ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

小動物臨床の獣医師が、臨床に役立ちそうな論文情報をちょっとづつアップします。ねころんでいても論文検索ができればいいなと。

タグ:スクリーニング

Lu, Ta‐Li, et al.
"Point‐of‐care N‐terminal pro B‐type natriuretic peptide assay to screen apparently healthy cats for cardiac disease in general practice."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).


PubMedリンク PMID:
33993546
本文:無料公開(あり

タイトル:一般診療のおける見た目に健康な猫の心疾患のスクリーニングのための院内即時検査NT-proBNP

==アブストラクト===
背景
院内即時検査NT-proBNP ELISAは二次動物病院の施設で猫の心疾患のスクリーニングのために評価されてきたが、一般診療における使用についてのは知られていない。

目的
:一般診療の猫のスクリーニングにおける院内即時検査NT-proBNP ELISAの診断の有用性を調べること。

動物:一般診療所21ヶ所の見ために健康な猫217頭。

方法
:これは前向き横断研究である。心臓の聴診と院内即時検査NT-proBNP ELISAを一般診療の獣医師が行った。一般診療で登録後、猫は心臓二次病院へ送られ、心臓の聴診と心エコー検査での診断が行われた。猫が心エコー検査で正常か異常かに基づいて結果を解釈した。

結果
:正常な猫のグループから異常な猫を鑑別するための院内即時検査NT-proBNP ELISAの感度は43%、特異度は96%であった。一般診療で心雑音のある猫においては、正常な猫のグループから異常な猫を鑑別するための院内即時検査NT-proBNP ELISAの感度は71%、特異度は92%であった。

結論と臨床的意義
:一般診療で見た目の健康な猫では、院内即時検査NT-proBNPの陽性結果は心疾患と関連し、心エコー検査を必要としたが、陰性結果は心疾患を除外するのに信頼のおけるものではなかった。これらの結果は、院内即時検査NT-proBNPが一般診療の健康な猫におけるスクリーニング検査として有用ではないが、心雑音のある猫だけに用いる場合にはその性能が向上することを示唆した。

Destri, A., et al.
"Value of thoracic and abdominal screening in dogs with neurological signs." 
Journal of Small Animal Practice (2021).


PubMedリンク PMID:33533484
本文:無料公開なし

タイトル
神経徴候のある犬における胸部および腹部スクリーニングの価値

==アブストラクト===
目的:神経徴候があるが胸部または腹部疾患に一致する臨床徴候または検査所見のない患者における臨床的に重要な胸腹部画像検査の異常の発生率を調べること。

方法:神経徴候があるが胸腹部徴候のなく、神経学的評価のための入院中に胸部または胸腹部のスクリーニングを行った犬の画像所見をレビューした。

結果:胸部の調査には206頭の犬が組み入れられた。それらのうち、8頭(3.9%)だけに臨床的に重要な所見ががあり、5頭(2.4%)だけにMRIで同定された疾患と関連した所見がみられた。腹部の調査には147頭が組み入れられた。異常は23頭(15.6%)でみつかり、8頭(5.4%)だけが臨床的に重要な病態であり、3頭(2%)のみでMRIで同定された疾患と関連した所見がみられた。超音波検査では、22頭で有益な追加情報が得られたが、そのうち重要とみなされたのは4頭(2.7%)のみであり、神経学的病態と関連したのは1頭(0.7%)のみであった。予想通り、腹部のスクリーニングでは腹部超音波検査により、レントゲン検査だけよりも多くの情報が得られたが、紹介理由に関連した、または臨床上重要であることはまれであった。

臨床的意義
:臨床的に胸部または腹部の臨床徴候のない神経学的患者における胸腹部のスクリーニングは、神経学的局在や年齢に関わらず、潜在的ではあるが治療プランを変更するような臨床的に重要な病態を同定することはまれである。

Hsu, Adonia, Mark D. Kittleson, and Anna Paling.
"Investigation into the use of plasma NT-proBNP concentration to screen for feline hypertrophic cardiomyopathy."
 
Journal of Veterinary Cardiology 11 (2009): S63-S70.

PubMedリンク PMID:19395334
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル:猫の肥大性心筋症のスクリーニングとしての血漿NT-proBNPの使用に関する調査

==アブストラクト===
目的:無症候性の肥大型心筋症(HCM)のある猫に対するスクリーニングツールとしての猫NT-proBNP血漿濃度の有用性を評価すること。

動物と方法:カルフォルニア大学デービス校における猫HCM調査コロニーから、メインクーン交雑種の成猫40頭 について研究した。すべての猫は以前に、A31Pミオシン結合タンパクC(MYBPC)の変異について、ヘテロ結合体または陰性の遺伝子型が特定されていた。それぞれの猫で心臓エコー検査を行い、HCMの重症度を評価した。血液サンプルを収集しNT-proBNPを行なった。

結果
:重症のHCMの猫では、他のすべてのグループの猫と比較して、NT-proBNPが有意に上昇しており(p<0.0001)、NT-proBNP濃度 >44pmol/lは重度のHCMの存在を正確に予測した。しかし、中程度のHCMとHCMの疑いの猫におけるNT-proBNP濃度は、正常な猫と比較したときに、上昇していなかった。MYBPC変異がヘテロの猫では、変異のない猫に比べて、NT-proBNP濃度が有意に上昇していた(p=0.028)。

結論
:NT-proBNP濃度の測定は、このコロニーにおけるメインクーンとメインクーン交雑種猫において、重度のHCMの検出方法としては感度と特異度が高いが、 中程度のHCMの同定において感度は高くない。したがって、この検査を使って軽度から中等度のHCMの存在をスクリーニングすることはできない。
 

Singh, Manreet K., Michael F. Cocchiaro, and Mark D. Kittleson.
"NT-proBNP measurement fails to reliably identify subclinical hypertrophic cardiomyopathy in Maine Coon cats." 
Journal of feline medicine and surgery 12.12 (2010): 942-947.

PubMedリンク PMID:21036088
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル
:NT-proBNPの測定では、メインクーンにおける無症候性の肥大型心筋症を確実に特定することはできない

 ==アブストラクト===
この研究の目的は、重症度が様々な無症候性の肥大型心筋症(HCM)におけるスクリーニングツールとして、血漿NT-proBNP濃度の測定が有効かどうかを評価することである。

過去に心臓エコー検査を行い、正常、疑い、中等度HCM、または重度HCMに分類された猫35頭で、血漿NT-proBNP濃度を測定した。うっ血性心不全になっていた猫はいなかった。重度HCMの猫は、他の群の縁故に比べてNT-proBNP濃度が有意に高かった(p<0.0003)が、重症疾患の猫の診断に対するNT-proBNPの感度は44%(カットオフ ≦100pmol/l)から55%
(カットオフ ≦40pmol/l)に過ぎなかった。正常、疑い、および中程度の群間でNT-proBNP濃度に有意な差はなかった(中等度のHCMを検出するための感度は0%)。

この研究をもとにすると、NT-proBNP濃度はメインクーンの軽度から中程度のHCNを検出するためのスクリーニング検査として適切とは考えられず、重度のHCMの猫も見逃す可能性がある。 

Keyserling, Christine L., et al.
"Evaluation of thoracic radiographs as a screening test for dogs and cats admitted to a tertiary‐care veterinary hospital for noncardiopulmonary disease." 
Veterinary Radiology & Ultrasound 58.5 (2017): 503-511.

PubMedリンク
本文:無料公開なし

==アブストラクト===
 胸部レントゲン検査は、胸部に関連する臨床徴候のない様々な問題を有する犬と猫でスクリーニングツールとして使用される。しかし、この手技はエビデンスに基づいた研究によって支持されてはこなかった。この回顧的な観察研究は、特定の犬と猫の集団がレントゲン検査での異常をもつ割合が高いかどうかと、それらの異常が患者の入院と転帰に関連するかどうかを判定するためのものである。
 過去もしくは現在の検査で原発性の肺疾患もしくは心疾患、悪性腫瘍が明らかなになっている患者、または肺疾患と一致する呼吸様式の異常がある患者は除外された。レントゲンによる注目すべき胸部の変化の報告は、いずれも重要であると考えて研究において評価した。166頭の犬と65頭の猫が組み入れられた。レントゲンを評価された166頭の犬のうち、120頭(72.3%)が正常な胸部レントゲンであり、46頭(27.7%)はレントゲンの異常所見があった。66頭の猫のうち、36頭(55.4%)は正常なレントゲンであり、29頭(44.6%)はレントゲンの異常所見があった。レントゲンの異常のある犬では乳酸値が有意に高く(p値 0.0348)、レントゲンの異常のある猫ではPCVが有意に低かった(p値 0.012)。スクリーニングとして胸部レントゲンを行なった患者の高い割合(32.5%)で異常があったが、それらの異常の検出の結果として診療プランの変更を行なったのは比較的低い割合(6.5%)であった。これらの所見から、胸部レントゲンのスクリーニングの異常は乳酸値の上昇した犬で見られやすく、貧血もしくは低めのヘマトクリットの猫で見られやすい。

※タイトルから、この研究は三次病院で行われているようであり、母集団は三次病院に入院した犬と猫のようです

==訳者コメント===
  • 母集団が特殊なので、この結果をそのまま一次診療の現場に適応することはできないと思います。年齢や基礎疾患などは本文を読んで確認する必要がありそうです。
  • おそらくは一次診療の現場では異常の検出率はもっと低いものになるのではないかと思われます。
 

Davies, M.
"Geriatric screening in first opinion practice–results from 45 dogs." 
Journal of Small Animal Practice  53.9 (2012): 507-513.

PubMedリンク
本文:無料公開(PDF

==アブストラクト===
目的
:一次診療施設における高齢犬のスクリーリングの結果を評価して報告すること。

方法
:9歳以上の犬で、病歴聴取、身体検査、尿検査を含めた健康スクリーニングを前向きに実施。

結果
:45頭中80%の犬でそれまで認識されていなかった問題が1つ以上認識され、353の所見(平均7.8/犬)が記録された。飼い主は年齢に関連した疾患の重大な徴候について認識、報告しないことが多かった。しかし、睡眠の増加(31%)、聴覚の喪失(29%)、視力の喪失(20%)、歩行のこわばりもしくは跛行(22%)、"減速"(20%)の増加は最もよく報告された。 レンズの不透明度の増加(64%)、口渇感の増加(58%)、痛み(24%)、排尿頻度の増加(24%)、変形性関節症の徴候(24%)、歯科疾患(22%)が相談時に最も多く明らかなになった。潜在的に命を脅かす結果として、呼吸不全、触診可能な腹腔内腫瘤、転移性肺疾患が含まれた。スクリーニングによって29のさらなる診断手順がなされ、10件の歯科処置、7件の医療処置、2件の外科処置、2件の安楽死処置が含まれた。

臨床的重要性
:高齢犬のスクリーニングは、生活習慣の変更および継続的なモニタリングの結果に至るような 認識されていないまたは報告されていない健康リスク要因を特定し、、また生活の質の改善のための診断調査、早期診断、内科もしくは外科的な介入に至る年齢関連疾患の徴候を特定する。

Willems A., et al. 
"Results of screening of apparently healthy senior and geriatric dogs." 
Journal of veterinary internal medicine 31.1 (2017): 81-92.

PubMedリンク
本文:無料公開(PDF

==アブストラクト===
背景:高齢犬のヘルスケアへの関心が高まっている。しかし高齢犬における身体検査や臨床検査の所見に関する科学的な情報は限られている。

目的:飼い主が健康と判断している高齢犬において、収縮期血圧(SBP)と身体検査と臨床検査の結果について記述すること。

動物:家庭犬100頭

方法:前向きに犬を集めた。飼い主はアンケートを完了した。収縮期血圧の測定、身体検査、整形学的検査、神経学的検査、直接眼底検査、シルマーティア試験を行なった。CBC、血清生化学検査、尿検査を評価した。

結果:41頭の高齢(senior)犬と59頭の高齢(geriatric)犬が含まれた。収縮期血圧の平均は170±38mmHgであり、53頭で>160mmHgであった。31頭の犬が過体重であった。心雑音は22頭で検出され、重度の歯石が21頭、一個以上の皮膚(皮下)腫瘤が56頭で認められた。32頭の犬で血清クレアチニンの上昇、29頭で低リン血症、27頭でALPの上昇、25頭でALTの上昇、23頭で白血球の減少がみられた。結晶尿、主に非定型結晶が多く検出された(62/92)。明らかな蛋白尿とボーダーラインの蛋白尿が、それぞれ13/97、18/97で検出された。4頭の犬で尿の細菌培養が陽性だった。 senior犬に比較して、geriatric犬では整形外科的問題の頻度、皮膚(皮下)腫瘤の頻度、血小板数が有意に高かった。
senior犬に比較して、geriatric犬では、体温、ヘマトクリット値、血清アルブミン、血清総チロキシン濃度が有意に低かった。

結論と臨床的重要性:身体検査と臨床検査の以上は健康に見える高齢犬で一般的なものであった。獣医師は高齢ペットの健康診断の実施やヘルスケアの改善に重要な役割を果たす。
 

==本文から===
注)senior犬とgeriatric犬は、体重毎に年齢で分けているようです。(詳細は本文のfigure1)
(9kg以下では9歳からがseniorですが、54kg以上では4歳からがseniorのようです!)
(この定義が一般的なのかどうかは調べる必要がありそうですが)


==訳者補足===
  • 高齢になれば健康そうに見えても、いろいろと問題は出てくるよというところでしょうか。経験的にも一致する部分が多いように思います。
  • こうしたデータから、まあ高齢だしねと多少の問題は受け流すか、高齢になるといろいろ問題が出るから検査受けなきゃダメですよというかは、いろいろ意見はあるかもしれません。
  • 少なくともこうした異常の検出は、それ自体が目的ではありません。異常を見つけることが目的になると病気を作ることが目的になってしまいかねないと思います。それがアクションの変更や予後の改善につながるのかどうかという点が大事ではないかと思います。 

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