ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

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カテゴリ: 薬理

Gaier, Ann, et al.
"A prospective, randomized, masked, placebo‐controlled crossover study for the effect of 10 mg omeprazole capsules on gastric pH in healthy dogs."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).


PubMedリンク PMID:33586200
本文:無料公開あり(全文

タイトル:健康な犬におけるオメプラゾール10mgカプセルが胃内pHに与える影響についての前向きランダム化盲検プラセボ対照クロスオーバー研究

==アブストラクト===
背景:腸溶性オメプラゾールカプセルは、犬の胃酸抑制としてよく用いられている。しかし、犬の臨床的使用としてのこの製剤の有効性については検証されていない。

仮説/目的:犬の胃のpHを上昇させるためにFDAで承認をうけているオメプラゾールカプセル10mgの傾向投与の有効性を評価すること。カプセル化されたオメプラゾールはプラセボと比較して胃pHを有意に上昇させ、ヒトから推定された食道炎と十二指腸潰瘍のための目標pHに到達すると仮定した。

動物:健康な研究犬6頭。

方法:ランダム化盲検双方向クロスオーバー試験。犬にはオメプラゾール0.5-1.0mg/kgまたはプラセボ(空のゼラチンカプセル)を、1日2回、5日間経口投与した。胃内pHは治療の2日目から5日目まで記録した。平均pHと胃内pHが≧3または≧4となる時間の割合の平均を、それぞれの治療群間および治療群内で比較した。

結果
:オメプラゾールで治療された犬は、プラセボで治療された犬に比べて、pH≧3となる時間割合の平均±標準偏差(91.1%±11.0 vs 19.7±15.5)およびpH≧4(86.9%±13.7 vs 28.7±20.7)、pHの平均±標準偏差(5.4±0.8 vs 2.4±1.0)が有意に高かった(すべてp<0.001)。

結論と臨床的意義
:この研究で評価された10mg腸溶性オメプラゾールカプセルの経口投与は、健康な犬の胃酸抑制に効果的であった。

Monaghan, Kelly N., Mary Anna Labato, and Mark G. Papich.
"Ampicillin pharmacokinetics in azotemic and healthy dogs." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).


PubMedリンク PMID:33474795
本文:無料公開あり(全文)

タイトル:高窒素血症の犬と健康な犬におけるアンピシリンの薬物動態

==アブストラクト===
背景:犬のアンピシリンの薬物動態に、腎疾患のような因子が与える影響についてはほとんどわかっていない。

目的:健康な犬と高窒素血症のある犬で単回の静脈投与後のアンピシリンの薬物動態を調べること。

動物:急性腎障害で来院した犬9頭と健康な犬10頭。

方法
:前向き研究。アンピシリン22.2mg/kg(平均投与量)を単回静脈投与した。間隔をあけて(投与前、投与後1,2,4,12,24時間)血液サンプルを採取し、高圧液体クロマトグラフィを使用して分析したあと、血漿薬物濃度の薬物動態分析を行った。

結果
:健康な犬よりも高窒素血症の犬の方が、ピークのアンピシリン濃度(μg/ml;平均(変動係数) 21.3(50.26)vs 97.07(36.1);p<0.001)、半減期(時間; 0.97(115.3)vs5.86(56.55);p<0.001)、およびAUC(h×μg/ml;731.04(83.75)vs 33.57(53.68);P<0.001)が高かった。高窒素血症の犬は、健康な犬と比べてクリアランス(ml/kg h;30.06(84.19)vs655.03(53.67);p<0.001)と分布容積(ml/kg;253.95(30.14)vs 916.93(135.24);p<0.001)が有意に低かった。

結論と臨床的意義
:高窒素血症の犬における薬物濃度の増加とクリアランスの低下は、腎機能が低下した犬において、アンピシリン投与の調整を指示する必要がある抗菌薬関連の合併症への寄与という点で、臨床的に重要になり得る。

Arenas Bermejo, Carolina, et al.
"Laboratory assessment of trilostane treatment in dogs with pituitary‐dependent hyperadrenocorticism."
 
Journal of veterinary internal medicine 34.4 (2020): 1413-1422.


PubMedリンク PMID:32533623
本文:無料公開あり(全文

タイトル:下垂体依存性副腎皮質機能亢進症の犬におけるトリロスタン療法の検査的評価

==アブストラクト===
背景:ACTH刺激試験の結果、トリロスタン治療前後の血清コルチゾール濃度、尿濃度(尿比重[USG)]、および尿コルチゾール/クレアチニン比(UCCR)が、下垂体依存性副腎皮質機能亢進症(PDH)の犬のトリロスタン治療のモニターによく使われる項目である。しかし、適切な投与量、過剰投与、過少投与を受けている犬を一貫して区別するものはない。

目的:トリロスタンで治療している下垂体依存性の犬の集団において、連続的な血清コルチゾール濃度を含めて、推奨されるモニタリング項目を評価して比較すること。

動物:PDHのある家庭飼育犬(n=22)と健康な犬(対照 n=3)。

方法:前向き、多施設間、2日研究。a日(ランダム)にACTH刺激試験を実施。b日(3−6日後)にトリロスタン投与の0.5時間前、直後、1、2、2.5、3、3.5、4、6、8、12時間後に血清コルチゾール濃度を評価した。最初の調査日に、自宅で尿を採取し、USGとUCCRを評価し、PDHに関する飼い主の見解を以下のように分類した;適切量(臨床徴候の消失)、過少投与(徴候が残存)、病的(過剰投与の可能性)。

結果:27組みの評価で、適切量が7、過少投与が19、過剰投与の可能性が1(研究から除外)と分類された。どの時点でも、適切量と過少投与の犬から得られた血清コルチゾール濃度は重複していた。USG、UCCR、およびACTH刺激試験の結果は、適切量と過少投与の犬を区別できなかった。トリロスタンは投与後1時間以内に血清コルチゾール濃度を抑制し、その作用時間は多くの犬で8時間未満であった。

結論と臨床的意義
:PDHに対してトリロスタン治療を行っている間に、適切量の犬と過少投与の犬を確実に区別する単一の項目または項目の組み合わせはない。

Palmieri, Valerie, et al.
"Survey of canine use and safety of isoxazoline parasiticides." 
Veterinary Medicine and Science(2020).

PubMedリンク PMID:32485788
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:イソキサゾリン系寄生虫駆除剤の犬の使用と安全性についての調査

==アブストラクト=== 
獣医師とペットの飼い主への調査(Jskeプロジェクト)は、イソキサゾリン系寄生虫駆除剤の犬への使用と安全性を調べた。2018年8月1日〜31日の間に、合計2751の調査回答からデータを収集した。42%(1157)がノミ治療または有害事象について回答しなかったが、58%(1594)はノミの管理のためになんらかの寄生虫駆除剤で治療しており、そして寄生虫駆除剤の投与行っているもののうち、多く(83%[1325])がイソキサゾリンを投与していた。なんらかのノミ治療が行われた場合で、回答者の66.6%が有害事象を報告しており、明らかな有害事象がみられなかったのは36.1%であった。Jakeプロジェクトの結果を、食品医薬品局(FDA)と欧州医薬品庁(EMA)による公的に利用可能な有害事象の報告についての回顧的な分析と比較した。FDAとEMAが報告した有害事象の総数は同等だったが、EMAまたは米国以外のからの報告では死亡と発作の発生率が7-10倍高かった。私たちの調査における死亡、発作、神経系へ影響する深刻な有害事象は、FDAの方向よりも高かったが、EMAの報告よりやや低かった。こららのかなり規模の大きなデータと、寄生虫駆除薬投与前と後の調査を組み合わせることで、イソキサゾリンの神経毒性がノミおよびダニに特異的なものではなかったことが示される。市販後の深刻な有害事象は、研究新薬提出時におけるものよりもはるかに高かった。説明書は最近更新されたが、犬、猫、およびその保護者は依然としてその使用による影響を受けている。これらの集計データレポートは、継続的な異種間研究と、規制当局と製造業者による製品説明書の批判的な調査の必要性を支持する。
 

Husnik, Roman, et al.
"Ultrasonographic assessment of the effect of metoclopramide, erythromycin, and exenatide on solid‐phase gastric emptying in healthy cats."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).

PubMedリンク PMID:32515089
本文:無料公開あり(全文

タイトル
健康な猫の固形相胃内容派出におけるメトクロプラミド、エリスロマイシン、エキセナチドの効果に関する超音波による評価

==アブストラクト=== 
背景:猫の消化管運動修飾薬の効果について利用できる情報は限られている。薬物の使用と投与量に関する推奨のほとんどは、臨床経験の集約的なものに基づいている。

目的:胃内容排出と胃の運動性におけるメトクロプラミド、エリスロマイシン、エキセナチドの効果を、プラセボとの比較で評価すること。メトクロプラミドとエリスロマイシンは胃運動促進効果があり、エキセナチドは胃内容排出時間を延長させ、内腔収縮の運動指数を減少させるだろうという仮説をたてた。

動物:健康な短毛家庭猫8頭。

方法:各猫には4つ分画の超音価評価を行なった。前向きランダム化二重盲検4方法クロスオーバーデザインで、最低5日のウォッシュアウト期間を設けた後に、プラセボ、メトクロプラミド、エリスロマイシン、エキセナチドの投与をうけた。超音波による胃内容排出時間と運動指数をプラセボと比較した。

結果:プラセボと比較して、胃内容排出の割合はメトクロプラミドおよびエリスロマイシンの投与後に有意に速くなった。プラセボとの比較で、エリスロマイシンの投与後には胃内容排出の全ての分画で有意な差がみられ、メトクロプラミドでは1つの分画で差がみられた。胃内容排出曲線の前半における胃内容排出率は、エキセナチド投与後に有意に遅くなった。運動指数の曲線下面積は、プラセボに比べてメトクロプラミドとエリスロマイシンの投与後に有意に大きくなった。

結論と臨床的意義
:メトクロプラミドとエリスロマイシンは胃内容排出時間を短縮させ、 内腔収縮の運動指数を増加させ、それにより健康な猫の胃運動促進効果があり、一方、エキセナチドは胃内容排出の初期遅延を引き起こす。
 

Gould, E., et al.
"A prospective, placebo‐controlled pilot evaluation of the effect of omeprazole on serum calcium, magnesium, cobalamin, gastrin concentrations, and bone in cats." 
Journal of veterinary internal medicine 30.3 (2016): 779-786.

PubMedリンク PMID:27062346
本文:無料公開あり(全文

タイトル:猫においてオメプラゾールが血清カルシウム、マグネシウム、コバラミン、ガストリンの濃度に与える影響についての前向きプラセボ対照予備評価

==アブストラクト=== 
背景:ヒトにおいて慢性のプロトンポンプ阻害薬の投与は、電解質とコバラミンの欠乏、骨の恒常性の破壊、高ガストリン血症、およびリバウンドの酸分泌過多と関連している。 これが猫でも起こるのかはわかっていない。

仮説:長期のオメプラゾールの経口投与は、健康な猫の骨のミネラル密度または含有量、血清カルシウム、マグネシウム、コバラミン、およびガストリン濃度の変化を引き起こす。

動物:健康な短毛家庭猫6頭。

方法:猫はプラセボの投与を60日間うけたのちに、オメプラゾール(0.83-1.6mg po 12時間毎)の投与を60日間うけた。 血清カルシウム、マグネシウム、コバラミン、およびガストリン濃度の解析は、0日目、30日目、60日目に行われた。骨密度と含有量は0日目と60日目に評価された。双方向ANOVA(α=0.006)を用いて連続したデータを解析した。オメプラゾール投与60日目に、連続胃内pHモニタリングを2頭で行い、オメプラゾールの突然の休薬の効果を評価した。

結果:各項目について治療間で有意な変化は検出されなかったが、血清ガストリンのみ対照に比較してオメプラゾール治療中では有意に高かった(p=0.002)。オメプラゾールの投与中止後の胃内pHモニタリングを行なった猫の両方で、胃酸過多の所見がみられた。

結論と臨床的意義
:決定的な結論を出すには、より多くの猫の集団を用いた研究が必要ではあるが、これらの予備的な研究は猫において長期のプロトンポンプ阻害薬の治療は、高ガストリン血症を引き起こし、突然のプロトンポンプ阻害薬の休薬はリバウンドの胃酸分泌過多を引き起こす可能性がある。
 

Golly, Elizabeth, et al. 
"The frequency of oral famotidine administration influences its effect on gastric pH in cats over time." 
Journal of veterinary internal medicine 33.2 (2019): 544-550.

PubMedリンク PMID:30746763
本文:無料公開あり(全文

タイトル:ファモチジンの経口投与の頻度は猫の経時的な胃のpHに影響を与える

==アブストラクト=== 
背景:ファモチジンはよく猫に投与される。ファモチジンの長期投与は、ヒト、イヌ、ウシでは効果の減弱を引き起こすが、猫の長期的効果は不明である。

目的:猫において、2つの投与頻度(グループ1;1日2回、グループ2;1日おきに1日2回)のファモチジンが、胃内のpHと血清ガストリン濃度に与える影響を比較すること。 グループ2ではなくグループ1で、胃内のpHに対する経時的な効果の減少が観察されるだろうという仮説を立てた。

動物:健康な猫16頭。

方法:ランダム化した2因子反復測定クロスオーバーデザイン。猫は0.5-1.24mg/kg(中央値 0.87mg/kg)のファモチジンを1日2回、または1日おきに1日2回の投与を14日間連続してうけた。胃内pHのモニタリングは1-3日目と11-13日目に胃内pH記録を用いて行なった。Mean pH and mean percentage time (MPT) intragastric pH was ≥3 and 4 were compared between and within treatment groups by analysis of variance.(訳が困難だったため原文ママ)

結果:平均胃内pH、胃内pH≧3および4平均パーセンテージタイムについて治療群で有意な時間相互作用が観察された(それぞれp=0.009、p=0.02、p=0.005)。相互作用の事後試験により、グループ2ではなくグループ1で、1日目と比較したときの13日目に、平均胃内pHの減少(p=0.001)、胃内pH≧3平均パーセンテージタイムの減少(p=0.001)、胃内pH≧4平均パーセンテージタイムの減少(p=0.001)が確認された。

結論と臨床的意義:1日おき1日2回のファモチジンの経口投与は、健康な猫の胃内pHへの影響を減少させる結果となる。

Fitzpatrick, Rikki L., et al.
"In vivo and in vitro assessment of mirtazapine pharmacokinetics in cats with liver disease." 
Journal of veterinary internal medicine (2018).

PubMedリンク PMID:30307637
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タイトル:肝疾患のある猫におけるミルタザピンの薬物動態についての生体内および生体外での評価。

==アブストラクト===
背景:ヒトでは肝疾患はミルタザピンの半減期を延長させるが、これが健康な猫と肝疾患のある猫でも起こることなのかはわかっていない。

仮説/目的
:肝疾患のある猫と健康な猫において、経口投与されたミルタザピンの生体内および生体外(肝ミクロソーム)でにおける薬物動態を調べること。

動物:肝疾患のある猫11頭と、年齢を調整した対象猫11頭。

方法:症例対照研究。ミルタザピン1.88mgを蛍光灯予後1時間、4時間(22頭)および24時間(14頭)で血清を採取した。ミルタザピン濃度はタンデム質量分析による液体クロマトグラフィーで測定した。薬物暴露と半減期は限定サンプリングモデルを用いて予測し、非コンパートメント方法を用いて算出した。生体外でのミルタザピンの薬物動態は、3頭の肝疾患の猫と4頭の健康な猫から得られた肝ミクロソームを用いて評価された。

結果
:肝疾患の猫と対象猫の間で、最大血清濃度に至る時間には有意な差がみられた(中央値[範囲];4[1-4]時間 vs 1[1-4]時間;p=0.03)。算出された肝疾患の猫での半減期は、健康な猫に比べて有意に延長していた(中央値[範囲];13.8[7.9-61.4]時間 vs 7.4[6.7-9.1]時間;p<0.002)。ミルタザピンの半減期は、ALT(p=0.002;r=0.76)、ALP(p<0.0001;r=0.89)および総ビリルビン(p=0.0008;r=0.81)と相関していた。肝疾患のある猫のミクロソームによるミルタザピンの消失率(-0.0022min-1;信頼区間 -0.0050から0.00054m-1)は、肝疾患のない猫のミクロソーム(-0.01849min-1;信頼区間 -0.025から0.012m-1)と有意な差があった。

結論と臨床的重要性
:肝疾患のある猫では健康な猫よりも、 より間隔をあけてミルタザピンを投与することが必要となるかもしれない。
 

Bazelle, J., A. Threlfall, and N. Whitley.
"Gastroprotectants in small animal veterinary practice–a review of the evidence. Part 1: cyto‐protective drugs." 
Journal of Small Animal Practice 59.10 (2018): 587-602.

PubMedリンク PMID:29974466
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:小動物獣医臨床における胃保護薬;根拠についてのレビューPart 1;細胞保護薬

==アブストラクト===
細胞保護作用を有すると推定される様々な薬物が、食道炎、胃潰瘍、胃炎、または慢性胃腸疾患のような様々な胃腸の病態にたいして小動物獣医臨床において治療的に用いらている。それらの有効性はヒトの医療では疑われており、獣医理学領域でも同様な疑問が生じている。このレビューの目的は、犬と猫のおけるそれらの薬物の有用性と安全性に関する現在の根拠について評価することである。文献のシステマティックレビューにより、犬と猫におけるミソプロストール、スクラルファート、および他の胃保護剤の使用に関する37の文献を同定した。犬のアスピリン誘発性胃十二指腸粘膜障害の予防におけるミソプロストールの使用と、 猫の酸誘発性食道炎の予防におけるスクラルファートの使用、を支持する根拠があった。しかし、小動物患者においてこれらの薬物の使用を支持する根拠の全体的な質は貧弱であった。対照的に重篤な副作用、特に薬物薬物間相互作用と胃腸徴候、についての根拠はあった。そのためわれわれは、将来よく指揮された研究により胃保護薬の有効性が明らかなになるまでは、これらの薬剤は注意深く処方しすることを推奨する。

Barnes Heller, Heidi, et al.
"Serum levetiracetam concentrations and adverse events after multiple dose extended release levetiracetam administration to healthy cats." 
Journal of veterinary internal medicine 32.3 (2018): 1145-1148.

PubMedリンク PMID:29671898
本文:無料公開あり(全文) 

タイトル:健康な猫に徐放性レベチラセタムを複数回投与した後の血清レベチラセタム濃度と有害事象 

==アブストラクト===
背景:猫に抗てんかん薬を複数回投与することは飼い主にとって大変なことである。徐放性レベチラセタムは1日1回の投与間隔が推奨されているが、猫における徐放性レベチラセタムの複数回投与は評価されていない。

目的:健康な猫に対して徐放性レベチラセタムの1日1回の投与を11日間行ったあとの血清レベチラセタム濃度と臨床的有害事象について評価すること。

動物:家庭飼育されている9頭の猫、体重は5kg以上。

方法:徐放性レベチラセタム(500mg/cat)を24時間間隔で10日間投与した。11日目にトラフ値、薬の投与後4時間、6時間、8時間で採血を行った。研究期間中、飼い主が有害事象の記録を続けた。血清中のレベチラセタムは、猫で有効な免疫測定法で定量化した。

結果:投与中央値は94.3mg/kg 24時間毎であった。 トラフ値、4時間、6時間、8時間の血清レベチラセタム濃度の中央値(範囲)はそれぞれ、7.0(2.3-14.1)、82.6(7.8-125.3)、92.3(13.3-97.3)、72(22.8-96.4)μg/mlであった。4頭の猫では、サンプルミス(n=2)と最大濃度(Cmax)に到達しなかった(n=2)ため、ピークが観察されなかった。残りの5頭における最大濃度時間(Tmax) の中央値は5.2時間(範囲 4-6)であった。有害事象は最小限であり、運動失調(n=1)、嘔吐もしくは逆流(n=1)が含まれた。すべての徴候は投与量の調節もしくは追加の治療なしに改善した。

結論と臨床的重要性
:血清レベチラセタム濃度のトラ値の平均は5μg/ml以上となり、 投与期間中を通して有害事象は最小限であり、それは薬剤がよく許容されたことを示している。徐放性レベチラセタムの1日1回の投与は、てんかんのある猫にとって中間放出のレベチラセタムを1日3回投与することの、より容易な代替法を供するかもしれない。
 

Hill, Tracy L., B. Duncan X. Lascelles, and Anthony T. Blikslager.
"Effect of sucralfate on gastric permeability in an ex vivo model of stress‐related mucosal disease in dogs." 
Journal of veterinary internal medicine (2018).

PubMedリンク PMID:29460464
本文:無料公開あり(全文

タイトル:犬のストレス関連粘膜疾患の生体外モデルにおける胃の浸透性へのスクラルファートの効果

==アブストラクト===
背景:スクラルファートは、全身作用が知られていない胃保護剤である。犬のストレス関連粘膜疾患(SRMD)の予防と治療におけるスクラルファートの有効性は有効性はわかっていない。

仮説/目的:ストレス関連粘膜疾患の犬の生体外モデルを開発し、そのモデルにおける粘膜バリア機能に対するスクラルファートの効果を調べること。

動物:地元の動物管理施設で安楽死され、ランダムに得られた明らかに健康な犬29頭から死後直ちに採取された胃内腔粘膜。

方法:無作為化実験試験。スクラルファート(100mg/ml)を、生体外の犬の胃粘膜に、酸性傷害と同時およびその後に適応した。バリア機能は、経上皮電気抵抗(TER)と放射能標識マンニトール流束の測定によって評価された。

結果:酸性化リンゲル液を胃の内腔の粘膜側に適応すると、胃のバリア機能が低下し、酸性化リンゲル液を洗い流すとバリア機能が回復した(TER:最大傷害時の対照 34.0±2.8%、回復時 71.3±5.5%、p<0.001)。傷害時もしくは傷害後にスクラルファートを適応すると、バリア機能の回復を有意に回復させた(TER:最大傷害時の対照 118.0±15.2% p<0.001、回復時 111.0±15.5% p=0.35)。

結論と臨床的重要性
:このモデルにおいてスクラルファートは、酸による胃のバリア機能の欠損の回復、および酸にさらされた組織の修復を促進に有効であると考えられ、それはスクラルファートが犬のストレス誘発粘膜疾患の治療と予防に対して有用であることを示唆している。

Slovak, J. E., et al.
"Pharmacokinetics of Mycophenolic Acid after Intravenous Administration of Mycophenolate Mofetil to Healthy Cats." 
Journal of veterinary internal medicine (2017).

PubMedリンク
本文:無料公開(PDF

タイトル:健康な猫にミコフェノール酸モフェチルを静脈注射した後のミコフェノール酸の薬物動態

==アブストラクト===
背景:ミコフェノール酸モフェチル(MMF)はミコフェノール酸のプロドラッグであり、猫の医療において代替の免疫抑制剤としてますます普及しつつある。猫のおける薬物動態の情報はない。

目的:この研究の目的はMMFが活性代謝物のミコフェノール酸に生体変換されるかどうかを決定し、健康な猫でMMFの2時間定速静注を行なった後のミコフェノール酸の体内動態を評価することである。

動物:健康な猫(n=6)

方法: 前向き予備研究。全ての猫にMMFを20mg/kg,12時間毎, 2時間の定速静注を1日間投与した。血中のミコフェノール酸とその誘導体の濃度を、有効UHPLC-UV法を用いて決定した。

結果:全ての猫でMMFはミコフェノール酸へ生体変換された。MMFの静注投与後のAUC0-14hの平均は6-50h*mg/lの範囲であった。 投薬後の一過性の大調性下痢が6頭中2頭で記録された。

結論と臨床的重要性
:血漿中のミコフェノール酸の体内動態は非常に変化しやすく、これは猫におけるMMFの治療効果と安全性において個体間の変動性が高い結果となり得る。


==訳者コメント===
他の報告にもある通り、副作用はやはり下痢が多いようですね。
[文献・猫・免疫]猫のミコフェノール酸モフェチルの主な副作用は下痢(2017年・PMID 28206810) 

 

Kelmer E, et al. 
"Effect of intravenous administration of tranexamic acid on hematological, hemostatic, and thoromboelastographic analytes in healthy adult dogs" 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2013).

PubMedリンク
本文:無料公開なし

==アブストラクト===
目的:健康な成犬において、トラネキサム酸(TA)の静脈投与による血液学的、止血的、 トロンボエラストグラフィー分析への影響を調べる。

デザイン:前向き研究

施設:大学の教育病院

動物:スタッフが飼育する健康な成犬11頭

測定と主な結果: 犬にトラネキサム酸をボーラス静脈投与し、続いて低速注入(CRI)を3時間行なった。トラネキサム酸投の投与前および与直後にCBC、プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、Dダイマー、アンチトロンビン(AT)、フィブリノゲン、トロンボエラストグラフィー(TEG ※注 訳者コメント)の測定を行なった。嘔吐は最初に投与した2頭の犬で、20mg/kgおよび15mg/kgのボーラス投与直後に一時的に起こったが、CRI投与中には起こらなかった。そのほかの犬ではトラネキサム酸のボーラス投与の投与量を10mg/kgに減量し、ゆっくり投与したところ、嘔吐は起こらなかった。測定された全ての血液学的、止血学的分析はいずれも参照範囲内ではあったが、
トラネキサム酸投与後にトロンボエラストグラフィーLY30は有意に増加し、PT、トロンボエラストグラフィーRおよびA30値、Hct、ヘモグロビン濃度には有意な減少が記録された。

結論:健康な犬への10mg/kg緩徐なボーラス静脈投与と10mg/kg CRI 3時間投与はいずれも安全な方法であった。しかし、トロンボエラストグラフィーのA30、A60、LY30、LY60値に対するその効果は、期待される抗フィブリン溶解特性と一致しなかった。


==訳者コメント=== 
注)トロンボエラストグラフィー
血液の凝固線溶状態をグラフ化して評価できる方法です。止血能の評価や、凝固亢進や線溶亢進の程度を評価できます。外科的な止血能評価やDICの診断・分類に利用できます。
(参考:日本止血学会HP) 

・この研究の目的はトラネキサム酸の投与によるフィブリン溶解の抑制(≒線溶系の抑制)による止血効果の評価と推測されます(詳細は本文を参照)。そういった期待さえる効果が確認できなかったということは、トラネキサム酸による止血効果が確認できなかったということになります。
・しかし対象となった犬が健康、つまりそもそも線溶系が亢進していない状態での効果の測定であるため、線溶系が亢進した状態でのトラネキサム酸の効果の検討には不十分なデータです。
・少なくとも凝固線溶系に大きな異常をきたしていないような出血に対しては、トラネキサム酸はあまり効果を持たないのかもしれません。 
 

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