ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

小動物臨床の獣医師が、臨床に役立ちそうな論文情報をちょっとづつアップします。ねころんでいても論文検索ができればいいなと。

カテゴリ: 循環

Chalifoux, Nolan V., Rebecka S. Hess, and Deborah C. Silverstein.
"Effectiveness of intravenous fluid resuscitation in hypotensive cats: 82 cases (2012–2019)." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2021).


PubMedリンク PMID:
34014600
本文:無料公開なし

タイトル:低血圧の猫における静脈輸液蘇生の有効性;82症例(2012-2019年)

==アブストラクト===
目的:救急治療室における低血圧の猫に対する静脈輸液蘇生の有効性を評価すること。第二の目的は、輸液蘇生に対する反応における心拍数と体温の変化を調べ、これらの変化と患者の生存との関連を調べること。

デザイン:回顧的研究。

施設:大学の教育病院。

動物:低血圧が確認された猫82頭。

介入:なし。

方法と主な結果
:2012年から2019年の間の医療記録を検索し、救急治療室への来室時に全身性動脈低血圧(ドップラー超音波フロープローブで測定した血圧<90mmHg)が記録された猫を検索した。患者情報、輸液素性前後の血圧、心拍数、および体温、投与した輸液の種類と量、および転帰についてのデータを収集した。すべての猫の輸液蘇生の前後の血圧の中央値は65mmHg(範囲 20-85)と80mmHg(範囲 20-128)であった(p<0.0001)。しかし、輸液蘇生に対するレスポンダー(ボーラス治療後に血圧が≧90mmHg)に分類された猫は30頭(37%)だけであった。輸液治療による蘇生の前の心拍数の平均は159回/分、体温の中央値は36.7℃であった。輸液蘇生の後には、蘇生の前の心拍数の平均は154回/分、体温の中央値は35.9℃であった。レスポンダーとノンレスポンダーの間で、心拍数と体温に有意な差は同定されなかった。猫の生存率は7%と低かった。生存猫(n=5)のすべてが当初は徐脈(心拍数 <160回/分)であったが、非生存の猫では45%だけであった(p=0.4)。

結論
:ボーラス輸液による蘇生は、低血圧の猫の血圧を効果的に上昇させるが、多くの症例では血圧、心拍数、体温の正常化には至らなかった。

Lu, Ta‐Li, et al.
"Point‐of‐care N‐terminal pro B‐type natriuretic peptide assay to screen apparently healthy cats for cardiac disease in general practice."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).


PubMedリンク PMID:
33993546
本文:無料公開(あり

タイトル:一般診療のおける見た目に健康な猫の心疾患のスクリーニングのための院内即時検査NT-proBNP

==アブストラクト===
背景
院内即時検査NT-proBNP ELISAは二次動物病院の施設で猫の心疾患のスクリーニングのために評価されてきたが、一般診療における使用についてのは知られていない。

目的
:一般診療の猫のスクリーニングにおける院内即時検査NT-proBNP ELISAの診断の有用性を調べること。

動物:一般診療所21ヶ所の見ために健康な猫217頭。

方法
:これは前向き横断研究である。心臓の聴診と院内即時検査NT-proBNP ELISAを一般診療の獣医師が行った。一般診療で登録後、猫は心臓二次病院へ送られ、心臓の聴診と心エコー検査での診断が行われた。猫が心エコー検査で正常か異常かに基づいて結果を解釈した。

結果
:正常な猫のグループから異常な猫を鑑別するための院内即時検査NT-proBNP ELISAの感度は43%、特異度は96%であった。一般診療で心雑音のある猫においては、正常な猫のグループから異常な猫を鑑別するための院内即時検査NT-proBNP ELISAの感度は71%、特異度は92%であった。

結論と臨床的意義
:一般診療で見た目の健康な猫では、院内即時検査NT-proBNPの陽性結果は心疾患と関連し、心エコー検査を必要としたが、陰性結果は心疾患を除外するのに信頼のおけるものではなかった。これらの結果は、院内即時検査NT-proBNPが一般診療の健康な猫におけるスクリーニング検査として有用ではないが、心雑音のある猫だけに用いる場合にはその性能が向上することを示唆した。

Lisciandro, Gregory R., Jennifer M. Gambino, and Stephanie C. Lisciandro.
"Thirteen dogs and a cat with ultrasonographically detected gallbladder wall edema associated with cardiac disease." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).


PubMedリンク PMID:33826214
本文:無料公開あり(全文

タイトル:心疾患に関連した超音波検査で検出された胆嚢壁の浮腫のある犬13と猫1頭

==アブストラクト===
背景:超音波検査で検出された胆嚢壁の浮腫は犬のアナフィラキシーのマーカーである。心疾患は同様な徴候で胆嚢壁の浮腫の原因となる可能性があり、解釈エラーを防ぐために鑑別診断に含めるべきである。

仮説/目的:心疾患に関連した胆嚢壁浮腫を記述すること。

動物:家庭飼育動物14頭。

方法:トリアージの時点で、AFASTとTFASTによるトリアージと追跡をおこなっった前向き症例シリーズ。胆嚢壁浮腫と心疾患のある動物が組み入れられた。放射線専門医が画像をレビューし、心疾患、胆嚢壁浮腫を診断し、尾側後大静脈と肝静脈の特徴を調べた。

結果:犬13頭と猫1頭で心疾患に関連した胆嚢壁浮腫があった。胆嚢の所見には、3-5mmの壁の肥厚、軽度から中程度の胆泥(n=3)、軽度から中程度の内宮の拡張(n=6)がみられた。尾側後大静脈と肝静脈は5/6頭で拡張していた。犬の心臓の診断には、心膜液(11)、拡張型心筋症(1)、右側心筋不全(1)が含まれた。心膜液の重症度の割合は、軽度(1)、中程度(6)、重度(4)であった。11頭中7頭で心膜穿刺を行った。13頭9頭で腹水があり、4頭の腹水スコアは1(2)、2(2)、3(1)、4(0)であった。肺超音波所見は以下の通りであった;ドライな肺(6)、Bライン(4)、結節(1)。猫では中程度の心膜液がみられ、腹水スコアは1、心室中隔欠損に関連した重度の右側心室拡大がみられた。来院主訴には、虚弱(9)、急性の虚脱(5)、消化器徴候(3)、呼吸困難(2)、心肺蘇生の必要(1)があった。

結論と臨床的重症性
:この小さな症例集団においては、超音波検査で検出された胆嚢壁浮腫は、心膜液と関連していた。

Greet, Victoria, et al.
"Clinical features and outcome of dogs and cats with bidirectional and continuous right‐to‐left shunting patent ductus arteriosus."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).

PubMedリンク PMID:3363 4497
本文:無料公開あり(全文)

タイトル:双方向性および持続的右-左短絡の動脈管開存症の犬と猫の臨床的特徴と転帰

==アブストラクト===
背景:逆転した動脈管開存症(PDA)のある動物の臨床的な進行について記載した研究は欠如している。

目的:双方向性および持続的右-左短絡のPDAがある犬と猫の集団におけるシグナルメント、臨床徴候、心エコーの特徴、および生存についてを記述すること。

動物:家庭飼育動物46頭;双方向性もしくは持続的な右-左短絡のPDAのある犬43頭と猫3頭。

方法:回顧的多施設間研究。双方向性または持続的右-左短絡のPDAと診断された動物の医療記録と心エコー所見をレビューした。動脈管の形状、スペクトルドップラーフローの特性、PCV、来院時のシルデナフィル治療、シルデナフィルの用量、肺高血圧症の重症度、手術を伴う/伴わない全身麻酔、および右側のうっ血性心不全の存在、が粗死亡率に与える影響を、カプランマイヤー生存曲線のマンテルコックスログランク比較によって評価した。単変量および多変量コックス比例ハザード分析を行い、ハザード比(95%信頼区間)を示した。

結果:後肢の虚脱が、犬で最も多い臨床徴候(n=16)であった。猫の臨床徴候は様々であった。犬の生存期間の中央値は626日(範囲 1-3628日)であった。右側うっ血性心不全のある犬は、中央生存期間が短かった(58日 vs 1839日;p=0.03)。来院時にシルデナフィルで治療した犬は生存期間が長く(1839日 vs 302日;p=0.03)、これは生存に対する唯一の独立した予後因子であった(ハザード比 0.35、95%信頼区間 0.15-0.86;p=0.021)。

結論と臨床的意義
:逆転したPDAのある犬と猫は、様々な臨床徴候と予後をもつ。生存期間は診断時にシルデナフィルと処方された動物で長かった。来院時に右側うっ血性心不全のある犬では全体の転帰が悪かった。

Schober, Karsten E., et al.
"Effects of pimobendan in cats with hypertrophic cardiomyopathy and recent congestive heart failure: Results of a prospective, double‐blind, randomized, nonpivotal, exploratory field study." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).


PubMedリンク PMID:33543810
本文:無料公開あり(全文

タイトル:肥大型心筋症と最近のうっ血性心不全がある猫におけるピモベンダンの効果;前向き二重盲検ランダム化探索的研究

==アブストラクト===
背景:肥大型心筋症(HCM)におけるうっ血性心不全の治療としてのピモベンダンの有益性について、前向きに評価されていない。

仮説/目的:HCMと最近のうっ血性心不全がある猫におけるピモベンダンの効果を調べ、可能性のあるエンドポイントを同定すること。ピモベンダンはよく許容され、転帰の改善に関連するだろうという仮説を立てた。

動物:HCMと最近のうっ血性心不全のある猫83頭;左室流出路閉塞あり30頭、なし53頭。

方法:前向きランダム化プラセボ対照二重盲検多施設研究。猫は、フロセミド(<10mg/kg/day)±クロピドグレルの投与とともに、ピモベンダン(0.30mg/kg 12時間毎;n=42)、プラセボ(n=39)、または薬剤なし(n=1)のいずれかの投与が行われた。主要エンドポイントは、成功の転帰(フロセミドの容量増加なしに180日の研究気管を達成)とした。

結果
:完全な分析セットを行った猫における成功の転帰の割合は、治療群間で差はなかった(P=0.75)。非閉塞性の猫では、成功の割合はピモベンダン投与の猫で32%であり、プラセボの猫で18.2%であった(オッズ比 2.12;95%信頼区間 0.54-8.34)。閉塞性の猫においては、成功の割合はピモベンダン投与の猫で28.6%、プラセボの猫で60%であった(オッズ比 0.27;95%信頼区間 0.06-1.26)。二次エンドポイントであるフロセミド増量までの期間、または死亡についても、治療群間で差はなかった(p=0.89)。プロトコルの集団間で結果は類似していた。有害事象も治療群で類似していた。

結論と臨床的意義
:この研究におけるHCMと最近のうっ血性心不全のある猫において、180日間の転帰に対するピモベンダンの有益性は見出されなかった。

Reader, Rebecca C., et al.
"The effects of two intramuscular sedation protocols on echocardiographic variables in cats following sedation and blood donation." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2021).


PubMedリンク PMID:
33713507
本文:無料公開なし

タイトル:鎮静と献血を行ったあとの猫の心エコー変数に与える2つの筋肉内鎮静プロトコルの影響

==アブストラクト===
目的:鎮静と献血後の猫の心エコー変数に対する、アルファキサロン-ブトルファノール(AB)とデクスメデトミジン-ブトルファノール(DB)の2つの筋肉内投与鎮静プロトコルの効果を比較すること。

デザイン:実験的ランダム化盲検クロスオーバー試験。

施設:大学教育病院。

動物:健康な家庭飼育猫11頭。

介入:最初の献血の前に、鎮静がない状態でベースラインの心エコー検査を行った。1回の献血に対してABプロトコル(アルファキサロン 2mg/kg、ブトルファノール 0.2mg/kg)の筋肉内投与による鎮静を行い、もう一方の献血ではDBプロトコル(デクスメデトミジン 10μg/kg、ブトルファノール 0.2mg/kg)の筋肉内投与による鎮静を行い、各献血の間は最低6週間空けた。それぞれの献血後に鎮静・献血後心エコー検査を行った。

方法と主な結果:8頭の猫が研究をすべて終えた。ベースラインと比較して、DBプロトコルで行った献血では心拍数 の減少(-84/min;p<0.0001)、短縮率(FS)の減少(-16.5%;p<0.0001)、駆出率(EF)の減少(-21.0%;p=0.0002)、および心拍出の減少(-292ml/min;p=0.0001)がみられ、ABプロトコルで行った献血では心拍数の増加(+45/min;p=0.0003)と左室拡張末期容積の減少(-1.57ml;p<0.0001)がみられた。ABプロトコルと比較すると、DBプロトコルでは心拍数の減少(-129/min;p<0.0001)、FSの減少(-21.6%;p<0.0001)、左室収縮末期容積の増加(+1.14ml;p=0.0004)と左室拡張末期容積の増加(+1.93ml;p<0.0002)が見られた。DBプロトコルを投与された猫は、献血の後に僧帽弁、大動脈弁、および肺動脈弁の逆流が有意に増加した(p<0.05)。

結論と臨床的意義:ABプロトコルと比較して、DBプロトコルでは、筋肉内投与を行って献血行ったあとの心エコー変数により深刻な影響を与えた。心エコー変数への影響を最小限にするために、この研究集団の猫においてはABプロトコルがより適した鎮静プロトコルであるかもしれない。

Adin, Darcy, et al.
"Effect of type of diet on blood and plasma taurine concentrations, cardiac biomarkers, and echocardiograms in 4 dog breeds."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).


PubMedリンク PMID:33638176
本文:無料公開あり(全文

タイトル:4犬種における食事のタイプが血中/血漿タウリン濃度、心臓バイオマーカ、および心エコーに与える影響

==アブストラクト===
背景:食事と拡張型心筋症の関連は調査中である。

目的:グレインフリー(GF)の食事やFDAがリストアップした懸念原料(エンドウ豆、レンズ豆、ジャガイモ)を上位10の成分として使用している食事を食べている健康な犬では心臓の評価で以上を示し、しかしグレインを含む食事やFDAの懸念材料を含まない食事を食べている犬では異常を示さないだろう。

動物:188頭の健康な犬;ドーベルマン・ピンシャー、ゴールデン・レトリバー、ミニチュア・シュナウザー、ウィペット。

方法
:この研究は観察横断研究である。心エコー検査、心臓バイオマーカ、および血中/血漿タウリン濃度を、グレインフリー食(n=26)とグレイン含有食(n=162)を食べている犬の間で、およびFDA懸念材料を含む食事(n=39)と含まない食事(=149)を食べている犬の間で、年齢と犬種を調整して比較した。人口統計的な特徴、心雑音、遺伝的状態、検査中のVPCを、異なる食事を食べている犬の間で比較した。

結果
:異なるタイプの食事を食べている犬の間で、心エコー検査変数、NTproBNP、血中タウリン濃度に差はなかった。グレインフリー食を食べている犬は、グレインフリー含有食を食べている犬よりも、高感度心臓トロポニンIの中央値が高く(0.076ng/ml[四分位 範囲 0.028-0.156]vs 0.048ng/ml[四分位 範囲 0.0026-0.080];p<0.001)、血漿タウリン濃度の中央値が高かった(125nmol/ml[101-148]vs 104nmol/ml[86-123];p=0.02)。FDA懸念材料を含む食事を食べている犬は、FDA懸念材料を含まない食事を食べている犬よりも、高感度心臓トロポニンIの中央値が高かった(0.059ng/ml[0.028-0.122]vs 0.048ng/ml[0.025-0.085];p=0.06).FDA懸念材料を含む食事を食べている犬は、FDA懸念材料を含まない食事を食べている犬よりも、VPCの発生が多かった(10% vs 2%;P-0.04)。

結論と臨床的意義
:グレインフリー食およびFDA懸念材料を含む食事を食べている犬における高感度心臓トロポニンIの高さは、低水準での心筋障害を示している可能性がある。

Basili, M., et al.
"Low plasma taurine levels in English cocker spaniels diagnosed with dilated cardiomyopathy."
 
Journal of Small Animal Practice (2021).


PubMedリンク PMID:33594697
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル:拡張型心筋症と診断されたイングリッシュ・コッカー・スパニエルんも血漿タウリンレベルは低い

==アブストラクト===
目的:この研究の目的は、拡張型心筋症のイングリッシュ・コッカー・スパニエルにおけるタウリンレベルを調べ、この疾患の生存期間と自然経過を評価することである。

方法:2008年から2018年の間にイギリスの学術紹介病院の心臓科で、タウリン欠乏のある/ない、拡張型心筋症の表現型を示すイングリッシュ・コッカー・スパニエルについての回顧的な比較を行った。

結果:拡張型心筋症のイングリッシュ・コッカー・スパニエル16頭で血漿タウリン濃度がわかり、13/16頭ではうっ血性心不全があり、3頭ではなかった。タウリン濃度は、13/16頭で低く(<50μmol/L)、3頭で正常であった。欠乏した犬では、従来の心臓薬に加えてタウリンの補給が行われた。8頭は研究終了時に生存しており、8頭は死亡した。この研究に含めた犬全体の中央生存期間は2800日であった。タウリン欠乏のイングリッシュ・コッカー・スパニエルではタウリン補給と従来の心臓治療ののちに左室収縮機能が改善し、心室内腔が減少したが、タウリン欠乏のないイングリッシュ・コッカー・スパニエルで心臓治療のみを行った場合でも同様な結果が得られた。

臨床的意義
:検査所の基準範囲をもとにすると、拡張型心筋症のイングリッシュ・コッカー・スパニエルではタウリン濃度が低く、イングリッシュ・コッカー・スパニエルにおける拡張型心筋症とタウリン欠乏は関連している可能性がある。

Lyberg, Maria, et al.
"Impact of equipment and handling on systolic blood pressure measurements in conscious dogs in an animal hospital environment." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).


PubMedリンク PMID:
33586197
本文:無料公開あり(全文)

タイトル:動物病院の環境下の意識のある犬において装置とハンドリングが収縮期血圧の測定に与える影響

==アブストラクト===
背景
:状況的高血圧と、デバイス間の差は、犬の収縮期血圧の解釈を複雑にする。

仮説/目的
:病院内の収縮機血圧の測定において、意識のある犬でオシロメトリックデバイスと測定者が収縮機血圧の測定に影響をあたえるかどうかを調べること。

動物
:慢性腎臓病がある、またはない家庭医飼育犬67頭を、2つの研究サンプルに分けた(AとB)。

方法
:横断的診断検査。Aパートでは、来院中の規定された3時点で慣らされたのちに、2種類の異なるデバイス(HDO、petMap)で犬の収縮期血圧測定を行った。パートBでは、同じ機会に、訓練をうけた最終学年の獣医学生と、飼い主だけで収縮期血圧の測定を行った。

結果:すべての犬で、HDO(p=0.12)とpetMap(p=0.67)の3時点での測定間で平均収縮期血圧に有意な差はなかった。しかし、測定時点間の個人内の平均収縮期血圧では、最大で60mmHgの差があった。petMapで得られた平均収縮期血圧は、HDOで得られたものよりも平均で14mmHg(95%信頼区間 8-20)高かく、この差は収縮期血圧が上昇するにしたがって増加した。平均収縮期血圧は、飼い主だけで得られたものよりも、訓練された学生が測定したもののほうが7mmHg(95%信頼区間 2-11)高かった。

結論と臨床的意義
:この研究の結果にゆおり、病院内のどの時点で犬の収縮期血圧を測定したかはさほど重要ではなく、説明をうけた飼い主が実施することで状況的高血圧の疑いを減らすことができるかもしれない。HDOとpetMapで測定された平均収縮期血圧の差は、臨床的に使用される血圧測定デバイスの検証の必要性を強調している。

Cook, Simon, Stefano Cortellini, and Karen Humm.
"Prospective evaluation of pericardial catheter placement versus needle pericardiocentesis in the management of canine pericardial effusion." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care 31.1 (2021): 11-17.


PubMedリンク PMID:33274832
本文:無料公開なし

タイトル:犬の心膜液の管理における心膜カテーテル留置vs針心膜針穿刺についての前向き評価

==アブストラクト===
目的:心膜液のある犬において、針心膜穿刺と心膜カテーテル留置の安全性と有効性を比較すること。

デザイン:前向きランダム化診療試験。

施設:大学の教育病院。

動物:2017年1月から2019年8月の間に心膜穿刺を必要とした家庭飼育犬30頭。

介入:犬は、心膜カテーテル留置とその後4-6時間ごとのドレナージの実施(カテーテルグループ)、または必要に応じて針心膜穿刺を繰り返し実施(針グループ)とにランダムに分けられた。

方法と主な結果:15頭の犬がカテーテルグループに割り付けられ、15頭が針グループに割り付けられた。シグナルメント、心膜液の原因、心膜穿刺の前・最中・後の不整脈の発生率、手技の所要時間、および繰り返したドレナージの詳細についてのデータを収集した。手技の所要時間の平均は、心膜カテーテル留置(17.7分[±11.8])と針心膜穿刺(12.1分[±8.6])で有意な差はなく(p=0.192)、新たな不整脈の発生率についてもカテーテルグループ(36%)と針グループ(64%)で有意な差はなかった(p=0.24)。心膜カテーテルは中央値として21時間(範囲 14-85時間)そのままの位置で維持された。針グループの15頭中3頭(20%)で、最初の心膜穿刺から24時間以内に再び心膜穿刺を必要とした。心膜カテーテルは、4頭で多量の心膜液ドレナージを繰り返し可能にした(中央値 10.6ml/kg、範囲 8.5-10.6)。

結論
:心膜カテーテルは、針心膜穿刺の安全な代替法となるようだ。設置には最小限の鎮静を必要とするが、迅速に設置が可能である。カテーテルの設置と使用は、針心膜穿刺と比較して、不整脈の増加とは関連せず、臨床的に重要な心膜液貯溜が再発した場合に有用である可能性がある。

Cirla, Alessandro, et al.
"Ocular fundus abnormalities in cats affected by systemic hypertension: Prevalence, characterization, and outcome of treatment." 
Veterinary Ophthalmology (2021).


PubMedリンク PMID:33512084
本文:無料公開なし

タイトル
:全身性高血圧症に罹患した猫における眼底異常;有病率、特徴、転帰、治療

==アブストラクト===
目的:全身性高血圧症のある猫お眼底異常の有病率を決定し、観察された異常の特徴を調べ、アムロジピンで治療中の眼底検査の変化を評価すること。

動物:2年間に全身性高血圧症に罹患したと診断された猫。

方法
:全身性高血圧症はオシロメトリック血圧測定により評価され、その病因についても調べた。すべての猫が眼科検査をうけ、眼病変をスコア0(異常なし)からスコア4(重度の異常)に分けた。すべての猫はアムロジピンの経口投与をうけ、診断から7日から365日まで、定期的に眼底異常のチェックで来院した。データは統計的に解析され、すべての変数と収縮期血圧および拡張期血圧を比較し、また眼底スコアと収縮期血圧および拡張期血圧を比較した。

結果
:合計で225頭の猫が研究に登録され、眼底異常の有病率は58.6%(グレード1;21.2%、グレード2;18.2%、グレード3;36.4%、グレード4;24.2%)であった。全身性高血圧症は、慢性腎不全(60.4%)、甲状腺機能亢進症(28.9%)、慢性腎不全と甲状腺機能亢進症の両方(7.6%)、肥大型心筋症(3.1%)と同時に診断された。眼底スコアに対する収縮期血圧の有意な影響が検出された。アムロジピン療法は、21日のフォローアップで症例の50%で眼底異常を改善した。

結論
:この研究は、高血圧の猫で全身性の診断をした際に眼底異常がよくみられ、異常の多くが中程度から重度のものであることを示している。アムロジピンによる治療は時間とともに眼病変を改善するようである。

García San José, Paula, et al.
"Changes in systolic blood pressure in dogs with pituitary dependent hyperadrenocorticism during the first year of trilostane treatment." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).

PubMedリンク PMID:33274787
本文:無料公開あり(全文

タイトル:下垂体依存性副腎皮質機能亢進症の犬におけるトリロスタン治療の最初の1年間で全身血圧の変化

==アブストラクト===
背景:全身性高血圧症は、副腎皮質機能亢進症の犬とヒトで一般的であり、治療後も持続する可能性があるl。

目的:下垂体性副腎皮質機能亢進症(PDH)がある犬でトリロスタン治療を開始して最初の1年間の、全身性高血圧症の有病率と全身収縮期血圧の変化を評価し、疾患コントロールと検査項目との関連、および降圧療法に対するそれらの反応を調べること。

動物:トリロスタン12時間毎で治療したPDHの犬51頭。

方法:前向き症例シリーズ研究。診断時(T0)から1,3,6,12ヶ月(T12)で犬を評価した。犬は非高血圧(収縮期血圧<160mmHg)または高血圧(≧160mmHg)に分類され、さらに標的臓器障害によってサブクラスに分類された。高血圧の犬はベナザプリルで治療し、全身性高血圧のコントロールが達成できなかった場合には、アムロジピンが追加された。

結果
:全身性高血圧症の有病率は、T0(36/51)からT12(17/37)にかけて減少した(p=0.01)。研究中の収縮機血圧の変化は、T0での標的臓器リスクにより影響をうけた。重度な高血圧(≧180mmHg)の犬では収縮期血圧の低下がより顕著であったが、一方で正常血圧(≦140mmHg)の犬ではわずかに増加した(P=0.00)。血圧は疾患のコントロールと関連しなかった。降圧療法は31/51頭で必要となり、13/37頭でアムロジピンによる追加の高血圧治療が必要であった。T0で正常血圧であった犬の1/3が、フォローアップ中に全身性高血圧症によりべナゼプリルによる治療が必要となった。

結論と臨床的意義
:PDHの犬では、診断時の収縮期血圧または疾患コントロールにかかわらず、収縮期血圧を来院毎に測定すべきである。罹患した犬では全身性高血圧症を管理するためには複数の薬が必要になる可能性がある。

Kochie, Samantha L., et al.
"Effects of pimobendan on left atrial transport function in cats." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).


PubMedリンク PMID:
33241877
本文:無料公開あり(全文

タイトル:猫の左心房の輸送機能へのピモベンダンの効果

==アブストラクト===
背景:動脈血栓塞栓症は、左心房の拡大と機能障害に関連した猫の肥大型心筋症(HCM)の続発症である。

仮説:ピモベンダンは猫の左心房の輸送機能を改善する。

動物:HCMのある家庭医飼育猫22頭と健康な猫11頭。

方法:前向き、二重盲検、ランダム化、プラセボ対照、臨床コホート研究。猫は、ピモベンダン(0.25mg/kg po 12時間毎)またはプラセボの4-7日間の投与にランダムに割り振られた。左心房のサイズと機能についての心エコー検査の19の項目を評価した。統計的比較にはt検定、分散分析、多変量解析が含まれた。

結果
:ピモベンダン投与後には以下の項目が増加した;左心耳の流れのピーク速度(平均±標準偏差;0.85±0.20 vs 0.71±0.22 m/s;p=0.01)、最大左心房容積(p=0.03)、左心房総排出容量(p=0.03)、拡張後期経僧帽弁血流のピーク速度(0.77±0.12 vs 0.62±0.17m/s:p=0.05)、および心房流速時間積分(3.05±0.69 vs 3.37±0.49:p=0.05)。健康な猫に比べて、HCMの猫ではピモベンダン投与後の以下の項目の変化の平均が多変量解析モデルにおいて大きかった;左心房短縮率(2.1% vs -2.1%:p=0.05)、心房流速時間積分(0.58 vs 0.001 cm;p=0.01)、左心耳の流れのピーク速度(0.20 vs 0.02 m/s;p=0.02)、左心房運動エネルギー(3.51 vs -0.10 ;p=0.05)、および左心房突出力(1.93 vs -0.07 ;p=0.01)。HCMの猫におけるピモベンダンによる強化作用は、左心房のサイズと無関係だった。

結論と臨床的意義
:HCMの猫の左心房機能に対するピモベンダンの正の効果(わずかではあるが)を確認した。ピモベンダンによる治療が心臓性の塞栓症のリスクを減らすかどうかについては、さらなる研究を必要とする。

Moretto, Laura, et al.
"Reliability of detecting fundus abnormalities associated with systemic hypertension in cats assessed by veterinarians with and without ophthalmology specialty training." 
Journal of Feline Medicine and Surgery (2020): 1098612X20983265.


PubMedリンク PMID:33438504
本文:無料公開なし

タイトル:眼科専門トレーニングのある獣医師とない獣医師によって評価された猫の全身性高血圧症に関連した眼底異常の検出の信頼性

==アブストラクト===
目的:全身性高血圧症は様々な標的臓器障害を引き起こし、高リスク集団では血圧測定をルーチンで行うべきである。眼底検査は、高血圧による急性の臨床的関連性を裏付け、即時的な治療を決定するためのツールである。すべての高血圧の猫が眼科専門医による検査受けられるわけではない。この研究の目的は、眼科専門医のための専門トレーニングをうけていない獣医師が行なう、全身性高血圧症の猫のにおける眼底検査の信頼性を調べることである。

方法:高血圧性標的臓器障害が疑われる、または血圧>160mmHgを計測して全身性高血圧症のリスク集団に属する猫を組み入れた。獣医眼科専門医に続き、最近卒業した獣医師によって間接的な眼底検査が行われた。全身性高血圧症の確認は、ドップラー血圧計による>160mmHgの収縮期血圧の2回の測定セットに基づいて行われた。

結果
:33頭の猫が含まれた。全身性高血圧症は27頭で確認された。全身性高血圧症は、12/27頭でルーチンな検査で検出され、眼底の病変は、トレーニングを受けていない獣医師で9/12、眼科専門医で11/2で検出された。27頭中9頭は神経学的患者であり、眼底の病変はトレーニングを受けていない獣医師で4/9、眼科専門医で7/9で検出された。27頭中6頭は急性の失明で来院し、眼底の病変は6頭すべてでトレーニングを受けていない獣医師と眼科専門医により検出された。6/33頭では、全身性高血圧は確認されず、どちらの検査者も眼底の病変を検出しなかった。獣医眼科専門医にくらべて、トレーニングを受けていない獣医師による眼底病変の検出の信頼性は、視力のある猫において72%(13/18)、視力のない猫において100%(6/6)であった。

結論と臨床的意義
:特殊なトレーニングを受けていない獣医師による眼底検査は、標的臓器障害としての眼の病変の検出に比較的高い信頼性がある。民間診療の獣医師は、高血圧が疑われた猫では最初に眼底検査を行うことが推奨される。

Duler, Laetitia, et al.
"Evaluation of radiographic predictors of left heart enlargement in dogs with known or suspected cardiovascular disease." 
Veterinary Radiology & Ultrasound.


PubMedリンク PMID:
33439529
本文:無料公開なし

タイトル:心血管系疾患が判明または疑われている犬における左心拡大のレントゲンによる予測についての評価

==アブストラクト===
心臓サイズのレントゲンによる評価は、心血管系疾患のある犬の臨床的な管理のために重要である。左心疾患の重症度の重要なマーカーとしての心エコー検査での左心房拡大を予測するために、椎骨心臓サイズ(VHS)、椎骨左心房サイズ(VLAS)、および放射線科科医が評価する心房サイズの性能を比較することとした。VHSとVLASの、粘液腫性僧帽弁疾患のある犬のACVIMステージB2に対する心エコー基準の予測に関しての性能も合わせて評価した。

前向き観察研究に、心血管系疾患が判明または疑われており、24時間以内の心エコー検査と胸部レントゲンが得られた犬183頭を組み入れた。VHSの増加と比べて、VLAS>2.3は心エコー左心房サイズをより正確に予測した(p=0.002)。VLAS>2.3と放射線科医の左心房サイズ評価は、それぞれ独立して心エコー左心房拡大と関連したが(ともにp<0.0001)、VHSは関連しなかった(p=0.45)。心エコー左心房拡大を予測するための理想的なカットオフ値は、VLASが>2.3(感度90.3%、特異度73.6%)、VHSが11.1(感度75%、特異度76%)であった。無症候性の粘液腫性僧帽弁疾患の犬においてACVIMステージB2を予測するための診断精度は、VLAS(AUC;0.84、95%信頼区間 0.73-0.92)とVHS
(AUC;0.78、95%信頼区間 0.66-0.88)の間で有意な差はなかった。

この結果により、心血管系が判明または疑われている犬において、心エコー左心房拡大を予測するためには、VHSよりもVLASおちょび放射線科医による心房サイズの評価の方が優れていることが示された。VLASとVHSはともに無症候性の粘液腫性僧帽弁疾患の犬における心エコーでのACVIM B2を予測するのに有用だった。VLASは心エコー検査が利用できない際に、心血管系疾患があるまたは疑われる犬の臨床的な管理に支援するされための有用なレントゲン測定値を提供する。

Puccinelli, Caterina, et al.
"A radiographic study of breed‐specific vertebral heart score and vertebral left atrial size in Chihuahuas." 
Veterinary Radiology & Ultrasound (2020).


PubMedリンク PMID:33111364
本文:無料公開なし

タイトル
:チワワの品種特異的な椎骨心臓スコアと椎骨左心房サイズのレントンゲン検査研究

==アブストラクト===
心臓の構造性疾患の診断においては心エコー検査がゴールドスタンダードであるが、犬において胸部レントゲン検査は心臓の大きさを評価するために、迅速で費用効果が高く、広く利用しやすい方法である。椎骨心臓スコア(VHS)と椎骨左心房サイズ(VLAS)は、胸部レントゲンで心拡大の客観的な測定として確率されている。しかしいくつかの研究で、異なる犬種間でVHSにばらつきがあることが示されている。チワワは先天性および後天性の心疾患の両方の素因がある。この前向き、単一施設、横断的研究の目的は、健康な成犬のチワワのVHSとVLASを評価することである。

合計で30頭のチワワが組み込まれた。この研究集団のチワワにおけるVHSの値は10.0±0.6(95%信頼区間 8.9-11.0)であった。これは、
BuchananとBüchelerによって設定された犬の基準値 9.7±0.6よりも有意に高かった(p=0.002)。この研究のチワワにおけるVLASは1.8±0.2(95%信頼区間 1.3-2.1)であり、Malcolmらが過去に報告した値2.07±0.25よりも有意に低かった(p=0.0004)。健康なチワワでは、VHSとVLASは、性別、体重、短毛または長毛、ボディコンディションスコアによる影響を受けなかった。

この結果から、レントゲンのVHSとVLASには品種特異的な基準値が必要であることが示された。チワワでは、心拡大の過剰診断を避けるの役立てるために、この研究で得られた値を基準値として使用できる。

Freid, Kimberly J., et al.
"Retrospective study of dilated cardiomyopathy in dogs." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).

PubMedリンク PMID:33345431
本文:無料公開あり(全文

タイトル:犬の拡張型心筋症に関する回顧的研究

==アブストラクト===
背景:アメリカのFDAは犬と猫における食事関連性拡張型心筋症(DCM)の可能性について調査している。

目的:DCMの症例を回顧的にレビューし、シグナルメント、食事情報、心エコーの変化、および生存に関して調べること。

動物:家庭飼育犬(n=71)

方法:2014年1月1日から2018年11月30日の間にDCMと診断された犬の医療記録をレビューした。犬は「伝統的な食事」と「非デ伝統的な食事」()のグループに分けられ、それは診断後に食事を変更したかどうかに関わりなかった。

結果
:非伝統的な食事を食べている犬に場合、食事を変更した犬は、変更しなかった犬に比べて、正常化収縮期左心室内径(p=0.03)と左心房/大動脈比(p<0.001)の減少割合が大きかった。生存期間は、非伝統的な食事を食べていて食事を変更しなかった犬(中央生存期間 215日;範囲 1-852日)と比べて、非伝統的な食事を食べていて食事を変更した犬(中央生存期間 337日;範囲 9-1307日)のほうが有意に長かった(p=0.002)。

結論と臨床的意義:非伝統食を食べているDCMの犬では、食事の変更後に心機能の改善を経験する可能性があるが、食事とDCMの関係についてはさらなる調査が必要である。


)本文中で、伝統的な食事=穀物を含む食事、非伝統的な食事=穀物を含まない食事(グレインフリー)、と定義されています。

Murphy, Shane D., et al.
"Utility of point‐of‐care lung ultrasound for monitoring cardiogenic pulmonary edema in dogs."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).


PubMedリンク PMID:
33270302
本文:無料公開あり(全文

タイトル:犬の心原性肺水腫のモニタリングのためのポイントオブケア肺超音波検査の有効性

==アブストラクト===
背景
:臨床現場即時(ポイントオブケア POC)肺超音波検査は、肺の水分の上昇によって生じる超音波アーティファクト(Bライン)の検出によって左側うっ血性心不全を診断するための有効なツールである。

仮説/目的
:肺超音波検査が犬の心原性肺水腫の改善のモニターに利用できるかどうかを調べ、左側うっ血性心不全の他の指標と肺超音波検査を比較すること。

方法
:プロトコル化された肺超音波検査、胸部レントゲン、血漿NT-proBNPの測定を入院時、退院時、および再診時に行った。肺超音波検査を各時点で比較し、また左側うっ血性心不全の他の測定とも比較した。

結果
:入院から退院まで(平均19.6時間)に、肺超音波検査でBライン強陽性(Bライン >3/部位)の数の中央値は、5(範囲1-8)から1(範囲0-5)へと減少し(p<0.001)、合計のBラインスコアの中央値は37(範囲6-74)から5(範囲0-31)へと減少した(p=0.002)。肺超音波検査の指標は最初の再診時には改善したままであった(p<0.001)。入院時の強陽性の部位数は、呼吸数(r=0.52、p=0.008)および胸部レントゲンの肺水腫スコア(r=0.51、p=0.009)と正の相関を示した。肺水腫の改善パターンは肺超音波検査と胸部レントゲンで異なり、頭側四分位では胸部レントゲン肺水腫スコア(29%減少)に比べてBライン(80%減少)のほうが有意に減少した(p=0.003)。

結論と臨床的意義
:肺超音波検査は左側うっ血性心不全の犬における肺水腫の改善のモニタリングのための有用なツールとなり得る。

Biddick, Allison A., et al.
"Association between cardiac troponin I concentrations and electrocardiographic abnormalities in dogs with blunt trauma." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care 30.2 (2020): 179-186.


PubMedリンク PMID:32100447
本文:無料公開なし

タイトル:鈍的外傷をおった犬における心臓トロポニンⅠ濃度と心電図異常の関連

==アブストラクト===
目的:鈍的外傷をおった犬において、正常な心臓トロポニンⅠ(cTnⅠ)濃度と正常な心電が、臨床上重要な心臓不整脈(抗不整脈治療を必要とする不整脈と定義)の発症を除外できるかどうかを調べること。

デザイン:前向き観察研究。2015年1月から2016年12月までの家庭飼育犬が登録された。

動物:病院への来院前の24時間に鈍的外傷が目撃された、または疑われた病歴のある家庭飼育犬47頭。

介入:救急治療部に入院時に犬は、標準的な3誘導心電図とcTnⅠ濃度(獣医臨床即時検査装置を用いて)の測定を行った。動物外傷トリアージ(ATT)スコア、修正グラスゴースケール(MGCS)、および外傷の性質とタイミングについての詳細が記録された。患者は最低24時間以上、ICUで持続的な心電図測定器でモニターされた。心臓のリズムを1時間毎にモニターし、異常があれば記録した。抗不整脈治療の必要性についても記録した。治療介入はなかった。

測定と主な結果
:47頭中5頭(10.6%)で、鈍的外傷後の入院中に臨床上重要な心臓不整脈がみられた。入院時の正常な心電図と正常なcTnⅠ濃度は、臨床上重要な心臓不整脈の発生の除外に対して100%の陰性的中率(NPV)をもち、正常なcTnⅠ濃度だけでもNPVは100%であった。正常な心電図単独のNPVは95.3%であった。この研究集団における生存退院は89.4%(42/47頭)であった。

結論
:鈍的外傷の犬において、cTnⅠ濃度またはcTnⅠと心電図の組み合わせは、外傷後12-24時間の間に臨床上重要な不整脈の発症リスクの高い患者を特定するために有用である可能性がある。

Ward, Jessica L., et al.
"Retrospective evaluation of the safety and tolerability of pimobendan in cats with obstructive vs nonobstructive cardiomyopathy."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).


PubMedリンク PMID:
本文:無料公開あり(全文

タイトル:閉塞性vs非閉塞性の心筋症がある猫におけるピモベンダンの安全性と容認性の回顧的評価

==アブストラクト===
背景:ピモベンダンは猫のうっ血性心不全の治療として頻繁に効能外使用されている。流出路閉塞のある猫におけるピモベンダンの安全性については懸念がある。

目的:ピモベンダンで治療された猫において、流出路閉塞のある心筋症の猫と非流出路性閉塞の心筋症の猫とのあいだに有害事象の発生率に差はないだろう。

動物:うっ血性心不全のある猫260頭(流出路閉塞あり57頭、閉塞性疾患なし203頭)。

方法:回顧的な医療記録のレビュー。2標本t検定、ウィルコクソン順位和検定、フィッシャーの直接確率検定を用いてグループを比較した。

結果:非閉塞性心筋症のある猫と比較すると、流出路閉塞のある猫は若く(8.9歳[四分位 範囲 6.6]vs10.8歳[6.3]、p=0.036)、心雑音があることが多く(51/57[90%]vs 76/203[37.8%]、p=0.0001)、肺水腫としてうっ血性心不全を発症することが多く(53/57[90%]vs 144/203[70.9%]、p=0.004)、胸水を示すことが少なかった(19/57[33%]vs122/203[60.1%]、p=0.005)。ピモベンダン投与の関連が疑われる有害事象は12/260頭(4.6%)で起こり、非閉塞性心筋症の猫の11/203頭(5.4%)、流出路閉塞のある猫の1/57頭(2%)であった(p=0.7)。4/260頭(1.5%)の猫で有害事象のためにピモベンダンの継続ができなくなり、そのうち3頭が非閉塞性、1頭が流出路閉塞の猫であった(p=1.0)。ピモベンダン 投与後の急性の有害な血行動態作用はいずれの猫でもみられなかった。

臨床的意義
:ピモベンダンは、流出路閉塞の有無に関わらず、心筋症およびうっ血性心不全のある猫によく許容された。

Hanås, Sofia, et al.
"Effect of feline characteristics on plasma N‐terminal‐prohormone B‐type natriuretic peptide concentration and comparison of a point‐of‐care test and an ELISA test." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).


PubMedリンク PMID:32200578
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:NT-proBNPに猫の特性が与える影響と、臨床現場即時検査とELISA検査の比較

==アブストラクト===
背景:N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)の血症濃度の増加は、心疾患のある猫で検出され得る。NT-proBNP濃度に影響を与える可能性のある猫の特性は、臨床的有用性に影響するかもしれない。

目的:NT-proBNPの血症濃度に影響を与える可能性のある猫の特性を調べ、ELISAと臨床現場即時検査(POCT)を用いて健康な猫と左心房拡大がある/ない肥大型心筋症(HCM)の猫のNT-proBNP血症濃度を比較し、POCTの結果がELISAの結果を反映しているかどうかを評価すること。

動物:健康な猫100頭(3品種)、HCMの猫39頭。

方法:身体検査、血圧測定、心エコー検査、血液学検査、血清生化学検査を行い、HCM以外の疾患を除外した。

結果
:健康な猫(p=0.005)およびHCMの猫(p=0.021)で、雌よりも雄でNT-proBNP濃度が高かったが、NT-proBNP濃度に与える品種の影響はみられなかった。異常値のカットオフ値として≧100pmol/Lを用いると、健康な猫と比較した際に、ELISAもPOCTも同様の感度と特異度が、HCMの猫の検出(感度72%、74%;特異度97%、98%)、左房拡大のあるHCMの猫の検出(感度100%、100%;特異度97%、98%)、左房拡大のないHCMの猫の検出(感度69%、69%;特異度97%、98%)で得られた。

結論と臨床的意義
:品種はNT-proBNP濃度に影響を与えなかったが、雌よりも雄の猫でより高い濃度がみられた。ELISAとPOCTはHCMの検出に同様の感度と特異度を示した。これらの検査は左房拡大のあるHCMをすべて同定できたが、左房拡大のないHCMの猫のすべては同定できなかった。

Schaefer, Jonathan D., et al.
"Evaluation of the rectal‐interdigital temperature gradient as a diagnostic marker of shock in dogs." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care.


PubMedリンク PMID:32965089
本文:無料公開なし

タイトル:犬のショックの診断マーカーとしての直腸-指間の温度勾配の評価

==アブストラクト===
目的:救急に来院し、ショックの臨床徴候がある犬とない犬との間で、直腸-指間温度勾配の差を評価し、その勾配がショックの診断マーカーとして利用できるかどうかを調べること。

デザイン:2014-2015年に行われた前向き単一施設観察研究。

施設:大学の獣医教育病院。

動物:ショックと臨床診断された犬20頭と、ショックと臨床診断されていない犬(対照)60頭。

方法と主な結果
:救急治療室に来院して、介入を行う前に、直腸温、指間温、環境温度、循環の全身マーカー(毛細血管再充満時間[CRT]、心拍数、呼吸数、ドップラー血圧測定、静脈血漿乳酸濃度)と静脈血液ガス分析を記録した。犬は最初に担当医がショック状態にあることを判断し、事後の組み入れ基準を適応した。以下の6つの基準のうち、3つ以上で異常がある場合をショックと定義した;心拍数 >120回/分、呼吸数 >40回/分、CRT >2秒、直腸温 <37.8℃、静脈血漿乳酸濃度 >2.5mmol/L、ドップラー血圧 <90mmHg。循環ショックのある動物では直腸-指間温度勾配が有意に増加した。直腸-指間温度勾配の増加は、CRTの延長(ρ=0.353、p=0.0013)、頻脈ρ=0.3485、p=0.0015)、ドップラー血圧の低下ρ=-0.6162、p=0.0003)、ショック指数ρ=0.6168、p=0.0003)などの個々の循環パラメータとも相関した。ROC解析では、直腸-指間の温度勾配のカットオフ値11.6℉(-11.3℃)は、ショックの診断に特異度90%であった(AUC=0.7604)。

結論:この研究において、直腸-指間の温度勾配はショックの診断と関連し、そのため循環ショックの診断マーカーとして役立つ可能性がある。診断およびミニタリングのツールとしての温度勾配と末梢環流異常の使用を検証するためには、大規模なサンプルでのさらなる研究が必要となる。

Ferasin, Luca, Heidi Ferasin, and Eoin Kilkenny.
"Heart murmurs in apparently healthy cats caused by iatrogenic dynamic right ventricular outflow tract obstruction."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine 34.3 (2020): 1102-1107.


PubMedリンク PMID:32343450
本文:無料公開あり(全文

タイトル:医原性の動的右室流出路閉塞に起因する明らかに健康な猫の心雑音

==アブストラクト===
背景
:明らかに健康な猫でもルーチンな身体検査で心雑音が検出されることはよくあり、心雑音を起こす乱流の原因を特定するには最終的にドップラー心エコーが必要となる。しかし、経験豊富な臨床医であっても心エコー検査で雑音の起源が特定できない症例がいる。猫の胸壁に超音波プローブを穏やかに押し当てることで、右心室の内腔が一時的にせまくなり、心臓の異常がなくても血液の乱流を起こす可能性がある。

目的/仮説:心エコー検査中の猫の胸壁に対するエコープローブの圧迫(誘発試験)が右室の血流に与える影響を調べること。第一の仮説は、誘発試験によって右室流出路の流速が増加し、乱流を引き起こすというものである。第二の仮説は、この操作の効果は試験中の心拍数の変化とは無関係であるというものである。

動物:明らかに健康で、身体検査で心雑音がある家庭飼育の猫61頭。

方法:心雑音の検査で来院した猫723頭の心エコー検査の回顧的再調査。

結果:誘発試験中に流出路の流速が1.05±0.26から1.94±0.51m/sに増加した(p<0.0001)。誘発試験中の右室流出のピークと心拍数の間に相関はなかった(p=0.34;r=0.1237)。

結論と臨床的意義
:右室流出路閉塞とそれに関連した心雑音は、エコープローブの右胸壁への圧迫の増加によって、明らかに健康な猫で誘発される可能性がある。


==本文から===
イントロから一部抜粋
過去10年間、猫の胸壁の右側に超音波トランスデューサーで穏やかな圧力を加えると、RV中央部の内腔が一時的に狭くなり、医原性にDRVOTOが誘発され、その後血流の乱れが引き起こされることが偶然に観察されました。また、聴診器の頭を猫の右胸壁にそっと押し付けて、聴診中に可聴雑音を誘発することで、同様の現象を再現できることも確認しました。

これが今回の研究の背景のようです。

García San José, Paula, et al.
"Prevalence and risk factors associated with systemic hypertension in dogs with spontaneous hyperadrenocorticism." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).


PubMedリンク PMID:32614466
本文:無料公開あり(全文

タイトル:自然発生性副腎皮質機能亢進症の犬における全身性高血圧の有病率とそれに関連したリスク因子

==アブストラクト===
背景:全身性高血圧(SH)は、副腎皮質機能亢進症(HAC)の犬で多いが、その有病率とリスク因子について評価した研究は多くない。

目的:副腎皮質機能亢進症の犬における全身性高血圧の有病率と重症度を調べ、潜在的なリスク因子を同定するための関連した臨床所見と検査所見を調べること。

動物:自然発生副腎皮質機能亢進症がある家庭飼育犬66頭。

方法:回顧的横断研究。副腎皮質機能亢進症がある犬の医療記録を再調査した。ドップラー超音波検査を用いて収縮期血圧(SBP)を測定した。臨床徴候、身体検査所見、および臨床検査データ(CBC、血清生化学、血清電解質、尿検査、尿培養、副腎機能検査)を解析のためにレビューした。

結果:全身性高血圧(≧150mmHg)の有病率は82%(54/66)であり、重度の全身性高血圧(≧180mmHg)は46%(30/66)であった。血小板増多症のある犬のすべてで全身性高血圧があり(p=0.002)、全身性高血圧の予測において血小板数≧438×1000/μlは、特異度100%、感度61.1%であった(AUC=0.802、p=0.001)。カリウム値の中央値は、正常血圧の犬(4.5mEq/L、範囲4.0-5.0)よりも、高血圧の犬(4.1mEq/L、範囲3.1-5.4)の方が低かった(p=0.007)。UPC≧0.5の犬は、タンパク尿がない犬に比べて収縮期血圧の中央値が高かった。糖尿病を併発している犬では、全身性高血圧のリスクが減少するようだ(OR=0.118、95%信頼区間0.022-0.626、p=0.02)。

結論と臨床的意義
:全身性高血圧は、副腎皮質機能亢進症の犬で多く、重度であることも多い。これらの犬では、特に血小板増多症、タンパク尿、カリウム濃度の低値がある場合には、血圧はルーティンに測定すべきである。

Hsue, Weihow, and Lance C. Visser.
"Reproducibility of echocardiographic indices of left atrial size in dogs with subclinical myxomatous mitral valve disease."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).


PubMedリンク PMID:32644291
本文:無料公開あり(全文

タイトル:無症候性の粘液腫性僧帽弁疾患の犬における左心房サイズの心エコー検査指標の再現性

==アブストラクト===
背景:粘液腫性僧帽弁疾患の犬における疾患重症度の重要な指標である左心房サイズの心エコー検査測定の信頼性については報告されていない。

目的
:無症候性の粘液腫性僧帽弁疾患の犬における左心房径(LAD)、大動脈径を指標とした左心房径(LAD/AoD)、左心房-大動脈起始部比(LA/AO)、右側傍胸骨長軸から得られた左心房容積(LAVRPLx)、左心尖ビューからの左心房容積(LAVLAP)の信頼性を比較すること。

動物:無症候性の粘液腫性僧帽弁疾患のある犬9頭。

方法:前向き再現性研究。犬に対して1週間の間に連続しない3日間の午前と午後に2人の検査者によって12の心エコー検査が行われた。信頼性(測定の変動性)は、変動係数(CV)と95%再現性係数(95%RC)を用いて定量化された。混合モデル分散分析(ANOVA)を用いて、日内の時刻、日付、および検査者が各指標の変動性の重要な原因であるかどうかを調べた。

結果:線測定
(LAD、LAD/AoD、LA/AO)は、容積測定(LAVRPLx、LAVLAP)に比べて日内変動、日間変動、検査者間変動が小さかった(CVs 3.9-12/5%)。検査者はLA/AOの変動性の重要な原因であった(p=0.005)。

結論と臨床的意義
:他の線測定と比較して、LA/AOは再現性が最も低く、最も検査者に依存していた。それぞれの左心房サイズの指標に対する95%RCは、無症候性の粘液腫性僧帽弁疾患の連続した心エコー検査の最中に、臨床的に信頼できる変化(検査者内および検査者間の変動性を超えて)を同定するのに役立つ。

Hattersley, R., et al.
"Impact of intra‐operative hypotension on mortality rates and post‐operative complications in dogs undergoing cholecystectomy."
 
Journal of Small Animal Practice.


PubMedリンク PMID:32845022
本文:無料公開なし

タイトル:胆嚢切除を行った犬において術中の低血圧が死亡率および術後合併症に与える影響

==アブストラクト===
目的
:胆嚢切除を行った犬の集団における死亡率を報告し、術中の低血圧が死亡率に与える影響を調べること。

方法
:イギリスの5つの紹介病院で胆嚢切除を行った犬の医療記録を再調査した。徴候、術前の血液検査の結果、低血圧の頻度と時間を含む術中データ、および術後合併症の発生率と合併症などのデータを収集した。

結果
:119頭の犬のデータを組み入れた。16頭(13%)の犬が退院前に死亡し、術後28日までの総死亡は19頭(17%)であった。全身麻酔下で10分以上続く低血圧は65頭(54.6%)で起こり、平均±標準偏差の時間は36.1±30.0 分であった。術中の低血圧または低血圧の回数はは、院内死亡または28日死亡率と関連していないようであった。米国麻酔学会(ASA)グレード(手術適応度)は、単変量解析で院内死亡率と28日死亡率の両方と有意に相関し、術後の低タンパク血症、イレウス、および膵炎も同様であった。しかし、多変量解析では、イレウスと膵炎だけが死亡率に有意な影響を与えていることがわかった。

臨床的意義
:ASAグレードが高い犬は死亡リスクが高いが、術中の低血圧は死亡リスクではないようだ。

Poad, Megan H., et al.
"Utility of radiographic measurements to predict echocardiographic left heart enlargement in dogs with preclinical myxomatous mitral valve disease." 
Journal of Veterinary Internal Medicine.

PubMedリンク PMID:32686167
本文:無料公開あり(全文

タイトル:無症候性の粘液腫性僧帽弁疾患の犬において心エコー検査の左心拡大を予測するためのレントゲン測定の有用性

==アブストラクト=== 
背景:左心臓サイズの測定は、粘液腫性僧帽弁疾患の犬における疾患の重症度を決定するのに役立つ。

仮説/目的
:無症候性の粘液腫性僧帽弁疾患がある犬における心エコーでの左心拡大を予測するためのレントゲン椎骨心臓サイズ(VHS)および椎骨左心房サイズ(VLAS)の能力を調べること。

動物
粘液腫性僧帽弁疾患があり、過去または現在に臨床的またはレントゲン検査的に鬱血性心不全の所見がある家庭医飼育犬70頭。

方法:同日に心エコー検査と胸部レントゲンを行った犬についての回顧的横断研究。受信者操作特性(ROC)曲線をもちいて、VHS、VLAS、およびVHS+VLASが心エコーでの左心拡大の有無を識別できるかどうかを評価し、それらのレントゲンの測定値に関する臨床的に関連のあるカットオフ値を選択した。

結果
VHS、VLAS、およびVHS+VLASが心エコーでの左心拡大を予測する能力は中程度(VHSの曲線下面積[AUC]=0.851 95%信頼区間[CI] 0.762-0.941、VHS+VLASのAUC=0.865 95%CI 0.783-0.947)であり、VLASとVHS+VLASの能力は、VHS単独の能力と差がなかった。心エコー左心拡大に対して、VHSのカットオフ値は>10.8で、感度91.1%(76.3-98.1)、特異度69.4%(51.9-83.7) であった。カットオフ値を>11.7にすると、心エコー左心拡大に対して感度32.4%(17.4-50.5)、特異度97.2%(85.5-99.9)であった。70頭中30頭(43%)がVHS10.9-11.7であった。

結論と臨床的意義
:VHS>11.7は心エコー左心拡大の犬を同定し、VHS≦10.8は心エコー左心拡大の犬を除外する。犬の大部分で、VHSがこのカットオフ値の間であった。

Ware, Wendy A., et al.
"Vitamin D status in cats with cardiomyopathy." 
Journal of Veterinary Internal Medicine.2020.

PubMedリンク PMID:32557856
本文:無料公開あり(全文

タイトル:心筋症のある猫におけるビタミンD状態

==アブストラクト=== 
背景:低ビタミンD濃度は、人や犬で進行した心疾患と予後不良と関連している。ビタミンD状態は通常、血清25(OH)D濃度によって評価される。しかし、猫は25(OH)D(3-epi)のC-3エピマーも顕著に生成する。

仮説/目的:25(OH)D3単独または3-epiとの組み合わせ(総ビタミンD)によって推定されるビタミンD状態が、臨床的に健康な猫に比べて心筋症の猫で低いかどうか、および疾患重症度の指標がビタミンD状態と関連しているかどうか、について調べること。

動物:家庭飼育猫、心筋症あり44頭、健康56頭。

方法:臨床所見、心エコー所見、食事歴、および25(OH)D3および3-epiの測定をもちいた横断的観察研究 。

結果:猫の年齢はビタミンD状態と負に関連していた。血清ビタミンDは、健康な猫(中央値 58.65ng/ml)と比較して、年齢集計の前(p=0.03)と後(p=0.04)の両方で、心筋症の猫(中央値 47.1ng/ml)で低かった。しかし、25(Oh)D3は年齢を含めると、心筋症と健康な猫で有意な差はなかった。総ビタミンDは、年齢集計の前と後の両方で、生存期間とFSと正の相関を示し、左心房拡大の重症度と負の相関を示した 。25(OH)D3単独では、年齢を含めた後に生存期間とFSとが有意であった。

結論と臨床的意義
:心筋症の猫と健康な猫における25(OH)D3および3-epi濃度について報告した。年齢はビタミンD状態と重要(負)な関連があった。年齢を集計すると、総ビタミンDは心筋症の猫で低かった。ビタミンD状態は生存およびFSと正の関連を示すが、左心房拡大の重症度と負の関連を示す。

Church, Molly E., Bradley J. Turek, and Amy C. Durham.
"Neuropathology of Spontaneous Hypertensive Encephalopathy in Cats." 
Veterinary pathology 56.5 (2019): 778-782.

PubMedリンク PMID:31113291
本文:無料公開なし

タイトル
:猫における自然発生性高血圧性脳症の神経病理

==アブストラクト=== 
自然発生の後天性全身性高血圧症と高血圧性脳症の併発のある猫12頭で病理学的な特徴を解析した。すべての猫で前脳および/または脳幹に限局した臨床徴候の急性発症を示し、昏迷、昏睡、発作がみられた。すべての猫に全身性高血圧があり、範囲は160-300mmHgであった。肉眼病変は12症例中4例で同定され、大脳と小脳の尾側ヘルニアがあり、時に吻側の小丘と延髄の圧迫を伴った。組織学的に、すべての症例で大脳白質の両側性対称性の浮腫の特徴がみられた。関連する血管病変、特に細動脈硝子化、も観察された。併発病変として、慢性尿細管間質腎炎(11/12症例)、甲状腺の腺腫状過形成(4症例)、高血圧性脈絡膜動脈症(6症例)、および左心室肥大(5症例)がみられた。この研究により、猫の自然発生性の高血圧性能症の組織学的所見は、大脳白質皮質下の両側性対称性の浮腫であることが示された。

Borgarelli, M., et al.
"DELay of appearance of sYmptoms of canine degenerative mitral valve disease treated with spironolactone and benazepril: The DELAY study." 
Journal of Veterinary Cardiology (2020).

PubMedリンク PMID:32032923
本文:無料公開あり(全文

タイトル:スピロノラクトンとベナゼプリルで治療された犬の変性性僧帽弁疾患の症状の出現の遅延;DELAY study

==アブストラクト=== 
イントロ:無症候性の粘液腫様僧帽弁疾患(MMVD)の犬におけるアンギオテンシン 変換酵素阻害剤(ACEi)を用いたレニン-アンギオテンシン-アルドステロン系(RAAS)遮断の有効性については議論の余地がある。

仮説:ほかの心臓薬の投与を受けていない無症候性のMMVDの犬において、スピロノラクトン(2-4mg/kg 24時間毎)とベナゼプリル(0.25-0.5mg 24時間毎)の投与は、 心不全の発症と心臓関連死の発生を遅らせる。さらに、それは心エコーのパラメータと心バイオマーカのN末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)および心臓トロポニンI(cTnI)の値によって示される疾患進行を減少させる。

動物:無症候性のMMVDがあり、左心房-大動脈比(LA:AO)≧1.6、標準化左心室拡張末期径(LEDDn)≧1.7である犬184頭。 

方法:これの前向きランダム化多施設間単盲検プラセボ対照研究である。 主要アウトカムはの項目は、心不全の初回発症または心臓死までの時間とした。二次エンドポイントには、心エコー検査とレントゲン検査のパラメータ、およびNT-proBNPとcTnI濃度の変動に基づく病気の進行を含めた。

結果:主要エンドポイントまでの中央時間は、治療群で902日(95%信頼区間 682-該当なし)、プラセボ群で1139日(95%信頼区間 732-該当なし)であった(p=0.45)。脊椎心臓スコア(p=0.05)、LA:AO(p<0.001)、LEDDn(p<0.001)、経僧帽弁Eピーク速度(p=0.011)、NT-proBNP(p=0.037)、は研究終了時に、治療群で低かった。

結論
:この研究では、スピロノラクトンとベナゼプリルの投与の組み合わせが、無症候性MMVDのある犬において心不全の発症を遅らせることを示せなかった。しかし、それらの治療は、心臓の李モデリングに有益な結果をもたらし、これらの結果は臨床的に重要なものになり得る。


==本文から===
企業関与:
Ceva Sante ́ Animale

 
 ビジアブ)無症候性MMVDの犬へのスピロノラクトン/ベナゼプリル

Santiago, Sasha L., Lisa M. Freeman, and John E. Rush.
"Cardiac cachexia in cats with congestive heart failure: Prevalence and clinical, laboratory, and survival findings." 
Journal of Veterinary Internal Medicine 34.1 (2020): 35-44.

PubMedリンク PMID:31837182
本文:無料公開あり(全文

タイトル:うっ血性心不全のある猫における心臓性悪液質;有病率、臨床所見、検査所見、生存

==アブストラクト=== 
背景:心臓性悪液質は、うっ血性心不全のある人と犬で一般的である。しかし猫における心臓性悪液質は有病率と影響については不明である。

目的:うっ血性心不全のある猫における悪液質の有病率と、臨床的、検査的、および生存に関するデータとの関連についてを調べること。

動物:うっ血性心不全のある猫120頭。

方法:40ヶ月の間に評価された猫の医療記録を回顧的に再調査し、7つの異なる定義を使用して心臓性悪液質の猫を同定した。臨床的、検査的、および生存に関するデータを、悪液質がある猫とない猫との間で比較した。 

結果
:悪液質の有病率は、7つの定義によって0〜66.7%の範囲であり、マッスルコンディションスコア(MCS)を用いた場合の有病率は41.6%であった。MCSによって決定した悪液質がある猫は、高齢であり(p<0.001)、胸水があることが多く(p=0.003)、血中尿窒素(p<0.001)と好中球数(p=0.01)が有意に高く、 ボディコンディションスコア(p<0.001)、体重(p<0.001)、ヘマトクリット値(p=0.007)、ヘモグロビン濃度(p=0.009)が有意に低かった。MCSによって決定した悪液質がある猫の生存期間は、悪液質のない猫よりも有意に短かった(p=0.03)。体重不足の猫(p=0.002)と拡張型心筋症(DCM)のある猫もまた生存期間が短かった(p=0.04)。

結論と臨床的意義
:悪液質と生存期間の短縮との関係は、うっ血性心不全のある猫におけるこの一般的な問題について、特定して対処することの重要性を強調している。
 

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