ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

小動物臨床の獣医師が、臨床に役立ちそうな論文情報をちょっとづつアップします。ねころんでいても論文検索ができればいいなと。

タグ:CKD

Tang, Pak‐Kan, et al.
"Risk factors associated with disturbances of calcium homeostasis after initiation of a phosphate‐restricted diet in cats with chronic kidney disease." 
Journal of Veterinary Internal Medicine.


PubMedリンク PMID:33368694
本文:無料公開あり(全文

タイトル:慢性腎臓病の猫におけるリン制限食の開始後のカルシウム恒常性の乱れに関連するリスク因子

==アブストラクト===
背景:食事中のリン制限は慢性腎臓病(CKD)の猫の生存を改善する。しかし、リン制限食を与えることはカルシウムの恒常性を乱す可能性があり、高カルシウム血症になる猫もいる。

目的:猫でリン制限食に移行したあとの血漿総カルシウム濃度の上昇に関連したリスク因子を同定し、CKDミネラル骨代謝における役割を明らかにすること。

動物
:IRISステージ2-3の高値素血症性 CKDがあり、甲状腺機能が正常な高齢(≧9歳齢)の家庭飼育猫71頭。

方法:回顧的横断コホート研究。食事を変更したあとの最初の200日間の血漿総カルシウム濃度を、線形回帰を用いて評価した。二値ロジスティック回帰を行い、カルシウム濃度上昇のリスク因子を同定した。CKDミネラル骨代謝に関連した臨床病理学的項目の経時的変化を、線形混合モデルと一般化線形モデル分析を用いて調査した。

結果
:ベースラインの血漿カリウム濃度の低さ(オッズ比=1.19/0.1mmol減少;P=0.003)とリン濃度の低さ(オッズ比=1.15/0.1mmol減少;P=0.01)は、血漿総カルシウム濃度の増加に対する独立したリスク因子であった。血漿クレアチニン濃度(β=0.069±0.029mg/dl;p=0.02)、SDMA濃度(β=0.649±0.29mg/dl;p=0.03)、リン濃度(β=0.129±0.062mg/dl;p=0.04)、In[FGF23]濃度(β=0.103±0.035mg/dl;p=0.04)は、経時的に血漿総カルシウム濃度の増加した猫において変化率を有意に上昇させた。

結論と臨床的意義
:CKDの猫でリン制限食へ変更する時点での血漿カリウムまたはリン濃度の低さ、またはその両方は、血漿総カルシウム濃度が上昇するリスクの増加と関連していた。血漿総カルシウム濃度の増加はCKDの進行と関連していた。


企業関与:
Royal Canin SAS、Boehringer Ingelheim

Brans, Marleen, et al.
"Plasma symmetric dimethylarginine and creatinine concentrations and glomerular filtration rate in cats with normal and decreased renal function." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).


PubMedリンク PMID:33274800
本文:無料公開あり(全文

タイトル:腎機能が正常および低下した猫における血漿対称性ジメチルアルギニンとクレアチニン濃度と糸球体濾過率

==アブストラクト===
背景:糸球体濾過率(GFR)は腎機能評価のゴールドスタンダードではあるが、実用的ではない。血清クレアチニンは早期の慢性腎臓病の同定において感度が限られており、一方で対称性ジメチルアルギニン(SDMA)はより正確なバイオマーカとして商品化されている。猫におけるSDMAと血清クレアチニンの比較を行った研究は少ない。

目的:高窒素血症がある、またはない猫におけるSDMAの診断性能のさらなる調査をすること。

動物:家庭飼育猫17頭。CKDノ猫17頭、糖尿病の猫15頭、健康な猫17頭。

方法:血清クレアチニン、GFR、SDMA分析の記録のある猫の血液の予備サンプルを用いた回顧的研究。相関係数、感度、特異度、および受信者操作特性曲線を用いてSDMAと血清クレアチニンの診断性能を評価した。

結果
:健康な猫と糖尿病の猫と比べて、CKDの猫では血漿SDMA(26.7 ± 9.9 μg/dl)と血清クレアチニン(2.8 ± 0.8 mg/dl)の値が有意に高かった(p<0.001)。血漿SDMA(τB=-0.57;P<0.001)と血清クレアチニン(τB=-0.56;P<0.001)はGFRと有意な相関を示した。血清SDMA(τB=-0.52;P<0.001)は血清クレアチニンと有意な相関を示した。血漿SDMAと血清クレアチニンは、腎機能の低下に対して類似した感度(76-94%と71-88%)をしめした。特異度はSDMA(75-76%)よりもクレアチニン(94-96%)のほうが高かった。

結論と臨床的意義
:高窒素血症がある猫とない猫を含むこの研究では、SDMAはGRFの減少を同定する信頼できるマーカーである。しかしながら血清クレアチニンを超える優位性は確認されなかった。

Dunaevich, Asia, et al.
"Acute on chronic kidney disease in dogs: Etiology, clinical and clinicopathologic findings, prognostic markers, and survival." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).

PubMedリンク PMID:33044036
本文:無料公開あり(全文

タイトル:犬の慢性腎臓病の急性増悪;病因、臨床所見、臨床病理学的所見、予後因子および生存

==アブストラクト===
背景:慢性腎臓病(CKD)とCKDの急性増悪(ACKD)は犬でよくある。

目的:ACKDの犬の病因、臨床所見、検査所見、短期および長期の予後の特徴について調べること。

動物:ACKDの犬100頭。

方法:最も多い臨床徴候には食欲低下(84%)、嘔吐(55%)、および下痢(37%)があった。推測される病因には、炎症性の原因(30%)、腎盂腎炎(15%)、虚血性の原因(7%)、その他(3%)、原因不明(45%)が含まれた。入院期間の中央値は5日(範囲 2-29)であり、非生存犬(4日;範囲2-20)と比較して、生存犬(6日;範囲2-29)のほうが有意に長かった(p<0.001)。死亡率は35%であった。来院時のIRISの急性腎障害(AKI)グレードは短期間の入院と関連したが(p=0.009)、推定される病因とは関連しなかった(p=0.46)。多変量解析では、来院時の呼吸数(p=0.01)、CK活性(p=0.005)、および血清クレアチニン濃度(p=0.04)が短期間の入院と関連した。退院した犬の生存期間の中央値は105日(95%信頼区間 25-184)であり、35頭が6ヶ月間、8頭が12ヶ月間生存した。推定される病因(p=0.16)と退院時の血清クレアチニン濃度(p=0.59)は長期生存を予測しなかった。

結論と臨床的意義
:ACKDの犬の短期的転帰はAKIの犬と同等であるが、長期予後は要注意であった。来院時のIRISのAKIグレードは短期的な転帰の予後指標である。

Yan, Gong‐Yi, et al.
"Relationship between ultrasonographically determined renal dimensions and International Renal Interest Society stages in cats with chronic kidney disease." 
Journal of Veterinary Internal Medicine 34.4 (2020): 1464-1475.

PubMedリンク PMID:3258
本文:無料公開あり(全文

タイトル:慢性腎臓病の猫における超音波検査で測定した腎臓の大きさとIRISステージとの関連

==アブストラクト===
背景:慢性腎臓病の猫における腎臓の大きさと腎機能の相関については不明である。

仮説/目的:超音波検査を行った猫における腎臓の大きさとCKDの重症度と関連を調べること。

動物:健康な猫19頭とCKDのある猫30頭。

方法:2012年から2016年の間に得られた超音波検査画像を再調査した。CKDの重症度はIRIS CKD分類システムを用いて決定した。腎臓の長さ、皮質の厚さ、髄質の厚さ、および皮質髄質比を測定し、これらの腎臓の大きさと血清クレアチニン濃度の感ん系を調べ、対称群と疾患群の間での大きさの違いを調べた。CKDを鑑別するための腎臓の大きさの感度と特異度も評価した。

結果:疾患グループはさらにステージⅠ-Ⅱ(15頭)とステージⅢ-Ⅳ(15頭)のグルーブに細分類された。皮質の厚さはどちらのグループでも有意に減少し、重症度と負の相関があった。他の腎臓の大きさと比較して、腎臓の厚さは血清クレアチニン濃度の逆数と強い線形相関をもち、優れた診断性能であった(Youden指標;左腎 90%、カットオフ値4.7mmで感度90.0%、特異度94.7%  右腎 83.3%、カットオフ値4.5mmで感度83.3%、特異度94.7%)。

結論と臨床的意義
:腎皮質の厚みの減少が、腎機能を喪失した観察された。超音波検査で腎臓皮質の厚みを測定することは、猫のCKDの進行を評価する有益な方法になり得る。

Chen, Hilla, et al.
"Acute on chronic kidney disease in cats: Etiology, clinical and clinicopathologic findings, prognostic markers, and outcome." 
Journal of Veterinary Internal Medicine(2020).

PubMedリンク PMID:32445217
本文:無料公開あり(全文

タイトル:猫の慢性腎臓病の急性増悪;病因、臨床所見、臨床病理所見、予後因子、および転帰

==アブストラクト=== 
背景:慢性腎臓病(CKD)とCKDの急性代償不全(ACKD)は、猫で一般的である。

目的:猫のACKD病因、臨床所見、臨床病理所見、短期および長期予後についての特徴を調べること。

動物:ACKDの猫100頭。

方法:ACKDの猫の医療記録を検索した回顧的研究。

結果:一般的な臨床徴候には、食欲低下(85%)、元気消失(60%)、体重減少(39%)、嘔吐(27%)があった。疑わしい病因は、尿管閉塞(11%)、腎虚血(9%)、腎盂腎炎(8%)、その他(6%)、不明(66%)であった。入院期間は、非生存群に比べて生存群で長かった(中央値 7日、範囲 2-26日 vs 中央値3日、範囲 2-20日、p<0.001)。退院までの生存率は58%であった。脾生存群では、年齢、血清クレアチニン、尿素、リン濃度が高く、静脈血pHが低かった。しかし、多変量解析では血清リン濃度だけが、短期転帰と関連した(p=0.02、95%信頼区間 1.03-1.39)。生存群の退院後の中央生存期間は66日であった。来院時および退院時の血清クレアチニン濃度は、長期生存と関連した(ともにp<0.002)。

結論
:ACKDの短期予後は急性腎障害と同等であり、長期予後にも注意が必要である。
 

Pérez‐López, Laura, et al.
"Assessment of the association between diabetes mellitus and chronic kidney disease in adult cats." 
Journal of veterinary internal medicine (2019).

PubMedリンク PMID:31305000
本文:無料公開あり(全文

タイトル:成猫における糖尿病と慢性腎臓病の関連について評価

==アブストラクト=== 
背景
:ヒトでは糖尿病は慢性腎臓病(CKD)の主な原因である。猫のおける2つの疾患の関連性は不明だ。

目的
:成猫集団における糖尿病とCKDのの関連性を評価すること。

動物
:2014年から2016年の間にスペインのグラン・カナリアにある2つの獣医センターに来院した猫561頭。 

方法
:医療記録を回顧的に再調査した。3歳以上の猫で、糖尿病とCKDのあるかどうかを定義するのに十分なデータを持っている猫を選出した。脱水または腎前性高窒素血症を起こしうる潜在的な原因のある猫、および腎障害性の薬剤で治療された猫は除外した。CKDの診断は以下の場合に行なった;クレアチニン濃度>2mg/dl、または血清クレアチニン1.6-2mg/dlと尿比重<1.035、または血清クレアチニン1.6-2mg/dlと尿タンパク/クレアチニン比>0.4。CKDに関連する因子は多変量ロジスティック回帰分析によって特定した。

結果
:67頭(11.9%)の猫がCKDであり、16頭(2.9%)の猫は糖尿病であった。糖尿病のない猫のうち60頭(11%)と糖尿病のある猫のうち7頭(44%)でCKDがみられた。後者の間では、6頭で両方の病態が同時に診断されたのに対し、1頭では糖尿病がCKDに先行した。多変量解析により、糖尿病はCKDと有意に関連していた(オッズ比4.47、95%信頼区間1.51-13.28、p=0.007)。CKDに関連する他の項目は年齢と雑種であった。

結論と臨床的意義
:年齢調整後に、この研究では成猫における糖尿病とCKDの間の関連が示された。
 
ビジアブ)糖尿病とCKDの関連 PMID31305000.001
 

Carter, J. M., et al.
"The prevalence of ocular lesions associated with hypertension in a population of geriatric cats in Auckland, New Zealand." 
New Zealand veterinary journal 62.1 (2014): 21-29.

PubMedリンク PMID:24138677
本文:無料公開なし

タイトル:ニュージーランド、オークランドの高齢猫の集団における高血圧に関連した眼病変の有病率

==アブストラクト=== 
目的
: ニュージーランド、オークランドの高齢猫における高血圧に関連した眼病変の有病率を推定し、8歳を超えた猫の眼底検査の重要性について評価すること。

方法:8歳以上の猫105頭を検査し、臨床徴候を記録した。血液を採取して血清のBUN、グルコース、クレアチニン を測定し、尿を採取して尿比重を測定し、高解像度オシロメトリー装置を用いて血圧を測定した。収縮期血圧≧160mmHgおよび拡張期血圧≧100mmHgの猫を全身性高血圧症と決めた。それぞれの動物は網膜カメラを用いて眼底検査を行い、網膜症、脈絡膜症、視神経症などの高血圧に関連して眼病変を診断した。

結果
:血圧は73頭でうまく記録された。それらのうち、37頭(51%)は高血圧性の眼病変がなく、基礎疾患も診断されず、24頭(33%)は高血圧性眼病変は検出されなかったが、慢性腎臓病、甲状腺機能亢進症、糖尿病などの基礎疾患が診断され、12頭(16%)は高血圧性眼病変の所見があった。高血圧性眼病変のある猫のうち10頭は、初回来院時に高血圧であり、2頭は正常血圧であった。さらに1頭は高血圧性眼病変があったが、この猫ではコンスタントな血圧測定ができなかった。慢性腎臓病は、高血圧性眼病変のある猫で最も多く診断される併発疾患であった(n=6)。高血圧性眼病変のあるねこの収縮期血圧の平均(168mmHg[標準偏差 6.29])は、眼病変のない猫(144.7mmHg[標準偏差 3.11])、または眼病変がないが基礎疾患はある猫(146mmHg[標準偏差 4.97])よりも高かった。

結論:8歳以上の猫の眼底検査によって、しばしば飼い主または獣医師が猫が視覚の問題を抱えていることに気づく前に、高血圧性眼病変の猫と同定することができるだろう。これにより全身性高血圧を診断して早期の治療と病変の解消の結果を得ることができるかもしれない。

臨床的意義
:この研究では、高血圧の結果として起こる眼病変は、オークランドの8歳以上の猫で頻繁にみられことを示しおり、8歳以上の猫ではルーチンの身体検査の一部に眼底検査が 推奨されることを支持している。
 

Quimby, Jessica M., et al.
"Renal pelvic and ureteral ultrasonographic characteristics of cats with chronic kidney disease in comparison with normal cats, and cats with pyelonephritis or ureteral obstruction." 
Journal of feline medicine and surgery 19.8 (2017): 784-790.

PubMedリンク PMID:27389573
本文:無料公開なし

タイトル:腎盂と尿管の超音波検査の特徴についての慢性腎臓病の猫と、正常な猫、腎盂腎炎の猫、または尿管閉塞の猫の比較 

==アブストラクト===
目的:この研究の目的は、安定した慢性腎臓病(CKD)の猫の超音波検査の特徴を記述し、腎盂腎炎と尿管閉塞のある猫と有意な差があるかどうかを調べ、尿毒症危機の臨床評価を支援することである。

方法:安定したCKDの猫66頭を前向きに登録し、同様に正常猫(10頭)、腎盂腎炎と臨床的に診断された猫(13頭)、外科的治療で確定された尿管閉塞の猫(11頭)も登録した。腎臓の超音波検査を行い、通常の静止画と動画を取得した。 腎盂拡張の程度と尿管拡張の存在・程度を分析した。Dun's事後分析によるノンパラメトリック一元配置分散分析によりグループ間の測定値の比較を行なった。

結果:CKDの猫の66%で測定可能な腎盂拡張があり、正常猫では30%、腎盂腎炎の猫では84.6%、尿管閉塞の猫では100%であった。CKD猫と正常猫、または腎盂腎炎猫と尿管閉塞猫との間で、腎盂の幅に統計的に有意な差はなかった。ほとんどすべての測定カテゴリで、尿管閉塞猫はCKD猫と正常猫と比べて腎盂幅が有意に大きかったが(p<0.05)、腎盂腎炎猫ではそうではなかった。安定したCKDの猫の6%で測定可能な近位尿細管幅の拡張が片側または両側でみられ、腎盂腎炎猫では46.2%、尿管閉塞猫では81.8%であった。CKD猫と正常猫の間、CKD猫と尿管閉塞猫、正常猫と尿管閉塞猫、および正常猫と腎盂腎炎猫の間で、近位尿細管幅に有意な差はなかった。

結論と関連性
:CKDと腎盂腎炎猫の間で腎盂幅に有意な差はなかった。これらのデータは、尿毒症危機の間に記録された異常をより良く解釈するためには、CKD猫でベースラインの超音波検査を行っておくべきことを示唆している。
 

Brown, C. A., et al.
"Chronic kidney disease in aged cats: clinical features, morphology, and proposed pathogeneses."
 
Veterinary pathology 53.2 (2016): 309-326.

PubMedリンク PMID:26869151
本文:googlescholar 経由で入手可能(本文

タイトル
:高齢猫における慢性腎臓病;臨床的特徴、形態、および提案されている病原体

==アブストラクト===
慢性腎臓病(CKD)は、家庭猫における最も一般的な代謝疾患であり、ほとんどの罹患猫は老齢期(12歳以上)である。猫のCKDの有病率は、犬で観測されたものよりも高く、猫でCKDを診断する頻度はここ数十年で増加している。典型的な組織学的特徴には、間質の炎症、尿細管の萎縮、および二次性糸球体硬化症を伴う線維化がある。ヒトや犬とは対象的に、顕著なタンパク尿を伴う原発性の糸球体症は、猫では非常にまれな所見だ。さまざまな原発性腎疾患が関係しているが、ほとんどの猫で疾患は原発性だ。繊維化を含む尿細管間質の変化は、猫のCKDの早期のステージから存在し、進行した疾患ではより重度になる。年齢、虚血、並存疾患、リンの過剰、およびルーチンなワクチン接種を含む様々な因子が、罹患猫におけるこの疾患の発症に寄与する因子として考えられている。確立されたCKDの進行に関連する因子には、全ての猫ではないが一部の猫でみられ、食事によるリンの摂取、タンパク尿の重症度、および貧血がある。腎臓の線維化は高齢の猫の腎臓ではよくある組織学的特徴であり、尿細管周囲毛細血管と腎尿細管の正常な関係性を妨げる。実験的には、腎虚血により自然発生性CKDで観察されるのと類似した形態学的な変化が起こった。おそらく一時的な腎臓の低酸素は、この疾患の発症と進行に役割を果たす可能性がある。
 

Hall, Jean A., et al.
"Cats with IRIS stage 1 and 2 chronic kidney disease maintain body weight and lean muscle mass when fed food having increased caloric density, and enhanced concentrations of carnitine and essential amino acids."
 
Veterinary Record 184.6 (2019): 190-190.

PubMedリンク PMID:30514741
本文:無料公開あり(全文

タイトル
IRISステージ1・2の慢性腎臓病の猫は 、カロリー密度が高く、カルニチンと必須アミノ酸の濃度の高い食事を与えると、体重および除脂肪体重を維持する。

==アブストラクト===
前向き、ランダム化、6ヶ月の食事試験を、IRISスタージ1・2の慢性腎臓病のある猫28頭で行なった。すべての猫はいずれか食事に食事に割り付けられた;対照食としてロイヤルカナン腎臓サポート猫用ドライ、試験食としてヒルズ処方食k/dチキンドライ。食事の摂取は毎日記録;体重は毎週記録;血清、尿、二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA)、およびボディーコンディションの評価は0,1,3,6ヶ月で行なった。20頭の猫(対照群9頭、試験群11頭)がプロトコールに従って試験を完了した。対照食を摂取した猫は、6ヶ月間にわたって体重(n=14;平均-13.0%、p<0.0001)と除脂肪体重(平均 -11.1%、p<0.0001)が有意に減少し、一方、試験食を摂取した猫は、
体重(n=14;平均5.8%、p<0.003)が有意に増加し、除脂肪体重には変化がなかった(p=0.42)。カロリーの消費は、対照食を食べた猫(平均 168.0kal/day)に比べて、試験食を食べた猫(平均 207.1kcal/day)でより多かった(p=0.05)。血清クレアチニンは、試験食を食べた猫と比べて、対照食を食べた猫での増加率が早かった(p=0.0004)。試験食を食べた猫では、対照食を食べた猫と比べて、カロリーと必須アミノ酸の取り込みが増加し、体重が増加し、腎機能のバイオマーカーが安定し、除脂肪体重を維持した。
 

==本文から===
企業関与:この研究はヒルズ社からの資金提供でおこなわれていて、著者にもヒルズ社の社員が含まれている。

 スクリーンショット 2019-04-08 23.08.56
カロリー摂取量のグラフ:黒が試験食、灰色が対照食


==訳者コメント===
グラフを見ると明らかに対照食群のほうがカロリー摂取量が少ないです。これは痩せて当然の結果のような気がします。食事の組成の違いではなく、単純に摂取カロリーの差ではないのでしょうか?

そもそもIRISステージ1の猫に腎臓量療法食が必要なのかどうか?(ふつうの食事ではだめなのか?)というところから考えたいところです。

Rudinsky, Adam J., et al.
"Factors associated with survival in dogs with chronic kidney disease." 
Journal of veterinary internal medicine (2018).

PubMedリンク PMID:30325060
本文:無料公開あり(全文

タイトル:慢性腎臓病のある犬の生存に関連する因子

==アブストラクト===
背景:犬において慢性腎臓病は罹患率と死亡率に関係する。血漿線維芽細胞増殖因子-23(FGF-23)濃度は、CKDのあるヒトと猫で、CKDの進行と生存に対する独立した予測因子である。

目的:CKDのある犬において生存時間と、FGF-23、副甲状腺ホルモン(PTH)、ビタミンD代謝物、およびその他の臨床項目との関連を調べること。

動物:高窒素血症のあるCKDの犬27頭。

方法:犬を前向きに研究に募集し、死亡もしくは研究が終了するまで追跡した。国際獣医腎臓病グループのステージにより、ステージ2(n=9)、ステージ3(n=12)、ステージ4(n=6) に分けられた。生存期間は研究組み入れ時からの期間で計算した。単変量Cox回帰を用いて、ボディコンディションスコア(BCS)、マッスルコンディションスコア、ヘマトクリット、クレアチニン、CKDステージ、血清リン、尿蛋白/クレアチニン非(UPC)、カルシウム・リン産物(CaPP)、PTH、25hydroxyvitaminD、1,25-dihydroxyvitaminD、およびFGF-23濃度を含めた生存と関連する項目について評価した。

結果:有意なハザード比(ハザード比;95%信頼区間;P値)は以下の通りであった;BCS 4/9未満(1.579;1.003-2.282;p=0.05)、筋萎縮(2.334;1.352-4.030;p=0.01)、クレアチニンの上昇(1.383;1.16-1.64;p=0.05)、高リン血症(3.20;1.357-7.548;p=0.005)、UPCの上昇(3.191;1.310-7.773;p=0.01)、CaPPの上昇(4.092;1.771-9.454;p=0.003)、FGF-23の上昇(2.609;1.090-6.240;p=0.05)。それぞれのIRIS CKDステージにおける生存期間は、有意な差があった(p=0.01)。

結論と臨床的重要性
:FGF-23を含めた多くの項目が、CKDの犬の生存期間に関連した。CKDのある犬においてFGF-23は予後因子になり得る。


==本文から===
利益相反の開示:著者の利益相反なし


==訳者コメント===
単変量解析でいくつかの予後因子を特定していますが、多変量解析をなぜしていないのでしょうか?(統計的なことはよくわからないのですが)

 

van den Broek, D. Hendrik N., et al.
"Prognostic importance of plasma total magnesium in a cohort of cats with azotemic chronic kidney disease." 
Journal of veterinary internal medicine(2018).

PubMedリンク PMID:29704284
本文:無料公開あり(全文) 

タイトル:高窒素血症性慢性腎臓病のある猫の集団における血漿総マグネシウムの予後の重要性 

==アブストラクト===
背景:低マグネシウム血症は、慢性腎臓病(CKD)のヒトにおいて死亡率の増加と腎機能の低下と関連している。マグネシウムはさらに、線維芽細胞成長因子23(FGF23)と逆相関し、猫におけるCKDの重要な予後因子である。しかし、CKDの猫における血症マグネシウムの予後の重要性については不明である。

目的:高窒素血症性CKDのある猫において血漿総マグネシウム濃度と、血漿FGF23濃度、全症例での死亡率、および疾患の進行 との関連を探ること。

動物:RISステージ2-4のCKDのある家庭飼育の猫174頭の記録。

方法:コホート研究。ロンドンに本拠のある2つの一次診療施設の記録(1999-2013)から、高窒素血症性CKDのある猫を同定した。ベースラインの総マグネシウムと、FGF23濃度および死亡と進行のリスクとの関連の可能性について、線形Coxおよびロジスティック回帰を用いて調べた。

結果:血漿クレアチニンとリン濃度を対照としたときに、血漿総マグネシウム(参照値 1.73-2.57 mg/dl)は血漿FGF23と逆相関した(部分相関係数 ー0.50;p<0.001)。低マグネシウム血症は12%(20/174)の猫でみられ、死亡リスクの増加と独立して関連した(調整ハザード比 2.74;95%信頼区間 1.35-5.55;p=0.005)。高マグネシウム血症(有病率 6%;11/174頭)と生存(ハザード比 2.88;95%信頼区間 1.54-5.38;p=0.001)、および低いマグネシウム血症とCKDの進行(オッズ比 17.7;95%信頼区間 2.04-154;p=0.009)の未調整の関連は、多変量解析において有意性は失われた。

結論と臨床的重要性
:低マグネシウム血症は、血症FGF23濃度の高さと創刊し、死亡リスクを高めた。CKDの猫における血症総マグネシウムの測定は予後情報を増強するが、これらの観測が関連性であるか、因果関係であるのかについてはさらなる調査を必要とする。

McCallum, Katie Elizabeth, et al.
"Detection and seroprevalence of morbillivirus and other paramyxoviruses in geriatric cats with and without evidence of azotemic chronic kidney disease." 
Journal of veterinary internal medicine (2018).

PubMedリンク PMID:29572949
本文:無料公開あり(全文) 

タイトル
:高窒素血症性の慢性腎臓病の証拠のあるもしくはない高齢猫におけるモルビリウイルスと他のパラミクソウイルスの検出と血清陽性率

==アブストラクト===
 背景
:猫モルビリウイルス(FeMV)は、猫における尿細管間質腎炎の存在と関連しているが、イギリスにおけるFeMVの血清陽性率およびFeMVの存在と腎性高窒素血症との関連については不明である。

仮説/目的
:恒例の猫の尿検体にパラミクソウイルスが存在するかどうかを調べ、FeMV血清陽性率を評価するためのアッセイを開発すること。尿のパラミクソウイルス(FeMV含む)排出およびFeMV血清陽性率と高窒素血症性慢性腎臓病との間の関係について調べること。

動物
:79頭の猫(FeMV検出のために40頭、血清陽性率のために70頭)

方法
:回顧的横断的症例対照研究。RT-PCRのためにウイルスのRNAを尿から抽出した。PCR産物をウイルスの同定と比較のため配列決定をした。FeMVのNタンパク質遺伝子をクローニングし、部分的な精製を行い、ウエスタンブロットにより猫血清の抗FeMV抗体をスクリーニングするための抗原として使用した。

結果
:5つの異なるモルビリウイルス由来の猫モルビリウイルスRNAが同定された。 検出は、高窒素血症性CKD群の猫(1/16)と非高窒素血症群の猫(4/24)の間で有意な差はなかった(p=0.36)。3つの異なる非FeMVパラミクソウイルスが、非高窒素血症群でみられ、高窒素血症群ではみられなかったが、統計学的に有意ではなかった(p=0.15)。高窒素血症の猫の6/14(43%)と非高窒素血症の猫の40/55(73%)は血清陽性であった(p=0.06)。

結論と臨床的重要性
:イギリスの猫において猫モルビリウイルスが初めて検出された。しかし、ウイルスの有病率もしくは血清陽性率と、高窒素血症性CKDとの間に関連はなかった。これらの結果は、イギリスの猫においてFeMV感染が高窒素血症性CKDの発症に関連しているという仮説を支持しない。 

Foster, Jonathan D., Harathi Krishnan, and Stephen Cole.
"Characterization of subclinical bacteriuria, bacterial cystitis, and pyelonephritis in dogs with chronic kidney disease." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 252.10 (2018): 1257-1262.

PubMedリンク PMID:29701531
本文:無料公開なし

タイトル:慢性腎臓病の犬における無症候性の細菌尿、細菌性膀胱炎、および腎盂腎炎の特徴

==アブストラクト===
目的:慢性腎臓病(CKD)の犬における細菌尿(すなわち、1つ以上の尿検体における微生物培養の要請)の有病率を決定し、無症候性細菌尿、細菌性膀胱炎、または腎盂腎炎の初見を特徴付けることである。

デザイン:回顧的、観察研究。

動物:182頭の犬。

方法:2010年1月から2015年7月までの医療記録を再調査し、尿検査と尿微生物培養を行なったCKDの犬を同定した。シグナルメント、臨床病理学的データ、過去に公表されたガイドラインに基づくCKDのステージ、尿検査と尿培養の結果、および腹部超音波検査所見が記録された。これらのデータをもとに、尿培養の結果が陽性の犬は、無症候性細菌尿、細菌性膀胱炎、または腎盂腎炎に分類された。細菌尿の有病率が計算された。CKDのステージと細菌尿、診断カテゴリーとの間の関連は統計的に解析した。

結果:182頭中33頭(18.1%)の犬(40/235[17.0%]の尿サンプル)が、培養結果が陽性であった。全ての犬が培養と感受性試験の結果をもとに抗菌薬の投与をうけた。培養陽性は無症候性細菌尿の犬(18/40[45%])で最も多くみられ、次いで腎盂腎炎(16/40[40%])、膀胱炎(6/40[15%])であった。大腸菌が最も頻繁に観察された分離株であった(25/33頭の犬から得られた29/40[73%]培養)。CKDのステージは細菌尿の存在または診断カテゴリーと関連していなかった。

結論と臨床的関連
:CKDの犬における尿培養陽性結果の有病率は、感染素因となり得る一部の全身性疾患のある犬で過去に報告されているものよりも低かった。CKDのある犬における無症候性細菌尿の臨床的意義を評価するために前向き研究が必要である。


==訳者コメント===
母集団がCKDの犬ではなく、その中で尿培養検査を行った犬という限定的な集団での有病率であることに注意が必要です。尿検査でなんらかの異常があったから尿培養をおこなっているのかもしれません。
CKDの犬全体での有病率は反映していないように思えます。


 

Peterson, M. E., et al.
"Evaluation of Serum Symmetric Dimethylarginine Concentration as a Marker for Masked Chronic Kidney Disease in Cats With Hyperthyroidism." 
Journal of veterinary internal medicine 32.1 (2018): 295-304.

PubMedリンク PMID:29377360
本文:無料公開あり(全文) 

タイトル:甲状腺機能亢進症の猫におけるマスクされた慢性腎臓病のマーカーとしての血清対称性ジメチルアルギニン濃度の評価

==アブストラクト===
背景:甲状腺機能亢進症は、糸球体濾過率を高め、体の筋肉量を減少させ、これらは両方とも血清クレアチニン濃度を低くするため、 慢性腎臓病( CKD)の診断を複雑にする(マスクする)可能性がある。現在のところ、甲状腺機能亢進症の治療後に明らかとなる高窒素血症性のCKDを併発している甲状腺機能亢進症の猫を確実に予測できる臨床検査はない。

目的:無治療の甲状腺機能亢進症の猫におけるマスクされた高窒素決勝の潜在的なマーカーとして、対称性ジメチルアルギニン(SDMA)について調べること。

動物:262頭の甲状腺機能亢進症の猫と、206頭の年齢を調整した臨床的に正常な猫。

方法:前向き研究。クレアチニン、尿素窒素、SDMA、T4、およびTSHの濃度を、放射性ヨウ素(131 l)で治療する前と治療後1,3,6ヶ月で測定し、放射性ヨウ素治療猫を治療後の持続的なクレアチニン濃度>2.1mg/dlを基に高窒素血症と非高窒素血症に分けた。各グループはノンパラメトリック検定により比較し、受信者操作特性(ROC)解析とロジスティック回帰によって診断精度を決定した。

結果:治療前に高窒素血症のある猫はいなかったが、42頭(16%)の猫が放射性ヨウ素の治療後4-8ヶ月の再検査(中央値6ヶ月)で高窒素血症となった ;それらの猫のうち14頭は治療前にSDMA濃度が高かった。無治療の甲状腺機能亢進症の猫における前高窒素血症性(マスクされた)CKDの診断検査として、SDMAは感度が33.3%、特異度が97.7%であった。

結論と臨床的重要性:
甲状腺機能亢進症の猫における血清SDMA濃度の高値は、治療後の高窒素血症の発症の予測に役立つ。この検査は高い診断検査特異度(偽陽性の結果がほとんどない)だが、比較的低い感度(多くの甲状腺機能亢進症の猫で高窒素決勝を予測することができない)。 


==本文から===
利益相反の開示:M.PetersonはIDEXXラボラトリーズから謝礼金を受けている。 

Langhorn, R., et al.
"Symmetric Dimethylarginine in Cats with Hypertrophic Cardiomyopathy and Diabetes Mellitus." 
Journal of veterinary internal medicine (2017).

PubMedリンク PMID:29230874
本文:無料公開(全文) 

タイトル:肥大型心筋症および糖尿病の猫における対称性ジメチルアルギニン

==アブストラクト===
背景:対称性ジメチルアルギニン(SDMA)は猫の早期の慢性腎臓病(CKD)の指標として利用が増えてきているが、SDMAに対する併存疾患の影響についてはほとんど知られていない。

仮説:肥大型心筋症(HCM)と糖尿病は、CKDと独立して血清SDMAの変化に関連する。

動物:94頭の猫(CKDの猫17頭、HCMの猫40頭、糖尿病の猫17頭、健康な対照猫20頭)

方法:症例対照研究。臨床検査、心エコー検査、ECG、血圧、CBC、血液化学検査、チロキシン、およびSDMAの測定を行なった。尿検査は対照猫とCKDの猫、糖尿病の猫で行なった。分散分析は、群間で対数変換されたSDMAデータの全体の差異を比較するために用いた。ランダムフォレストアルゴリスムを適応して、どのような臨床的および他の要因が血清SDMAに影響を与えたかを調べた。

結果
:血清SDMAの中央値(範囲)は、腎臓群(陽性対照)で19(10-93)μg/dLであり、一方対照群(陰性対照) で10(5-15)μg/dLであった。心臓群および糖尿病群ではそれぞれ、9(4-24)μg/dL、7(3-11)であった。他のグループすべてと比べたときに、腎臓群ではSDMA濃度が有意に高く、糖尿病群では有意に低かった。

結論と臨床的重要性
:HCMの猫における血清SDMA濃度は、健康な対照猫と比べて有意な差はなかった。しかし、糖尿病の猫では対照と比べてSDMAが有意に低く、この所見はさらなる調査を必要とし、そしてこの内分泌障害のある猫の腎機能を評価する際には留意すべきである。 

Takenaka, M., et al.
"A Double‐blind, Placebo‐controlled, Multicenter, Prospective, Randomized Study of Beraprost Sodium Treatment for Cats with Chronic Kidney Disease." 
Journal of veterinary internal medicine (2017).

PubMedリンク PMID:29131397
本文:無料公開あり(PDF

タイトル:慢性腎臓病のある猫におけるベラプロストナトリウムの治療の多施設、前向き、二重盲検プラセボ対照無作為化試験 

==アブストラクト===
 背景:慢性腎臓病(CKD)は猫の一般的な進行性で不可逆性の疾患である。CKDのある猫におけるベラプロストナトリウム(BPS)の効果と安全性は評価されていない。

仮説/目的:CKDの猫の治療においてベラプロストナトリウムの有効性と安全性を、プラセボと比較して評価すること

動物:自然発生性のCKDをもつ家庭飼育の猫74頭。

方法:二重盲検、プラセボ対照、多施設、前向き、無作為化試験。猫にペラムロストナトリウム(55μ/cat)またはプラセボの経口投与を12時間間隔で180日間 行なった。一次エンドポイントは血清クレアチニン、血清リン/カルシウム比、または尿比重の変化と前向きに定義した。

結果:血清クレアチニンがプラセボ群で有意(p=0.0030)に上昇したが(平均±標準偏差:2.8±0.7から3.2±1.3mg/dlへ)、ベラプロストナトリウム群ではそうでは そうではなかった(2.4±0.7から2.5±0.7mg/dlへ)。180日目における群間の差は有意であった(0.8mg/dl, 95%信頼区間:0.2-1.3mg/dl, P=0.0071)。血清リン-カルシウム比はプラセボ群で有意に上昇(0.46±0.10から0.52±0.21mg/dlへ、p=0.0037)していたが、ベラプロストナトリウム群ではそうではなかった(0,50±0.08から0.51±0.11mg/dlへ)。両群で尿比重の有意な変化はなかった。治療関連と判断される有害事象には、プラセボ群の1頭で起こった嘔吐が含まれた。CBCと他の血液化学検査において臨床的に関連のある変化は観察されなかった。

結論と臨床的重要性
:ペラプロストナトリウムの治療は、CKDの猫によく許容され安全である。ベラプロストナトリウムは血清クレアチニンによって測定される腎濾過機能の低下を阻害した。


==訳者コメンント===
研究のエンドポイントが代用アウトカムである点(生存期間などの真のアウトカムではない)は注意しておくことかと思います。少なくともこの研究でCKDへの長期の影響はわかりませんし(この研究は6ヶ月の評価)、生命予後の改善効果があるかどうかもわかりません。 
 
 ベースラインでのプラセボ群でクレアチンが高めでIRISステージもやや高めなのも気になるところです。
こうした連続変数のアウトカムの評価の仕方をもう少し勉強しなければです。
 

<論文の吟味>
ランダム化されているか

 されている(時系列でのランダム化)

論文のPECOは

P:
臨床的に安定したCKDの猫に
E;ベラプロストナトリウムの錠剤を55μg/cat, 経口(食後), 12時間毎の投与を行なった場合に
C:プラセボを投与した場合と比較して
O;
血清クレアチニン、血清リン-カルシウム比または尿比重のベースラインからの変化に差はあるか?
 
一次エンドポイントは明確か?
一次エンドポイント:血清クレアチニン、血清リン-カルシウム比または尿比重のベースラインからの変化
評価項目が複数あるため偶然の影響を受けやすい(複合アウトカムではなさそう)

一次エンドポイントは真のアウトカムか?
代用アウトカムと考えられる(ただしCKDの進行という点では真のアウトカムに近い?)

盲検化されているか?
されいている。二重盲検

ITT解析(Intention-to-treat解析)はされているか?
されている されていない?

結果を覆すほどの脱落者はいるか?
ベラプロスト群で追跡率83%(31/37)
プラセボ群で追跡率84%(32/38) 

==本文から===
利益相反:イノウエアキオ、サカモトトシコ、クルマタニハジム、は東レ(株)の従業員である。サトウレエコ教授は東レ(株)から研究助成金を受けた。

施設:多施設研究(日本の22の動物病院)

組み入れ基準:Cre≧1.6mg/dl、尿比重<1.035、UPC<1.5、T4 0.9-3.8μg/dl
除外基準:急性腎障害、慢性心不全、糖尿病、副腎皮質機能亢進症、尿路感染症、FeLV感染、感染性腹膜炎、悪性腫瘍、肝疾患、出血障害のいずれかの臨床徴候がある症例。頻繁で定期的に皮下輸液を受けている症例。

治療:
ベラプロストナトリウムの錠剤を55μg/cat, 経口(食後), 12時間毎の投与
対照:プラセボ薬

一次エンドポイント:
血清クレアチニン、血清リン-カルシウム比または尿比重のベースラインからの変化
二次エンドポイント:BUN、体重の変化、UPC、臨床活動スコア、飼い主によるQOLの評価、獣医師による治療の印象

180日間の投与を実施:投与開始日を第0病日
0,30,60,90,120,150,180日に臨床的および検査による評価をした

年齢
ベラプロスト群:平均14.1歳(範囲 6.7-19.3)
プラセボ群  :平均13.4歳(範囲 4.6-20)

IRISステージ
ベラプロスト群:ステージ2;24/31(77%) ステージ3;7/31(23%)
プラセボ群  : ステージ2;19/32(59%)ステージ3;13/32(41%)

一次アウトカムの結果
・プラゼボ群ではクレアチニンの有意な上昇があった(平均±標準偏差:2.8±0.7から3.2±1.3mg/dlへ、p=0.0030)
・ベラプロスト群ではクレアチンの有意な上昇はなかった(2.4±0.7から2.5±0.7mg/dlへ、p=0.92)
・180日における群間のクレアチニンの差は有意だった(0.8mg/dl 95%CI 0.2-1.3、p=0.0071)
・プラセボ群ではリンーカルシウム比の有意な上昇があった(0.46±0.10から0.52±0.21mg/dlへ、p=0.0037)
・ベラプロスト群ではリンーカルシウム比の有意な上昇がなかった(0,50±0.08から0.51±0.11mg/dlへ)
・180日における群間のリンーカルシウム比の差は有意ではなかった(0.008 95%CI -0.080-0.096、p=0.85)
・尿比重は両軍ともに有意な変化はなかった(プラセボ群 1.017±0.007から1.015±0.008、ベラプロスト群1.016±0.006から1.017±0.008へ) 

有害事象
・ベラプロスト群:16症例(32イベント)
・プラセボ群  :22症例(61イベント) 

 

O'neill, D. G., et al.
"Chronic kidney disease in dogs in UK veterinary practices: prevalence, risk factors, and survival." 
Journal of Veterinary Internal Medicine 27.4 (2013): 814-821.

PubMedリンク PMID:23647231
本文:無料公開あり(全文

タイトル:英国の獣医開業における慢性腎臓病;有病率、危険因子、および生存

==アブストラクト===
背景:犬の慢性腎臓病(CKD)の有病率は幅広い(0.05-3.74%)。同定されている危険因子には年齢の増加、特定の犬種、小さい体格、歯周病が含まれる。

仮説/目的:犬におけるCKDの有病率を推定し、CKDの診断と生存に関連する危険因子を同定すること。純血種は交雑種よりもCKDのリスクが高く、不良な生存の特徴をもつであろうと仮説した。

動物:2年間(2010年1月ー2011年12月)に英国の89の獣医開業に来院した107,214頭の犬を統合した臨床データベース。

方法:縦断研究計画はみかけの有病率を推定し、真の有病率はベイズ分析を用いて推定した。入れ子にした症例対照研究により危険因子を評価した。生存解析にはカプランメイヤー生存曲線法と多変量Cox比例ハザード回帰モデルを用いた。

結果:CKDのみかけの有病率は0.21%(95%信頼区間:0.19-0.24%)であり、真の有病率は0.37%(95%事後信用区間:0.02-1.44%)であった。有意な危険因子には年齢の増加、被保険、特定の犬種(コッカースパニエル、キャバリアキングチャールズスパニエル)が含まれた。心疾患は有意な併存疾患であった。有意な臨床徴候は口臭、体重減少、多飲/多尿、尿失禁、嘔吐、食欲低下、不活発、下痢が含まれた。診断からの中央生存期間は226日(95%信頼区間 112-326日)であった。診断時の国際腎臓学会(IRIS)ステージと血中尿窒素濃度はCKDによる死亡の危険性と有意に相関した。

結論と臨床的重要性
:慢性腎臓病は犬の福祉を損なう。CKDの危険因子への意識の高まりと生存期間と血液化学検査との関連は、診断を容易にし、動物の生存期間と福祉を改善するために症例の管理を最適化すべきである。
 

Pelander, L., et al.
"Incidence of and mortality from kidney disease in over 600,000 insured Swedish dogs." 
Veterinary Record 176.25 (2015): 656.

PubMedリンク PMID:25940343
本文:google scholar経由で入手可能(全文

タイトル
:スウェーデンの被保険の犬60万頭以上における腎疾患の発生率とそれによる死亡率

==アブストラクト===
  腎疾患は犬の罹患率と死亡率の重要な原因である。犬の集団における腎疾患の疫学に関する知見は価値があり、大規模な疫学研究が必要である。この研究の目的は保険データを使用し、スウェーデンの犬の集団における腎臓関連の罹患率と死亡率を推定することである。
 
 1995年から2006年の間の非保険の犬に関する保険会社のデータを回顧的に調査した。発生率と死亡率は犬の集団全体で計算し、性別と品種によって分類もされた。獣医介護非保険の犬の総数は665,245頭であった。この集団における腎疾患の発生率は15.8(15.3016.2)頭/1000犬-年(訳者注:1年間に1000頭中15.8頭という意味)であった。生命保険の非保険犬の数は548,346頭であり、この集団では腎疾患に関連した死亡率は9.7(9.3-10.2)頭/1000犬-年 であった。腎疾患の発生率が最も高い3つの犬種は、バーニーズマウンテンドッグ、ミニチュアシュナウザー、ボクサーであった。腎疾患による死亡が最も多かった3つの犬種はバーニーズマウンテンドッグ、シェットランドシープドッグ、フラットコーテッドレトリバーであった。
 
 結論として、犬の腎疾患に焦点をあてたこの研究による疫学的情報は、将来の調査に重要な情報を提供するだろう。

Babyak, J. M., et al.
"Prevalence of Elevated Serum Creatinine Concentration in Dogs Presenting to a Veterinary Academic Medical Center (2010–2014)." 
Journal of veterinary internal medicine 31.6 (2017): 1757-1764.

PubMedリンク PMID:2881088
本文:無料公開あり (PDF

タイトル:獣医大学医療センターに来院した犬における血清クレアチニン濃度の上昇の有病率(2010-2014)

==アブストラクト===
背景:犬の腎疾患の疫学は広く記述されていない。

仮説/目的:犬の血清クレアチニン上昇の有病率をよりよく理解すること。 

動物:家庭飼育の犬

方法:回顧的な観察横断研究のデザインを用いた。2010年10月から2014年10月までに来院した全ての犬について、115,631の来院のデータセットを作成した。血清クレアチニンの上昇を>1.6mg/dlと定義して、評価した犬の中での有病率とリスクを推定した。

結果
:115.631の来院のうち、98,693が外来であり、16,938が入院であった。外来患者のうち、9,983(10.1%)で血清クレアチニンの評価を行なっており(4,423(44.3%)が初診)、一方、入院患者では12,228(60.0%)が少なくとも1回の血清クレアチニンの評価を行なっていた(7,731(75.6%)が初回入院)。評価を行なったすべての犬における血清クレアチニン濃度上昇の有病率は11.5%(95%信頼区間(CI) 11.0-11.9%)であり、入院患者の10.2%(95%CI 9.6-10.8%)、外来患者の12.9%(95%CI 12.1-13.8%)であった。測定された集団リスクを比較すると、血清クレアチニン濃度上昇の相対リスク(RR)は、老齢犬で有意に高く(外来患者 RR 1.45[95%CI 1.23-1.70]、入院患者 RR 1.43[95%CI 1.16-1.76])、若い犬で低かった(外来患者 RR 0.39[95%CI 0.26-0.59]、入院患者 RR 0.44[95%CI 0.32-0.62])。

結論と臨床的重要性
:検査評価を選出すると、 腎障害があり大学病院に来院した犬の割合は、過去の報告と比較して高く、それは病気の犬の割合を反映しているかもしれない。


==訳者コメント===
母集団が二次診療の患者(そもそも病気のある患者が多い)ということと、この研究ではクレアチニンの上昇の有病率であってCKDやAKIなど様々な病因が混ざっていることに注意します。

Gowan, Richard A., et al.
"Retrospective case–control study of the effects of long-term dosing with meloxicam on renal function in aged cats with degenerative joint disease." 
Journal of Feline Medicine & Surgery 13.10 (2011): 752-761.

PubMedリンク PMID:21906984
本文:google scholar経由で入手可能(PDF

タイトル
:変形性関節症のある高齢猫における長期のメロキシカム投与が腎機能に与える影響の回顧的症例対象研究

==タイトル===
 猫専門診療の医療記録(2005-2009年)について、メロキシカムによって治療された変形性関節症(DJD)の猫を検索した。DJDは少なくとも以下のうち2つの存在により診断した:(ⅰ)運動性の変化(飼い主による観察)、(ⅱ)身体所見の異常、(ⅲ)特徴的なレントゲン検査の変化。主要な研究集団は、6ヶ月以上の様々な期間メロキシカムを投与された7歳以上の猫から構成され、完全な記録が利用できるものとした。これらの猫は検出されうる慢性腎臓病(CKD)が存在する(腎臓グループ)か、存在しない(非腎臓グループ)かどうかにしたがい、腎臓グループは猫のIRISカテゴリーにしたがって細分類された。血清生化学、尿検査(尿比重(USG)を含む)、体重とボディコンディションスコアを定期的にモニターした。腎臓グループと非腎臓グループにおけるCKDの進行は、メロキシカムの投与を受けていない
年齢とIRISを適合させた対照猫の2つのグループ(同じ診療所で同じ時期の猫)と比較した。この研究は2つの研究グループをもつ症例対照デザインとした。
 長期のメロキシカム治療をうけた38頭のDJDのある猫が組み入れ基準に適合した。それらのうち22頭は治療開始時に安定したCKD(ステージ1;8頭、ステージ2;13頭、ステージ3;1頭)であった。最初から尿タンパク-クレアチニン比の上昇した猫はいなかった。のこりの16頭は最初は正常な腎臓検査値を有し、十分に濃縮された尿であった。”腎臓”と”非腎臓”のメロキシカムグループの年齢の中央値は15.5歳と13.4歳であった。治療期間の中央値は腎臓グループで467日、非腎臓グループで327日であった。最低有効用量まで減量したのちの維持投与量の中央値は、両グループともに0.02mg/kg/day(範囲 0.015-0.033mg/kg/day)であった。メロキシカムの治療をうけた非腎臓グループでは、メロキシカムの治療を受けていない対照猫と比較して、連続的なクレアチン濃度またはUSGの測定においいて差はなかった。メロキシカムの治療をうけた腎臓グループのでは、年齢とIRISを適合させたメロキシカム治療のないCKDの猫と比較して、腎疾患の進行は少なかった。
 これらの結果は0.02mg/kgのメロキシカムによる長期の維持投与は、7歳以上の猫においても、仮にCKDがあったとしても
全体的な臨床状態が安定していれば安全である可能性があることを示唆している。メロキシカムの長期治療はCKDとDJDに罹患している猫の一部で腎疾患の進行を遅らせる可能性がある。これらの知見を検証するためには、前向き研究が必要である。


==本文から===
利益相反:Laura JohnstonとWibke StansenはBoehringer Ingelheimの従業員である。Richard Malikは猫でNSAIDを長期使用するためのコンセンサスガイドラインを作成するためにISF Mが招集した専門家パネルの一人である。Scott Brownは
Boehringer Ingelheim Vetmedica, Inc.のコンサルタントを務めている。


==訳者コメント===
はたしてこの研究は症例対象研究なのでしょうか?あんまりそうみえないのですが(勉強不足だからかもしれません。


 

Gowan, Richard A., et al.
"A retrospective analysis of the effects of meloxicam on the longevity of aged cats with and without overt chronic kidney disease." 
Journal of feline medicine and surgery 14.12 (2012): 876-881.

PubMedリンク PMID:22821331
本文:google scholar経由で全文入手可能(PDF) 

タイトル: 明らかな慢性腎臓病がある猫とない猫の寿命に対するメロキシカムの影響の回顧的分析

==アブストラクト===
 この研究では治療開始時の自然発生性慢性腎臓病がある場合とない場合とで、長期のメロキシカム治療が猫の生存に及ぼす影響を調べようとした。
 2つの猫専門診療所のデータベースから、7歳以上の猫で6ヶ月以上のメロキシカムの治療を継続した猫を検索した。再調査のための完全な医療記録が利用できる猫だけがこの研究に採用された。腎臓病グループの寿命の中央値はは18.6歳[95%信頼区間(CI) 17.5-19.2]であり、非腎臓病グループでは22歳[95%CI 18.5-23.8]であった。CKD診断後の生存期間の中央値は16082日
95%CI 1344-1919]であり、それは以前に公表されたCKDの生存期間に匹敵するものであった。両グループで最も多い死亡の原因は腫瘍であった。
 経口メロキシカムの長期治療は安定したCKD(IRISステージⅡおよびⅢであっても)のある猫の寿命を短縮することはないようである。それゆえ、慢性疼痛のある猫におきて生活の質と寿命の両方に取り組むためには、メロキシカムを治療計画の一部として考慮すべきである。


==本文から===
企業関与:Boehringer Ingelheimの資金提供あり
利益相反:Laura JhonstonとWibke Stansenは
Boehringer Ingelheimの従業員である


==訳者コメント===
しばしば思うのですが、Journal of feline medicine and surgeryのアブストラクトはどういった研究なのかわかりづらいものが多いですね。

この研究ではCKDでメロキシカムを使用した猫の生存期間を、過去の報告のCKDの寿命と比較しています(historical control dataとの比較)。これだとあまり正確に比較検討できません。




Bernachon, Natalia, et al.
"Comparative palatability of five supplements designed for cats suffering from chronic renal disease."
 
Irish veterinary journal 67.1 (2014): 10.

PubMedリンク PMID:24872876
本文:無料公開(PDF

タイトル:慢性腎臓病に罹患した猫用に設計された5つのサプリメントの嗜好性の比較

==アブストラクト===
背景
:腸内リン酸結合剤、尿毒症毒素結合剤、 およびいくつかの他のタイプのサプリメントは、猫を含む色々な種における慢性腎臓病(CKD)の管理の不可欠な部分である。国内の肉食動物におけるこの病理学は、生涯にわたる栄養学的および医学的な管理を必要とする。この背景において、経口の医薬品もしくはサプリメントの十分なレベルの嗜好性がなければ、飼い主と患者のコンプライアンスは達成できない。CKDに罹患した猫において、食欲低下と食欲不振はもっともよくみられる臨床徴候であることは知られており、これはすでにそれ自体が病気の動物におけるコンプライアンスの受け入れ可能性について深刻な障害である。この研究の目的は、CKDの猫に向けて開発された4つの市販入手可能な製剤;イパキチン(Ipakitine®, Vetoquinol, France)、アゾディル(Azodyl®, Vetoquinol, USA)、レナルジン(Renalzin®, Bayer, France)、ルベナル(Rubenal®, Vetoquinol, France)と、最近新たに開発された製剤;プロネフラ(Pronefra®, Virbac,France)の嗜好性について調べることである。この研究は、嗜好性測定のためのペット専門家の独立したセンターハウジングパネルの裕福で豊かな環境に住んでいる猫で、事前に特徴づけされたグループで行われた。全部で172の単項試験が行われた。各製品の嗜好性は、その捕捉と消費の割合を測定することで評価し、消費割合も分析した。

結果
:最も口に合うと示されたのは(有用な消費に基づく)、Pronefra®であり、Azodyl®(p=0.046)、Ipakitine®(p<0.0001)、Renalzin®(p<0.0001)、Rubenal®(p<0.0001)よりも有意に高かった。最も高い補足の割合を示した製品もまたPronefra®であり、Azodyl®(p=0.0019)、Ipakitine®(p=0.0023)、Renalzin®(p=0.0008)、Rubenal®(p<0.0001)よりも有意に高かった。

結論Pronefra®は最も口にあうと示され、CKDの猫における補充の容易さを改善するのに役立つ可能性がある。


==本文から===
利益相反
:著者のNB, SF, PM, HGはVirbacの従業員である。Virbacは開発中の潜在的な将来の製品に関するこの研究に研究費を支払った。


== 訳者コメント===
ビルバックの新製品を含めた比較研究をビルバックが行なって、その製品がダントツで嗜好性が高いという結果。その辺を差し引いて考えないとですね。

日本の猫が同じ嗜好性とも限りませんね。 

それにしても”背景”が長いなと思ったら、背景の中に”方法”も書かれていて。どういう構造のアブストラクトなのでしょうか。 

Rishniw, Mark, and Susan G. Wynn.
"Azodyl, a synbiotic, fails to alter azotemia in cats with chronic kidney disease when sprinkled onto food." 
Journal of Feline Medicine & Surgery 13.6 (2011): 405-409.

PubMedリンク PMID:21571563
本文:無料公開(PDF

タイトル:シンバイオティクスであるアゾディル(Azodyl)は慢性腎臓病のある猫で食事の上に振りかけた時に、高窒素血症を変えることはできなかった。

==アブストラクト===
猫の慢性腎臓病におけるプロバイオティック療法の効果はほとんど明らかになっていないが、人気が高まってきている。しかし、猫の飼い主はプロバイオティクスをメーカーが規定しているようにカプセルのまま与えるよりも、食事に混ぜて与えることをしばしば好む。そのような推奨されていない投与による有効性は不明である。

この二重盲検対照臨床試験では、自然発生のCKDの猫10頭に、プロバイトティック-プレバイオティック組み合わせ(シンバイオティック)もしくはサイリウムの粉(プレバイオティクスのみ)のいずれかを無作為に2ヶ月間投与した。薬剤は食事に振りかけて混ぜるか、懸濁液として与えた。BUNとクレアチニンを薬剤の投薬の前に2回測定し、薬剤投薬中に2ヶ月間毎月測定した。飼い主と臨床医は治療に関して隠されていた。BUNとクレアチンのの最大パーセンテージ変化をそれぞれの猫で計算した。グループ間でパーセンテージ変化に差は検出されなかった(p=0.8 BUNとクレアチニン共に)。

この研究で使用されたシンバイオティックサプリメントは食事に塗りつけたり、懸濁液にした場合には、CKDの猫の高窒素血症を減少させることはできない。したがって飼い主はこのシンバイオティックをこの方法で投与すべきではない。
 

==本文から==
資金・企業:この調査はVIN財団の資金提供を受けている。アゾディルと対照のカプセルはVetoquinol USAによって提供された。


==訳者コメント==
「推奨されない方法で与えたら効果がなかった」ということを言うのは良いですが、「推奨される方法なら効果があるのに」というように誘導されないように気をつけたいです。少なくとも推奨方法通りに与えて効果があったかどうかを検討した研究はないようです(2017年12月現在)。なぜその研究を飛ばして、この研究を行ったのか疑問が残ります。
 

補足):以下、ヤクルト中央研究所 健康用語の基礎知識(参照日2017.12.27)から引用

プロバイオティクス(probiotics)
十分量を摂取したときに宿主に有益な効果を与える生きた微生物

プレバイオティクス(prebiotics)
①消化管上部で分解・吸収されない
②大腸に共生する有益な細菌の選択的な栄養源となり、それらの増殖を促進する
③大腸のフローラ構成を健康的なバランスに改善し維持する
④人に健康の増進維持に役立つ 
これらの条件を満たす食品成分。オリゴ糖や食物繊維の一部が要件を満たす食品成分として認めらている。

シンバイオティクス(synbiotics) 
プロバイオティクスとプレバイオティクスを一緒に摂取すること、またはその両方を含む飲料や製剤など。 

 

Crivellenti, Leandro Z., et al.
"Occult gastrointestinal bleeding is a common finding in dogs with chronic kidney disease." 
Veterinary Clinical Pathology 46.1 (2017): 132-137.

PubMedリンク
本文:無料公開なし

==アブストラクト===
背景
:末期腎疾患で透析治療を受けている ヒトの患者においては、潜在性消化管出血(OGIB)のリスクが増加することが知られている。しかし今日まで、犬やヒトの慢性腎臓病(CKD)の患者の潜在性消化管出血の発生率について透析とは無関係に調べた研究はない。

目的
:この研究の目的は、CKDの犬では対照群に比較して潜在性消化管出血の発生が多いかどうかを決定し、この病理が鉄代謝に関連した血清変数の変化と関連しているかを決定する。

方法
:健康な犬10頭とCKDの犬30頭で、便の潜血を評価した。試験の結果を失血の指標および/または鉄代謝の指標と比較した。

結果
:CKDの犬では、対照群に比べて潜在性消化管出血の発生率が有意に高かった(P<0.0001)。ステージ2のCKDの犬では80%が貧血になっていなかったが、90%が潜在性消化管出血に陽性であった。 同様に、ステージ4のCKDの犬は、ステージ2(P=0.0071)もしくはステージ3(P=0.0385)のCKDの犬に比べて、有意に出血が多かった。CKD群の血清ヘモグロビン、トランスフェリン、および鉄濃度は、対照群よりも有意に低く(P<0.0001)、便の潜血しており(それぞれr=-0.61、r=-0.40、r=-0.44)、血清クレアチニンも同様だった(P<0.0001、r=0.64)。

結論
:この予備的研究はCKDの犬で潜在性消化管出血が、疾患の初期段階であってさえも一般的な臨床所見であるということを示唆した。したがって、便潜血検査は治療計画における胃保護剤の使用の指標として有用かもしれない。 

==本文から===
  • 利益相反については記載見当たらず
  • 潜在性消化管出血がみられた割合
  対照犬(n=10):0%(0/10)
  CKDステージ2(n=10):90%(9/10)
  CKDステージ3(n=10):90%(9/10)
  CKDステージ4(n=10):100%(10/10) 

==訳者コメント===
  • ステージ2で90%でみられるっていうのは印象として非常に多い感じがします。他の研究もあれば参考にしてみたいところです。

Tolbert, M. K., et al.
"Evaluation of Gastric pH and Serum Gastrin Concentrations in Cats with Chronic Kidney Disease."
 
Journal of Veterinary Internal Medicine 31.5 (2017): 1414-1419.

PubMedリンク
本文:無料公開(PDF

==アブストラクト===
背景
:慢性腎臓病(CKD)は猫でよく見られる状態である。進行したCKDでは、食欲不振や嘔吐と関連し、それらは典型的には尿毒素物質および胃酸過多に起因する。しかし、CKDの猫の胃のpHを調べた研究はない。

仮説/目的
:CKDの猫は、同年齢の健康な猫に比べて胃のpHが低下しているかどうかを決定すること。高ガストリン血症とCKDとの関連を示す以前の研究に基づいて、我々はCKDの猫は、同年齢の健康な対象猫よりも胃のpHが低下しているだろうという仮説を立てた。

動物
:CKDの猫10頭、対象の猫9頭

方法
:全ての猫で、pHのモニターと血清ガストリン濃度の測定を行う24時間以内に得られた、病歴、身体検査、CBC、血漿化学検査、尿検査、尿培養、血清総チロキシン濃度、 血清SDMA濃度(対象猫のみ)をもとに、併発疾患が除外された。全ての猫で、ガストリン測定のための血清を採取し、12時間連続の胃pHのモニタリングを行なった。血清ガストリン濃度、平均pH、胃pHが強い酸性(pH<1および<2)になった時間の割合を、両グループで比較した。 

結果
: 血清ガストリン濃度(中央値[幅]:CKD猫,18.7ng/dl[<10 - 659.0];健康猫 ,54.6ng/dl[<10 - 98.0];P値=0.713)もしくは胃pHの平均±SD(CKD猫,1.8±0.5;健康猫,1.6±0.3;P値=0.23)を含むいずれのpHの変数にも、グループ間で有意な差はは観察されなかった。

結論と臨床的重要性
:これらの結果はCKDの猫は、健康な猫と比較して胃酸過多になっていない可能性があり、そのため制酸薬を必要としない可能性がある。CKDの猫において制酸薬の有効性があるかどうかを決定するためにはさらなる研究が望まれる。


==本文から===
  • 前向きに研究
  • 2015-2016年
  • 2つの動物病院
  • CKD猫の組み入れ基準:体重>3.0kg、IRISstageⅡ-Ⅳ、臨床経過がCKDに一致、Cre>1.6mg/dl、尿比重<1.035
  •  健康猫の組み入れ基準:高窒素血症がない、尿比重>1.035、SDMAに異常がない、ボディーコンディションが良い、2ヶ月以内に予防薬以外の薬剤投与がない
     
  • 胃pHのモニター:pH監視カプセルを胃内に投与して観測
     
  • CKD猫の内訳:IRIS stageⅡ 5頭、 Ⅲ 4頭、Ⅳ 1頭
     
  • 年齢に有意な差なし:CKD猫14.1±5.4歳、健康猫12.3±1.7歳 


==訳者コメント===
  • stageⅣが1頭しか含まれていないので、進行したCKDでこの結論が当てはまるかはわからなさそうです。
  • 胃pHには差がなさそうというがわかりましたが、制酸薬の必要性についてはそれだけでは議論ができないようにも思います。 

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