ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

小動物臨床の獣医師が、臨床に役立ちそうな論文情報をちょっとづつアップします。ねころんでいても論文検索ができればいいなと。

タグ:副作用

Duckett, Margaret E., et al.
"Fasting reduces the incidence of vincristine‐associated adverse events in dogs." 
Veterinary and Comparative Oncology (2020).


PubMedリンク PMID:33448618
本文:無料公開なし

タイトル:絶食は犬のビンクリスチン関連の有害事象の発生を減らす

==アブストラクト===
絶食は、一部にはインスリン様成長因子(IGF-1)の減少により、化学療法関連の有害事象を減らすことが示されており、マウスとヒトでは化学療法中の正常細胞への保護効果を導く可能性が示されている。この研究の目的は、ビンクリスチンの投与をうけた犬において、絶食が体質、骨髄有害事象、消化管有害事象、血清グルコースレベル、血清インスリンレベルに与える影響を調べることである。

この研究は、腫瘍のある犬における前向きクロスオーバー臨床試験である。犬は、1回目または2回目のビンクリスチン投与時に投与前24-28時間の絶食と投与後6時間の絶食とし、もう一方の投与では通常通りに食事を与えた。絶食をした場合の犬では、吐き気、食欲低下、元気消失、および血清インスリンの有意な低下がみられたが、その他の消化器徴候、好中球数、血清グルコース、IFF-1では有意な差はなかった。

腫瘍のある犬において、ビンクリスチン投与前の絶食は、体調や消化器の有害事象を和らげるための安全で有効な方法である。

Mabry, Kasey, Tracy Hill, and Mary Katherine Tolbert.
"Prevalence of gastrointestinal lesions in dogs chronically treated with nonsteroidal anti‐inflammatory drugs." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).

PubMedリンク PMID:
33534961
本文:無料公開あり(全文

タイトル:非ステロイド性抗炎症剤で慢性的に治療された犬における胃腸病変の有病率

==アブストラクト===
背景:非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)は、胃十二指腸潰瘍と穿孔に関連するもっとも一般的な医薬品である。犬における慢性的なNSAIDsの使用に関連した胃腸傷害の有病率は不明である。

目的/仮説:NSAIDsによる慢性治療をうけている犬の胃腸粘膜びらんの有病率をしらべること。NSAIDsの投与をうけたいる犬では、対照集団よりも、胃腸粘膜びらんがより多く、胃腸通過時間がより長いだろうという仮説をたてた。

動物:NSAIDsの投与を30日以上うけている中型から大型の家庭飼育犬14頭と、慢性の胃腸疾患のためにビデオカプセル内視鏡検査をうけた対照犬11頭。

方法:臨床的に関連する併存疾患が存在しないと判断されて犬を前向きに募集し、ビデオカプセル内視鏡検査を行った。胃腸通過時間と粘膜病変の有無を記録した。

結果:NSAIDsの投与をうけた犬12頭と、回顧的に評価された対照犬11頭が含まれた。NSAIDs投与の内訳は、カルプロフェン(9頭)、メロキシカム(2頭)、フィロコキシブ(1頭)であり、中央値は6ヶ月であった。NSAIDsで治療された犬10頭(83.3%;95%信頼区間 51.6 - 97.9%)で胃腸のびらんがみられた。3剤すべてで少なくとも1頭でびらんがみられた。対照犬11頭中3頭で胃のびらんがみられた。NSAIDsの投与をうけた犬ではより多くびらんが検出された(p=0.004)。

結論と臨床的意義
:無症候性の胃腸びらんは、慢性の胃腸疾患のある対照犬よりも、NSAIDsで慢性的に治療された犬でより一般的であり、これは特に胃腸潰瘍の素因となる合併症を抱えている犬では、NSAIDsは注意して使用しすることを示唆している。

Marsh, Oliver, et al.
"Prevalence and clinical characteristics of phenobarbitone-associated adverse effects in epileptic cats." 
Journal of Feline Medicine and Surgery (2020): 1098612X20924925.


PubMedリンク PMID:32484071
本文:無料公開なし

タイトル:てんかんの猫におけるフェノバルビタール関連有害事象の有病率と臨床的特徴

==アブストラクト===
目的:この研究の目的は、てんかんの猫におけるphenobarbitone(=フェノバルビタール)関連有害事象の有病率と臨床的特徴を調べることである。

方法:2007年から2017年の間の獣医紹介病院の医療記録を検索し、てんかんの診断、フェノバルビタールによる治療、および有害事象の発生に関する追跡情報が入手可能であるという組み入れ基準を満たす猫を探した。追跡情報は一次診療と紹介病院の医療記録と、猫の飼い主へのアンケートにより入手した。

結果:77頭の猫が組み入れ基準を満たした。58頭の猫は特発性てんかんであり、19頭は構造性てんかんであった。47%の猫で以下にあげる有害事象の1つ以上が報告された;沈静(89%)、運動失調(53%)、多食(22%)、多飲(6%)、多尿(6%)、食欲低下(6%)。ロジスティック回帰分析により、有害事象の発生と、フェノバルビタールの開始用量および2番目の抗てんかん薬の投与の間に有意な関連が明らかになった。フェノバルビタールの投与量の1mg/kg12時間ごとの増加で、有害事象の可能性が3.1倍増加した。2番目の抗てんかん薬を使用した際に、有害事象の可能性が3.2倍増加した。てんかんの病因と有害事象の発生の間にには関連はみられなかった。重度の好中球減少症と顆粒球低形成を特徴とする、特異的な有害事象が1頭の猫で診断された。これはフェノバルビタールの中止によって解消した。

結論と臨床的意義
:フェノバルビタール関連有害事象の発生率は47%であった。沈静と運動失調が最も多かった。これらはタイプAの有害事象であり、フェノバルビタールの既知の薬理学的特性から予測できる。多くの症例で有害事象は治療開始の最初の1ヵ月以内に起こり、一時的なものであった。特異的な(タイプB)有害事象、つまり既知の薬の特性からは予測されなかったもの、が1頭でみられた。フェノバルビタールの開始用量の増加と2番目の抗てんかん薬の追加は、有害事象の発生と有意に関連した。

Suiter, E. J., R. M. A. Packer, and H. A. Volk.
"Comparing the effects of first-line antiepileptic drugs on the gait of dogs with idiopathic epilepsy." 
Veterinary Record (2016): vetrec-2016.

PubMedリンク PMID:27302918 
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル
:特発性てんかんの犬の歩様に第一選択の抗てんかん薬が与える影響の比較

==アブストラクト===
特発性てんかんは犬の一般的にな慢性の神経学的疾患である。 抗てんかん薬療法についてのこれまでの研究で、抗てんかん薬の許容可能な副作用は、発作頻度の減少と同じくらい飼い主にとっては重要であることが示されている。犬とヒトの両方で抗てんかん薬は、副作用としての運動失調に関連している。この研究の目的は、現在利用可能な第一選択の抗てんかん薬療法であるフェノバルビタールまたはイメピトインで慢性的に治療された特発性てんかんの犬における運動失調のレベルと比較することである。

イメピトインで治療した犬6頭、フェノバルビタールで治療した犬8頭、および年齢調整を行なった健康な対照犬10頭を比較した。歩行中の50歩の歩様をそれぞれの犬で分析し、6つの確立された保養パラメータにより運動失調を定量化した。それぞれのグループ間で3つの項目に有意な差があった、それは側方での距離で(ⅰ)後肢の位置、(ⅱ)前肢の位置、(ⅲ)姿勢時間であり、これらはイメピトインの治療犬または対照犬よりもフェノバルビタール治療犬で変動が有意に大きかった。

これらの結果は、
イメピトインの治療犬または対照犬と比較して、フェノバルビタール治療犬で運動失調を多く経験することを示した。これらの結果により、獣医師と飼い主より情報に基づいた薬剤の選択をするために、抗てんかん薬の副作用を定量化するさらなる調査が必要である。
 

DeStefano, Ian M., et al.
"Parenterally administered vancomycin in 29 dogs and 7 cats (2003‐2017)." 
Journal of veterinary internal medicine (2019).

PubMedリンク PMID:30499215
本文:無料公開あり(全文

タイトル:犬29頭と猫7頭におけるバンコマイシンの非経口投与(2003-2017年)

==アブストラクト===
背景:バンコマイシンはヒトの耐性細菌感染症を治療するために一般的に使用される。ヒトにおけるバンコマイシンの有害事象の報告には、急性腎障害(AKI)、好中球減少症、および全身性のアレルギー反応がある。ヒトのバンコマイシン耐性の細菌感染の発生率の増加を考えると、バンコマイシンの制限のための支持は成長している。

目的:大学の教育病院におけるバンコマイシン静脈投与の使用について評価し、可能性のある有害事象について記述すること。

動物:犬29頭と猫7頭。

方法:2003年1月から2017年10月の間にフォスター小動物病院においてバンコマイシン静脈投与による治療を行った犬と猫の医療記録を再調査した。情報にはシグナルメント、感染源、バンコマイシン投与、潜在的な有害事象、および転帰について記録した。

結果:バンコマイシンは様々な感染源の治療に、様々な投与量で使用された。最も多く分離されたバンコマイシン感受性の細菌には、Enterococcus sp.(11/36, 30.6%)、メチシリン耐性Staphylococcus aureus(8/36,22.2%)、メチシリン耐性Staphylococcus pseudintermedius(2/36,5.6%)があった。急性腎障害がバンコマイシン投与期間中に6/36頭(16.7%)でみられたが、疾患の重症度、他の腎毒性のある治療、またはその両方により、いずれの患者でも急性腎障害がバンコマイシンの治療に寄与していると決めることはできなかった。好中球減少症またはアレルギー反応は、いずれの動物でもみられなかった。36頭中2頭(5.6%)で、感受性データはバンコマイシンの感受性のみの感染を記録した。多くの患者は生存して退院した(25/36, 69.4%)。

結論と臨床的重要性
:バンコマイシンに起因し得る有害事象は、犬と猫ではめったになかった。ほとんどの患者で、代替の有効な抗菌薬の可能性があり、バンコマイシンの治療を指示する感受性データは欠如していた。 

Olmsted, Gina A., et al.
"Tolerability of toceranib phosphate (Palladia) when used in conjunction with other therapies in 35 cats with feline oral squamous cell carcinoma: 2009–2013." 
Journal of feline medicine and surgery 19.6 (2017): 568-575.

PubMedリンク PMID:26951557
本文:無料公開なし

タイトル: 口腔内扁平上皮癌のある猫35頭における他の治療法と併用した場合のリン酸トセラニブ(パラディア)の許容性;2009-2013

==アブストラクト===
目的:扁平上皮癌が猫においてもっとも一般的な口腔内腫瘍であり、典型的には現在の治療の選択肢では予後不良である。この研究の目的は口腔内扁平上皮癌の猫において、リン酸トセラニブ(パラディア;ファイザー)を他の治療法と組み合わせたときの毒性について評価することである。 

方法:この研究では35頭の猫を回顧的に評価し、トセラニブを他の治療法と併用した時の毒性について調べた。投与されたトセラニブの中央値は2.74mg/kg(範囲 1.9-4.17mg/kg)、週に3回であった。猫はまた、外科的切除、放射線治療、化学療法および/または非ステロイド性抗炎症薬を含む追加の治療を受けた。

結果:6頭の猫で毒性がみられ、5頭でグレード1-2の胃腸毒性であり、1頭はグレード4の代謝毒性であった。1頭でトセラニブと中止し、2頭で減量した。いずれの猫も毒性による治療の遅れや入院を必要としなかった。トセラニブの治療期間の中央値は77日(範囲 7-741日)であった。

結論と関連性
:この研究でトセラニブは多くの猫に許容され、5頭の猫で低グレードの胃腸毒性、1頭で代謝毒性があったことが明らかにされた。良好な毒性の概要を考慮し、トセラニブの安全性と有効性をさらに評価するための今後の研究を考慮する必要がある。 

Setyo, L., et al.
"Furosemide for prevention of cyclophosphamide‐associated sterile haemorrhagic cystitis in dogs receiving metronomic low‐dose oral cyclophosphamide." 
Veterinary and Comparative Oncology (2017).

PubMedリンク
本文:無料公開なし

タイトル
:メトロノーム低用量経口シクロフォスファミドを投与した犬におけるシクロフォスファミド関連無菌性出血性膀胱炎の予防のためのフロセミド

==アブストラクト===
 出血性膀胱炎はシクロフォスファミドの治療のリスクとして知られている。最大耐用用量のシクロフォスファミドが投与される際に、フロセミドによる利尿は犬で有効である。この回顧的研究の目的は経口のフロセミド投与が無菌性出血性膀胱炎の発生を減らすかどうかを決定することである。第二の目的は、無菌性出血性膀胱炎を起こす素因を特定することである。

メトロノームシクロフォスファミドにより治療された115頭の犬を回顧的に分析した。 集団は無作為化されてはいない。25頭(21.7%)の犬が無菌性出血性膀胱炎を起こした。フロセミドの投与は無菌性出血性膀胱炎の発生しやすさを有意に減らした(p=0.010、フロセミドの使用なしでシクロフォスファミドの投与を受けた犬の30.3%に無菌性出血性膀胱炎が診断されたのに対し、フロセミドを投与していた犬では10.2%で診断された)。年齢、性別、品種、体重、シクロフォスファミドの治療回数、ピロキシカムの使用、以前もしくは既存の疾患は無菌性出血性膀胱炎の発症に関連していなかった。

この研究はフロセミドは無菌性出血性膀胱炎の予防に効果的であることを示し、その使用はメトロノームシクロフォスファミド療法を実施する際に考慮すべきかもしれない。 


==本文から===
利益相反・企業関与:不明(記述なし) 

フロセミド投与量:0.5-1.0mg/kg sid
 

Eichstadt, L. R., G. E. Moore, and M. O. Childress.
"Risk factors for treatment‐related adverse events in cancer‐bearing dogs receiving piroxicam."
 
Veterinary and comparative oncology 15.4 (2017): 1346-1353.

PubMedリンク
本文:無料公開なし

タイトル
:ピロキシカムの投与を受けた腫瘍を持つ犬における治療関連の有害事象の危険因子

==アブストラクト===
ピロキシカムは犬の腫瘍に抗腫瘍効果を持っているが、副作用によって使用が制限される可能性もある。この研究の目的は腫瘍を持つ犬のピロキシカムの治療に伴う有害事象の予測因子を回顧t的に特定することである。

2005年から2015年にパデュー獣医教育病院に来院した犬の医療記録を再調査し、137頭の犬が研究の組みれ基準に適合した。これらの犬でのピロキシカムの毒性は既存のシステムによってグレード分けした。多変量ロジスティック回帰が有害事象に影響する因子の程度を見積もるために用いられた。年齢(オッズ比 1.250, p=0.009, 95%信頼区間1,127-6.056)が胃腸の有害事象を有意に増加させた。

この研究の結果は、腫瘍を持つ犬へのピロキシカムの使用についての臨床決定に置いて害と利益を算出するのに役立つ可能性がある。 

Slovak, Jennifer E., and Nicolas F. Villarino.
"Safety of oral and intravenous mycophenolate mofetil in healthy cats." 
Journal of Feline Medicine and Surgery(2017): 1098612X17693521.

PubMedリンク
本文:無料公開なし

==アブストラクト===
目的
:この研究の目的は、健康な猫におけるミコフェノール酸モフェチル(MMF)の静脈内(IV)投与および経口投与の安全性と臨床的な効果を評価すること。

方法
:体重3.5kg以上で健康な成猫24頭に、 MMFのIV投与(2時間かけて投与)もしくはMMFの経口投与のいずれかを行なった。投与量は以下の通り;
5m/gk, IV, 単回投与(n=2)
10mg/kg, IV, 12時間毎, 1日投与(n=1)
2
0mg/kg, IV, 12時間毎, 1日投与(n=6)
10mg/kg, IV, 12時間毎, 3日間投与(n=5)
分析を目的として、それぞれの猫で最後の投与後から最大12時間間隔で採血を行なった。
MMFの経口投与は以下の通り;
10mg/kg, 12時間毎, 7日間投与(n=3)
15mg/kg, 12時間毎, 7日間投与(n=3) 
15mg/kg, 8時間毎, 7日間投与(n=4)

結果
:MMFの副作用は最小限であった。IV投与中および投与後のいずれの猫においても、食欲不振と嘔吐は認めなかった。IV投与の14頭中4頭で、IV投与後12-48時間で下痢を認めた。 経口投与の10頭中1頭で食欲不振を認め、嘔吐は認めなかった。経口投与の10頭中5頭で調査中の2ー7日の間に下痢を認めた。

結論と関連性
:MMFの10mg/kg,IV,12時間毎,3日間の投与、および≦15mg/kg,経口,12時間毎,7日間までの投与は、猫に許容された。用量依存性の消化器副作用の発生があるようだ。MMFは猫における代替的な免疫抑制剤として利用できる可能性がある。


==訳者コメント===
・副作用として下痢は頻繁に見られるようです。
・中長期の投与に伴う有害事象に関しては、この文献からは分からないことを考慮しておく必要があります。 

Custead, M. R., H. Y. Weng, and M. O. Childress.
"Retrospective comparison of three doses of metronomic chlorambucil for tolerability and efficacy in dogs with spontaneous cancer." 
Veterinary and comparative oncology (2016).

PubMedリンク
本文:Google ScholarからReseachGateで入手可能(PDF

==アブストラクト===
 この研究の仮説は、高用量のクロラムブシルによるメトロノーム療法は、有意な有害事象の増悪なしに、転帰を改善するだろうというものである。
 88頭の犬を回顧的にスクリーニングして、クロラムブシルの利用における許容性と有効性について評価し、前向きにメトロノミックな経口投与の日量について
4mg/m26mg/m2 8mg/m2、の比較を行った。
 許容性について78頭の犬で、有効性について70頭の犬で評価した。
4mg/m2よりも6mg/m2で、消化器の有害事象の重症度は有意に悪く、消化器の有害事象が発生するまでの時間は有意に短かった(ともにp<0.001)。 4mg/m2よりも6mg/m2で、クロラムブシルは早くに投与中止となった(p=0.015)。4mg/m2よりも6mg/m2で、血小板減少症が有意に早く起こった。
 高用量のクロラムブシルによるメトロノーム療法は反応を改善させることがなく、有害事象の増加と関連した。

==本文から==
※利益相反・企業の関与:助成金は受けてい無いとの記載あり

 

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