ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

小動物臨床の獣医師が、臨床に役立ちそうな論文情報をちょっとづつアップします。ねころんでいても論文検索ができればいいなと。

カテゴリ:

Krainer, Dorothee, and Gilles Dupré.
"Influence of computed tomographic dimensions of the nasopharynx on middle ear effusion and inflammation in pugs and French bulldogs with brachycephalic airway syndrome." 
Veterinary Surgery (2021).


PubMedリンク PMID:33595152
本文:無料公開なし

タイトル:パグとフレンチ・ブルドッグにおけるCTの
鼻咽頭の大きさが中耳滲出液に与える影響

==アブストラクト===
目的:パグとフレンチ・ブルドッグにおける中耳の異常の有病率を比較し、鼻咽頭の大きさが中耳滲出液に与える影響を調べること。

研究デザイン:回顧的研究。

動物:短頭種気道症候群があり、耳疾患の病歴のなり、パグ30頭とフレンチ・ブルドッグ30 頭

方法:CT検査をレビューし、中耳滲出液、粘膜の造影増強効果、骨炎の所見、鼓室壁の肥厚について調べた。軟口蓋の厚みと、耳管開口部レベルでの鼻咽頭の横断面積を測定し、個々の頭蓋骨指数によって標準化したうえで、品種間の統計的比較を行った。中耳の異常と鼻咽頭の大きさの統計的依存性は、スピアマンの順位相関検定を用いて評価した。

結果:中耳滲出液はフレンチ・ブルドッグ17/30頭(56.7%)とパグ5/30頭(16.7%)でみられた。鼓室包の造影増強効果はフレンチ・ブルドッグの耳25/60(41.6%)、パグの耳3/60(5.0%)でみられた。フレンチ・ブルドッグに比べて、パグでは気道の横断面(Δ=0.31cm2、p<0.001)と軟口蓋の厚さ(Δ=0.44cm、p<0.0001)が小さかった。軟口蓋の厚さと鼻咽頭の大きさは、鼓室包滲出液の存在(r=0.324、r=0.198)または造影増強の存在(r=0.270、0.199)と弱い相関を示した。

結論:中耳の滲出液と炎症は、パグよりもフレンチ・ブルドッグでより一般的であり、そえれは鼻咽頭の大きさとは関連していないようだった。

臨床的意義
:短頭種気道症候群のあるフレンチ・ブルドッグは、中耳の滲出液と炎症の素因があるようだ。

Mehrkens, Lea R., et al.
"Experience level as a predictor of entry into the hypotympanum during feline total ear canal ablation and lateral bulla osteotomy."
 
Journal of Feline Medicine and Surgery: 2021.1098612X20983264.


PubMedリンク PMID:33438505
本文:無料公開なし

タイトル:猫の全耳道切除と外側鼓室包骨切り術中の下鼓室への到達の予測としての経験レベル

==アブストラクト===
目的:この研究仮説は以下の通りである;(1)猫の中耳の独特な解剖のために、外耳道の全切除と外側鼓室包骨切り術を行う際に下鼓室に到達する猫は100%を下回る。(2)不完全な中隔の穿孔とそれによる下鼓室への到達の失敗は、経験豊富な外科医に比べて未熟な外科医が行なった手術でより起こりやすく、それは過少認識されているかもしれない。

方法:肉眼的な耳疾患のないことがわかっている猫12頭の死体で頭部CTを行なった。未熟な外科医と経験豊富な外科医は、左または右の耳の全耳道切除/外側鼓室包骨切り術を行うようにランダムに割り付けられた。外科医はお互いの外科技術を知らされなかった。死体のCTは手術後に行われた。十分な中隔の穿孔、下鼓室への到達、および鼓室包骨切り術時の骨除去の量を、CTを用いて未熟な外科医と経験豊富な外科医の間で比較した。

結果
:未熟な外科医が下鼓室へ到達できたのは3/12手技(25%)であり、経験豊富な外科医では9/12手技(75%)であった。経験豊富な外科医は、未熟な外科医よりも骨切りが大きかった(3301mm vs 1376mm、p<0.0023)。外科医の経験にかかわらず、多くの骨切りを行なった手術で、下鼓室への到達が達成された。

Lahiani, Joachim, and Gert W. Niebauer.
"On the nature of canine aural haematoma and its treatment with continuous vacuum drainage." 
Journal of Small Animal Practice 61.3 (2020): 195-201.


PubMedリンク PMID:31975442
本文:無料公開なし

タイトル:犬の耳血腫の性質と持続真空ドレナージによる治療

==アブストラクト===
目的:犬の耳血腫の外科治療として、凸面からの持続真空ドレナージを評価すること。手術中に採取した耳血腫の液体と軟骨のサンプルを調査し、病変の病因を解明すること。

方法:耳血腫のある家庭飼育犬10頭を、様々なタイプのドレーンとコンテナを用いて凸面の真空ドレナージで治療し、6ヶ月以上の追跡を行った。血液サンプルと耳血腫の貯留液を、生化学、血液学、電気泳動の分析をした。軟骨サンプルは組織学的に評価した。

結果:10頭中9頭で、術後6ヶ月間の再発なしで治療が成功し、非常に良好な美容的結果であった。1頭では感染によりドレーンを早期に除去する必要があり、治療の遅れにより耳介のしわが生じた。貯留液のサンプルの分析により、“耳血腫”は軟骨で裏打ちされた空洞内に貯留する漏出液を含むことが示唆された。組織サンプルによって耳介軟骨の裂け目が明らかとなり、空洞内の表面はしばしば肉芽組織で裏打ちされていた。貯留液と軟骨には炎症の所見はなかった。

臨床的意義
:この方法は、患者の快適さ、排液の許容性、包帯が不要、および良好な美容上の結果という特徴があった。貯留液の分析結果からは“耳漿液腫”という用語のほうがこの病態にはより適しているであろうことが示唆される。

Lewis, Tom, Julia Freeman, and Luisa De Risio.
"Decline in prevalence of congenital sensorineural deafness in Dalmatian dogs in the United Kingdom." 
Journal of Veterinary Internal Medicine 34.4 (2020): 1524-1531.


PubMedリンク PMID:32543777
本文:無料公開あり(全文

タイトル:イギリスのダルメシアン犬における先天性感音難聴の有病率の低下

==アブストラクト===
背景:先天性感音難聴はダルメシアン犬で最もよくみられるタイプの難聴である。

目的:イギリスのダルメシアン犬の先天性感音難聴のスクリーニングの結果を遺伝子分析に使用し、この犬種における先天性感音難聴の有病率の経時的な変化を記述すること。

動物:1992年7月から2019年2月のあいだに、脳幹聴覚誘発反応(BAER)を用いて機能的なスクリーニングを行なった合計8955頭のダルメシアンの子犬。

方法:脳幹聴覚誘発反応検査の結果と色素沈着の表現系のデータを、イギリスケンネルクラブのダルメシアン血統データベースに関連づけた。混合モデル解析を用いて、分散パラメータを推定した。

結果:全体の先天性感音難聴の有病率は17.8%(片側性 13.4%、両側性 4.4%)であった。先天性感音難聴の遺伝率は約0.3(モデル全体)であり、有意に>0であった。先天性感音難聴と青い虹彩(+0.6)および頭部の色素班(-0.86)との間の遺伝的な相関は程度が大きく、0とは有意に異なっていた。表現系と遺伝的傾向の大きな改善が同定されたが、これは難聴に対する淘汰の結果であり、先天性感音難聴の遺伝的リスクが最も高い動物の4-5%の交配を避けることに相当する。

結論と臨床的意義
:先天性感音難聴の遺伝的リスクと有病率の減少は、ブリーダーが耳の聴こえる犬を選択してきたことを意味している。推定育種価(EBVs)に基づく選択的な繁殖は、将来的にダルメシアンにおける先天性感音難聴の有病率をさらに低下させるのに役立つ可能性がある。

Milne, Elspeth, et al.
"Cytological and microbiological characteristics of middle ear effusions in brachycephalic dogs." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).

PubMedリンク PMID:32407559
本文:無料公開あり(全文

タイトル:短頭種犬における中耳滲出液の細胞学的および微生物学的特徴

==アブストラクト===
背景:中耳の滲出液は、ヒトの子供における中耳の滲出液と同様に、短頭種犬でもよくみられる。両種では頭蓋と耳管の形態と細菌感染の関連が疑われる。

仮説/目的:犬の中耳算出的の細胞学的および細菌学的な特徴を調べ、組織学的特徴を提供し、さらにヒトの疾患のモデルとしての犬を評価すること。

動物:生存している16頭の犬、中耳滲出液のある死亡症例3頭、対照の死亡症例2頭。

方法:CT、MRI、ビデオ耳鏡検査、鼓膜切開術を用いた前向き臨床調査;30の滲出液の細胞学的評価、28の滲出液の細菌学的評価、および10の中耳切片の免疫組織学的評価(Tリンパ球に対するCD3、Bリンパ球に対するPax5、マクロファージに対するMAC387)を行った。

結果
:生存犬の6/16頭(38%)で滲出液は神経学的障害に関連しており、9/16頭(56%)でアトピー性皮膚炎と外耳炎の併発がみられた。滲出液の培養が陽性か陰性かにかかわらず、細胞診では好中球とマクロファージが細胞診で多くみられた(中央値 60%[範囲2-95.5]、27%[2-96.5])。組織切片では、罹患した犬では粘膜が厚かったが、粘膜下腺の拡張は罹患した犬と罹患していない犬の両方でみられた。浸出的の22/28(79%)で細菌増殖はなかった。他の6(21%)からは細菌が検出され、Staphylococcus pseudintermedius(4/6 67%)が多かった。

結論と臨床的意義
:犬とヒトの中耳滲出液の臨床的、形態学的、および細胞学的所見は同様の病原性を示唆している。犬の中耳滲出液は、滲出液を伴うヒトの中耳炎の有効なモデルとなり得る。これらの比較は種をこえて理解と治療を改善しうる。

Hoppers, Sarrah E., Elizabeth R. May, and Linda A. Frank.
"Feline bilateral inflammatory aural polyps: a descriptive retrospective study."
Veterinary Dermatology.

PubMedリンク PMID:32794342
本文:無料公開なし

タイトル:猫の両側の炎症性耳ポリープ;記述的な回顧的研究

==アブストラクト=== 
背景:ネコ炎症性耳ポリープは孤立性の増殖と報告されているが、これまでの記述よりも両側であることがもっと多いかもしれない。

目的:10年間にわたり獣医教育病院で評価された猫の集団における両側性のネコ炎症性耳ポリープの有病率と関連するリスク因子を同定すること。

動物:組織学的に炎症性耳ポリープと確定された猫25頭。

方法:猫は片側性疾患または両側性疾患のいずれかのグループに分類された。25頭中6頭(24%)が両側性の炎症性耳ポリープであった。 20頭(両側性6頭中4頭、片側性19頭中8頭)がCT検査をうけた。臨床徴候、上気道感染の病歴、治療後の合併症、および再発と、ステロイドの局所投与および全身投与の有無を両グループについて調べ、差は同定されなかった。両側性の猫6頭中4頭で、紹介時に行われた高度画像診断で2番目のポリープが同定された。

結論と臨床的意義
:これらの所見により、両側性の炎症生耳ポリープがこれまでの報告よりもより頻繁に起こることが示され、両側性の有病率が確立された。これらの所見はまた、両側性の炎症性耳ポリープの診断における高度画像診断技術の価値を強調している。 

Gibrann, Castillo, et al.
"Inner Ear Fluid-Attenuated Inversion Recovery MRI Signal Intensity in Dogs With Vestibular Disease." 
Veterinary radiology & ultrasound: the official journal of the American College of Veterinary Radiology and the International Veterinary Radiology Association.

PubMedリンク PMID:32564460
本文:無料公開なし

タイトル
:前庭疾患の犬における内耳のFLAIR MRI信号強度

==アブストラクト=== 
 内耳には内リンパと外リンパが含まれている。後者は比較可能であり、脳脊髄液(CSF)との連続性があり、正常であればFLIAR MRIで抑制されると予測される。内耳のFLAIRの異常は内耳疾患のあるヒトで広く述べられているが、犬における診断的価値は示されていない。この回顧的コホート研究の目的は、前庭疾患の犬におけるFLAIR MRIの診断的有用性を調べることである。


  医療記録の再調査を行い、前庭徴候のために頭部MRIを行った犬101頭を同定した。最終診断をもとに、患者は3つのグループに分類された;中内耳炎、特発性前庭障害、中枢性前庭障害。さらに対照
グループ(n=73)MRIが正常で前庭徴候のない犬を含めた。関心領域(ROI)を用いて内耳を描出し、FLAIRとT2強調像で信号強度を測定した。FLAIRにおける抑制の割合を計算し、一般線形混合モデルを用いて個々の罹患側と非罹患側とを比較し、グループ間でも比較した。抑制と脳脊髄液の細胞数および蛋白濃度との関連を評価した。 

 中内耳炎の犬の罹患した内耳では、罹患してない側に比べて(p<0.001)および他のすべてのグループに比べて(p<0.01)、FLAIRにおける抑制が減少していた。脳脊髄液の結果と抑制の間にには有意な相関は検出されなかった。これらの結果により、罹患した内耳における抑制の欠如による中内耳炎におけるFLAIRの診断的価値が示された。
 

Bacon, N. J., et al.
"Total ear canal ablation in the cat: indications, morbidity and long‐term survival." 
Journal of small animal practice 44.10 (2003): 430-434.

PubMedリンク PMID:14582656
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル
:猫の全耳道切除;適応、罹患率および長期生存

==アブストラクト=== 
44頭の猫で行なった52の全耳道切除についてレビューした。手術の適応は、41%の猫で腫瘍であり、そのうちの86%は耳垢腺癌であった。慢性炎症またはポリープ性疾患は、手術手技の50%を占めた。術後合併症にはホルネル症候群(42%)と顔面神経麻痺(56%)があり、それぞれ14%と28%で永続的なものとなったが、残りは数週間から数ヶ月で解消した。犬と比較して猫でのホルネル症候群と顔面神経麻痺の発生率が高く、それは猫の鼓室神経叢と顔面神経の脆弱性が大きいことに起因している。 耳垢腺癌の猫の中央生存期間は50.3ヶ月であり、炎症性疾患またはポリープ性疾患と有意な差はなかった。この腫瘍における潜在的な予後因子として、有糸分裂指数(mitotic index;MI)があり、MI≦2では、MI≧3よりも有意に長期に生存した。
 

Janssens, Sara DS, Annika N. Haagsman, and Gert Ter Haar.
"Middle ear polyps: results of traction avulsion after a lateral approach to the ear canal in 62 cats (2004–2014)."
 
Journal of feline medicine and surgery 19.8 (2017): 803-808.

PubMedリンク PMID:27550205
本文:無料公開あり(全文

タイトル:中耳のポリープ;猫62頭における耳道への側方アプローチ後の牽引剥離の結果

==アブストラクト=== 
目的:この研究の目的は、猫の耳の炎症性ポリープを耳道への側方アプローチ後に深部の牽引剥離した際の外科的な転帰と合併症を報告することである。

方法
:これは耳道のポリープを耳道側方アプローチ後の牽引剥離による除去によって治療した猫62頭んも電子データベースから収集したデータの回顧的な解析である。長期転帰は飼い主への電話でのアンケート調査によって行なった。

結果
:短毛家庭猫(48%)とメインクーン(37%)が多かった。主な臨床徴候は、耳漏、耳のひっかき、および頭振りであった。すべての患者で、ビデオ耳鏡検査によって耳道内のポリープ状の腫瘤を確定した。62頭すべてで耳道側方アプローチ後の牽引剥離を行ない、平均手術時間は、経験の多い外科医(n=4)で33分、経験の少ない外科医(n=12)で48分であった。ポリープ再増殖の再発率は、経験の多い外科医で14%、経験の少ない外科医で35%であった。術後合併症として、ホルネル症候群(11.5%)と顔面神経麻痺(3%)がみられた。内耳炎はみられなかった。

結論と関連性
: 耳の炎症性ポリープの深部の牽引剥離との組み合わせにおける耳道への側方アプローチは、低い再発率と合併症率の結果となり効果的な第一選択の手法である。
 

==本文から===
図引用:耳道側方アプローチによるポリープの摘出
10.1177_1098612x16660356-fig1

 

Greci, Valentina, Erika Vernia, and Carlo M. Mortellaro.
"Per-endoscopic trans-tympanic traction for the management of feline aural inflammatory polyps: a case review of 37 cats." 
Journal of feline medicine and surgery 16.8 (2014): 645-650.

PubMedリンク PMID:24366845
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル
:猫の耳の炎症性ポリープの治療のための内視鏡的経鼓膜牽引;37頭の症例レビュー

==アブストラクト=== 
猫の耳の炎症性ポリープは、鼓室包またはユースタキー管から発生成長する良性病変である。これらは一般的に若い猫で起こり、外耳炎と中耳炎の徴候、または呼吸器徴候のいずれも示し、それはポリープが成長する方向に依存する。神経学的徴候も報告されている。単純な牽引および腹側鼓室包骨切り術が、猫のこの病態の治療として最も一般的に用いられている手法であり、コルチコステロイドはこの疾患の炎症性の性質による再発のリスクを減らすために推奨されている。治療後の最も一般的な合併症には、ホルネル症候群、ポリープの再発、顔面神経麻痺がある。この報告の目的は、猫の耳の炎症性ポリープに対する内視鏡的経鼓膜牽引術について記述し、この手技の短期および長期の追跡情報について報告することである。

内視鏡的経鼓膜牽引術は、94%の猫において長期予後の平均期間19ヶ月で耳の炎症性ポリープを解消した。3頭(8%)の猫で処置直後にホルネル症候群を発症したが数週間で消失し、5頭(13.5%)で再発した。2頭の予後が悪く、1頭は処置後22ヶ月で慢性中耳炎と診断され、もう1頭は46ヶ月で慢性中耳炎とポリープの再発を診断された。

内視鏡的経鼓膜牽引術は耳の炎症性ポリープの治療として有効な手法であることが示され、神経学的合併症(8%)が腹側鼓室包骨切り術(57-81%)や単純な牽引(43%)に比べて少なく、再発率(13.5%)は腹側鼓室包骨切り術(0-33%)と同等であり、牽引単独(57%)より低かった。 

Oliveira, Cintia R., et al.
"Computed tomographic features of feline nasopharyngeal polyps." 
Veterinary Radiology & Ultrasound 53.4 (2012): 406-411.

PubMedリンク PMID:22548247
本文:無料公開なし

タイトル
:猫の鼻咽頭ポリープのCTの特徴

==アブストラクト=== 
猫13頭における病理組織学的に確定された鼻咽頭ポリープのコンピュータ断層撮影(CT)の所見について記述した。ほとんどのポリープは隣接する筋肉に対して軽度に低減衰で軟部組織に対して同減衰であり(n=13)、均一で(n=12)、造影前の画像で境界不明瞭であった(n=10)。造影剤投与後は、ポリープは均一で(n=11)、境界明瞭であり(n=13)、楕円形で(n=13)、辺縁が増強された(n=13)。鼻咽頭ポリープは11頭で有茎性であり、耳管から鼓室包へ連続する茎状の構造をもっていた。すべての猫は少なくとも一つの鼓室包が重度に罹患しており、CT画像により、(1)背側または腹側区域の軟部組織減衰の物質による
完全(n=12)または部分的(n=1)な閉塞、(2)壁の肥厚を伴う病的な拡張(n=10)(9頭では非対称性)、(3)ポリープ関連の茎状構造物の同定(n=11)、が確認された。9頭の猫では、ポリープと同側の片側性鼓室包疾患がみられ、4頭では両側性の鼓室包疾患がみられ、病理学的な変化は同側が重度で、反対側が軽度であった。2頭の猫では、鼓室包のわずかな骨破壊がみられた。1頭では両側性のリンパ節腫脹がみられた。CTは猫の鼻咽頭ポリープの補助診断のための優れた画像診断ツールである。強い辺縁増強を伴う明瞭な腫瘤、腫瘤に関連した茎状構造物、および病的な鼓室包の拡張を伴う非対称性性の鼓室包の肥厚といったCT所見は、炎症性ポリープを強く示唆している。

Anders, Brendan B., et al.
"Analysis of auditory and neurologic effects associated with ventral bulla osteotomy for removal of inflammatory polyps or nasopharyngeal masses in cats."
Journal of the American veterinary medical association 233.4 (2008): 580-585.

PubMedリンク PMID:18710312
本文:無料公開なし

タイトル:猫の炎症性ポリープまたは鼻咽頭ポリープの除去のための腹側鼓室包骨切り術に関連した聴覚および神経学的な影響の解析

==アブストラクト=== 
目的: 炎症性ポリープまたは鼻咽頭ポリープの除去のための腹側鼓室包骨切り術を行なった猫に聴力に変化があるかどうかを調べ、ポリープまたは腫瘤の除去が空気伝導脳幹聴覚誘発反応(BAER)によって測定される聴覚機能に影響を与えるかどうかを調べること。

デザイン:前向き症例シリーズ。

動物:猫21頭。

方法:猫は鎮静をかけて口腔内と耳を調べ、鼻咽頭ポリープの存在を確定した。BAER検査は腹側鼓室包骨切り術および腫瘤またはポリープの除去の完了直前と直後に行なった。鎮静下の猫の耳検査とBAERを含む再評価を、可能な場合に行なった。

結果:17頭が最終的な組み入れ基準を満たし、15頭で長期的な追跡が可能だった。17頭中6頭では、手術前の空気伝導BAERによる測定で難聴であった。 追跡期間の平均は161日であり、いずれの猫も術前の聴覚の状態から変化はなかった。17頭中11頭で、手術直後に片側性のホルネル症候群を発症し、16頭中1頭でポリープの再増殖がみられた。

結論と臨床的意義:この結果から、猫において炎症性ポリープまたは腫瘤の除去のための腹側鼓室包骨切り術 は、空気伝導BAERによって測定される聴力に影響を与えないようであった。多くの猫が短期間のホルネル症候群を発症した。術前から難聴の猫は聴覚機能を再獲得することはなかった。鼻咽頭ポリープまたは腫瘤を除去するための腹側鼓室包骨切り術は、他の手術法と比較して、聴力を回復するための機能的な利点はなかった。ポリープの再発および長期的な有害事象はまれだった。
 

Veir, J. K., et al.
"Feline inflammatory polyps: historical, clinical, and PCR findings for feline calici virus and feline herpes virus-1 in 28 cases."
 
Journal of feline medicine and surgery 4.4 (2002): 195-199.

PubMedリンク PMID:12468312
本文:無料公開なし

タイトル
:猫の炎症性ポリープ;猫カリシウイルスと猫ヘルペスウイルス-1に対する組織学的、臨床的、およびPCRの所見;28症例

==アブストラクト=== 
炎症性ポリープは猫の耳または鼻咽頭の重要な疾患と関連している。慢性のウイルス感染が腫瘤を誘導する可能性が提案されている。腹側鼓室包骨切り術(VBO)が治療として通常は推奨されるが、鼻咽頭または外耳道から牽引や剥離によって腫瘤を除去する方法も用いられる。炎症性ポリープのある猫28頭の回顧的研究を行い、治療方法と再発の関係を調べた。41個のポリープから得られた組織で、RT-PCRとPCRを用いて猫カリシウイルスと猫ヘルペスウイルス-1の活性を調べた。最初に牽引/剥離によって治療された猫14頭のうち、レントゲンで鼓室包の疾患の所見がある9頭中5頭で再発が検出され、鼓室包が正常な猫では再発はみられなかった。牽引/剥離は、レントゲンで鼓室包が正常な場合には、炎症性ポリープのリーズナブルな治療法である。猫カリシウイルスと猫ヘルペスウイルス-1の検出には失敗し、これは炎症性ポリープの発症にこれらのウイルスが関与していないことを示唆している。

Kent, M., et al.
"Prevalence of effusion in the tympanic cavity in dogs with dysfunction of the trigeminal nerve: 18 cases (2004–2013)." 
Journal of veterinary internal medicine 27.5 (2013): 1153-1158.

PubMedリンク PMID:23875748
本文:無料公開あり(全文

タイトル:三叉神経機能の機能障害のある犬における鼓室包の滲出液の有病率

==アブストラクト===
背景
:三叉神経もしくはその脳幹の核に関連する機能障害のある動物では、神経学的障害のある側と同側の鼓室包内の滲出液があり得る。三叉神経の下顎枝に支配されている口蓋帆張筋は、耳管の咽頭開口部を広げる。 口蓋帆張筋の除神経により、耳管の機能障害は起こり得、滲出液を導く可能性がある。

仮説/目的:三叉神経に関連する障害のある犬における鼓室包内の滲出液の罹患率を調べること。

動物:18頭の家庭犬を回顧的に評価した。

方法:回顧的研究。

結果:画像診断データベースを検索し、三叉神経の機能障害に関する徴候のためにMRIを行った犬について調べた。シグナルメントと神経学的検査所見を記録した。MRIでは滲出液の有無を評価した。罹患した三叉神経と咀嚼筋のMRIの特徴について記録した。三叉神経の病変の部位に基づき、犬を3つのカテゴリーに分類した;脳幹、三叉神経管、頭蓋外。18頭の犬が組み入れ基準を満たした。18頭中6頭(33%)で、罹患した三叉神経と同側の鼓室包内の滲出液がみられた。

結論と臨床的重要性
:三叉神経が罹患する病変を持つ犬のかなりの割合で、鼓室包内の滲出液があった。この所見は、おそらく口蓋帆張筋の神経支配の除去を表しており、それは耳管の機能障害を導くのかもしれない。


==訳者コメント===
三叉神経の障害のない犬で鼓室包内の滲出液貯留がどの程度あるのか、を調べて比較しないと、今回のみられた有病率が高いのかどうか判断できないですね。


 

Hardie, Elizabeth M., Keith E. Linder, and Anthony P. Pease.
"Aural cholesteatoma in twenty dogs." 
Veterinary surgery 37.8 (2008): 763-770.

PubMedリンク PMID:19121172
本文:無料公開なし

タイトル:耳の真珠腫の犬20例

==アブストラクト===
目的
:耳の真珠腫のある犬の臨床経過を調べること

研究デザイン:症例シリーズ

方法:症例レビュー(1998-2007年)

結果:20頭の犬が同定された。慢性外耳炎以外の臨床徴候としては、斜頸(6頭)、片側の顔面麻痺(4)、開口の痛みまたは開口不能(4)、運動失調(3)があった。コンピュータ断層撮影(CT)は19頭に行われ、骨増生(13)、鼓室包の融解(12)、鼓室包の拡張(11)、側頭骨の鱗部または錐体部の骨融解(4)、関連したリンパ節の腫大(7)、がみられた。19頭で全耳道切除/側方鼓室包切開または腹側鼓室包切開が、治癒を目的として行われ、9頭ではそれ以上の中耳疾患の徴候はなかったが、10頭では臨床徴候の持続または再発がみられた。術後の再発に関するリスク因子は、入院時の開口障害または神経学的徴候、およびCTでの側頭骨のいずれかの骨の融解だあった。入院時に神経学的徴候または開口障害がある犬の中央生存期間は16ヶ月であった。

結論
:耳の真珠腫の早期の外科治療は治癒的であり得る。手術後の再発は進行した病態と関連しており、それは典型的には開口障害、神経疾患、またはCTによる骨融解によって示される。
 

Palmeiro, Brian S., et al.
"Evaluation of outcome of otitis media after lavage of the tympanic bulla and long-term antimicrobial drug treatment in dogs: 44 cases (1998–2002)." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 225.4 (2004): 548-553.

PubMedリンク PMID:15344362
本文:無料公開なし

タイトル
:犬の鼓室包洗浄洗浄と長期の抗菌薬治療後の転帰の評価;44症例(1998-2002)

==アブストラクト===
 目的
:鼓室包のビデオ耳鏡洗浄と長期の抗菌薬治療を行ったあとの犬における中耳炎の転帰について評価すること。

デザイン
:回顧的研究。

動物
:大学紹介病院で中耳炎の治療をした犬44頭。

方法
:医療記録を、シグナルメント、耳道疾患の期間、以前の内科治療、皮膚科学的診断、耳道浸出液の細胞診と微生物培養の結果、ビデオ耳鏡検査中の初見、内科治療、解消までの日数、処方された維持治療について再調査した。4つのうけい独立した変数(年齢、紹介前の耳道疾患の期間、治療計画におけるコルチコステロイドの使用、緑膿菌による感染)を、解消までの時間に対する潜在的な影響について統計学的に評価した。

結果
:紹介以前の自動疾患の期間の平均±SD(範囲)は24.9±21.6(3〜84)ヶ月であった。36頭で中耳炎は鼓室包の洗浄と内科治療ののちに改善し、改善までの期間の平均±SD(範囲)は117±86.7(30〜360)日であった。改善までの期間は、評価された各変数によって有意な影響をうけることはなかった。3頭が追跡不能となり、4頭は最終的に外科的な介入を必要とした、耳炎が改善した36頭中7頭で再発がみられ、4頭では追加の洗浄処置を必要とした。

結論と臨床的意義
:この結果は鼓室包の洗浄と内科治療の組み合わせが、犬の中耳炎の治療オプションとして有効で実現可能な方法であることを示唆している。
 

Sturges, Beverly K., et al.
"Clinical signs, magnetic resonance imaging features, and outcome after surgical and medical treatment of otogenic intracranial infection in 11 cats and 4 dogs." 
Journal of veterinary internal medicine 20.3 (2006): 648-656.

PubMedリンク PMID:16734103
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:11頭の猫と4頭の犬における耳性頭蓋内感染についての臨床兆候、MRIの特徴、および外科・内科治療後の転帰

==アブストラクト===
中枢への感染の波及によって起こる脳幹の機能不全は、中内耳炎における命に関わる合併症であり、犬と猫で稀に述べられている。 

我々は、犬と猫の耳性頭蓋内感染に起因する脳幹障害について、臨床徴候、診断所見、および外科的・内科的に治療した結果について再調査した。

11頭の猫と4頭の犬が、急性、亜急性、または慢性の脳疾患の臨床徴候(中枢性前庭徴候、意識障害、異常な姿勢/歩行、脳神経障害、発作)のために検査をうけた。ミニマルデータベース(CBC、血清化学パネル、尿検査、胸部レントゲン、腹部超音波検査またはレントゲン)は、すべての動物で参照範囲内であった。頭部の磁気共鳴(MR)画像がすべての動物で得られ、猫11頭中9頭、犬4頭中3頭で脳脊髄液(CSF)の検査が行われた。外科的な探索と腹側鼓室包切開が、15頭中12頭で行われ、その後に続く1-3ヶ月間の抗菌薬治療が行われた。残りの動物は治療の前に安楽死された。すべての動物で、MRIは頭蓋内および中内耳の構造の病的な変化の部位と広がりを調べるのに有効であった。CSF分析の結果では、急性もしくは亜急性の疾患をもつ動物のほとんどで細菌感染の特徴があった。

治療を行ったすべての動物で長期的な転帰は非常に良好であることから、中内耳炎の波及による頭蓋内の二次的病変をもつ犬と猫は、病態が診断され、外科的探索および適切な抗菌薬治療が行われた場合に、良好から非常に良好な予後であると結論づけた。
 

Paterson, S.
"Brainstem auditory evoked responses in 37 dogs with otitis media before and after topical therapy."
 
Journal of Small Animal Practice (2017).

PubMedリンク PMID:28718886
本文:無料公開あり?(PDF
※ PubMedでのfreeの表示はないがWiley Onlineではfreeになっている

タイトル:中耳炎の犬37頭における局所治療前後での脳幹聴覚誘発反応 

==アブストラクト===
目的
:この研究の目的は、マルボフロキサシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、チカルシリンの水溶液の耳内投与(オフライセンス使用)が聴覚の変化と関連していたかを脳幹聴覚誘発反応による測定によって決定することである。

方法: 中耳炎と診断した犬(n=37)に脳幹聴覚誘発反応試験を行い、ついで耳の疾患の治療を行なった。まず外耳道と中耳を滅菌生理食塩水で洗浄し、そのあとに0.15%クロルヘキシジンを含むEDTAトリスで洗浄した。そしてEDTAトリスの水溶液に混じた水溶性の抗菌薬の組み合わせを中耳に注入した。それぞれの犬にフォローアップの検査を行い、感染性生物もしくは炎症浸潤がなくなるまで治療を続けた。感染がなくなり治療を中止した後に、脳幹聴覚誘発反応試験を繰り返した。

結果:マルボフロキサシンまたはゲンタマイシンの水溶液で治療した犬の脳幹聴覚誘発反応は変化なしか改善したが、チカルシリンまたはトブラマイシンで治療した犬では障害をうけた。

臨床的重要性
: 中耳炎の症例で、局所抗菌薬のオフライセンス使用が必要と考えられる場合、マルボフロキサシンおよびゲンタマイシンの水溶液は、チカルシリンまたはトブラマイシンの水溶液よりも聴覚毒性が低いようである。


==本文から==
利益相反:著者はVetruusの獣医学顧問であり、過去2年間に
Dechra Animal HealthとElancoからコンサルタント料を受け取っている。

 

Mielke, Ben, Richard Lam, and Gert Ter Haar.
"Computed tomographic morphometry of tympanic bulla shape and position in brachycephalic and mesaticephalic dog breeds." 
Veterinary Radiology & Ultrasound 58.5 (2017): 552-558.

PubMedリンク
本文:無料公開なし

タイトル: 短頭種犬と中頭種犬における鼓室胞の形状と位置のCT形態計測

==アブストラクト===
 頭蓋骨の形態の解剖学的バリエーションは、主に
短頭種について記載されてきた。しかし鼓室胞の形態について犬種間のバリエーションの情報はほとんどない。

 この回顧的観察研究の目的は
(1)短頭種4品種(パグ、フレンチブルドッグ、イングリッシュブルドッグ、キャバリアキングチャールズスパニエル)と中頭種2品種(ラブラドールレトリバー、ジャックラッセルテリア)を代表する犬のサンプルにおいて、鼓室胞のCT形態の詳細な記述を提供すること
(2)鼓室胞の形態と中耳の液体貯留の関連についての試験

 保存されている上記犬種の頭部のCTスキャンを収集し、一人の観察者が鼓室胞の形状(幅/高さ比)、壁の厚み、顎関節との相対的な位置、相対容積(容積/体重比)を測定した。全部で127頭の犬がサンプルとなった。キャバリアは、パグ、イングリッシュブルドッグ、ラブラドールレトリバー、ジャックラッセルテリアと比較して、有意に平べったい鼓室胞であった(幅/高さ比が大きい)。フレンチブルドッグとパグは、他の犬種と比較して鼓室胞と顎関節が有意に重複していた。短頭種絵はラブラドールレトリバーと比較して鼓室胞容積/体重比が有意に小さかった。短頭種の100頭中48頭(48%)で中耳に軟部組織の貯留物質(中耳滲出液)が存在したが、CTでの鼓室胞の計測とこの物質の貯留には有意な関連は見出せなかった。

 これらの所見は鼓室胞の形態には犬種間で有意なバリエーションがあるが、鼓室胞の形態と中耳滲出液の存在については有意な関連はない可能性が示された。

==訳者コメント===
  • 短頭種の鼓室胞の形態を示すには良い報告のように思いますが、短頭種が100頭に対して中頭種が27頭となっているようなので、比較をするには対照群が少ないように思います。
  • なぜラブラドールとジャックラッセルだけが選ばれたのか?対照群がこんなに少ないのか?という疑問が残ります。(本文には書いてあるのかもしれませんが)
 

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