ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

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カテゴリ: 血液凝固

Edwards, Thomas H., et al.
"Hemostatic capacity of canine chilled whole blood over time."
 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2021).

PubMedリンク PMID:
33709546
本文:無料公開なし

タイトル:犬の冷却した全血の経時的な止血能力

==アブストラクト===
目的:臨床的に適切な保管条件で維持された犬の冷却全血の止血の可能性を調べること。

デザイン:in vitro実験研究。

施設: 行政の血液・血液凝固調査研究所と行政の紹介獣医病院。

介入:10頭の使役犬から無菌的にそれぞれ1単位の新鮮全血を採取した。血液は医療規格の冷蔵庫で4℃で28日間保存され、冷蔵前(day0)と冷蔵後(day2,4,7,9,11,14,21,28)に分析を行った。

方法と主な結果
:10単位の犬の血液を、全血血小板凝集、トロンボエラストグラフィー、CBC、生化学分析、血液ガス、およびPT/APTT/フィブリノゲン活性について分析した。冷蔵血液の血餅強度は21日目まで維持されていたが、ADP、コラーゲン、またはγ-トロンビンに対する血小板凝集は減少し、PTとAPTTは重度に延長し、血餅形成速度(K時間、α角)は低下した。フィブリノゲン濃度、WBC、RBC、血小板数は時間と共に変化しなかった。

結論
:冷却した犬の全血は、冷蔵保存21日目までに血餅の強度を少ない割合失う。この止血能が、外科介入を必要とする、または外傷イベントに暴露されて出血している犬において臨床的に関連があるかどうかを判断するには、さらなる研究が必要である。

Wennogle, Sara A., Christine S. Olver, and Sarah B. Shropshire.
"Coagulation status, fibrinolysis, and platelet dynamics in dogs with chronic inflammatory enteropathy."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).

PubMedリンク PMID:33665845
本文:無料公開あり(全文

タイトル:慢性炎症性腸疾患の犬における凝固状態、線溶、および血小板動態

==アブストラクト===
背景:慢性炎症性腸疾患の犬における凝固状態はよくわかっていない。慢性炎症性腸疾患の犬における線溶活性と血小板動態はこれまで評価されていない。

目的:アルブミン濃度が正常な慢性炎症性腸疾患の犬と、蛋白漏出性腸症(PLE)がある慢性炎症性腸疾患の犬の凝固と線溶を、健康な対照群と比較して評価すること。トロンボエラストグラフィーの項目をグループ間の差と、臨床病理データとの相関として評価すること。慢性炎症性腸疾患の犬における血小板動態を報告すること。

動物:慢性炎症性腸疾患のある家庭飼育犬25頭(PLEなし 16、PLEあり 9);健康な対照群のビーグル14頭。

方法:すべての犬で組織因子+組織プラスミノーゲン活性化因子トロンボエラストグラフィーを行った。慢性炎症性腸疾患のある犬25頭中9頭で全血インピーダンス血小板凝集測定を行った。トロンボエラストグラフィーの項目と凝固データを、すべての慢性炎症性腸疾患vs健康対照、PLEのない慢性炎症性腸疾患vs健康対象、PLEのある慢性炎症性腸疾患vs健康対象、で比較をした。臨床病理学的データと凝固データは慢性炎症性腸疾患の犬で利用可能であり、トロンボエラストグラフィーの項目との相関を評価した。

結果
:慢性炎症性腸疾患の犬は健康な犬に比べて、最大振幅が高く(p<0.001)、血餅溶解時間が長く(p<0.001)、30分後の溶解率が低く(p<0.001)、60分後の溶解率が低く(p<0.001)、凝固亢進と線溶抑制が示唆された。分割すると、PLEのない慢性炎症性腸疾患の犬とPLEのある慢性炎症性腸疾患の犬では健康な犬に比べて、最大振幅が高く、血餅溶解時間が長く、30分後および60分後の溶解率が低かった。血清アルブミンおよび25[OH]D濃度と、血漿アンチトロンビンおよびフィブリノゲン濃度は、最大振幅と中程度に相関した。

結論と臨床的意義
:アルブミンが正常および低アルブミン血漿の慢性炎症性腸疾患の犬は健康な犬に比べて、トロンボエラストグラフィーをもとにすると凝固亢進状態にあると考えられた。線溶抑制の表現系を示す慢性炎症性腸疾患の犬もいた。

Dixon, Amy, et al.
"Hypercoagulability in dogs with chronic enteropathy and association with serum albumin concentration." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).


PubMedリンク PMID:33527508
本文:無料公開あり(全文

タイトル:慢性腸症の犬における血液凝固亢進と血清アルブミン濃度との関連

==アブストラクト===
背景:蛋白漏出性腸症(PLE)のある犬は血液凝固亢進状態になるリスクがあるが、正常な血清アルブミン濃度の慢性腸症の犬における凝固亢進の有病率は不明である。

仮説:慢性腸症の犬は、血清アルブミン濃度に関わらず、トロンボエラストグラフィー(TEG)で評価した場合に凝固亢進状態の素因がある。

方法
:2107-2019年の間に、慢性の消化器があり徴候炎症性の慢性腸症が疑われる犬を組み入れた。38頭が評価された。それぞれの犬で、CBC、生化学パネル、腹部画像検査を行った。犬炎症性腸疾患活動性指数(CIBDAI)を算出した。トロンボエラストグラフィーを来院時に行い、反応時間(R)、運動時間(K)、α角度、最大振幅(MA)、全血餅強度(G)を記録した。G値が基準値よりも≧25%増加していたら凝固亢進とみなした。

結果
:慢性腸症の犬の38頭中17頭(44.7%;95%信頼区間 28.6-61.7)が血液凝固亢進であった。G値に正常な血清アルブミン濃度(≧28g/dl)の犬19頭(9.05kdyn/cm2;7.26-10.84)と、低アルブミン血症の犬19頭(11.3kdyn/cm2;9.04-13.6)の間で、差はなかった(p=0.11)。G値は、ヘマトクリット値、血清アルブミン濃度、および臨床徴候の期間と負の相関をもち、年齢と正の相関をもった。

結論と臨床的意義
:慢性腸症で正常な血清アルブミン濃度の犬も、トロンボエラストグラフィーで測定すると凝固亢進している可能性がある。

Williams, Trevor PE, et al.
"Aortic thrombosis in dogs." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care 27.1 (2017): 9-22.


PubMedリンク PMID:27779821
本文:無料公開なし

タイトル
犬の大動脈血栓症

==アブストラクト==
目的:犬の大動脈血栓症の病因、病態生理、および治療についての情報をレビューすること。

病因:凝固亢進状態をもたらす疾患は、大動脈遠位に血栓形成を起こす可能性があり、犬の大動脈血栓症の原因の大部分を占めるが、かなりの数の症例には特定可能な根底的な原因がない。大動脈血栓塞栓症も発生するが、報告される頻度はかなり少ないようだ。

診断:犬の大動脈血栓症および大動脈血栓塞栓症の徴候は、猫に比べてより多様である。非特異的な臨床徴候のために診断は困難になり得る。確定診断には、血栓の可視化が含まれ、それはしばしば超音波検査によって得られるが、CTなどにの他の画像診断装置が用いられることもある。

治療:犬の大動脈血栓症または大動脈血栓塞栓症の最適な治療は、まだ文書化されていない。常に可能なわけではないが、血栓を促進する併発疾患の治療は、血栓の解消のために重要な側面をもつ。最近の回顧的研究では、長期のワルファリン療法による良い結果を報告しているが、ほかの研究では同様な結果を報告していない。未分画または低分子ヘパリンは、追加の抗凝固薬であり、利用されてきた。血小板阻害治療は、抗凝固治療と組み合わせて考慮すべきである。

予後
:大動脈血栓症または大動脈血栓塞栓症の犬の生存率は、50%から60%の間と報告されている。慢性の臨床徴候のある犬では、急性発症した犬または重度に罹患した犬よりも、予後がよかった。

Iannucci, Claudia, et al.
"A prospective randomized open‐label trial on the comparative effects of 6% hydroxyethyl starch 130/0.4 versus polyionic isotonic crystalloids on coagulation parameters in dogs with spontaneous hemoperitoneum." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2020).

PubMedリンク PMID:33108052
本文:無料公開なし

タイトル:自然発生腹腔内出血の犬の凝固パラメータに対する6%ヒドロキシエチルスターチ130/0.4と多イオン等張晶質液

==アブストラクト===
目的
6%ヒドロキシエチルスターチ130/0.4(HES)と多イオン等張晶質液(以下、晶質液)が、自然発生性の腹腔内出血のある犬における標準的な凝固検査とローテーショナルトロンボエラストメトリー(ROTEM)に与える影響を評価すること。

デザイン:前向きランダム化非盲検臨床試験。

施設:大学の教育病院。

動物:自然発生性腹腔内出血のある家庭飼育犬42頭。

介入
自然発生性腹腔内出血および血液量減少性ショックと診断された犬を以下のいずれかにランダムに割り付けた;HES(10ml/kg, n=22)または晶質液(30ml/kg, n=20)の血行動態の安定化のために20分かけて静脈内投与。

方法と主な結果:治療前(T0)と治療後(T1)に以下のパラメータを測定した;HCT、血小板数、プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、フィブリノゲン濃度、およびROTEM活性の外因性活性化(EXTEM)/内因性活性化(INTEM)/血小板阻害外因性活性化。データは絶対値およびT0からT1への変化割合として解析された。T0ではいずれの項目も各グループ間で有意な差は無く、T1でもHCT、血小板数、PT、APTT、フィブリノゲン濃度にも差はなかった。T1において晶質液グループに比べて、HESグループではEXTEMにおける血餅形成時間が有意に延長し(p=0.037)、最大血餅硬度が有意に減少した(p=0.0038)。EXTEM凝固時間(p=0.012)とINTEM血餅形成時間(p=0.031)は、晶質液よりもHESの方が大きかった。融解指数は両グループともにすべてのROTEM活性で100%のままであった。

結論
:自然発生性腹腔内出血の犬において、3倍量の晶質液と比較してHESの投与はROTEMパラメータの障害と関連していたが、線溶系の亢進の所見は検出されなかった。

Lynch, Alex M., et al.
"The influence of feeding and gastroprotectant medications on the Factor Xa inhibitory activity of orally administered rivaroxaban in normal dogs."
 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2020).


PubMedリンク PMID:33107158
本文:無料公開なし

タイトル:正常な犬においてリバロキサバンの経口投与による第Xa因子阻害活性に対する摂食と胃保護薬の影響

==アブストラクト===
目的:リバロキサバンは犬における新たな抗凝固薬の選択肢であるが、報告されている経口投与の生体利用率は60%と低い。この研究の目的は、健康な犬において食事と胃保護薬がリバロキサバンの生物活性(抗Xa因子活性)に与える影響を調べることである。

デザイン:前向き実験研究。

施設:大学の研究所。

動物:目的飼育の健康な中性化雄のビーグル5頭。

介入
:犬にリバロキサバン1.8mg/kg(範囲 1.6-1.8)を1日1回、2日間連続で投与し、(1)食事なし、(2)食事あり、(3)リバロキサバン投与30分前にスクラルファート、(4)リバロキサバン投与と同時にオメプラゾール、を一緒に行った。事前に設置した頚静脈カテーテルから、リバロキサバン投与直前と投与後の6時点(2,4,8,24,36,48時間後)で採血を行った。リバロキサバンで較正した抗Xa活性アッセイを用いて抗凝固効果をモニターした。

方法と主な結果
:リバロキサバンの投与は抗Xa活性アッセイを有意に増加させ(p=0.02)、各試験群で投与後2-4時間で活性のピークがみられた。他のすべての治療群と比較して、食事なしでは36時間後の抗Xa活性アッセイの有意な増加と関連し、スクラルファート投与群と比べて48時間後の抗Xa活性アッセイは食事によって高くなった。食事や胃保護薬の投与に関して、抗Xa活性アッセイの有意な変化は他ではみられなかった。

結論と臨床的意義
:食事なしの投与では、投与後36時間後の抗Xa活性アッセイで明らかな高値を示したが、治療群間の臨床的に関連する差は、どの時点の組み合わせの解析でも同定されなかった。結果に基づくと、リバロキサバンで治療される犬では、食事習慣や胃保護薬の投与に関して特別に変更する必要はない。

Thomason, John, et al.
"Effects of clopidogrel and prednisone on platelet function in healthy dogs." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).


PubMedリンク PMID:32246893
本文:無料公開あり(全文

タイトル:健康な犬においてクロピドグレルとプレドニゾロンが血小板機能に与える影響

==アブストラクト===
背景:グルココルチコイドは凝固亢進状態を引き起こすが、クロピドグレルの抗血小板作用を打ち消すかどうかは不明である。

仮説/目的:クロピドグレルとプレドニゾロンが血小板機能に与える影響を調べる。

動物:健康な犬24頭。

方法
:二重盲検プラセボ対照ランダム化試験。プラセボ、クロピドグレル(2-3mg/kg/day)、プレドニゾロン(2mg/kg/day)、またはクロピドグレルとプレドニゾロン、経口投与を28日間行なった犬に対して、血小板機能分析器とインピーダンス凝集測定を用いて0日目、14日目、28日目に血小板機能を評価した。結果は、非反応者vs反応者(血小板機能分析器)、および十分な反応、理想的な反応、過剰な反応(凝集測定)に分類された。混合モデル、分散分析の分割プロット反復測定分析、および一般化推定方程式の比例オッズモデルを用いて結果を比較した。p<0.05を有意とみなした。

結果
:閉鎖時間(Closure time)は治療ごと(F[3、20]=10.5;p<0.001)、時間ごと(F[2、40]=14.3;p<0.001)、および時間ごとの治療(F[6、400]=3.4;p<0.01)によって異なった。曲線下面積(AUC)は、治療ごと(F[3、20]=19.6;p<0.001)、時間ごと(F[2、40]=35.4;p<0.001)、および時間ごとの治療(F[6、400]=13.5;p<0.01)によって異なった。閉鎖時間をもとにすると、クロピドグレルとプレドニゾロン/クロピドグレルの各グループの5/6頭が反応者だった。AUCをもとにすると、プレドニゾロン/クロピドグレルグループの全て犬(14日目と28日目)が過剰治療されており、クロピドグレルグループの犬は5/6頭(14日目)、2/6頭(28日目)で過剰治療されていた。クロピドグレルと比べて、プレドニゾロン/クロピドグレルを投与された犬は、過剰反応となる可能性が11倍高かった(p=0.03)。

結論と臨床的意義
:プレドニゾロン/クロピドグレルの投与は、健康な犬で血小板機能不全を増加させる。

Palmer, K. G., L. G. King, and TJ Winkle Van.
"Clinical manifestations and associated disease syndromes in dogs with cranial vena cava thrombosis: 17 cases (1989-1996)." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 213.2 (1998): 220-224.

PubMedリンク PMID:9676591
本文:無料公開なし

タイトル:前大静脈血栓症のある犬における臨床徴候と関連疾患;17症例(1989-1996)

==アブストラクト=== 
目的:犬の前大静脈血栓症について、シグナルメント、臨床徴候、潜在的な誘発要因、治療および転帰についての特徴を調べること。

デザイン:回顧的研究。

動物:前大静脈血栓症のある犬17頭。

方法:医療記録と剖検記録を再調査し、シグナルメント、血栓形成の潜在的な要因、診断、臨床病理学的所見、治療、および転帰について調べた。

結果:シグナルメントの素因については見出されなかった。10頭は前大静脈症候群を示しており、10頭で胸水がみられた。10頭は呼吸困難であり、5頭は頚静脈の血栓が触知可能であった。素因となる病態として、免疫介在性溶血性貧血の疑いとコルチコステロイドの投与(6頭)、敗血症(6頭)、蛋白漏出性腎症(2頭)、腫瘍(2頭)、および心疾患(1頭)が同定された。中心静脈カテーテルは原因として関連していると考えられた。血小板減少症は最も多く一致した臨床病理所見であり、超音波検査は診断の確定に役立った。 治療は様々だったが、17頭中15頭が血栓の臨床徴候から20日以内に死亡もしくは安楽死となった。 剖検では、血栓はほかの組織にもみつかり、主に右心房、頚静脈、肺動脈でみられた。

 臨床的重要性
:臨床徴候のある前大静脈血栓症の犬の予後は不良である。中心静脈カテーテルは、免疫介在性疾患、敗血症、蛋白漏出性腎症、腫瘍、心疾患などの素因となる疾患のある犬では避けるべきである。
 

Guillaumin, Julien, et al.
"Thrombolysis with tissue plasminogen activator (TPA) in feline acute aortic thromboembolism: a retrospective study of 16 cases."
 
Journal of feline medicine and surgery 21.4 (2019): 340-346.

PubMedリンク PMID:29807505
本文:googlescholarからresearchgateで入手可能(全文

タイトル:猫の急性大動脈血栓塞栓症における組織プラスミノゲン活性化因子(TPA)による血栓溶解;16症例の回顧的研究

==アブストラクト===
目的
:血栓溶解療法はヒトの急性虚血性イベントに対する最適な治療であるが、猫の大動脈血栓塞栓症に対して投与されることはまれだ。 この研究では、組織プラスミノゲン活性化因子(TPA)で治療した急性猫大動脈血栓塞栓症の臨床情報と転帰について選出して報告する。現在の標準的なケアで治療された参照群を比較として分析した。

方法:これは2つの学術病院における猫大動脈血栓塞栓症の回顧的研究である。2肢以上罹患したTPA治療猫(n=16)と、2肢以上罹患した標準ケア治療群(n=38)を比較した。運動能と脈質い基づいた肢のスコアを各群で算出した。

結果
:来院時の肢スコアと鬱血性心不全は、両群で類似していた。猫大動脈血栓塞栓症から来院までの時間は、TPA群で短く、中央値は3時間(範囲 0-6時間)であり、標準ケア群では6時間(範囲 0-48時間)であった(p=0.0004)。TPAの最も一般的な投与計画は1時間かけて1mg/kgであった。その他の治療は標準ケア群のものと類似しており、鎮痛、血栓予防、およびフロセミドが含まれた。TPA治療群で記された合併症には、再灌流傷害(5/10)と急性腎傷害(AKI 3/10)が含まれた。退院割合は、TPA群44%と標準ケア群29%であった(p=0.351)。TPA群と標準ケア群んも間で、短期生存率(56.2% vs 39.5%、p=0.369)、臨床的改善(56.2% vs 31%、p=0.122)、再灌流傷害の割合(50% vs 50%、p=1.00)、またはAKI(30% vs 27%、p=1.00)において差はなかった。

結論と臨床的意義:急性猫大動脈血栓塞栓症に対してTPAで治療した猫と標準ケアで治療した猫で、生存および合併症の割合は同等だった。
 

Evans, Liam A., et al.
"A prospective evaluation of rivaroxaban on haemostatic parameters in apparently healthy dogs." 
Veterinary medicine and science (2019).

PubMedリンク PMID:30848104
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:明らかに健康な犬における止血パラメータに対するリバーロキサバンの前向き評価 

==アブストラクト===
この研究の目的は、明らかに健康な犬に対してリバーロキサバン を1mg/kg、1日1回、1週間、経口投与したときの、 リバーロキサバン が止血パラメータ(プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)、カオリン活性化トロンボエラストグラフィー(TEG)により評価)に及ぼす影響を調べることである。

11頭の犬が、ベースラインとしてCBC 、フィブリノゲン、血小板数、血清化学分析、PT、aPTT、およびTEGについて調べた。それぞれの犬はリバーロキサバン約1.0mg/kgを経口で1日1回、1週間投与され、
CBC 、フィブリノゲン、血小板数、血清化学分析、PT、aPTT、およびTEGを再評価した。1頭の犬は治療前の血液検査で巨大血小板減少症がみられたため、除外された。登録された残りの10頭が研究を完了した。1日あたりのリバーロキサバンの投与量の中央値は1.02mg/kg(範囲 0.94-1.17)であり、心拍数、PCV、全固形分、血小板数、フィブリノゲンを有意に増加させ、MCHとMCHCを有意に減少させた。PT、aPTT、TEGの各パラメータに有意な変化はなかった。1頭で4日目に嘔吐があったが、そのほかは臨床的または血液検査の再検査でも副作用はみられず、リバーロキサバン はよく許容されているようだった。

この研究の結果は、リバーロキサバン 1mg/kg1日1回の投与は、安全でありよく許容されるが、PT、aPTT、またはTEGのパラメータを有意に延長させるようか結果にはならないことを示唆している。
 

Zoia, Andrea, et al.
"Hemostatic findings of pleural fluid in dogs and the association between pleural effusions and primary hyperfibrino (geno) lysis: A cohort study of 99 dogs."
 
PloS one13.2 (2018): e0192371.

PubMedリンク PMID:29462172
本文:無料公開あり(全文) 

タイトル:犬における胸水の止血所見と、胸水と原発性フィブリン(フィブリノゲン)溶解亢進との関連;99頭のコホート研究

==アブストラクト===
この研究の第一の目的は、犬の胸水において凝固および線維素溶解の亢進が起こっているかどうかを調べることである。様々な原因の胸水のある犬33頭について調査した。血漿中の濃度と比べて、胸水のフィブリノゲン濃度は有意に低く、一方胸水のフィブリンーフィブリノゲン分解産物(FDPs)とDダイマー濃度は有意に高かった(すべての比較でp<0.001)。これらの結果は、犬の胸水において凝固活性と
線維素溶解の根拠があることを示している。
この研究の2番目の目的は、原発性の高線維素溶解(すなわち血漿FDPs濃度上昇、Dダイマー濃度正常) が胸水のある犬で起こっているかどうか、およに併発する炎症性過程の存在が、止血カスケードを活性化させ、それが本質的に二次的な高線維素溶解と関連し、並存する原発性高線維素溶解をマスクしてしまっているかどうかを調べることでである。以前に選出した33頭の胸水のある犬(グループ1)を、2つの対照グループ、33頭の健康な犬(グループ2)と33頭の胸水のない病気の犬(グループ3)、と比較した。血清フィブリノゲン、FDPs、Dダイマー、C反応性蛋白(CRP)、フィブリノゲン/CRP比、および原発性高線維素溶解の頻度、について調べた。グループ2と比較して、グループ1のフィブリノゲン、FDPs、Dダイマー、CRPの濃度は有意に上昇していた(すべての比較でp<0.001)。グループ3と比較して、グループ1のFDPsとCRPの濃度は有意に上昇していた(それぞれp=0.001、p<0.001)。グループ2および3と比較して、グループ1のフィブリノゲン/CRP比は有意に減少していた(それぞれp<0.001)。原発性高線維素溶解の頻度は、グループ2と比較してグループ1では有意に高かったが、グループ3との比較ではそうではなかった。これらの結果は、健康な犬と比較して、胸水のある犬では原発性高線維素溶解が有意に高い頻度で起こっているという仮説を支持するものである。グループ3に比較してグループ1ではフィブリノゲン/CRP比が減少しているにもかかわらず、高いFDPsと類似したDダイマー濃度を考慮すれば、病気の対象犬と比較しても同様に高い頻度で原発性高線維素溶解が起こっていおり、この現象は併発する二次性の高線維素妖怪によって隠されていることを示唆している。
 

Morassi, Alice, et al.
"Evaluation of the safety and tolerability of rivaroxaban in dogs with presumed primary immune‐mediated hemolytic anemia." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care 26.4 (2016): 488-494.

PubMedリンク PMID:27074368
本文:googlescholarからresearchgateで入手可能(全文) 

タイトル:原発性の免疫介在性溶血性貧血が疑われる犬におけるリバーロキサバンの安全性と容認性の評価

==アブストラクト===
目的:原発性免疫介在性溶血性貧血(pIMHA)が疑われる犬において、経口直接型第Ⅹa因子阻害薬であるリバーロキサバンの安全性と容認性を評価すること。

デザイン
:前向き、多施設、陽性対照、非盲検、臨床試験。2012年10月から2014年3月の間に家庭犬が登録された。

施設
:民間の紹介動物病院。 

動物
:pIMHAのある家庭犬24頭が、ランダムに2つの治療グループ(経口のリバーロキサバン投与、またはクロピドグレルと低用量アスピリンの投与)に分けられた。すべての犬はこの研究に登録されてから90日間モニターされた。

介入
:登録された犬には標準的な免疫抑制プロトコールと、リバーロキサバン、またはクロピドグレルと低用量アスピリンが行われた。

方法と主な結果
:出血の証拠、プロトロンビン時間もしくは活性化トロンボプラスチン時間の重篤な延長、またはクロピドグレル・低用量アスピリンの犬と比較したときにリバーロキサバンの犬に関連した輸血の必要性の増加、 といった薬物の副作用として特定されるものはなかった。血栓の発生、退院まで、1ヶ月後、および3ヶ月での生存率の面で、治療グループ間で有意な差はなかった。

結論
:この研究で、リバーロキサバン(投与量中央値 0.89mg/kg 経口投与 1日1回)は、PIMHAが疑われ、経口投与を許容し、標準的な免疫抑制治療プロトコールをうけた犬の小さな集団においては、安全でよく許容された。クロピドグレルと低用量アスピリンと比較して、リバーロキサバンの相対的な有用性に関しては、治療グループのサイズが小さく、薬物動態の影響を評価していないため、結論を出すことができない。
 

Conversy, B., et al.
"Anticoagulant activity of oral rivaroxaban in healthy dogs." 
The Veterinary Journal 223 (2017): 5-11.

PubMedリンク PMID:28671072
本文:無料公開なし

タイトル
:健康な犬における経口リバーロキサバンの抗凝固活性

==アブストラクト===
リバーロキサバンは経口の直接的な第Ⅹa因子阻害薬であり、ヒトの血栓性疾患で使用されている。
犬のリバーロキサバンのin vitroにおける濃度依存性の抗凝固作用の観点から、健康な犬における抗凝固作用の時間経過は特徴付けられている。24頭のビーグル犬をランダムに3つのグループ(各グループ8頭)に分け、プラセボまたは20mgのリバーロキサバンを1回もしくは8時間間隔で2回、それぞれに投与した。30時間の間に15の血液サンプルを採取し、プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンビン時間(aPTT)、トロンビン産生を誘導する組織因子、および抗第Ⅹa因子活性、について盲目検定を行った。トロンボエラストグラフィーは0、1、4、8、24時間で評価した。ピーク/ベースライン 抗凝固効果比は、β分布を用いた一般化線形モデルで解析し、ベースラインまで戻る時間は生存解析(α=0.05)により評価した。PT、aPTT、 抗第Ⅹa因子活性、トロンビン産生を誘導する組織因子、トロンボエラストグラフィーのピーク/ベースライン抗凝固作用の比は、プラセボとリバーロキサバンの両グループとの間で有意な差があった(P<0.0001)。リバーロキサバンの抗凝固作用のピークは、投与後1.5-2.0時間でみられた。ベースラインに戻るまでの時間の中央値は、20mgのリバーロキサバンの単回投与(7.9-18.7時間)のほうが、2回投与(17.5-26.8時間)よりも有意に早かった(p<0.01)。個体間での変動はアッセイ間で差があったが、全体では中程度から大きかった。副作用はみられなかった。リバーロキサバン2mg/kg 8時間間隔での2回の経口投与は、24時間の抗凝固活性を維持したが、犬におけるリバーロキサバンの使用に関するガイドラインを確立させるための大規模な研究が必要である。
 

Yang, Vicky K., et al.
"The use of rivaroxaban for the treatment of thrombotic complications in four dogs." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care 26.5 (2016): 729-736.

PubMedリンク PMID:26990131
本文:無料公開なし

タイトル
:4頭の犬における血栓合併症の治療におけるリバーロキサバンの使用

==アブストラクト===
目的
:血管の血栓症のある犬4頭(2頭は肺血栓塞栓症、2頭は全身性の血栓症)の治療におけるリバーロキサバンの臨床的な使用について記述すること。

症例シリーズの概要
:この研究では、ヒトの患者で動脈または静脈の血栓を予防もしくは治療のために新たに承認された直接的なⅩa因子抗凝固剤の使用について記述している。血栓塞栓症のある犬に対する臨床現場でのこの薬剤の使用は、これまで報告されていない。2頭は肺血栓塞栓症をリバーロキサバンで治療した。両方の患者で血栓の大きさは減少したが、1頭は急性の呼吸障害と起こし安楽死され、もう1頭はこの執筆時点で良好に継続されていた。ほかの2頭は全身性の血栓症に対して治療された。血栓の大きさの減少は顕著だった。1頭はその後、原因不明の血便を起こし、もう1頭はこの執筆時点で良好に継続されていた。 

新しい、または独自の情報提供
:これは、犬の肺血栓症および全身性血栓症の両方の治療にたいして臨床現場で新規経口直接Ⅹa因子抗凝固薬を使用した最初の公表された報告だ。この症例シリーズでは、この薬剤の使用における限られた経験と、適切な投与量を決定するための私たちの戦略、および私たちのモニタリング計画についてを共有する。
 

Dixon‐Jimenez, Amy C., et al.
"Pharmacokinetic and pharmacodynamic evaluation of oral rivaroxaban in healthy adult cats." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care 26.5 (2016): 619-629.

PubMedリンク PMID:27599304
本文: 無料公開なし

タイトル:健康な成猫における経口リバーロキサバンの薬物動態および薬力学的評価

==アブストラクト===
目的
:健康な猫におけるリバーロキサバンの薬物動態と薬力学を調べ、ヒトで確立された標的治療範囲内でのリバーロキサバンの様々な血漿中濃度の臨床病理学的効果を評価すること。

デザイン
:2013年7月から2014年11月の間に行われた前向きランダム化クロスオーバー試験。

施設
:獣医大学教育病院。

動物
:6頭の健康な大人の短毛家庭猫(雄3、雌3)

介入
:経口のリバーロキサバンを以下の用量で猫に投与した;固定投与量(1.25mg、2.5mg、5mg PO)で単回投与、12時間毎3日間(1.25mg)投与、24時間毎7日間(2.5mg)投与、24時間毎28日間(1.25mg)投与。血液検体を採取し、CBC、血液化学、および、希釈トロンビン時間、活性化部分トロンビン時間(aPTT)、活性化第Ⅹ因子阻害(抗Ⅹa活性)、高圧液体クロマトグラフィータンデム質量分析測定の薬物濃度の決定、によるリバーロキサバンの抗凝固活性について調べた。

方法と主な結果
:投与をうけた猫では、出血徴候や臨床病理学的な的外れの有害事象はみtられなかった。用量依存性凝固時間の延長と抗Ⅹa活性の増加がみられ、投与後3時間が効果のピークであった。血漿リバーロキサバン濃度と希釈プロトロンビン時間および抗Ⅹa活性、の間には直接の相関がみられた。凝固パラメーターは、最後の投与から24時間で基準値にもどった。

結論
:経口リバーロキサバンは健康な猫によく許容され、予測可能な薬物動態および抗凝固効果を有した。猫の心疾患におけるリバーロキサバンの臨床研究が望まれる。

Ellis, J., et al.
"Prevalence and disease associations in feline thrombocytopenia: a retrospective study of 194 cases."
 
Journal of Small Animal Practice (2018).

PubMedリンク PMID:29355998
本文:無料公開なし

タイトル:猫の血小板減少症の有病率と関連疾患;194症例の回顧的研究

==アブストラクト===
目的:イギリスの紹介集団の猫における血小板減少症の有病率を評価し、血小板減少症に関連する疾患過程を特定し、猫白血病ウイルス(FeLV)または猫免疫不全ウイルス(FIV)の検査陽性の血小板減少症の猫の割合を評価すること。

材料と方法:イギリスの紹介病院の医療記録の回顧的な解析。猫は血小板減少症の機序と疾患過程(既知の場合)によって分類された。

結果:血小板減少症の有病率は5.9%であった。最も多い血小板減少症に関連した疾患過程は血液学的または感染性の疾患、および腫瘍であった;血小板減少症の猫の11%はFeLVの検査陽性であり、それは過去の報告よりも低かった。不明出血を呈する猫は、その他の血小板減少症の猫よりも優位に血小板数が低かった。原発性の免疫介在性血小板減少症は、この研究においては、犬のん場合よりも一般的に診断されることがなく、最も重篤な血小板減少と関連していなかった。

臨床的意義
:猫における血小板減少症は過去の報告よりも一般的であり、重篤な血小板減少症は自然発生的な出血と関連している可能性がある。猫における重篤な血小板減少症は、 犬の場合よりも免疫介在性であることは少ないようである。血小板減少症はレトロウイルスの感染と関連していないようである。
 

Thomason, John M., et al.
"Effects of immunosuppressive agents on the hemostatic system in normal dogs." 
Journal of veterinary internal medicine (2018).

PubMedリンク PMID:29749651
本文:無料公開あり(全文) 

タイトル
:正常な犬において免疫抑制剤が止血系におよぼす影響

==アブストラクト===
背景
:犬において、免疫抑制剤が止血系におよぼす影響は知られていない。

仮説/目的
:目的は、免疫抑制剤が一次止血および二次止血に与える影響を調べることである。われわれは、シクロスポリンとプレドニゾロンは凝固亢進とトロンボキサン合成のマーカーを上昇させるが、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、レフルノミドは止血への影響が最小限である、という仮説をたてた。

動物
:8頭の健康な犬。

方法
:ランダム化クロスオーバー試験により、プレドニゾロン、アザチオプリン、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、およびレフルノミドをそれぞれ標準量で1週間経口投与している期間中の止血能を評価するために、凝集能測定、PFA-100血小板機能分析器、血小板数、プロトロンビン時間および活性化トロンボプラスチン時間を使用した。 尿クレアチニンに対する比として、尿11-デヒドロ-トロンボキサン-B2(11-dTXB2)と6-ケト-プロスタグランジン-F1α(6-keto-PGF1α)濃度を測定した。

結果
:凝集能測定の振幅は、レフルノミド治療(ADP活性化)の間で51±21から27±14(p=0.002)へ減少したが、、血小板がコラーゲンで活性化された場合に ほかのいずれの薬剤の振幅における差はなかった。すべての薬剤で、粘弾性測定指数(ACT, p=0.666、血餅率, p=0.340、血小板機能, p=0.411)と血小板数(p=0.552)に有意な差はなかった。治療前の値と比較すると、尿11-dTXB2/クレアチニン比は、投薬期間後に上昇した(3.7±0.6から5.6±1.1へ p=0.001)。シクロスポリンは、6-keto-PGF1α/クレアチニン比の上昇と関連した(10.3±4.6から22.1±5.3へ p<0.001)。

結論と臨床的重要性
:ほとんどの免疫抑制剤は、健康な犬において血小板機能もしくは凝固能を増強せず、それによりこれらの薬剤が凝固亢進の犬を血栓塞栓症になりやすくはしない可能性が示唆された。 われわれの研究結果は、凝固亢進の犬の臨床的な転帰と相関させる必要がある。

Makielski, Kelly M., et al.
"Development and implementation of a novel immune thrombocytopenia bleeding score for dogs." 
Journal of veterinary internal medicine 32.3 (2018): 1041-1050.

PubMedリンク PMID:29681130
本文:無料公開あり(全文

タイトル: 犬の新たな免疫血小板減少症の出血スコアの開発と導入

==アブストラクト===
背景:免疫血小板減少症(ITP)のある犬における臨床的な出血を定量化する方法が必要とされるのは、ITPの患者が様々な出血傾向を示し、それは血小板数との相関に一貫性がないからである。スコアリングシステムは、患者の比較を容易にし、臨床試験における出血の重症度に基づく階層化を可能とする。 

仮説/目的
:犬の出血評価ツールと、その持続的な実施を改善するためのトレーニングコースを開発して評価すること。

動物
:血小板数が<50,000/μlの家庭飼育犬61頭;34頭が原発性のITP、17頭が二次性のITP、10頭がITPではない。

方法
9つの解剖学的部位における出血のグレード0(無し)から2(重度)によって構成される新しい出血評価ツールであるDOGiBATを開発した。血小板減少症の患者のスコアリングを行う前に、臨床医および看護師はトレーニングコースと小テストを完了した。トレーニングコースは、事前のトレーニングの有無にかかわらず、無作為のボランティアの学生に小テストに答えてもらうことで評価した。ロジステジック回帰モデルにより、トレーニングと小テストの性能の間の関連を評価した。血小板減少症の犬におけるDOGiBATのスコアと血小板数および測定結果との相関を評価した。

結果:臨床医と看護師は常にDOGiBATを適用し、すべての小テストの症例について正確にスコアリングした。訓練をうけた学生の回答の正確性のオッズは、訓練されていない学生のものよりも高かった(p<0.001)。臨床症例では、DOGiBATスコアと血小板数は逆相関し(rs=-0.512, p<0.001)、DOGiBATは輸血の必要性(rs=0.512, p<0.001)および入院期間(rs= 0.35, p=0.006)と直接相関した。

結論と臨床的重要性
:DOGiBATおよび評価小テストは、出血の重症度を評価するために標準化されたシンプルなツールである。さらなる検証により、DOGiBATは、ITPの重症度を特徴付け、治療試験の反応をモニターするための臨床的に適切な測定基準を提供する可能性がある。


==本文から===
DOGiBAT:daily canine bleeding assesssment tool(日常の犬出血評価ツール)

スコア方法の詳細(Table1を引用、一部改変)
 DOGiBAT.001

Kelmer E, et al. 
"Effect of intravenous administration of tranexamic acid on hematological, hemostatic, and thoromboelastographic analytes in healthy adult dogs" 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2013).

PubMedリンク
本文:無料公開なし

==アブストラクト===
目的:健康な成犬において、トラネキサム酸(TA)の静脈投与による血液学的、止血的、 トロンボエラストグラフィー分析への影響を調べる。

デザイン:前向き研究

施設:大学の教育病院

動物:スタッフが飼育する健康な成犬11頭

測定と主な結果: 犬にトラネキサム酸をボーラス静脈投与し、続いて低速注入(CRI)を3時間行なった。トラネキサム酸投の投与前および与直後にCBC、プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、Dダイマー、アンチトロンビン(AT)、フィブリノゲン、トロンボエラストグラフィー(TEG ※注 訳者コメント)の測定を行なった。嘔吐は最初に投与した2頭の犬で、20mg/kgおよび15mg/kgのボーラス投与直後に一時的に起こったが、CRI投与中には起こらなかった。そのほかの犬ではトラネキサム酸のボーラス投与の投与量を10mg/kgに減量し、ゆっくり投与したところ、嘔吐は起こらなかった。測定された全ての血液学的、止血学的分析はいずれも参照範囲内ではあったが、
トラネキサム酸投与後にトロンボエラストグラフィーLY30は有意に増加し、PT、トロンボエラストグラフィーRおよびA30値、Hct、ヘモグロビン濃度には有意な減少が記録された。

結論:健康な犬への10mg/kg緩徐なボーラス静脈投与と10mg/kg CRI 3時間投与はいずれも安全な方法であった。しかし、トロンボエラストグラフィーのA30、A60、LY30、LY60値に対するその効果は、期待される抗フィブリン溶解特性と一致しなかった。


==訳者コメント=== 
注)トロンボエラストグラフィー
血液の凝固線溶状態をグラフ化して評価できる方法です。止血能の評価や、凝固亢進や線溶亢進の程度を評価できます。外科的な止血能評価やDICの診断・分類に利用できます。
(参考:日本止血学会HP) 

・この研究の目的はトラネキサム酸の投与によるフィブリン溶解の抑制(≒線溶系の抑制)による止血効果の評価と推測されます(詳細は本文を参照)。そういった期待さえる効果が確認できなかったということは、トラネキサム酸による止血効果が確認できなかったということになります。
・しかし対象となった犬が健康、つまりそもそも線溶系が亢進していない状態での効果の測定であるため、線溶系が亢進した状態でのトラネキサム酸の効果の検討には不十分なデータです。
・少なくとも凝固線溶系に大きな異常をきたしていないような出血に対しては、トラネキサム酸はあまり効果を持たないのかもしれません。 
 

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