ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

小動物臨床の獣医師が、臨床に役立ちそうな論文情報をちょっとづつアップします。ねころんでいても論文検索ができればいいなと。

タグ:SI

Peterson KL, et al. 
"Assessment of shock index in healthy dogs and dogs in hemorrhagic shock" 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2013).

PubMedリンク
本文:無料公開なし

==アブストラクト===
目的:健康な犬の集団と出血性ショックと確定した犬の集団とでショック指数(shock index:SI)を比較する。

デザイン:前向きに収集された過去の2つの調査のデータを回顧的に分析

施設:大学の教育病院

動物:組織酸素モニターの参照値を確立させる研究に登録された健康な対照犬78頭と、出血性ショックにおける組織酸素モニターを評価するために登録された出血性ショックが確定している犬38頭。それぞれの研究で得られた心拍数と収縮期血圧をSIの計算に用いた。

介入:なし

測定と主な結果:ショック指数(SI)は対照群(中央値 0.91, 範囲 0.57-1.53)に比べて、出血群(中央値 1.37, 範囲 0.78-4.35)で有意に高かった。出血性ショックの犬の92%が、SI>0.91であった。対照と比較して、出血性ショックの犬では体温が有意に低く(中央値 38.3℃, 幅 35.6-39.9℃ vs 中央値38.7℃,幅 37.5-39.9℃)、心拍数が高く(中央値 150/min, 範囲120-220/min vs 中央値110/min, 範囲 80-150/min)、収縮期血圧が低く(平均112mmHg, SD ±35.8mmHg vs 平均 125mmHg, SD ±21.5mmHg)、乳酸値が高く(中央値 0.51mmol/L, 範囲 0.078-1.41mmol/L vs 中央値 0.11mmol/L, 範囲 0.033-0.33mmol/L)、ヘモグロビン濃度が低かった(中央値 81g/L, 範囲56-183 vs 中央値 162.5g/L, 範囲 133-198g/L)。

結論:ショック指数はシンプルで簡単に計算でき、トリアージの追加的なツールとして利用できる可能性があり、値を>0.9とした場合の出血に対するさらなる評価が試みられるだろう。 


Porter AE, et al. 
"Evaluation of the shock index in dogs presenting emergencies." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2013).

PubMedリンク
本文:無料公開あり(PDF

==アブストラクト===
目的(1)健康な犬でのショック指数(shock index; SI)[SI=心拍数(HR)/収縮期血圧(SBP)と定義]の参照範囲を決定すること。(2) 健康な犬と、救急(ER)に来院したショックであるもしくはない犬とでショック指数を比較すること。

デザイン:前向き研究

動物:臨床的に正常な犬68頭、ERに来院したショック状態の犬18頭、ERに来院したショックのない犬19頭。

施設:大学の教育病院

介入:末梢静脈もしくは中心静脈の血液採取

測定と主な結果:来院をシュミレートした健康な犬と、ERに来院した犬(ショック有or無)とで、心拍数と収縮期血圧を記録した。ショック状態の犬のSIの中央値は1.37(0.87 - 3.13)であり、他のグループよりも有意に高かった;ショック状態にない犬のSIの中央値は0.73(0.56 - 1.20)であり(P<0.0001)、健康な犬でのSIの中央値は0.78(0.37 - 1.30)であった(P<0.0001)。ROC曲線解析ではSIのカットオフとして1.0が示唆され、健康な犬とショック状態の犬を比較するとROC下面積(AUROC)が0.89(特異度89、感度90)、ショックのない犬とショック状態の犬との比較では0.92(特異度95、感度89)であった。

結論:ショック指数(SI)は簡便で非侵襲的な患者のパラメーターであり、健康な犬やショックではない状態で救急に来院した犬に比べて、ショック状態と考えられる犬で高かった。SIの測定は救急の患者臨床評価として有益である可能性がある。 


==本文から===

・ショックの有無は血漿乳酸値をもとに判定されている。≦1.5mmol/Lはショックなし、>5mmol/Lはショックあり。
・収縮期血圧が測定できなかった症例、高乳酸血症の原因疾患がショック以外に診断された症例は除外した。 

・研究期間中に138頭の犬が来院し研究の対象となり、19頭がショックのない犬、18頭がショックの犬とされた。

・ショックのない犬の疾患;胃腸炎/消化管異物(4)、脊髄疾患(3)、マイナーな外傷(3)、けいれん発作の可能性(2)、元気食欲の低下した糖尿病(2)、発熱(1)、上室性頻脈(1)、皮膚腫瘤(1)、限局した腫瘍(1)、中毒の可能性(1)

・ショックの犬の疾患:心タンポナーデ(6)、胃拡張-捻転(3)、腹腔内出血(2)、肺炎(1)、重度の鼻出血(1)、インスリノーマによる虚脱(1)、免疫介在性溶血性貧血(1)、重度の多発外傷(1)、術中に起こった呼吸停止後(1)、細菌性腹膜炎(1)。


表)各集団の特徴と測定値
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==訳者コメント===
・本文を読むとショックのゴールドスタンダードとして乳酸値が使われています。それ自体は良いと思いますが、乳酸値≦1.5mmol/Lをショックなし、>5mmol/Lをショックありとしており、1.5<乳酸値≦5の患者は解析に含まれていないということになります。 
・ こうしたグレーゾーンを無視した両極の2群でカットオフ値を出すと、診断精度は高く出ますが、実際の臨床で
1.5<乳酸値≦5のグレーゾンの患者を、同じ精度で診断できるかどうかという点には注意が必要ではないかと思います。感度、特異度(からの尤度比)をそのまま使えるかどうか、注意が必要と思います。
 

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