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小動物臨床の獣医師が、臨床に役立ちそうな論文情報をちょっとづつアップします。ねころんでいても論文検索ができればいいなと。

カテゴリ: 炎症

Gommeren, Kris, et al.
"Inflammatory cytokine and C‐reactive protein concentrations in dogs with systemic inflammatory response syndrome."
 
Journal of veterinary emergency and critical care 28.1 (2018): 9-19.

PubMedリンク PMID:29236338
本文:無料公開なし

タイトル:全身性炎症反応症候群の犬における炎症性サイトカインとC反応性蛋白濃度

==アブストラクト===
目的:救急科に全身性炎症反応症候群(SIRS) で来院した犬におけるC反応性蛋白(CRP)、インターロイキン6(IL-6)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)の動態を評価すること。我々は、入院中に血清CRP濃度が増加して変動し、血漿IL-6とTNF-αは相関し、基礎疾患に応じて程度が変化し、生存を予測するだろう、という仮説をたてた。

デザイン:前向き、観察、臨床研究。

施設:大学の救急科。

動物:SIRSの犬69頭、体重は5kg以上、血液の採取に耐えられる犬。

介入:来院時(T0)、6時間後(T6)、12時間後(T12)24時間後(T24)、および72時間後(T72)と、退院から最低1ヶ月でのフォローアップの来院(T1m)で、血清および血漿を収集した。基礎疾患は、感染性、腫瘍性、外傷性、胃拡張-捻転症候群(GDV)、その他の胃腸疾患、腎臓性、およびその他の疾患に分類した。

方法と主な結果:血書CRPは犬特異的免疫免疫比濁法を用いて測定した。生物学的に活性のある血漿IL-6とTNF-αの濃度はバイオアッセイを用いて評価した。44頭の犬が生存し、8頭が死亡、17頭が安楽死された。19頭がフォローアップで来院した。T0での血清CRP濃度は、73.1%(49/67)で参照範囲を超えており、入院中を通して参照範囲内(0-141.9mmol/L)だったのは6%(4/67)だけだった。血清CRP濃度は、T0(882.9 ± 1082.9nmol/L)および入院中の全ての時点で、T1mと比較して有意に高く(p<0.0001)、最も高い濃度はT24(906.7 ± 859.0 nmol/L)で観測された。T1mでの血清CRP濃度は、95%(18/19)の犬で参照範囲内であった。血清CRPと血漿IL-6の対数濃度は有意に相関していた(p<0.001, r=0.479)。測定したサイトカインのなかで、疾患のカテゴリーや転帰と相関したものはなかった。

結論
:血清CRP濃度はSIRSの犬で増加し、治療と入院期間に減少する。血清CRP、血漿IL-6、血漿TBF-α濃度は、SIRSの犬の予後を予測出来ない。 

Gommeren, Kris, et al.
"Cardiovascular biomarkers in dogs with systemic inflammatory response syndrome." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care 29.3 (2019): 256-263.

PubMedリンクPMID:31034737
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:全身性炎症反応症候群の犬における心血管系バイオマーカー

==アブストラクト===
目的
:入院中の犬における血漿B型ナトリウムペプチド前駆体N末端フラグメント(NT-proBNP)と心臓トロポニンT(cTnT)濃度を測定し、全身性炎症反応症候群(SIRS)の犬におけるこれらのマーカーを基礎疾患に関連づけ、予後因子としての可能性を評価すること。

デザイン
:前向き、観察、臨床研究。

施設
:大学病院の救急科。

動物
:救急科で検査を行なったSIRSの犬69頭を前向きに調べた。患者の年齢の範囲は5ヶ月齢から15歳齢であり、体重は5.5kgから75kgであった。

方法と主な結果
:来院時、退院もしくは死亡までの入院中、および対照として退院後最低1ヶ月の訪問時に、血液サンプルを収得した。NT-proBNPは商業的に入手可能な犬ELISAにより活性化し、一方cTnTは犬で以前に使用されている自動イムノアッセイで測定した。相関関数、線形モデルの混合関数、およびロジスティック関数を行なった。44頭が生存し、19頭は対照として訪問した。cTnT濃度は、0時間と1ヶ月時点よりも、12時間、24時間、72時間で有意に高かく、cTnTは入院中に検出されたが、対照で来院した犬のいずれでも検出されなかった。cTnT濃度の高値は疾患の分類と関係なく生存と負の関連を示した。NT-proBNP濃度は0時間、6時間、12時間の時点よりも、1ヶ月、24時間、72時間の時点で有意に高かったが、生存とは関連しなかった。

結論:NT-proBNPとcTNTの上昇はSIRSのイムで顕著であり、それは基礎疾患の病態に関係ない。非生存群では入院中のcTnT濃度が有意に高かった。
 

Tsukamoto, Atsushi, et al.
"The anti-inflammatory action of maropitant in a mouse model of acute pancreatitis." 
Journal of Veterinary Medical Science (2018): 17-0483.

PubMedリンク PMID:29343664
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:急性膵炎のマウスモデルにおけるマロピタントの抗炎症効果

==アブストラクト===
ニューロキニン1(NK1)受容体は、急性膵炎の病因において重要な役割を果たしている。マロピタントはNK1受容体拮抗薬であり、犬と猫の制吐剤として広く使用されている。この研究では、急性膵炎のマウスモデルにおけるマロピタントの抗炎症効果について調べた。BALB/cマウスでセルレインを腹腔内投与することで急性膵炎を誘導し、マロピタントを8mg/kgの投与量で皮下投与した。リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応により膵臓組織におけるNK1受容体とサブスタンスPのmRNA発現レベルについて評価した。さらに、血漿アミラーゼ、リパーゼ、およびインターロイキン6(IL-6)レベルにおけるマロピタントの効果について、各マウスで測定した。膵臓における炎症細胞浸潤は、ミエロペルオキシダーゼ染色によって評価した。結果は、急性膵炎の誘導が、膵臓組織におけるサブスタンスPのmRNA発現を有意に上昇させていることを示した。マロピタントによる治療は、血漿アミラーゼとIL-6のレベルを有意に低くした。さらに、マロピタントの治療は、
ミエロペルオキシダーゼ染色陽性細胞の膵臓の浸潤を阻害した。この研究は、マロピタントがその制吐作用に加えて抗炎症活性をもっていることを示唆している。

Covey, Heather L., and David J. Connolly.
"Pericardial effusion associated with systemic inflammatory disease in seven dogs (January 2006–January 2012)."
 
Journal of veterinary cardiology20.2 (2018): 123-128.

PubMedリンク PMID:29478903
本文:無料公開なし

タイトル
:全身性炎症性疾患に関連した心膜液貯留の犬7頭(2006年1月-2012年1月)
 
==アブストラクト===
 心膜液の貯留は、犬では腫瘍や原発性心疾患の結果、または特発性の病態として報告されている。全身性炎症性疾患、心タンポナーデのない心膜液、および心筋トロポニンI濃度の上昇
のある犬7頭について記述た。心臓エコー検査所見と補助的検査では、心膜液の他の既知の原因は同定されなかった。心膜液は、心臓エコー検査のフォローアップにおいて7頭5頭で消失し、それはしばしば抗炎症療法を行った後であった。心膜液の消失は心筋トロポニンIの正常化と関連した。臨床徴候は、12ヶ月から7年までフォローアップを行った犬6頭で再発していなかった。これらの所見は、犬において全身性の炎症と心膜液の貯留が関連していることを示唆している。

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