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小動物臨床の獣医師が、臨床に役立ちそうな論文情報をちょっとづつアップします。ねころんでいても論文検索ができればいいなと。

タグ:循環

Porter AE, et al. 
"Evaluation of the shock index in dogs presenting emergencies." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2013).

PubMedリンク
本文:無料公開あり(PDF

==アブストラクト===
目的(1)健康な犬でのショック指数(shock index; SI)[SI=心拍数(HR)/収縮期血圧(SBP)と定義]の参照範囲を決定すること。(2) 健康な犬と、救急(ER)に来院したショックであるもしくはない犬とでショック指数を比較すること。

デザイン:前向き研究

動物:臨床的に正常な犬68頭、ERに来院したショック状態の犬18頭、ERに来院したショックのない犬19頭。

施設:大学の教育病院

介入:末梢静脈もしくは中心静脈の血液採取

測定と主な結果:来院をシュミレートした健康な犬と、ERに来院した犬(ショック有or無)とで、心拍数と収縮期血圧を記録した。ショック状態の犬のSIの中央値は1.37(0.87 - 3.13)であり、他のグループよりも有意に高かった;ショック状態にない犬のSIの中央値は0.73(0.56 - 1.20)であり(P<0.0001)、健康な犬でのSIの中央値は0.78(0.37 - 1.30)であった(P<0.0001)。ROC曲線解析ではSIのカットオフとして1.0が示唆され、健康な犬とショック状態の犬を比較するとROC下面積(AUROC)が0.89(特異度89、感度90)、ショックのない犬とショック状態の犬との比較では0.92(特異度95、感度89)であった。

結論:ショック指数(SI)は簡便で非侵襲的な患者のパラメーターであり、健康な犬やショックではない状態で救急に来院した犬に比べて、ショック状態と考えられる犬で高かった。SIの測定は救急の患者臨床評価として有益である可能性がある。 


==本文から===

・ショックの有無は血漿乳酸値をもとに判定されている。≦1.5mmol/Lはショックなし、>5mmol/Lはショックあり。
・収縮期血圧が測定できなかった症例、高乳酸血症の原因疾患がショック以外に診断された症例は除外した。 

・研究期間中に138頭の犬が来院し研究の対象となり、19頭がショックのない犬、18頭がショックの犬とされた。

・ショックのない犬の疾患;胃腸炎/消化管異物(4)、脊髄疾患(3)、マイナーな外傷(3)、けいれん発作の可能性(2)、元気食欲の低下した糖尿病(2)、発熱(1)、上室性頻脈(1)、皮膚腫瘤(1)、限局した腫瘍(1)、中毒の可能性(1)

・ショックの犬の疾患:心タンポナーデ(6)、胃拡張-捻転(3)、腹腔内出血(2)、肺炎(1)、重度の鼻出血(1)、インスリノーマによる虚脱(1)、免疫介在性溶血性貧血(1)、重度の多発外傷(1)、術中に起こった呼吸停止後(1)、細菌性腹膜炎(1)。


表)各集団の特徴と測定値
001

==訳者コメント===
・本文を読むとショックのゴールドスタンダードとして乳酸値が使われています。それ自体は良いと思いますが、乳酸値≦1.5mmol/Lをショックなし、>5mmol/Lをショックありとしており、1.5<乳酸値≦5の患者は解析に含まれていないということになります。 
・ こうしたグレーゾーンを無視した両極の2群でカットオフ値を出すと、診断精度は高く出ますが、実際の臨床で
1.5<乳酸値≦5のグレーゾンの患者を、同じ精度で診断できるかどうかという点には注意が必要ではないかと思います。感度、特異度(からの尤度比)をそのまま使えるかどうか、注意が必要と思います。
 

MacGowan EE, st al.
"Evaluation of the use of shock index in identifying acute blood loss in healthy blooddonor dogs."
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2017).

PubMedリンク
本文:無料公開なし

==アブストラクト===
目的
:献血後にショック指数(shock index:SI)が上昇するか、そしてそれが急性の血液喪失の評価において心拍数、血圧、血漿乳酸値と比べてより敏感かどうかを決定すること。

デザイン
:前向き研究

施設
:大学の教育病院

動物
:臨床上正常な家庭犬20頭

介入:末梢静脈血の測定と献血

測定と主な結果:データは3時点で収集した:献血前(T pre)、献血直後(T 0)、献血終了後10分(T 10 )。心拍数(HR)と収縮期血圧(SBP)を記録し、Tpre, T0, T10の時点でのショック指数を算出した。TpreとT10時点の末梢静脈血のサンプルから、PCV、総血漿タンパク(TPP)、血漿乳酸値の評価を行なった。輸血後のいずれの時点でのショック指数(SI)の平均値は、ベースラインと比較して有意に増加していた(SIpre 0.88±0.19 vs SI0 1.17±0.21 vs SI10 1.12±0.25(それぞれP=0.0002、P=0.0003))。輸血後の収縮期血圧(SBP)の平均は有意に低かった(SBPpre 149±29mmHg, SBP0 118±20mmHg(P=0.0001), SBP10 133±21mmHg(P=0.011)。 心拍数(HR)の平均はT0では有意な差はなかったが、T10では有意に上昇していた(HRpre 128±21/min, HR0 136±25/min(P=0.193)、HR10 146±29/min(P=0.003)。PCVの平均値に有意な差はなかった(PCVpre 50±4%, PCV10 48±4%(P=0.08))。総血漿タンパク(TPP)と乳酸(Lac)の平均値は有意な差がみられたが、いずれも参照値内であった(TPPpre 6.8±0.4g/dl, TPP10 6.4±0.4g/dl(P=0.0014); Lacpre 1.7±0.7mml/L, Lac10 1.9±0.8mmol/L(P=0.04))。T0とT10をTpreと比較するために、ショック指数、心拍数、収縮期血圧の曲線下面積(AUC)を比較するROC解析を行った。ショック指数(T0のAUC 0.858;信頼区間0.730,0.984, T10のAUC 0.769;信頼区間0.617,0.921)は、いずれの収縮期血圧(T0のAUC 0.165;信頼区間0.0384,0.292;P<0.0001, T10のAUC 0.288;信頼区間0.124,0.451;P<0.001)よりも良い指標であり、T0の心拍数(T0のAUC 0.574;信頼区間0.392,0.756;P<0.001)よりも良い指標であった。ショック指数のカットオフを1.064とすると特異度80%、感度85%で血液の喪失を検出できる。

結論:ショック指数>1.0は健康な犬における少量の血液喪失を検出するための感度、特異度の高いツールとなる。 


==訳者コメント===
・ショック指数(shock index;SI)=心拍数:収縮期血圧の比

・ショック指数についてはこちらも
http://nekoronde-vet-journal-club.blog.jp/archives/3762884.html


 

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