ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

小動物臨床の獣医師が、臨床に役立ちそうな論文情報をちょっとづつアップします。ねころんでいても論文検索ができればいいなと。

カテゴリ: 免疫疾患

Murakami, Akira, et al.
"Combination chlorambucil/firocoxib or chlorambucil/prednisolone treatment for inflammatory colorectal polyps in miniature dachshunds."
 
Journal of the American Animal Hospital Association 54.3 (2018): 161-166.

PubMedリンク PMID:29558217
本文:無料公開なし

タイトル
:ミニチュアダックスフントの炎症性結腸直腸ポリープに対するクロラムブシル/フィロコキシブまたはクロラムブシル/プレドニゾロンの組み合わせ治療

==アブストラクト=== 
炎症性結腸直腸ポリープは、ミニチュアダックスフントでより頻繁に認められており、免疫介在性疾患を示すと考えられている。この回顧的症例シリーズ では、難治性の炎症性結腸直腸ポリープがあり、クロラムブシルとフィロコキシブまたはプレドニゾロンの組み合わせで治療したミニチュアダックスフント6頭について記述する。臨床徴候の改善は、研究機関の終わりまでに6頭中5頭でみられた。そのうち4頭はクロラムブシル/フィロコキシブで治療され、1頭はクロラムブシル/プレドニゾロンで治療された。1頭で、クロラムブシル治療開始後23ヶ月で非再生性貧血がみられたが、因果関係は不明であった。残り5頭では治療期間中の重篤な有害事象は観察されなかった。フィロコキシブまたはプレドニゾロンとクロラムブシルの組み合わせは、炎症性結腸直腸ポリープの犬の有効な代替治療となるようだ。炎症性結腸直腸ポリープの犬に対するクロラムブシル治療の有効性と長期的な合併症を確認するためにはさらなる研究が必要だ。

Ohta, H., et al.
"Serial measurement of pancreatic lipase immunoreactivity concentration in dogs with immune‐mediated disease treated with prednisolone."
 
Journal of small animal practice 58.6 (2017): 342-347.

PubMedリンク PMID:28247954
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル: プレドニゾロンで治療した免疫介在性疾患の犬における膵リパーゼ免疫反応濃度の連続測定

==アブストラクト===
目的:この呼び研究では、免疫抑制量のプレドニゾロンで治療されたさまざまな免疫介在性疾患んも犬において血清犬膵リパーゼ免疫反応を繰り返し測定した。

方法
:新たに免疫介在性疾患と診断され、犬膵リパーゼ免疫反応濃度が正常(≦200μg/l)である家庭飼育犬10頭を、初期治療としてプレドニゾロン(2-2.2mg/kg、1日1回経口投与)で治療した。それぞれの犬で治療前、および1免疫抑制治療期間中1-4週間間隔で、血清サンプルを採取した。免疫抑制治療中に検出された最も高い犬膵リパーゼ免疫反応濃度をピークと定義した。

結果
:犬膵リパーゼ免疫反応濃度のピークは、2頭で正常、3頭で疑わしい(201-399μg/l) 、5頭で異常(≧400μg/l)であった。犬膵リパーゼ免疫反応濃度のピークは、ベースラインと比べて有意に高かったが、臨床的な膵炎の徴候はなかった。

臨床的意義
:プレドニゾロン治療中に犬膵リパーゼ免疫反応濃度が上昇していた5頭の犬が、無症候性の膵炎を起こしていたのかどうか、または異常な結果がプレドニゾロン投与の結果であったのかどうかは不明なままである。
 

Hisasue, Masaharu, et al.
"Hematologic abnormalities and outcome of 16 cats with myelodysplastic syndromes."
 
Journal of veterinary internal medicine 15.5 (2001): 471-477.

PubMedリンク PMID:11596735
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:骨髄異形成症候群の猫16頭の血液学的異常と転帰

==アブストラクト===
骨髄異形成症候群(MDS)の血液学的異常と予後について調べた。非再生性貧血、血小板減少症、および好中球減少症が、MDSの猫16頭中それぞれ15頭、13頭、4頭でみられた。MDSの形態学的異常の特徴には、巨赤芽球性正赤芽球(9頭)、好中球の低分節化(7頭)、正赤芽球の核異常(10頭)、好中球の核異常(13頭)、微小巨核球(10頭)がみられた。16頭の猫の疾患は、ヒトのフランス-アメリカ-イギリス(FAB)に基づいて分類難治性貧血(RA 8頭)、過剰な芽球を伴う難治性貧血(RAEB 5頭)、形質転換中の過剰な芽球と伴う難治性貧血(RAEB in T 1頭)、および慢性骨髄単球性白血病(CMMoL 2頭)に細分類された。臨床的な転帰のわかる猫のうちで、RAEB、RAEB in T、CMMolを含む芽球数が多い猫6頭のうち3頭が急性骨髄性白血病を発症したが、芽球数の少ない猫8頭中では1頭だけが急性骨髄性白血病を発症した。ヒトのMDSの予後についてのデュッセルドルフスコアリングシステムに基づくと、高スコア(3ポイント以上)を示す猫の生存期間は、低スコア(3ポイント未満)の猫よりも有意に短かった。FAB分類とデュッセルドルフスコアリングシステムは、猫のMDSの予後予測に有用であると考えられた。さらにこの研究におけるMDSの猫16頭中15頭は猫白血病ウイルスに感染していたことから、それが猫のMDSの病因において病因的役割をになっている可能性が示された。

Weiss, Douglas J.
"Evaluation of dysmyelopoiesis in cats: 34 cases (1996–2005)."
 
Journal of the American Veterinary Medical Association 228.6 (2006): 893-897.

PubMedリンク PMID:16536701
本文:無料公開なし

タイトル:猫の骨髄異形成の評価;34症例(1996-2005年)

==アブストラクト===
目的:一般的な分類シェーマを用いて診断された骨髄異形成をさらに分類し、 猫の骨髄異形成の様々な形態を鑑別するために使用できる臨床的特徴と検査結果について調べること。

デザイン:回顧的な症例シリーズ。34頭の猫から得られた骨髄スライドのサンプル集団。

方法:1996年から2005年の間に血液と骨髄の分析により診断された骨髄異形成の猫の医療記録を再調査した。研究の組み入れ基準は、骨髄中の1つもしくはそれ以上の造血細胞系でにおける10%以上の異型細胞の所見と血液における血球減少症の併発とした。この基準を満たす猫を、スライドの再評価に基づき骨髄異形成症候群または二次的な骨髄異形成のサブグループに分類した。

結果
:189の骨髄スライドを再評価し、1つ以上の細胞系における10%以上の異型細胞が34(14.9%)でみられた。猫は、過剰な芽細胞を伴う骨髄異形成症候群(n=13)、難治性の血球減少を伴う骨髄異形成症候群(n=8)、異型の骨髄異形成症候群(n=1)、虹的な骨髄異形成(n=12)にサブグループ分類された。骨髄異形成症候群の猫と免疫介在性貧血の猫における骨髄異形成および自己凝集の所見は、2つの病態の鑑別を複雑にした。

結果と臨床的意義:免疫介在性溶血性貧血の猫と骨髄異形成症候群の猫の鑑別は、重度な貧血と自己凝集が両方の病態で同時に起こる可能性があるため、困難であった。過剰な芽細胞を伴う骨髄異形成症候群と難治性の血球減少を伴う骨髄異形成症候群の鑑別は、臨床的な転帰を予測するうえで役にたった。
 

Ribas, A. Latre, et al.
"Canine sterile steroid-responsive lymphadenitis in 49 dogs." 
The Journal of small animal practice(2019).

PubMedリンク PMID:30684356
本文:無料公開なし

タイトル:犬の無菌性ステロイド反応性リンパ節炎、49頭

==アブストラクト===
目的
:イギリスで無菌性ステロイド反応性リンパ節炎と診断された犬の臨床的および検査での特徴、治療への反応、転帰について報告すること。

方法
:2009年から2016年の間に6箇所の専門医紹介センターで無菌性ステロイド反応性リンパ節炎と診断された犬の医療記録を回顧的に再調査した。

結果:研究には49頭の犬が含まれた。スプリンガースパニエルが好発傾向であるようだった(49頭中16頭)。若い犬(年齢中央値;3歳9ヶ月)、メス(49頭中35頭)、食欲低下(49頭中21頭)が最も多く報告された臨床徴候であった。リンパ節の細胞診または組織学的検査では、すべての症例で検出可能な基礎疾患はなく、好中球性、化膿性肉芽腫性、肉芽腫性、または壊死性のリンパ節炎が示された。無菌性の免疫介在性の病因が疑われるため、すべての犬でプレドニゾロンが投与され、ほとんどの症例で臨床徴候とリンパ節症の急速な解消が得られた。

臨床的意義
:炎症性のリンパ節症を伴う起原不明の発熱がある犬では、基礎疾患が見つからない場合には無菌性ステロイド反応性リンパ節炎を考慮すべきであり、しばしば免疫抑制量のコルチコステロイド療法に反応する可能性がある。
 

Lowrie, M., et al.
"Effect of a constant rate infusion of cytosine arabinoside on mortality in dogs with meningoencephalitis of unknown origin." 
The Veterinary Journal 213 (2016): 1-5.

PubMedリンク PMID:27240905
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル
:原因不明の髄膜脳炎のある犬においてシトシンアラビノシドの低速注入が死亡率に与える影響

==アブストラクト===
定速注入によるシトシンアラビノシドの投与は、伝統的な間欠的投与よりも薬物動態学的および薬力学的な利点がある。これらの利点が臨床的効果につながるかどうかは不明なままである。この研究の目的は、原因不明髄膜脳炎の犬におけるシトシンアラビノシドの定速注入(CRI)の有効性と安全性について評価し、シトシンアラビノシドの伝統的な間欠的皮下投与(SC)を行なった犬のヒストリカルコントロールのグループ(両群ともに補助的なプレドニゾロンの投与は受けている)と比較することである。シトシンアラビノシドの24時間定速注入(100mg/m2)は、48時間かけての12時間ごと50mg/m2皮下投与に比べて、生存と病変の消失について完全するだろうという仮説をたてた。

2006年から2015年の間に原因不明脳炎が疑われて来院した連続した犬の中から、原因不明髄膜脳炎が疑われる犬80頭が集められた・すべての犬はルーチンの臨床的評価、脳のMRI、および脳脊髄液分析をうけた。SC投与群には39頭が含まれ、CRI群には41頭がふくまれた;ベースラインの特徴は両群で同様であった。3ヶ月の生存は、SC群で22/39(44%)、CRI群で37/41(90%)であった。いずれの群でも用量制限毒性はみられなかった。3ヶ月でのMRIおよび脳脊髄液での異常の消失は、SC群と比べてCRI群で大幅に改善していた。

CRI投与計画は、SCによる投与よりも生存における利点を生み出し、臨床的に問題となる毒性はみられなかった。これらのデータは犬の原因不明髄膜脳炎に対して初回来院時でのルーチンな使用を支持するものである。
 

Rose, J. H., and T. R. Harcourt‐Brown.
"Screening diagnostics to identify triggers in 21 cases of steroid‐responsive meningitis‐arteritis." 
Journal of small animal practice 54.11 (2013): 575-578.

PubMedリンク PMID:24580013
本文:無料公開なし

タイトル:ステロイド反応性髄膜炎-動脈炎の21症例におけるトリガーを同定するためのスクリーニング診断

==アブストラクト===
目的:免疫介在性溶血性貧血に対する感染性および腫瘍性のトリガーを同定するために用いられているスクリーニング検査、特に完全血球計算と分画、血清生化学解析、尿分析(培養を含む)、腹部超音波検査、および胸部レントゲン、がステロイド反応性髄膜炎-動脈炎のトリガーを同定し得るかどうかを評価すること。

方法:回顧的記述的レビュー。

結果:すべてのスクリーニング検査が実施されている21頭のステロイド反応性髄膜炎-動脈炎の症例が同定された。すべての症例でCBCの変化あり(好中球増加症、単球増加症、リンパ球増加症、好酸球減少症、または貧血を含む);19頭で生化学の変化あり(低アルブミン血症、高グロブリン血症、ALP活性の上昇、高リン血症、総カルシウム濃度の上昇、高コレステロール血症、高カリウム血症、尿素濃度の上昇、ALT活性の上昇、を含む);2頭で尿タンパククレアチニン比の上昇があったが尿培養陽性の症例はなし;直交の胸部レントゲンでの異常はなし;4頭で腹部超音波検査での異常があり、その後の細胞検査で病原性微生物の存在しない炎症が示された。

臨床的意義
: 免疫介在性溶血性貧血に対する感染性および腫瘍性のトリガーを同定するために用いられているスクリーニング検査では、この調査の犬の集団ではステロイド反応性髄膜炎-動脈炎のトリガーを特定されなかった。
 

Biedermann, E., A. Tipold, and T. Flegel.
"Relapses in dogs with steroid‐responsive meningitis‐arteritis." 
Journal of Small Animal Practice 57.2 (2016): 91-95.

PubMedリンク PMID:26582438
本文:無料公開なし

タイトル:ステロイド反応性髄膜炎-動脈炎のある犬の再発

==アブストラクト===
目的
:ステロイド反応性髄膜炎-動脈炎における再発率を記述し、再発のある犬とない犬における臨床的および検査のパラメータを記述すること。

方法
:ステロイド反応性髄膜炎-動脈炎の犬74頭を回顧的に同定し、3つの群のうちの1つに割り付けた;(1)再発無し(2)1回以上の再発(3)再発状態不明。最初の2つの群では以下のパラメータについて調べた;性別、年齢、品種、体重、初回の脳脊髄液分析における有核細胞数、総タンパク濃度、好中球の割合、血清および初回の脳脊髄液中の免疫グロブリンA、3ヶ月後の脳脊髄液再評価での有核細胞数、血清および初回脳脊髄液分析、3ヶ月後の脳脊髄液再評価におけるC反応性蛋白。

結果
:再発は32.4%の犬でみられ(1回の再発;62.5%、2回の再発;25.0%、3回の再発;8.3%、4回の再発;4.2%)、55.4%は再発がなく、12.2%は再発状態が不明であった。3ヶ月後の再評価時の血清と脳脊髄液中のC反応性蛋白は、再発のある犬の80%と75%でそれぞれ正常であった。 再発のない犬では、3ヶ月後の再評価時の血清と脳脊髄液中のC反応性蛋白は100%と90%でそれぞれ正常であった。 

臨床的意義
:この研究では、再発は頻繁にあるが、信頼のおける予測指標は現れなかった。血清中のC反応性蛋白の上昇は治療の継続を保証するものではあるが、 正常な血清C反応性蛋白はその後の再発を除外するものではない。
 

Lowrie, M., et al.
"Steroid responsive meningitis‐arteritis: a prospective study of potential disease markers, prednisolone treatment, and long‐term outcome in 20 dogs (2006–2008)."
Journal of veterinary internal medicine 23.4 (2009): 862-870.

PubMedリンク PMID:19566851
本文:無料公開あり(全文

タイトル:ステロイド反応性髄膜炎-動脈炎;20頭の犬での可能性のある疾患マーカー、プレドニゾロン治療、および長期予後に関する前向き研究(2006-2008年) 

==アブストラクト===
背景:過去の多剤研究により、ステロイド反応性髄膜炎-動脈炎(SRMA)の治療におけるプレドニゾロンの価値と、診断とモニタリングにおける急性期蛋白と免疫グロブリンA(IgA)の潜在的な価値が同定された。

仮説:(1)SRMAの治療においてプレドニゾロン単独療法は有効な免疫抑制療法である。(2)蛋白マーカーは再発の可能性を同定するのに有用である。

動物:2006年5月-2008年5月にグラスゴー小動物病院に来院したSRMAある家庭犬20頭。

方法:前向き観察研究;CBC、生化学、および脳脊髄液分析を行った。血清中のC反応性蛋白(CRP)、血清アミロイドA、アルファ1酸性糖蛋白、およびハプトグロビンを評価した。血清とCSFのIgA濃度を調べた。

結果:20頭すべてでSRMAの臨床的解消がみられた。血清CRP濃度は16/20頭で上昇したままだったが、CSFの細胞診では20/20頭で正常範囲内であった。血清急性期蛋白は治療により有意な減少がみられたが、ハプトグロビンだけは変化のないままであった。血清とCSF中のIgA濃度は、治療期間中上昇したままであった。

結論と臨床的重要性
:提示されたプレドニゾロン計画は、追加の薬剤を必要とせずにSRMAの治療に成功した。血清急性期蛋白は、特に再発の同定に関連してSRMAの診断と管理に有用である。血清およびCSF中のIgA濃度は疾患を通して高いままであり、SRMAの診断には役立つがが、管理には寄与しない。 
 

Cardy, T. J. A., and I. Cornelis.
"Clinical presentation and magnetic resonance imaging findings in 11 dogs with eosinophilic meningoencephalitis of unknown aetiology."
Journal of Small Animal Practice (2018).

PubMedリンク PMID:29603737
本文:無料公開なし 

タイトル:病因不明の好酸球性髄膜脳炎の犬11頭における臨床像とMRI所見

==アブストラクト===
 目的:病因不明の好酸球性髄膜脳炎の犬における臨床像、MRI所見、および転帰について記述すること。

材料と方法:この研究には、完全な医療記録、完全な神経学的検査、MRI画像、好酸球性の細胞増多症があり感染性疾患の検査に陰性の小脳延髄の脳脊髄液検体、のある犬を組み入れた。

結果: 11頭の犬が組み入れられ、年齢の中央値は22.0ヶ月(範囲 7.6-92.0)であった。9品種がみられた。神経学的な異常には、鈍麻(n=10)、威嚇反応の欠如(n=9)、固有位置感覚の欠如(n=7)、運動失調(n=7)、およびてんかん発作(n=2)が含まれた。神経解剖学的な位置は、多巣性(n=4)、中枢前庭系(n=4)、前脳びまん性(n=2)、もしくは左側の三叉神経/顔面神経(n=1)であった。7頭で末梢の好酸球増多症がみられた。10頭で両側性対称性の病変が罹患した皮質灰白質にみられ、T2強調像とFLAIR像で高信号、T1強調像では等〜低信号で髄膜の造影増強を伴った。MRI所見はびまん性の髄膜炎と、皮質灰白質の萎縮もしくは壊死と一致した。1頭ので左側の三叉神経における造影剤の取り込みの増強がみられた。コルチコステロイドの治療をうけた10頭は生存して退院し、7頭はシトシンアラビノシドの投与もうけた。生存期間の中央値は762日であった。

臨床的意義
:原因不明の好酸球性髄膜脳炎は若くて大型の犬が罹患し、その多くがMRIで同定されるびまん性の大脳皮質の髄膜炎と皮質の脳炎の疑いがある。 免疫抑制療法に対する反応は中期から長期にかけて良好であり、しかしこの領域にはさらなる研究が必要である。

Thomason, John M., et al.
"Effects of immunosuppressive agents on the hemostatic system in normal dogs." 
Journal of veterinary internal medicine (2018).

PubMedリンク PMID:29749651
本文:無料公開あり(全文) 

タイトル
:正常な犬において免疫抑制剤が止血系におよぼす影響

==アブストラクト===
背景
:犬において、免疫抑制剤が止血系におよぼす影響は知られていない。

仮説/目的
:目的は、免疫抑制剤が一次止血および二次止血に与える影響を調べることである。われわれは、シクロスポリンとプレドニゾロンは凝固亢進とトロンボキサン合成のマーカーを上昇させるが、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、レフルノミドは止血への影響が最小限である、という仮説をたてた。

動物
:8頭の健康な犬。

方法
:ランダム化クロスオーバー試験により、プレドニゾロン、アザチオプリン、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、およびレフルノミドをそれぞれ標準量で1週間経口投与している期間中の止血能を評価するために、凝集能測定、PFA-100血小板機能分析器、血小板数、プロトロンビン時間および活性化トロンボプラスチン時間を使用した。 尿クレアチニンに対する比として、尿11-デヒドロ-トロンボキサン-B2(11-dTXB2)と6-ケト-プロスタグランジン-F1α(6-keto-PGF1α)濃度を測定した。

結果
:凝集能測定の振幅は、レフルノミド治療(ADP活性化)の間で51±21から27±14(p=0.002)へ減少したが、、血小板がコラーゲンで活性化された場合に ほかのいずれの薬剤の振幅における差はなかった。すべての薬剤で、粘弾性測定指数(ACT, p=0.666、血餅率, p=0.340、血小板機能, p=0.411)と血小板数(p=0.552)に有意な差はなかった。治療前の値と比較すると、尿11-dTXB2/クレアチニン比は、投薬期間後に上昇した(3.7±0.6から5.6±1.1へ p=0.001)。シクロスポリンは、6-keto-PGF1α/クレアチニン比の上昇と関連した(10.3±4.6から22.1±5.3へ p<0.001)。

結論と臨床的重要性
:ほとんどの免疫抑制剤は、健康な犬において血小板機能もしくは凝固能を増強せず、それによりこれらの薬剤が凝固亢進の犬を血栓塞栓症になりやすくはしない可能性が示唆された。 われわれの研究結果は、凝固亢進の犬の臨床的な転帰と相関させる必要がある。

Marsella, Rosanna, et al.
"Randomized, double‐blinded, placebo‐controlled pilot study on the effects of topical blackcurrant emulsion enriched in essential fatty acids, ceramides and 18‐beta glycyrrhetinic acid on clinical signs and skin barrier function in dogs with atopic dermatitis."
 
Veterinary dermatology 28.6 (2017): 577.

PubMedリンク PMID 28736984
本文:無料公開なし

タイトル:アトピー性皮膚炎の犬における臨床的徴候と皮膚バリア機能における必須脂肪酸、セラミド、および18-ベータグリシルレチン酸が豊富な局所用カシス乳剤の効果に関する無作為化二重盲検プラセボ対照予備研究

==アブストラクト===
背景:脂質ベースの乳剤は犬アトピー性皮膚炎の管理に有効でありえる。18-βグリシルリチン酸(GRA)は、甘草の根の成分であり、抗炎症作用と抗掻痒作用を有する。

仮説・目的
: 無作為化二重盲検プラセボ対照試験により、セラミド、脂肪酸、GRAを含む局所脂肪乳剤が犬アトピー性皮膚炎の臨床徴候と皮膚バリアに与える効果を評価すること。

方法:非季節性で軽度から中程度のアトピー性皮膚炎を持つ家庭犬(n=45)が、治療とプラセボのいずれかを3ヶ月間受けた。皮膚病変、痒み、経皮的水分損失、全体評価について評価した。

結果
:治療を受けた14頭と、プラセボの投与を受けた14頭が調査を完了した。1ヶ月後には50%以上の痒みの減少が、治療群の7/14頭(50%)でみられ、対照群のは2/14頭(14.3%)でみられた(p=0.047)2ヶ月後、3ヶ月後には、有意な痒みの減少はみられなかった。犬アトピー性皮膚炎範囲重症度指数(CADESI)、経皮的水分損失、全体評価については、時間経過または群間で有意な所見はなかった。

結論と臨床的関連
:乳剤はいくらかの一時的な有益な臨床効果があった。しかし、単剤療法として痒みをコントロールするには効果的ではなかった。補助療法としての役割を評価するためのさらなる研究が望まれる。


利益相反:利益相反がないことを開示する(?)
資金調達源:この研究はイタリア、ミラノのNBFレーンが主催した。これには製品の提供と飼い主が診療所へ通うためのサポートが含まれていた。Luisa Cornegliani(著者の一人)はNBFでコンサルタントである。


==訳者コメント===
タイトルではカシスと書いてあり、アブストの背景では甘草と書いてあり、どういうことなのかよくわかりませんでした(英語力不足?知識不足?)。

プラセボに何が使われたのか気になります。結果の切り取り方がいくらか恣意的な感じに見えるのも気になります(50%の減少で切るのは最初から決まっていたのか?)。その辺りは本文を読まないとわかりませんね。

NBFレーンという団体が関与している(HPには非営利団体と書いてありますが、 製品も扱っているようでよくわかりません)のに、利益相反がないというのもよくわかりません。
 

McFadden, Rendina A., et al.
"A double‐blinded, randomized, controlled, crossover evaluation of a zinc methionine supplement as an adjunctive treatment for canine atopic dermatitis." 
Veterinary dermatology 28.6 (2017): 569.

PubMedリンク PMID:28736909
本文:無料公開なし

タイトル:犬アトピー性皮膚炎の補助療法としての亜鉛メチオニンサプリメントの二重盲検、無作為化、対照、クロスオーバー評価

==アブストラクト===
背景:亜鉛は皮膚の健康と適切な免疫システムの機能にとって重要である。

仮説・目的:犬アトピー性皮膚炎で、亜鉛メチオニン、必須脂肪酸、およびビオチン製品(亜鉛サプリメント)を、必須脂肪酸とビオチン製品 と比較した。

動物:慢性の犬アトピー性皮膚炎がありシクロスポリンまたはグルココルチコイドの投与を受けている家庭犬27頭。

方法:24週間の無作為化二重盲検対照研究であり、12週間のクロスオーバーを行い、8週目と20週目で4週間のアレルギー薬の減量を行なった。犬アトピー性皮膚炎病変指数、 掻痒視覚的アナログスケール、細胞診サンプルを評価した。

結果
:亜鉛サプリメントとシクロスポリンを8週間投与された犬では、44%(n=7)で犬アトピー性皮膚炎病変指数が11.9から6.0に有意に減少したが(p=0.0002)、掻痒視覚的アナログスケールは有意な変化はなかった(p=1.0)。亜鉛サプリメントとグルココルチコイドを8週間投与された犬では、55%(n=6)で犬アトピー性皮膚炎病変指数が10.9から5.0へ有意に減少し(p=0.0043)、掻痒視覚的アナログスケールでは7.4から3.2に有意に減少した(p=0.0166)。ステロイドかシクロスポリンのいずれかを投与されていた犬では、亜鉛サプリメントの投与を受けた犬の63%、対照薬の投与を受けた犬の37%で、少なくとも4週間それらの薬物の使用が減少した。この差は有意なものではなかった(p=0.1027)。78%の犬が調査期間中に皮膚表層の感染症と診断され、治療された。

結論と臨床的重要性
;この研究は犬アトピー性皮膚炎における亜鉛メチオニンサプリメントの補助的な使用の利益を支持している。グルチコルチコイドの投与を受けている犬ではより有益である可能性がある。これらの初期結果を実証するためにはさらなる研究が必要である。


==訳者コメント===
アブストラクトからは方法と結果がイマイチよくわからず、この研究の評価がよくわかりません。
”投与した犬のOO%で有意な減少があった”というのが特によくわかりませんでした。
本文を読まないとダメそうです。

 

Slovak, J. E., et al.
"Pharmacokinetics of Mycophenolic Acid after Intravenous Administration of Mycophenolate Mofetil to Healthy Cats." 
Journal of veterinary internal medicine (2017).

PubMedリンク
本文:無料公開(PDF

タイトル:健康な猫にミコフェノール酸モフェチルを静脈注射した後のミコフェノール酸の薬物動態

==アブストラクト===
背景:ミコフェノール酸モフェチル(MMF)はミコフェノール酸のプロドラッグであり、猫の医療において代替の免疫抑制剤としてますます普及しつつある。猫のおける薬物動態の情報はない。

目的:この研究の目的はMMFが活性代謝物のミコフェノール酸に生体変換されるかどうかを決定し、健康な猫でMMFの2時間定速静注を行なった後のミコフェノール酸の体内動態を評価することである。

動物:健康な猫(n=6)

方法: 前向き予備研究。全ての猫にMMFを20mg/kg,12時間毎, 2時間の定速静注を1日間投与した。血中のミコフェノール酸とその誘導体の濃度を、有効UHPLC-UV法を用いて決定した。

結果:全ての猫でMMFはミコフェノール酸へ生体変換された。MMFの静注投与後のAUC0-14hの平均は6-50h*mg/lの範囲であった。 投薬後の一過性の大調性下痢が6頭中2頭で記録された。

結論と臨床的重要性
:血漿中のミコフェノール酸の体内動態は非常に変化しやすく、これは猫におけるMMFの治療効果と安全性において個体間の変動性が高い結果となり得る。


==訳者コメント===
他の報告にもある通り、副作用はやはり下痢が多いようですね。
[文献・猫・免疫]猫のミコフェノール酸モフェチルの主な副作用は下痢(2017年・PMID 28206810) 

 

McAtee, B. B., et al.
"Opportunistic Invasive Cutaneous Fungal Infections Associated with Administration of Cyclosporine to Dogs with Immune‐mediated Disease." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2017).

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タイトル
:免疫介在性疾患の犬へのシクロスポリンの投与に関連した日和見侵襲性皮膚真菌感染

==アブストラクト===
背景
:日和見侵襲性真菌感染は、免疫抑制剤の投与を受けている犬で起こる。しかし、免疫抑制治療を行なっている犬での日和見侵襲性真菌感染の疫学はほとんど分かっていない。この研究の目的は(1)何らかの免疫介在性疾患と診断され、免疫抑制剤で治療している犬での日和見侵襲性真菌感染の発生率を推定すること(2)特定の薬が日和見侵襲性真菌感染の危険因子かどうかを判断すること。

仮説
:シクロスポリンの治療(単独もしくは多剤併用の一部として)を受けている犬は日和見侵襲性真菌感染を発症するリスクが高い。

動物
:選択された免疫介在性疾患と診断された家庭犬113頭:IMHA42頭、ITP29頭、IMPA34頭、エバンス症候群8頭

方法
:回顧的コホート研究。2008年1月から2015年12月までにテキサスA&M大学獣医学教育病院に来院し、IMHA、ITP、IMPA、エバンス症候群のいずれか1つ以上の治療を受けた犬の医療記録を回顧的再調査した。日和見侵襲性真菌感染を発症しなかった犬については、死亡した場合、安楽死された場合、免疫抑制治療を開始して120日以内に追跡不能となった場合には除外した。

結果
:113頭中15頭(13%)が、細胞診、培養、病理組織学のいずれか1つ以上をもとに日和見侵襲性真菌感染と診断された。日和見侵襲性真菌感染を発症する確率は、シクロスポリンの治療を受けた犬(オッズ比=7.1, p=0.017, 95%信頼区間1.5 -34.4)と雄犬(オッズ比=5.1, p=0.018, 95%信頼区間1.4 -17.9)で高かった。

結論と臨床的重要性
:雄犬とシリクロスポリンの投与を受けた犬では日和見侵襲性真菌感染が有意に起こりやすかった。免疫抑制治療、特にシクロスポリンを用いる場合には起こり得る合併症として日和見侵襲性真菌感染を考慮しておくことが重要である。

略語
IMHA:免疫介在性溶血性貧血
ITP:免疫介在性血小板減少症
IMPA:免疫介在性多発性関節炎
 

Shaughnessy, Magen L., et al.
"Clinical features and pathological joint changes in dogs with erosive immune-mediated polyarthritis: 13 cases (2004–2012)." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 249.10 (2016): 1156-1164.

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==アブストラクト===
目的:びらん性免疫介在性多発性関節炎(IMPA)の犬の臨床的特徴と病理学的な関節の変化を評価すること。

デザイン:回顧的症例シリーズ

動物: びらん性IMPAの犬13頭と非びらん性IMPAの犬66頭

手順:獣医教育病院の医療記録データベースを再調査し、2004年10月から2012年11月に検査されたIMPAの犬が同定された。IMPAに罹患した犬それぞれに対して、シグナルメント、診断検査の結果、レントゲン所見、投与された治療についてを医療記録から抽出した。 複数の関節で骨の融解がレントゲンで明らかになった場合にびらん性IMPAと分類され、それらの犬の記述的なデータが作成された。全ての利用可能な関節液の検体の塗抹が細胞学的評価が行われた。関節液の総有核細胞数と白血球分画を推定し、びらん性IMPAの犬と非びらん性IMPAの犬との間で比較された。

結果:79頭中13頭(16%)がびらん性IMPAであった。びらん性IMPAの犬の年齢の中央値± SDは7.1±2.4歳であり、体重の中央値は8.3±3.4kgであった。13頭すべてで手根関節にびらん性の病変があった。推定された関節液中のリンパ球数の中央値は、非びらん性IMPAの犬に比べて、びらん性関節炎の犬で有意に多かった。全ての犬が免疫抑制療法を受けており、レフルノミド(n=9)、プレドニゾロン(n=3)、プレドニゾロンーアザチオプリン(n=1)であった。

結論と臨床的関連
:この結果はびらん性IMPAは、中年齢の小型犬の手根関節が最もよく罹患することを示した。さらなる遺伝子分析とリンパ球のサブセットの解析が、びらん性IMPAの犬で正当化される。 

Hillström, Anna, et al.
"Measurement of serum C-reactive protein concentration for discriminating between suppurative arthritis and osteoarthritis in dogs."
 
BMC veterinary research 12.1 (2016): 240.

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本文:無料公開(PDF

==アブストラクト===
背景
:関節の痛みをもつ犬で、関節液内への好中球の浸出を特徴とする化膿性関節炎なのか否かを決定することは重要であり、それは診断検査と治療に影響を与える。この研究の目的は血清C反応性蛋白(CRP)濃度が、化膿性関節炎の犬と変形性関節症(OA)の犬との識別に利用できるかどうかを評価することである。さらに、関節疾患の犬と健康な犬で、血清および関節液のインターロイキン(IL)6濃度を測定し、血清CRP濃度との相関をみる。

方法
:関節の痛みのある犬が前向きに登録され、関節液検査とレントゲンまたは関節鏡による所見をもとに、化膿性関節炎または変形性関節症に分類された。健康なビーグルが対照群として登録された。CRPとIL-6濃度が犬特異的イムノアッセイで測定された。化膿性関節炎の犬と変形性関節症の犬を識別におけるCRPの性能を、すでに確率されているCRPの臨床決定限界(20mg/l)を用いて、ROC曲線とロジスティック回帰分析によって評価した。グループ間のCRPとIL-6濃度の比較は、t検定とスピアマン順位相関係数による相関を用いて行った。 

結果
:検体は31頭の化膿性関節炎の犬、34頭の変形性関節症の犬、17頭の健康な犬から得られた。関節疾患をもつ65頭中62頭がCRPの臨床決定限界を用いて正確に分類された。ROC曲線の評価と回帰分析はCRP濃度が化膿性関節炎と変形性関節症を識別し得ることを示した。化膿性関節炎の犬は、変形性関節症の犬に比べて血清CRP濃度と関節液のIL-6濃度が高かった(p<0.001)。変形性関節症の犬では、健康な犬と比較して関節液のIL-6濃度は高かったが(p<0.001)、血清CRP濃度(p=0.29)または血清IL-6濃度(p=0.07)は高くなかった。関節液のIL-6と血清CRP濃度(rs=0.733, p<0.001)および血清IL-6と血清CRP濃度(rs=0.729、p<0.001)には正の相関があった。

結論
:CRP濃度は化膿性関節炎の犬と変形性関節症の犬を良く識別することがわかった。 

(訳者注;CRPの濃度は日本で一般に利用されている単位(mg/dl)とは異なる点に注意。つまりここでのカットオフは日本の単位だと2.0mg/dl) 

==本文から===
  • スウェーデン農業科学大学
  • 2012-2013年
  • 組み入れ基準:身体検査で一つ以上の関節の痛み、診断もしくは治療を目的として関節穿刺、関節鏡または関節切開を実施。
  • 除外基準:妊娠、4週間以内のステロイドの投与
  • 関節駅のサンプルは痛みのある関節1-4ヶ所から無菌的に採取(治療の介入前)

疾患状態の分類基準
  • 化膿性関節炎:関節液の有核細胞数>5000/μl、好中球が30%以上、病的な出血なし
  • 正確な細胞数のカウントが不明な場合、細胞数が中程度から顕著に増加していた場合とする
  • 変形性関節症:関節液の有核細胞数≦3000/μl、好中球が10%以下、病的な出血なし
  • 正確な細胞数のカウントが不明な場合、細胞数が低いから軽度に増加していた場合とする
  • どちらにも当てはまら場合は分けて報告

結果
  •  76頭が組み入れられたが、11頭が除外(ステロイド治療(1)、参照検査の未実施(3)、どちらの疾患にも分類されず(7))
  • 化膿性関節炎31頭、変形性関節症34頭



==訳者コメント==
  • 有核細胞数が>3000、<5000、好中球の割合が>10%、<30%の症例が除外されている点に注意です。こうしたグレーゾーンを排除する方法は診断性能を高く評価してしまう傾向にあります(スペクトラムバイアス)。
  • この研究では関節の痛みのある犬を対象としていますが、関節の痛みが明瞭でなく他の症状で受診する多発性関節炎の犬も結構多い印象です。

 

Cummings, F. O., and S. A. Rizzo.
"Treatment of presumptive primary immune‐mediated thrombocytopenia with mycophenolate mofetil versus cyclosporine in dogs." 
Journal of Small Animal Practice 58.2 (2017): 96-102.

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==アブストラクト===
目的
:この研究の目的は、ミコフェノール酸モフェチルとコルチコステロイド対シクロスポリンとコルチコステロイドの治療を行なった一次性免疫介在性血小板減少症と推定される犬の、入院期間、生存期間、有害事象、治療費用を比較すること。

方法
: 一次性免疫介在性血小板減少症と推定される犬の症例医療記録の回顧的調査を行なった。収集されたデータにはシグナルメント、主訴、血液学的・血液化学的所見、ベクター媒介疾患の検査、胸腹部レントゲン、腹部エコー、薬剤投与、入院期間、30日および60日の生存、有害事象、治療費用、が含まれた。ミコフェノール酸モフェチルとコルチコステロイド、もしくはシクロスポリンとコルチコステロイドで治療された犬の間で変数を比較した。

結果
:全部で55頭の一次性免疫介在性血小板減少症の犬が同定された。18頭は治療中に複数の免疫抑制剤を使用していたため除外された。入院期間、30日の生存、60日の生存は両グループで有意差がなかった。ミコフェノール酸モフェチルとステロイドのグループの犬では、シクロスポリンとコルチコステロイドのグループの犬に比べて、有害事象の発生が少なかった。ミコフェノール酸モフェチルによる治療の方が、シクロスポリンよりも安価であった。

臨床的重要性
:これらの結果から、一次性免疫介在性血小板減少症と推定する犬の治療において、ミコフェノール酸モフェチルとコルチコステロイドの治療はシクロスポリンとコルチコステロイドの治療と同等に効果的であるということが示唆された。ミコフェノール酸モフェチルのグループでは有害事象が少なく、治療費用が安価だった。これらの予備的な所見を立証するために、より大きな前向き、二重被覆、アウトカムベースの他施設間研究が必要とされる。
 

Slovak, Jennifer E., and Nicolas F. Villarino.
"Safety of oral and intravenous mycophenolate mofetil in healthy cats." 
Journal of Feline Medicine and Surgery(2017): 1098612X17693521.

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==アブストラクト===
目的
:この研究の目的は、健康な猫におけるミコフェノール酸モフェチル(MMF)の静脈内(IV)投与および経口投与の安全性と臨床的な効果を評価すること。

方法
:体重3.5kg以上で健康な成猫24頭に、 MMFのIV投与(2時間かけて投与)もしくはMMFの経口投与のいずれかを行なった。投与量は以下の通り;
5m/gk, IV, 単回投与(n=2)
10mg/kg, IV, 12時間毎, 1日投与(n=1)
2
0mg/kg, IV, 12時間毎, 1日投与(n=6)
10mg/kg, IV, 12時間毎, 3日間投与(n=5)
分析を目的として、それぞれの猫で最後の投与後から最大12時間間隔で採血を行なった。
MMFの経口投与は以下の通り;
10mg/kg, 12時間毎, 7日間投与(n=3)
15mg/kg, 12時間毎, 7日間投与(n=3) 
15mg/kg, 8時間毎, 7日間投与(n=4)

結果
:MMFの副作用は最小限であった。IV投与中および投与後のいずれの猫においても、食欲不振と嘔吐は認めなかった。IV投与の14頭中4頭で、IV投与後12-48時間で下痢を認めた。 経口投与の10頭中1頭で食欲不振を認め、嘔吐は認めなかった。経口投与の10頭中5頭で調査中の2ー7日の間に下痢を認めた。

結論と関連性
:MMFの10mg/kg,IV,12時間毎,3日間の投与、および≦15mg/kg,経口,12時間毎,7日間までの投与は、猫に許容された。用量依存性の消化器副作用の発生があるようだ。MMFは猫における代替的な免疫抑制剤として利用できる可能性がある。


==訳者コメント===
・副作用として下痢は頻繁に見られるようです。
・中長期の投与に伴う有害事象に関しては、この文献からは分からないことを考慮しておく必要があります。 

Sato, M., et al.
"A Retrospective Study on the Safety and Efficacy of Leflunomide in Dogs." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2017).

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==アブストラクト===
背景
:免疫介在性疾患の犬におけるレフルノミドの使用に関して、利用できる情報はほとんどない。

目的
:自然発生の免疫介在性疾患の犬の治療におけるレフルノミドの有効性と安全性を報告すること。

動物
:免疫介在性疾患を疑い管理するためにレフルノミドの治療を行なった犬92頭。

方法
:1995年1月〜2014年12月の医療記録を回顧的に再調査した。医療記録から抽出したデータには、シグナルメント、体重、基礎となるレフルノミドの適応疾患、レフルノミドの投与量、治療期間、併用薬、治療への反応を含めた。

結果
:レフルノミド投与に関連している可能性のある有害事象には、下痢(3/92, 3.3%)、無気力(2/92, 2.2%)、説明不できない出血(3/92, 3.3%)、血小板減少症(2/31, 6.5%)、肝酵素の上昇(1/16, 6.3%)が含まれた。投与量について、有害事象のある犬(n=11; 中央値 2.9mg/kg/日; 範囲1.8mg-3.6mg/kg/日)と有害事象のない犬(n=81; 中央値1.6mg/kg/日; 範囲0.8-4.3mg/kg/日)とで、有意な差があった(P<0.001)。治療の反応性は17頭で評価できた。17頭の犬のうち、12頭(70.5%)でレフルノミドを使用することで明らかに良い反応が得られた。投与量について、治療に反応した犬(n=12; 中央値 1.9mg/kg/日; 範囲1.0mg-3.5mg/kg/日)と反応しなかった犬(n=5; 中央値1.7mg/kg/日; 範囲1.0-2.0mg/kg/日)とで、有意な差はなかった(P=0.22)。

結論と臨床的重要性
:今回の結果はレフルノミドの開始用量は、現在推奨されている3-4mg/kg/日よりも、2mg/kg/日であるべきだということを示唆している。
 

==訳者補足===
・確かに有害事象のある犬の方が投与量が多い傾向がありますが、発生率は高くなさそう(11/92, 12%)です。
・一方で、反応性についての検討はn数がとても少なく、この結果から低い用量でも治療効果に問題がないというのは、いささか言い過ぎかもしれません。
・そのため、投与量を低くすべきという結論も早計かもしれません。 

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