ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

小動物臨床の獣医師が、臨床に役立ちそうな論文情報をちょっとづつアップします。ねころんでいても論文検索ができればいいなと。

カテゴリ: 先天性疾患

Greet, Victoria, et al.
"Clinical features and outcome of dogs and cats with bidirectional and continuous right‐to‐left shunting patent ductus arteriosus."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).

PubMedリンク PMID:3363 4497
本文:無料公開あり(全文)

タイトル:双方向性および持続的右-左短絡の動脈管開存症の犬と猫の臨床的特徴と転帰

==アブストラクト===
背景:逆転した動脈管開存症(PDA)のある動物の臨床的な進行について記載した研究は欠如している。

目的:双方向性および持続的右-左短絡のPDAがある犬と猫の集団におけるシグナルメント、臨床徴候、心エコーの特徴、および生存についてを記述すること。

動物:家庭飼育動物46頭;双方向性もしくは持続的な右-左短絡のPDAのある犬43頭と猫3頭。

方法:回顧的多施設間研究。双方向性または持続的右-左短絡のPDAと診断された動物の医療記録と心エコー所見をレビューした。動脈管の形状、スペクトルドップラーフローの特性、PCV、来院時のシルデナフィル治療、シルデナフィルの用量、肺高血圧症の重症度、手術を伴う/伴わない全身麻酔、および右側のうっ血性心不全の存在、が粗死亡率に与える影響を、カプランマイヤー生存曲線のマンテルコックスログランク比較によって評価した。単変量および多変量コックス比例ハザード分析を行い、ハザード比(95%信頼区間)を示した。

結果:後肢の虚脱が、犬で最も多い臨床徴候(n=16)であった。猫の臨床徴候は様々であった。犬の生存期間の中央値は626日(範囲 1-3628日)であった。右側うっ血性心不全のある犬は、中央生存期間が短かった(58日 vs 1839日;p=0.03)。来院時にシルデナフィルで治療した犬は生存期間が長く(1839日 vs 302日;p=0.03)、これは生存に対する唯一の独立した予後因子であった(ハザード比 0.35、95%信頼区間 0.15-0.86;p=0.021)。

結論と臨床的意義
:逆転したPDAのある犬と猫は、様々な臨床徴候と予後をもつ。生存期間は診断時にシルデナフィルと処方された動物で長かった。来院時に右側うっ血性心不全のある犬では全体の転帰が悪かった。

Saraiva, Inês Q., and Esmeralda Delgado.
"Congenital ocular malformations in dogs and cats: 123 cases." 
Veterinary Ophthalmology.

PubMedリンク PMID:33058381
本文:無料公開なし

タイトル:犬と猫の先天性眼奇形;123例

==アブストラクト===
目的:犬と猫の先天性眼奇形の有病率に関する疫学データを提供すること。

動物:獣医教育病院にコンサルテーションで来院した犬32,924頭と猫13,977頭の集団。

方法:2011年から2018年の医療記録をレビューした。先天性眼奇形に関する回顧的および前向きの疫学臨床研究を行った。シグナルメント、病歴、来院理由、臨床所見、視力障害、治療オプションについて分析した。

結果:すべての症例の分析から、犬103頭(0.3%)と猫20頭(0.1%)が組み入れ基準を満たした。犬の多くは雑種犬で、最も多い犬種はフレンチ・ブルドッグであり、猫の多くはヨーロッパ短毛家庭猫であった。診断年齢の中央値は、犬で12ヶ月齢、猫で6ヶ月齢であった。性差はなかった。もっとも頻繁にみられた異常は以下の通り;先天性白内障(犬31.1%、猫30.0%)、小眼球症(犬35.0%、猫25.0%)、および瞳孔膜遺残(犬27.2%、猫40.0%)。同時に観察された奇形のいくつかは、有意に関連していた。眼の類皮嚢胞とフレンチ・ブルドッグとの間には統計的に有意な相関がみられた(p<0.001)。

結論
:先天性の奇形はまれではあるが、視力障害や、または失明でさえ引き起こす可能性があるため、それらの有病率に関する知識は重要である。さらに、ヒトの眼疾患の表現型は犬と猫で現れるものと類似しているものもあるため、病態生理学および治療アプローチを調べるためのモデルとして利用できる可能性もある。

Lewis, Tom, Julia Freeman, and Luisa De Risio.
"Decline in prevalence of congenital sensorineural deafness in Dalmatian dogs in the United Kingdom." 
Journal of Veterinary Internal Medicine 34.4 (2020): 1524-1531.


PubMedリンク PMID:32543777
本文:無料公開あり(全文

タイトル:イギリスのダルメシアン犬における先天性感音難聴の有病率の低下

==アブストラクト===
背景:先天性感音難聴はダルメシアン犬で最もよくみられるタイプの難聴である。

目的:イギリスのダルメシアン犬の先天性感音難聴のスクリーニングの結果を遺伝子分析に使用し、この犬種における先天性感音難聴の有病率の経時的な変化を記述すること。

動物:1992年7月から2019年2月のあいだに、脳幹聴覚誘発反応(BAER)を用いて機能的なスクリーニングを行なった合計8955頭のダルメシアンの子犬。

方法:脳幹聴覚誘発反応検査の結果と色素沈着の表現系のデータを、イギリスケンネルクラブのダルメシアン血統データベースに関連づけた。混合モデル解析を用いて、分散パラメータを推定した。

結果:全体の先天性感音難聴の有病率は17.8%(片側性 13.4%、両側性 4.4%)であった。先天性感音難聴の遺伝率は約0.3(モデル全体)であり、有意に>0であった。先天性感音難聴と青い虹彩(+0.6)および頭部の色素班(-0.86)との間の遺伝的な相関は程度が大きく、0とは有意に異なっていた。表現系と遺伝的傾向の大きな改善が同定されたが、これは難聴に対する淘汰の結果であり、先天性感音難聴の遺伝的リスクが最も高い動物の4-5%の交配を避けることに相当する。

結論と臨床的意義
:先天性感音難聴の遺伝的リスクと有病率の減少は、ブリーダーが耳の聴こえる犬を選択してきたことを意味している。推定育種価(EBVs)に基づく選択的な繁殖は、将来的にダルメシアンにおける先天性感音難聴の有病率をさらに低下させるのに役立つ可能性がある。

Farke, Daniela, et al.
"Prevalence of seizures in dogs and cats with idiopathic internal hydrocephalus and seizure prevalence after implantation of a ventriculo‐peritoneal shunt."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine.

PubMedリンク PMID:32918850
本文:無料公開あり(全文

タイトル:特発性内水頭症のある犬と猫における発作の有病率と、脳室-腹腔シャントの埋め込みを行ったあとの発作の有病率

==アブストラクト===
背景:内水頭症のある犬で、発作は考慮すべき臨床徴候ではあるが、近年の報告では見つからない。動物における脳室の拡張による発作の有病率と、術後の発作の有病率はわかってない。

目的:特発性内水頭症のある犬と猫における発作の有病率を調べ、発作の発症に関するリスク因子を同定し、脳室-腹腔シャント(VPS)術後2年での発作の有病率を調べること。

動物:2001年から2019年の間の197頭のMRI記録を調べた。合計で121頭(犬98頭、猫23頭)をこの研究に組み入れた。

方法:回顧的多施設症例コホート研究を行った。内水頭症のある犬と猫についてデータベースを検索した。MRIと脳脊髄液検査を評価し、追加の基礎疾患について調べた。発作の有病率は内水頭症のみを示す動物で算出した。年齢、脳の形態的測定、形態的所見によって、リスク因子を評価した。手術を行った動物すべてで、術後2年での再検査を行った。

結果:内水頭症のある121頭(犬98頭、猫23頭)が組み入れ基準をみたした。内水頭症のある犬と猫における発作の有病率は低かった(1.7%、95%信頼区間<5.8%)。術後2年で発作は観察されなかった。

結論と臨床的意義
:内水頭症と診断された犬と猫における発作の有病率は低い。脳室-腹腔シャントに関連した発作は、手術の合併症ではなさそうだ。

Von Pfeil, Dirsko JF, et al.
"Congenital laryngeal paralysis in Alaskan Huskies: 25 cases (2009–2014)." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 253.8 (2018): 1057-1065.

PubMedリンク PMID:30272513
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル:アラスカン・マラミュートにおける先天性喉頭麻痺;25症例(2009-2014年)

==アブストラクト=== 
目的:アラスカン・マラミュートの先天性喉頭麻痺の特徴を調べること。

デザイン:前向き症例シリーズ。

動物:先天性喉頭麻痺のあるアラスカン・マラミュート25頭。

方法:それぞれの犬のシグナルメント、病歴、身体検査、整形外科的検査、神経学的検査、および喉頭検査の結果、食道所見、治療、組織学的所見、および転帰についての情報を収集した。

結果:重度に罹患した犬では、出生児から重い呼吸困難、または短時間の運動後の虚脱がみられた。軽度な犬では、易疲労性または最小限の運動での加熱がみられた。臨床徴候の最初の発症の平均年齢は6.4ヶ月であった。青い目が23頭(92%)、白い顔のマーキングが19頭(76%)、口腔粘膜垂または組織バンドが13頭(52%)の犬でみられた。神経学的検査では、反回喉頭神経の単独のニューロパチーの徴候が明らかとなり、多発性ニューロパチーはみられなかった。組織学的検査では、輪状披裂筋の背筋の神経原性萎縮が明らかとなったが、多発性ニューロパチーはみられなかった。8頭(32%)で、片側輪状披裂の側方化術が行われ、実質的な臨床的改善がみられた、それには犬そりレースでの競争能力も含まれた。手術なしで、4頭(16%)が窒息で死亡し、10頭(40%)は自然な改善(ただしレースには不十分な改善)がみられ、3頭(12%)は罹患したままとなった。血統分析の結果から、先天性喉頭麻痺の遺伝の常染色体性劣性遺伝モードが示唆され、浸透率は様々であった。

結論と臨床的意義
:評価をうけたアラスカン・マラミュートにおける先天性喉頭麻痺は、反回喉頭神経の単一ニューロパチーに関連しており、多発性ニューロパチーは関連していなかった。罹患したの犬の多くで青い目、白い顔のマーキング、および口腔粘膜垂または組織バンドがみられた。この犬種における先天性喉頭麻痺には明らかな遺伝的要素があるため、これらの特徴をもつ犬の繁殖を防ぐことを勧める。
 

Bojanić, Krunoslav, Els Acke, and Boyd R. Jones.
"Congenital hypothyroidism of dogs and cats: a review."
 
New Zealand veterinary journal 59.3 (2011): 115-122.

PubMedリンク PMID:21541884
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル
:犬と猫の先天性甲状腺機能低下症;レビュー

==アブストラクト=== 
犬と猫における先天性甲状腺機能低下症はまれで、 過小診断されている先天性内分泌疾患であり、真の発生率は不明である。この疾患は、甲状腺ホルモンの産生に影響を与える原発性に欠陥に応じて、様々な臨床徴候を引き起こす可能性があり、成熟してから来院する症例もいる。先天性甲状腺機能低下症の特徴的な臨床徴候は、精神障害と骨格の発育異常であり、結果として不均衡な小人症を起こす。甲状腺腫はある場合とない場合がある。犬の甲状腺機能低下症の原因として述べられているものには、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)または甲状腺刺激ホルモン(TSH)の欠乏または無反応、甲状腺形成不全、ホルモン産生障害およびヨウ素欠乏がある。猫では、TSH無反応、甲状腺形成不全、ホルモン産生障害、およびヨウ素欠乏が確認されている。適切な補充療法は、多くの場合で良い転帰の結果となり、それは特に早い時期に開始された場合であり、永久的な発育障害を防ぐことができる。このレビューでは、犬と猫における症例の報告、診断調査、および治療に関する推奨について記述した。

Nganvongpanit, Korakot, and Terdsak Yano.
"Prevalence of swimming puppy syndrome in 2,443 puppies during the years 2006–2012 in Thailand." 
Veterinary medicine international 2013 (2013).

PubMedリンク PMID:23819102
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:タイにおける2006-2012年の間の2443頭の仔犬におけるスイミングパピー症候群の有病率

==アブストラクト=== 
この研究の目的は、スイミングパピー症候群の有病率を報告し、その素因について調べることである。タイで、2006年10月から2012月11月の間の仔犬2443頭(雄1183頭、雌1260頭)による情報を記録し、犬種、性別、同腹仔の数、巣の床のタイプ、罹患した肢の数、漏斗胸の併発、について調べた。52頭(2.13%)の仔犬がスイミングパピー症候群と診断さた。もっとも罹患の頻度が多かった犬種はイングリッシュブルドッグ(8.33%)であった。性別による疾患の有無の差はなかった。同腹仔の数が少ない(1.92±1.12)仔犬の方が、数が多い(3.64±2.24)仔犬よりも、有病率が高かった(p<0.01)。 さらに罹患した肢のある犬の15.38%(8/52)で漏斗胸の徴候がみられ、この臨床徴候はスイミングパピー症候群で四肢全てが罹患した犬でより多かった(p<0.01)。

Schmidt, Martin J., et al.
"Porencephaly in dogs and cats: magnetic resonance imaging findings and clinical signs."
 
Veterinary Radiology & Ultrasound 53.2 (2012): 142-149.

PubMedリンク PMID:22734149
本文:無料公開なし

タイトル
:犬と猫の孔脳症;MRI所見と臨床徴候

==アブストラクト=== 
孔脳症という予後における大脳半球の拡張した嚢胞状変化によって特徴付けられる犬5頭と猫2頭の脳病変のMRIの特徴を示す。診断時の年齢は12週齢から7歳齢の範囲であった。MRI所見は前脳に限定していた。 孔脳症の病変は、
脳室系とくも膜下腔をつなげるくさび状の実質部の欠損として、または大脳半球における大きな嚢胞状の欠損としてみられた。2頭の犬では孔脳症の病変は無症候性であったが、他の動物では罹患した脳の領域に応じた臨床徴候を示した。3頭の動物で発作がみられた。興味深いことに、4頭の動物では通常は前脳に局在しない臨床徴候(眼振、測定過大、運動失調)を示した。これらの臨床徴候が大脳辺縁系の機能障害に起因するのか、大脳-前庭系における認識できない病変に起因するのかどうかは、さらには明確にすることはできなかった。欠損は子宮内または出生後に発生するが、臨床徴候は後年になって起こる可能性がある。孔脳症の定義とその下位分類は、獣医療においては一様ではない。我々は、画像診断では特定することができないような根底にある欠損の原因に関わらず、脳破屑性孔脳症という用語を提案する。

HORI, Ai, et al.
"Porencephaly in dogs and cats: relationships between magnetic resonance imaging (MRI) features and hippocampal atrophy."
 
Journal of Veterinary Medical Science(2015): 14-0359.

PubMedリンク PMID:25786357
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:犬と猫の孔脳症;MRIの特徴と海馬萎縮の関係

==アブストラクト=== 
孔脳症は先天性の脳の欠損を伴うまれな奇形であり、獣医療におけるMRI所見に関する報告はほとんどない。人では孔脳症のMRIの特徴は、片側または両側の海馬萎縮との伴存として認識されており、 それは発作症状を引き起こす。われわれは先天性孔脳症の犬2頭と猫1頭について研究し、臨床徴候とMRIの特徴について調べ、海馬萎縮と関連するMRI所見について議論した。主な臨床徴候は発作症状であり、全てで病変側またはより大きな欠損側に海馬萎縮があった。海馬萎縮または嚢胞の大きさは臨床徴候の重症度と関連しており、それは孔脳症と海馬萎縮の並存はヒトと同様であることを示唆している。

Badanes, Zachary, and Eric C. Ledbetter.
"Ocular dermoids in dogs: A retrospective study." 
Veterinary ophthalmology (2019).

PubMedリンク PMID:30715783
本文:無料公開なし

タイトル:犬の眼の類皮;回顧的研究

==アブストラクト=== 
目的:2箇所の獣医教育病院で眼の類皮と診断された犬の臨床的特徴を述べること。

動物:眼の類皮のある44頭の犬(49類皮)の回顧的症例シリーズ。

方法:コーネル大学とペンシルバニア大学の眼科で評価された犬の医療記録を評価し、それぞれ2004-2018年、2011-2018年の間に眼の類皮と臨床診断された犬を同定した。シグナルメント、病歴、臨床の詳細を記録し、類皮の場所、併発疾患、治療、病理組織学的所見、および転帰を含めた。

結果
:44頭の犬47の眼に、合計49の類皮が診断された。診断時の研究集団の平均年齢(±標準偏差)は1.19歳齢(1.85歳齢)であった。この研究では22の異なる犬種がみられ、雑種、フレンチブルドッグ、およびシーズーがもっとも多かった。評価された44頭のうち、28頭(63.6%)が雄で、30頭(68.2%)が診断時に中性化されていなかった。22個の類皮が輪部(44.9%)、14個は眼瞼(28.6%)、8個は角膜(16.3%)、5個は結膜(10.2%9に分類された。併発する眼所見は、47眼中29眼(28.6%)でみられ、角膜の色素沈着、流涙症、結膜の充血がふくまれた。 9頭(20.5%)は併発する全身疾患を患っており、大部分が心臓起源のものであった。34個の類皮(69.4%)が外科的に切除され、再発はなかった。

結論
:眼の類皮は犬のまれな病態である。併発する先天性心疾患は、この研究内では比較的一般的であった。類皮の外科的切除は 治癒的であった。
 

==訳者補足===
 スクリーンショット 2019-11-10 16.25.19
1歳のペキニーズの類皮と分離芽腫

Bourguet, Aurélie, et al.
"Cataracts in a population of Bengal cats in France." 
Veterinary ophthalmology 21.1 (2018): 10-18.

PubMedリンク PMID:28444876
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル:フランスのベンガル猫の集団における白内障

==アブストラクト=== 
目的:ベンガル猫のフランスの集団における白内障の臨床的特徴と有病率について記述すること。

方法:ベンガル猫の2つの異なる集団について以下のように調べた;(1)2014年10月から2016年12月までの間にアルフォート眼科部門で実施された観察研究において、全国的な眼科疾患の有病率を調べるために51頭の動物が採用された。 (2)2014年12月から2016年2月の間にフランスの中央に位置する獣医眼科クリニックへ白内障の診断のために紹介された12頭が検査をうけた。DNA分析用の口腔スワブまたは血液のサンプルはすべての患者で収集された。検査をうけたベンガル猫の血統も同様に調べた。

結果:観察研究では白内障は51頭中23頭(45%)の猫で診断された、紹介集団においてはすべての猫で診断され、ほとんどが両側性であった。視覚障害は報告されなかった。白内障に罹患した患者の年齢は3ヶ月から9.6歳齢(中央値 1.9歳齢)であった。白内障は限局性、核周囲、後部、または完全な各パターンの核性白内障(観察研究の14/23、紹介集団の12/12)、もしくは後部極嚢下白内障(観察研究の10/23)に分類された。遺伝性の先天性の起源は、もっともあり得そうな仮説のようだった。血統分析では、白内障の生成の遺伝的要素を示唆しているが、正確な遺伝様式を決定するためには大きな集団でのさらなる分析、または試験的交配が必要となる。

結論
:フランスのベンガル猫では、遺伝的と推定される白内障の有病率が高い。 主な発現は核型または嚢下型であり、ほとんどが両側性で対称性であり、明らかに進行性ではない。
 

Buijtels, J. J. C. W. M., et al.
"Disorders of sexual development and associated changes in the pituitary-gonadal axis in dogs." 
Theriogenology 78.7 (2012): 1618-1626.

PubMedリンク PMID:22980090
本文:無料公開なし

タイトル
:犬における性発達障害と関連する下垂体-性線軸の変化

==アブストラクト=== 
正常な性分化は、染色体による性決定の完了、生殖線の分化、および表現型の性の発達に依存している。 これらの3ステップのいずれにかに不規則があると、性発達障害につながる可能性がある。

腹部超音波検査、開腹手術、性線と生殖管の組織学的検査、細胞遺伝学的分析、およびSRY遺伝子のmRNA発現によって、9頭の性発達障害の犬を調べた。またゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の投与前の黄体形成ホルモン(LH)、エストラジオール-17β、およぼテストステロンの血漿濃度を測定し、その結果を発情休止期の雌犬および雄犬で得られた結果と比較した。

性発達障害の犬の性線には精巣と卵巣の両方が含まれていたが、他の6等は精巣組織だけがみられた。いずれの犬にも子宮がみられた。婦人科検査、細胞遺伝学的検査、および性腺の組織検査に基づき、9頭中7頭がXX性転換であることがわかった。このうち3頭はXX真性雌雄同体で、4頭はXX雄であり、他の2頭は不完全なXY性線発育不全を起こしていた。XX性転換の犬7頭全てで、SRY遺伝子がPCRで陰性であった。血漿LH濃度の基礎値は、発情休止期の雌犬よりも性線発達障害の犬で有意に高かったが、雌犬と性線発育障害の犬の間には有意な差はなかった。性線発達障害の犬すべてで、GnRH投与後に血漿LH濃度が有意に上昇した。血漿エストラジオール濃度は、発情休止期も雌犬よりも性発達障害の犬で有意に高かったが、雄犬と性線発達障害の犬との間に有意な差はなかった。血漿テストステロン濃度の基礎値は、雄犬に比べて性発達障害の犬で有意に低かった。性発達障害のすべての犬で、基礎値およびGnRH誘発値の両方で、発情休止期んも雌犬のそれぞれの範囲の上限を超えていた。

結論として、性腺に精巣組織をもつ性発達障害の犬におけるLHおよびエストラジオールの分泌は、雄の対照犬のものと類似していた。これらの結果から、基礎値および/またはGnRH刺激血漿テストステロン濃度は、性発達障害の犬における精巣組織の存在を検出するために用いることが出来る可能性がある。


 

Galanty, M., P. Jurka, and P. Zielinska.
"Surgical treatment of hypospadias. Techniques and results in six dogs."
 
Polish journal of veterinary sciences 11.3 (2008): 235-243.

PubMedリンク PMID:18942547
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル
:尿道下裂の外科治療;6頭の犬での手技と結果

==アブストラクト=== 
この記事では、6頭の犬における様々なタイプの尿道下裂と外科的治療について書かれている。外科的治療の方法はそれぞれの症例に対して個別に設定され、それは尿道下裂と並存する異常のタイプに依存していた。陰茎の短縮化が2頭で行われ、陰茎の切除が3頭、尿道再建が1頭で行われた。去勢手術が3頭で行われた。陰茎包皮小帯の遺残が2頭でみられた。さらに3頭で、包皮異常の形成手術が行われた。1頭の犬では、包皮のゆるくて垂れ下がる部分を独自の方法で腹部外皮に吊り下げて接着させた。すべての犬で問題なく創傷治癒が観察された。外科的処置により、尿道下裂と他の並存異常の臨床徴候が減少し、美容の改善がみられた。

Sacks, Margot K., and Romain Beraud.
"Female pseudo-hermaphroditism with cloacal malformation and related anomalies in a dog."
 
The Canadian Veterinary Journal 53.10 (2012): 1105.

PubMedリンク PMID:23543931
本文:無料公開あり(全文

タイトル:犬の総排泄腔奇形とそれに関連した異常を伴う雌の仮性半陰陽

==アブストラクト=== 
7歳齢の未避妊の雌のジャーマンシェパードドッグが、再発性の尿路感染と尿失禁、不明瞭な外性器(ペニスを含む肥大した外陰部)、および肛門膣前庭瘻で来院した。解剖学的構造、病理組織学的、および核型分析によって、雌の仮性半陰陽の診断が支持され、結果として総排泄腔奇形を伴う子宮の雄性化を起こしたと仮説を立てた。
 

Dzimira, Stanislaw, et al.
"Histopathological pattern of gonads in cases of sex abnormalities in dogs: an attempt of morphological evaluation involving potential for neoplasia." 
Pathology-Research and Practice 211.10 (2015): 772-775.

PubMedリンク PMID:26298630
本文:無料公開なし

タイトル
:性異常の犬の症例における病理組織学的パターン;腫瘍の可能性をを含む形態学的評価の試み

==アブストラクト=== 
性分化の障害(性的発達障害)は、性染色体の障害または性線の発達の障害の結果として、または遺伝子の障害の結果として起こる可能性がある。この記事の目的は、性的障害を示す犬の性線の組織学的構造を記述し、動物の一つで性線芽細胞腫に似たがんの症例について述べることである。性発達障害のある検査された犬10頭のうちで、性線芽細胞腫は1症例だけでみられた。人間と同様に、性異常のある動物では発育異常性線における腫瘍性病変の潜在的な傾向が存在する。原則として、集団におけるその頻度は、非繁殖犬の早期の去勢手術によって制限される。この研究では、痕跡化した陰茎骨をもつ陰核の過形成。または外陰部の位置および構造の異常などの発達異常もつ雌犬の表現系の特徴を示した。この研究には、表現系的に雌犬である犬のサンプルであり、年齢は7ヶ月から4歳の
様々な犬種の犬の性線が含まれたーそれは2006年から2013年の間にヴロツワフ(ポーランド)の環境生命科学の獣医大学の家畜動物の繁殖および診療部門から得られた。組織は腹腔から外科的に切除され、組織学的な構造を確認するために病理組織学的検査に送られた。変化した性線の10の検査症例には、両側性の精巣(60%)が6症例、両側性の卵精巣が2症例(20%)、精巣と卵精巣の共発現が1頭(10%)、および精巣と腫瘍化した性線(性線芽細胞腫)が1頭(10%)でみられた。
 

Bigliardi, Enrico, et al.
"Clinical, genetic, and pathological features of male pseudohermaphroditism in dog." 
Reproductive biology and endocrinology 9.1 (2011): 12.

PubMedリンク PMID:21255434
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:犬の雄の仮性半陰陽の臨床的、遺伝子的、および病理組織学的特徴

==アブストラクト=== 
雄の仮性半陰陽は性分化障害であり、性線は精巣で、生殖管の雄性が不完全となる。正常な雄の核型をもつ8歳齢の犬が、外性器の異常の検査で紹介来院した。外陰部い隣接して、下降していない皮下の精巣が観察された。性線の組織学によってライディッヒ細胞腫瘍とセルトリ細胞腫瘍が明らかとなった。精巣組織、外陰部、雄の核型が一緒に存在することは、雄の仮性半陰陽の状態に一致する。

Meyers-Wallen, V. N.
"Gonadal and sex differentiation abnormalities of dogs and cats." 
Sexual Development 6.1-3 (2012): 46-60.

PubMedリンク PMID:22005097
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:犬と猫の生殖腺と性分化の異常

==アブストラクト=== 
正常な性発達の分子的な段階は、性的発達障害のある患者と動物モデルを研究することで大部分が解明された。犬と猫における性的発達障害のタイプはいくつか報告されており、それらはヒトの性的発達障害とよく似ているのだが、それらが哺乳類の性的発達の知識に貢献して使用されることはあまりない。モデルとしての可能性がアルチ考えられる十分な根拠をもつ犬と猫の性的発達障害の症例について、この報告では要約した。性的発達障害の用語についてのコンセンサスと以前の用語に対する言及は、獣医師、医師、および研究者間におけるコミュニケーションとコラボレーションを円滑にするための用語の統一を促進する。分子ツールの改善が進むにつれて、これらの独自の資源を効率よく活用ために、貴重な症例を保管し、そこで性的発達の理解に役立ることで、人間と動物の健康を改善することができるだろう。

 

Quintavalla, F., et al.
"Sildenafil improves clinical signs and radiographic features in dogs with congenital idiopathic megaoesophagus: a randomised controlled trial." 
Veterinary Record (2017): vetrec-2016.

PubMedリンク PMID:28188161
本文:googlescholar経由で入手可能(全文) 

タイトル
:シルデナフィルは先天性特発性巨大食道症の犬の臨床徴候とレントゲン所見を改善する;ランダム化対照試験

==アブストラクト=== 
先天性巨大食道症のある犬におけるクエン酸シルデナフィルの効果について評価した。21頭の子犬を2つの群(治療群、対照群)へランダムに割り付けた 。犬には、シルデナフィル経口混濁液,1mg/kg,12時間毎、またはプラセボをマスクされた方法で投与した。臨床徴候(逆流の頻度、体重増加)、および食道造影(相対的食道径)を評価して薬物療法の治療効果を評価し、検査者にはこの研究のプロトコルを知らせなかった。さらに、イヌ下部食道括約筋の単離サンプルにおける一連のin vitro実験を行い、シルデナフィル濃度の上昇が基礎緊張度と電気刺激運動に与える影響を評価した。

シルデナフィルの投与は、逆流の回数を有意に減少させ(0.88±1.40 vs. 2.65±1.56、p<0.0001)、対照群と比較して治療群では体重増加が有意に多かった(79.76±28.30% vs. 53.40±19.30%、p=0.034)。治療期間の終了時の相対的食道径の値は
治療前と比較したとときに、対照群(0.98±0.17 vs. 1.10±0.25、p<0.480)とは対照的に、シルデナフィル群では有意に減少していた(0.97±0.19 vs. 0.24±0.14、p<0.0001)。生体での所見と一致して、シルデナフィルは容量依存性に犬の下部食道括約筋の基礎緊張度と電気的に誘発される弛緩を減少させた。

これらの所見は、クエン酸シルデナフィルが下部食道括約筋の緊張度を低下させることで臨床的およびレントゲン的な所見を改善させることに役立ち、この疾患の治療として新たな治療ツールとなる可能性を示唆している。

Vianna, Maria L., and Karen M. Tobias.
"Atresia ani in the dog: a retrospective study." 
Journal of the American Animal Hospital Association 41.5 (2005): 317-322.

PubMedリンク PMID:16141183
本文:無料公開なし

タイトル:犬の鎖肛;回顧的研究

==アブストラクト===
直腸および肛門の先天性異常は、犬ではまれである。最も頻繁に報告された異常は鎖肛である。鎖肛の4つの型が報告されており、先天性の肛門狭窄(Ⅰ型)、鎖肛単独(Ⅱ型)、直腸がより頭側で盲端となるものを伴う鎖肛(Ⅲ型)、直腸末端と肛門は正常である近位の直腸の不連続性(Ⅳ型)。メスのでの発生と、トイプードル、ミニチュアプードル、ボストンテリアを含むいくつかの犬種での発生が増加している。外科的修復は治療の選択であるが、術後の合併症が起こる可能性があり、それには便失禁と術前の拡張の延長に続発しておこる結腸アトニーが含まれる。 

Rahal, Sheila C., et al.
"Rectovaginal fistula with anal atresia in 5 dogs." 
The Canadian Veterinary Journal 48.8 (2007): 827.

PubMedリンク PMID:17824325
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:5頭の犬における鎖肛を伴う直腸膣瘻

==アブストラクト===
直腸膣瘻と鎖肛のあり、奇形の外科的強制により治療をうけた5頭の犬について回顧的に調査した。来院時の年齢は1-3ヶ月であり
、体重は350g-7.5kgであった。病歴には、しぶりを伴うまたは伴わない外陰部からの糞便の排出が含まれ、それは一般的には離乳後に観察された。鎖肛、膣内の糞便の存在、腹囲膨満、および腹部触診による不快感が、臨床検査において観察された。また、3頭では部分的な尾の形成不全がみられた。すべての犬で、直腸膣瘻は分離して切断し、膣および直腸の欠損部はそれぞれ閉鎖され、鎖肛が修復された。正常な排便が回復したが、1頭で便失禁がみられその後に回復した。1頭が術後2.5ヶ月で死亡し、その他では1.6-7.7年の範囲で追跡が行われた。直腸膣瘻と鎖肛のある犬における外科的矯正は、早期に行われた場合に良好な結果をもたらす可能性がある。

 

Ellison, Gary W., and Lysimachos G. Papazoglou.
"Long-term results of surgery for atresia ani with or without anogenital malformations in puppies and a kitten: 12 cases (1983–2010)."
 
Journal of the American Veterinary Medical Association 240.2 (2012): 186-192.

PubMedリンク PMID:22217027
本文:googlescholarからresearchgateで入手可能(全文) 

タイトル:子犬と子猫の肛門と性器の奇形のあるまたはない鎖肛に対する手術の長期結果;12症例(1983-2010年) 

==アブストラクト===
目的
:肛門と性器もしくは直腸と性器の奇形をを伴うまたは伴わない様々なタイプの鎖肛の外科的修復をうけた子犬と子猫に関する、シグナルメント、臨床所見、外科治療、および長期的な転帰について評価すること。

デザイン
:回顧的症例シリーズ。

動物
:子犬11頭、子猫1頭

方法
:2つの獣医教育病院の医療記録を、鎖肛の外科的治療をうけた子犬と子猫について再調査した。シグナルメント、診断、手術手技、追跡期間、および転帰に関する情報を記録した。過去の述べられている分類スキームを用い、鎖肛をタイプⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳに分類した。追跡期間と転帰について評価した。

結果:鎖肛は、3頭がタイプⅠ、6頭がタイプⅡ、3頭がタイプⅢに分類された。12頭中9頭で肛門と性器の奇形、もしくは直腸と性器の奇形がみられ、それらのうち8頭で直腸膣瘻がみられた。11頭では本来の位置での肛門形成術が行われ、1頭では直腸膣瘻を肛門の再建に使用する手術が行われた。6頭ではさらに肛門狭窄に対する治療としてバルーン拡張術が行われ、5頭では補正的な肛門形成が行われた。タイプⅠまたはⅡの鎖肛の全ての患者が1年以上生存した。 タイプⅢの鎖肛の子犬2頭は、手術後3日および40日で安楽死された。残りの10頭の追跡期間は12〜92ヶ月であり、3頭では便失禁があった。

結論と臨床的意義
;タイプⅠもしくはⅡの鎖肛の外科的な修復は、長期生存の結果となり、多くの症例で便意は抑制された。患者数は少ないものの、タイプⅢの鎖肛の患者は、タイプⅠまたはⅡの患者よりも不良な転帰となった。 

Sato, K., et al.
"Gallbladder Agenesis in 17 Dogs: 2006–2016." 
Journal of veterinary internal medicine 32.1 (2018): 188-194.

PubMedリンク PMID:29377355 
本文:無料公開あり(全文) 

タイトル:胆嚢形成不全の犬17頭:;2006-2016

==アブストラクト===
背景:胆嚢形成不全は犬では非常に稀である。
 
仮説/目的:胆嚢形成不全の犬の病歴、臨床徴候、診断、治療および転帰について記述すること。

動物:胆嚢形成不全の家庭飼育犬17頭

方法:2006炎から2016年の間の医療記録を回顧的に再調査した。胆嚢形成不全が腹部超音波検査で疑われ、全体的な評価で確定した犬が組み入れられた。シグナルメント、臨床徴候、臨床病理学的データ、画像診断、病理組織学、治療および転帰が記録された。

結果:6品種みられ、チワワ(10/17頭)が最も多かった。来院時の年齢の中央値は1.9歳(範囲 0.7-7.4)であった。臨床徴候には嘔吐(5/17)、食欲不振(2/17)、腹水(2/17)、下痢(1/17)、元気消失(1/17)、発作(1/17)があった。すべての犬で少なくても1つの肝酵素活性の上昇があり、ALT(15/17)が最も多かった。15頭ではCT胆管造影検査が行われ、総胆管の拡張が12頭で確認され、胆管の閉塞所見はなかった。全体の評価により17頭中14頭で肝葉の奇形が確認され、17頭中5頭で後天的な門脈体循環の側枝が確認された。Ductal plate malformation(訳注)が17頭中16頭で組織学的に確認された。追跡期間中(4-3379日)、17頭中16頭が生存していた。

結論と臨床的重要性
:胆嚢形成不全は肝胆道系の障害の臨床病理学的な徴候と、ductal plateの異常と一致する病理組織学的変化を示す。CT胆管造影検査は、随伴する 非閉塞性の総胆管拡張の特定において超音波検査よりも優れている。CT胆管造影検査と腹腔鏡肝生検の組み合わせは、犬の胆嚢形成不全に伴う疾患のすべての範囲を特徴付けるための好ましい方法である。


==訳者コメント===
訳注) Ductal plate malformation:胆管板形成異常と訳しているものもあったが、多くが原語そのままを用いているため、原語のままとしました。胎生期の肝内胆管の形成におけるリモデリングの過程をDuctal plate malformationと呼び、ヒトの肝線維性多嚢胞性疾患の原因となる病態とされている(参照:多発性肝嚢胞診療ガイドライン - 筑波大学医学医療系

↑このページのトップヘ