ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

小動物臨床の獣医師が、臨床に役立ちそうな論文情報をちょっとづつアップします。ねころんでいても論文検索ができればいいなと。

カテゴリ: 手術合併症

Putterman, Allison B., et al.
"Influence of normograde versus retrograde catheterization of bile ducts in dogs treated for gallbladder mucocele."
 
Veterinary Surgery (2021).


PubMedリンク PMID:33797102
本文:無料公開なし

タイトル:胆嚢粘液嚢腫の治療をうけた犬における順行性または逆行性のカテーテル挿入の影響

==アブストラクト===
目的:胆嚢粘液嚢腫を開腹下の胆嚢摘出で治療された犬における胆嚢管と総胆管への順行性または逆行性のカテーテル挿入の影響を調べること。

研究デザイン:回顧的研究。

動物:胆嚢粘液嚢腫の犬117頭。

方法:医療記録をレビューし、シグナルメント、病歴、臨床検査所見、画像診断所見、カテーテル法、合併症、転帰を含む手術所見について調べた。長期のフォローアップデータを電話もしくは電子メールで取得した。カテーテル法と臨床項目と転帰の関連を評価した。

結果
:逆行性のカテーテル挿入を行った犬は、持続的な消化器徴候(p=0.0003)を含むいずれの術後合併症(P-0.0004)がより多かった。生存退院と長期生存は、グループ間で差はなかった(p=0.23、0.49)。総ビリルビン値は逆行性カテーテル後の39.1%と順行性カテーテル後の70.3%で減少し(P=0.03)、逆行性カテーテル後の38.0%と順行性カテーテル後の14.9%で増加した(p=0.004)。手術時の外科専門医の存在は、いずれの周術期および術後の合併症を減少させた(p=0.003、0.05)。

結論:逆行性カテーテル法は順行性カテーテル法よりもより多くの術後合併症と関連したが、生存期間は同等だった。合併症を減らすためには胆道系手術の経験のある専門医が行うべきである。

臨床的意義
:胆嚢管と総胆管への順行性および逆行性のカテーテル法は、胆嚢粘液嚢腫の治療における死亡率の低い選択肢であるが、この研究の結果は逆行性よりも順行性を推奨するいくつかの根拠を示した。

Piegols, Hunter J., et al.
"Association between biliary tree manipulation and outcome in dogs undergoing cholecystectomy for gallbladder mucocele: A multi‐institutional retrospective study."
Veterinary Surgery (2020).


PubMedリンク PMID:
33226153
本文:無料公開なし

タイトル:胆嚢粘液嚢腫のために胆嚢摘出をおこなった犬における胆道系の操作と転帰との関連;多施設回顧的研究

==アブストラクト===
目的:総胆管へのカテーテル挿入が胆嚢粘液嚢腫で胆嚢摘出を行った犬における転帰と関連しているかどうかを調べ、この関連がカテーテル挿入の方法によって変わるかどうかを調べること。

研究デザイン:多施設回顧的コホート研究。

動物:胆嚢粘液嚢腫で胆嚢摘出術をうけた犬252頭。

方法:獣医教育病院の電子医療記録を調べて犬を特定した。ベースラインの犬の特性、手術所見、順行性vs逆行性の総胆管カテーテル挿入、術中の結果、および術後の結果、合併症について記録した。カテーテル挿入を行った犬と行わなかった犬とで、各項目を比較した。

結果:カテーテル挿入を行った犬じゃASAスコアが高く(p=0.04)、総ビリルビン値が高く(p=0.01)、手術時点で総胆管が拡張していることが多かった(p<0.01)。術中の重篤/軽度な合併症の発生は、2つのグループ間で類似していた。手術時間は、カテーテル挿入群の方が長かった(p=0.01)。全体の術後合併症の発生は、グループ間で類似していたが、術後膵炎は総胆管カテーテル法の実施と関連していた(p=0.01)。この関連は、ベースラインでのグループ間の差についての多変量モデルにおいても独立した関連があった(p=0.04)。術後膵炎の起こしやすさは、順行性カテーテルと逆行性カテーテル群で差はなかった(p=57)。

結論:総胆管のカテーテル挿入は術後膵炎の発症と関連していた。これはカテーテルの挿入方法には影響されなかった。

臨床的意義
:犬の開腹下胆嚢摘出時の総胆管のカテーテル挿入の必要性は、その手技が術後の膵炎を誘発する可能性があるため、特に胆管閉塞の所見のない犬では注意して検討すべきである。

Nutt, Anna E., et al.
"Influence of muscle‐sparing lateral thoracotomy on postoperative pain and lameness: A randomized clinical trial." 
Veterinary Surgery (2021).


PubMedリンク PMID:
33586796
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル:筋肉温存側方開胸術が術後の痛みと跛行に与える影響;ランダム化臨床試験

==アブストラクト===
目的
:犬における筋肉温存側方開胸術と標準的な側方開胸術後の跛行の程度と痛みレベルを評価すること。

研究デザイン
:ランダム化盲検前向き研究。

動物
:家庭飼育犬28頭。

方法
:筋肉温存側方開胸術のグループの犬では広背筋を牽引し、標準的側方開胸術のグループの犬では広背筋を切開した。手術前24時間以内、術後3日、術後8-12週間で、跛行についてフォースプレートを用いて評価し、鉛直力対称性指数のピークを計算した。対称性指数と略式グラスゴー複合測定疼痛スケールで測定した痛みスコアを、主要アウトカムとして評価した。

結果
:全ての犬で、術後3日の対称性指数は、手術前のものよりも低く、手術側と同側の前肢跛行と一致した(p<0.001)。術前と術後3日の対称性指数絶対値の差は、この変化が筋肉温存側方開胸術を行った後の犬よりも、標準的側方開胸術を行った後の犬ほ方が3.1倍大きかったという根拠を示した(p=0.009)。手術後1日目の痛みスコアは、標準的側方開胸術(2.5)よりも筋肉温存側方開胸術(1)の方が低かった(p<0.001)。

結論
:側方開胸術は術後の疼痛と同側前肢の跛行を招き、それは広背筋を温存することで軽減する。

臨床的意義
:側方開胸術を行う犬では、手術直後の合併症を減らすために、広背筋の温存を考慮すべきである。

Plater, B. L., and V. J. Lipscomb.
"Treatment and outcomes of ureter injuries due to ovariohysterectomy complications in cats and dogs." 
Journal of Small Animal Practice 61.3 (2020): 170-176.


PubMedリンク PMID:31960426
本文:無料公開なし

タイトル:犬と猫の卵巣子宮摘出術の合併症による尿管損傷の治療と転帰

==アブストラクト===
目的:犬と猫の卵巣子宮摘出術の結果による片側および両側の尿管損傷の徴候、治療、転帰について記述すること。

方法:卵巣子宮摘出術の合併症の結果として尿管損傷のある犬と猫についての回顧的症例シリーズ。患者のシグナルメント、病歴、来院時の臨床徴候、臨床病理、画像、診断、治療、および転帰についてを医療記録と飼い主への電話連絡から得た。

結果:雌猫14頭と雌犬5頭が組み入れられた。11頭(58%)は卵巣子宮摘出術の直度から臨床徴候を示し、6頭は臨床徴候の発症の中央値が3日(範囲1-16日)であり、2頭(10%)は術中に合併症がわかりただちに紹介された。両側損傷の動物7頭中5頭が無尿で来院した。3頭が根治的手術なしに死亡または安楽死された。外科的修復として、尿管膀胱新吻合術(猫8、犬1)、尿管腎臓摘出術(猫4、犬2)、皮下尿管バイパス(SUB)設置術(猫3)、尿管ステント(猫1)が行われた。手術をうけた16頭中、7頭(44%)が退院し、1回以上の追加手術を必要とする重大な合併症を経験した。全体の転帰は13頭(68%)で優良、1頭(5%)で良好、1頭(5%)で普通、4頭(22%)で不良であった。

臨床的意義
:尿管損傷の重要な指標は、卵巣子宮摘出術後に動物が正常に回復しないか、短期に悪化するかである。両側の尿管損傷をおった動物は無尿になりやすい。外科治療後には優良な転帰の可能性がある。

Chik, Colin, et al.
"Therapeutic use of tetrasodium ethylenediaminetetraacetic acid solution for treatment of subcutaneous ureteral bypass device mineralization in cats."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine 33.5 (2019): 2124-2132.

PubMedリンク PMID:31386229
本文:無料公開あり(全文

タイトル:猫の皮下尿管バイパスデバイスの石灰化の治療のためのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウムの治療的使用

==アブストラクト=== 
背景:皮下尿管バイパス(SUB)デバイスの設置は、猫の尿管閉塞の減圧のための治療としてますます一般的になっている。石灰化によるデバイスの閉塞は少数の症例で起こるが、 最も一般的な合併症である。

目的
:SUBを設置した猫の石灰化閉塞の治療のための2%エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(tEDTA)溶液を評価すること。

動物:家庭飼育猫6頭(閉塞したデバイス8個)。

方法:症例シリーズ。それぞれの猫で、超音波検査、SUBの灌流、およびデバイスの閉塞の他の原因がないこと、の組み合わせをもとにデバイスの閉塞を確認した。それぞれのSUBは、排液され、滅菌生食を用いて灌流し、1-2mlの2%tEDTA溶液を注入した。超音波検査による洗浄中とその後の流れの視覚的な正常化をもって成功と定義した。tEDTA点滴注入の量と頻度、デバイスの開通性の達成までの時間、生化学と超音波所見のフォローアップ、およびその後の再閉塞の発生、について記録した。

結果:石灰化の消失が8頭すべてで記録された。再閉塞は2頭でみられた、追加のtEDTAの注入で消失したが、1頭は最終的に最初のtEDTAの注入から356日でデバイスの交換が必要となった。1頭では、1.25mlのtEDTA注入後に腎盂の拡張が持続したため、単回の注入は早期に中止した。合併症は観察されなかった。

結論と臨床的意義
:tEDTAの注入は、猫のSUBデバイスの石灰化の治療オプションとして安全に考慮することができる。この溶液は注入が容易で、よく許容され、使用された猫の大部分でSUBデバイスの交換の必要性を回避した。
 

Guieu, Liz-Valérie S., et al.
"Evaluation of peripheral blood and abdominal fluid variables as predictors of intestinal surgical site failure in dogs with septic peritonitis following celiotomy and the placement of closed-suction abdominal drains." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 249.5 (2016): 515-525.

PubMedリンク PMID:27556266
本文:googlescholar経由で入手可能(全文)

タイトル:開腹術と閉鎖吸引腹腔ドレーンの設置の後の敗血症性腹膜炎のある犬における腸管手術の失敗を予測するための末梢血および腹水の項目の評価

==アブストラクト=== 
目的
開腹術と閉鎖吸引腹腔ドレーンの設置の後の敗血症性腹膜炎のある犬における腸管手術の失敗の予測としての末梢血および腹水の変数を評価すること。

デザイン:前向き研究。

動物:開腹術と閉鎖吸引腹腔ドレーンの設置を行なった犬26頭。

方法:腹水と血液のサンプルを、手術前とドレーンを除去するまで毎日、収集した。腹水はドレーンを通じて採取した。すべてのサンプルは、pH、PCO2、PO2、PCV、白血球数、およびそう固形分、グルコース、乳酸、電解質の濃度のについての解析を行なった。腹水サンプルは、細胞学的評価と細菌培養も行い、ドレーンから回収される腹水の量も毎日記録した。血液-腹水グルコースおよび乳酸濃度差、腹水-血液乳酸比、血液-腹水白血球比および好中球比についても毎日算出した。犬は、問題なく回復したか、術後敗血症性腹膜炎を発症したかどうかによって、2つのグループに分類された。

結果:23頭の犬が問題なく回復し、3頭が術後敗血症性腹膜炎を発症した。術後敗血症性腹膜炎に犬では問題なく回復した犬と比べて、手術後3日目、腹水の白血球数は有意に低値となり、血液-腹水白血球比と好中球比は有意に高くなった。2つのグループ間で評価された他の血液および腹水の項目で有意な差はなかった。

結論と臨床的意義
:この結果は、閉鎖吸引腹腔ドレーンをいれた犬において術後敗血症性腹膜炎に客観的な予測指標を特定することができなかった。術後敗血症性腹膜炎の予測指標としての血液-腹水白血球比と好中球比についてはさらなる調査を必要とする。

Szabo, Stephanie D., et al.
"Evaluation of postceliotomy peritoneal drain fluid volume, cytology, and blood‐to‐peritoneal fluid lactate and glucose differences in normal dogs."
 
Veterinary Surgery 40.4 (2011): 444-449.

PubMedリンク PMID:21466565
本文:無料公開なし

タイトル:正常な犬における開腹手術後の腹腔ドレーンの液量、細胞診、および血液-腹水の乳酸とグルコースの差についての評価

==アブストラクト=== 
目的
正常な犬で試験開腹手術を行なったあとの、腹腔ドレーンの液量、腹水の細胞診、および血液-腹水の乳酸とグルコースの差について記述すること。

研究デザイン:前向き研究。

動物:健康なビーグル犬(n=10)。

方法:試験開腹手術後に、腹腔内ドレーンを設置し、6時間ごとの腹水を7日間に渡り記録した。腹水は細胞診検査に提出され、腹水中と血中のグルコースと乳酸の濃度を12時間ごとに記録した。7日目にドレーンを除去し、ドレーンの先端を好気細菌培養に提出した。

結果:腹水の平均量は、2.8ml/kg/day(1日目)から0.6ml/kg(7日目)まで減少した。すべての犬で、7日間にわたり腹水中に変性好中球がみられた。4頭でドレーンの感染を発症した。血液-腹水グルコース濃度差>20mg/dlは、4日目以降にみられた。7日目までに開通性のあるドレーンのある犬7頭中5頭で、血液-腹水乳酸濃度差が<-2mmol/Lとなった。

結論
:4日目以降、血液-腹水グルコース濃度差は、過去に報告された犬の敗血症性腹膜炎の診断に使用された値をもとにした敗血症性浸出液のものとと一致した。血液-腹水乳酸濃度差は様々であったが、4日目以降には>70%の犬で、各日ともに敗血症性腹膜炎のものと一致した。閉鎖式吸引ドレーンで採取された腹水を評価する際には、術後の血液-腹水グルコースおよび乳酸差は、敗血症性腹膜炎の信頼できる指標にはならないかもしれない。

 

Bacon, N. J., et al.
"Total ear canal ablation in the cat: indications, morbidity and long‐term survival." 
Journal of small animal practice 44.10 (2003): 430-434.

PubMedリンク PMID:14582656
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル
:猫の全耳道切除;適応、罹患率および長期生存

==アブストラクト=== 
44頭の猫で行なった52の全耳道切除についてレビューした。手術の適応は、41%の猫で腫瘍であり、そのうちの86%は耳垢腺癌であった。慢性炎症またはポリープ性疾患は、手術手技の50%を占めた。術後合併症にはホルネル症候群(42%)と顔面神経麻痺(56%)があり、それぞれ14%と28%で永続的なものとなったが、残りは数週間から数ヶ月で解消した。犬と比較して猫でのホルネル症候群と顔面神経麻痺の発生率が高く、それは猫の鼓室神経叢と顔面神経の脆弱性が大きいことに起因している。 耳垢腺癌の猫の中央生存期間は50.3ヶ月であり、炎症性疾患またはポリープ性疾患と有意な差はなかった。この腫瘍における潜在的な予後因子として、有糸分裂指数(mitotic index;MI)があり、MI≦2では、MI≧3よりも有意に長期に生存した。
 

Meakin, L. B., et al.
"Prevalence, outcome and risk factors for postoperative pyothorax in 232 dogs undergoing thoracic surgery."
 
Journal of Small Animal Practice 54.6 (2013): 313-317.

PubMedリンク PMID:23581608
本文:無料公開あり(全文

タイトル:
胸部外科を行なった犬232頭における術後膿胸の発生率、転帰、およびリスク因子

==アブストラクト=== 
目的
: 胸部外科を行なった犬における術後の膿胸の発生率、転帰、およびリスク因子を調べること。

方法
:症例記録を回顧的に再調査し、胸部外科術後の膿胸(細胞診および/または細菌培養をもとにした胸腔内の細菌性好中球性炎症と定義)のある犬を同定した。同定された犬たちは、生物学的な妥当性および以前に公表されたデータに基づいた術後膿胸の潜在的なリスク因子について再調査された。これらの潜在的なリスク因子は多変量ロジスティック回帰によって調査された。

結果
:胸部外科を行なった犬232頭中、15頭(6.5%)で膿胸が発生した。細菌培養ではメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA9と多剤耐性大腸菌が含まれた。それらの犬のうち6頭が死亡し、4頭が安楽死され、5頭は治療が成功した。特発性乳糜胸(オッズ比=12.5、95%信頼区間(CI)=2.7-58.5、p=0.001)、術前の胸腔内バイオプシー(オッズ比=14.5、95%CI=1.7-118.7、p=0.014)、および術前の胸腔穿刺(オッズ比=11.2、95%CI=1.6-78.2、p=0.015)が、術後膿胸の発症に対する独立したリスク因子として同定された。

臨床的意義
:特発性乳糜胸、胸腔内のバイオプシーおよび術前の胸腔穿刺は術後膿胸に対する独立したリスク因子であり、術後膿胸は死亡率67%と関連した。
 

Grant, David C., Tisha AM Harper, and Stephen R. Werre.
"Frequency of incomplete urolith removal, complications, and diagnostic imaging following cystotomy for removal of uroliths from the lower urinary tract in dogs: 128 cases (1994–2006)."
 
Journal of the American Veterinary Medical Association 236.7 (2010): 763-766.

PubMedリンク PMID:20367043
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル:犬の下部尿路から結石を除去したあとの結石の不完全除去の割合、合併症、および画像診断;128症例(1994ー2006年)
 

==アブストラクト===
目的:犬の膀胱結石と尿道結石の完全な除去に対しての膀胱切開の有効性、完全な結石の除去を立証するために行われた画像診断のタイプと頻度、膀胱切開の結果として起こった合併症、およびこれらの項目の予測因子を決定すること。

デザイン:回顧的症例シリーズ。

動物:1994年から2006年の間に膀胱結石、尿道結石、またはその両方の除去のために膀胱切開を行なった犬128頭。

方法:医療記録から以下のデータを収集した;性別、体重、術前と術後の画像診断で特定された下部尿路結石の数と位置、結石の検出に用いた画像のタイプ、膀胱切開で回収された尿石の数、定量的な尿石組成、および膀胱切開による主要な合併症。膀胱切開が成功したか失敗したか、および適切な画像診断がなされたかどうか、を判断するために客観的基準を適応した。可能性のある予後因子と転帰との間の関連を統計学的に評価した。

結果:膀胱切開の有効性は44頭(34%)の犬で確認され、うち9頭(20%)は尿石の除去が不完全であった。術後の適切な画像診断は19頭(15%)でしか行われておらず、そのうち8頭で不完全な除去であった。尿道結石と膀胱結石の両方ある犬では、尿道結石または膀胱結石のどちらかしかない犬よりも膀胱切開が失敗しやすかった。合併症は5頭(4%)の犬で起こった。

結論と臨床的関連
:膀胱切開は、ほとんどの犬で下部尿路結成の除去に安全で有効性な外科手技であった。かなりの割合の犬ですべての尿石を取り除くことができなかった。
 

Tarricone, Jason, et al.
"Development and validation of a brachycephalic risk (BRisk) score to predict the risk of complications in dogs presenting for surgical treatment of brachycephalic obstructive airway syndrome."
 
Veterinary Surgery (2019).

PubMedリンク PMID:31350865
本文:無料公開なし

タイトル:短頭種閉塞性気道症候群の外科的治療のために来院した犬における合併症のリスクを予測するための短頭種リスクスコアの開発と検証。

==アブストラクト===
目的:短頭種閉塞性気道症候群の矯正手術を行なった犬において重篤な合併症または死亡のリスクを客観的かつ正確に予測するための術前の短頭種リスクスコアを開発し検証すること。

研究デザイン:回顧的多施設コホート研究。

対象集団:スコアの開発に犬233頭、検証に犬50頭。

方法:シグナルメント、病歴、来院理由、身体検査、および術前診断所見についての情報を収集した。一次アウトカムとして重篤なな合併症(術後48時間以上の酸素供給が必要、または術後の一時気管切開/永久気管切開が必要)または入院期間中の死亡を計測した。2つの動物病院からのデータを使ってスコアを開発し、3つめの病院で検証した。犬種、過去の手術歴、同時に行なった処置、ボディーコンディションスコア、気道の状況、および入院時の直腸温を基にして10点制の短頭種リスクスコアをモデルを作成した。

結果:スコアは、負のアウトカムに関連しており(p<0.0001)、構成(受信者操作特性下面積[AUROC]=0.83)と検証グループ(AUROC=0.84)の両方でよく識別した。スコア>3の犬は、スコア≦3の犬に比べて負のアウトカムが9.1倍起こりやすかった(95%CI 3.9-21.2)。

結論:この研究における入院データをもとにして開発した短頭種リスクスコアは、短頭種閉塞性気道症候群の矯正手術をうける犬の負のアウトカムのリスクを正確に評価した。

臨床的意義
:短頭種リスクスコアを術前に決定することは、トリアージ、飼い主の期待の管理、介入の選択肢に関しての意思決定、臨床試験における集団の特徴づけ、についての補助となる。
 

Follette, Christelle M., et al.
"A systematic review of criteria used to report complications in soft tissue and oncologic surgical clinical research studies in dogs and cats."
 
Veterinary Surgery(2019).

PubMedリンク PMID:31290167
本文:googlescholar経由で入手可能(全文) 

タイトル
:犬と猫における軟部組織と腫瘍の外科の臨床研究における合併症を報告するための基準についてのシステマティックレビュー

==アブストラクト===
目的:犬と猫における軟部組織と腫瘍の外科について記述した臨床研究の論文における外科合併症とその他の有害事象の報告を評価すること。

研究デザイン:統計的文献レビュー。

サンプル:2013−2016年の間に査読つき雑誌で発表された家庭飼育の犬と猫の軟部組織と腫瘍の外科について記述された英語論文。

方法:CAB、AGRICOLA、およびMEDLINEのデータベースについて適合する文献を検索した。合併症に関連する論文の特徴がまとめて要約され、報告されたイベント、定義、重症度と時間枠に従ってイベントを分類するために用いられた基準、および関連する引用を含めた。

結果:10,522頭の動物を含む151の論文が組み入れられた。犬の回顧的症例シリーズが多かった。この研究の結果では、92%の論文で合併症について言及しているが、合併症という用語を定義しているのは7.3%だけだった。多くの論文で、時間枠と重症度に従って合併症が記述されていたが、用語や分類基準は非常に多様で、研究間で矛盾しているか、提供されていなかった。報告された合併症の多く(58%)は、発表された獣医有害事象分類スキームによって分類することができたが、一般的な術中合併症は注目すべき例外であった。

結論:軟部組織と腫瘍学の外科的合併症を分類して報告するための定義と基準は、しばしば欠如し、不完全で、研究間で矛盾する。

臨床的意義
:一貫した用語の欠如は、外科合併症に関する重要な情報の伝達を不完全なものにすることの原因となる。用語の標準化と重症度スコアの一貫性は、臨床研究の結果の比較評価を改善するだろう。 

Burgess, Brandy A.
"Prevention and surveillance of surgical infections: A review." 
Veterinary Surgery (2019).

PubMedリンク PMID:30708396
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:手術感染の予防と監視;レビュー

==アブストラクト===
ヘルスケア関連感染症に関連したリスクを効果的に管理することなしには、 最適な患者ケアを実現することはできない。2002年にアメリカで入院した人ののうち、100入院あたりおよそ4.5のヘルスケア関連感染症があり、手術部位感染(SSI)が推定20%を占め、100手技あたりおよそ2のSSIがあった。ある集団における疾患の発生を考慮したとき、その疾患は集団内でランダムには発生しないことを覚えておくことは重要である。そのため、SSIの発生に関連するリスクの管理について考えるとき、疾患の発症における重要な要素(病原体、宿主、および環境)について考慮すべきであり、予防の取り組みに対する多面的なアプローチを検討すべきであり、そこには高リスク集団の同定、無菌の原則の遵守、抗菌薬の慎重な使用、および施設内での感染管理の実施をよりよく知らせるためのSSIをターゲットにした監視、を含む。すべてのヘルスケア関連感染症が予防できるわけではないが、予防可能な部分に努力を集中し、予測可能なリスクを軽減するためのすべての合理的な予防策を講じることが重要である。

Gradner, Gabriele, Rose Kaefinger, and Gilles Dupré.
"Complications associated with ventriculoperitoneal shunts in dogs and cats with idiopathic hydrocephalus: A systematic review."
 
Journal of veterinary internal medicine (2019).

 PubMedリンク PMID:30747447
本文:無料公開あり(全文

タイトル:特発性水頭症のある犬と猫における脳室腹腔シャントに関連した合併症;システマティックレビュー

==アブストラクト===
背景:脳室腹腔シャントを用いた犬と猫の特発性水頭症の治療に関しては、いくつかの症例シリーズと症例報告が公表されている。

目的:脳室腹腔シャントの設置を行ったあとの犬と猫における合併症のリスクとタイプを調べること。

動物:16の文献を含めた。脳室腹腔シャントの設置により治療された特発性水頭症60頭の犬と13頭の猫が同定された。

方法:CAB、Scopus、Medlineのデータベースを使用した。特発性/先天性の水頭症、猫/犬の患者、脳室腹腔シャントの実施、合併症、および転帰を組み入れ基準とした。合併症のタイプとそれらが生じた時間枠に焦点を当てた。

結果:犬(n=60)における合併症は、シャントの閉塞(6/60;10%)、痛み(4/60;5.5%)、シャントの感染(3/60;4.1%)、断裂(3/60;4.1%)、シャント過剰(2/60;2.7%)、よじれ(1/13;7.7%)であった。猫(n=13)における合併症は、皮下でのシャントの丸まり(2/13;15.4%)、よじれ(1/13;7.7%)、シャントの閉塞(1/13;7.7%)であった。合併症は設置後6ヶ月の間で最も起こりやすかった。

結論と臨床的意義:脳室腹腔シャントは、水頭症のある患者の実行可能な治療選択肢と考えられる。合併症の可能性については飼い主と議論すべきである。合併症についての初期の診断が不可欠である。

 

Rodriguez, F. R., B. M. Kirby, and J. Ryan.
"Evaluation of factors associated with retained surgical sponges in veterinary patients: a survey of veterinary practitioners." 
Journal of Small Animal Practice (2018).

PubMedリンク PMID:29971789
本文:無料公開なし

タイトル:獣医患者における残留手術スポンジに関連する因子の評価;獣医臨床医の調査

==アブストラクト===
目的:獣医患者において手術用スポンジの残留に関連する可能性のある因子について調べること。

材料と方法:イギリスで行われた全国獣医学会議に出席した322人の獣医師に調査を配布した。調査では、スポンジの残留のあった臨床症例についての詳細、スタッフ、スケジュール、手術手技、手術用スポンジ、手術スポンジを追跡する方法、について質問した。

結果:回答率は322人中64人(19%)であった。外科処置の計画された予定時間の欠如は、回答者の30%で報告され、31%で変動した。回答者の半数以上(66%)で、それぞれの外科処置に2人が関わっていた。回答者の大部分は、手術用スポンジを滅菌し(91%)、放射線不透過性手術用スポンジを使用した(56%)。回答者の27%でスポンジのカウントをしておらず、20%がたまにしかカウントしていなかった。回答者の70%でスポンジのカウントを記録していなかった。大部分(66%)はサージカルチェックリストを使用していなかった。 gossypibomas(=gauzeoma ガーゼオーマ)についての認識の欠如が、回答者の11%でみられた。回答者の27%で、1患者以上での手術スポンジの残留を認識していた。17症例の報告のうち、14頭は小動物であった。腹部は手術用スポンジに残留部位として最も一般的であり、選択的な不妊手術のあとが一般的であった。

臨床的重要性
:低い回答率ではあったが、われわれの結果は調査監視方法が、手術用スポンジの残留を減らす可能性があることを示唆している。手術のために特別に計画された時間の欠如、監視スタッフが少ないこと、およびスポンジのカウントの欠如は、報告された17症例の手術スポンジの残留に関連している可能性がある。
 

Papazoglou, Lysimachos G., et al.
"Long-term survival of dogs after cholecystoenterostomy: a retrospective study of 15 cases (1981–2005)." 
Journal of the American Animal Hospital Association 44.2 (2008): 67-74.

PubMedリンク PMID:18316442
本文:無料公開なし

タイトル
: 胆嚢小腸吻合術の犬の長期生存;15例の回顧的研究(1981-2005年)

==アブストラクト===
 肝外胆道疾患の犬15頭で胆嚢小腸吻合を行った。長期生存患者は、手術後20日間生存したがその後手術関連もしくは肝胆道系疾患により死亡した犬よりも、来院時に有意に高齢であった(中央年齢140.5ヶ月齢 vs 72ヶ月齢)。最初の20日間に死亡した犬は、この期間を生存した犬よりも入院中の合併症が有意に多かった。根底の肝胆道系疾患のタイプ(すなわち良性か悪性か)は、短期予後もしくは長期予後のいずれにも関連しなかった。8頭の犬が手術関連の原因もしくは肝胆道系疾患により死亡した。長期の合併症には、肝膿瘍、後天性の門脈体循環しゃんと、膵炎、嘔吐が含まれた。

 

Pratschke, K. M., et al.
"Pancreatic surgical biopsy in 24 dogs and 19 cats: postoperative complications and clinical relevance of histological findings."
 
Journal of Small Animal Practice 56.1 (2015): 60-66.

PubMedリンク PMID:25132255
本文:無料公開なし

タイトル:24頭の犬と19頭の猫における膵臓の外科的生検;術後の合併症と組織所見の臨床的意義

==アブストラクト===
目的:犬と猫における膵臓の生検に関連する術直後の合併症を評価し、生検所見の臨床的意義を再調査すること。

方法:2000-2013年の間に2つの紹介施設で膵臓の生検が行われた症例の臨床記録を回顧的に再調査した。

結果: 外科的な膵臓生検を行った24頭の犬と19頭の猫が、臨床記録に十分な記録を有し、組み入れ基準を満たした。術後の合併症が10症例でみられ、うち5頭では術後膵炎が示唆されていた。2頭は基礎疾患を理由に手術後10日以内に安楽死されたが、いzれも術後合併症は起こしていなかった。膵臓の病変は19頭でみられ、7頭では良性膵臓結節性過形成以外の変化はなく、18頭では異常はなかった。

臨床的重要性
:合併症は外科的な膵臓生検後に遭遇する可能性があるが、リスクは良い外科手技によって最小限にするべきである。膵臓生検は患者の管理に有用な寄与をもたらすかもしれないが、膵臓疾患を除外するためのネガティブな膵臓生検を行うべきかどうかは明確ではない。猫では慢性膵炎が最も多い所見であり、犬では猫よりも膵臓に有意な病変が見つかりにくかった。
 

Sutton, Jessie S., et al.
"Perioperative morbidity and outcome of esophageal surgery in dogs and cats: 72 cases (1993–2013)." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 249.7 (2016): 787-793.

PubMedリンク PMID:27654165
本文: googlescholarからresearchgateで入手可能(全文

タイトル:犬と猫における食道外科の周術期死亡率と転帰;72症例(1993-2013)

==アブストラクト===
目的:食道手術を行った犬と猫における周術期死亡率と転帰を評価すること。

デザイン:回顧的症例シリーズ

動物:63頭の家庭飼育犬と9頭の家庭飼育猫。 

方法:食道手術をうけた犬と猫の医療記録について、シグナルメント、病歴、術前の診断検査の結果、治療された病態、手術の詳細、術中の合併症、術後の合併症の情報について再調査した。長期追跡データが獣医師もしくは飼い主との電話によって得られた。合併症と生存退院との関係について、回帰分析によって評価した。

結果
:最も一般的な外科介入の適応は、犬では食道内異物(50/63[79%])であり、猫では食道狭窄(3/9) であった。合併症は犬の54%(34/63)、猫の3/9頭でみられた。最も多い手術直後の合併症は、実際は呼吸であった(犬9頭、猫1頭)。部分的な食道切除および摘出と吻合は、犬の手術直後の合併症の発症と有意に関連していた。最も多い遅延性の合併症は持続性の逆流(犬7頭)と、食道狭窄の形成(犬3頭、猫1頭)であった。犬では、腫瘤病変と病変の大きさの増加が、遅延性合併症の発症と有意に相関した。犬6頭(10%)と猫1頭が退院前に死亡もしくは安楽死され、縦隔気腫と白血球減少症が退院した犬における負の予後因子であった。

結論と臨床的関連
:この研究により、食道病変の治療として手術を乗り切った犬と猫の短期予後は好ましく、90%の患者(57/63頭の犬、8/9頭の猫)が生存退院することが示唆された。しかしながら、より広範囲の食道病変の手術をうけた犬では、食道切除と吻合を行った場合と同様に、術後の合併症をより起こしやすい。
 

Urie, Bridget K., et al.
"Evaluation of clinical status, renal function, and hematopoietic variables after unilateral nephrectomy in canine kidney donors."
 
Journal of the American Veterinary Medical Association 230.11 (2007): 1653-1656.

PubMedリンク PMID:17542732
本文:無料公開なし

タイトル:犬の腎臓ドナーにおける片側の腎臓摘出後の臨床状態、腎機能、造血変数の評価。

==アブストラクト===
目的:犬における腎臓提供後の臨床状態、腎機能、造血機能を決定し、腎臓提供に伴うリスクを同定すること。

デザイン:前向き研究。

動物:腎臓提供のために片側の腎摘出を行なった犬14頭

方法:記録を回顧的に再評価し、腎摘出前の臨床病理学的変数についてのデータを収集した。腎摘出後の様々な時期に前向きに犬の再検査を行い、腎摘出前後のCBC、血清生化学分析、尿検査、尿タンパククレアチニン比を比較した。6頭の犬では腎摘出後の腎容積を超音波検査で調べ、それらの犬のうち4頭ではシンチグラフィーによる糸球体濾過率の決定と、腎生検が行われた。

結果:全ての犬は、再検査時に臨床的に正常であった。BUN濃度または尿比重について、腎摘出前と後との値に有意な差はなかった。腎摘出後の血清クレアチニン濃度の平均は、腎摘出前よりも有意に高かった。血清リン濃度の平均は、腎摘出後で有意に減少し、Hct、赤血球容積、赤血球ヘモグロビン濃度は腎摘出後に有意に上昇した。 腎摘出後の腎臓容積は、手術時の年齢が12ヶ月齢未満の犬で高かった。腎摘出後の糸球体濾過率の平均は2.82±1.12ml/kg/min(1.28±0.51ml/ib/min)であった。腎摘出中および後の腎生検の標本は組織学的に正常であった。

結論と臨床的関連
:腎臓および造血の変数は、片側の腎摘出後2.5年まで検査を受けた犬において基準範囲内であった。代償性の腎肥大は、提供時に1歳齢未満の犬でより大きかった。組織適合性とともにドナーの年齢は、腎臓提供のために犬の選択において重要な因子となる可能性がある。

Hughes, J. R., et al.
"Complications following laryngeal sacculectomy in brachycephalic dogs." 
Journal of Small Animal Practice (2017).

PubMedリンク PMID:29047114
本文:無料公開あり?(PDF)※ PubMedでのfreeの表示はないがWiley Onlineではfreeになっている

タイトル:短頭種犬における喉頭小嚢切除後の合併症

==アブストラクト===
目的: 短頭種閉塞性気道症候群の犬における喉頭小嚢切除が術後合併症の割合に与える影響を評価すること。

方法
:2009年から2014年の間に短頭種閉塞性気道症候群の手術を行なった、喉頭小嚢の反転がある短頭種の犬の臨床情報を回顧的に再調査した。鼻孔切除と軟口蓋切除のみを行なった犬と、 鼻孔切除と軟口蓋切除と喉頭小嚢切除を行なった犬とにグループ分けした。合併症は軽度、中程度、重度に分けた。

結果:37頭の犬が喉頭小嚢切除のグループに含まれ、44頭が比較群に含まれた。喉頭小嚢切除をうけた犬では術後合併症の発生が多く、37頭中18頭で合併症が発生し、そのうち9頭は中程度から重度であった。喉頭小嚢切除を行なっていないグループでは、44頭中9頭で合併症が発生し、そのうち1頭が重度であった。グループ間で犬種の分布が異なることも結果に影響している可能性がある。

臨床的重要性
:この結果からは、喉頭小嚢切除は短頭種の気道手術の後の罹患率を増加させる可能性があるが、 この結果を確認するために研究を繰り返す必要がある。喉頭小嚢切除の短期的なリスクが、優れた長期的な機能転帰を上回るかどうかを判断するためにはさらなる情報が必要である。 

 

Turk, Ryen, Ameet Singh, and J. Scott Weese.
"Prospective surgical site infection surveillance in dogs." 
Veterinary Surgery44.1 (2015): 2-8.

PubMedリンク
本文無料公開なし 

タイトル: 犬における前向き手術部位感染サーベイランス

==アブストラクト===
目的
1)オンタリオ獣医大学健康科学センターで手術を受けた犬における手術部位感染(SSI)の発生率を記述すること
2)術式に特有のSSIの発生率を比較し記述すること
3)SSIの発生に関連する要因を特定すること

研究デザイン:前向きコホート研究

動物:45週間の間(2010年9月〜2011年7月)に手術を受けた犬(n=846)

 方法:犬の飼い主とのフォローアップの電話通話は手術後30日に行われ、外科的インプラントのある患者ではさらに1年後のフォローアップも行われた。SSIを検出て特徴付けるために、標準化されたアンケートが実施された。

結果:SSIは26頭(3.0%)の犬で同定された;11頭(42%)が浅部SSI、13頭が深部SSI、2頭が臓器/体腔に分類された。SSiが確定した犬のうち、17頭(65%)だけが医療記録に記載があった。低血圧(p=0.011)、手術クラス(p=0.029)、インプラントの使用(p=0.001)が、SSIのリスクを増加させた。これらのうち微生物培養に19頭(73%)が提出され 、74%がブドウ球菌であった。

結論
:犬においてSSIは悲惨な結果をまねく可能性があり、危険因子を理解しておくことは予防的措置のターゲットを考えるために重要です。低血圧などのいくつかの危険因子は調整可能であるが、手術クラスなどの他の因子は調整できない。可能であれば、病院の感染制御プログラムの一部として積極的なサーベイランスを行うべきである。

※SSI:surgical site infection


==訳者コメント===
用語補足)サーベイランス:調査監視のこと。医療では感染制御で感染性の発生を監視するときによく使われる言葉で、ここではサーベイランスという言葉のまま用いました。 

Eugster, Simone, et al.
"A prospective study of postoperative surgical site infections in dogs and cats." 
Veterinary surgery 33.5 (2004): 542-550.

PubMedリンク
本文:無料公開なし

タイトル:犬と猫の術後の手術部位感染の前向き研究

==アブストラクト===
目的:術後の手術部位感染(SSI)の発生率を評価し、関連する予測因子とを同定すること

研究デザイン:前向き臨床研究

動物:1999年4月から2000年6月までの58週間に手術(1010回の介入)を受けた犬と猫

方法:データシートは臨床医によって完成された。患者は抜糸時のSSIの臨床的根拠のために管理された。SSIの2つの定義(「感染」と「感染/炎症」)が、この研究のために特別に開発され、統計分析が使用された。有意なSSIの予測因子を特定するために、ロジスティック回帰モデルが構築された。

結果:「感染/炎症」を伴う創は5.8%でみられ、「感染」した創は3%でみられた。「感染」の結果と関連する3つの主な危険因子(手術時間、手術室にいた人数の増加、汚染手術創)と1つの予測因子(予防的抗菌薬)があった。「感染/炎症」の結果と関連する6つの重要な要因(麻酔時間、術後のICUの滞在時間、創の排液、患者の体重の増加、汚染手術創、予防的抗菌薬)があった。

結論:コンパニオンアニマルのSSIの頻度は、ヒトの手術患者でみられる頻度と同等である。小動物外科におけるSSIの重要な予測因子がいくつか同定された。

臨床的関連
:我々の病院におけるSSIのサーベイランスの基礎情報と他の研究との比較が同定された。同定された因子は手術患者の感染を予測するのに役立ち、リスクのある患者には十分な予防措を講じるのに役立つ可能性がある。

※SSI:surgical site infection

==本文から===
「感染」の定義:排膿、膿瘍、瘻管のいずれかがみられた場合
「感染/炎症」の定義:「感染」があるか、もしくは発赤、腫れ、痛み、熱感、漿液排液、創傷裂開の徴候うち3つ以上がある場合。
 

Garcia Stickney, Danielle N., Thieman Mankin, and M. Kelley.
"The impact of postdischarge surveillance on surgical site infection diagnosis." 
Veterinary Surgery.2017

PubMedリンク
本文:無料公開なし

タイトル:退院後のサーベイランスが手術部位感染に及ぼす影響 

==アブストラクト==
目的
退院後のサーベイランスが手術部位感染(SSI)に及ぼす影響 を評価すること。

研究デザイン: 回顧的症例レビューを伴う前向き記録

サンプル集団:2012年4月から2013年11月に手術を受けた犬と猫(n=1271)

方法:各動物の医療記録を再調査し、30日での追跡の質問を各飼い主へ送った。標準化されたSSIの定義を用いて、SSIをもつ全ての動物を同定した。 SSIの検出方法は以下のように記録された;病院への再来院、予定されていた再診、アンケート、紹介元獣医師との連絡、または上記の組み合わせ。

結果:SSIは1271頭中36頭(2.83%)の動物で同定された。全てのSSI は退院後に診断された。7/36頭は再来院の際に、5/36頭は予定された再診、10/36頭はアンケート、10/36頭は再来院とアンケート、4/36頭は紹介元獣医師との連絡で、それぞれSSIと診断された。診断されたSSIのうち、72.2%は医療記録に記載されていた。それゆえ、退院後の積極的監視がなければ、10/36(27.8%)のSSIは我々の施設の外科医は知らずにいただろう。

結論
:外科医へのフィードバックを伴うSSIの発生率を理解することは、感染制御プログラムの重要な側面であり、SSIのリスクの低減が示された。退院後の積極的なサーベイランスがなければ、27.8%のSSIが外科医に知らされなかっただろう。積極的なサーベイランス実施することで、動物病院でのSSIの発生率を迅速に報告することができるだろう。 

※SSI:surgical site infection


==訳者コメント===
用語補足)サーベイランス:調査監視のこと。医療では感染制御で感染性の発生を監視するときによく使われる言葉で、ここではサーベイランスという言葉のまま用いました。 

Davis, Daniel J., et al.
"Influence of preoperative septic peritonitis and anastomotic technique on the dehiscence of enterectomy sites in dogs: A retrospective review of 210 anastomoses." 
Veterinary Surgery (2017).

PubMedリンク
本文:無料公開なし

タイトル
:術前の敗血症性腹膜炎と吻合術の術式が犬の腸管切除部の裂開に与える影響;210吻合の回顧的再調査

==アブストラクト===
目的
:術前の敗血症性腹膜炎とステープルvs手縫合の吻合術による腸管切除吻合の裂開への影響を決定すること。我々は腸切除吻合の裂開の発生は(1)術前の敗血症性腹膜炎がある場合と(2)手縫合の吻合の場合に、より多いとう仮説を立てた。

研究デザイン
:回顧的

動物集団
:ミシガン州大学獣医教育病院に来院した家庭犬

方法
:2003年から2013年の間に、腸管切除吻合を受けて術後72時間以上生存していた犬の記録を再調査し、年齢、性別、中性化、体重、術前の敗血症性腹膜炎の有無、術前のアルブミン値、腸管切除吻合の要因と部位、吻合術の術式、縫合のタイプ、術後の裂開とそのタイミング、入院期間、最後の追跡、その他の合併症について調べた。予後因子のスクリーニングをするために単変量ロジスティック回帰とカイ二乗分析を用い、P<0.3の因子を多変量解析に含めた。

結果
:198頭の210の腸管切除吻合が組み入れ基準を満たした。裂開は11.4%の症例で診断され、術前の敗血症性腹膜炎なしで6.6%、術前の敗血症性腹膜炎ありで21.1%であった(p=0.01)。腸管切除吻合の要因については裂開のリスクに影響しなかった。術前の敗血症性腹膜炎のない犬では、腸管切除吻合の裂開と吻合術式との間に関連はな無かったが(ステープル4.2%、手縫合8.1%)、敗血症性腹膜炎のあった犬ではステープル縫合は裂開が起こりにくかった(ステープル9.7%、手縫合28.9%)。 裂開のリスク因子は術前の敗血症性腹膜炎の存在(P=0.005)と手縫合(p=0.02)であった。

結論
:我々の結果は術前の敗血症性腹膜炎が腸管切除吻合の裂開のリスク因子であることを確認し、敗血症性腹膜炎のある患者は独特な外科集団であり、腸管手術後の吻合には手縫合よりもステープル縫合の方が適している可能性を示唆した。

Duell, Jason R., et al.
"Frequency of Dehiscence in Hand‐Sutured and Stapled Intestinal Anastomoses in Dogs." 
Veterinary Surgery 45.1 (2016): 100-103.

PubMedリンク
本文:無料公開なし

タイトル: 犬における腸管吻合の手縫合とステープル縫合の裂開頻度

==アブストラクト===
目的:犬の腸管吻合における手縫合とステープル縫合の裂開の頻度を決定し、各吻合法の手術時間を比較すること

研究デザイン:歴史的コホート研究

サンプル集団:
手縫合( n=142)とステープル縫合(n=72)の腸管吻合を行なった家庭犬214頭

方法:5つの二次施設の医療記録から、2006年3月から2014年2月の間に腸管切除および吻合を行った 犬の医療記録を検索した。人口統計的データ、術前の敗血症性腹膜炎の存在、手術手技(手縫合またはステープル縫合)、手術時間、執刀医(研修医または教職員)、外科的介入の症状、切除・吻合した部位、術後に裂開を起こしたかどうか、について収集した。推定頻度を要約して比率として示し、95%信頼区間(CI)と連続的結果を平均(95%CI)として示した。吻合方法間で比較を行った。

結果:全体の29/205頭(0.14, 95%CI 0.10-0.19)で裂開が起こり、21/134頭(0.16, 0.11-0.23)が手縫合での裂開、8/71頭(0.11, 0.06-0.21)がステープル縫合での裂開であった。縫合方法間で裂開の頻度に有意な差はなかった(X(2),P=0.389)。手術時間の平均(95%CI)は手縫合で140分(132-147)、ステープル吻合で108分(99-119)であり、有意な差があった(t-test, p<0.001)。

結論
:犬の腸管吻合で手縫合とステープル縫合との間に裂開率に有意な差はなかったが、腸管閉鎖にステープルを用いた方が手術時間は有意に短縮された。
 

==本文から==
利益相反
:この報告について著者らの利益相反はない 


==訳者コメント===
・腸管吻合の裂開率ってそんなに高い?腸管切除・吻合の手術時間ってそんなにかかるかな?という印象をうけます。あくまで海外のデータ(大型犬が多いのも一因?)と捉えておいた方が良さそうです。
 

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