ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

小動物臨床の獣医師が、臨床に役立ちそうな論文情報をちょっとづつアップします。ねころんでいても論文検索ができればいいなと。

カテゴリ: 遺伝性疾患

Uhl, Lisa K., et al.
"Cataracts and phacoemulsification in the Siberian Husky: A retrospective and multicentric study (2008–2018)."
 
Veterinary Ophthalmology (2021).


PubMedリンク PMID:33730445
本文:無料公開なし

タイトル:シベリアン・ハスキーにおける白内障と水晶体超音波乳化吸引術;回顧的多施設間研究(2008-2018)

==アブストラクト===
目的:シベリアン・ハスキー(ハスキー)と他の犬種(非ハスキー)における白内障の特徴と白内障と水晶体超音波乳化吸引術関連する合併症を比較すること。

動物:ハスキー50頭(92眼)、非ハスキー96頭(182眼)を評価した。

方法:白内障と診断されたハスキー(4つの大学獣医病院 2008-2018年)と非ハスキー(コロラド州立大学 2017-2018年)の医療記録をレビューした。犬の年齢、来院時の白内障のステージ、術前・術後の合併症を記録して分析した。

結果
:来院時の平均年齢(±標準偏差)は、非ハスキー(9.5 ± 2.9歳齢)と比べて、ハスキー(3.5 ± 3.3歳齢)は有意に低かった(p<0.0001)。ハスキーは非ハスキーよりも遺伝性白内障で来院することがより多く(84% vs 52%)、非ハスキーはハスキーよりも糖尿病性白内障で来院する割合が有意に高かった(48% vs 16%;p=0.0001)。来院時の白内障のステージは、ハスキーと非ハスキーで差はなかった。水晶体超音波乳化吸引術は、ハスキーの40%(20/50頭、39/92眼)と非ハスキーの42%(40/96頭、74/182眼)で行われた。術前、術後の網膜剥離は、非ハスキーよりもハスキーでより多かった(術前13% vs 2%、術後 10% vs 1%)が、その差は有意ではなかった。その他の術後合併症の発生は、両群で同じくらいの頻度であった(p≧0.17)。

結論
:白内障を評価したハスキーは他の犬種と比較して、より若く、糖尿性白内障での来院が少なく、また統計的な差はなかったものの水晶体超音波乳化吸引術の術前・術後の網膜剥離のリスクの上昇が臨床的に重要なものであった。

Farré Mariné, Alba, et al.
"Long‐term outcome of Miniature Schnauzers with genetically confirmed demyelinating polyneuropathy: 12 cases." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).


PubMedリンク PMID:32738000
本文:無料公開あり(全文

タイトル:遺伝的に確認された脱髄性多発性神経症があるミニチュア・シュナウザー の長期転帰

==アブストラクト===
背景:局所的に折り畳まれたミエリン鞘を伴う脱髄性多発性神経症(ポリニューロパチー)が、2008年にフランスで3頭のミニチュア・シュナウザー で報告され、自然発生性のシャリコー・マリー・ツース(CMT)病のイヌの同属体を表すことが予測された。MTRM13/SBF2の遺伝的変異は、多発性神経症に罹患したミニチュア・シュナウザーの原因となることが同定されている。

目的
:スペインでMTRM13/SBF2遺伝子変異が確認された罹患したミニチュア・シュナウザーにおける長期的な進行に関するデータを提供すること。

動物:2013年3月から2019年6月の間に来院したミニチュア・シュナウザー 12頭。

方法
:一貫した臨床徴候を示し、MTRM13/SBF2遺伝子変異についてホモなイヌのみを組み入れた。臨床徴候、発症年齢、来院時年齢、発症から来院までの時間、治療、転帰、および診断から最終追跡までの期間を回顧的に再調査した。

結果:来院時の特徴的な臨床徴候は、レントゲンで確認された巨大食道症を伴う逆流(11/12)と声の出ない吠え(11/12)があり、電気診断的な四肢の脱髄性多発性性神経症の所見にも関わらず神経筋虚弱はある場合とない場合があった。発症年齢は3-18ヶ月、来院時年連は4-96ヶ月であった。治療のほとんどは対照的であり、食事中の頭部挙上、制酸剤、運動促進剤、ベタネコール、シルデナフィル、ミルタザピン、またはそれらの組み合わせであった。追跡期間中(7-73ヶ月)、臨床徴候は11/12頭で変化がなく、誤嚥性肺炎がたまに発症し(6/12)、1頭ではそれが死因となった。

結論と臨床的意義
:ミニチュア・シュナウザーの脱髄性多発性神経症は長期的に安定している傾向があり、誤嚥性肺炎を管理するための予防的な食事方法と体調治療により長期的に良好な予後となる。

Nygren, Karin, et al.
"Hereditary cataracts in Russian Blue cats." 
Journal of feline medicine and surgery 20.12 (2018): 1105-1109.

PubMedリンク PMID:29364031
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル:ロシアンブルーの遺伝性白内障

==アブストラクト=== 
目的:この研究の目的は、スウェーデンの猫のロシアンブルー種における白内障の有病率を調べ、 この遺伝性が疑われている白内障の形態の臨床的な特徴について記述することである。

方法:2014年3月から10月の間にスウェーデンのロシアンブルー66頭を、標準的な検査手技を用いて調べた。調べられた猫の年齢は3ヶ月齢から14歳齢であった。 遺伝的研究のために検査をした猫の全てで血統を収集した。 

結果
中程度から重度の主に両側性の白内障が、22/66頭のロシアンブルーで雄雌ともにみられた。罹患した猫の2頭は年齢が1歳未満であった。最も頻繁に観察された白内障の所見は、後部核と後部皮質前部の境界部における小さな三角形、Y字状、または円形の不透明であり、明らかな視覚障害は起こさなかった。6/22頭では、核と皮質全体、または後部および/または前部皮質の一部が関与した、より広がった病態が観察された。後者の6症例では、視力障害または失明が観察された。血統分析では、欠陥に対して単一の常染色体劣勢様式が示されたが、不完全な浸透度を伴う優性様式の可能性も除外できない。

結論と意義
:この研究でロシアンブルー品種の猫は遺伝性白内障に罹患することが示された。この研究における若い猫においての高い有病率と最も多く観察される特徴的な病変の部位は、白内障の早期発症のタイプを示唆している。ブリーダーは、この欠陥を認識し、個々のロシアンブルーの繁殖を行う前には獣医眼科専門医による検査を行うことを考慮すべきだろう。
 

Trehiou‐Sechi, Emilie, et al.
"Comparative echocardiographic and clinical features of hypertrophic cardiomyopathy in 5 breeds of cats: a retrospective analysis of 344 cases (2001–2011)."
 
Journal of veterinary internal medicine 26.3 (2012): 532-541.

PubMedリンク PMID:22443341 
本文:無料公開あり(全文

タイトル:5品種の猫における肥大型心筋症の心臓エコーと臨床的特徴の比較;344頭の回顧的研究(2001-2011年)

 ==アブストラクト===
背景
:原発性の肥大型心筋症(HCM)は最も一般的な猫の心疾患であり、いくつかの品種では遺伝することが示されている。しかし、HCMの表現型と生存について品種によって比較した研究はほとんどない。

目的
:疫学的特性、臨床所見、左心室幾何学パターン、および生存について、HCMのあるいくつかの品種の猫で比較すること。

動物
:古典的な心臓エコー検査で診断された原発性HCMがある5つの異なる品種(ペルシャ、短毛家庭猫、スフィンクス、メインクーン、シャルトリュー)からなる354頭の猫 。

方法
:回顧的研究。品種と臨床的な状態にしたがって猫を分類した。

結果
:診断時の年齢は、メインクーン(中央年齢 2.5歳齢)とスフィンクス(3.5歳齢)では、他の品種(短毛種 8.0歳齢、シャルトリュー 8.0歳齢、ペルシャ 11.0歳齢)よりも低かった(p<0.001)。左心室流出路閉塞の有病率は、他の品種(115/303、38%)と比べてペルシャ(23/41、56%)で高かった(p<0.001)。最初に心臓イベントが発生した年齢は、他の品種(7.0歳齢)と比べてメインクーン(2.5歳齢)で低かった。15歳以上生存していたのはすべて、短毛種、ペルシャ、シャルトリューのいずれかだった。突然死(すべての心臓死の24%を占める)は3品種(短毛種、メインクーン、スフィンクス)のみでみられた。

結論と臨床的意義
:ヒトと同様に、猫のHCMは疫学、左心室幾何学パターン、および臨床経過(診断時の年齢、最初の心臓イベント、死因)に関して、いくつかの品種に依存して様々な表現型をもつ特徴がある。
 

Guevar, Julien, et al.
"Idiopathic head tremor in English bulldogs."
 
Movement Disorders 29.2 (2014): 191-194.

PubMedリンク PMID:24375621
本文:無料公開なし

タイトル
:イングリッシュブルドッグにおける特発性頭部振戦

==アブストラクト===
イングリッシュブルドッグにおける特発性頭部振戦症候群は、認識されているものの、特徴があまり述べられていない運動障害である。解析されたデータは、オンラインによるアンケートと動画録画によって収集された。 集団中の38%で特発性頭部振戦がみられた。生涯の早い段階で初めての症状があった。性別または中性化の状態による好発傾向はなかった。症例の50%で時間とともに病態は消失した。頭部の動きは垂直または水平であった。1日あたりのエピソードの回数とエピソードの持続時間は様々であった。エピソードの多くが安静時に起こった。ほとんどのエピソードは予測不能であった。ほとんどの犬でエピゾード中の精神状態に変化はなかった。疑われた引き金要因としてストレスが挙げられた。イングリッシュブルドッグにおける特発性頭部振戦は特発性の発作性運動障害として考えることができる。

Wolf, Martina, et al.
"An inherited episodic head tremor syndrome in Doberman pinscher dogs." 
Movement Disorders26.13 (2011): 2381-2386.

PubMedリンク PMID:21915908
本文:無料公開なし

タイトル
: ドーベルマンピンシャーにおける遺伝性の一時的な頭部振戦症候群

==アブストラクト===
時折起こる頭部振戦はドーベルマンピンシャーで逸話的な発生があるが、十分な詳細について文献上では記述されていない。

我々は、時折起こる頭部振戦と適切なコントロールのあるドーベルマンピンシャー87頭について評価を行なった。分析されたデータは、詳細なアンケート、綿密なインタビュー、録画された動画、を通じて収集された。罹患した犬では臨床的、神経学的、および臨床検査をうけ、5頭の犬では詳細は診断検査が行われた。罹患した犬の家系を収集して見直した。

罹患犬では水平または垂直いずれかの頭部の運動の個々の表現型を示したが、両方向の頭部運動を示した犬はめったにいなかった。頭部振戦の持続時間(10秒-3時間;中央値 3分)、発生頻度(1-20回/日;中央値 2回/日)、および頭部振戦がない期間の長さ(1-1800日;中央値 60日)、にはかなりのばらつきがあった。頭部振戦が起こっている間の、頭部と頚部のジストニア姿位は、5頭の犬の動画録画で明らかであった。病気、手術、ある種の薬剤、発情、偽妊娠、または妊娠といった特定の例外的な状態が、エピソードの引き金となった。頭部振戦の2つの重要な型が同定された;同腹仔が罹患する家族性の早期発症型(1歳以下)と散発型。散発型も含めて、罹患犬は、共通の1頭の雄犬まで遡って追跡された。

時折みられる頭部振戦は、ドーベルマンピンシャーが罹患する遺伝性の発作性運動障害である。将来的に原因となる遺伝子が特定されれば、この症候群をより詳細に説明することができるだろう。

 

Ahonen, Saija, et al.
"Nationwide genetic testing towards eliminating Lafora disease from Miniature Wirehaired Dachshunds in the United Kingdom." 
Canine genetics and epidemiology 5.1 (2018): 2.

PubMedリンク PMID:29610669
本文:無料公開あり(全文

タイトル:イギリスのミニチュア・ワイヤーヘアード・ダックスフンドからラフォラ病を排除するための全国的な遺伝子検査

==アブストラクト===
背景:犬のDNA検査は純血種の繁殖にとって重要なツールとなってきており、多くのブリーダーは繁殖戦略を計画する際に遺伝子検査の結果を使用している。さらに、ひとつの犬種において何百頭もの犬の検査から得られた情報は、犬種全体での疾患に関連する対立遺伝子の遺伝子型の頻度について重要な情報を与える。ラフォラ病は遅発型の劣勢遺伝性遺伝子疾患であり、ミニチュア ワイヤーヘアード ダックスフンドで診断される。それは神経変性をもたらし、診断から数年以内に安楽死となることが多い、犬のてんかんのもっとも重篤な型のひとつである。犬のラフォラ病はNHLRC1遺伝子の12量体の反復伸長変異によって起こり、遺伝子検査はリスクがあるホモ接合体の犬とキャリアの犬、および変異のない犬とを特定するための利用できる。

結果:世界中のミニチュア・ワイヤーヘアード・ダックスフンド733頭(ほとんどがイギリス起源)から血液サンプルを収集し、犬ラフォラ病の検査を行った。 検査を行ったミニチュア・ワイヤーヘアード・ダックスフンドのうち7.0%が突然変異についてホモ接合体であり、ラフォラ病のリスクがあった。さらに、234頭がヘテロ接合体であり、検査集団におけるキャリアの頻度は31.9%であった。検査を行った中で、対立遺伝子の突然変異の頻度は0.2であった。さらに、6年間(2012-2017年)にわたり検査を行った犬のデータは、ホモ接合体とキャリアの犬の頻度はそれぞれ10.4%から2.7%、41.5%から25.7%へと減少していることを示した。結果として、変異のない犬の割合は48.1%から71.6%へと増加した。

結論
:この研究はミニチュア・ワイヤーヘアード・ダックスフンドのコミュニティに重要なデータを提供し、DNA検査ブリーダーにとってラフォラ病の発生を防ぐための有益なツールであることを示している。DNA検査は、6年以上にわたり、キャリアとリスクのある犬の頻度を減らすのに役立った。さらに、DNA検査は、この犬種における疾患の原因となる変異をゆっくりと撲滅させるために、使用し続けることができる。しかし、これは時間をかけて慎重に行われるべきであり、品種の遺伝的多様性をさらに損なうことは避けるべきだ。犬のラフォラ病に関連する臨床徴候を示す犬に診療する際に、遺伝子検査は獣医師にとって診断ツールにもなる。

Chambers, James K., et al.
"Accumulation of Laforin and Other Related Proteins in Canine Lafora Disease With EPM2B Repeat Expansion."
 
Veterinary pathology (2018): 0300985818758471.

PubMedリンク PMID:29444631
本文;無料公開あり(全文

タイトル
:EPM2Bの反復伸長のある犬のラフォラ病におけるラフォリンとその他の関連蛋白の蓄積

==アブストラクト===
犬のラフォラ病は常染色体劣勢遺伝子疾患であり、非致死的な構造的てんかんを引き起こし、主にミニチュア・ワイヤーヘアード・ダックスフンドが罹患する。EPM2B遺伝子の反復伸長は、グリコーゲン代謝を制御するユビキチンリガーゼの機能障害を引き起こす。 主に中枢神経系において、異常な構造のグリコーゲンが蓄積し、ポリグルコサン小体を発現させる。著者らは、
ポリグルコサン小体の全身の分布とポリグルコサン小体におけるラフォリンおよび機能的に関連するその他の蛋白の蓄積を伴うEPM2B反復伸長のあるラフォラ病に罹患したミニチュア・ワイヤーヘアード・ダックスフンドについて、臨床的、遺伝子学的、および病理組織学的な包括的研究を行った。

ミオクロニー発作の初発は7-9歳齢であり、14-16歳齢で死亡した。カルビンジンに対する免疫病理化学により、ポリグルコサン小体がプルキンエ細胞の細胞体および樹状突起に位置していることが明らかとなった。ポリグルコサン小体はまた、ラフォリン、hsp70、α/β-シヌクレイン、ユビキチン、LC3、およびp62にも陽性であった。ラフォリン陽性のポリグルコサン小体は、ニューロフィラメント陽性のニューロンに位置していたが、GFAP陽性のアストロサイトには存在しなかった。非神経組織では、心臓、骨格筋、肝臓、アポクリン汗腺、および膀胱の平滑筋層に、過ヨウ素酸シッフ(PAS)陽性おポリグルコサン小体が観察された。骨格筋では、ポリグルコサン小体は1型線維にのみみられ、2型線維にはみられなかった。

この結果は、EPM2B遺伝子の反復伸長は犬に特異的であるものの、犬のラフォラ病におけるポリグルコサン小体の免疫組織化学的な特性はヒトのラフォラ病と同等なものであることを示唆している。しかし、犬とヒトの間には、罹患する骨格筋の線維の型を含めた重要な表現型の違いが存在する。
 

==補足===
ラフォラ病も載っている資料がwebで入手できます。
神経疾患の比較病理学的研究(http://www.vm.a.u-tokyo.ac.jp/byouri/education/komaba.pdf
 

Swain, Lindsay, et al.
"Lafora disease in miniature Wirehaired Dachshunds."
 
PloS one 12.8 (2017): e0182024.

PubMedリンク PMID:28767715
本文:無料公開あり(全文) 

タイトル
:ミニチュア・ワイヤーヘアード・ダックスフンドにおけるラフォラ病

==アブストラクト===
ラフォラ病は、常染色体劣性の遅発型進行性ミオクローヌスてんかん、ミニチュア・ワイヤーヘアード・ダックスフンドにおける有病率が高い。この疾患はEpm2b遺伝子によるものであり、異常なグリコーゲン
(ラフォラ小体)の細胞内蓄積を起こす。最近の犬種全体の検査では、キャリアと罹患の割合の合計が20%に達する可能性があることが示唆されている。この疾患の特徴的な徴候は、自然発生性で反射性のミオクローヌスであるが、臨床徴候と疾患の進行については十分に述べられていない。

Epm2b遺伝子変異のホモ接合型をもつ、または遅発性の反射性ミオクローヌスとラフォラ病の臨床診断をうけたミニチュア・ワイヤーヘアード・ダックスフンドの飼い主に、調査を提出した。疾患をまだ発症していない変異陽性の犬を除外したのちに、27頭の犬(雄11頭、雌16頭)で解析を行なった。

臨床徴候の発症の平均年齢は6.94歳齢(3.5-12歳齢)であった。最も多かった最初の徴候は、反射性で自然発生性のミオクローヌス(77.8%)であった。その他の徴候として、睡眠時のミオクローヌス(51.9%)、全身発作(40.7%)があった。まれな徴候として、“jaw smacking”、“フライバイト”、“パニック発作”、視力障害、攻撃性、尿失禁などがあった。これらの臨床徴候のすべてが現れ、時間とともに頻度と強度が増す可能性がある。特にミオクローヌスはより重篤となり、人への攻撃性(25.9%)、犬への攻撃性(33.3%)、難聴(29.6%)、およぶハウストレーニングの喪失による便失禁(29.6%)と尿失禁(37.0%)(脱抑制型行動)が増した。

犬の疾患の特徴を明らかにし、より特異的な治療戦略を可能にし、疾患の進行による治療の調整をするためには、さらなる研究が必要とされる。
 

Vandenberghe, Hélène, et al.
"Juvenile‐onset polyneuropathy in American Staffordshire Terriers." 
Journal of veterinary internal medicine (2018): e15316.

PubMedリンク PMID:30315663
本文:無料公開あり(全文

タイトル:アメリカン・スタッドフォードシャー・テリアにおける若年性多発性ニューロパチー
 
==アブストラクト===
背景
アメリカン・スタッドフォードシャー・テリアでこれまでに述べられている唯一の遺伝性の神経疾患はセロイドリポフスチン症に続発する成犬発症の小脳変性だけであった。われわれは、呼吸器徴候のあるまたはない運動虚弱と、若年発症で遺伝性の変性性の多発性ニューロパチーによって特徴付けられる新たな神経疾患を何頭かの犬でみていきた。

目的
:若齢のアメリカン・スタッドフォードシャー・テリアにおける新規の多発性ニューロパチーの特徴を述べること。

動物
:2005年5月から2017年7月の間に5つの動物病院に、若齢発症の多発性ニューロパチーに一致する臨床徴候で来院したアメリカン・スタッドフォードシャー・テリア14頭。

方法:症例シリーズ。神経の生検により変性性多発性ニューロパチーの診断が確定した犬を回顧的に組み入れた。臨床的、病理学的、電気生理学的、組織学的データ、および転帰について再調査し、家系分析を行なった。

結果:すべての犬は、全身の運動神経および感覚神経を巻き込む神経筋疾患の臨床徴候をしめしており、局所徴候として喉頭麻痺(10/14頭)と巨大食道症(1/14頭)が関連していた。病理組織学的所見は変性性多発性ニューロパチーに一致していた。11頭で追跡情報が手に入り、3頭は診断後短期間で安楽死されていた。これらの11頭では、疾患は緩徐に進行し、歩行能力とともに良い生活の質を維持した。家系分析では、常染色体劣性遺伝様式とほとんど一致していた。

結論と臨床的重要性
:喉頭麻痺と関連する若齢の多発性ニューロパチーは、アメリカン・スタッドフォードシャー・テリアで新たに述べられた病態であり、変性性ニューロパチーによって起こる。喉頭麻痺の外科治療が行われれば、罹患した犬は歩行障害はあるものの、寿命は正常な犬と同等かもしれない。


==補足===
アメリカン・スタッドフォードシャー・テリア(Wikipedia)
写真:Wikipediaから引用
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Dutton, E., and J. López‐Alvarez.
"An update on canine cardiomyopathies–is it all in the genes?." 
Journal of Small Animal Practice (2018).

PubMedリンク PMID:29665072
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:犬の心筋症の最新情報ーそれはすべて遺伝子?

==アブストラクト===
拡張型心筋症は、犬において2番目に多い心臓疾患であり、かなりの有病率と死亡率を引き起こす。原発性の拡張型心筋症は家族性であると疑われており、多くの品種において遺伝子座がこの疾患と関連している。成犬での発症疾患、通常は遅発性の発症、であることから、交配前に繁殖犬を拡張型心筋症に至る遺伝子変異について検査することは、疾患の予防に有用である。研究されている犬種の多くで、遺伝子基盤は単一遺伝子性ではなく、多遺伝子性であることの証拠が増えている。このレビュー記事では、犬の拡張型心筋症についての既知の遺伝的側面と、心臓検査および獣医心臓病学における遺伝子検査の関わり合いについて述べる。
 

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