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カテゴリ: 脾臓

Cudney, Sarah E., Annie S. Wayne, and Elizabeth A. Rozanski.
"Diagnostic utility of abdominal ultrasonography for evaluation of dogs with nontraumatic hemoabdomen: 94 cases (2014–2017)." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 258.3 (2021): 290-294.


PubMedリンク PMID:33496618
本文:無料公開なし

タイトル:非外傷性の腹腔内出血の犬の評価における腹部超音波検査の診断的有用性;94症例(2014-2017)

==アブストラクト===
目的:非外傷性の腹腔内出血の犬において肉眼的に明らかな腫瘤を検出するための腹部超音波検査の有用性を評価すること。

動物:家庭飼育犬94頭。

方法:2014-2017年の電子医療記録を検索し、非外傷性の腹腔内出血があり、画像診断医による腹部超音波検査と手術または剖検で肉眼的な評価が行われた犬を同定した。超音波検査、手術、およに組織学的な所見をレビューし、記述統計を行った。肉眼的な腫瘤を検出するための腹部超音波検査の感度を算出した。

結果:腹部超音波検査と外科または剖検所見の差は、94頭中51頭(54%)の犬でみられた。脾臓腫瘤が、腹腔内出血の原因として最も多くみられた。腫瘤に対する腹部超音波検査の感度は、脾臓で87.4%、肝臓で37.3%、腸間膜で31.3%であった。5頭では肉眼的評価でみつかった病変よりも多くの病変が腹部超音波検査で同定され、腹膜びまん性結節転移がある犬6頭中、腹部超音波検査で検出された病変はなかった。

結論と臨床的意義
:このサンプル集団の犬では、非外傷性腹腔内出血の犬の肉眼的な病変の検出における腹部超音波検査の有用性は限定的であり、脾臓腫瘤の検出において感度が最も高く、びまん性結節転移の検出において感度が最も低かった。

Masyr, Alison R., et al.
"Retrospective evaluation of thrombocytopenia and tumor stage as prognostic indicators in dogs with splenic hemangiosarcoma." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 258.6 (2021): 630-637.


PubMedリンク PMID:33683962
本文:無料公開なし

タイトル:脾臓血管肉腫の犬における予後指標としての血小板減少症と腫瘍ステージの回顧的評価

==アブストラクト===
目的:脾臓血管肉腫の犬において、罹患動物の無進行期間(PFI)と全体生存期間(OST)の予測に役立つ可能性のある身体検査所見と周術期のCBC所見を同定すること。

動物:2004年9月から2016年10月の間に脾臓摘出術と化学療法によって治療された脾臓血管肉腫をもつ家庭飼育犬70頭。

方法:ミネソタ大学獣医療センターの医療記録データベースを回顧的に検索し、脾臓摘出術と治療目的の化学療法で治療された脾臓血管肉腫のある犬を同定した。犬のシグナルメント、体表面積、脾臓摘出術前6日以内と手術後2日以内に行ったCBC、腹腔内出血または輸血の投与はあったかどうか、腫瘍ステージ、などの情報を収集した。ヘマトクリット値、白血球数、血小板数を分類変数(参照範囲上限より上、範囲内、下、の3つに分類)として扱った。変数とPFIまたはOSTとの関連を、Cox回帰分析で調べ、PFIまたはOSTの短縮に対するハザード比(HR)を報告した。母集団ピアソン相関係数(ρ)により、対象となる変数の潜在的な関連性を特定した。

結果:ステージ3の脾臓血管肉腫は、PFI(HR 6.6)およびOST(HR 4.5)の対する負の予後指標として同定された。周術期の血小板減少症も同様に、PFI(HR 2.2)とOST(HR 2.0)の短縮と関連していた。ヘマトクリット値は血小板数と相関し(ρ=0.58)、貧血とPFIの短縮との間に明らかな関連はしめさなかったが、除外することもできなかった。

結論と臨床的関連性
:血小板減少症の予後的価値は、因果と機序的な関連を理解するための更なる実証を必要とし、血小板減少症の存在の脾臓血管肉腫の犬に対する治療の選択のガイドとして価値を最終的に証明するかもしれない。

Cleveland, Matthew J., and Sue Casale.
"Incidence of malignancy and outcomes for dogs undergoing splenectomy for incidentally detected nonruptured splenic nodules or masses: 105 cases (2009–2013)." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 248.11 (2016): 1267-1273.


PubMedリンク PMID:
27172343
本文:無料公開なし

タイトル:偶発的に検出された破裂のない脾臓結節まはた腫瘤に対して脾臓摘出術を行った犬における悪性腫瘍の有病率と転帰

==アブストラクト===
目的
偶発的に検出された破裂のない脾臓結節まはた腫瘤に対して脾臓摘出術を行った犬における悪性腫瘍の頻度と生存率を調べること。

デザイン:回顧的症例シリーズ。

動物:家庭医飼育犬105頭。

方法:2009年から2013年の間に獣医教育病院で脾臓摘出をうけた犬の医療記録を調べ、腹腔内出血を伴わない偶発的に検出された破裂のない脾臓結節/腫瘤のある患者を同定した。組織学的な確定診断のある犬だけを組み入れた。シグナルメント、術前の診断検査、周術期の輸血、脾臓腫瘍の直径、組織学的所見、補助治療、おようび生存期間に関する情報を収集して分析した。

結果;105頭中74頭(70.5%)が良性の脾臓病変であり、31頭(29.5%)が悪性腫瘍でああり、そのうち血管肉腫(18/31[51%])が最も多かった。死亡のハザードは、術前のPCVの高さとともに減少し、悪性腫瘍の組織学的診断は死亡のハザードの増加と関連した。平均余命は良性病変の犬で436日、悪性病変の犬で110日であった。良性病変の74頭中41頭と、悪性病変の31頭中3頭が、この研究終了時に生存していた。血管肉腫の余命の中央値は132日であり、その18頭中7頭だけが化学療法をうけた。

結論と臨床的意義
:腹腔内出血と関連していない偶発的にみつかった破裂していない脾臓の結節/腫瘤は、良性であることが多かった。この結果にから、偶発的にみつかった良性または悪性の脾臓病変の余命は、過去に報告された他の研究集団のものよりも良いことが示唆された。

Leyva, Fernando J., et al.
"Histopathologic characteristics of biopsies from dogs undergoing surgery with concurrent gross splenic and hepatic masses: 125 cases (2012–2016)." 
BMC research notes 11.1 (2018): 122.


PubMedリンク PMID:29433531
本文:無料公開あり(全文

タイトル:脾臓と肝臓の肉眼的な腫瘤の併発を手術したい犬の病理組織学的な特徴;125症例(2012-2016)

==アブストラクト===
目的:脾臓摘出と肝臓腫瘤の生検/切除を行った犬における脾臓と肝臓の腫瘤の併発についての病理組織学的な特徴を調べること。脾臓の腫瘤と肝臓の腫瘤がみつかった家庭飼育犬125頭について調べた。シグナルメント(年齢、性別、品種)、体重、病理組織学的検査の結果を全ての犬で記録した。

結果
:この研究の27%(34/125頭)の犬で、肝臓と脾臓のどちらにも悪性所見がなかった。60/125頭(48.0%)の犬では脾臓と肝臓が悪性腫瘍であり、そのうち56頭(93.3%)では脾臓と肝臓は同じ悪性腫瘍であった。シグナルメントは、脾臓の病理に関する他の報告と同様であった。この臨床集団では、肝臓と脾臓に肉眼的な腫瘤が術中にみつかった犬の27%では、どちらの部位でも良性であり予後が良好であった。

Clarke, E., et al.
"Clinical utility of liver biopsies in dogs undergoing splenectomy." 
Journal of Small Animal Practice.

PubMedリンク PMID:
33035380
本文:無料公開なし

タイトル:脾臓摘出術を行った犬における肝生検の臨床的有用性

==アブストラクト===
目的:脾臓腫瘤のある犬の脾臓摘出時に行った肝生検で検出された腫瘍の有病率を調べること。

方法
:脾臓摘出後に肝生検を行った脾臓腫瘤のある犬の医療記録の回顧的研究。

結果:脾臓摘出を行った犬のうち50/113頭(44.2%)で悪性の脾臓腫瘍が検出された。腫瘍性の肝疾患が、肝臓が肉眼的に正常であった犬のうち1/40頭(2.5%)で検出され、肝臓が肉眼的に異常であった犬のうち20/69(28.9%)で検出された。肝臓が肉眼的に異常であった犬では、生検で肝臓の腫瘍が診断される機会が16倍(95%信頼区間 2.5-170)高かった。腹腔内出血も、脾臓摘出時の生検で肝臓腫瘍の可能性の増加と関連した。

臨床的意義
:肉眼的に正常な肝臓から得られた肝生検は診断検査として得るものは少なかったが、手術時に肝臓の見た目に異常がある場合には脾臓摘出に続き肝生検が推奨される。

Latifi, Max, et al.
"Clinical outcomes in dogs with localized splenic histiocytic sarcoma treated with splenectomy with or without adjuvant chemotherapy." 
Journal of Veterinary Internal Medicine.


PubMedリンク PMID:32986268
本文:無料公開あり(全文

タイトル:補助化学療法を伴う、または伴わない脾臓摘出によって治療された限局性脾臓組織球性肉腫の犬の臨床的転帰

==アブストラクト===
背景:犬の限局性脾臓組織球性肉腫はよく理解されていない疾患であり、播種性組織球性肉腫または血球貪食性組織球性肉腫よりも長く生存する可能性がある。限局性脾臓組織球性肉腫の臨床挙動を理解することは、推奨される治療法を改善することができる。

目的:限局性脾臓血管肉腫の犬の臨床的特徴と転帰を調べること。

動物:脾臓摘出をおこない組織学的に脾臓血管肉腫と確認された家庭飼育犬14頭。

方法:多施設間回顧的症例シリーズ;脾臓血管肉腫の犬の医療記録を再調査した。犬のシグナルメント、臨床病理データ、主要な・補助的な治療、および転帰についてを収集した。生存データはカプランマイヤー分析を用いて計算した。年齢、体重、血小板数などの犬の変数を記述統計により報告した。コックス比例ハザード回帰法を用いて、可能性のあるリスク因子(体重、年齢、アルブミン値、ヘマトクリット、血小板数)が無進行期間と関連しているかどうかを調べた。

結果:この研究の犬の中央生存期間は427日であった。12頭の犬が補助的なロムスチンベースの化学療法をうけた。5頭(35.7%)は転移病変の発症が疑われた、または確定された。11頭が疾患により死亡し、1頭は関連のない原因で死亡し、2頭は追跡の最終時点で生存していた。

結論と臨床的意義:
犬の組織球性肉腫は、脾臓に限局した形態で現れる可能性がある。手術±化学療法で治療された限局性脾臓組織球性肉腫の犬は、1年異常の生存を経験する可能性がある。

Story, Ashton L., et al.
"Outcomes of 43 small breed dogs treated for splenic hemangiosarcoma."
 
Veterinary Surgery.2020.

PubMedリンク PMID:32562436
本文:無料公開なし

タイトル
:脾臓血管肉腫の治療を行った小型犬43頭の転帰

==アブストラクト=== 
目的
:血管肉腫と診断された小型犬の転帰と予後因子を調べ、脾臓血管肉腫のある小型犬と大型犬で転帰に差があるかどうかを調べること。

研究デザイン
:2施設における回顧的研究・

動物
:小型犬(<20kg)43頭と大型犬94頭。

方法
:医療記録を再調査し、脾臓血管肉腫を脾臓摘出で治療した犬を同定した。シグナルメント、術前ステージング、血液検査結果、手術所見、病理組織学的所見、化学療法の投与、転移病変の有無、および生存期間を含むデータを収集した。コックス比例ハザード回帰分析を行い、生存に関連する予後因子を評価した。

結果
:全体の生存期間中央値は、小型犬で116日、大型犬で97日だった。手術と化学療法で治療を行った犬の生存期間は、小型犬で207日、大型犬で139日だった。無病期間(DFI)は小型犬で446日、大型犬で80日であった。犬の大きさは無病期間と関連したが(p=0.02)、生存期間とは関連しなかった(p=0.09)。診断時の転移の存在は、小型犬(p=0.03)と大型犬(0.0009)で生存期間の短縮と関連した。小型犬において化学療法の投与は生存期間の延長と関連した(p=0.02)。

結論
:脾臓血管肉腫を脾臓摘出と化学療法で治療した小型犬と大型犬で、生存期間に差はなかった。

臨床的意義:小型犬および大型犬における予後は、積極的治療にも関わらず悪い。
 

Bertal, Mileva, et al.
"Association between ultrasonographic appearance of splenic parenchyma and cytology in cats." 
Journal of feline medicine and surgery 20.1 (2018): 23-29.

PubMedリンク PMID:29172935
本文:無料公開あり(全文

タイトル:猫の脾臓実質の超音波検査のみためと細胞診の関連

==アブストラクト=== 
目的:この研究の目的は、超音波検査における脾臓腫瘤の存在またはびまん性の虫食い実質が、猫の脾臓における悪性疾患の潜在的な基準になるかどうかを調べることである。

方法:超音波検査画像とFNAで得られた脾臓の細胞学的解析がある猫の患者を、回顧的に多施設研究に組み入れた。

結果
:195頭の猫が組み入れ基準をみたした。虫食い状の超音波検査のみためと、細胞学的分析による悪性腫瘍の存在の間の一致には欠けている部分があった。悪性の腫瘍疾患の予測のための虫食い状実質の感度と特異度はそれぞれ13.2%と84.8%であった。悪性の腫瘍疾患の予測のための1cm以上の脾臓腫瘤の感度と特異度はそれぞれ21.0%と94.7%であった。脾臓実質の大理石様のみためは、低周波(6.6-10MHz)トランスデューサーで調べた患者よりも、高周波(11-18MHz)トランスデューサーで調べた患者の方が有意に多かった(11.1% vs 27.6%;p=0.004)。同様に、統計的に有意ではないが、虫食い状実質は、低周波グループよりも高周波グループでより多くみられた(8.9% vs 17.1%;p=0.09)。

結論と意義
:私たちの所見では、猫の脾臓の虫食い状の超音波検査のみためは、必ずしも細胞診によるリンパ腫や他の悪性腫瘍性疾患を反映しない。超音波検査による1cm以上の脾臓腫瘤は、猫の悪性疾患を示唆する。脾臓実質を評価する際にはトランスデューサーの周波数を考慮しなければならず、高周波トランスデューサーは、大理石様または虫食い状の実質の検出を改善するようだ。

Harel, Mathieu, et al.
"Prevalence and diagnostic value of the ultrasonographic honeycomb appearance of the spleen in cats." 
Journal of Feline Medicine and Surgery 22.2 (2020): 186-192.

PubMedリンク PMID:30896332
本文:無料公開あり(全文

タイトル:猫の脾臓の超音波検査の蜂の巣所見の有病率と診断的価値

==アブストラクト=== 
目的:この研究の目的は、超音波検査で紹介された猫の集団における脾臓の蜂の巣所見の有病率を報告し、この所見の確定診断に対する診断価値、脾臓の細胞診、および血液学的結果について決定することである。

方法:超音波検査による脾臓の蜂の巣所見、脾臓の細胞学的診断、および完全血球計算のある猫の医療記録(2016-2018年)からデータを収集した。

結果:25頭の猫が含まれた。蜂の巣パターンの有病率は6.8%であった。細胞診で正常と判断された脾臓はなく、4つのタイプの病変がみられた;リンパ過形成(64%)、腫瘍(16%)、髄外造血(12%)、および脾炎(8%)。蜂の巣パターンはすべての猫でリニア高周波プローブで上手く同定されたが、マイクロコンベックスプローブでは36%の症例のみで同定された。追跡情報は4頭で利用可能で、最初の検査から105日まで蜂の巣所見が持続し、すべての症例で蜂の巣パターンが持続した。脾臓の細胞診で髄外造血と診断された猫は、血清ヘモグロビン濃度が最も低かった(p=0.011)。

結論と意義
:脾臓の蜂の巣所見は猫でまれであり、私たちの研究では系統的に細胞学的変化と関連しており、ほとんどが良性(84%)であった。高周波リニアプローブの使用は検出率を改善させた。異なるタイプの浸潤を鑑別するための疫学的、超音波学的、および臨床的な基準はないため、FNAが推奨される

Harel, Mathieu, et al.
"Prevalence and diagnostic value of the ultrasonographic honeycomb appearance of the spleen in cats." 
Journal of Feline Medicine and Surgery 22.2 (2020): 186-192.

PubMedリンク PMID:30896332
本文:無料公開あり(全文

タイトル:猫の脾臓の超音波検査の蜂の巣所見の有病率と診断的価値

==アブストラクト=== 
目的:この研究の目的は、超音波検査で紹介された猫の集団における脾臓の蜂の巣所見の有病率を報告し、この所見の確定診断に対する診断価値、脾臓の細胞診、および血液学的結果について決定することである。

方法:超音波検査による脾臓の蜂の巣所見、脾臓の細胞学的診断、および完全血球計算のある猫の医療記録(2016-2018年)からデータを収集した。

結果:25頭の猫が含まれた。蜂の巣パターンの有病率は6.8%であった。細胞診で正常と判断された脾臓はなく、4つのタイプの病変がみられた;リンパ過形成(64%)、腫瘍(16%)、髄外造血(12%)、および脾炎(8%)。蜂の巣パターンはすべての猫でリニア高周波プローブで上手く同定されたが、マイクロコンベックスプローブでは36%の症例のみで同定された。追跡情報は4頭で利用可能で、最初の検査から105日まで蜂の巣所見が持続し、すべての症例で蜂の巣パターンが持続した。脾臓の細胞診で髄外造血と診断された猫は、血清ヘモグロビン濃度が最も低かった(p=0.011)。

結論と意義
:脾臓の蜂の巣所見は猫でまれであり、私たちの研究では系統的に細胞学的変化と関連しており、ほとんどが良性(84%)であった。高周波リニアプローブの使用は検出率を改善させた。異なるタイプの浸潤を鑑別するための疫学的、超音波学的、および臨床的な基準はないため、FNAが推奨される。

Quinci, Manuela, et al.
"Ultrasonographic honeycomb pattern of the spleen in cats: correlation with pathological diagnosis in 33 cases."
 
Journal of feline medicine and surgery (2019): 1098612X19873197.

PubMedリンク PMID:31537164
本文:無料公開なし

タイトル:猫の脾臓の超音波検査の蜂の巣パターン;病理学的診断との相関 33症例

==アブストラクト=== 
目的:この研究の目的は、猫の超音波検査による脾臓のびまん性蜂の巣パターンと病理学的診断の関係を調べ、トランスデューサーが蜂の巣パターンの与える影響を評価することである。

方法:蜂の巣パターンをもつ猫の腹部超音波検査を再調査し、脾臓の大きさ、形、辺縁、その他の実質の変化、および脾門リンパ節腫大について記録した。該当する場合には、高周波線形トランスデューサーと曲線トランスデューサーを比較して、蜂の巣パターンが高解像度画像でより頻繁に示されるかどうかを決定した。対応する脾臓の細胞病理組織学的サンプルの回顧的な再調査も行なった。

結果:33頭の猫が組み入れ基準を満たした。5頭が組織学的に診断され、28頭は細胞学的に診断され、不確定な症例では抗原受容体再構成(PARR)のPCRによって確定された。リンパ系過形成15頭、リンパ腫8頭(B細胞性4頭、T細胞性3頭、LGL1頭)、脾炎6頭、髄外造血3頭、組織球性肉腫1頭であった。脾臓の蜂の巣パターンがある猫におけるリンパ腫の有病率は24%であった。脾腫は蜂の巣パターンと最もよく関連する超音波検査の特徴であり、すべてのリンパ腫の症例でみられた。蜂の巣パターンは、高周波線形トランスデューサーで得られたではすべての症例(24/24)、マイクロコンベックストランスデューサーで得られた画像では62.5%(15/24)で確認された。

結論と意義
:この所見から、猫における超音波検査による脾臓の蜂の巣パターンは良性と悪性の疾患に関連している可能性があり、犬と比較してリンパ腫と関連する頻度が低かった。PARRによって補足されることのある細胞学的および組織学的検査は、診断サポートのために常に行われるべきである。高周波線形トランスデューサーの使用は、蜂の巣パターンまたは脾臓実質の微妙な変化を正しく認識するために推奨される。

Hughes, Jonathan R., Victoria S. Johnson, and Marie‐Aude Genain.
"CT characteristics of primary splenic torsion in eight dogs." 
Veterinary Radiology & Ultrasound (2020).

PubMedリンク PMID:32077164
本文:無料公開なし

タイトル:原発性脾捻転のCTの特徴;犬8頭

==アブストラクト=== 
脾捻転は、胃脾靭帯と横隔靭帯の周りを脾臓が回転することで静脈の排水と動脈の供給の閉塞が起こることを特徴とする、生命を脅かす可能性もあるまれな病態である。この回顧的研究は、多国籍の遠隔放射線データベースへの提出を利用して、2013年から2018年の間に外科的に脾捻転と確定された犬のCTの特徴を述べ たものだ。8頭の犬が外科的に脾捻転と確定された。8頭中7頭で、うっ血、出血、および壊死が組織学的に確認され、1頭では骨髄脂肪腫の浸潤が同時にみられた。CTの特徴には、拡大し(8/8)、丸みを帯びた(7/8)、折りたたまれたC型の脾臓(8/8)があり、造影前後の実質の減衰値の中央値の差は+1.15HU(Hnounsfield units)であった。その他の一般的な特徴として、造影前と造影後の均一な実質(6/8)、
主観的および客観的な血管と実質の造影増強の欠如(6/8)、腹水(6/8)がみられた。多くの症例でみられたホイールサイン”(7/8)は、造影前の画像における中心部の強い過減衰(5/7)とともにみられ、これらは獣医学文献ではこれまで記述されてこなかった。胃の位置はすべての症例で正常だった。確定した捻転でより多様なCTの特徴は、部分的な捻転の疑いと骨髄脂肪腫の浸潤に起因していた。全体的に、手術で確定された原発性脾捻転はCTで一貫した特徴を示した。 

Sirochman, Anna L., et al.
"Influence of use of a bipolar vessel sealing device on short‐term postoperative mortality after splenectomy: 203 dogs (2005‐2018)."
 
Veterinary Surgery (2019).

PubMedリンク PMID:31837169
本文:無料公開なし

タイトル:脾臓摘出術後の短期死亡率におけるバイポーラ血管シーリング装置の使用の影響;犬203頭(2005-2018年)

==アブストラクト=== 
目的:バイポーラ血管シーリング装置を用いてまたは用いないで脾臓摘出術を行なったあとの犬の短期術後死亡率を比較し、死亡率に関連する項目を特定すること。

研究デザイン:回顧的研究。

サンプル集団:家庭飼育犬(n=203)。

方法:2005年から2018年の間に脾臓摘出術を行なった犬の医療記録を再調査した。バイポーラ血管シーリング装置を使用または使用せずに脾臓摘出を行なった犬の間での死亡率を比較した。死因と短期死亡に関連する項目を評価した。

結果
:203頭中15頭(7.4%)が退院前に死亡し、7頭(3.4%)が抜糸前に死亡したため、合計での短期死亡率は203頭中22頭(10.8%)となった。 バイポーラ血管シーリング装置ありとなしのグループ間の退院前の死亡の割合において推定される差は-0.01(95%信頼区間 -0.08から0.06)であった。麻酔時間はバイポーラ血管シーリング装置なしで脾臓摘出術を行なった場合の方が長かった(中央値168分vs152分 p=0.03)。多変量解析によって、術中(オッズ比 5.7)または術後(オッズ比 13.6)の血液製剤の投与、麻酔時間の増加(オッズ比 1.15/16分増加毎)、術中の心室性不整脈(オッズ比 6.8)が、退院前の死亡と有意に関連するものとして特定された。術中(オッズ比 3.2)または術後(オッズ比 7.7)の血液製剤の投与は、抜糸前の死亡とも関連した。

結論
バイポーラ血管シーリング装置の使用は、脾臓摘出後の短期死亡を増加させないようだ。

臨床的意義
:術中または術後に輸血の必要、術中の心室性不整脈の経験、または麻酔時間の延長、そうした脾臓摘出を行なった犬では術後短期間における死亡のリスクがあるかもしれない。
 

Alexander, C. K., et al.
"The addition of metronomic chemotherapy does not improve outcome for canine splenic haemangiosarcoma."
 
Journal of Small Animal Practice 60.1 (2019): 32-37.

PubMedリンク PMID:30209807
本文:無料公開あり(全文

タイトル:追加のメトロノミック化学療法は、犬の脾臓血管肉腫の転帰を改善しない

==アブストラクト===
目的:追加のメトロのミック化学療法が、脾臓摘出と補助的な最大耐量の化学学療法を受けた犬の予後を改善するかどうかを検証すること。

方法
:脾臓の血管肉腫で脾臓摘出とその後のアントラサイクリンをもとにした化学療法をうけた犬について、医療記録を回顧的に調べた。
39頭の犬が脾臓摘出をうけ、その後にアントラサイクリン、シクロスポリン、またはその両方による最大耐量の化学療法を行なった(グループ1)。
22頭の犬が
脾臓摘出をうけ、その後にアントラサイクリン、シクロスポリン、またはその両方による最大耐量の化学療法を行ない、さらにメトロノミック化学療法も行なった(グループ2)。
両グループの犬はさらに、最大耐量んもアントラサイクリン、または最大耐量んもアントラサイクリンとサイクロフォスファマイドに分けられた。

結果
:グループ1の中央無進行生存期間は165日であり、 中央全体生存期間は180日であった。グループ2の中央無進行生存期間は185日であり、 中央全体生存期間は212日であった。両グループで、全体生存期間は最大耐量のサイクリフォスファマイドの投与をうけた犬で短かった。

臨床的意義
:最大耐量の化学療法プロトコールへのメトロノミック化学療法の追加は、脾臓摘出と最大耐量の化学療法をうけた脾臓血管肉腫の犬における予後を改善しなさそうである。
 

Evans, B. J., et al.
"Treatment outcomes and prognostic factors of feline splenic mast cell tumors: A multi‐institutional retrospective study of 64 cases." 
Veterinary and comparative oncology 16.1 (2018): 20-27.

PubMedリンク PMID:28168776
本文:無料公開あり(全文) 

タイトル
:猫の脾臓肥満細胞腫の治療転帰と予後因子;64症例の多施設回顧的研究

==アブストラクト===
背景
:肥満細胞腫は猫の一般的な脾臓腫瘍であるが、この疾患の猫の治療転帰に関する情報は限られている。

材料と方法
:この回顧的研究では、脾臓肥満細胞腫のある猫64頭の治療の転帰について評価した。猫は以下の治療群に分類された;脾臓摘出(A;n=20)、脾臓摘出・化学療法(B;n=20)、化学療法単独(C;n=15)、支持療法 (D;n=9)。

結果
:腫瘍特異的な生存期間の中央値は、グループA;856日、グループB;853日、グループC;244日、グループD;365日であった。これらの生存期間は4群間で有意な差はなかった。しかし、脾臓摘出を行った猫(AとB)と、行わなかった猫(CとD)で比較をすると、腫瘍特異的な生存期間の中央値は それぞれ856日と342日(p=0.008)であった。生存に有意な影響を与える予後因子は分析されなかった。

結論
:脾臓摘出(±化学療法)は、肥満細胞腫の猫の生存期間を有意に延長させる。化学療法の役割は未だ不明である。
 

DeGroot, Whitney, et al.
"Primary splenic torsion in dogs: 102 cases (1992–2014)."
Journal of the American Veterinary Medical Association 248.6 (2016): 661-668.

PubMedリンク
本文:Google scholarからreseachgateで入手可能(PDF) 

==アブストラクト===
目的:原発性脾臓捻転(PST)で手術を行った犬において、生存退院の割合を決定し、退院前の死亡と関連する因子を特定すること。

デザイン:回顧的研究

動物:102頭の家庭犬

手順:1992年8月-2014年5月までに手術を行い原発性脾臓捻転と確定した犬の医療記録を再調査した。病歴、シグナルメント、身体検査の結果、術前の血液検査、脾臓摘出の方法、並行して行った外科手技、周術期の合併症、入院期間、脾臓の病理組織額的所見、追跡の詳細を記録した。退院までの生存に関連する周術期の因子をを特定するために、最良適合多変量ロジスティック回帰を実施した。

結果:102頭中93頭(91.2%)が生存して退院した。ジャーマンシェパードドッグ(24/102[23.5%])、グレートデン(15/102[14.7%])、イングリッシュブルドッグ(12/102[11.8%])が症例の50%を占めた。退院前の死亡と有意に関連する危険因子は、初回検査時の敗血症性腹膜炎(オッズ比 32.4;95%信頼区間2.1 - 502.0)、手術中の出血(オッズ比 22.6;95%信頼区間1.8 - 289.8)、術後の呼吸困難の発症(オッズ比 35,7;95%信頼区間2.7 - 466.0)であった。いずれの症例でも病理組織学的に脾臓腫瘍の証拠はなかった。

結論と臨床的関連:これらの結果から、脾臓捻転で手術を行った犬の予後は良好であるこが示された。退院前の死亡についていくつかの危険因子が特定され、それらは事前の敗血症性腹膜炎の存在、術中出血、術後の呼吸困難であった。

==本文から===
  • 7つの二次病院(大学病院6、民間病院1)の医療記録
  • 試験開腹で原発性脾臓捻転と診断
  • 二次性の脾臓捻転(胃拡張胃捻転に続発など)は除外
  • 年齢:中央値4.8歳(範囲;0.8-13.0)
  • 体重:平均38.9kg
所見
  • 腫大した脾臓を触知:68/98(69.4%)
  • 腹腔内出血:30/98(30.6%)
  • 血液量減少性ショック:22/98(22.5%)
  • 敗血症性腹膜炎:8/98(8.2%)
腹部レントゲン(68/102頭でレビュー)
  • 脾臓の腫大:46/68 (67.6%)
  • 漿膜詳細の消失:32/68(47.1%)
  • 胃拡張:8/68(11.8%)
  • 脾臓の位置の異常:5/68(7.4%)
  • 脾臓内の遊離ガス:3/68(4.4%)
腹部エコー(83/102頭)
  • 脾臓の腫大:71/83(86.6%)
  • 脾臓の血流の減少から消失:60/83(73.2%)
  • 脾臓実質の低エコー:38/83(46.3%)
  • 腹水:38/83(46.3%)
  • 脾臓の位置異常:26/83(31.7%)
  • 腸間膜の高エコー:23/83(28.0%)
  • 脾臓内の遊離ガス:2/83(2.4%)
  • 原発性脾臓捻転の診断
  • 開腹時の肉眼的な確認
治療
  • 1頭:脾臓の位置の整復
  • 101頭:脾臓摘出
  • 68/102頭(66.7%)で予防的な胃固定を同時に実施
  • 2/102頭(2%)が麻酔中に心停止で死亡


 

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