ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

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カテゴリ: 輸血

Lewis, D. H.
"Indications for use and complications associated with canine plasma products in 170 patients." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (San Antonio, Tex.: 2001) (2021).


PubMedリンク PMID:33751801
本文:無料公開なし

タイトル:170頭の患者における犬の血漿製剤の使用適応と関連した合併症

==アブストラクト===
目的:犬の血漿製剤(PP)を投与された犬の集団について記述し、輸血反応の発生率を報告し、血液型が一致しない血漿を投与した場合にそれが高いかどうかを特定すること。

デザイン:2016年3月から2018年1月の間に犬の血漿製剤を投与された犬における回顧的研究。

施設:一次救急クリニックのある民間の紹介病院。

動物:クリニックの電子医療記録システムから同定された、研究期間中に少なくとも1単位の犬の血漿製剤の投与を受けた家庭飼育犬194頭;25頭は記録が不完全で除外された。

介入:なし。

方法と主な結果
:電子記録の検索を行い、2016年から2018年の間に犬の血漿製剤を投与された患者が同定された。輸血反応に関連した回数とタイプを同定するために診療記録を調べた。研究には169症例が組み入れられ、合計で412の血漿製剤の投与が行われた。反応は投与の4%(17/412)でみられ、大部分が本質的に軽度なものであった。同定された輸血反応のうち、血液型が一致しなかった輸血よりも、一致した輸血のほうが割合は大きかったが、その差は統計的に有意ではなかった(p=0.7989)。輸血反応は1単位の投与をした場合(5%)よりも、複数の単位の血漿を投与した場合(13%)の方が高かったが、この差も統計的に有意ではなかった(p=0.1161)。輸血反応は、濃厚赤血球の輸血を行ったときのほうが起こりやすかったが、これも統計的に有意ではなかった(p=0.07)。

結論
:犬の血漿製剤の投与は、輸血反応のリスクも低く、安全な方法であるようだ。犬の血漿製剤の血液型のマッチングは不必要であり、犬の輸血服反応の発生率を減らさない。

Edwards, Thomas H., et al.
"Hemostatic capacity of canine chilled whole blood over time."
 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2021).

PubMedリンク PMID:
33709546
本文:無料公開なし

タイトル:犬の冷却した全血の経時的な止血能力

==アブストラクト===
目的:臨床的に適切な保管条件で維持された犬の冷却全血の止血の可能性を調べること。

デザイン:in vitro実験研究。

施設: 行政の血液・血液凝固調査研究所と行政の紹介獣医病院。

介入:10頭の使役犬から無菌的にそれぞれ1単位の新鮮全血を採取した。血液は医療規格の冷蔵庫で4℃で28日間保存され、冷蔵前(day0)と冷蔵後(day2,4,7,9,11,14,21,28)に分析を行った。

方法と主な結果
:10単位の犬の血液を、全血血小板凝集、トロンボエラストグラフィー、CBC、生化学分析、血液ガス、およびPT/APTT/フィブリノゲン活性について分析した。冷蔵血液の血餅強度は21日目まで維持されていたが、ADP、コラーゲン、またはγ-トロンビンに対する血小板凝集は減少し、PTとAPTTは重度に延長し、血餅形成速度(K時間、α角)は低下した。フィブリノゲン濃度、WBC、RBC、血小板数は時間と共に変化しなかった。

結論
:冷却した犬の全血は、冷蔵保存21日目までに血餅の強度を少ない割合失う。この止血能が、外科介入を必要とする、または外傷イベントに暴露されて出血している犬において臨床的に関連があるかどうかを判断するには、さらなる研究が必要である。

Reader, Rebecca C., et al.
"The effects of two intramuscular sedation protocols on echocardiographic variables in cats following sedation and blood donation." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2021).


PubMedリンク PMID:
33713507
本文:無料公開なし

タイトル:鎮静と献血を行ったあとの猫の心エコー変数に与える2つの筋肉内鎮静プロトコルの影響

==アブストラクト===
目的:鎮静と献血後の猫の心エコー変数に対する、アルファキサロン-ブトルファノール(AB)とデクスメデトミジン-ブトルファノール(DB)の2つの筋肉内投与鎮静プロトコルの効果を比較すること。

デザイン:実験的ランダム化盲検クロスオーバー試験。

施設:大学教育病院。

動物:健康な家庭飼育猫11頭。

介入:最初の献血の前に、鎮静がない状態でベースラインの心エコー検査を行った。1回の献血に対してABプロトコル(アルファキサロン 2mg/kg、ブトルファノール 0.2mg/kg)の筋肉内投与による鎮静を行い、もう一方の献血ではDBプロトコル(デクスメデトミジン 10μg/kg、ブトルファノール 0.2mg/kg)の筋肉内投与による鎮静を行い、各献血の間は最低6週間空けた。それぞれの献血後に鎮静・献血後心エコー検査を行った。

方法と主な結果:8頭の猫が研究をすべて終えた。ベースラインと比較して、DBプロトコルで行った献血では心拍数 の減少(-84/min;p<0.0001)、短縮率(FS)の減少(-16.5%;p<0.0001)、駆出率(EF)の減少(-21.0%;p=0.0002)、および心拍出の減少(-292ml/min;p=0.0001)がみられ、ABプロトコルで行った献血では心拍数の増加(+45/min;p=0.0003)と左室拡張末期容積の減少(-1.57ml;p<0.0001)がみられた。ABプロトコルと比較すると、DBプロトコルでは心拍数の減少(-129/min;p<0.0001)、FSの減少(-21.6%;p<0.0001)、左室収縮末期容積の増加(+1.14ml;p=0.0004)と左室拡張末期容積の増加(+1.93ml;p<0.0002)が見られた。DBプロトコルを投与された猫は、献血の後に僧帽弁、大動脈弁、および肺動脈弁の逆流が有意に増加した(p<0.05)。

結論と臨床的意義:ABプロトコルと比較して、DBプロトコルでは、筋肉内投与を行って献血行ったあとの心エコー変数により深刻な影響を与えた。心エコー変数への影響を最小限にするために、この研究集団の猫においてはABプロトコルがより適した鎮静プロトコルであるかもしれない。

Sharma, Surabhi, et al.
"Preoperative autologous blood donation and transfusion in dogs undergoing elective surgical oncology procedures with high risk of hemorrhage."
 
Veterinary Surgery (2021).


PubMedリンク PMID:33634898
本文:無料公開なし

タイトル:出血のリスクが高い腫瘍外科の待機手術を行う犬における術前の自己献血と輸血

==アブストラクト===
目的:術中の出血リスクの高い腫瘍外科の待機手術を行う犬における術前の自己献血と輸血について記述すること。

研究デザイン:前向き研究。

動物:犬12頭。

方法:出血リスクの高い腫瘍外科を行う犬を組み入れた。血液は手術の最低6週間前に採取し、新鮮凍結血漿(FFP)と濃厚赤血球に分離した。犬は手術開始時にFFPの投与をうけ、出血が続いたときに術中に濃厚赤血球の投与をうけた。PCVと総固形分(TS)の平均を、自己献血当日、手術前、手術直後、輸血の24時間後に計算した。高体温、頻脈、徐脈、粘膜蒼白、CRTの延長、頻呼吸、呼吸困難、を含む輸血関連有害反応について犬をモニターした。

結果
:研究に登録された犬は、下顎骨切除術、上顎切除術、胸壁切除術、肝葉切除術を受けた。自己献血を行った犬12頭中10頭が、術中出血の最初の兆候で自己血輸血をうけた。医原性の貧血が2頭の犬(PCV 30%、31%)で見られた。PCV/TSの平均は、採血当日が45.1%/7.1g/dl、手術前が42.2%/6.73g/dl、手術直後が33.2%/5.42g/dl、輸血後24時間が36.5%/5.65g/dlであった。輸血関連合併症を起こした犬はいなかった。

結論:術前の自己献血はよく許容され、12頭中10頭で問題のない自己血輸血が行われた。

臨床的意義
:術前の自己献血と自己結輸血は、出血リスクの高い待機手術を行う犬で実行可能である。

Martinez‐Sogues, L., et al. 
"Exploration of risk factors for non‐survival and for transfusion‐associated complications in cats receiving red cell transfusions: 450 cases (2009 to 2017)."
 Journal of Small Animal Practice 61.3 (2020): 177-184.


PubMedリンク PMID:32115722
本文:無料公開なし

タイトル:赤血球輸血を受けた猫における非生存および輸血関連合併症の危険因子の調査;450例(2009-2017)

==アブストラクト===
目的:貧血の猫における赤血球輸血の実施と短期的転帰について記述すること。非生存と輸血関連合併症に関連する臨床項目を調べること。

方法:この回顧的研究では、オンタリオ獣医大学健康科学センターの血液バンク記録をレビューし、2009年から2017年の間に濃厚赤血球または全血の輸血をうけた猫を同定した。貧血の原因、過去の輸血歴、輸血前後のPCV、輸血前の適合検査、血液製剤の量と投与、赤血球の古さ、輸血関連合併症、および患者の生存に関するデータを抽出した。

結果:合計で267頭の猫で450回の輸血が行われた。失血(44.9%)が最も多い輸血の適応であり、ついで無効造血(37.5%)と赤血球の破壊(22.5%)であった。輸血関連合併症は10.2%の輸血で起こり、輸血後の死亡率は20.2%であった。輸血後24時間でのPCVの上昇の平均は、輸血前にクロスマッチ主試験を行わなかった猫(4.0%)よりも行った猫(7.2%)のほうが高かった。非生存は、輸血前のPCVの高さ、輸血前の体温の低さ、失血による貧血、輸血の投与回数と関連した。輸血された赤血球の古さは、非生存および輸血関連合併症と関連した。

臨床的意義:この研究は観察研究であり、そのためここでの分析は探索的なものであるが、輸血前のクロスマッチ主試験は輸血の効果を増大させる傾向にあり、古い血液製剤の輸血は生存に有害な影響を与える可能性がある。

Le Gal, A., E. K. Thomas, and K. R. Humm.
"Xenotransfusion of canine blood to cats: a review of 49 cases and their outcome." 
Journal of Small Animal Practice 61.3 (2020): 156-162.


PubMedリンク PMID:
31867733
本文:無料公開なし

タイトル
犬から猫への異種輸血;49症例のレビューと転帰

==アブストラクト===
目的:異種輸血のプロトコルの使用、猫のレシピエントの異種輸血の転帰、および異種輸血に関する飼い主の記憶についてを記述すること。

方法:2016年1月から2018年7月の間に2つの病院で異種輸血をうけた猫を組み入れた。異種輸血プロトコルの順守、貧血の原因、血液型、PCV、輸血量、輸血反応、輸血後12時間でのPCV、生存退院について記録した。生存した猫の飼い主に、異種輸血が行われたことを覚えているかどうかを質問した。

結果:49頭の猫で異種輸血プロトコルが行われた。貧血の原因で最も多かったのは、手術による失血(n=17)、免疫介在性溶血性貧血(n=14)、および腫瘍(n=14)であった。輸血の前のPCVの中央値は10%であった。6頭(12%)が発熱性非溶血性輸血反応を示した。輸血後12時間でのPCVの中央値は24%であった。10頭(20%)の猫が輸血後24時間以内に死亡または安楽死された。遅発性の溶血性輸血反応が25/39頭(64%)でみられ、15頭では輸血後中央値1.9日で黄疸としてみられ、19頭で輸血後中央値2日で溶血性結成としてみられた。退院後1週間で生存していた18頭中、15頭(83%)は輸血後中央値173日生存していた。すべての飼い主が異種輸血を行ったことについて覚えていた。

臨床的意義
:犬の濃厚赤血球を猫へ輸血する異種輸血は可能であるが、輸血後1-6日での溶血を予測しておくべきである。

Humm, K. R., and D. L. Chan.
"Prospective evaluation of the utility of cross‐matching prior to first transfusion in cats: 101 cases." 
Journal of Small Animal Practice 61.5 (2020): 285-291.

PubMedリンク PMID:32133646

本文:無料公開なし

タイトル:猫の初回輸血前の交差適合試験(クロスマッチ)の有用性についての前向き評価

==アブストラクト===
目的:(1)2つのクロスマッチの手法を用いて、輸血を受けたことがない猫の輸血レシピエントにおけるクロスマッチの不適合の頻度について評価すること。(2)クロスマッチ不適合が輸血後のPCVの変化に与える影響を測定すること。(3)猫における急性輸血反応と輸血エラーの頻度を調べること。(4)クロスマッチ不適合が輸血反応の起こりやすさに与える影響を調べること。

方法:獣医教育病院で初回のAB適合輸血をうけた猫を、この観察研究に前向きに登録した。スライド凝集法と商用テストの両方をもちいて、主および副クロスマッチを評価した。レシピエントの体重あたりで投与された赤血球の量と比較した輸血後12時間のPCVの増加を測定し、輸血反応を記録した。

結果:合計で101頭の猫が組み入れられた。クロスマッチ不適合は、スライド凝集法ではよくみられたが(主不適合27%、副不適合10%)、商用テストでは多くなかった(主・副ともに4%)。いずれかの方法によるクロスマッチ不適合は、PCVの変化における輸血の有用性の低さと関連していなかった。輸血反応は20頭でおこり、発熱性非溶血性輸血反応(n=9)と溶血性輸血反応(n=7)がもっとも多かった。商用テストは溶血性輸血反応の予測に最も高い特異度を示したようだった。

臨床的意義
:輸血反応は比較的よるあることだったが、死亡率の増加とは関連しなかった。クロスマッチ適合血液の使用は12時間後のPCVのより高い増加を導くことはなかった。商用テストは溶血性輸血反応を予測する可能性がある。

Morris, Jennifer L., Christopher P. Bloch, and Tamera L. Brabson.
"The effect of time on packed cell volume following packed red blood cell transfusion in anemic dogs." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2020).

PubMedリンク PMID:33118669
本文:無料公開なし

タイトル:貧血の犬における濃厚赤血球輸血後のPCVに与える時間の影響

==アブストラクト===
目的:貧血の犬の濃厚赤血球を投与したあとのいくつかの時点でのPCVを比較し、これらの測定に貧血の原因や再生状態が有意な影響を与えるかどうかを評価すること。

デザイン:2016年11月から2017年10月の間の前向き観察研究。

施設:小動物救急/専門病院。

動物:貧血のある家庭飼育犬46頭であり、貧血の治療として合計で50の濃厚赤血球輸血が行われた。

介入:血液を採取し、濃厚赤血球輸血前(T0)、輸血直後(T1)、30分後(T2)、1時間後(T3)、2時間後(T4)および4時間後(T5)のPCVを得た。貧血の原因は、出血、溶血、および無効造血に分類された。犬は貧血に対する再生状態と、予想される継続的な失血または破壊の有無に関して分類された。

方法と主な結果:T0のPCVの平均は15%であった。濃厚赤血球輸血の投与後のPCVの平均は、T1で28%であり、T2、T3、T4、T5ではいずれも27%であった。輸血後の時間と共にPCVが有意な変化をすることはく(P=0.184)、時間の相互組み合わせに有意な差はなかった(ペアのT検定、すべてでp>0.05)。再生状態と持続的な失血/溶血の有無によって犬を分類した場合にも、結果は一貫していた。

結論
:ざまざまな貧血の原因をもつ犬における濃厚赤血球輸血直度から4時間後までのPCVには有意な変化はみられなかった。これらの結果は、濃厚赤血球輸血直後に得られたPCVは、輸血2時間後に得られたPCVとちょうど同じくらいの信頼性がある可能性を示唆している。これは赤血球の喪失または破壊が続くと予測させる犬についても当てはまる。

Rodrigues, Renata R., et al.
"Evaluation of hematologic, biochemical, and blood gas variables in stored canine packed red blood cells, and the impact of storage time on blood recipients." 
Veterinary Clinical Pathology (2020).

PubMedリンク PMID:32542780
本文:無料公開なし

タイトル:保存された犬の濃厚赤血球の血液学的、生化学的、おゆおに血液ガス的な項目と、保存時間がレシピエントに与える影響についての評価

==アブストラクト=== 
背景
:犬の濃厚赤血球は冷蔵保存で数日間保管されるが、その中で細胞代謝は活発なままであり、そのためそれらの品質に影響を与える物質が生成される。

目的
: 保存中の犬の濃厚せ血球に起こる血液学的、生化学的、および血液ガス的な項目の変化と、そららがレシピエントの臨床病理学的パラメータにあたる影響について調べること。

方法
:研究は2つのフェーズで行われた。フェーズ1では、15個のCPDA-1を含む濃厚赤血球の単位を28日間保存し、0日から28日まで毎週サンプルを収集し、それぞれPCV、pH、PCO2、PO2、乳酸濃度、カリウム濃度、および溶血の割合を測定した。フェーズ2では、異なる22個のさまざまな期間保存(最大で21日) した濃厚赤血球の単位を輸血し、輸血前のと輸血後にレシピエントの臨床パラメータ(心拍数、呼吸数、収縮期血圧、直腸温)と血液学的項目(PCV、乳酸濃度、カリウム濃度、pH、PCO2、PO2/FiO2比、SaO2、BE、HCO3)の変化を評価した。

結果
:濃厚赤血球単位では、28日後に、PCVが70%から78.33%に増加、乳酸濃度が627%増加、カリウム濃度が183%増加、溶血の割合が0.69%に達し、pHは9%減少した。しかし、輸血をうけた犬に悪影響はなかった。PCVの有意な上昇と、心拍数の有意な減少がみられた。

結論
:犬の濃厚赤血球は、保管中に血液学的、血液ガス的、生化学的な変化が起こるが、最大で21日目まで保存した濃厚赤血球の輸血は、犬に害を与えずにPCVを上昇させる。
 

Gant, Poppy, et al. 
"Retrospective evaluation of factors influencing transfusion requirements and outcome in cats with pelvic injury (2009–2014): 122 cases."
 Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2019).

PubMedリンク PMID:31218799
本文:無料公開なし

タイトル:骨盤損傷の猫における輸血の必要性と転帰に影響を与える因子についての回顧的評価(2009-2014年);122症例

==アブストラクト===
目的:骨盤外傷のある猫の集団の特徴を調べ、輸血の必要性と転帰に影響を与える因子について評価すること。

デザイン:回顧的症例シリーズ(2009-2014年)。

施設:大学の教育病院。

動物:骨盤外傷のある家庭飼育猫112頭。

介入:なし。

方法と主な結果:21頭(18.8%)の猫が輸血を受けた。ほとんどの猫(85.8%)が新鮮全血の投与を1回だけ必要とした。来院時のPCVは輸血を必要とした猫で有意に低かったが、入院期間や生存退院とは関連しなかった。来院時の動物外傷トリアージ(Animal Trauma Triage;ATT)スコア の増加は、輸血の必要性(p=0.0001)と退院前の死亡(p=0.03)と有意に関連した。骨盤骨折の数は輸血の必要性と関連しなかったが、仙腸骨脱臼と恥骨の骨折は輸血を必要とすることが多かった(p=0.0015、p=0.0026)。しかし、骨折のタイプは生存退院とは関連しなかった。多くの猫(86%)が外科治療を必要とし、輸血の半数は術前に投与された。輸血の必要性や生存に関連する外科的併存疾患はなかった。輸血の必要性は入院期間の長さと関連したが、生存退院とは関連しなかった。

結論:骨盤骨折のある猫のこの集団における輸血の必要性はかなり高かった。輸血の必要性はPCVの低さ、来院時のATTスコアの高さ、入院期間の長さ、骨盤骨折の特定のタイプ、と関連した。輸血の必要性は外科的併存疾患、外科介入、または生存退院、と関連しなかった。来院時のATTスコアの低さは生存退院と関連した。
 

McClosky, Megan E., et al.
"Prevalence of naturally occurring non‐AB blood type incompatibilities in cats and influence of crossmatch on transfusion outcomes."
 
Journal of veterinary internal medicine (2018).

PubMedリンク PMID:30307648
本文:無料公開あり(全文

タイトル:猫の自然発生性の非AB血液型の不適合の発生率と輸血の結果に与えるクロスマッチの影響

==アブストラクト===
背景:猫赤血球抗原のMikの認識と、急性溶血性の輸血反応を起こす自然発生性の抗Mik抗体の存在は、猫の初回の赤血球輸血を行う前にクロスマッチを行うことを促してきたが、このガイドラインはいまだに標準的な慣例にはなっていない。

目的:チューブクロスマッチにより検出される自然発生性の非AB型同種抗体の有病率を調べ、クロスマッチを行なった猫と行わなかった猫とので輸血の結果を比較すること。

動物:クロスマッチ主試験を行ない、または行わずに赤血球輸血を行なった猫300頭。 

方法:回顧的研究。

結果
:クロスマッチ主試験により不適合とされた猫は、輸血未実施の猫で154頭中23頭(14.9%)であり、 過去に輸血を受けた猫では55頭中15頭(27%)であった(p=0.042)。血液型特異的な濃厚赤血球の投与が、クロスマッチを行なった猫167頭と、行わなかった猫82頭に、それぞれ投与された。初回輸血の治療期間中に投与された濃厚赤血球の投与量の中央値は5.3ml/kg(範囲 2.4-18ml/kg)であった。濃厚赤血球の投与量に合わせたPCVの変化の中央値は、+0.8%/ml/kgであり、交差適合性のある濃厚赤血球の投与はPCV増加割合の上昇とは関連しなかった。発熱性輸血反応は、クロスマッチを行って輸血を行なった猫(2.5%)に比べて、 クロスマッチを行わずに輸血を行なった猫(p=10.1%)でより頻繁に起こった(p=0.022)。濃厚赤血球輸血を受けた猫の76%が生存して退院した。退院時、輸血後30日、および60日の生存率の改善に、クロスマッチの有無は関連しなかった。

結論と臨床的重要性;自然発生性の非AB型不適合は十分に高く、赤血球輸血を行うすべての猫(初回輸血を含む)の前のクロスマッチの実施の推奨を正当化する。
 

Sylvane, Brittany, et al.
"Effect of cross‐match on packed cell volume after transfusion of packed red blood cells in transfusion‐naïve anemic cats." 
Journal of veterinary internal medicine 32.3 (2018): 1077-1083.

PubMedリンク PMID:29573055
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:輸血未経験の貧血の猫における濃厚赤血球輸血後の赤血球容積に対するクロスマッチの影響

==アブストラクト===
背景
:新規の猫赤血球抗原は赤血球輸血の効果の減弱と急性輸血反応(ATR)の発生率の増加に関連する。

目的
:輸血未経験の貧血の猫において、主要なクロスマッチが急性の免疫性輸血反応の発生率と、輸血後24時間までの輸血効果に与える影響を調べること。

動物
:輸血未経験で貧血のある家庭飼育の猫48頭。

方法:前向き、ランダム化比較試験。
2016年1月から2017年8月の間に濃厚赤血球輸血をうけたすべての輸血未経験の猫が組み入れ基準をみたした。研究群の猫ではクロスマッチと血液型が適合する濃厚赤血球を輸血し、対象群の猫ではクロスマッチを行わずに適合する血液型の濃厚赤血球を輸血した。急性輸血反応の発生率と輸血後のPCVの変化を記録した。

結果
:クロスマッチ群(CM+)と非クロスマッチ群(CM-)との間で、輸血反応の発生率に有意な差はなかった(CM+ 4/24;17%、CM- 7/24;29%、p=0.16)。両軍における輸血後のPCVの平均変化について、輸血後いずれの時点での測定でも、有意な差はなかった(直後:CM+ 0.62±0.59、CM- 0.75±0.48、p=0.41、1時間:CM+ 0.60±0.66、CM- 0.74±0.53、p=0.43、12時間:CM+ 0.70±0.55、CM- 0.66±0.60、p=0.81、24時間:CM+ 0.64±0.71、CM- 0.64±0.48、p=0.70)

結論と臨床的重要性
:われわれの結果は、AB式血液型の輸血未経験の猫における赤血球輸血の有効性を増加させ、関連した有害事象を減少させるために主要なクロスマッチ試験を利用すること支持しなかった。
 

Maglaras, Christina H., et al.
"Retrospective evaluation of the effect of red blood cell product age on occurrence of acute transfusion‐related complications in dogs: 210 cases (2010–2012)." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care 27.1 (2017): 108-120.

PubMedリンク
本文:無料公開なし

タイトル:いぬにおける急性輸血関連合併症の発症に及ぼす赤血球製剤の保存期間の影響に関する回顧的評価:210例(2010-2012)

==アブストラクト===
目的:赤血球製剤の保存期間が、犬における急性輸血関連合併症の発生と死亡率に影響と与えるかどうかを調べること。急性輸血関連合併症と死亡率は製剤の保存期間とともに上昇すると仮説を立てた。

デザイン:回顧的研究(2010-2012)

施設:大学の教育病院

動物:210頭の犬の臨床患者

介入:なし

測定と主な結果:赤血球を含む製剤の投与を受けた犬の医療記録を再調査した。患者のシグナルメント;輸血の理由;製剤のタイプ、投与量、保存期間、供給源;輸血前の適合性;投与の速度、経路、方法;複数回の輸血;基礎疾患;輸血関連合併症(例えば、発熱、溶血、消化器障害、心血管障害、神経障害、呼吸器合併症)の発生;様々な血液学的パラメーター;生存、について記録した。データは潜在的な危険因子と輸血関連合併症の発生との関連と、同様に輸血関連合併症と生存との関連について分析された。
210頭の患者に333回の輸血が行われ、84の輸血関連合併症が発生した。発熱が最も多く(41/333)、次いで溶血(21/333)が多かった。製剤の保存期間の追加日ごとに、溶血のオッズが有意に増加した(オッズ比 1.11;05%信頼区間1.06-1.16;p<0.0001)。輸血関連合併症は全体として考えた場合、製剤の投与量の多さ、投与イベント毎の投与時間の長さ、免疫介在性疾患と関連したが、製剤の供給源もしくは貧血のカテゴリーとは関連しなかった。投与速度は、発熱性輸血関連合併症の患者で有意に低かった(p<0.0001)。製剤の保存期間は死亡率の上昇と関連しなかった。

結論
:赤血球製剤の保存期間は輸血関連合併症として溶血のリスクの増加とは関連したが、発熱とは関連しなかった。生体内と整体外での溶血に保存期間が与える影響について、前向きの臨床研究が正当化される。


訳注)red blood cell product age 赤血球製剤年齢 は赤血球製剤保存期間と訳しました。 

Hann, L., et al.
"Effect of duration of packed red blood cell storage on morbidity and mortality in dogs after transfusion: 3,095 cases (2001–2010)."
 
Journal of veterinary internal medicine 28.6 (2014): 1830-1837.

PubMedリンク
本文:無料公開(PDF

タイトル:濃厚赤血球の保存期間が輸血後の罹患率と死亡率に及ぼす影響:3,095例(2001-2010年)

==アブストラクト===
背景:蓄積された根拠によれば、ヒトの患者において14日以上保存された濃厚赤血球の輸血は敗血症、多臓器不全、死亡の増加と関連していることが示唆されている。

目的:濃厚赤血球の保存期間が犬の輸血後の罹患率と死亡率に影響を与えるかどうかを調べること。

動物:ペンシルバニア大学マシュー・J・ライアン獣医病院に入院した犬。

方法: 2001-2010年の間に濃厚赤血球輸血(最低、5ml/kg)を受けた犬について、血液バンクの日誌から回顧的な症例再調査を行なった。貧血の主要な原因(例えば、出血、溶血、造血の無効)に従って犬を分類した。

結果:合計で3,095頭の犬が5,412単位の濃厚赤血球の投与を受けた。濃厚赤血球の保存期間が長いことが、凝固障害の新たな発生または悪化(p=0.001)と血栓塞栓症の発症(p=0.005)に関連していた。濃厚赤血球の保存期間と全ての犬全体の生存には関連は見られなかった。しかし、ロジスティック回帰モデルで、溶血のある犬(その内90%が免疫介在性溶血性貧血)では、濃厚赤血球の保存期間が長いことが生存に対する負の危険因子であった(95%信頼区間,0.64-0.97;p=0.024)。

結論と臨床的重要性
:濃厚赤血球の保存期間は、犬全体の集団においては死亡率に影響を及ぼす主な要因ではないようである。しかし、濃厚赤血球の保存期間が長いことは免疫介在性溶血性貧血の犬においては転帰に負の影響を与える可能性があり、前向き研究でさらに調査をする必要がある。 


==本文から===
輸血後合併症
・多臓器不全 83/3178(2.6%)
・血行動態不全 132/3129(4.2%)
・呼吸不全 205/3056(6.7%)
・神経障害 39/3222(1.2%)
・凝固障害 50/3211(1.5%)
・敗血症  16/3245(0.5%)
・DIC   44/3217(1.3%)
・Dダイマー上昇 45/3216(1.4%)
・血栓塞栓症 50/3211(1.5%)
 

Wilson, C. R., et al.
"Biochemical evaluation of storage lesion in canine packed erythrocytes." 
Journal of Small Animal Practice(2017).

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本文:無料公開なし

タイトル:犬の濃厚赤血球の貯蔵障害の生化学的評価

==アブストラクト===
目的:生体外で保存された犬の濃厚赤血球に起こる生化学的変化(保存病変(storage lesion)として知られている)を記述すること。

材料と方法:クエン酸リン酸デキストロースアデニン中の非白血球誘導された 濃厚赤血球125ml単位10個を、市販の血液バンクで供血から24時間以内に確保した。サンプルは1,4,7,14,28,35,42日目に無菌的に採取し、ナトリウム、カリウム、クロール、乳酸、グルコース、pH、アンモニアの測定を行なった。全ての単位を42日目に培養を行なった。ノンパラメトリックデータについて、Dunnの多重比較試験によるフリードマン反復測定試験を使用した。パラメトリックデータには、Tukeyの多重比較検定による反復測定分散の分析をしようした。α(有意水準)は0.05に設定した。

結果:全ての検体は保存中に大きく変化した。1日目のアンモニアの平均(58.14g/dl)は、28日目(1266g/dl)、35日目(1668g/dl)、42日目(1860g/dl)よりも有意に低かった(p<0.05)。観察中の全ての期間で乳酸濃度の中央値の有意な上昇がみられ、1日目(4.385mmol/L)は、14日目(19.82mmol/L)、21日目(22.81mmol/L)、35(20.31mmol/L)、42日目(20.81mmol/L)よりも有意に低かった。pHの中央値は7日目以降に有意に低下した。全ての細菌培養は陰性であった。

臨床的重要性
保存中の犬の濃厚赤血球には、多くの生化学的変化が起こるが、それらの臨床的重要性を決定するためにはさらなる研究が必要である。


訳注)
storage lesionは保存病変と訳しましたが、これでいいのかわかりません。


==訳者コメント===
保存した濃厚赤血球には大きな変化が起こるようですが、生化学的にはアブスト内にもある通りこれが臨床的にどのような意義を持つのかは別問題として考える必要があります。
 

MacGowan EE, st al.
"Evaluation of the use of shock index in identifying acute blood loss in healthy blooddonor dogs."
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2017).

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本文:無料公開なし

==アブストラクト===
目的
:献血後にショック指数(shock index:SI)が上昇するか、そしてそれが急性の血液喪失の評価において心拍数、血圧、血漿乳酸値と比べてより敏感かどうかを決定すること。

デザイン
:前向き研究

施設
:大学の教育病院

動物
:臨床上正常な家庭犬20頭

介入:末梢静脈血の測定と献血

測定と主な結果:データは3時点で収集した:献血前(T pre)、献血直後(T 0)、献血終了後10分(T 10 )。心拍数(HR)と収縮期血圧(SBP)を記録し、Tpre, T0, T10の時点でのショック指数を算出した。TpreとT10時点の末梢静脈血のサンプルから、PCV、総血漿タンパク(TPP)、血漿乳酸値の評価を行なった。輸血後のいずれの時点でのショック指数(SI)の平均値は、ベースラインと比較して有意に増加していた(SIpre 0.88±0.19 vs SI0 1.17±0.21 vs SI10 1.12±0.25(それぞれP=0.0002、P=0.0003))。輸血後の収縮期血圧(SBP)の平均は有意に低かった(SBPpre 149±29mmHg, SBP0 118±20mmHg(P=0.0001), SBP10 133±21mmHg(P=0.011)。 心拍数(HR)の平均はT0では有意な差はなかったが、T10では有意に上昇していた(HRpre 128±21/min, HR0 136±25/min(P=0.193)、HR10 146±29/min(P=0.003)。PCVの平均値に有意な差はなかった(PCVpre 50±4%, PCV10 48±4%(P=0.08))。総血漿タンパク(TPP)と乳酸(Lac)の平均値は有意な差がみられたが、いずれも参照値内であった(TPPpre 6.8±0.4g/dl, TPP10 6.4±0.4g/dl(P=0.0014); Lacpre 1.7±0.7mml/L, Lac10 1.9±0.8mmol/L(P=0.04))。T0とT10をTpreと比較するために、ショック指数、心拍数、収縮期血圧の曲線下面積(AUC)を比較するROC解析を行った。ショック指数(T0のAUC 0.858;信頼区間0.730,0.984, T10のAUC 0.769;信頼区間0.617,0.921)は、いずれの収縮期血圧(T0のAUC 0.165;信頼区間0.0384,0.292;P<0.0001, T10のAUC 0.288;信頼区間0.124,0.451;P<0.001)よりも良い指標であり、T0の心拍数(T0のAUC 0.574;信頼区間0.392,0.756;P<0.001)よりも良い指標であった。ショック指数のカットオフを1.064とすると特異度80%、感度85%で血液の喪失を検出できる。

結論:ショック指数>1.0は健康な犬における少量の血液喪失を検出するための感度、特異度の高いツールとなる。 


==訳者コメント===
・ショック指数(shock index;SI)=心拍数:収縮期血圧の比

・ショック指数についてはこちらも
http://nekoronde-vet-journal-club.blog.jp/archives/3762884.html


 

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