このページのトップヘ