ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

小動物臨床の獣医師が、臨床に役立ちそうな論文情報をちょっとづつアップします。ねころんでいても論文検索ができればいいなと。

カテゴリ: 臨床徴候

Hauck, Shannon Ryan, et al.
"Chronic Vomiting in Cats: Etiology and Diagnostic Testing." 
Journal of the American Animal Hospital Association 52.5 (2016): 269-276.

PubMedリンク PMID:27487349
本文:無料公開なし

タイトル:猫の慢性嘔吐;病因と診断検査

==アブストラクト=== 
 猫の慢性嘔吐は今日の獣医臨床でみられる一般的な問題である。慢性嘔吐のある患者が来院した際の最初のステップは、嘔吐と逆流(吐出)または嚥下障害を区別することだ。猫の慢性嘔吐の原因は非常に多く存在し、そのため詳細で包括的な病歴と全身的な診断アプローチは、嘔吐の原因と最も適切な治療計画の決定に重要なステップだ。猫の慢性嘔吐の一般的な原因には、炎症性腸疾患、食物アレルギー、胃腸管運動障害、腫瘍、および腎疾患、肝胆道系疾患、甲状腺機能亢進症などの消化管外疾患が含まれる。

Gatineau, Matthieu, et al.
"Locked jaw syndrome in dogs and cats: 37 cases (1998–2005)." 
Journal of veterinary dentistry 25.1 (2008): 16-22.

PubMedリンク PMID:18512621
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル
:ロックジョー症候群の犬と猫;37症例(1998-2005)

==アブストラクト===
ロックジョー症候群(口を開けるまたは閉めることができない)の犬と猫の連続した症例シリーズについてこの研究で報告する。犬が有意に多く(84.0%)、成犬が主に罹患した(81.0%)。骨折による顎関節の強直が、ロックジョー症候群の最も多い原因だった(54.0%)。ロックジョー症候群のその他の原因には、咀嚼筋筋炎、腫瘍、三叉神経麻痺と中枢神経病変、顎関節の脱臼と異形成、変形性関節症、眼球後部膿瘍、破傷風、重度の耳疾患があった。ロックジョー症候群の治療は、主な原因疾患に向けられる。関節周囲の線維化を最小限にするために、緊張性痙攣を治療することが重要だ。顎関節の強直に対しては外科的介入が推奨されている。咀嚼筋筋炎の治療は、徐々に口を開けることで開始し、免疫抑制療法をベースにした内科治療も行う。骨折と咀嚼筋筋炎は短期的な転帰についても比較的良好な予後と関連するが、中枢神経病変または骨肉腫の動物では予後不良となる。

Niessen, S. J. M., et al.
"Five cases of canine dysautonomia in England (2004 to 2006)."
 
Journal of Small Animal Practice 48.6 (2007): 346-352.

PubMedリンク PMID:17425697 
本文:イギリスにおける犬の自律神経障害の5症例(2004-2006年)

==アブストラクト===
犬の自律神経障害が病理組織学的に5頭の犬で確定診断された。すべての犬が2004年6月から2006年7月の間にみられ、南東イングランドで生まれた。4頭は都市部で生まれ、1頭は農村部で生まれた。都市部の犬のうち、1頭はスコットランドに滞在し、1頭は農村部の犬舎に滞在していた。急性発症で進行性の嘔吐、下痢、沈鬱、食欲低下が最も一般的な臨床徴候であった。肛門緊張度の低下または消失、排尿障害、視覚低下のない対光反射の消失、散瞳、角膜感覚の低下、および瞬膜の突出は、最も頻繁にみられる神経学的所見のひとつであった。薬理学的な自律神経および生理学的な機能検査における異常(2頭の犬での起立性低血圧を含む)と、画像診断での異常が検出された犬がいた。すべての犬が治療へ十分に反応せず、予後不良となり、最終的に安楽死された。病理組織学的に、神経節細胞体での顕著なクロマトライシスが確認された。この症例シリーズから、イギリスで急性もしくは亜急性発症の胃腸徴候と、身体検査および神経学的異常の両方がみられる犬が来院した際には、自律神経障害を考慮すべきであることを強調している。

Stonehewer, J., et al.
"Idiopathic phenobarbital‐responsive hypersialosis in the dog: an unusual form of limbic epilepsy?."
 
Journal of small animal practice 41.9 (2000): 416-421.

PubMedリンク PMID:11023129
本文:無料公開なし

タイトル
:犬の特発性フェノバルビタール反応性唾液腺症;辺縁系てんかんの珍しいかたち?

==アブストラクト===
抗けいれん薬療法に反応した唾液腺の腫大と唾液腺症の犬の珍しい3症例について報告した。症状の訴えには、体重減少、唾液分泌過多、 吐き気、および数週間の嘔吐が含まれた。2頭は痛みのある下顎唾液腺の腫大で来院した。3頭目の犬は奇妙な行動(顎をがたがた鳴らすことを含む)を示し、入院中に痛みのある下顎唾液腺の腫大を発症した。細針吸引細胞診と腫大した唾液腺の生検では、有意な病理学的変化はみられなかった。1頭の犬では、脳波がてんかんと一致する変化を示した。唾液腺症および唾液腺の腫大は、すべての症例でフェノバルビタール投与中に完全に消失した。2頭は診断から6ヶ月後に治療からの離脱に成功した。残りの犬は8ヶ月後に再発したが、経口の臭化カリウムの投与で正常化した。特発性唾液腺症の症候群は実際には辺縁系てんかんの珍しい形態であるかもしれないと仮説される。

Alcoverro, Emili, et al. 
"Phenobarbital-Responsive Sialadenosis in Dogs: Case Series." 
Topics in companion animal medicine29.4 (2014): 109-112.

PubMedリンク PMID:25813851
本文:googlescholarからreseachgateで入手可能(全文

タイトル
:犬のフェノバルビタール反応性唾液腺症;症例シリーズ

==アブストラクト===
フェノバルビタール反応性唾液腺症は犬におけるまれな特発性疾患である。顎下の唾液腺の両側性の腫大を伴う嘔吐、吐き気、飲み込みは、より頻繁な臨床徴候である。フェノバルビタール反応性唾液腺症を診断するための特異的な検査はないため、慢性の嘔吐を含めて最も重要な全身性の病因を除外するために、徹底的な診断検査を行わなければならない。診断は、フェノバルビタール治療の開始後の急速で劇的な臨床徴候の改善によって、臨床的に行われる。この記事の目的は、フェノバルビタール反応性唾液腺症が疑われる犬4頭の症例シリーズにおける臨床徴候、診断所見、および転帰について記述することである。


==補足===
国内の報告はこちら

Ward, J. L., et al.
"Outcome and survival in canine sick sinus syndrome and sinus node dysfunction: 93 cases (2002–2014)."
 
Journal of veterinary cardiology 18.3 (2016): 199-212.

PubMedリンク PMID:27286907
本文:無料公開なし

タイトル:犬の洞不全症候群と洞結節機能不全の転帰と生存;93症例(2002-2014年)

==アブストラクト===
イントロ:洞房結節の以上のある犬の集団の臨床的所見、診断、治療、および転帰について調べること。

動物:紹介施設における家庭飼育犬93頭。

方法:医療記録を、臨床病歴、診断検査、内科治療もしくは永久的人工ペースメーカー (以下ペースメーカー)治療について再調査した。長期の追跡調査のために飼い主または獣医師と連絡ととった。

結果
:61頭の犬が症候性の徐脈性不整脈を示し、洞不全症候群と診断された。32頭の犬が無症候性の徐脈性不整脈を示し、洞結節機能不全と診断された。ミニチュアシュナウザー、ウエストハイランドホワイトテリア、コッカースパニエル、および雌犬で多くみられた。陽性変時薬剤を用いた内科治療は、洞不全症候群の犬の54%で長期的な失神の管理に成功し、20%でペースメーカーへの橋渡しの役目を果たした。アトロピン陽性反応が内科治療の成功を予測した。洞不全症候群の犬の46%が最終的にペースメーカーの設置をうけた。洞結節機能不全および洞不全症候群の犬の中央生存期間は、治療戦略に関わらずおよそ18ヶ月であった。進行性心臓弁膜症に関連するうっ血性心不全はすべてのグループで頻繁に発生し、特に徐脈頻脈症候群の犬に多かった。

結論:洞結節機能不全と洞不全症候群は、洞房結節疾患の範囲を示しており、一部の犬では自律神経機能不全の構成成分も含んでいる可能性がある。洞結節機能不全の犬は治療を必要としない。洞不全症候群の犬は、失神の頻度を減らすための治療を必要とし、内科治療は特にアトロピン反応性の犬でしばしば有用である。治療を行った洞不全症候群の犬の予後は良好だが、うっ血性心不全の発症は治療によって軽減はされないようだ。
 

Santilli, R. A., et al.
"Indications for permanent pacing in dogs and cats." 
Journal of Veterinary Cardiology (2019).

PubMedリンク PMID:16496928
本文:無料公開なし

タイトル
:第3度房室ブロックの猫21頭(1997-2004年)

==アブストラクト===
猫において第3度房室ブロックが長期的な転帰に与える影響は不明である。

第3度房室ブロックのある21頭の猫における臨床所見と長期予後について回顧的に調べた。猫の中央年齢は14歳齢(範囲 7-19)であった。臨床徴候として呼吸困難または虚脱がみられたが、6頭の猫では疾患の臨床徴候はなかった。8頭の猫で、第3度房室ブロックが検出された時点でうっ血性心不全があった。心拍数の範囲は80-140拍/分(bpm;中央値 120bpm)であり、うっ血性心不全の有無で心拍数に差はなかった。心臓エコー検査を行った18頭の猫のうち11頭で構造的な心疾患があり、6頭では併発する全身性疾患と一致する心臓の変化であった。房室結節部の病変はエコー検査では検出されなかった。1頭の猫で組織学的検査により房室結節部の病変が検出された。死亡または安楽死された猫14頭の中央生存期間は386日(範囲 1-2013日)であった。うっ血性心不全の有無、または構造的な心疾患の有無による生存期間の差はなかった。第3度房室ブロックのある猫13頭が、臨床徴候や根底にある心疾患にかかわらず、診断後1年以上生存した。

猫の第3度房室ブロックはしばしばすぐに命を脅かすものとはならない。来院時の心疾患やうっ血性心不全の有無は生存に影響をしない。虚脱のある猫でさえ、ペースメーカーなしで1年以上の生存となるかもしれない。


 

Milodowski, Emily Jayne, et al.
"Clinical findings and outcome of dogs with unilateral masticatory muscle atrophy."
 
Journal of veterinary internal medicine (2018).

PubMedリンク PMID:30556930
本文:無料公開あり(全文

タイトル:片側性の咀嚼筋萎縮のある犬の臨床所見と転帰

==アブストラクト===
背景:片側性の咀嚼筋萎縮のある犬における基礎疾患の範囲についてはほとんど知られていない。

目的:片側性の咀嚼筋萎縮のある犬の臨床所見、MRI所見、および転帰について調べること。

動物:家庭飼育犬63頭。

方法
:片側性の咀嚼筋萎縮の評価のためにMRIを行なった犬の医療データベースを回顧的に再調査した。画像検査を再調査し、電話での質問により追跡情報を得た。

結果:三叉神経鞘腫瘍の推定が30頭の犬(47.6%)で診断され、生存期間は1日から21ヶ月(中央値5ヶ月)と様々であった。その他の脳実質外腫瘤病変は13頭(20.6%)で観察され、生存期間は6日から25ヶ月(中央値2.5ヶ月)と様々であった。18頭(28.6%)では、MRIでは異常が観察されず、神経学的徴候は1頭のみで進行した。診断は神経学的異常のタイプに大きな影響を与え、三叉神経鞘腫瘍の犬のほとんどと脳実質外腫瘤病変の犬のすべてで追加的な神経学的な欠損がみられた。診断は、診断時点での安楽死、および神経学的な悪化のしやすさに大きな影響を与えた。腫瘤病変をもつ犬では、安楽死されることが多く、神経学的な悪化を経験する可能性が高かったが、一方で原因となる病変が特定されなかった犬ではこうした結果になることは少なかった。

結論と臨床的意義
:片側性の三叉神経萎縮の原因として、三叉神経鞘腫瘍だけを考えるべきではない。われわれの結果は、片側性の咀嚼筋萎縮のある犬では、神経学的検査をMRIと行うことの重要性を示している。
 

Hinchliffe, Tom A., Nai‐Chieh Liu, and Jane Ladlow.
"Sleep‐disordered breathing in the Cavalier King Charles spaniel: A case series." 
Veterinary Surgery (2018).

PubMedリンク PMID:30592314
本文:無料公開なし

タイトル:キャバリアキングチャールズスパニエルの睡眠呼吸障害;症例シリーズ

==アブストラクト===
目的:キャバリアキングチャールズスパニエル(以下キャバリア)における睡眠呼吸障害について記述すること。

研究デザイン:回顧的症例シリーズ。

動物:睡眠呼吸障害で来院した家庭飼育犬5頭。

方法:再検査の予定、ルーチンな術前および術後のアンケートを含む医療記録を再調査した。全身の気圧プレシスモグラフィーを用いて睡眠呼吸障害を分類した。

結果
:すべての犬が、睡眠中のいびき呼吸、息詰まり、無呼吸などの複数のエピソードをもち来院した。 重度の鼻中隔の逸脱、異常な鼻甲介、および軟口蓋の過長と肥厚が、それぞれの犬でCT検査と鼻腔鏡でみられた。睡眠中(3頭)の全身の気圧プレシスモグラフィー測定で、息詰まり、いびき、および無呼吸の期間を記録した。治療は、レーザー鼻甲介切除、折り返し弁軟口蓋形成、扁桃切除、喉頭小嚢切除、および楔状突起の切除が組み合わせて行われた。すべての犬で睡眠時無呼吸の発生率および重症度において1週間以内に改善し、5頭中4頭では完全に解消した。

結論:このキャバリアの集団における睡眠時呼吸障害を特徴づけるために用いられた客観的な測定は、この疾患における閉塞性の原因とそれが外科治療で改善することを支持するいくつかの根拠を示した。

臨床的意義
:キャバリアにおける睡眠時呼吸障害は、短頭種閉塞性気道症候群の臨床所見とは異なる。これらの睡眠時呼吸障害のある5頭の犬における鼻腔内の異常に関するわれわれの所見は、その臨床的意義への将来の研究の正当化を提供した。
 

Bruet, Vincent, et al.
"Characterization of pruritus in canine atopic dermatitis, flea bite hypersensitivity and flea infestation and its role in diagnosis." 
Veterinary dermatology 23.6 (2012): 487-e93.

PubMedリンク PMID:23013416
本文:無料公開なし

タイトル:イヌアトピー性皮膚炎、ノミ咬傷過敏症、およびノミ寄生における掻痒の特徴と、診断におけるその役割

==アブストラクト===
背景:犬において、ノミ寄生、ノミ咬傷過敏症、およびイヌアトピー性皮膚炎は、その病変によって主に特徴付けられてきたが、その痒みによる特徴づけはいまだされていない。臨床では、これらの犬は主に掻痒のみを示す。

仮説/目的:この研究の目的は、これらの皮膚疾患における痒みの特徴と、診断における潜在的な有用性を明らかにすることである。

動物:オニリスの診療データから選出あsれた犬が組み入れられた。3つの皮膚疾患のうちの1つのみ診断された犬で症例を選出した。イヌアトピー性皮膚炎はPrelaud's基準とノミ以外の皮内検陽性にもとづいて診断し、ノミ咬傷過敏症は臨床徴候の一致とノミ抗原の皮内検査の反応に基づいて診断し、ノミ寄生はノミの存在によって診断した。さらに、各グループで他の主要な掻痒性皮膚疾患が除外された。

方法:部位、行動徴候、季節性、および定量化された掻痒、が評価された。統計学的解析にはカイ二乗検定(p<0.05)を用いた。

結果:349頭の犬が解析され、91頭がイヌアトピー性皮膚炎、110頭がノミ寄生、145頭がノミ咬傷過敏症であった。発症の時期(季節)は、それぞれの皮膚疾患においても、また疾患の間においても、いずれも統計学的な差はなかった。いくつかの部位がひとつの皮膚疾患に対して特異度が高かった;ノミ寄生では、腹部腹側/大腿の内側表面(噛む)および橈骨/手根/脛骨/足根(噛む);ノミ咬傷過敏症では背部/腰背部(噛む)および尾(噛む);イヌアトピー性皮膚炎では肢(噛む/舐める)および顔/首(こする)。

結論と臨床的重要性
:掻痒の特徴のいくつかは、原因疾患を示唆する可能性があり、痒みのある犬において診断的価値となる可能性がある。


Shell, Linda G., et al.
"Clinical and breed characteristics of idiopathic head tremor syndrome in 291 dogs: a retrospective study."
 
Veterinary medicine international 2015 (2015).

PubMedリンク PMID:26064776
本文:無料公開あり(全文

タイトル:特発性頭部振戦症候群の犬291頭の臨床的および犬種的特徴;回顧的研究

==アブストラクト===
目的:発症機序が不確定な時折の頭部の運動障害である、犬の特発性頭部振戦症候群のシグナルメントと現象学を確立すること。

デザイン:回顧的症例シリーズ。

動物:1999年から2013年の間に特発性頭部振戦症候群と診断された犬291頭。 

方法:臨床情報は、獣医学情報の集約と交換のためのオンラインコミュニティから入手し、それらの承認を得て実施した。品種、性別、発症時の年齢、振戦の描写、症候中の意識状態、注意をそらすことと薬物の効果、診断、他の問題の存在、および転帰について解析した。

結果
:特発性頭部振戦症候群は24の純血種でみられた。ブルドッグ、ラブラドールレトリバー、ボクサー、ドーベルマンピンシャーが69%を占めており、雑種は17%を占めた。発症年齢の平均は29ヶ月(範囲;3ヶ月〜12歳齢)であった。最初のエピソードは、88%の例で48ヶ月齢以内におこった。垂直性(35%)、水平性(50%)、回転性(15%)の動きが記述された。可能性のある引き金イベントは21%でみられた。意識状態は93%で正常であった。87%の犬で、注意をそらすことで震えが和らいだ。ほとんどの犬では抗てんかん薬への反応がなかった。

結論と臨床的意義
:この回顧的研究では、ラブラドールレトリバー、ボクサー、および雑種犬を含む多くのケンキュにおける特発性頭部振戦症候群についての記録をした。


==補足===
youtubeで”
dog head tremor syndrome”などで調べるといろろな動画が出てきます。

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