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カテゴリ: 妊娠・出産

Vilar, José M., et al.
"Comparison of 3 anesthetic protocols for the elective cesarean-section in the dog: Effects on the bitch and the newborn puppies." 
Animal reproduction science 190 (2018): 53-62.

PubMedリンク PMID:29395686
本文:無料公開なし

タイトル
: 犬の選択的な帝王切開における3つの麻酔プロトコールの比較;母犬と新生児に対する影響

==アブストラクト===
この研究では、帝王切開をうけた4犬種(フレンチブルドッグ n=13、ヨークシャーテリア n=12、チワワ n=10、ブルテリア n=10)で、3つの異なる麻酔プロトコールについて麻酔導入と維持の質をもとに評価した。新生児死亡率、出生異常、および新生児の活力について評価した。すべての雌犬で麻酔前投与としてモルヒネ(im)が投与され、その後に3つの異なる麻酔プロトコールに割り振られた;
グループP(n=17)プロポフォールで麻酔導入、すべての仔犬が出されるまでプロポフォールで維持、その後セボフルランで麻酔維持。
グループPS(n=14)プロポフォールで麻酔導入、維持麻酔はセボフルラン。
グループPES(n=14)プポフォールで麻酔導入し硬膜外麻酔を実施、
すべての仔犬が出されるまでプロポフォールで維持、その後セボフルランで麻酔維持。
手術中にわたり、グループPESは低濃度のセボフルランを必要とし(p<0.05)、吸入麻酔中は追加のプロポフォールまたはフェンタニルの投与は必要としなかった。心拍数の平均(p<0.01)は、グループPとPSの雌犬で高かった。血圧の平均は、グループPESで、他の2つのグループに比べて低かった。出生異常は新生児の3.1%(5/162)でみられ、フレンチブルドッグの仔犬での発生が有意に高かった(p<0.05)。新生児の活力については修正アプガースコアを用いて行なった;アプガースコアは出生直後に定義し
(アプガー0)、2番目のスコアは出生後60分で評価した(アプガー60)。アプガー0スコアはグループ間で有意に異なっており、グループPESの新生児がもっとも高い値を示した(p<0.05)。アプガー60では、94%以上の仔犬がすでに正常な活力の新生児(スコア7-10)に分類されており、グループ間での差はみられなかった。この研究では、グループPESの母犬で手術中の麻酔の質がより高く、出生直後の仔犬の活力がより高かったことが示された。使用された麻酔プロトコールにかかわらず、フレンチブルドッグの雌犬と仔犬は、他の犬種よりも多くの臨床的なケアを必要とした。
 

De Cramer, K. G. M., K. E. Joubert, and J. O. Nöthling.
"Puppy survival and vigor associated with the use of low dose medetomidine premedication, propofol induction and maintenance of anesthesia using sevoflurane gas-inhalation for cesarean section in the bitch." 
Theriogenology 96 (2017): 10-15.

PubMedリンク PMID:28532824
本文:無料公開なし

タイトル
:雌犬の帝王切開のための低用量メデトミジンの麻酔前投与、プロポフォール麻酔導入、およびセボフルランガス吸入維持麻酔の使用と仔犬の生存と活力との関連

==アブストラクト===
 麻酔前投与として塩酸メデトミジン(7μg/kg iv)、麻酔導入としてプロポフォール(1-2mg/kg iv)、維持麻酔として酸素とセボフルラン2%で構成された麻酔プロトコールの安全性について、292頭の帝王切開と2232頭の出生した仔犬で調査した。メデトミジンの効果は、出生直後に塩酸アチパメゾール(50μg/仔犬 sc)を投与して無効にし、母犬は手術直後に静脈投与を行い無効にした。仔犬に対するプロトコールの安全性は、出生直後、2時間後、7日後の生存、およびアプガースコア(最後の仔犬の出生後15分後から測定を開始)を用いて表した。母犬の生存率は、帝王切開の直後、2時間後、7日後で確立した。

帝王切開の犬には、ボーアボール148頭、イングリッシュブルドッグ84頭、その他の純血種60頭、からそれぞれ1378頭、541頭、313頭の仔犬が生まれた。ボーアボール、イングリッシュブルドッッグ、その他の純血種ではそれぞれ、出生時に97.39%、96.67%、91.69%の仔犬が生存し、2時間後には95.43%、88.35%、89.78%が生存、7日後には89.19%、79.11%、84.03%が生存していた。
ボーアボール、イングリッシュブルドッグ、その他の純血種の仔犬の16頭(1.16%)、32頭(5.59%)、4頭(1.28%)が奇形であり、安楽死された。ボーアボール、イングリッシュブルドッグ、その他の純血種の仔犬の35頭、18頭、26頭が死産であり、そのうち12頭、9頭、15頭が帝王切開直前の超音波検査で死亡が確認されていた。超音波検査で死亡していた胎児と奇形による安楽死の仔犬を調整後にの生存は、ボーアボール、イングリッシュブルドッグ、その他の純血種でそれぞれ、2時間までが98.21%、95.60%、94.30%であり、7日目までが91.78%、87.1%、88.26%であった。2時間の生存率はスコアが8以下の同腹仔の割合と負の相関があり(r=0.14、p=0.01、n=292同腹)、同腹仔内の最も低いアプガースコアと正の相関傾向あった。(r=0.11、p=0.05、n=292同腹)。

この研究により、プロトコール内で用いられている塩酸メデトミジンは、帝王切開を行う雌犬の安全な麻酔前投与であり、良好な仔犬の活力および2時間後、7日後の生存率と関連していることを示している。麻酔前投与としてのメデトミジンの使用は、麻酔導入薬として通常必要とされるプロポフォールんも投与量を半分未満の使用を可能にした。
 

Metcalfe, S., et al.
"Multicentre, randomised clinical trial evaluating the efficacy and safety of alfaxalone administered to bitches for induction of anaesthesia prior to caesarean section." 
Australian veterinary journal 92.9 (2014): 333-338.

PubMedリンク PMID:25156052
本文:無料公開なし

タイトル:帝王切開前の麻酔導入のための雌犬へのアルファキサロン 投与の有効性と安全性を評価するための多施設ランダム化臨床試験

==アブストラクト===
目的:帝王切開を行う雌犬においてアルファキサロンを麻酔導入として投与し、その後に酸素とイソフルランおよびその他の周術期薬品との組み合わせの際の、アルファキサロン の雌犬とそれらの仔犬における臨床的な安全性と有効性について調べること。

デザイン:多施設、ランダム化、陽性対照、臨床試験。

方法;合計74頭の雌犬がこの研究に登録され、48/74(65%)と26/74(35%)がアルファキサロン とプロポフォールを麻酔導入薬として投与された。雌犬は、導入前に検査され、導入中、手術中、麻酔からの回復中にモニターされた。仔犬の吸引力、背屈、引っ込め反射、肛門性器反射について評価した。

結果:アルファキサロン の投与をうけた48頭中、47頭(98%)と39頭(81%)が、それぞれ導入および麻酔の有効性について優れた最高スコアを得た。プロポフォールの投与をうけた26頭における同じパラメータでは、23頭(88%)と17頭(65%)が優れたスコアを得た。 麻酔からの回復のスコアの平均は二つの治療グループで差はなく、アルファキサロン の46/48頭(96%)とプロポフォールの25/26頭(96%)で良好または非常に良好なスコアを得た。雌犬は、周術期を通して多くの併用薬を許容した。この研究では雌犬の死亡は観察されなかった。仔犬の出生に関して治療グループ間で統計的に有意な差はなかった。アルファキサロン またはプロポフォールによる帝王切開によって生まれた生きた仔犬は、生後24時間での生存割合は同様であった(それぞれ205/213(96%)、124/131(95%))。

結論
:この研究では、雌犬の帝王切開の麻酔導入を目的としたアルファキサロンの安全性と有効性が確認された。さらに、仔犬に与える影響はわずかであり、母犬がアルファキサロン導入の麻酔から回復して24時間後に95%以上の仔犬が生存していた。
 

Doebeli, A., et al.
"Apgar score after induction of anesthesia for canine cesarean section with alfaxalone versus propofol."
 
Theriogenology 80.8 (2013): 850-854.

PubMedリンク PMID:23932170
本文:無料公開あり(全文

タイトル:アルファキサロン vs.プロポフォールを用いた犬の帝王切開の麻酔導入後のアプガースコア注)

==アブストラクト===
新生児の元気さに与えるアルファキサロン とプロポフォールの影響について、緊急の帝王切開の麻酔導入薬としてそれらを使用した22頭の雌犬と81頭の仔犬で研究した。手術が適応と判断された後に、雌犬はランダムにアルファキサロン (1-2mg/kg)またはプロポフォール(2-6mg/kg)による麻酔導入の投与に割り付けられた。それぞれの薬剤は、気管チューブの挿管が可能になる効果まで静脈投与され、麻酔の維持は酸素とイソフルランで行った。胎児の元気さは、心拍数、呼吸努力、刺激に対する反応、、運動性、および粘膜色、を考慮に入れた修正アプガースコア(最大スコア=10)を用いて評価した。出産後5分、15分、60分でスコアを割り当てた。出産した仔犬の数も、出産後3ヶ月までの仔犬の生存割合も、グループ間で差はなかった。麻酔導入薬と採点時間はアプガースコアと関連していたが、出産時間は関連していなかった。アルファキサロン グループにおけるアプガースコアは、プロポフォールグループのものよりも、出産後5分、15分、60分で高かった。グループ間での全体として算定されるスコアの差は、3.3(95%信頼区間 1.6-4.9;p<0.001)。

結論として、アルファキサロン もプロポフォールも、緊急の帝王切開を行う雌犬の麻酔導入薬として安全に使用できた。どちらの薬剤性の使用後も仔犬の生存は同様であったが、アルファキサロン は出産後60分までの新生児の元気の良さと関連した。


==訳者補足===
注)アプガースコア(Apgar score)
アプガー指数( - しすう、Apgar score)、またはアプガーテストアプガースコアとは、出産直後の新生児の健康状態を表す指数、および判定方法”   Wikipedia「アプガー指数」から引用
 

Proctor‐Brown, Lauren A., Soon Hon Cheong, and Mariana Diel de Amorim.
"Impact of decision to delivery time of fetal mortality in canine caesarean section in a referral population." 
Veterinary medicine and science (2019).

PubMedリンク PMID:30839178
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:紹介病院の帝王切開犬における出産日の決定が胎児の死亡率に与える影響

==アブストラクト===
ヒトの医療では、出産感覚に対する決定の推奨があり、それはプロトコールの最適化と病院の成功の系統的レビューを可能にする。獣医療では、そうしたガイドラインは確立されておらず、調べられてもいない。この研究の目的は、帝王切開の実施の決定からの間隔と、 新生児の出産および手術時の胎児死亡率について調べることである。

犬の帝王切開150が回顧的に評価された。帝王切開の症例は、周産期に1頭以上死亡した症例と、すべての仔犬が生存した症例に、二分された。帝王切開における1等以上の周術期死亡の起こりやすさを増加させる因子には、緊急の帝王切開で来院した症例、膣管に胎児が存在する母犬、過去に帝王切開の既往がない母犬、2回以上の出産経験、があった。出産までの間隔は周術期の死亡の起こりやすさには関連はなかったものの、帝王切開時の1頭以上の周術期死亡の起こりやすさを増加させる因子と関連するタイミングとしては、合計の麻酔時間が2時間以上の症例、導入から手術開始までの時間が45分以上の症例、手術時間が75分以上の症例、があった。

結論として、時間は帝王切開の成功における因子であり、胎児の生存率と入院治療の成功率を最適化するために、帝王切開における出産時期についてより良い最適化された決定を定義するためにさらなる研究が必要である。
 

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